説明

ライトアングルタイプのスプリングコネクタ

【課題】カシメ作業を必要とせず、部品点数が少なく、電気的接続が確実に維持されるライトアングルタイプのスプリングコネクタを提供する。
【解決手段】導電材のチュ−ブ30の前端部に導電材のピン14が先端部を突出させて前方に抜け出ないように狭窄部30aを設け、後端部を開口30bする。チューブ30に実装面22に達する接続部32と実装面22に沿って伸びる当接部34を一体に設け、当接部34に係合部36を設ける。絶縁材のホルダー38の前面にチューブ30を挿入し得る有底孔38aを穿設し、ピン14とスプリング12を順次に挿入した状態のチューブ30を有底孔38aに挿入してスプリング12が縮設されてピン14を前方に弾性付勢するようにする。この挿入された状態で係合部36が係合する係止部38cをホルダー38に設ける。係合部36と係止部38cの係合で、チューブ30が有底孔38aから抜け出ないようする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品点数が少ないとともに組み立ての容易なライトアングルタイプのスプリングコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
配設される実装面と略平行にピンが突出および押し込まれるライトアングルタイプのスプリングコネクタの従来の構造の一例を図12を参照して簡単に説明する。図12は、ライトアングルタイプのスプリングコネクタの従来の構造の一例の縦断面図である。図12において、導電材からなるチューブ10は、最初その前端部が開口され、後端部が閉塞され、また前端側の外周面にフランジ状部10aが設けられている。このチューブ10内に前端部の開口側からスプリング12と導電材からなるピン14を順次に挿入し、スプリング12が縮設された状態で前端部の開口をカシメて狭窄部を形成し、スプリング12による弾性付勢でピン14がその先端部を狭窄部から突出させてしかも前方に抜け出ないよう構成される。さらに、絶縁材からなるホルダー16に穿設した孔16aにチューブ10が後端側から挿入圧入される。ここで、ホルダー16の孔16aの前面に、実装面22に達する導電材からなる接続部材18が設けられ、孔16aに臨んで透孔18aが穿設され、さらにこの接続部材18に対してL字状に実装面22に沿うように折り曲げられた当接部材20が一体に設けられている。そこで、孔16aにチューブ10を挿入圧入すると、接続部材18がホルダー16の前面とフランジ状部10aとで狭持され、チューブ10が接続部材18に当接して電気的接続される。この図12に示す従来の構造と同様なライトアングルタイプのスプリングコネクタが、特開2003−17173号公報の図13に示されている。
【特許文献1】特開2003−17173号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記図12に示す従来技術にあっては、接続部材18がホルダー16の前面とチューブ10の外周面に設けたフランジ状部10aとで狭持され、チューブ10が接続部材18に当接して電気的接続されているので、チューブ10に何らかの原因で衝撃等が加わると、チューブ10がホルダー16の孔16aから抜け出る方向に移動し、接続部材18の狭持を維持し得ずに、接続部材18とチューブ10の電気的接続が遮断される可能性がある。また、ピン14とスプリング12が組み込まれたチューブ10とホルダー16および接続部材18の部品を必要とし、部品点数が多い。さらに、ピン14とスプリング12を組み込むために、チューブ10の前端部に狭窄部を形成するためのカシメ作業を必要とし、製造工程がそれだけ多くなるという不具合もある。
【0004】
本発明は、上述のごとき事情に鑑みてなされたもので、カシメ作業を必要とせず、しかも部品点数が少なく、電気的接続が確実に維持され得るライトアングルタイプのスプリングコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために、本発明のライトアングルタイプのスプリングコネクタは、導電材からなるチュ−ブの前端部に、導電材からなるピンが先端部を突出させて前方に抜け出ないように狭窄部を設けるとともに、後端部を前記ピンを挿入し得るように開口し、前記チューブに配設される実装面に達する接続部と前記実装面に沿って後方に向けて伸びる当接部を一体に設け、前記当接部に係合部を設け、絶縁材からなるホルダーの前面に前記チューブをその後端側から挿入し得る有底孔を穿設し、前記開口より前記ピンとスプリングを順次に挿入した状態の前記チューブを前記有底孔に後端側から挿入して前記スプリングが縮設されて前記ピンを前方に弾性付勢するようにし、前記有底孔に前記チューブが挿入された状態で前記係合部が係合する係止部を前記ホルダーに設け、前記係合部と前記係止部の係合により前記チューブが前記有底孔から抜け出ないようにして構成されている。
【0006】
そして、前記チューブの前記ピンおよびスプリングが挿入される内孔を、前記実装面に対して上下方向の傾きを設けて穿設して構成しても良い。
【0007】
また、前記チューブの前記ピンおよびスプリングが挿入される内孔を、前記実装面と平行な面で前記チューブの前後方向に対して横方向に向きをずらして穿設して構成しても良い。
【0008】
さらに、複数の前記チューブを1つの前記接続体と一体に構成することもできる。
【0009】
そして、複数の前記チューブの前記ピンおよびスプリングが挿入される内孔を、前記実装面からの高さが相違するように穿設して構成しても良い。
【0010】
また、2つの前記チューブの前記ピンおよびスプリングが挿入される内孔を、前記チューブの前後方向に対して前端部が狭いハの字状または逆ハの字状に前記実装面に対して上下方向の傾きを設けて穿設して構成しても良い。
【0011】
また、2つの前記チューブの前記ピンおよびスプリングが挿入される内孔を、前記実装面と平行な面で前記チューブの前後方向に対して前端部が狭いハの字状または逆ハの字状に横方向に向きをずらして穿設して構成しても良い。
【0012】
さらに、前記当接部を前記実装面に設けた端子に電気的接続するように構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載のライトアングルタイプのスプリングコネクタにあっては、導電材からなるチュ−ブに配設される実装面に達する接続部とこの実装面に沿って後方に向けて伸びる当接部を一体に設けているので、実装面に設けられた端子に電気的接続された当接部とチューブとの間の電気的接続が遮断されるようなことがない。しかも、チュ−ブに接続部と当接部が一体に形成されていて、部品点数が少ない。また、ホルダーの有底孔に、ピンとスプリングを順次に挿入した状態のチューブを挿入し、チューブと一体の当接部に設けた係合部をホルダーに設けた係止部に係合させて、スプリングが縮設された状態で、チューブが有底孔から抜け出ないようにしているので、従来技術で必要とされるカシメ作業を必要としない。
【0014】
請求項2および3記載のライトアングルタイプのスプリングコネクタのいずれにあっても、チューブの内孔が、実装面に対して上下方向の傾きを設けて穿設され、または実装面と平行な面でチューブの前後方向に対して横方向に向きをずらして穿設されているので、被接続対象物によりピンの当接部が押圧されて後退する間に、被接続対象物に対するピンの当接部の当接位置がずれ、クリーニング効果が得られる。もって、確実な電気的接続が得られる。
【0015】
請求項4記載のライトアングルタイプのスプリングコネクタにあっては、複数のチューブを1つの接続体と一体に構成しているので、複数のピンを被接続対象物に当接させることで、複数の電気経路が形成されて、確実で信頼性の高い電気的導通が得られる。また、複数の異なる被接続対象物にそれぞれのピンを当接させて、複数の被接続対象物を電気的接続することもできる。
【0016】
請求項5記載のライトアングルタイプのスプリングコネクタにあっては、複数のチューブのピンおよびスプリングが挿入される内孔を、実効面からの高さが相違するように穿設して構成したので、複数のピンを被接続対象物の高さの異なる位置に当接させることで、高さの異なる位置で複数の電気経路が形成されて、より確実で信頼性の高い電気的導通が得られる。また、実装面からの高さが異なる複数の被接続対象物にそれぞれのピンを当接させて、複数の被接続対象物を電気的接続することもできる。
【0017】
請求項6および7記載のライトアングルタイプのスプリングコネクタのいずれにあっても、2つのチューブの内孔が、チューブの前後方向に対して前端部が狭いハの字状または逆ハの字状に実装面に対して上下方向の傾きを設けて穿設され、または実装面と平行な面でチューブの前後方向に対して前端部が狭いハの字状または逆ハの字状に横方向に向きをずらして穿設されているので、被接続対象物によりピンの当接部が押圧されて後退する間に、被接続対象物に対するピンの当接部の当接位置がずれ、クリーニング効果が得られる。また、2つのピンを被接続対象物に当接させることで、2つの電気経路が形成される。もって、確実な電気的接続が得られる。さらに、内孔を前端部が狭いハの字状としたものにあっては、面積の小さな被接続対象物に、2つのピンの当接部を当接させることができる。
【0018】
請求項8記載のライトアングルタイプのスプリングコネクタにあっては、チューブと一体の当接部を実装面に設けた端子に電気的接続するので、チューブが実装面の端子に確実に電気的接続し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の第1実施例を図1ないし図3を参照して説明する。図1は、本発明のライトアングルタイプのスプリングコネクタの第1実施例を示し、(a)は縦断面図であり、(b)は外観斜視図である。図2は、図1におけるチューブと接続部および当接部が一体とされた部材を示し、(a)は側面図であり、(b)は正面図であり、(c)は(b)のA−A矢視縦断面図であり、(d)は外観斜視図である。図3は、図1におけるホルダーを示し、(a)は正面図であり、(b)は(a)のB−B矢視縦断面図であり、(c)は外観斜視図であり、(d)は縦に切り欠いた斜視図である。
【0020】
本発明のライトアングルタイプのスプリングコネクタの第1実施例において、導電材からなるチューブ30は、その内孔の前端部に狭窄部30aが設けられ、後端部には開口30bが設けられている。そして、前端部の外周面から実装面22に達する接続部32が一体に設けられ、さらにこの接続部32に対して実装面22に沿うように後方に向けてL字状に折り曲げられた当接部34が一体に設けられ、この当接部34の遊端部に係合部36が設けられる。このチューブ30と接続部32と当接部34および係合部36は、一例として、導電材からなるメタルインジェクションモールド製造法により一体に成形される。さらに、絶縁材からなるホルダー38に前面から有底孔38aが穿設される。また、この有底孔38aにチューブ30を後端側から挿入圧入し得るように当接部36を受け入れる空間部38bが設けられ、さらにこの挿入した状態で当接部34の係合部36が係合してチューブ30が前方に抜け出るのを阻止する係止部38cが空間部38bに設けられている。そして、チューブ30の内孔に後端部の開口30bから、ピン14とスプリング12を順次に挿入した状態で、ホルダー38の有底孔38aにチューブ30を後端側から挿入圧入する。すると、当接部34の係合部36がホルダー38の係止部38cに係合し、ホルダー38の有底孔38aからチューブ30が前方に抜け出るのが阻止される。ここで、スプリング12は、有底孔38aの底部とピン14の間で縮設され、ピン14を前方に弾性付勢するように設定される。なお、チューブ30は、ピン14とスプリング12が挿入される内孔が、実装面22と平行となるように穿設され、チューブ30の外周面が内孔と同軸状に形成されている。そして、ホルダー38の有底孔38aも、実装面22と平行に穿設されている。もって、ピン14は、実装面22と平行にチューブ30の前後方向に、突出および後退する動きが可能である。
【0021】
かかる構成からなる本発明のライトアングルタイプのスプリングコネクタにあっては、導電材からなるチュ−ブ30に配設された実装面22に達する接続部32と実装面22に沿って後方に向けて伸びる当接部34が一体に設けているので、実装面22に設けられた端子(図示せず)に当接部34を半田付け等で固定するとともに電気的接続することで、チューブ30に不測の衝撃力が加わっても、チューブ30と端子との間の電気的接続が遮断されるようなことがないとともに、その間の抵抗値を、従来技術のごとき電気経路の途中に接触面を有するものに比べて、小さなものとすることができる。しかも、チュ−ブ30に接続部32と当接部34が一体に形成されていて、部品点数が少ない。また、ホルダー38の有底孔38aに、ピン14とスプリング12を順次に挿入した状態のチューブ30を挿入し、チューブ30と一体の当接部34に設けた係合部36をホルダー38に設けた係止部38cに係合させて、スプリング12が縮設された状態で、チューブ30が有底孔38aから前方に抜け出ないようにしているので、従来技術で必要とされているカシメ作業を必要としない。それだけ作業工程が簡単であり、量産に好適である。
【0022】
さらに、第1実施例の第1変形例を、図4を参照して説明する。図4は、第1実施例の第1変形例で用いるチューブの縦断面図である。図4に示すごとく、第1変形例にあっては、チューブ30は、ピン14とスプリング12が挿入される内孔が、実装面22に対して前端部が下方向の傾きを設けて穿設されている。なお、チューブ30に対して内孔が、実装面22に対して上下方向の傾きを設けて穿設されていれば良い。被接続対象物によりピン14の当接部が押圧されて後退する間に、被接続対象物に対するピン14の当接部の当接位置がずれ、クリーニング効果が得られ、確実な電気的接続が得られる。
【0023】
また、第1実施例の第2変形例を、図5を参照して説明する。図5は、第1実施例の第2変形例で用いるチューブを示し、(a)は前端部を見た正面図であり、(b)は(a)のC−C矢視断面図である。図5に示すごとく、第2変形例にあっては、チューブ30は、ピン14とスプリング12が挿入される内孔が、実装面22と平行な面でチューブ30の前後方向に対して横方向に向きをずらして穿設されている。なお、チューブ30に対して内孔が、実装面22と平行な面でチューブ30の前後方向に対していずれの横方向に向きをずらして穿設されていても良い。第1の変形例と同様に、被接続対象物によりピン14の当接部が押圧されて後退する間に、被接続対象物に対するピン14の当接部の当接位置がずれ、クリーニング効果が得られ、確実な電気的接続が得られる。なお、上記第1実施例の第1変形例および第2変形例に限られず、チューブ30に対して、ピン14とスプリング12が挿入される内孔が、上下方向のいずれかに傾くとともに、実装面22と平行な面でチューブ30の前後方向に対していずれかの横方向に向きをずらして穿設されていても良い。
【0024】
次に、本発明の第2実施例を図6を参照して説明する。図6は、本発明のライトアングルタイプのスプリングコネクタの第2実施例を示し、(a)は第2実施例で用いるチューブ等の外観斜視図であり、(b)は全体の外観斜視図である。図6において、図1ないし図3と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明を省略する。
【0025】
第2実施例にあっては、2本のチューブ30、30が平行に隣接して一体に配設され、これらの2つのチューブ30、30に対して、1つの接続部32と当接部34および係合部36が設けられて一体にメタルインジェクションモールド製造方法等で形成されている。そして、絶縁材からなるホルダー40は、かかる2つのチューブ30、30が一体に設けられた部品を挿入圧入できる有底孔が適宜に設けられている。チューブ30、30内には、第1実施例と同様に、それぞれにピン14、14とスプリング12、12が挿入されて組み込まれていることは勿論である。そして、図6(b)にあっては、ホルダー40に、2つのチューブ30、30が一体に設けられた部品と、1つのチューブ30からなる部品がそれぞれに挿入圧入されて構成されている。なお、2本のチューブ30、30は、実装面22から同じ高さで平行に設けられ、しかもピン14、14とスプリング12、12が挿入される内孔が、実装面22と平行となるように穿設され、チューブ30、30の外周面が内孔と同軸状に形成されている。そして、ホルダー38の有底孔38a、38aも、実装面22と平行に穿設されている。もって、ピン14、14は、実装面22と平行にチューブ30、30の前後方向に、突出および後退する動きが可能である。
【0026】
この2つのチューブ30、30が一体化された部品にあっては、1つの電気経路を形成するために、2つのピン14、14が1つの被接続対象物にそれぞれに当接して並列な回路が形成されるので、一方のピン14が塵埃等の付着などによる何らかの原因で電気的接触が得られなくても、他方のピン14が適正に電気的接触が得られれば、電気経路の導通が得られ、もって信頼性の高い電気経路を得ることができる。なお、この第2実施例において、2つの異なる被接続対象物にそれぞれのピン14、14を当接させて、2つの被接続対象物を電気的接続することもできる。
【0027】
さらに、第2実施例の第1変形例を、図7を参照して説明する。図7は、第2実施例の第1変形例で用いるチューブを示し、(a)はチューブの外観斜視図であり、(b)は前端部を見た正面図である。図7に示すごとく、第1変形例にあっては、2本のチューブ30、30は、ピン14、14とスプリング12、12が挿入される内孔が、実装面22からの高さがh1およびh2と相違するように穿設されている。2つのピン14、14を被接続対象物の高さの異なる位置に当接させることで、高さの異なる位置で2つの電気経路が形成され、より確実で信頼性の高い電気的導通が得られる。また、実装面22からの高さが異なる2つの被接続対象物にそれぞれのピン14、14を当接させて、2つの被接続対象物を電気的接続することもできる。
【0028】
また、第2実施例の第2変形例を、図8を参照して説明する。図8は、第2実施例の第2変形例で用いるチューブを示し、(a)は前端部を見た正面図であり、(b)は(a)のD−D矢視断面図である。図8に示すごとく、第2変形例にあっては、2本のチューブ30、30は、ピン14、14とスプリング12、12が挿入される内孔が、実装面22から同じ高さで、平行な面でチューブ30、30の前後方向に対して前端部が狭いハの字状に横方向に向きをずらして穿設されている。被接続対象物によりピン14、14の当接部が押圧されて後退する間に、被接続対象物に対するピン14、14の当接部の当接位置がずれ、クリーニング効果が得られるとともに、2つのピン14、14を被接続対象物に当接させることで2つの電気経路が形成され、確実な電気的接続が得られる。さらに、内孔を前端部が狭いハの字状としたので、面積の小さな被接続対象物に、2つのピン14、14の当接部を当接させることができる。
【0029】
さらに、第2実施例の第3変形例を、図9を参照して説明する。図9は、第2実施例の第3変形例で用いるチューブを示し、(a)は前端部を見た正面図であり、(b)は(a)のE−E矢視断面図である。図9に示すごとく、第3変形例にあっては、2本のチューブ30、30は、ピン14、14とスプリング12、12が挿入される内孔が、実装面22から同じ高さで、平行な面でチューブ30、30の前後方向に対して前端部が広い逆ハの字状に横方向に向きをずらして穿設されている。第2変形例と同様に、被接続対象物によりピン14、14の当接部が押圧されて後退する間に、被接続対象物に対するピン14、14の当接部の当接位置がずれ、クリーニング効果が得られるとともに、2つのピン14、14を被接続対象物に当接させることで2つの電気経路が形成され、確実な電気的接続が得られる。
【0030】
そしてまた、第2実施例の第4変形例を、図10を参照して説明する。図10は、第2実施例の第4変形例で用いるチューブを示し、(a)は前端部を見た正面図であり、(b)は(a)のF−F矢視断面図であり、(c)は(a)のG−G矢視断面図である。図10に示すごとく、第4変形例にあっては、2本のチューブ30、30は、ピン14、14とスプリング12、12が挿入される内孔が、側方から見て、前端部が広い逆ハの字状で実装面22に対して上下方向の傾きを設けて穿設されている。第2および第3変形例と同様に、被接続対象物によりピン14、14の当接部が押圧されて後退する間に、被接続対象物に対するピン14、14の当接部の当接位置がずれ、クリーニング効果が得られるとともに、2つのピン14、14を被接続対象物に当接させることで2つの電気経路が形成され、確実な電気的接続が得られる。
【0031】
そしてさらに、第2実施例の第5変形例を、図11を参照して説明する。図11は、第2実施例の第5変形例で用いるチューブを示し、(a)は前端部を見た正面図であり、(b)は(a)のH−H矢視断面図であり、(c)は(a)のI−I矢視断面図である。図11に示すごとく、第5変形例にあっては、2本のチューブ30、30は、ピン14、14とスプリング12、12が挿入される内孔が、側方から見て、前端部が狭いハの字状で実装面22に対して上下方向の傾きを設けて穿設されている。第2ないし第4変形例と同様に、被接続対象物によりピン14、14の当接部が押圧されて後退する間に、被接続対象物に対するピン14、14の当接部の当接位置がずれ、クリーニング効果が得られるとともに、2つのピン14、14を被接続対象物に当接させることで2つの電気経路が形成され、確実な電気的接続が得られる。なお、上記第2実施例の第2ないし第5変形例に限られず、チューブ30、30に対して、ピン14、14とスプリング12、12が挿入される内孔が、上下方向のいずれかに傾くとともに、チューブ30、30の前後方向に対していずれかの横方向に向きをずらして穿設されていても良い。また。チューブ30、30の内孔の上下方向の傾斜および横方向のずれが、2本で同じ方向であっても良い。
【0032】
なお、上記第1実施例および第2実施例のいずれにあっても、係合部36と係止部38cの形状は、これに限られるものでなく、挿入された状態でチューブ30がホルダー38、40から前方に抜け出すのが阻止されれば良い。また、第2実施例で、2つのチューブ30、30が一体化された部品を示しているが、電気経路の信頼性および通電容量などに応じて、3つ以上のチューブ30、30…を一体化した部品が用いられても良い。さらに、ホルダー38に設けられた有底孔38aの底部は、スプリング12が後方に飛び出さずに縮設されれば良く、スプリング12が飛び出ないような小さな透孔が設けられていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のライトアングルタイプのスプリングコネクタの第1実施例を示し、(a)は縦断面図であり、(b)は外観斜視図である。
【図2】図1におけるチューブと接続部および当接部が一体とされた部材を示し、(a)は側面図であり、(b)は正面図であり、(c)は(b)のA−A矢視縦断面図であり、(d)は外観斜視図である。
【図3】図1におけるホルダーを示し、(a)は正面図であり、(b)は(a)のB−B矢視縦断面図であり、(c)は外観斜視図であり、(d)は縦に切り欠いた斜視図である。
【図4】第1実施例の第1変形例で用いるチューブの縦断面図である。
【図5】第1実施例の第2変形例で用いるチューブを示し、(a)は前端部を見た正面図であり、(b)は(a)のC−C矢視断面図である。
【図6】本発明のライトアングルタイプのスプリングコネクタの第2実施例を示し、(a)は第2実施例で用いるチューブ等の外観斜視図であり、(b)は全体の外観斜視図である。
【図7】第2実施例の第1変形例で用いるチューブを示し、(a)はチューブの外観斜視図であり、(b)は前端部を見た正面図である。
【図8】第2実施例の第2変形例で用いるチューブを示し、(a)は前端部を見た正面図であり、(b)は(a)のD−D矢視断面図である。
【図9】第2実施例の第3変形例で用いるチューブを示し、(a)は前端部を見た正面図であり、(b)は(a)のE−E矢視断面図である。
【図10】第2実施例の第4変形例で用いるチューブを示し、(a)は前端部を見た正面図であり、(b)は(a)のF−F矢視断面図であり、(c)は(a)のG−G矢視断面図である。
【図11】第2実施例の第5変形例で用いるチューブを示し、(a)は前端部を見た正面図であり、(b)は(a)のH−H矢視断面図であり、(c)は(a)のI−I矢視断面図である。
【図12】ライトアングルタイプのスプリングコネクタの従来の構造の一例の縦断面図である。
【符号の説明】
【0034】
10、30 チューブ
10a フランジ状部
12 スプリング
14 ピン
16、38、40 ホルダー
16a 孔
18 接続部材
20 当接部材
22 実装面
30a 狭窄部
30b 開口
32 接続部
34 当接部
36 係合部
38a 有底孔
38b 空間部
38c 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電材からなるチュ−ブの前端部に、導電材からなるピンが先端部を突出させて前方に抜け出ないように狭窄部を設けるとともに、後端部を前記ピンを挿入し得るように開口し、前記チューブに配設される実装面に達する接続部と前記実装面に沿って後方に向けて伸びる当接部を一体に設け、前記当接部に係合部を設け、絶縁材からなるホルダーの前面に前記チューブをその後端側から挿入し得る有底孔を穿設し、前記開口より前記ピンとスプリングを順次に挿入した状態の前記チューブを前記有底孔に後端側から挿入して前記スプリングが縮設されて前記ピンを前方に弾性付勢するようにし、前記有底孔に前記チューブが挿入された状態で前記係合部が係合する係止部を前記ホルダーに設け、前記係合部と前記係止部の係合により前記チューブが前記有底孔から抜け出ないようにして構成したことを特徴とするライトアングルタイプのスプリングコネクタ。
【請求項2】
請求項1記載のライトアングルタイプのスプリングコネクタにおいて、前記チューブの前記ピンおよびスプリングが挿入される内孔を、前記実装面に対して上下方向の傾きを設けて穿設して構成したことを特徴とするライトアングルタイプのスプリングコネクタ。
【請求項3】
請求項1記載のライトアングルタイプのスプリングコネクタにおいて、前記チューブの前記ピンおよびスプリングが挿入される内孔を、前記実装面と平行な面で前記チューブの前後方向に対して横方向に向きをずらして穿設して構成したことを特徴とするライトアングルタイプのスプリングコネクタ。
【請求項4】
請求項1記載のライトアングルタイプのスプリングコネクタにおいて、複数の前記チューブを1つの前記接続体と一体に構成したことを特徴とするライトアングルタイプのスプリングコネクタ。
【請求項5】
請求項4記載のライトアングルタイプのスプリングコネクタにおいて、複数の前記チューブの前記ピンおよびスプリングが挿入される内孔を、前記実効面からの高さが相違するように穿設して構成したことを特徴とするライトアングルタイプのスプリングコネクタ。
【請求項6】
請求項4記載のライトアングルタイプのスプリングコネクタにおいて、2つの前記チューブの前記ピンおよびスプリングが挿入される内孔を、前記チューブの前後方向に対して前端部が狭いハの字状または逆ハの字状に前記実装面に対して上下方向の傾きを設けて穿設して構成したことを特徴とするライトアングルタイプのスプリングコネクタ。
【請求項7】
請求項4記載のライトアングルタイプのスプリングコネクタにおいて、2つの前記チューブの前記ピンおよびスプリングが挿入される内孔を、前記実装面と平行な面で前記チューブの前後方向に対して前端部が狭いハの字状または逆ハの字状に横方向に向きをずらして穿設して構成したことを特徴とするライトアングルタイプのスプリングコネクタ。
【請求項8】
請求項1ないし7記載のいずれかのライトアングルタイプのスプリングコネクタにおいて、前記当接部を前記実装面に設けた端子に電気的接続するように構成したことを特徴とするライトアングルタイプのスプリングコネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2009−26585(P2009−26585A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188067(P2007−188067)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(000006758)株式会社ヨコオ (158)