説明

ライナー及びその製造方法

【課 題】特定の紙用表面塗工剤を塗工することにより、圧縮強度や破裂強度、剛度等の強度を効率良く向上させ、かつ操業上の問題の発生が無い、ライナーの製造方法を提供すること。
【解決手段】カチオン性基及び/又はアニオン性基を有する重量平均分子量5万以上かつ100万未満の分岐型共重合ポリアクリルアミドを含有する紙用塗工剤を、少なくとも3層以上の湿潤紙層を抄き合わせて製造されるライナーの外面の両方又は片方に塗工し、圧縮強度や破裂強度、剛度等の強度を効率良く高めたライナーを得る。
【選択図面】 なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボール用のライナー及びその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、特定の曳糸性を有するポリアクリルアミドを含有する紙表面塗工剤を塗工することにより、圧縮強度や破裂強度等の強度を向上させたライナー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、段ボールは、軽量で安価なため、部品の包装、運搬に使用される産業上の基礎資材であり、段ボール箱等に成形され、野菜、果物等の生鮮食品や菓子、缶詰等の加工食品、家電や機械、書籍等の幅広い業界で梱包材に多用されている。これら商品の保管・運搬・荷役・販売等の物流に供される際には、製品が入った段ボール箱を積み重ねることが多いため、その積み上げ荷重に耐え得る強度が段ボール箱には要求される。強度が不足すると段ボール箱同士や段ボール箱と内部の製品、段ボール箱と外部との接触により座屈・変形・破損が生じる恐れがあるため、段ボール箱の圧縮強度や破裂強度は最も重要視される品質である。
【0003】
一般に段ボールは、波形に成形した中芯の片面又は両面にライナーをコルゲーターで貼り合わせて製造される。ライナーは160〜340g/m2の高坪量であるため、円網抄紙機や長網多層抄紙機等を用いて、通常、3層以上の湿潤紙層を抄き合わせて製造されている。
【0004】
段ボール箱の圧縮強度や破裂強度等の強度を向上させるには、段ボール箱に使用する段ボールのこれらの強度を高める必要がある。段ボールの強度を高めるには、中芯の強度を高める方法と、ライナーの強度を高める方法がある。その手段としては、高強度の原料パルプや薬剤(例えば、紙力向上剤等)の使用等が挙げられる。強度を付与できる薬剤を使用する場合、該薬剤の添加方法として、抄紙時に内添する方法と、外添(塗工や噴霧)する方法があり、それぞれ従来から種々検討されている。
【0005】
例えば、段ボールを構成する中芯やライナーの坪量を高め、強度を高める方法が開示されている(特許文献1参照)。しかし、該手法では、単位面積当たりの段ボールに使用するライナーの重量が増加するため、段ボールの重量増加やコストアップにつながり、軽量で安価という段ボールの特性が失われるという問題がある。
【0006】
高強度の原料パルプの使用に関しては、例えば、良好な濾水度を保持しながら、得られる紙の圧縮強度を最適にすることを課題として、パルプ繊維に含有される、繊維長が0.2mm未満の微細繊維の含有割合を所定の範囲内に調整した後のパルプ繊維を用いて抄紙する方法が開示されている(特許文献2参照)。
しかし、該従来技術の手法では微細繊維の混合処理や、調整前のパルプ繊維から微細繊維を分級除去する処理が必要であり、原料調成工程が複雑となるし、装置も必要となり、実用化は難しい。
【0007】
従来、内添法により強度を付与できる薬剤としては、天然ガム、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミン、ポリアミドアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリアミドアミン−エピクロロヒドリン樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、ジシアンジアミド−ホルムアルデヒド樹脂又はカチオン化澱粉等が公知である。
さらに、これらの薬剤を併用する方法もある。例えば、良好な加工適性を備え、圧縮強度、破裂強度等の諸強度にも優れた強化段ボールライナーの提供を目的として、原料パルプスラリーに両性グラフト澱粉重合体と両性アクリルアミド系重合体を添加して抄紙する方法が開示されている(特許文献3参照)。
【0008】
しかし、このようなポリマーの内添により十分な強度向上効果を得るためには、ポリマーを高添加しなければならず、ライナーの地合の悪化を引き起こし易く、かえって強度が低下することもある。
また、添加したポリマーがパルプに吸着される率は低く、パルプに吸着しなかったポリマーは排水として排出されるため、不経済であるし、排水水質の悪化の問題もある。
さらに、添加されたポリマーが粘着性の場合には、ポリマーを添加した抄紙原料の濾水性が悪化し、抄紙機ワイヤー部での脱水不良を引き起こし、抄紙速度が著しく低下する問題もある。
【0009】
外添法により強度を付与できる薬剤としては、酸化澱粉、熱化学変性低粘度化澱粉、アセチル化澱粉等の澱粉類、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、溶融パラフィン、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂又はカルボキシメチルセルロース等が公知である。また、リグニンスルホン酸カルシウム、リグニンスルホン酸マグネシウム又はリグニンスルホン酸ナトリウム等のリグニンスルホン酸塩も開示されている(特許文献4参照)。
【0010】
しかし、必要な強度を得るために外添する薬剤の塗工量を増やすと、ライナー抄紙機の乾燥負荷増大により、抄紙機の速度が下がるため、生産性が低下する問題や、薬剤を塗工した面の粘着性が高まり、ライナー同士の張付き現象が発生するという問題もある。そのため、塗工量を増やすことには限界があり、十分な強度を得ることができない。
【0011】
さらに、内添法と外添法を併用する方法もある。例えば、湿潤紙層の抄き合わせを要する板紙等の製造工程において、アニオン性紙力増強剤及びカチオン性紙力増強剤を含有する抄き合わせ前の湿潤紙層の表面に、アニオン性高分子物質を塗工した後、抄き合わせ抄造を行う方法が開示されている(特許文献5参照)。
しかし、これらの方法も前述の内添法や外添法の問題を抱えており、さらに添加する薬剤が複雑で実用的ではないという問題もある。
【0012】
ポリアクリルアミドは、前述のように内添法においても外添法においても公知の薬剤であるが、それぞれ次のような問題を抱えている。
【0013】
一般に、分子量が大きい紙力増強剤ほど、パルプ繊維同士を結合する作用が大きい。内添紙力増強剤は、その粘度が操業上の問題となることは少ないため、内添紙力増強剤は高分子量に分子設計されている。
内添法で使用されるポリアクリルアミドは、同様に高分子量であり、例えば、アクリルアミドモノマー、3級アミン及び/又は4級アンモニウム基に代表されるカチオン性モノマー、カルボキシル基に代表されるアニオン性モノマー、架橋性モノマー等を共重合して製造されており、現在、重量平均分子量が250万〜400万程度の高分子量の分岐型共重合ポリアクリルアミドが主流となっている。
【0014】
このような内添用の高分子量の分岐型共重合ポリアクリルアミドを、各種塗工装置やスプレー装置を用いて、中芯やライナーの湿紙又は乾紙の表面に塗工、噴霧した場合、湿紙又は乾紙の紙層内部へのポリアクリルアミドの浸透が抑えられる結果、パルプ繊維同士を結合する効果が大きくなり、中芯やライナーの強度を向上させることは可能である。
しかし、このような内添用の高分子量の分岐型共重合ポリアクリルアミドは、高粘度であり、しかも高曳糸性であるという特性を有している。このため、各種塗工装置においては、ポリアクリルアミドを塗工する際に、塗工液のボイリングが発生したり、塗工装置でミストが発生し、機器が汚れ、この汚れが原因で紙に欠陥を生じたり、均一に塗工できない等の操業上、品質上の大きな問題があった。
また、スプレー装置においては、良好な液滴ができない等の問題があった。このような問題から、内添用の高分子量の分岐型共重合ポリアクリルアミドをライナーの表面に塗工や噴霧することは実用化されていなかった。
【0015】
一方、外添法で使用されるポリアクリルアミドの場合、操業の面から、その粘度が制限されるため、その分子量は比較的小さく分子設計されている。この外添用のポリアクリルアミドは、例えば、アクリルアミドモノマーを重合して得られるポリアクリルアミドのアミド基を部分加水分解したり、あるいはアクリルアミドモノマーと(メタ)アクリル酸モノマーを重合する等の方法で製造され、重量平均分子量が数十万程度の比較的低分子量の直鎖状ポリマーである。
【0016】
このような外添用のポリアクリルアミドを、各種塗工装置やスプレー装置を用いて、中芯やライナーの湿紙又は乾紙の表面に塗工、噴霧した場合、該ポリアクリルアミドが低分子量のため紙層内部へ浸透してしまう結果、パルプ繊維同士を結合する効果が小さく、中芯やライナーの強度を十分には高めることができないという問題があった。これに対してポリアクリルアミドの分子量を高くすると、強度は若干向上するものの、ポリアクリルアミドが極めて高粘度となるため、塗工や噴霧が困難となる問題がある。
【0017】
【特許文献1】特開平9-156002号公報
【特許文献2】特開2004-156160号公報
【特許文献3】特開平8-209588号公報
【特許文献4】特開2003-301400号公報
【特許文献5】特許第2123314号公報
【0018】
以上のように、段ボールのライナーの圧縮強度や破裂強度等の強度を効率良く高めることができる外添薬剤であり、且つ、ライナー製造工程における操業上の問題の発生が無い薬剤の開発が望まれていた。また、このようなライナー及びその製造方法の開発が望まれていた。

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明が解決しようとする課題は、特定の曳糸性を有する分岐型共重合ポリアクリルアミノを含有する紙用表面塗工剤を塗工することにより、圧縮強度や破裂強度、剛度等の強度を効率良く向上させたライナーの提供と、操業上の問題の発生が無い、該ライナーの製造方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明では、カチオン性基及び/又はアニオン性基を有する重量平均分子量5万以上かつ100万未満の分岐型共重合ポリアクリルアミドを含有する紙用塗工剤を、少なくとも3層以上の湿潤紙層を抄き合わせて製造されるライナーの表面の両方又は片方の少なくとも一面に塗工し、圧縮強度や破裂強度、剛度等の強度を効率良く高めたライナーを得ることができる。
また、本発明における該紙用塗工剤を塗布するライナーの製造方法は、操業性の問題が無い。
【発明の効果】
【0021】
カチオン性基及び/又はアニオン性基を有する共重合分岐型ポリアクリルアミドの重量平均分子量が200万を超えると、該ポリアクリルアミド水溶液の粘度が極めて大きくなり、さらには高い曳糸性を示すためライナーの表面塗工には適さない。
一方、共重合分岐型ポリアクリルアミドの重量平均分子量を100万以上200万以下にすると、粘度及び曳糸性が改善され、比較的低速の板紙抄紙機では塗工可能となる。しかし、近年の板紙抄紙機の400m/分を超える高速化に対応するには共重合分岐型ポリアクリルアミドの更なる低分子化による低粘度化や低曳糸性化が必要とされる。
そこで、該共重合分岐型ポリアクリルアミドの重量平均分子量を5万以上100万未満とすることで操業性に優れた紙用表面塗工剤となる。
【0022】
該共重合分岐型ポリアクリルアミドをライナーに塗工した場合、該ポリアクリルアミドのライナー紙層内部への浸透が抑制され、またパルプ繊維同士を強く接着するため、ライナーの圧縮強度や破裂強度、剛度等の強度が顕著に向上する。あるいは、ライナーの強度を一定とした場合には、従来、強度を高めるために配合している針葉樹パルプ等の比較的高価なパルプの配合率を下げることができ、安価な段ボールを提供できるという効果も有している。
【0023】
該共重合分岐型共重合ポリアクリルアミドを外添することにより、塗工装置でのボイリングや糸曳きが無くなり、ライナーの製造工程が安定する。しかも、製造するライナーの強度を一定とした場合には、分岐型共重合ポリアクリルアミドの使用により、強度を高めるために内添している紙力増強剤の添加量を減らすことができ、紙力増強剤の内添に起因する抄紙系内の汚れや抄紙機ワイヤー部における濾水性低下等の問題を改善できるという効果も有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明者等は段ボールの圧縮強度、破裂強度、剛度等の強度を高めることを目的とし、段ボールを構成する中芯とライナーの強度向上を検討した。
その結果、段ボールの内部の層である中芯よりも外部の層であるライナーの強度を向上させることが、段ボールの圧縮強度や破裂強度、剛度等の強度向上に効果的であることを見出した。
さらに、湿潤紙層を抄き合わせて製造されているライナーの強度を効果的に高めるには、抄き合わせて製造したライナーの表面の少なくとも一面に表面塗工剤を塗工することが良いことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0025】
本発明で使用するポリアクリルアミドは、カチオン性基及び/又はアニオン性基を有する分岐型共重合体であり、重量平均分子量が5万以上かつ100万未満の範囲であり、好ましくは10万以上かつ50万未満、さらに好ましくは10万以上かつ45万以下のものである。
【0026】
本発明で使用する共重合分岐型ポリアクリルアミドは、従来公知の方法で製造される。具体的には、アクリルアミドモノマー類(a)と、カチオン性モノマー(b)及び/又はアニオン性モノマー(c)、さらに架橋性モノマー(d)、等を共重合して製造される。
【0027】
前記(a)成分であるアクリルアミドモノマー類としては、アクリルアミド、メタアクリルアミドが最も好ましい。他にN−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等の水溶性であるN置換低級アルキルアクリルアミド等が挙げられ、これらを1種又は2種以上併用することができる。
【0028】
前記(b)成分であるカチオン性モノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アリルアミン、ジアリルアミン等の3級アミン系モノマー又はそれらの塩酸、硫酸、酢酸等の無機酸もしくは有機酸の塩類、又は3級アミン系モノマーを塩化メチル、塩化ベンジル、ジメチル硫酸、エピクロルヒドリン等との反応で4級化した4級アンモニウム塩系のモノマー等を挙げることができる。これらのカチオン性モノマーを単独又は2種以上併用して使用できる。
【0029】
前記(c)成分であるアニオン性モノマーとしては、カルボキシル基を含有するモノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等のα,β−不飽和モノカルボン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ムコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸、アコニット酸等のα,β−不飽和トリカルボン酸、及びそれらのナトリウム、カリウム、アンモニウム塩等が挙げられる。これらアニオン性モノマーを単独又は2種以上併用して用いることができる。
【0030】
また、本発明で使用するポリアクリルアミドの製造反応時に、アクリルアミドモノマーの他に、前記カチオン性モノマーとアニオン性モノマーとを併用しても良いし、カチオン性モノマー又はアニオン性モノマーのみを使用しても良い。
【0031】
加えて、ノニオン性モノマーとして前記アニオン性モノマーのアルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜8)やアクリロニトリル、スチレン鎖、酢酸ビニル、メチルビニルエーテル等を単独又は2種以上併用して用いることができる。
【0032】
前記(d)成分である架橋性モノマーは、例えば、1官能性のビニルモノマーとしては、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のN置換アクリルアミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類やメチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ビニル等のジビニルエステル類、アリルメタクリレート、ジアリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウム、ジアリルフタレート等の2官能性ビニルモノマー、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、トリアリルアミン、N,N−ジアリルアクリルミド等の3官能性ビニルモノマー、テトラメチロールメタンテトラアクリレート又はテトラアリルピロメリテート等の4官能性モノマー等が挙げられる。これら架橋性モノマーを単独又は2種以上併用して用いることができる。
【0033】
本発明の分岐型共重合ポリアクリルアミドを製造するには、撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に前記の各種モノマーと水を仕込み、重合開始剤として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、ハイドロパーオキサイド等の過酸化物、又は、それらの過酸化物と重亜硫酸塩等の還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤、又は、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩等の水溶性アゾ系開始剤等を加え、必要に応じてイソプロピルアルコール、アリルアルコール、(メタ)アリルスルホン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、メリカプトエタノール、チオグリコール酸等の重合調節剤又は連鎖移動剤を、適宜、使用し、重合反応を行う。
【0034】
本発明の前記分岐型共重合ポリアクリルアミドは、上述するようにアクリルアミドモノマー類と、カチオン性モノマー及び/又はアニオン性モノマー、さらに架橋性モノマー類等を公知の方法で共重合させて製造されるが、その重量平均分子量は5万以上かつ100万未満の範囲であり、好ましくは10万以上かつ50万未満、さらに好ましくは10万以上かつ45万以下である。
また、本発明の分岐型共重合ポリアクリルアミドでは、曳糸性がないように共重合反応の条件を設定して製造される。
さらに、本発明の分岐型共重合ポリアクリルアミドでは曳糸性がないように、配合成分の配合率と重合温度や時間等を調整して分岐の度合いと分子量を加減することが重要である。特にポリアクリルアミドの分岐度合いを調整することが重要であり、このために反応時の架橋性モノマーの配合率を下げ、架橋の度合いを下げることにより、枝分かれが少ない低分岐度合いの分子構造になるため、曳糸性が少なくなる。
【0035】
本発明で使用するカチオン性基及び/又はアニオン性基を有する分岐型共重合ポリアクリルアミドの、カチオン量は前記の成分(b)の配合率を、アニオン量は前記の成分(c)の配合率を変更することにより所望のイオン性の分岐型共重合ポリアクリルアミドを製造できる。
【0036】
段ボール用のライナーは高坪量であるため、円網抄紙機や長網多層抄紙機等を用いて、通常3層以上を抄き合わせて製造されている。本発明は、少なくとも3層以上を抄き合わせて製造されるライナー及びその製造方法に適用される。
【0037】
本発明者等は、前記分岐型共重合ポリアクリルアミドをライナーのどの面に塗布すれば良いか検討した結果、3層以上の湿潤紙層が抄き合わせられ、乾燥されて、ライナーとなった状態の表面の両方又は片方に、塗布することが、圧縮強度や破裂強度、剛度等の強度を高める効果が最も優れていることを見出した。
【0038】
前記分岐型共重合ポリアクリルアミドのライナーへの塗工量は、固形分重量で、ライナーの表面の両方又は片方の合計で、合計で0.01〜5.0g/m2が好ましく、0.1〜3.0g/m2がさらに好ましい。
塗工量が0.01g/m2未満の場合、圧縮強度や破裂強度、剛度等の強度向上効果が得られにくい。一方、塗工量が5.0g/m2を超える場合、強度向上の面では全く問題は無いが、強度の向上が頭打ちになるので不経済である。
【0039】
また、本発明で使用する分岐型共重合ポリアクリルアミドをライナーへ塗工する際、ライナーの強度や塗工液の曳糸性が悪化しない範囲で、他の表面塗工剤を併用しても良い。他の表面塗工剤としては、澱粉、酸化変性澱粉、酵素変性澱粉、各種化工澱粉、ポリビニルアルコールや各種表面サイズ剤等が挙げられる。
【0040】
本発明の塗工液をライナーの表面に塗工する装置は、特に限定はなく、2ロールサイズプレス、メタリングサイズプレス、ゲートロールコーター又はスプレー等の装置を用いることができる。しかし、紙表面に塗工剤が留まるほど紙の強度が高くなることから、メタリングサイズプレス、ゲートロールコーター又はスプレーが好ましい。
【0041】
本発明では、ライナーに分岐型共重合ポリアクリルアミドを塗工後、再び乾燥することによって目的とするライナーが製造される。
【0042】
ライナーの原料パルプは、通常使用されているパルプであれば良く、特に限定は無く、脱墨パルプ(DIP)、砕木パルプ(GP)、リファイナーグラウンドパルプ(RGP)、ケミカルパルプ(CP)、ケミグラウンドパルプ(CGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)又はセミケミカルパルプ(SCP)等の各種製造方法のパルプ、また、これらの針葉樹、広葉樹パルプ、あるいは晒、未晒パルプ等を適宜配合したパルプである。
【0043】
本発明で使用する前記分岐型ポリアクリルアミドは、圧縮強度や破裂強度、剛度等の強度を高める効果が大きいため、製造されるライナーの強度は高くなる。あるいは、ライナーの強度を一定とした場合には、従来、強度を高めるために配合している針葉樹パルプ等の比較的高価なパルプの配合率を下げることができ、安価な段ボールを提供できるという効果も有している。
【0044】
ライナーを抄造する際に、必要であればロジンサイズ剤、強化ロジンサイズ剤、合成サイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)系サイズ剤又は中性ロジンサイズ剤等の公知の内添サイズ剤を使用できる。
また、必要であれば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クレー、焼成カオリン、デラミカオリン、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ等の無機填料、尿素−ホリマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂もしくは微小中空粒子等の有機填料を単独で又は適宜2種類以上を組み合わせて使用できる。
【0045】
ライナーの抄造に際して、従来から使用されている各種のノニオン性、カチオン性の歩留まり剤、濾水度向上剤、紙力向上剤等の製紙用内添助剤が必要に応じて適宜選択して使用される。
また、例えば、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダや、塩基性塩化アルミニウム、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等の塩基性アルミニウム化合物、水に易分解性のアルミナゾル等の水溶性アルミニウム化合物、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄等の多価金属化合物又はシリカゾル等が内添されてもよい。その他製紙用助剤として各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド、ポリアミン樹脂、ポリアミン、ポリエチレンイミン、植物ガム、ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキサイド又は親水性架橋ポリマー粒子分散物及びこれらの誘導体あるいは変成物等の各種化合物を使用できる。
さらに、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤又はスライムコントロール剤等の抄紙用内添剤を用途に応じて適宜添加することもできる。
【0046】
製造するライナーの強度を一定とした場合には、分岐型共重合ポリアクリルアミドの使用により、強度を高めるために内添する紙力増強剤の添加量を減らすことができ、紙力増強剤の内添に起因する抄紙系内の汚れや抄紙機ワイヤー部における濾水性低下等の問題を改善できるという効果も有している。
【0047】
ライナーを抄造する抄紙機の型式は特に限定は無く、円網抄紙機や長網多層抄紙機、ツインワイヤー抄紙機又はヤンキー抄紙機等で適宜抄紙できる。特に、本発明で使用する、カチオン性基及び/又はアニオン性基を有し、重量平均分子量が5万以上かつ100万未満である、分岐型共重合ポリアクリルアミドは、高速塗工適性に優れているので、400m/分を超える高速抄紙機で好適に使用される。プレス線圧は通常の操業範囲内で用いられる。カレンダーはバイパスしても良いし、通常の操業範囲内で処理しても良い。
【0048】
以上のように、段ボール原紙の圧縮強度や破裂強度、剛度等の強度を高めるには、ライナーの表面に分岐型共重合ポリアクリルアミドを塗工することが最も効果的であるが、このようにして得られるライナーと、中芯原紙の表面に該分岐型共重合ポリアクリルアミドを塗工して得られる中芯とを、貼り合わせることにより、段ボール原紙の強度をさらに高めることができる。
【0049】
本発明で得られるライナーの用途には限定は無く、外装用ライナー、内装用ライナー、個装用ライナー等に用いられる。また、その品質、坪量にも限定は無く、AA級160〜340g/m2、A級160〜340g/m2、B級160〜340g/m2、C級170〜210g/m2に用いられる。
さらに、このライナーを用いて製造される段ボールに限定は無く、外装用段ボール、内装用段ボール、個装用段ボール、強化段ボール、防水段ボール等の用途が挙げられ、また、片面段ボール、両面段ボール1種〜4種、複両面段ボール1種〜4種、複々両面段ボール、撥水段ボール1、2号、遮水段ボール1、2号、耐水段ボール1〜4号等の種類が挙げられる。
【実施例】
【0050】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、例中の%は全て固形分重量%を示す。
【0051】
以下の実施例及び比較例における物性、ライナーの比圧縮強度、比破裂強度、純曲げこわさを以下の方法で測定、算出した。測定値、算出値を表1に示した。
・重量平均分子量とB型粘度及び曳糸性を測定するための測定液の調整は以下のように行った。
・ポリアクリルアミドの重量平均分子量:カラムTSK-GEL P6000PWとP3000PW(東ソー株式会社製)を用い、溶媒を0.3M塩化ナトリウム水溶液とし、GPCで測定した。
・B型粘度:ポリアクリルアミド10%水溶液について、25℃、60rpmで測定した。
・曳糸性:ポリアクリルアミド10%水溶液を岩田式粘度カップに入れ、下穴から伸びる糸の長さを測定した。その長さが10cm未満の場合を曳糸性なしと判断した。
・塗工適性:塗工液の高粘度によるボイリングや、曳糸性によるロール間の糸引き現象を目視観察し、良好、不良の2水準の評価を行った。
・比圧縮強度:JIS P8126板紙の圧縮強さ試験方法(リングクラッシュ)に従い圧縮強度を測定し、この測定値から比圧縮強度を算出した。
・比破裂強度:JIS P8131紙及び板紙のミューレン高圧形試験機による破裂強さ試験方法に従い破裂強度を測定し、この測定値から比破裂強度を算出した。
・初期純曲げこわさ:純曲げこわさ測定装置(スガ試験機株式会社製)を用いて、紙のCD方向について、初期純曲げこわさを測定した。純曲げこわさはJISに定められた剛度測定法ではないが、実際に手で紙を曲げたときの感触に近い測定値を示す。
なお、測定は曲げた時の外側が、おもて面の場合(表1中では、「おもて面→裏面」と表示)と裏面の場合(表1中では、「裏面→おもて面」と表示)について測定した。
【0052】
[供試ポリアクリルアミド]
(1)分岐型両性ポリアクリルアミド PAM−01(星光PMC化株式会社製)
カチオン量0.71meq/g、アニオン量1.75meq/g、重量平均分子量40万
(2)分岐型両性ポリアクリルアミド PAM−02(星光PMC化株式会社製)
カチオン量0.52meq/g、アニオン量1.49meq/g、重量平均分子量30万
(3)分岐型カチオン性ポリアクリルアミド PAM−03(星光PMC化株式会社製)
カチオン量0.75meq/g、重量平均分子量20万(星光PMC化株式会社製)
(4)分岐型アニオン性ポリアクリルアミド PAM−04(星光PMC化株式会社製)
アニオン量1.95meq/g、重量平均分子量30万(星光PMC化株式会社製)
(5)分岐型両性ポリアクリルアミド PAM−05
カチオン量0.41meq/g、アニオン量1.12meq/g、重量平均分子量3万(星光PMC化株式会社製)
(6)直鎖型アニオン性ポリアクリルアミド ST−481H(星光PMC株式会社製)
アニオン量1.66meq/g、重量平均分子量30万
(7)分岐型両性ポリアクリルアミド ポリストロン851(荒川化学株式会社製)
カチオン量1.50meq/g、アニオン量2.14meq/g、重量平均分子量300万
[供試ライナー]
3層抄き合わせの坪量180g/m2のクラフトライナー(日本大昭和板紙吉永株式会社製)を使用した。
【0053】
[実施例1]
ライナーのおもて面のみに、ポリアクリルアミドPAM−01の4.0重量%の塗工液を、ゲートロールにて塗工速度600m/分で塗工した後、乾燥してライナーを製造した。
塗工量は、固形分重量で0.48g/m2であった。
【0054】
[実施例2]
ポリアクリルアミドPAM−01の塗工液濃度を7重量%とした以外は実施例1と同様に行った。
塗工量は、固形分重量で0.74g/m2であった。
【0055】
[実施例3]
ライナーのおもて面のみに、ポリアクリルアミドPAM−02の4.0重量%の塗工液を、ゲートロールにて塗工速度600m/分で塗工後、乾燥してライナーを製造した。
塗工量は、固形分重量で0.52g/m2であった。
【0056】
[実施例4]
ポリアクリルアミドPAM−02の塗工液濃度を7重量%とした以外は実施例3と同様に行った。
塗工量は、固形分重量で0.79g/m2であった。
【0057】
[実施例5]
ライナーのおもて面のみに、ポリアクリルアミドPAM−03の4.0重量%の塗工液を、ゲートロールにて塗工速度600m/分で塗工後、乾燥してライナーを製造した。
塗工量は、固形分重量で0.54g/m2であった。
【0058】
[実施例6]
ポリアクリルアミドPAM−03の塗工液濃度を7重量%とした以外は実施例5と同様に行った。
塗工量は、固形分重量で0.81g/m2であった。
【0059】
[実施例7]
ライナーのおもて面のみに、ポリアクリルアミドPAM−04の4.0重量%の塗工液を、ゲートロールにて塗工速度600m/分で塗工後、乾燥してライナーを製造した。
塗工量は、固形分重量で0.50g/m2であった。
【0060】
[実施例8]
ポリアクリルアミドPAM−04の塗工液濃度を7重量%とした以外は実施例7と同様に行った。
塗工量は、固形分重量で0.75g/m2であった。
【0061】
[実施例9]
ライナーの両面に、ポリアクリルアミドPAM−01の2.0重量%の塗工液を、ゲートロールにて塗工速度600m/分で塗工後、乾燥してライナーを製造した。
両面合計の塗工量は、固形分重量で0.48g/m2であった。
【0062】
[実施例10]
ポリアクリルアミドPAM−01の塗工液濃度を3.5重量%とした以外は実施例9と同様に行った。
両面合計の塗工量は、固形分重量で0.74g/m2であった。
【0063】
[比較例1]
ライナーのおもて面のみにポリアクリルアミドPAM−05の4.0重量%の塗工液を、ゲートロールにて塗工速度600m/分で塗工後、乾燥してライナーを製造した。
塗工量は、固形分重量で0.50g/m2であった。
【0064】
[比較例2]
ポリアクリルアミドPAM−05の塗工液濃度を7重量%とした以外は比較例1と同様に行った。
塗工量は、固形分重量で0.75g/m2であった。
【0065】
[比較例3]
ライナーのおもて面のみにポリアクリルアミドST−481Hの4.0重量%の塗工液を、ゲートロールにて塗工速度600m/分で塗工後、乾燥してライナーを製造した。
なお、ST−481Hは、従来から紙表面塗工剤として使用されているポリアクリルアミドの代表的なものである。
塗工量は、固形分重量で0.51g/m2であった。
【0066】
[比較例4]
ポリアクリルアミドST−481Hの塗工液濃度を7重量%とした以外は比較例3と同様に行った。
塗工量は、固形分重量で0.80g/m2であった。
【0067】
[比較例5]
ライナーのおもて面のみにポリアクリルアミド、ポリストロン851の4.0重量%の塗工液を、ゲートロールにて塗工速度600m/分で塗工後、乾燥してライナーを製造した。
なお、ポリストロン851は、従来から内添紙力向上剤として使用されているポリアクリルアミドの代表的なものである。
塗工量は、固形分重量で0.64g/m2であった。
【0068】
[比較例6]
ポリアクリルアミド、ポリストロン851の塗工液濃度を7重量%とした以外は比較例5と同様に行った。
塗工量は、固形分重量で0.98g/m2であった。
【0069】
[比較例7]
ライナーのおもて面のみに酸化デンプン(商品名:SK−20、日本コーンスターチ株式会社製)の7重量%の塗工液を、ゲートロールにて塗工速度600m/分で塗工後、乾燥してライナーを製造した。
塗工量は、固形分重量で0.59g/m2であった。
【0070】
[比較例8]
酸化デンプン(商品名:SK−20、日本コーンスターチ株式会社製)の塗工液濃度を10重量%とした以外は比較例7と同様に行った。
塗工量は、固形分重量で0.91g/m2であった。
【0071】
【表1】

【0072】
表1に示した実施例1と2、実施例3と4、実施例5と6、実施例7と8、実施例9と10、比較例1と2、比較例3と4、比較例5と6、比較例7と8の結果から、同一塗工量で実施例と比較例を比較すると、本発明が優れていることが明らかである。すなわち、カチオン性基及び/又はアニオン性基を有する、重量平均分子量5万以上かつ100万未満の分岐型共重合ポリアクリルアミドであるPAM−01〜PAM−04をライナーの片面又は両面に塗工したライナーは、従来、表面塗工に用いられている直鎖型ポリアクリルアミドであるST−481Hを塗工したライナーよりも比圧縮強度、比破裂強度、純曲げこわさが向上した。
また、従来、内添紙力向上剤として使用されている重量平均分子量が200万より大きい分岐型共重合ポリアクリルアミドであるポリストロン851を塗工したライナーより塗工適性が良好だった。
さらに、酸化デンプンSK−20を塗工したライナーよりも比圧縮強度、比破裂強度、純曲げこわさが向上した。しかし、分岐型共重合ポリアクリルアミドの重量平均分子量を3万に小さくしたポリアクリルアミドPAM−05を塗工したライナーは、直鎖型ポリアクリルアミドST−481H、又は重量平均分子量が200万より大きい分岐型共重合ポリアクリルアミドであるポリストロン851、又は酸化デンプンSK−20を塗工したライナーと同等の強度しか得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも3層以上の湿潤紙層を抄き合わせて製造され、かつ塗工層を有するライナーであって、該ライナーの表面の少なくとも一面に、カチオン性基及び/又はアニオン性基を有し、重量平均分子量が5万以上で100万未満である、分岐型共重合ポリアクリルアミドを含有する紙用塗工剤が塗工されていることを特徴とするライナー。
【請求項2】
カチオン性基及び/又はアニオン性基を有する分岐型共重合ポリアクリルアミドの塗工量合計が、固形分重量で0.01〜5.0g/m2であることを特徴とする請求項1記載のライナー。
【請求項3】
カチオン性基及び/又はアニオン性基を有する分岐型共重合ポリアクリルアミドの糸の長さ(曳糸性)が、該カチオン性基及び/又はアニオン性基を有する分岐型共重合ポリアクリルアミド10%水溶液を岩田式粘度カップに入れ、下穴から伸びる糸の長さ(曳糸性)が10cm未満のものであることを特徴とする請求項1又は2記載のライナー。
【請求項4】
少なくとも3層以上の湿潤紙層を抄き合わせるライナーの製造方法であって、抄き合わせ、乾燥して製造したライナーの表面の少なくとも一面に、カチオン性基及び/又はアニオン性基を有し、重量平均分子量が5万以上で100万未満である、分岐型共重合ポリアクリルアミドを含有する紙用塗工剤を塗工し、さらに乾燥することを特徴とするライナーの製造方法。
【請求項5】
カチオン性基及び/又はアニオン性基を有する分岐型共重合ポリアクリルアミドの塗工量合計が、固形分重量で0.01〜5.0g/m2であることを特徴とする請求項4記載のライナーの製造方法。
【請求項6】
カチオン性基及び/又はアニオン性基を有する分岐型共重合ポリアクリルアミドは、該カチオン性基及び/又はアニオン性基を有する分岐型共重合ポリアクリルアミド10%水溶液を岩田式粘度カップに入れ、下穴から伸びる糸の長さ(曳糸性)が10cm未満のものを用いることを特徴とする請求項4又は5に記載のライナーの製造方法。

【公開番号】特開2007−46179(P2007−46179A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−229676(P2005−229676)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【出願人】(000183484)日本製紙株式会社 (981)
【出願人】(000231257)日本大昭和板紙株式会社 (18)
【Fターム(参考)】