説明

ライナ及びその使用

本発明は、管中に挿入可能なライナ(19)に関し、ライナ(19)は、‐ストリップ(3)を有し、ストリップは、内側ストリップ部分(7)と外側ストリップ部分(9)が互いにオーバーラップするよう曲げ半径(R)を有する周囲(U)に沿って曲げ軸線(Z)回りに曲げられ、‐ストリップは、内側ストリップ部分(7)が拡張方向(W)に沿って外側ストリップ部分に対して変位可能であるよう拡張可能であり、‐少なくとも1つのロック装置(5)を有し、ロック装置は、拡張方向(W)とは逆方向に外側ストリップ部分に対して変位している内側ストリップ部分を停止させ、ストリップ(3)には、内側ストリップ部分(7)と外側ストリップ部分(9)との間で曲げ軸線(Z)に平行に座屈領域(15)が形成され、ストリップ(3)は、外側ストリップ部分(9)の周囲に沿って最大曲げ半径(R)を有し、最大曲げ半径(R)は、内側ストリップ部分(7)の周囲に沿う最大曲げ半径(R)よりも小さい。本発明は又、管を封止するための本発明のライナ(1)の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管内に挿入可能なライナに関する。
【背景技術】
【0002】
ライナを用いることにより既存の管系統又はパイプラインを修繕することができ、特に、掘削作業を行わないで地下の下水管系統の漏れを補修することができる。
【0003】
管の漏れを管の内部から封止することが知られている。この目的のため、スリーブが用いられ、これらスリーブは、オーバーラップした状態で互いに曲げられ、専用の封止要素を有し、弾力のある耐食性鋼板で作られ、漏れに達するまで封止されるべき管内に挿入される。ここで、スリーブを空気圧又は油圧の作用でインフレート可能なクッション若しくはパッカによって又は機械的取り付け装置によって拡張し、ついには、これらスリーブがデュロプラスチック(duroplastic)封止要素の圧縮の結果として管の内壁に密着するようになる。ロック装置がライナを拡張位置に保持する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、製造するのが簡単且つ安価であり、しかもロック挙動を向上させると共に封止安全性を向上させた改良型ロック装置を有するライナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有するライナによって達成される。好ましい実施形態では、従属形式の請求項から明らかになろう。
【0006】
一観点としてのライナ
【0007】
本発明の一観点は、管中に挿入可能なライナであって、
‐ストリップを有し、ストリップは、内側ストリップ部分と外側ストリップ部分が互いにオーバーラップするよう曲げ半径Rbを有する周囲Uに沿って曲げ軸線Z回りに曲げられ、
ストリップは、内側ストリップ部分が拡張方向Wに沿って外側ストリップ部分に対して変位可能であるよう拡張可能であり、
‐少なくとも1つのロック装置を有し、ロック装置は、拡張方向Wとは逆方向に外側ストリップ部分に対して変位している内側ストリップ部分を停止させ、
ストリップには、内側ストリップ部分と外側ストリップ部分との間で曲げ軸線Zに平行に座屈領域が形成され、
ストリップは、外側ストリップ部分の周囲に沿って最大曲げ半径R1を有し、最大曲げ半径R1は、内側ストリップ部分の周囲に沿う最大曲げ半径R2よりも小さいことを特徴とするライナに関する。
【0008】
ライナ―その設置可能な状態、即ち、輸送状態又は設置済み状態、即ち、ライナが例えば管内に挿入された稼働位置では―は、実質的に管状又は筒体状であり、管又は筒体軸線Zを有している。曖昧さを生じさせないよう方向及び幾何学的関係を説明する目的上、以下の説明は、ライナの長手方向拡がりが筒体軸線Zに実質的に平行であるということに基づいており、筒体軸線は、円筒座標系のz軸を定める。筒体軸線Z又はz軸に垂直に延びる半径方向ベクトルR並びにz軸に垂直に延びると共に半径方向ベクトルRに垂直に延びる周囲方向ベクトルUと一緒になって、円筒座標系を適応する。
【0009】
ライナを形成するため、弾力があり、好ましくは塑性変形可能なストリップ、特に、ステンレス鋼で作られた鋼製ストリップを或る特定の曲げ半径Rbを有する局所曲げ軸線回りに曲げ又は巻き、この場合、曲げ半径Rbは、周囲Uに沿って可変である。この場合、ストリップは、外側ストリップ端部、内側ストリップ端部及びこれら2つの端部相互間に位置する座屈領域に分割される。内側ストリップ端部と座屈領域との間のストリップの部分を内側ストリップ部分と称する。したがって、外側ストリップ端部と座屈領域との間のストリップの部分を外側ストリップ部分と称する。内側ストリップ部分は、内側ストリップ部分R2の最大曲げ半径が外側ストリップ部分の最大曲げ半径R1よりも大きいという点で外側ストリップ部分とは異なっている。特に、実質的に外側ストリップ部分全体の曲げ半径Rbは、内側ストリップ部分の曲げ半径Rbよりも大きい。したがって、外側ストリップ部分がそれ自体少なくとも部分的にオーバーラップすることができ、この場合、外側ストリップ部分の内側オーバーラップ領域が内側ストリップ部分にはならないようにすることも可能である。
【0010】
本は明細書で用いられる「内側」及び「外側」という用語は、輸送状態における筒体軸線Z又は半径方向ベクトルRに対する相対的位置又は配置状態を意味している。かくして、外側ストリップ部分と実質的にオーバーラップした内側ストリップ部分の領域は、相対軸線Zの近くに配置される。換言すると、「内側」という用語は、外面により包囲されたライナの内容積部を意味している。この場合、ライナが閉じられていることは必要条件ではない。例えば、ライナを実質的に円形の端面のところで開くことができる。それにもかかわらず、「内側」という用語は、あたかも蓋が提供されているかのごとく内容積部を意味している。換言すると、「内側」という用語は、理想的には完全に閉じられたライナの内容積部内を意味している。
【0011】
ストリップに力又は機械的応力が加えられない場合、ストリップは、その周囲に沿って、局所曲げ半径Rbと同一の局所幾何学的曲率半径Rkを有する。ライナのこの状態を「弛緩された」という。
【0012】
外力又は機械的応力を加えることにより、ストリップ又はライナを塑性変形させることができ、その結果、ストリップは、その周囲に沿って、局所曲げ半径Rbとは異なる局所幾何学的曲率半径Rkを有するようになる。ライナのこの状態を「応力を受けた」と称する。したがって、本発明によれば、曲げ半径Rbと曲率半径Rkには差が存在する。一般に、両方の半径は、互いに異なっている。というのは、ライナは、その輸送状態とその稼働位置との両方において応力を受けた状態にあるといえるからである。曲げ半径Rbが曲率半径Rkとは異なる領域では、ライナの材料中に機械的又は弾性応力が生じる。弾性応力により、ライナに外力は加えられていないとき又は材料がその弛緩状態に移行することができる場合、材料は、その初期形状に戻る。特に、弾性応力により、内側ストリップ部分を外側ストリップ部分に押し付けることができる。それにより、両方のストリップ部分は、互いに応力を受けた状態に維持可能である。
【0013】
ストリップ材料の弾性復元力に起因して、ライナのストリップは、応力を受けた状態から弛緩状態に戻る傾向があり、即ち、かかるストリップは、周囲に沿う各箇所において実際の幾何学的曲率半径Rkを取る傾向があり、曲率半径は、曲げ又は巻きプロセスにより与えられる局所曲げ半径Rbに一致する。
【0014】
ライナのストリップ端部は、設置可能な状態では互いにオーバーラップしており、かかる設置可能な状態では、曲げ軸線に関し、内側ストリップ部分と外側ストリップ部分が形成される。この場合、曲げ軸線は、ライナの成形後における筒体軸線Zに実質的に一致する。
【0015】
「実質的に」という用語が方向を表す用語として以下の説明において用いられる場合、このことは、特に、指示されるべき方向が言及した基準方向から約±30°以下、好ましくは約±20°以下、より好ましくは約±15°以下、最も好ましくは±10°未満、特に±5°未満ずれていることを意味している。特に、「実質的に」及び「ほぼ/約」という用語は、標的値からの僅かなずれ、特に、製造精度の限度内及び/又は必要な精度に対するずれを説明する場合があり、これが標的値に対して存在している場合であっても作用効果が得られる。したがって、「実質的に」という用語は、標的値又は標的位置等に対する10%未満、5%未満、2%未満、好ましくは1%未満のずれを表す場合がある。「実質的に」は、「同一の」を含み、即ち、標的値、標的位置等からのずれがない状態を含む。
【0016】
本発明に照らして、「拡張可能な」という用語は、実質的に円筒形に曲げられたストリップを弾性変形により実質的に拡張することができるものとして理解される。換言すると、ストリップを拡張すると、ストリップの周長が増大し、かくして内側ストリップ部分と外側ストリップ部分のオーバーラップ領域が減少する。この場合、外側ストリップ部分は、特にストリップの弾性変形によって拡張方向Wに沿って内側ストリップ部分に対して変位する。
【0017】
例えば、拡張は、クッション又はパッカをライナの内部に挿入し、そしてここでクッション又はパッカを空気圧又は油圧の作用でインフレートさせ、かくして拡張することによって達成できる。ロック装置は、ライナが稼働位置に達し、クッション又はパッカを取り出した後に再び縮むのを阻止する。本発明に用いられる「稼働位置」という用語は、ライナの設置済みであり且ついつでも働くことができる状態にある場合におけるライナの状態又はその部品の位置を意味している。
【0018】
上述の設置方法では、輸送状態にあるライナは、実質的に弛緩状態にあるのが良く、従って、製造プロセス中、保管及び運搬中、ロック装置には実質的に力が加えられないようになっている。拡張の際のストリップの変形に起因して、ライナはその稼働位置において、応力を受けた状態に移行し、この応力を受けた状態では、ロック装置は、弾性復元力により生じた力又は機械的応力を吸収するよう構成されている。好ましくは、稼働位置では、接触圧力が内部からライナが挿入されている周囲管壁に加えられる。より好ましくは、ロック装置は、ライナの機械的応力に加えて、管壁に加わる接触圧力に対抗する機械的応力を一段と吸収するよう構成されている。
【0019】
有利には、ライナにより及ぼされる接触圧力により、管壁を機械的に安定化して例えば破断状態にある管を修繕することができる。
【0020】
ライナは、その輸送状態では、部分的に応力を受けた状態にあるといえる場合がある。というのは、大きな曲げ半径R2で曲げられ又は巻かれた内側ストリップ部分を外側ストリップ部分により変形させ又は実質的に弾性的に応力を加えることができ、その結果、内側ストリップ部分の幾何学的曲率半径が外側ストリップ部分の曲率半径に実質的に等しいようになるからである。輸送状態にあるロック装置に半径方向ベクトルの方向に力を加えることができる。部分的に応力を受けたライナの弾性応力の結果として、ライナは、拡張する傾向がある。この意図しない拡張は、適当な固定手段によって、例えば、ロック装置内に設けられた追加の制止手段又はライナの周りに配置された固定ストリップによって阻止できる。
【0021】
上述の場合では、拡張前の、即ち輸送状態におけるライナの半径は、外側ストリップ部分の曲げ半径R1に実質的に一致する。特に、ロック装置が配置されている周囲の領域では、曲げ半径Rbは、実際の曲率半径Rkに一致し、従って、ストリップ材料の弾性復元力によりロック装置には力が加わらないようになっている。ライナの拡張中、曲率半径Rkが増大し、従って、ストリップが元の曲げ半径Rbに戻る傾向があるので、半径方向ベクトルRとは逆の方向に力、即ち弾性復元力がロック装置に加えられるようになる。かくして、ライナがその稼働位置にある間、一方において摺動摩擦力が拡張中に増大し、他方において永続的な機械的応力がロック装置に加えられる。
【0022】
有利には、内側ストリップ部分の領域の最大曲げ半径R2は、外側ストリップ部分の最大曲げ半径R1よりも大きい。好ましくは、内側ストリップ部分の曲げ半径は、稼働位置にあるライナの半径に実質的に一致する。有利には、ライナの拡張は、これによって単純化される。稼働位置では、ロック装置は、有利には、永続的に応力除去されるので、その構造を弱くすることができる。というのは、稼働位置における内側ストリップ部分は、曲率半径が曲げ半径に実質的に一致しているので、機械的応力が生じないからである。より有利には、本発明のライナは、特に簡単な設計のものであり、従って、製造するのが特に容易であり、このことは、製造の際の不良率を減少させることができる理由である。
【0023】
ライナの好ましい実施形態
【0024】
好ましくは、曲げ半径Rbは、外側ストリップ部分の周囲に沿って一定である、有利には、一定の曲げ半径を有するストリップを特に簡単に製造することができる。より好ましくは、曲げ半径Rb(最大曲げ半径R1に一致している)は、輸送状態におけるライナの半径に一致しており、従って、ストリップを外側ストリップ端部と座屈領域との間の周囲Uに沿って、即ち、外側ストリップ部分に沿って実質的に弛緩状態で輸送でき、このことは、弾性復元力が実質的に加えられないということを意味している。
【0025】
好ましくは、曲げ半径Rbは、内側ストリップ部分の周囲に沿って一定である。より好ましくは、曲げ半径Rb(最大曲げ半径R2に一致している)は、稼働位置にあるライナの半径に一致し、従って、ストリップは、稼働位置では、内側ストリップ端部と座屈領域との間の周囲Uに沿って、即ち内側ストリップ部分に沿って実質的に弛緩し、このことは、ストリップが実質的に弾性変形しないということを意味している。
【0026】
好ましくは、曲げ半径Rbは、内側ストリップ部分の周囲に沿って着実に増加している。有利には、ロック装置を拡張中、力に関して除去することができる。
【0027】
好ましくは、曲げ半径R2は、方程式Rb=U0+ΔU/2πに従って内側ストリップ部分の周囲に沿って直線的に増加している。この場合、U0は、輸送状態にあるライナの周長であり、ΔUは、拡張の結果としての周長Uの増加分に相当している。周長のゼロ箇所(U=0)は、外側ストリップ端によって定められる。座屈領域を無視すると、外側ストリップ端の高さ位置にある内側ストリップ部分の曲げ半径Rbは、この箇所の実際の幾何学的曲率半径Rkに一致する。ロック装置が外側ストリップ端の付近に配置されていると仮定すれば、ロック装置の付近の内側ストリップ部分には、この箇所におけるストリップの弾性変形に起因して機械的応力が実質的にない。有利には、ロック装置の摩擦損失及び機械的応力は、この場合、最小限である。ロック装置が外側ストリップ端から間隔を置いて配置される場合、U0をこの距離だけ増大させる必要がある。
【0028】
好ましくは、ストリップの座屈領域は、ストリップの外側ストリップ部分の曲げ半径R1よりも小さい曲げ半径R3を有する。これにより、好ましくは、内側ストリップ部分と外側ストリップ部分を特に輸送状態では互いに実質的に間隔を置いた状態に配置することが達成でき、それにより、これら2つの部分相互間の摩擦力は、ライナの拡張中、減少するので有利である。
【0029】
好ましくは、内側ストリップ部分、外側ストリップ部分及び中間座屈領域を有するストリップを公知の巻き機械を用いて、特に、4つのローラを備えた巻き機械によって製造することができる。この機械を用いると、内側ストリップ部分、外側ストリップ部分又は座屈領域におけるストリップの周囲に沿う所望の一定の又は変化している曲げ半径を生じさせることができる。特に、CNC巻き機械を用いると、変化する曲げ半径を備えたストリップを容易に製造することができる。ストリップを巻いた後、ストリップをストリップ材料の弾性変形によって輸送状態にすることができ、それにより、周囲に沿って局所的に曲げ半径とは異なるストリップの幾何学的曲率半径が得られる。この状態では、ストリップは、ロック装置によって又は固定手段によって保持されるのが良い。
【0030】
好ましくは、少なくとも1つのロック装置は、内側ストリップ部分に少なくとも部分的に形成された凹部を有し、凹部の長手方向側部は、周囲Uに沿って延びている。有利には、凹部の存在の結果として、外側ストリップ部分は、ライナの内部から部分的に接近可能である。凹部は、好ましくは、ストリップを曲げ又は巻く前に、例えば打抜き加工、プレス加工、フライス加工により、或いはレーザビーム等を用いてストリップに形成される。
【0031】
好ましくは、凹部は、2つの互いに反対側の長手方向側部に第1の係合領域及び第2の係合領域を有する。
【0032】
好ましくは、少なくとも1つのロック装置は、外側ストリップ端部に固定されたラッチ止め装置を有する。より有利には、ラッチ止め装置は、凹部を介してライナの内部に係合し、この場合、拡張は、内側ストリップ部分に形成された凹部の長手方向拡がりによって拡張方向W沿いに制限される。拡張が可能なのはラッチ止め装置が凹部の一端に当接するまでだけである。
【0033】
より好ましくは、ラッチ止め装置は、特に凹部の長手方向側部を越えて少なくとも部分的にライナ内に突き出た少なくとも1つのカバー要素を有する。この場合、内側ストリップ部分は、外側ストリップ部分とカバー要素との間に少なくとも部分的に配置され、従って、ラッチ止め装置の付近では、外側ストリップ部分と内側ストリップ部分は、圧力嵌め連結状態で実質的に互いに当接するようになる。
【0034】
好ましくは、ラッチ止め装置は、ストリップを巻いてこれがその輸送状態にあるとき、外側ストリップ部分に固定される。より好ましくは、ラッチ止め装置は、ストリップをその輸送状態に保つと共に例えば取り外し可能なバリヤによってストリップの圧縮及び特に拡張を阻止するよう構成されている。
【0035】
好ましくは、ラッチ止め装置は、第1の回転可能に支持された制止ピニオン、第2の回転可能に支持された制止ピニオン及び少なくとも1つのラッチ止め要素を有する。ラッチ止め要素は、対応した回転方向における制止ピニオンの回転を阻止することができる。
【0036】
好ましくは、第1の制止ピニオンは、第1の係合領域に少なくとも部分的に係合するよう構成され、第2の制止ピニオンは、第2の係合領域に少なくとも部分的に係合するよう構成される。
【0037】
好ましくは、少なくとも1つのラッチ止め要素は、制止ピニオンの関連の回転方向における第1及び第2の制止ピニオンの回転を制止するよう構成されており、その結果、ラッチ止め装置は、拡張方向Wとは逆の方向に内側ストリップ部分に対して変位できないようになっている
【0038】
有利には、ライナの拡張は、ラッチ止め要素が制止ピニオンの回転を阻止した場合、阻止され又は制止される。
【0039】
好ましくは、制止ピニオンは、厚さが内側ストリップ端部よりも大きい。より好ましく1、制止ピニオンの厚さと内側ストリップ部分の厚さの比は、約1〜約5、より好ましくは約1.1〜約2、最も好ましくは約1.2〜約1.5であり、この場合、内側ストリップ部分の厚さは、好ましくは、約0.1mm〜約2mm、より好ましくは約0.5mm〜約1.5mm、特に約1mmである。有利には、制止ピニオンは、ストリップを曲げた場合であっても、凹部の互いに反対側の長手方向側部のところで係合領域に係合する。
【0040】
好ましくは、ラッチ止め要素は、付勢状態に支持されたピニオンである。制止要素の付勢を好ましくはばねで生じさせることができる。
【0041】
好ましくは、ライナは、少なくとも1つのロック装置を有し、少なくとも1つのロック装置は、
‐内側ストリップ端部に少なくとも部分的に形成されていて、長手方向側部が周囲に沿って延びる凹部、
‐ラッチ止め装置及び外側ストリップ端部に設けられていて、ラッチ止め装置を固定するラッチ止め装置取り付け領域を更に有し、
ストリップは、拡張可能であり、従って、ラッチ止め装置は、拡張軸線Wに沿って凹部に対して変位可能であり、
凹部は、2つの互いに反対側の長手方向側部に第1の係合領域及び第2の係合領域を有し、
ラッチ止め装置は、第1の制止要素、第2の制止要素及び少なくとも1つのクランプ要素を有し、
第1の制止要素は、休止位置において第1の係合領域に少なくとも部分的に係合するよう構成された第1の相補係合領域を有し、第2の制止要素は、休止位置において第2の係合領域に少なくとも部分的に係合するよう構成された第2の相補係合領域を有し、
第1の制止要素の第1の相補係合領域は、第1の作動方向B1に沿って休止位置から変位可能であり、第2の制止要素の第2の相補係合領域は、第2の作動方向B2に沿って休止位置から変位可能であり、
少なくとも1つのクランプ要素は、第1及び第2の相補係合領域を休止位置に保持するために、第1の作動方向B1とは逆の方向に働く力を第1の相補係合領域のところに加えると共に第2の作動方向B2とは逆の方向に働く力を第2の相補係合領域のところに加えるよう構成されており、
その結果、ラッチ止め装置は、拡張方向Wとは逆の方向に凹部に対して変位できないようになっている。
【0042】
本発明における「作動方向」又は「変位方向」という用語は、或る要素及び/又は或る領域が作動可能であると共に/或いは変位可能であり又は作動されると共に/或いは変位し又は少なくとも部分的に弾性変形可能であり又は変形し、即ち、力を加えることによって作動可能であり又は作動される方向を意味している。
【0043】
本発明の目的上用いられている「休止位置」という用語は、例えば、1つ又は2つ以上の部品、特にラッチ止め装置の状態又は位置を意味している。「休止位置」では、第1及び第2の制止要素の第1及び第2の相補係合領域は各々、内側ストリップ端部の凹部の対応の第1又は第2の係合領域と係合状態にある。このことは、それぞれの係合領域及び相補係合領域が圧力嵌め連結関係をなして互いに実質的に連結されていることを意味している。特に、外側ストリップ端部は、圧力嵌め連結関係に起因して、内側ストリップ端部に対して拡張方向Wとは反対の方向には変位できない。即ち、特に、ライナのストリップの周長を減少させることは、休止位置では可能ではない。本発明の目的上用いられる「休止位置」という用語は、特に、ライナを管中に挿入する前の部品の位置を意味している。
【0044】
本発明の目的上用いられる「作動位置」という用語は、例えば、上述の部品、特に制止要素の上述の状態又は位置とは異なる状態又は位置を意味している。休止位置とは対照的に、作動位置では、特にストリップに加える力による拡張の結果として外力がライナの1つ又は2つ以上の部品に加わり、この力は、内側から半径方向外方に差し向けられる。上述したように、拡張により、外側ストリップ端部又はラッチ止め装置の変位が内側ストリップ端部又はこれに形成された凹部に対して拡張方向W沿いに生じる。特に、拡張方向Wに延びる長手方向凹部側部のところへの第1及び第2の係合領域ののこ歯状形成によって、ストリップが外力によって半径方向に拡張されたときに、第1及び第2の力を第1及び第2の作動方向B1,B2に沿って第1及び第2の制止要素の第1又は第2の相補係合領域に加えることができる。好ましくは、第1及び第2の係合領域は、拡張方向Wに部分的に且つ周期的にテーパした状態で形成される。この場合、第1の作動方向と第2の作動方向は、異なっている。第1及び第2の力又は第1及び第2の作動方向B1,B2は、特に、凹部の縁からz軸に実質的に沿って又はこれと逆に、即ち、特に凹部の内側領域の方へ差し向けられる。具体的に説明すると、休止位置から作動位置への移行中、第1の制止要素の第1の相補係合領域は、休止位置から第1の作動方向B1に沿って作動位置に変位する。したがって、第2の制止要素の第2の相補係合領域は、第2の作動方向B2に沿って変位する。特に、作動位置では、内側ストリップ端部と外側ストリップ端部は、互いに対して変位可能であり、したがって、ライナのストリップが拡張可能であり又は拡張されるようになっている。
【0045】
有利には、好ましいロック装置は、特に簡単な設計のものであり、このロック装置は、製造するのが非常に簡単であり、製造中における不良率並びにライナ1つ当たりの単価を減少させることができる。
【0046】
好ましくは、第1の作動方向B1は、第2の作動方向B2に対して実質的に逆平行に延び、即ち、実質的に逆方向に延びる。有利には、ラッチ止め装置は、第1の作動方向B1と第2の作動方向B2が互いに対して逆平行であり、特に、各々が凹部の長手方向拡がりに垂直であり、即ち、各々が拡張方向Wに垂直である場合、製造するのが特に容易である。より有利には、例えばばねの形態をしたクランプ要素が1つしか必要ではなく、このクランプ要素は、第1の制止要素の第1の相補係合領域のところにおいて第1の作動方向B1とは逆方向の力と第2の制止要素の第2の相補係合領域のところで第2の作動方向B2に逆方向の力を同時に生じさせることができる。
【0047】
好ましくは、ラッチ止め装置は、少なくとも1つのカバー要素及びラッチ止め装置をラッチ止め装置取り付け領域に取り外し可能に固定する締結手段を有する。
【0048】
最も好ましくは、締結手段は、ねじ締結具であり、特に、クロスヘッドねじ又は六角穴付き止めねじである。有利には、かかるねじ締結具は、取り外し可能であり、従って、ラッチ止め装置を外側ストリップ端部から取り外すことができる。特に、ラッチ止め装置を取り外したときにライナの拡張後のストリップを再び互いに曲げることができ、即ち、ライナの周長を減少させることができる。特に好ましくは、ライナのストリップは、拡張状態では、少なくとも部分的に弾力に富んだ状態で又は弾性的に変形され、その結果、ラッチ止め装置の取り外し又は制止解除後における拡張状態のストリップは、弾性復元力に起因して周長のより短い状態を取るようになっている。有利には、管中に既に挿入されて拡張されたかかるライナを管から取り外すことができる。特に、使用済みライナを少なくとも部分的に再使用することができる。
【0049】
好ましくは、カバー要素と締結手段は、一体に形成される。
【0050】
好ましくは、第1の制止要素及び第2の制止要素は、板状に形成される。
【0051】
有利には、制止要素を鋼又は金属ストリップから打ち抜き又は切り抜くことができ、従って、制止要素は、製造するのが簡単且つ安価である。
【0052】
好ましくは、制止要素は、厚さが内側ストリップ端部よりも大きい。
より好ましくは、制止要素の厚さと内側ストリップ端部の厚さの比は、約1〜約4、より好ましくは約1.1〜約2、最も好ましくは約1.2〜約1.5であり、この場合、内側ストリップ端部の厚さは、好ましくは、約0.1〜約2mm、より好ましくは約0.5mm〜約1.5mm、特に約1mmである。
【0053】
好ましくは、第1の制止要素と第2の制止要素は、実質的に同一に又は合同関係をなして形成される。有利には、この場合、制止要素を1つしか製造する必要がなく、ラッチ止め要素を設置するときに制止要素をそれに応じて回転させる。
【0054】
好ましくは、制止要素は、締結手段回りに回動可能である。
【0055】
好ましくは、クランプ要素は、ワイヤ状又は板状ばねである。有利には、かかるクランプ要素は、構造が簡単且つ安価である。というのは、対応の弾性又は弾力に富んだワイヤ又は対応のばね鋼ストリップを所定長さに切断して曲げるだけで良い。
【0056】
好ましくは、制止要素は、互いに一体に形成される。この場合、単一の部品は、制止要素を形成する2つの半部から成る。
【0057】
好ましくは、制止要素は、固定式継手を有し、即ち、第1の制止要素と第2の制止要素は、固定式継手として形成された薄い箇所を介して互いに連結される。最も好ましくは、固定式継手は、弾性的に又は弾力に富んだ状態で形成され、クランプ要素として働く。
【0058】
好ましくは、制止要素は各々、作動領域を有し、作動領域を介して工具によって制止要素を休止位置から作動位置に移すことができるようになっている。特にボアの形態をした作動領域を形成するのが良い。有利には、作動位置に達した後、内側ストリップ端部を例えばライナを互いに曲げるために外側ストリップ端部に対して変位させるのが良い。特に、制止要素をライナの内部に向かって覆うカバー要素は、対応の工具通路を有し、その結果、工具は、内部から作動領域に係合することができる。工具通路は、特に、制止要素の作動領域をそれに応じて変位させることができるよう構成され、従って、ラッチ止め要素を休止位置から作動位置に移すことができる。
【0059】
好ましくは、ライナは、2つのロック装置を有する。特に、2つのロック装置は、実質的に管状のライナの端部領域に配置される。より好ましくは、2つのロック装置は、ライナの中心に関し、対称に配置され、即ち、重心から実質的に等距離のところに位置している。有利には、このように、内側ストリップ端部と外側ストリップ端部との間のねじりを最小限に抑えることができ、その結果、ライナをねじりなく一様に且つ実質的に滑らかに拡張することができる。
【0060】
好ましくは、ライナは、2つのロック装置を有する。特に、2つのロック装置は、実質的に管状のライナの端部領域に配置される。より好ましくは、2つのロック装置は、ライナの中心に関し、対称に配置され、即ち、重心から実質的に等距離のところに位置している。有利には、このように、内側ストリップ端部と外側ストリップ端部との間のねじりを最小限に抑えることができ、その結果、ライナをねじりなく一様に且つ実質的に滑らかに拡張することができる。
【0061】
好ましくは、ストリップは、外面がエラストマーで覆われる。
【0062】
本発明の一観点は、管を封止するための本発明のライナの使用であって、ライナは、輸送状態で管の内部中に挿入され、ライナは、取り付け位置において拡張により稼働位置に移されることを特徴とする使用に関する。
【0063】
本発明は、上述の例示の実施形態には限定されない。それどころか、説明した各観点及び/又は説明した各実施形態の個々の要素及び/又は特徴を他の観点及び/又は他の実施形態の個々の要素及び/又は特徴と任意所望の仕方で組み合わせることができる。かくして、別の観点及び/又は別の実施形態を構成することができる。
【0064】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を例示として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】z軸に垂直に取った曲げストリップ及びラッチ止め装置を有するライナの断面図である。
【図2】ライナの内部からの方向に見たロック装置の平面図である。
【図3】z軸に垂直に取った曲げストリップ及びロック装置を有するライナの断面図である。
【図4】z軸に垂直に取ったライナのロック装置の詳細断面図である。
【図5】ライナの内部からの方向に見たラッチ止め装置の平面図である。
【図6】休止位置にあるラッチ止め装置の詳細平面図である。
【図7】作動位置にあるロック装置の詳細平面図である。
【図8】ライナのロック装置の分解組み立て斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1は、特に漏れを封止すると共に既存の管系統を機械的に安定化するために管中に挿入可能なライナ1について管又は筒体軸線Zにより定められたz軸に垂直に取った断面図を示している。図1に示された座標系は、半径方向ベクトル又は動径ベクトルRが筒体軸線Z又はz軸に垂直に延び、周囲方向ベクトルUがz軸に垂直であり且つ半径方向ベクトルRに垂直な状態で定められている。
【0067】
図示のライナ1は、弾力のある材料、好ましくは板金又はステンレス鋼製のストリップ3で作られている。ストリップ3は、好ましくは、約0.1mm〜約5mm、より好ましくは約0.5mm〜約2mm、特に約1mmの厚さを有する。ストリップ3は、実質的に管状又は筒体状であり、ストリップの端部領域が互いにオーバーラップするよう曲げられている。これにより、周囲方向Uにおいて互いにオーバーラップした内側ストリップ部分7と外側ストリップ部分9を識別することができる。内側ストリップ部分7は、内側ストリップ端部11及び座屈領域15で構成されている。外側ストリップ部分9は、外側ストリップ端部13及び座屈領域15で構成されている。この実施形態では、ロック装置が外側ストリップ端部13から距離を置いたところに配置され、外側ストリップ部分9は、それ自体部分的にオーバーラップし、外側ストリップ部分9の内側領域は、内側ストリップ部分7によって包囲されておらず又は内側ストリップ部分7の一部をなしていない。
【0068】
図1に示されたライナは、これが管系統中に挿入されるその輸送状態、即ち設置可能な状態にある。好ましくは、図1に示されている状態は、実質的に弛緩状態にあり、即ち、この状態では、ストリップには力又は機械的応力が加えられておらず、その結果、ストリップは、その周囲に沿って局所曲げ半径Rbに等しい局所幾何学的曲率半径Rkを有し、局所曲げ半径Rbは、ストリップが巻かれることによって与えられる。
【0069】
したがって、図1に示されたライナの実施形態は、その周長部分又は周囲Uに沿って外側ストリップ部分9に実質的に一定の曲げ半径R1を有している。周囲Uに沿う内側ストリップ部分7の曲げ半径R2も又、実質的に一定である。しかしながら、外側ストリップ部分の曲げ半径R1は、内側ストリップ部分7の曲げ半径R2よりも小さい。
【0070】
さらに、ストリップ3は、座屈領域15に、外側ストリップ部分9の曲げ半径R1よりも小さい曲げ半径R3を有している。この好ましい実施形態では、座屈領域15に適当に寸法決めされた曲げを設けることにより、―周囲Uに沿って座屈領域15を拡張させるか十分に小さな曲げ半径R3を設けることにより―外側ストリップ部分7の内壁への内側ストリップ部分9の全面接触を回避することができる。有利には、外側ストリップ部分9を内側ストリップ部分7のところで所定形状にすることにより加わる機械的応力が減少する。さらに、有利には、ライナ1の拡張に必要な力を減少させるために、内側ストリップ部分7と外側ストリップ部分9との間の接着又は摺動摩擦抵抗も又減少する。
【0071】
さらに、図1に示されているライナの実施形態は、半径300mmのサイズDN600の管系統中に挿入されるよう構成されるのが良い。この目的のため、ライナ1は、例えば、ストリップ3の外側ストリップ部分9が約240mm〜260mmの一定曲げ半径R1を有するよう設計されるのが良い。さらに、例えば、ストリップ3の内側ストリップ部分7は、約300mm〜約320mmの一定曲げ半径R2を備えるのが良く、座屈領域15の曲げ半径R3は、約50mm〜約100mmであるのが良い。
【0072】
ライナ1は、適当な装置によって管系統の任意の箇所で拡張可能であり、その結果、ライナ1は、実質的に圧力嵌め連結状態で管系統の内側に当接するようになる。特に、ライナ1は、弾性であり且つ耐久性の高い特に防水の材料で作られた被膜(図示せず)又はホースで少なくとも部分的に覆われるのが良い。
【0073】
ライナ1のこの実施形態は、ライナ1を拡張後の拡張状態に永続的に保持することを目的としたロック装置5を有する。
【0074】
図2に示されている実施形態としてのロック装置5は、内側ストリップ部分7に形成された凹部17(図1では見えない)及び外側ストリップ部分9に固定されると共に凹部17に少なくとも部分的に侵入したラッチ止め装置19を有している。
【0075】
凹部17は、その第1の長手方向側部21及びその第2の長手方向側部23が実質的に拡張方向Wに沿って又は周囲Uに沿って延びている。凹部17の2つの互いに反対側の長手方向側部21,23のところには少なくとも部分的に第1の係合領域25及び第2の係合領域27が形成されている。この実施形態では、係合領域25,27は、一連ののこ歯状突出部29として形成されている。
【0076】
ラッチ止め装置19は、カバー要素31(図2に破線だけで示されている)を有し、内側ストリップ部分7は、外側ストリップ部分9とカバー要素31との間に少なくとも部分的に配置されている。カバー要素31を介して力が好ましくは半径方向ベクトルRに沿って内側ストリップ部分7に加えられるのが良く、その結果、ラッチ止め装置19の付近では、外側ストリップ部分と内側ストリップ部分が実質的に圧力嵌め連結状態で互いに当接し、特に、拡張方向Wに沿ってのみ互いに対して変位可能である。ラッチ止め装置19は、第1の制止ピニオン33及び第2の制止ピニオン35を更に有し、これらピニオンは、凹部15内でカバー要素31と外側ストリップ部分9との間に配置されると共に各々回転可能に支持されている。
【0077】
制止ピニオン33,35は、係合領域25,27に係合するよう構成されている。確実な配置及びロック効果を得るため、制止ピニオン33,35の厚さ、即ち、半径方向ベクトルに沿う空間拡がりは、好ましくは、内側ストリップ部分7の厚さよりも大きい。内側ストリップ部分7の曲率半径―制止ピニオン33,35のところで生じる半径―に応じると共に拡張方向Wに沿うカバー要素31の拡がりに応じて、制止ピニオン33,35の厚さと内側ストリップ部分7の厚さの好ましい比は、約1〜約5、より好ましくは、約1.1〜約2、更により好ましくは約1.2〜約1.5である。
【0078】
ラッチ止め装置19は、ラッチ止め要素37の例示の一実施形態としてラッチ止めピニオン37を更に有し、ラッチ止めピニオン37は、制止ピニオン33,35相互間に配置され、ピニオン37は、ばね要素39によって拡張方向Wに付勢されている。
【0079】
上述の構成により、回転可能に支持された制止ピニオン33,35の各々は、一方向にのみ回転可能であり、即ち、ラッチ止めピニオンが拡張方向Wと逆方向にばね要素39の付勢力に抗して変位する方向に回転可能であるという効果及び両方の制止ピニオン33,35が互いに結合解除されるという効果が得られる。しかしながら、ラッチ止めピニオン37は、逆の回転方向におけるそれぞれの制止ピニオン33,35の回転を制止する。というのは、ラッチ止めピニオン37が力に関して両方の制止ピニオンを互いに結合し、その結果、制止ピニオン33,35が互いに制止し合うからである。その結果、ラッチ止め装置19は、拡張方向Wに沿ってのみ内側ストリップ部分7に対して変位可能である。
【0080】
好ましくは、ライナ1を分解することができる。特に、ラッチ止め装置19は、この目的のために取り外し可能である。より好ましくは、ライナ1は、応力を受けた状態では稼働位置にあり、その結果、ストリップ3は、それ自体の弾性ばね力の結果としてその周長を減少させることができ、そしてラッチ止め装置19を取り外したときには弛緩状態に移行するようになっている。有利には、ストリップ3及びラッチ止め装置19の部品は、再使用可能である。
【0081】
図3は、特に漏れを封止すると共に既存の管系統を機械的に安定化するために管中に挿入可能なライナ1についてz軸に垂直に取った断面図を示している。図示のライナ1は、弾力のある材料、好ましくは板金又はステンレス鋼製のストリップ3で作られている。ストリップ3は、好ましくは、約0.1mm〜約2mm、より好ましくは約0.5mm〜約1.5mm、特に約1mmの厚さを有する。ストリップ3は、実質的に管状又は筒体状であり、ストリップ端部7,9が互いにオーバーラップするよう曲げられている。これにより、周囲方向Uにおいて互いにオーバーラップした内側ストリップ端部7と外側ストリップ端部9を識別することができる。
【0082】
ライナ1は、適当な装置によって管系統の任意の箇所で拡張可能であり、その結果、ライナ1は、実質的に圧力嵌め連結状態で管系統の内側に当接するようになる。特に、ライナ1は、弾性であり且つ耐久性の高い特に防水の材料で作られた被膜(図示せず)又はホースで少なくとも部分的に覆われるのが良い。
【0083】
ライナ1のこの実施形態は、ライナ1を拡張後の拡張状態に永続的に保持することを目的とするロック装置5を有する。
【0084】
図4に詳細に示されたロック装置5は、内側ストリップ端部7に形成された凹部45(図2では見えない)及び外側ストリップ端部9に設けられると共に凹部45に少なくとも部分的に侵入したラッチ止め装置41(図2では見えない)を有している。外側ストリップ端部9は、この実施形態では加圧ナットとして形成されたラッチ止め装置取り付け領域47を有している。加圧ナットは、例えば、締結手段75として働く対応のねじを受け入れるねじ山M2,M3,M4,M5,M6,M7又はM8を有するのが良い。変形例として、外側ストリップ端部9に対応のねじ山を直接形成しても良い。締結手段75は、カバー要素71を外側ストリップ端部9に固定し、その結果、内側ストリップ端部7は、外側ストリップ端部9とカバー要素との間に少なくとも部分的に配置されるようになっている。カバー要素71を介して力が好ましくは半径方向ベクトルRに沿って内側ストリップ端部7に加えられるのが良く、その結果、ラッチ止め装置41の付近では、外側ストリップ端部と内側ストリップ端部が実質的に圧力嵌め連結状態で互いに当接し、特に、拡張方向Wに沿ってのみ互いに対して変位可能である。
【0085】
凹部45(図2では見えない)内でカバー要素71と外側ストリップ端部9との間には第1及び第2の制止要素(図2では見えない)55a,55b及びクランプ要素63が配置されている。制止要素55a,55bは、好ましくは、板状要素として形成される。確実な配置及びロック効果を得るため、制止要素55a,55bの厚さは、好ましくは、内側ストリップ端部7の厚さよりも大きい。内側ストリップ端部7の曲率半径に応じると共に拡張方向Wに沿うカバー要素71の拡がりに応じて、制止要素55a,55bの厚さと内側ストリップ端部7の厚さの好ましい比は、約1〜約4、より好ましくは、約1.1〜約2、最も好ましくは約1.2〜約1.5である。
【0086】
図5及び図6は、休止位置にあるロック装置5の平面図であり、ラッチ止め装置41は、ライナ1の内部からの方向で示されている。ロック装置5は、内側ストリップ端部7に形成された凹部45を有し、この凹部は、その長手方向側部が実質的に拡張方向Wに沿って又は周囲に沿って延びている。
【0087】
凹部45の2つの互いに反対側に位置した長手方向側部のところで少なくとも部分的に第1の係合領域43a及び第2の係合領域43bが形成されている。この実施形態では、係合領域43a,43bは、好ましくは対称軸線Sに関して対称にのこ歯形状の一連の突出部29として形成されており、第1の係合領域43aと第2の係合領域43bは、拡張方向Wにおいてテーパした状態で周期的に形成されている。単一の突出部29は全て、実質的に三角形として形成され、第1の脚部は、好ましくは拡張方向Wに対して約20°〜約60°の角度αをなす摺動領域51として役立つ。より好ましくは、この角度αは、約30°〜約50°であり、最も好ましくは約45°である。第2の脚部が拡張方向Wに対して実質的に垂直に延びるラッチ止め領域53として役立つ。突出部29は、好ましくは、約1mm〜約5mm、より好ましくは約1.5mm〜約4mm、特に約2mmの空間的間隔で配置されている。
【0088】
制止要素55a,55bは、好ましくは、板状である。特に、制止要素55a,55bは、互いに同一に形成され、これらは、対称軸線Sに関して対称に配置されている。換言すると、制止要素55a,55bは、互いに合同関係をなして形成されている。制止要素55a,55bは各々、係合領域43a,43bに係合することができるよう構成された相補する係合領域57a,57bを有している。好ましくは、相補係合領域57a,57bは、対応の突出部59aとして形成されている。
【0089】
この実施形態では、制止要素55a,55bは、締結手段55の軸線D回りに回動することができるよう形成されている。軸線D回りに回動することにより、第1の制止要素55aの第1の相補係合領域57aは、第1の作動方向B1に沿って休止位置から変位可能である。したがって、第2の制止要素55bの第2の相補係合領域57bは、第2の作動方向B2に沿って休止位置から変位可能である。このような回動を可能にするために、制止要素55a,55bは各々、円弧形状の凹部65a,65bを有し、かかる凹部は、実質的に、締結手段55として用いられるねじの半径を有する。さらに、例えばスプリングワイヤ又は板ばねの形態をしたクランプ要素39がそれぞれの制止要素55a,55bのそれぞれのクランプ要素受け入れ部67a,67bに係合し、その結果、第1及び第2の作動方向B1,B2とは逆の方向に働く力が制止要素55a,55bの相補係合領域57a,57bに加えられるようになっている。外力の作用なしでは、制止要素55a,55bは、休止位置に保持され、従って、係合領域43a,43bと対応の相補係合領域57a,57bとの間のそれぞれの少なくとも部分的に圧力嵌め連結状態が与えられ、それにより外側ストリップ端部9が拡張方向Wとは逆の方向に内側ストリップ端部7に関して変位するのが阻止されるようになっている。
【0090】
好ましくは、相補係合領域57a,57bは各々、それぞれの係合領域43a,43bに係合する複数個の突出部59aを有している。特に、突出部59aは、第1の作動方向B1に沿う第1の相補係合領域57aの変位の際、第1の係合領域43aとの係合状態から実質的に同時に離脱するよう構成されている。したがって、好ましくは、休止位置において対応の突出部59aの先端部61aを結ぶ線は、凹部15の長手方向拡がり、即ち、拡張方向Wと約5°〜約20°、より好ましくは約8°〜約15°、特に約10°の角度βをなす。第1の制止要素55aを対応の角度回動させることにより、第1の相補係合領域57aの突出部59aは全て、第1の係合領域43aとの係合状態から実質的に同時に離脱する。したがって、第2の相補係合領域57bの対応の突出部59bは、第2の制止要素55bを対応の角度回動させることにより、第2の相補係合領域57bの突出部59bは全て第2の係合領域43bとの係合状態から実質的に同時に離脱させるよう形成されるのが良い。
【0091】
図7は、作動位置にあるラッチ止め装置41の詳細平面図である。外力による拡張の結果として外側ストリップ端部9又はこれに取り付けられたロック装置41の変位に起因して、休止位置から始まって、第1の相補係合領域57aは、第1の作動方向B1に沿って変位し、第2の相補係合領域57bは、実質的に逆平行に延びる第2の作動方向B2に沿って変位する。変位中、制止要素55a,55bは、それに対応して回転軸線D回りに回動し、クランプ要素63がクランプされる。この場合、クランプ要素63は、制止要素55a,55bを介するその復元力に起因して、第1及び第2の作動方向B1,B2とは逆方向に力をそれぞれ及ぼす。変形例として、制止要素55a,55bは、一体に形成されても良く、この場合、2つの半部、即ち第1の制止要素55aと第2の制止要素55bは、固定式継手として形成された薄手箇所を介して互いに連結されている。特に好ましくは、固定式継手は、弾性的に又は弾力的に形成されるのが良く、その結果、固定式継手は、クランプ要素63として働くことができるようになる。それ以上拡張させ、かくして内側ストリップ端部7に対して外側ストリップ端部9を更に変位させることにより、ラッチ止め装置41は、クランプ要素63によって休止位置に戻される。ライナ1又はストリップ3を更に拡張することにより、その後、ラッチ止め装置41は、再び作動位置に移され、この状態は、ライナ1又はストリップ3が所望の又は最大周長に達するまで続けられる。ラッチ止め装置41は、最終的には、休止位置のままであり、従って、拡張方向Wとは逆方向のストリップ端部7,9の変位が阻止されると共にライナ1又はストリップ3が達した周長を維持するようになる。これにより、ライナ1は、これが導入された管系統内で十分に且つ永続的に固定される。
【0092】
好ましくは、ライナ1を分解することができる。この目的のため、特に、ラッチ止め装置41は、取り外し可能であり、ストリップ3は、固有の弾性ばね力の結果としてその周長を減少させることができるようになっている。特に、締結手段75は、取り外し可能なねじであるのが良く、その結果、締結手段75及びカバー要素71の取り外しと同時に、制止要素55a,55b及びクランプ要素63は、これらの定位置を離れ、その結果、外側ストリップ端部9は、内側ストリップ端部7に対して自由に変位可能であるようになっている。有利には、ストリップ3及びラッチ止め装置41の部品は、再使用可能である。
【0093】
図8は、ライナ1のロック装置5の変形実施形態の分解組み立て斜視図である。
【0094】
この実施形態では、外側ストリップ端部9は、加圧ナット47の形態をしたラッチ止め装置取り付け領域47を有し、加圧ナット47の筒体形状領域が制止要素55a,55bの対応の円弧形状凹部65a,65bとの圧力嵌め連結関係を達成するために外側ストリップ端部9から突き出ている。この場合、制止要素55a,55bは、加圧ナット47の回転軸線D回りに回動可能に支持されている。さらに、制止要素55a,55bは各々、特に制止要素55a,55bを工具によって作動させることができるようにするボアの形態をした作動領域69a,69bを有している。特に、作動させることにより制止要素55a,55bを休止位置から作動位置に移すことができ、その結果、内側ストリップ端部7は、外側ストリップ端部9に対して自由に変位可能である。
【0095】
工具に作動領域69a,69bへの係合機能を提供するため、カバー要素71は、対応の工具通路73a,73bを有している。工具通路73a,73bは、作動領域69a,69bをそれに応じて変位させることができるよう構成されており、その結果、ラッチ止め装置41を休止位置から作動位置に移すことができるようになっている。
【0096】
好ましい実施形態の上述の説明は、上述のそれぞれの図の記載には限定されない。これとは異なり、それぞれの図に関する説明は、他の図にも類似的に当てはまる。同様に、図に関する説明は、上述の観点及び実施形態にも当てはまる。かくして、図(各図)を参照して説明した個々の特徴を用いると共に/或いは観点及び/又は実施形態の個々の特徴を用いると、別の好ましい実施形態を構成することができ、個々の特徴は、所望に応じて組み合わせ可能である。
【符号の説明】
【0097】
1 ライナ
3 ストリップ
5 ロック装置
7 内側ストリップ部分
9 外側ストリップ部分
11 内側ストリップ端部
13 外側ストリップ端部
15 座屈領域
17 凹部
19 ラッチ止め装置
21 第1の長手方向側部
23 第2の長手方向側部
25 第1の係合領域
27 第2の係合領域
29 突出部
31 カバー要素
33 第1の制止ピニオン
35 第2の制止ピニオン
37 ラッチ止めピニオン
39 ばね要素
41 ラッチ止め装置
43a,43b 第1及び第2の係合領域
45 凹部
47 ラッチ止め装置取り付け領域
51 摺動領域
53 ラッチ止め領域
55a,55b 第1及び第2の制止要素
57a,57b 第1及び第2の相補係合領域
59a,59b 対応突出部
61a,61b 対応突出部59a,59bの先端部
63 クランプ要素
65a,65b 円弧形状凹部
67a,67b クランプ要素受け入れ部
69a,69b 作動領域
71 カバー要素
73a,73b 工具通路
75 締結手段
B1,B2 第1及び第2の作動方向
D 回転軸線
R 半径方向ベクトル
1 外側ストリップ部分9の最大曲げ半径
2 内側ストリップ部分7の最大曲げ半径
3 座屈領域15の最大曲げ半径
b 曲げ半径
k 曲率半径
S 対称軸線
U 周囲方向
W 拡張方向
Z 筒体軸線、z軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管中に挿入可能なライナ(19)であって、
‐ストリップ(3)を有し、前記ストリップは、内側ストリップ部分(7)と外側ストリップ部分(9)が互いにオーバーラップするよう曲げ半径(Rb)を有する周囲(U)に沿って曲げ軸線(Z)回りに曲げられ、
前記ストリップは、前記内側ストリップ部分(7)が拡張方向(W)に沿って前記外側ストリップ部分に対して変位可能であるよう拡張可能であり、
‐少なくとも1つのロック装置(5)を有し、前記ロック装置は、前記拡張方向(W)とは逆方向に前記外側ストリップ部分に対して変位している前記内側ストリップ部分を停止させ、
前記ストリップ(3)には、前記内側ストリップ部分(7)と前記外側ストリップ部分(9)との間で前記曲げ軸線(Z)に平行に座屈領域(15)が形成され、
前記ストリップ(3)は、前記外側ストリップ部分(9)の前記周囲に沿って最大曲げ半径(R1)を有し、前記最大曲げ半径(R1)は、前記内側ストリップ部分(7)の前記周囲に沿う最大曲げ半径(R2)よりも小さい、ライナ(1)。
【請求項2】
前記曲げ半径(Rb=R1)は、前記外側ストリップ部分(9)の前記周囲に沿って一定である、請求項1記載のライナ(1)。
【請求項3】
前記曲げ半径(Rb=R2)は、前記内側ストリップ部分(7)の前記周囲に沿って一定である、請求項1又は2記載のライナ(1)。
【請求項4】
前記曲げ半径(Rb)は、前記内側ストリップ部分(7)の前記周囲に沿って着実に増加している、請求項1又は2記載のライナ(1)。
【請求項5】
前記曲げ半径(R2)は、方程式Rb=U0+ΔU/2πに従って前記内側ストリップ部分(7)の前記周囲に沿って直線的に増加している、請求項4記載のライナ(1)。
【請求項6】
前記ストリップ(3)の前記座屈領域(15)は、前記ストリップ(3)の前記外側ストリップ部分(9)の曲げ半径(R1)よりも小さい曲げ半径(R3)を有する、請求項1〜5のうちいずれか一に記載のライナ(1)。
【請求項7】
前記少なくとも1つのロック装置(5)は、前記内側ストリップ部分(7)に少なくとも部分的に形成された凹部(17)を有し、前記凹部(17)の長手方向側部は、前記周囲(U)に沿って延びている、請求項1〜6のうちいずれか一に記載のライナ(1)。
【請求項8】
前記凹部(17)は、前記2つの互いに反対側の長手方向側部に第1の係合領域(25)及び第2の係合領域(27)を有する、請求項7記載のライナ(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのロック装置(5)は、前記外側ストリップ端部(9)に固定されたラッチ止め装置(19)を有する、請求項7又は8記載のライナ(1)。
【請求項10】
前記ラッチ止め装置(19)は、第1の回転可能に支持された制止ピニオン(33)、第2の回転可能に支持された制止ピニオン(35)及び少なくとも1つのラッチ止め要素(37)を有する、請求項9記載のライナ(1)。
【請求項11】
前記第1の制止ピニオン(33)は、前記第1の係合領域(25)に少なくとも部分的に係合するよう構成され、前記第2の制止ピニオン(33)は、前記第2の係合領域(27)に少なくとも部分的に係合するよう構成されている、請求項10記載のライナ(1)。
【請求項12】
前記少なくとも1つのラッチ止め要素(37)は、前記制止ピニオン(33,35)の関連の回転方向における前記第1及び前記第2の制止ピニオン(33,35)の回転を制止するよう構成されており、その結果、ラッチ止め装置(19)は、前記拡張方向(W)とは逆の方向に前記内側ストリップ部分(7)に対して変位できないようになっている、請求項10又は11記載のライナ(1)。
【請求項13】
前記制止ピニオン(33,35)は、厚さが前記内側ストリップ端部(7)よりも大きい、請求項10〜12のうちいずれか一に記載のライナ(1)。
【請求項14】
前記ラッチ止め要素(37)は、付勢状態に支持されたピニオンである、請求項10〜12のうちいずれか一に記載のライナ(1)。
【請求項15】
前記少なくとも1つのロック装置(5)は、
‐前記内側ストリップ端部(7)に少なくとも部分的に形成されていて、長手方向側部が前記周囲に沿って延びる凹部(45)、
‐ラッチ止め装置(41)及び
‐前記外側ストリップ端部(9)に設けられていて、前記ラッチ止め装置(41)を固定するラッチ止め装置取り付け領域(47)を更に有し、
前記凹部(45)は、前記2つの互いに反対側の長手方向側部に第1の係合領域(43a)及び第2の係合領域(43b)を有し、
前記ラッチ止め装置(41)は、第1の制止要素(55a)、第2の制止要素(55b)及び少なくとも1つのクランプ要素(63)を有し、
前記第1の制止要素(55a)は、休止位置において前記第1の係合領域(43a)に少なくとも部分的に係合するよう構成された第1の相補係合領域(57a)を有し、前記第2の制止要素(55a)は、休止位置において前記第2の係合領域(43b)に少なくとも部分的に係合するよう構成された第2の相補係合領域(51b)を有し、
前記第1の制止要素(55a)の前記第1の相補係合領域(57a)は、第1の作動方向(B1)に沿って休止位置から変位可能であり、前記第2の制止要素(55b)の前記第2の相補係合領域(57b)は、第2の作動方向(B2)に沿って休止位置から変位可能であり、
前記少なくとも1つのクランプ要素(63)は、前記第1及び前記第2の相補係合領域(57a,57b)を休止位置に保持するために、前記第1の作動方向(B1)とは逆の方向に働く力を前記第1の相補係合領域(57a)のところに加えると共に前記第2の作動方向(B2)とは逆の方向に働く力を前記第2の相補係合領域(57b)のところに加えるよう構成されており、
その結果、前記ラッチ止め装置(41)は、前記拡張方向(W)とは逆の方向に前記凹部(45)に対して変位できないようになっている、請求項1〜6のうちいずれか一に記載のライナ(1)。
【請求項16】
前記第1の作動方向(B1)は、前記第2の作動方向(B2)と実質的に逆平行である、請求項15記載のライナ(1)。
【請求項17】
前記ラッチ止め装置(41)は、少なくとも1つのカバー要素(71)及び前記ラッチ止め装置(41)を前記ラッチ止め装置取り付け領域(47)に取り外し可能に固定する締結手段(75)を有する、請求項15又は16記載のライナ(1)。
【請求項18】
前記カバー要素(71)と前記締結手段(75)は、一体に形成されている、請求項17記載のライナ(1)。
【請求項19】
前記第1の制止要素(55a)及び前記第2の制止要素(55b)は、板状に形成されている、請求項15〜18のうちいずれか一に記載のライナ(1)。
【請求項20】
前記制止要素(55a,55b)は、厚さが前記内側ストリップ端部(7)よりも大きい、請求項19記載のライナ(1)。
【請求項21】
前記第1の制止要素(55a)と前記第2の制止要素(55b)は、実質的に同一に又は合同関係をなして形成されている、請求項15〜20のうちいずれか一に記載のライナ(1)。
【請求項22】
前記制止要素(55a,55b)は、前記締結手段(75)回りに回動可能である、請求項15〜21のうちいずれか一に記載のライナ(1)。
【請求項23】
前記クランプ要素(63)は、ワイヤ状又は板状ばねである、請求項15〜22のうちいずれか一に記載のライナ(1)。
【請求項24】
前記制止要素(55a,55b)は、互いに一体に形成されている、請求項15〜23のうちいずれか一に記載のライナ(1)。
【請求項25】
前記制止要素(55a,55b)は、固定式継手を有する、請求項24記載のライナ(1)。
【請求項26】
前記制止要素(55a,55b)は各々、作動領域(69a,69b)を有し、前記作動領域を介して工具によって前記制止要素(55a,55b)を休止位置から作動位置に移すことができるようになっている、請求項15〜25のうちいずれか一に記載のライナ(1)。
【請求項27】
前記ライナ(1)は、2つのロック装置(5)を有する、請求項1〜26のうちいずれか一に記載のライナ(1)。
【請求項28】
前記ストリップ(3)は、外面がエラストマーで覆われている、請求項1〜27のうちいずれか一に記載のライナ(1)。
【請求項29】
管を封止するための請求項1〜28のうちいずれか一に記載のライナ(1)の使用であって、前記ライナは、輸送状態で前記管の内部中に挿入され、前記ライナは、取り付け位置において拡張により稼働位置に移される、使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−506772(P2013−506772A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531273(P2012−531273)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005860
【国際公開番号】WO2011/038868
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(512022929)ウーリヒ カナルテクニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (3)
【Fターム(参考)】