説明

ライムの鮮度保持包装体及びライムの保存方法

【課題】 薬品を用いることなく、果皮の腐れ等の障害を生じることなくライムの黄化やしおれを防止できるライムの鮮度保持ができる包装体を提供することを目的とする。
【解決手段】 ライムを合成樹脂フィルムで包装した包装体であり、前記包装体のライム100gあたりの酸素透過速度が130〜600cc/100g・日・atmであり、包装体のライム100gあたりの酸素透過速度が130〜350cc/100g・日・atmでありライム入り包装体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライム入り包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ライムは、緑色の状態で収穫、販売され、黄化したものは見切り販売或は廃棄されている。しかし、ライムは、黄化しやすく、輸入を含めた流通や販売において黄化の防止が強く望まれている。特に船による輸入では、収穫後に数週間もの長期間に亘って貯蔵されることになり、例えば、海外からの船による輸入では3週間に亘って貯蔵されている。しかし、従来の低温輸送やCAコンテナでは、黄化を十分防止できず、日本へ輸入できない場合もあった。
【0003】
柑橘類の鮮度保持に関しては、特開2004−208558号公報があり、当該公報の特許請求の範囲に柑橘類を天然イソチオシアン酸アリルオイル含有製剤と併存させて、イソチオシアン酸アリル空間濃度として1〜50mg/Lの条件下で保存することを特徴とする青果物の鮮度保持方法が記載されており、これによって、薬害の発生を防止でき、防黴効果も発揮し、不良率を低減できるとされている。しかし、この方法では、黄化やしおれは防止できず、薬品を用いること、薬品が揮発性で取り扱い難いこと、薬品の臭いが果実にしみ込む可能性があることなど問題がある。
【0004】
特開平10−243767号公報では、10〜35℃の温度条件でスダチ1grあたりの酸素透過量が3.6〜35cc/24h・atm、二酸化炭素透過量3.6〜39.4cc/24h・atm、であり、水蒸気透過率が40gr/24h・m2(JIS Z0208,40℃,90%RH、0.1mm)以下の特性を有するプラスチックフィルムでスダチを密封包装するスダチの鮮度保持包装体について記載されている。しかし、この先行技術では、ライムについては検討されておらず、先行技術に記載された条件ではライムの鮮度保持が少し不十分であり、特に、3週間の長期間の鮮度保持では不十分であることが判明した。
【特許文献1】特開2004−208558号公報
【特許文献2】特開平10−243767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、薬品を用いることなく、果皮の腐れ等の障害を生じることなくライムの黄化やしおれを防止でき、鮮度保持に優れたライムの包装体を提供することを目的としており、特にライムを長期間貯蔵できる包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ライムを合成樹脂フィルムで包装した包装体であり、前記包装体のライム100gあたりの酸素透過速度が130〜600cc/100g・日・atmであるライム入り包装体である。
更に好ましい形態としては、前記包装体のライム100gあたりの酸素透過速度が130〜350cc/100g・日・atmであり、ライム入り包装体の保管温度が5〜15℃であり、ライムの質量減少がライム100gあたり0.3g/日以下であり、ライム入り包装体に微細孔があり、ライム100gあたりの包装体の開口面積が、5×10-4〜1.2×10-2mm2であるライム入り包装体である。
また、前記のライム入り包装体を用いて保存されたライムの保存方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の方法に従うと、薬品を用いることなく、果皮の腐れ等の障害を生じることなくライムの黄化やしおれを防止でき、従来よりも保管・流通期間を長くできるため、廃棄によるロスを軽減できる。また、特に黄化の点で、船での輸入・輸出のような長期間を要する輸送ができなかった品種の広域流通が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、ライムの包装体に関するものである。ライムとは、大きくはカンキツ属に含まれるが、分類上、初生カンキツ亜属ライム区の植物であり、後生カンキツ亜属ユズ区のスダチやカボスとは異なるものである。また、スダチは徳島県を代表とする国産果実であるが、ライムはメキシコや西インド諸島などからの輸入果実であるといった特徴がある。
ライムの種類としては、特に限定されず、緑色のライムであれば本発明を適用することができるが、例えば、メキシカンライム、タヒチライムなどがあげられる。特にメキシカンライムは、黄化しやすく、長期間の輸送が困難であり、本発明の包装体を用いることにより船便による日本への輸入が可能になる。
【0009】
包装体に用いられる包装袋の材質としては、特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ナイロン、ポリスチレン、ポリ乳酸など合成樹脂製のフィルムが用いられる。これらのフィルムの内、いずれかの素材を単独あるいは複数積層して用いればよい。また、これらは延伸してあってもよく、防曇加工や印刷が施してあっても良い。これらの内、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、低密度ポリエチレン(LDPE)及び線状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、低価格であり、程よい保湿性を有することからより好ましい。
これら合成樹脂フィルムの厚みは、経済的には60μm以下が好ましく、強度的に10μm以上が好ましい。より好ましくは、20μm以上45μm以下である。
【0010】
本発明の包装体において、ライム100gあたりの包装体の酸素透過速度は、130cc/100g・day・atm以上、600cc/100g・day・atm以下である。酸素透過速度が、130cc/100g・day・atm未満では、果皮の緑色は保持されるものの酸欠や炭酸ガス障害による果皮の腐敗や異臭が生じ、600cc/100g・day・atmを越えると果皮の黄化を十分抑制できない。より好ましいライム100gあたりの包装体の酸素透過速度は、130cc/100g・day・atm以上、340cc/100g・day・atm以下である。特にライムの保管温度が5℃〜15℃である場合には、130cc/100g・day・atm以上、340cc/100g・day・atm以下が好ましい。
【0011】
本発明に用いられる合成樹脂フィルム自身も酸素を透過するが、包装体の酸素透過速度を調節するために、合成樹脂フィルムに、傷、クラック(裂け目)、平均孔径が10〜100μmの微細孔、長さ1mm以上8mm以下の切れ込みなどの加工を施すことが好ましい。微細孔は、小さすぎると孔の数が多数必要であり、大きすぎると、孔1個あたりの酸素透過速度が大きすぎて、包装体の酸素透過速度の調節が難しくなり、平均孔径が10〜100μmの微細孔の微細孔が好ましい。傷とクラックは、包装体の見栄えを考慮すると1個あたりの大きさが100μm以下であることが好ましい。切れ込みは、1個当たりの長さが8mmを超えると1袋あたりの切れ込み数が少なくなり、包装体の酸素透過速度及び二酸化炭素透過速度を調節する精度が悪くなる可能性があるので8mm以下が好ましい。さらに好ましくは、切れ込みは1mm以上5mm以下の切れ込みである。酸素透過速度を制御しやすい点より微細孔が好ましい。
【0012】
合成樹脂フィルムの酸素透過速度の測定方法は下記の方法による。
(1)袋の準備
酸素透過量を測定するフィルムで袋を作成する。この際、フィルム以外から酸素が漏れ出さないように、ヒートシールで袋を作成して密封する。測定する袋のサイズは、袋の内表面積を0.06m2以上とする。なお、以下の全ての作業は、大気中で行う。
(2)窒素ガスの封入
ヒートシール等で袋を密封した後、アスピレーター等を用いて袋を脱気する。脱気は、袋の両面が貼りつくまで行う。次に、この袋に白硬注射筒を用いて窒素ガス(純度99.9%以上)を充填する。ガスの注入量は、袋サイズによるが、フィルムにテンションがかからない範囲で極力多く入れ、注射筒の目盛りを用いて測定する。なお、ガスの脱気、注入は、注射針を袋に突き刺して行う。針を刺す際は、フィルムに両面テープを貼り、この上からポリプロピレンフィルム製の粘着テープ(以下「PPテープ」という)を貼り付ける。また、針を抜いた後は、速やかにPPテープで針孔を塞ぐ。袋に貼るテープは、4.5cm2以下の面積に収まるようにする。また、微細孔フィルムの場合は、微細孔を塞がないように注意する。
【0013】
(3)初期酸素濃度測定
窒素ガス充填直後(t=0)の袋内の初期酸素濃度(C0)を測定する。袋内のガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフィー(TCD)で袋内の初期酸素濃度(C0)を求める。C0は0.2%以下であり、これを超える場合は、作業をやり直す。
酸素濃度測定のためのサンプリングガスは、10cc以下とする。ガスクロマトグラフィーに注入する場合は、1cc程度を注入する。
(4)袋の保管
初期酸素濃度を測定した袋は、23℃、60%RH(恒温恒湿庫)で保管する。このとき、袋の上に物が載ったり、恒温恒湿庫のファンの風が直撃したりしないように静置する。
【0014】
(5)保管中の袋内酸素濃度の測定及び酸素透過量の計算
袋内酸素濃度の測定は、窒素ガス充填直後と3時間以上経過後に酸素濃度が1%以上7%以下の範囲内で2点以上の合計3点以上測定し、経過時間t(hr)と袋内酸素濃度間に比例関係(相関係数が0.98以上)が成り立つ必要がある。相関係数が成り立たない場合は再試験を行う。
フィルムの酸素透過量が大きすぎて袋内酸素濃度の上昇が速すぎ、この条件をクリアできない場合は、フィルムの一部を酸素透過量が測定しているフィルムより小さく既知である同じ材質のフィルムと張り合わせて袋を作成して同様に行えばよい。この際、袋の表面積は既知である別のフィルムと貼り合わせた部分は除き、求められた酸素透過量より既知のフィルム部分の酸素透過量を差し引いたものが測定フィルムの酸素透過量となる。
酸素透過量は、経過時間が長いほうの値を用いて式1を計算する。

F=1.143×(Ct−C0)×V/t/s (式1)
但し、F : 酸素透過量(cc/m2・day・atm)
t : 窒素ガス充填後t時間後における袋内酸素濃度(%)
0 : 窒素ガス充填直後の袋内酸素濃度(%)
V : 充填した窒素ガスの量(cc)
t : ガス充填時からの経過時間(hr)
s : 袋の表面積(m2
【0015】
微細孔の開口面積は、ライム100gあたり5×10-4〜1.2×10-2mm2であることが好ましい。開口面積が5×10-4未満では、ライムに腐敗が生じやすく、1.2×10-2mm2より大きいと黄化を防止できない可能性がある。より好ましくは、開口面積はライム100gあたり8.5×10-4〜7.4×10-3mm2である。
微細孔は、包装体あたり2個以上設けることが好ましい。
【0016】
本発明の包装体において、1日のライム100gあたりの質量減少が0.3g以下であることが好ましい。質量減少が0.3g/日以下であれば、果実の水分が維持され、萎れを防止でき、商品性をより長く維持できる可能性がある。質量は、電磁式秤で測定した。
【0017】
保管温度は5℃以上15℃以下であることが好ましい。5℃未満では低温障害によって果皮にピッティング(果皮が褐変して凹んだ状態)を生じ、15℃を越えると、黄化やカビの発生などの劣化が生じやすくなる可能性がある。さらに好ましくは、5℃以上12℃以下である。
より好ましくは、切断面の巾がヘタの巾の1/2以下である。
柑橘類60以上柑橘類の防止に対してより好ましく、60以下であればのでただし、デコポンのように、通常、貯蔵前に予措をおこなって水分を飛ばすものや、温州みかんやポンカンのように、水分があると浮き皮(皮と実の間に隙間ができる)になりやすいようなものは、水蒸気柑橘類100gあたりの透湿度が1.3g/day以上であり、しおれを軽減するために28g/day以下であることが好ましい。
【0018】
本発明の包装体においては、袋の開口部を閉じる必要がある。一般的には、ヒートシール、カシメ、バックシール、輪ゴム、結束帯、糊付け、テープ止めなどが用いられるがこの限りではない。
【実施例】
【0019】
以下実施例で本発明を説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
《実施例1》
厚さ25μmの線状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルムで内寸300×350mmの袋を作製した。袋には、開口面積1.96×10-3mm2の孔5個をあけた。この袋にメキシカンライム35個(1120g)を入れて、開口部をヒートシールで密封した。
このとき、ライム100gあたりの酸素透過速度は、148cc/100g・day・atmであり、ライム100gあたりの開口面積は、8.8×10-4mm2/100gである。
このライム包装体を12℃で21日間保管してライムの品質を評価したところ、しおれることなく緑色が維持されており、良好な状態であった。また、保管中のライム100gあたりの質量減少は、0.0g/日であった。
《実施例2》
厚さ25μmの線状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルムで内寸300×350mmの袋を作製した。袋には、開口面積1.96×10-3mm2の孔16個をあけた。この袋にメキシカンライム35個(1120g)を入れて、開口部をヒートシールで密封した。
このとき、ライム100gあたりの酸素透過速度は、238cc/100g・day・atmであり、ライム100gあたりの開口面積は、2.8×10-3mm2/100gである。
このライム包装体を12℃で21日間保管してライムの品質を評価したところ、しおれることなく緑色が維持されており、良好な状態であった。また、保管中のライム100gあたりの質量減少は、0.0g/日であった。
《実施例3》
厚さ25μmの線状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルムで内寸300×350mmの袋を作製した。袋には、開口面積1.96×10-3mm2の孔40個をあけた。この袋にメキシカンライム35個(1120g)を入れて、開口部をヒートシールで密封した。
このとき、ライム100gあたりの酸素透過速度は、435cc/100g・day・atmであり、ライム100gあたりの開口面積は、7.0×10-3mm2/100gである。
このライム包装体を12℃で10日間保管してライムの品質を評価したところ、緑色が維持され良好であったが、21日間保管してライムの品質を評価したところ、しおれることなく良好であったが、緑色がやや薄くなっている状態であった。また、保管中のライム100gあたりの質量減少は、0.0g/日であった。
【0020】
《実施例4》
厚さ30μmの防曇加工を施した二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムで内寸160×180mmの袋を作製した。袋には、開口面積5.02×10-3mm2の孔2個をあけた。この袋にメキシカンライム4個(136g)を入れて、開口部をヒートシールで密封した。
このとき、ライム100gあたりの酸素透過速度は、341cc/100g・day・atmであり、ライム100gあたりの開口面積は、7.4×10-3mm2/100gである。
このライム包装体を20℃で10日間保管してライムの品質を評価したところ、しおれることなく緑色が維持されており、良好な状態であった。また、保管中のライム100gあたりの質量減少は、0.1g/日であった。更に、21日間保管してライムの品質を評価したところ、黄化が少し進んでおり、一部へたにカビが発生したものもあり商品価値が低下していた。
《実施例5》
厚さ30μmの防曇加工を施した二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムで内寸160×180mmの袋を作製した。袋には、開口面積5.02×10-3mm2の孔3個をあけた。この袋にメキシカンライム4個(136g)を入れて、開口部をヒートシールで密封した。
このとき、ライム100gあたりの酸素透過速度は485cc/100g・day・atmであり、ライム100gあたりの開口面積は、1.1×10-3mm2/100gである。
このライム包装体を20℃で10日間保管してライムの品質を評価したところ、しおれることなく緑色が維持されており、良好な状態であった。また、保管中のライム100gあたりの質量減少は、0.1g/日であった。更に、21日間保管してライムの品質を評価したところ、黄化が少し進んでおり、一部へたにカビが発生したものもあり商品価値が低下していた。
《実施例6》
厚さ30μmの防曇加工を施した二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムで内寸300×350mmの袋を作製した。袋には、開口面積1.96×10-3mm2の孔60個をあけた。この袋にメキシカンライム35個(1120g)を入れて、開口部をヒートシールで密封した。
このとき、ライム100gあたりの酸素透過速度は、438cc/100g・day・atmであり、ライム100gあたりの開口面積は、1.1×10-2mm2/100gである。
このライム包装体を12℃で10日間保管してライムの品質を評価したところ、緑色が維持され良好であったが、21日間保管してライムの品質を評価したところ、しおれることなく良好であったが、緑色がやや薄くなっている状態であった。また、保管中のライム100gあたりの質量減少は、0.0g/日であった。
ヘタとヘタ上部を併せた長さは3〜6mmであり、ヘタ上部の切断面の巾/ヘタの巾は、0.36〜0.38であった。
【0021】
《比較例1》
袋に微細孔をあけていない以外は実施例1と同様にメキシカンライムを包装した。
このとき、ライム100gあたりの酸素透過速度は、107cc/100g・day・atmであり、ライム100gあたりの開口面積は、0mm2/100gである。
このライム包装体を12℃で10日間保管してライムの品質を評価したところ、しおれることなく緑色は維持されたが、腐敗が少し発生しており、21日間保管してライムの品質を評価したところ、しおれることなく緑色は維持されたが、腐敗が多発しており販売できない状態であった。また、保管中のライム100gあたりの質量減少は、0.0g/日であった。
《比較例2》
袋に微細孔の代わりに、直径5mmの孔を8個あけた以外は実施例1と同様にメキシカンライムを包装した。このとき、ライム100gあたりの酸素透過速度は、値が大きすぎるため測定不能であり、ライム100gあたりの開口面積は、14mm2/100gである。
このライム包装体を12℃で10日間保管してライムの品質を評価したところ、しおれることはなかったが、黄化して一部個体で商品性がなくなっており、21日間保管してライムの品質を評価したところ、しおれることはなかったが黄化しており販売できない状態であった。また、保管中のライム100gあたりの質量減少は、0.1g/日であった。
《比較例3》
微細孔の数が70個である以外は実施例1と同様にメキシカンライムを包装した。
ヘタとヘタ上部を併せた長さは2mmであり、ヘタ上部の切断面の巾/ヘタの巾は、0.75〜0.88であった。ヘタとヘタ上部を併せた長さは3〜6mmであり、ヘタ上部の切断面の巾/ヘタの巾は、0.36〜0.38であった。
このとき、ライム100gあたりの酸素透過速度は、681cc/100g・day・atmであり、ライム100gあたりの開口面積は、1.2×10-2mm2/100gである。
このライム包装体を12℃で10日間保管してライムの品質を評価したところ、しおれることはなかったが、やや黄化して商品性が低下しており、21日間保管してライムの品質を評価したところ、しおれることはなかったが黄化しており、販売できない状態であった。また、保管中のライム100gあたりの質量減少は、0.0g/日であった。
【0022】
《比較例4》
袋に微細孔をあけていない以外は実施例4と同様にメキシカンライムを包装した。
このとき、ライム100gあたりの酸素透過速度は、53cc/100g・day・atmであり、ライム100gあたりの開口面積は、0mm2である。
このライム包装体を20℃で10日間保管してライムの品質を評価したところ、しおれることなく緑色は維持されたが、腐敗が多発しており販売できない状態であった。また、保管中のライム100gあたりの質量減少は、0.1g/日であった。
《比較例5》
袋に微細孔の代わりに、直径5mmの孔を8個あけた以外は実施例4と同様にメキシカンライムを包装した。このとき、ライム100gあたりの酸素透過速度は、値が大きすぎるため測定不能であり、ライム100gあたりの開口面積は、115mm2である。
このライム包装体を20℃で10日間保管してライムの品質を評価したところ、しおれて果皮表面のツヤが無く、黄化しており販売できない状態であった。また、保管中のライム100gあたりの質量減少は、0.8g/日であった。
《比較例6》
微細孔の数が9個である以外は実施例4と同様にメキシカンライムを包装した。
このとき、ライム100gあたりの酸素透過速度は、1349cc/100g・day・atmであり、ライム100gあたりの開口面積は、3.3×10-2mm2/100gである。
このライム包装体を20℃で10日間保管してライムの品質を評価したところ、しおれることはなかったが黄化しており、販売できない状態であった。また、保管中のライム100gあたりの質量減少は、0.1g/日であった。
《比較例7》
厚さ30μmの防曇加工を施した二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムで内寸160×180mmの袋を作製した。袋には、開口面積1.96×10-3mm2の孔1個をあけた。この袋にメキシカンライム4個(136g)を入れて、開口部をヒートシールで密封した。
このとき、ライム100gあたりの酸素透過速度は109cc/100g・day・atmであり、ライム100gあたりの開口面積は、1.4×10-3mm2/100gである。
このライム包装体を20℃で10日間保管してライムの品質を評価したところ、緑色は維持されたが、腐敗が生じて商品性が無かった。また、保管中のライム100gあたりの質量減少は、0.1g/日であった。更に、21日間保管してライムの品質を評価したところ、さらに腐敗が著しくなり、へたにカビ発生したものもあった。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、ライムの包装に用いることができ、本発明によりライムの鮮度を長期間保つことができ、黄化のない良いライムを最良の状態で提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライムを合成樹脂フィルムで包装した包装体であり、前記包装体のライム100gあたりの酸素透過速度が130〜600cc/100g・日・atmであることを特徴とするライム入り包装体。
【請求項2】
前記包装体のライム100gあたりの酸素透過速度が130〜350cc/100g・日・atmである請求項1に記載のライム入り包装体。
【請求項3】
ライム入り包装体の保管温度が5〜15℃である請求項1又は2に記載のライム入り包装体。
【請求項4】
ライムの質量減少がライム100gあたり0.3g/日以下である請求項1、2又は3に記載のライム入り包装体。
【請求項5】
ライム入り包装体に微細孔があり、ライム100gあたりの包装体の開口面積が5×10-4〜1.2×10-2mm2である請求項1、2、3又は4に記載のライム入り包装体。
【請求項6】
前記の請求項1〜5のいずれかに記載のライム入り包装体を用いて保存されたライムの保存方法。

【公開番号】特開2008−237190(P2008−237190A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−86576(P2007−86576)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】