説明

ラインスキャナ

【課題】 LED照明の小型化と同時に大光量化を可能にしたラインスキャナを提供する。
【解決手段】 このラインスキャナではライン型のCCD14が利用され、照明部12から出射された光を反射ミラー13で反射させることにより間接照明を達成させ、照明ムラや照明の写り込みを防止することが容易である。そして、近年、限られた高さスペース内に配置できるような安価で小型なラインスキャナが求められており、これを達成するために、照明部12は、反射ミラー13の延在方向に沿って直線的に配列された前列の第1及び第2のLED群20,30と後列のLED群40とを有し、後列の第3のLED群から出射された光は、前列側の第1のLED群と第2のLED群との間に形成された隙間A1を通過して反射ミラー13に到達させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、身分証明カード、ICカード、エンボス付きカードなどの各種カードの読み取りに利用するためのラインスキャナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開平1−155766号公報がある。この公報に記載されたラインスキャナには、一次元的に配列した光電気変換素子が設けられ、照明装置としては、LED、蛍光灯、ハロゲンランプなどが利用されている。そして、写真などの読取り対象物に沿って光電気変換素子を移動させながら、画像は読み込まれる。
【0003】
【特許文献1】特開平1−155766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来のラインスキャナではLEDが採用されているが、LEDはハロゲンランプに比べて小型ではあり、光量不足が発生し易い。そして、単にLEDをアレイ状に配列しただけでは、照明の小型化を達成させながら大光量を発生させ難いといった問題点がある。
【0005】
本発明は、特に、LED照明の小型化と同時に大光量化を可能にしたラインスキャナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るラインスキャナは、読取り対象物に照明光を照射する照明部と、照明部からの光を読取り対象物に向けて反射させる反射ミラーと、読取り対象物からの反射光を受光して読取り対象物を撮像するライン型CCDと、照明部とCCDとの間に配置され、読取り対象物からの反射光をCCDに集光させる集光レンズとを備え、照明部は、反射ミラーの延在方向に沿って直線的に配列されると共に、2段に積層されて、反射ミラーに向けて光を出射する前列の第1及び第2のLED群と、第1及び第2のLED群と反射ミラーとの間で反射ミラーの延在方向に沿って直線的に配列されると共に、第1のLED群と第2のLED群との間に形成された隙間を通過するように指向された光を反射ミラーに向けて出射する後列のLED群とを有することを特徴とする。
【0007】
このラインスキャナではライン型のCCDが利用され、照明部から出射された光を反射ミラーで反射させることにより間接照明を達成させ、照明ムラや照明の写り込みを防止することが容易である。そして、近年、限られた高さスペース内に配置できるような安価で小型なラインスキャナが求められており、これを達成するためにLEDに発明者らは着目したが、LEDは、ハロゲンランプに比べて小型ではあるが光量不足が発生し易い。そこで、ラインスキャナに求められる大光量をLEDによって発生させるために、照明部は、反射ミラーの延在方向に沿って直線的に配列された前列の第1及び第2のLED群と後列のLED群とを有し、後列の第3のLED群から出射された光は、前列側の第1のLED群と第2のLED群との間に形成された隙間を通過して反射ミラーに到達させている。このようなLED配列により、前列側のLED群の光量を後列側のLED群で補完することができ、照明の大型化を回避しつつLEDの短所である光量不足を解消することができる。
【0008】
また、後列のLED群の各LEDの先端は、集光レンズを通る光軸に対して出射光が所定角度をもつように外方に向けられていると好適である。高分解能や高速スキャンを実現するために輝度の高い集光レンズを使うと、レンズ周縁の光量が落ちてしまうので、均一な照明で読取り対象物を照らすと、CCDで撮像された画像の周縁が不鮮明になる。そこで、読取り対象物の端部での反射光量をアップさせる手段として、後列のLED群における各LEDの先端は、集光レンズを通る光軸に対して出射光が所定角度をもつように外方に向けられている。
【0009】
また、反射ミラーの延在方向における両端において、反射ミラーを挟むようにして対向して配置された一対のサイドミラーが更に設けられ、サイドミラーは、反射ミラーで反射した光を読取り対象物の読取り領域の端部に向けて反射させると好適である。高分解能や高速スキャンを実現するために輝度の高い集光レンズを使うと、レンズ周縁の光量が落ちてしまうので、均一な照明で読取り対象物を照らすと、CCDで撮像された画像の周縁が不鮮明になる。そこで、前述したサイドミラーの採用により読取り対象物の端部での反射光量をアップさせることができ、画像の輪郭を浮き立たせることができる。
【0010】
また、反射ミラーの延在方向における両端において、読取り対象物を支持する保護ガラスに対面するように、保護ガラスに対し所定の角度をもって配置された一対のサイドミラーが更に設けられ、サイドミラーは、保護ガラスで反射した光を読取り対象物の読取り領域の端部に向けて反射させると好適である。高分解能や高速スキャンを実現するために輝度の高い集光レンズを使うと、レンズ周縁の光量が落ちてしまうので、均一な照明で読取り対象物を照らすと、CCDで撮像された画像の周縁が不鮮明になる。そこで、前述したサイドミラーの採用により読取り対象物の端部での反射光量をアップさせることができ、画像の輪郭を浮き立たせることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、LED照明の小型化と同時に大光量化が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るラインスキャナの好適な実施形態について詳細に説明する。
【0013】
図1に示すように、ラインスキャナ1は、読取り領域Sを画成する保護ガラス2が嵌め込まれたハウジング3を有し、保護ガラス2上において身分証明カード、ICカード、エンボス付きカードなどの各種カード(読取り対象物)Cの読み取りに利用される。そして、このラインスキャナ1は、カードCの高速搬送を可能にする連続供給装置(図示せず)の途中に設置されている。特に、このラインスキャナ1は、高分解能を有する小型の高速スキャナに適している。
【0014】
図2に示すように、ハウジング3内にはスキャン機構4が収容され、このスキャン機構4は、モータMによってリニアに移動するカメラユニット7を有し、このカメラユニット7の両側にはスライダ7aが設けられている。このスライダ7a内を貫通するように、フレーム9の全長に渡ってガイドレール8が延在することで、カメラユニット7は、撮像時において、2本のガイドレール8に沿ってフレーム9内をスムーズに移動することができる。
【0015】
さらに、このカメラユニット7は、フレーム9に固定されたモータMのプーリ10とフレーム9に取り付けられたプーリ11との間に架け渡されたタイミングベルトBに固定されている。したがって、モータMの駆動により、カメラユニット7をガイドレール8に沿って所定速度でリニアに移動させることができるので、保護ガラス2上に配置されたカードCを所定の速度でスキャンすることができる。
【0016】
このカメラユニット7は、カードCに光を照射する照明部12と、照明部12からの光をカードCに向けて反射させるように、光軸Lに対して45度の角度をもって配置された反射ミラー13と、カードCからの反射光を受光してカードCを撮像するライン型撮像素子(CCD)14と、照明部12とCCD14との間に配置され、カードCからの反射光をCCD14に集光させる集光レンズ15とを備えている。そして、照明部12から出射された光を反射ミラー13で反射させることにより間接照明が達成され、照明ムラや照明の写り込みが容易に防止される。
【0017】
さらに、近年、限られた厚さのスペース内に配置できるような安価で小型なラインスキャナが求められており、これを達成するために白色LEDに発明者らは着目したが、LEDは、ハロゲンランプに比べて小型ではあるが光量不足が発生し易い。
【0018】
そこで、図3及び図4に示すように、ラインスキャナに求められる大光量を白色LEDによって発生させるために、照明部12は、回路基板33に固定されると共に反射ミラー13の延在方向に沿って直線的に配列されて2段に積層された前列の第1及び第2のLED群20,30と、回路基板43に固定された後列のLED群40とを有する。後列のLED群40から出射された光は、前列側の第1のLED群20と第2のLED群30との間で回路基板33上に形成された隙間A1を通過して反射ミラー13に到達する。
【0019】
前列の上段に配置した第1のLED群20の各LED21は、集光レンズ15を通る光軸Lの上方に位置すると共に、出射光が斜め下方に向くように回路基板33上に固定されている。また、前列の下段に配置した第2のLED群30の各LED31は、集光レンズ15を通る光軸Lの下方に位置すると共に、出射光が斜め上方に向くように回路基板33上に固定されている。第1及び第2のLED群20,30を斜め下方及び斜め上方に向けることで、反射ミラー13で反射した光を読取り領域Sで直線的に集光させることができ、このような集光は、ライン型撮像素子(CCD)14に特に有効である。
【0020】
前列の第1及び第2のLED群20,30の後方には、回路基板33の隙間A1を通過するように指向された光を出射する後列のLED群40が配置されている。この後列のLED群40において、集光レンズ15を通る光軸Lの上方に配置された第3のLED群40Aの各LED41は、出射光が斜め下方に向くように回路基板43上に固定されている。また、後列の下段に配置した第4のLED群40Bの各LED42は、集光レンズ15を通る光軸Lの下方に位置すると共に、出射光が斜め上方に向くように回路基板43上に固定されている。なお、回路基板43には、第3のLED群40Aと第4のLED群40Bとの間で光の通過を可能にするための隙間A2が設けられ、この隙間A2は集光レンズ15に対向している。
【0021】
このように、第3及び第4のLED群40A,40Bを斜め下方及び斜め上方に向けることで、反射ミラー13で反射した光を読取り領域Sで直線的に集光させることができ、このような集光は、ライン型撮像素子(CCD)14に特に有効である。さらに、前列側のLED群20,30の光量を後列側のLED群40で補完することができ、照明の大型化を回避しつつLEDの短所である光量不足を解消することができる。
【0022】
さらに、高分解能や高速スキャンを実現するために輝度の高い集光レンズ15を使うと、レンズ周縁の光量が落ちてしまうので、均一な照明でカードCを照らすと、CCDで撮像された画像の周縁が不鮮明になる。そこで、カードCの端部での反射光量をアップさせる手段として、図3に示すように、第3及び第4のLED群40A,40Bの各LED41,42の先端は、光軸Lの左右において、光軸Lに対して出射光が所定角度(例えば10°±2°)をもつように外方に向けられている。
【0023】
さらに、カードCの端部での反射光量をアップさせるために、図5に示すように、反射ミラー13の延在方向における両端には、反射ミラー13を挟むようにして対向して配置された一対のサイドミラー50が設けられている。サイドミラー50は、サイドミラー50の上端が横に広がるようにして配置され、サイドミラー50の下端は、反射ミラー13の下部にブラケットを介してネジや接着剤で固定されている。また、サイドミラー50の広がり角度は、反射ミラー13で反射した光がカードCの読取り領域Sの端部に向けて適切に反射される角度が選択されている。したがって、後列側の第3及び第4のLED群40A,40Bとサイドミラー50との協働により、画像の輪郭を浮き立たせることが可能になる。
【0024】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、図6及び図7に示すように、他のラインスキャナ61では、反射ミラー13の延在方向における両端において、各スライダ7aの上面に、サイドミラー60がブラケットを介してネジや接着剤で固定されている。各サイドミラー60は、カードCを支持する保護ガラス2に対面するように、保護ガラス2に対し所定の角度をもって配置されている。そして、各サイドミラー60は、保護ガラス2で反射した光をカードCの読取り領域Sの端部に向けて集中的に反射させているので、保護ガラス2で反射した光の有効活用を図りつつ、カードCの端部での反射光量をアップさせることができ、画像の輪郭を浮き立たせることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るラインスキャナの外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示したラインスキャナ内のスキャン機構を示す斜視図である。
【図3】カメラユニットを概略的に示す平面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】カメラユニットに適用する反射ミラー及びサイドミラーを示す正面図である。
【図6】本発明に係るラインスキャナの他の実施形態を示す斜視図である。
【図7】図6のラインスキャナに適用された反射ミラー及びサイドミラーを示す正面図である。
【符号の説明】
【0026】
1,61…ラインスキャナ、2…保護ガラス、12…照明部、13…反射ミラー、14…ライン型CCD、15…集光レンズ、20…前列の第1のLED群、21,31,41,42…LED、30…前列の第2のLED群、40…後列のLED群、50,60…サイドミラー、C…カード(読取り対象物)、L…光軸、S…読取り領域、A1…隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取り対象物に照明光を照射する照明部と、
前記照明部からの光を前記読取り対象物に向けて反射させる反射ミラーと、
前記読取り対象物からの反射光を受光して前記読取り対象物を撮像するライン型CCDと、
前記照明部と前記CCDとの間に配置され、前記読取り対象物からの反射光を前記CCDに集光させる集光レンズとを備え、
前記照明部は、
前記反射ミラーの延在方向に沿って直線的に配列されると共に、2段に積層されて、前記反射ミラーに向けて光を出射する前列の第1及び第2のLED群と、
前記第1及び第2のLED群と前記反射ミラーとの間で前記反射ミラーの延在方向に沿って直線的に配列されると共に、前記第1のLED群と前記第2のLED群との間に形成された隙間を通過するように指向された光を前記反射ミラーに向けて出射する後列のLED群とを有することを特徴とするラインスキャナ。
【請求項2】
前記後列のLED群の各LEDの先端は、前記集光レンズを通る光軸に対して出射光が所定角度をもつように外方に向けられていることを特徴とする請求項1記載のラインスキャナ。
【請求項3】
前記反射ミラーの延在方向における両端において、前記反射ミラーを挟むようにして対向して配置された一対のサイドミラーが更に設けられ、前記サイドミラーは、前記反射ミラーで反射した光を前記読取り対象物の読取り領域の端部に向けて反射させることを特徴とする請求項1又は2記載のラインスキャナ。
【請求項4】
前記反射ミラーの延在方向における両端において、前記読取り対象物を支持する保護ガラスに対面するように、前記保護ガラスに対し所定の角度をもって配置された一対のサイドミラーが更に設けられ、前記サイドミラーは、前記保護ガラスで反射した光を前記読取り対象物の読取り領域の端部に向けて反射させることを特徴とする請求項1又は2記載のラインスキャナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−186928(P2006−186928A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−381169(P2004−381169)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】