説明

ライン検査ロボット及びシステム

本発明は、ロボットが物体を通過することを可能にする迂回システムに関する。この迂回システムは、(a)シールド線に取り付けられた第1ダイバータと、(b)第1ダイバータから離隔した位置でシールド線に取り付けられた第2ダイバータと、(c)第1ダイバータに接続された第1端及び第2ダイバータに接続された第2端を有するブリッジと、を備えている。第1ダイバータがロボットをシールド線からブリッジ上に離脱させ、第2ダイバータがロボットをブリッジからシールド線上に離脱させて、ロボットが物体を通過することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年2月10日出願の仮出願61/303,047の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般的に、ライン検査システムに関し、特には、送電ライン(送電線)の構成要素及び敷設用地の状態を検査するための架空送電ラインの検査ロボット及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
架空送電ラインは、電力業界内の最も広域に配置されたアセット(資産)であり、数千マイルを延設されており、しばしば遠隔状態にある。増加する信頼性の要求、経年した構成要素(部品)、敷設用地の適法性検査及び予算制限により、完全で、タイムリーな尚且つ費用効率が高い、送電ラインの全長に亘る検査の必要性が増加している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、自動遠隔検査並びに送電ライン構成要素及び敷設用地の状態のモニタリングを提供する送電線検査ロボット及びシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、ロボットが物体を通過することを可能にする迂回システムは、シールド線に取り付けられた第1ダイバータと、前記第1ダイバータから離隔した位置で前記シールド線に取り付けられた第2ダイバータと、前記第1ダイバータに接続された第1端及び前記第2ダイバータに接続された第2端を有するブリッジと、を備えている。前記第1ダイバータが前記ロボットを前記シールド線から前記ブリッジ上に離脱させ、前記第2ダイバータが前記ロボットを前記ブリッジから前記シールド線上に離脱させ、前記ロボットが前記物体を通過する。
【0006】
本発明としての主題は、添付した図面に対応してなされる以下の説明を参照して最も理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の実施形態によるライン検査ロボットを示す。
【図2】図2は、図1のライン検査ロボットの斜視図である。
【図3】図3は、図1のライン検査ロボットの側面図である。
【図4】図4は、図1のライン検査ロボットの端面図である。
【図5】図5は、図1のライン検査ロボットのギアセットを示す。
【図6】図6は、図1のライン検査ロボットのホイールプラットフォームに係合する図4のギアセットを示す。
【図7】図7は、開位置にある図1のライン検査ロボットの駆動システムを示す。
【図8】図8は、閉位置にある図7の駆動システムを示す。
【図9】図9は、限定された開位置における図7の駆動システムを示す。
【図10】図10は、図7の駆動システムを示す。
【図11】図11は、図1のライン検査ロボットのギアボックスを示す。
【図12】図12は、図1のライン検査ロボットの制御システムの機能概略図である。
【図13】図13は、図1のライン検査ロボット上のセンサを示す。
【図14】図14は、図1のライン検査ロボットが構造物を通過することを可能にする、本発明の実施形態による、迂回システムを示す。
【図15】図15は、連絡点を通過することに使用されている図14の迂回システムを示す。
【図16】図16は、剛性ブリッジを使用する図14の迂回システムを示す。
【図17】図17は、ブリッジを支持するように中央ダイバータを有する図14の迂回システムを示す。
【図18】図18は、図14の迂回システムのダイバータを示す。
【図19】図19は、図18のダイバータの側面図である。
【図20】図20は、図17の中央ダイバータの斜視図である。
【図21】図21は、異なる搭載システムを有する図20のダイバータを示す。
【図22】図22は、迂回システムの使用のためのダイバータを示す。
【図23】図23は、ダイバータと係合する図7の駆動システムを示す。
【図24】図24は、ダイバータと係合する図23の駆動システムを示す。
【図25】図25は、本発明の実施形態に従うセンサシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して、本発明の実施形態に従う架空送電ラインの検査のための例示の検査ロボットが図1及び図2おいて説明され、一般的に参照番号10で示される。ロボット10は、ユーティリティが直ちに作用可能な高い忠実度の情報を収集するように架空送電ラインを縦断(移動)するように設計(構成)される。ロボット10は、様々な検査技術を使用して、シールドワイヤ11上を移動し、高い危険性の植生、敷設用地侵入、及び、構成要素の状態を特定する。
【0009】
ロボット10は、動作、通信、検査センサ及び処理のための電力を提供するように、充電可能なバッテリを使用する。様々な電力収集源がバッテリを充電することに使用可能であることが認められるべきである。ハイブリッドシステムを形成するように2以上の電力収集源が同時に使用可能であることがさらに認められるべきである。以下の電力収集ソリューションが使用されうる。
1.バッテリを充電するようにソーラーエネルギーを得るためのロボット10上に配置されたソーラーパネル18。ソーラーパネル18は、自然環境からの保護のために密封されており、ソーラーエネルギーの光学的収集のためにロボット10の頂部に搭載されている。パネル18はまた、雨及び重力が堆積物を洗い流すのを助けるように傾斜している。
2.送電ラインに沿って分布した構造物上に位置する複数の充電ステーションが、ロボット10のバッテリを充電することに使用されうる。ロボット10がドッキングするときに充電ステーションからのエネルギーがロボット10のバッテリに伝送されるように、充電ステーションは、電場、磁場、ソーラー、風、温度差、及び振動のような技術を使用して数週間に亘ってゆっくりとバッテリに充電する。
3.ロボット10はまたE−フィールド(電場)を使用して充電されうる。この場合、電圧を印加したフェーズからE−フィールドに容量的に結合するロボットの下に「プレート」が位置し、連続的にバッテリを充電する。
4.ロボット10は、磁場を使用して充電されうる。シールド線が構造物に設置されている場合、相電流内の不均衡によって、電流がワイヤ内を流れる。電流からの電力は、インダクタ(誘導子)又は変流器を使用して収集され、充電のためにバッテリに送られる。
5.シールド線が(片側又は両側で)絶縁されている場合、ロボット10は、シールド線絶縁体がある構造物に移動し、そして、インピーダンス又は完全短絡で構造にギャップをブリッジ(架橋)する。これによって電流が流されるであろう。電流及び電圧が生成されてバッテリを充電することに使用される。そして、ロボット10のバッテリが再充電を必要とするまでロボット10はその検査任務で前進し、その時点でロボット10が自身を再度充電する隣の利用可能な構造物に移動する。
【0010】
図2及び3に示すとおり、ロボット10は、プラットフォーム(台座部)14に相互接続された一対のトラック(台車部)12及び13を含む。トラック12及び13は、シールド線11をクランプすると共にロボット10がシールド線11を縦断することを可能にするために、ホイール16A、16B、16C並びにホイール17A、17B及び17Cをそれぞれ有する駆動システム15A及び15Bを含む。トラック12及び13は、プラットフォーム14のサポート(支持部)19に回動アーム20及び21によって接続されている。プラットフォーム14は、サポート19に取り付けられたバスケット(収容部)22をさらに含む。バスケット22は、全ての電気ハードウェアを収容し、且つ、ツール等の保管空間を提供する。示されたとおり、バスケット22は、サポート19の上部に取り付けられている。しかしながら、バスケット22がサポート19の底部にもまた取り付け可能であることが認められるべきである(図1)。
【0011】
図4に示すとおり、回動アーム20及び21(回動アーム20だけが図4に示されている)は、ブラケット23及び24、並びに、回動アーム20及び21をサポート19の両側に取り付けるための取り付けシステム28及び29を有するスピンドル26及び27を含む。簡潔のために、回動アーム20のみ詳細に説明する(回動アーム21は回動アーム20と同一である)。示されるとおり、ブラケット23は、トラック12に回動式に接続され、トラック12に対してプラットフォーム14を回動又は移動させる。そして、スピンドル26は、第1端でブラケット23に回動式に接続され、ブラケット23に対してプラットフォーム14が統合することを可能にする。これは、プラットフォーム14並びにトラック12及び13が、互いに対して移動の自由度を有することを可能にし、これによって、ロボット10が曲がり角を曲がって移動すること、又は、上り勾配及び下り勾配を移動することを可能にする。
【0012】
取り付けシステム28は、スピンドル26がサポート19に取り付けられるように、スピンドル26の第2端に取り付けられている。取り付けシステム28は、サポート32に取り付けられた一対のブッシング(軸受筒)30及び31と、サポート19への接続のためにそれを通して延びるファスナー(締結具)33及び34とを含む。示されているとおり、サポート19はブッシング30及び31の上に位置しており、サポート19をスピンドル26にしっかりと固定させるように、ファスナー33及び34がサポート19内の孔を通って延びる。
【0013】
図5及び6に示すとおり、ホイール16A及び17Aが、開位置間で移動するために(図7)、対向するホイール(例えば16A、16B及び16C)と閉位置との間でシールド線を受容するために(図8)、及び、対向するホイール間にシールド線を固定するために、ホイールプラットフォーム37A及び37Bにそれぞれ取り付けられている。説明の目的のために、プラットフォーム37Aだけ説明する。ホイールプラットフォーム37Aは、一対のレール38及び39に動作式に接続され、プラットフォーム37Aがその上を摺動することを可能にする。ラックアンドピ二オン式ギアセット40及び41は、開位置と閉位置との間でプラットフォーム37Aを移動させ、ラック42及び43、ピ二オン44及び45、並びに、ピ二オン44及び45を回転させるためのモータ47及び48を含み、これによって、プラットフォーム37Aを移動させる。プラットフォーム37Aはまた最大開口(図9)に制限されて、ホイールがシールド線を解放することを防止する。これは、ギアロック50(図10)に係合することにより行われ、プラットフォーム37Aが最大許容開口を越えて開口することを防止する。
【0014】
図10に示すとおり、駆動システム15A及び15Bの各々は、ホイール16B及び16C並びに17B及び17Cを駆動するためのモータ及びギアボックスを含む。簡潔のために、駆動システム15Aだけを説明する。示されているとおり、駆動システム15Aは、ホイール16B及び16Cに動作式に接続された一対のモータ51及び52を含む。モータ51及び52は、ホイール16B及び16Cを駆動して、シールド線11に沿ってロボット10を推進させる。2つのスピードギアボックス54はまた、ホイール16B及び16Cの駆動においてモータ51及び52を補助することに利用される。ギアボックス54は、低速/高トルクを推進するための第1ギア設定、及び、高速/低トルクを推進するための第2ギア設定を含む。第1ギア設定は、傾斜、障害物、又は(後述の)ダイバータを通過することに使用される。第2ギア設定は、必要なときに高速検査を提供することに使用される。ホイールロック又はパーキングブレーキ53は、強風、氷雪又は傾斜がロボット10の正常な移動を妨げる場合に、シールド線11上の適切な位置にホイール16B及び16Cをロック(固定)するように提供される。損傷を防止するように、ロボット10が自身をロックダウン(固定)することが可能である。
【0015】
図12及び13に示すとおり、ロボット10は、中央プロセッサ61及びマイクロコントローラ62を有する制御システム60によって制御される。プロセッサ61及びマイクロコントローラ62は、(後述の)多重センサからのデータを融合して、測定信頼性を向上させると共に単一センサで到達不可能な結論に達する。プロセッサ61は、タイムリーにユーザーに通信されることを必要とする状況の警告基準を構築する。警告は、リアルタイムのセンサ値及び論理状態に基づく。警告(アラーム)は、(後述の)無線通信チャネル上で中央ウェブサーバーに転送される。
【0016】
中央プロセッサ61は、内部保全(ヘルス)データと同様に重要な送電ラインシステム検査データを収集するように、そのリソースを知的に処理及び利用する。プロセッサ61は、バッテリ、ソーラーパネル、駆動モータ、センサ及び通信のような全サブ(下位)システムの状態をテストする。サブシステムの異常又は機能障害は、「機能低下」から「緊急停止」の範囲にある臨界レベルによって分類される。システム保全コードは、保守診断のためのシステムファイルに保存される。プロセッサ61は、バッテリの充電状態、ソーラーセル充電電流状態、並びに、コンピュータ及びセンサの負荷電力状態をモニタリングする。この情報に基づいて、ロボット10が安全性及び信頼性のある形で動作することを確実にするように、プロセッサは電力を管理する。さらに、ユーザーがロボットに、特定の場所に行くこと、写真をとること、又は、他の所望の機能を実行することを命令することを可能にするように、プロセッサ61及びマイクロコントローラ62は無線通信チャネル上の内蔵センサの手動リアルタイム制御を可能にさせる。
【0017】
制御システム60は、複数のセンサ、カメラ及び通信機器をさらに含む。各々を以下に説明する。制御システム60は、敷設用地、導体、絶縁体、及びタワーの検査のための複数の高解像度カメラ(前向き63、後向き64及び下向き66)を含む。カメラは自動露光制御及び自動フォーカスを含む。光源67及び68は、前向きカメラ63、後向きカメラ64にも提供される。複数の単焦点カメラ(前向き70及び後向き71)がまた、ナビゲーションクリアランス(運行検査、navigation clearance)のために設けられている。光源67及び68はカメラ70及び71にもまた使用されうる。下向きカメラ66は、敷設用地の検査及び局面的な導体検査を提供する。赤外線下向きカメラ72もまた使用されうる。
【0018】
1以上のカメラ63、64、66、70及び71が、(後述の)ダイバータと同様に縦断しているシールド線を見ることにもまた使用されうる。カメラからの画像は、運動性の事項を評価するように遠隔オペレータによって使用可能である。カメラはシールド線を評価することに使用可能であり、あるいは、画像認識を使用して、乗り越えられない移動障害を自動的に特定する。特定された移動障害が存在する場合、画像がオペレータに送信されうる。カメラ63、64、66、70及び71によって提供された画像のための画像処理は、画像内の選択された領域又は物体を識別し、物体又は要素の大きさを決定し、そして、保存された基準データからの変化を認識することにもまた利用可能である。
【0019】
レーザー距離計73が、ロボット10の下の敷設用地及び送電ライン構成要素を走査(スキャン)するように提供される。距離計73は、敷設用地に亘って、ライン内の物体の高さ形状を記録し、ロボット10が前進するときに連続するアクロストラック・ライン(acrosstrack line)を記録に構築する。制御システム60は、基準データベースから変化した敷設用地の形状における特徴を特定するように、距離計73のデータを分析する。制御システム60はまた、導体の範囲を特定し、地面からの導体の高さを判断するように、距離計73のデータを分析する。これにより、システム60は導体の弛みを判断可能である。
【0020】
音響センサ74は、連続的に又は周期的にデジタル式に記録可能な音響信号を受け取る。タイムスタンプを有する記録は、異常な事象との相関のために中央サーバーに転送される。内蔵音響信号処理は、問題のある状態(鳥の活動、コロナ、アーク放電、駆動トレーン摩耗又は損傷検出など)を特定することに使用可能である。多重マイクロフォンを使用することにより、音響センサ74は、音響信号が存在する方向を得ることにも使用可能である。
【0021】
複数の他のセンサ及び装置がまた制御システム60内に含まれており、正確且つ最新の情報をユーティリティに提供する。例えば、外気温度、相対湿度及び風速を測定するための天候センサ76〜78と、ロボット10内部の温度を測定するための内部ロボット温度センサ79と、雷が発生し易いときを判断するためのDCチャージセンサ80と、ロボット10及びシールド線11の傾き又は垂直勾配を測定すると共にシールド線11の任意の主要な振動形式を特定するための3−D加速度計81と、ロボット10に無線周波数妨害を検知可能な広域無線周波数検知機を提供するための無線周波数妨害センサ82と、導体、絶縁体、タワー又は他の送電ライン要素に沿って配置された分散したセンサからのデータを読み取るためのワイヤレスセンサリーダ(読取機)83と、ロボット10の位置及び速度を特定するための全地球測位センサ(GPS)84と、近接センサ86と、局所のドッキングステーションでバッテリの充電を可能にするタワー接触器87と、地図データ、検査データ、警告データ、保全データ等のようなデータを保存するようにメモリマネージャ89によって管理される不揮発性メモリ88と、ローカルワイヤレスモデム91及び衛星ワイヤレスモデム92を有する通信システム90と、が存在する。
【0022】
通信システム90は、重要な情報をシステムオペレータに送信し、且つ、ローカルワイヤレスモデム91又は衛星ワイヤレスモデム92のいずれかを介して制御オプションを提供する。ロボット10は、プログラムされた経路を自立的に移動し、ライン及びロボット10の状態についてのデータをワイヤレスでシステムオペレータに伝送するように設計されている。ロボット10はデータを収集し、且つ、搭載データを処理し、そして、重要な結果だけをオペレータに伝送する。ロボット10に要求すると、オペレータはより詳細なデータをダウンロードすることができる。特定の場所又は位置に移動すること、前進及び後退のような特定の行動をとること、特定の画像を取得すること等の命令を遠隔オペレータがロボット10に対して与えることを該ロボット10はまた可能にする。ローカルワイヤレスモデム91はまたローカルワイヤレス通信を許容し、ロボット10の短距離内のユーザーが、携帯電話のようなワイヤレス機器から、主要機能を制御し、ロボットの状態を要求し、展開を初期化し、及び、センサデータをダウンロードすることを可能にする。ロボットの位置及び速度が内蔵GPSシステム84を使用して決定される。
【0023】
正常な状況下で、ロボット10は、非常に詳細な評価を実行する一方で電力を節約する速度でシールド線11を縦断する。本目的は、ホバリングするヘリコプターの検査を越える検査、あるいは、最低でも同等の検査を提供することにある。問題が架空送電ラインにおいて検知された場合、オペレータは、ロボット10を加速し、検査のために問題を検知するようにロボットを送る。さらに、風速が非常に強いとロボット10の風速センサが判断した場合、あるいは、ロボット10の内部温度が非常に高いと内部温度センサが判断した場合に、ロボット10は損傷を防ぐように自身を停止させる。示されているとおり、マイクロコントローラ62は、コントロールシステム60のセンサ及び装置から収集したデータを使用して、ロボット10のモータ及びブレーキ作動装置を制御する。
【0024】
図14〜17に示すとおり、本発明の実施形態に従う迂回(分岐)システムが、参照番号100で一般的に示されている。示されているとおり、構造物96の簡単な通過、簡易メンテナンス、電磁場の影響の軽減を可能にするように、ロボット10はシールド線11に沿って移動する。迂回システム100はシールド線11に組み込まれ、シールド線11上に位置する構造物96、又は、タワーのようなシールド線11を支持する構造物をロボットが通過することを可能にする。迂回システム100は、一対のダイバータ(分岐部)102及び103によりシールド線11に相互接続されるブリッジ101を含み、一対のダイバータ102及び103はブリッジ101の両端に位置し、ロボット10がシールド線11から離脱してブリッジ101に係合し、そして、シールド線11に再係合することを可能にする。図14〜17に示されるとおり、迂回システム100は、ライン内の物体を通過すること(図14)、ライン内のT字路のような連絡点を通過すること(図15)、隅柱又は他の構造物を通過すること(図16及び17)、及び、他の種類の物体を通過することに使用可能である。さらに、駆動システム100は、図14、15及び17に示されているような可撓性ブリッジ(すなわちケーブル等)、又は、所望の経路を提供するように成型可能である図16に示されているような剛性ブリッジ(ロッド、チューブ等)を含みうる。説明したとおり、図17に示された構成の迂回システム100を使用するときに、ダイバータ105はまたブリッジ101の支持を提供することに使用される。様々な形式のダイバータを以下に説明する。
【0025】
ダイバータ102及び103は同一であり、従って説明の目的のために、ダイバータ102だけを詳細に説明する。図18及び19に説明されるとおり、ダイバータ102は、シールド線11に取り付けられており、シールド線11からダイバータ102にロボットを移送させるための第1移送セクション110と、ロボット10のホイールを迂回システム100上に逸らして、ロボット10が物体を通過することを許容する適切な距離で、ブリッジ101がシールド線の下に位置することを可能にする、所定の移送放射形状(円弧)を有するクロスオーバー(乗り換え)セクション111(図19)と、ダイバータ102を適切な場所に保持するためのダイバータ制限部112と、ブリッジ101上にロボット10を移動するための第2移送セクション113と、を含む。ダイバータ102は、1つの部品からなる構造であるか、あるいは、ボルトで一体化された複数の部品からなり、シールド線11への簡単な設置を可能にする。
【0026】
示されたとおり、第1及び第2移送セクション110及び113は、駆動システム15Aのホイール16A〜16C及び駆動システム15Bのホイール17A〜17Cを、シールド線11の周りで閉位置から、クロスオーバーセクション111(第1移送セクション110)の幅に適合(合致)する大きさの開位置に移動させると共に、クロスオーバーセクション111(第2移送セクション113)の幅と適合する大きさの開位置から、ブリッジ1010の周りで閉位置まで戻す。ダイバータ103は反対方向において動作する。
【0027】
ダイバータ102の側部114及び115がホイール16A〜16C及び17A〜17Cの溝に適合(嵌合)するように形成されており、ホイール16A〜16C及び17A〜17Cはダイバータ102への密接な滑動防止の接続を有している。
【0028】
ダイバータ102のように、ダイバータ105(図20)は、第1及び第2移送セクション120及び122並びにクロスオーバーセクション121を含む。ダイバータ105は、クロスオーバーセクション121が所定の放射形状を有していないこと以外は、ダイバータ102と同じ方法で動作し、ブリッジ101がシールド線の下に配置されることを可能とする。この例では、図17に示されるとおり、ダイバータ105は、ブリッジ101に支持を提供すると共に、ブリッジ101と同一線上に共存するように設計されている。ダイバータ105はまた、サポート(支持)構造124を搭載するためのマウント123を含む(図17)。マウント123は、サポート124のようなサポートに取り付けるための単ブラケット、サポート125を取り付けるための図21に示されているような2重ブラケット、あるいは、任意の他の適切な構成であってもよい。この構成により、サポートが任意な所望の経路においてブリッジ101を支持することが可能である。
【0029】
図22に示すとおり、実施形態に従う別のダイバータが参照番号130で示されている。ダイバータ102のように、ダイバータ130は、第1及び第2移送セクション131及び133と、所定の移送放射形状を有するクロスセクション132と、ダイバータ制限部134と、を含む。ダイバータ102と異なり、ダイバータ130の第2移送セクション133が平行な枝状構造を有し、ダイバータ130が剛性平行枝状ブリッジ136に接続されることを可能にする。
【0030】
簡潔のために、ダイバータ102及び駆動システム15Aを参照してプロセスを以下に説明する。駆動システム15Aで説明されたプロセスがまた駆動システム15Bに適用されることが認められるべきである。図23及び24に示すとおり、ロボット10が迂回システム100に近づくときに、駆動システム15Aは、シールド線11を離脱するとともに、ダイバータ102の第1移送セクション110に係合し、クロスオーバーセクション111を越えてブリッジ101上に移動する。センサ140〜143は、ホイール16A〜16Cがダイバータ102に係合及び離脱しているときをロボット10に伝える。ロボット10が構造物96を通過すると、駆動システム15Aは、ダイバータ103を離脱し、シールド線11に再係合する。このアプローチは、ロボット10の複雑さを軽減し、ロボット10が簡単に構造96を通過することを可能にする。それはまた、所要電力を軽減すると共に、複雑な制御システムを要求せずに信頼性を向上させる。
【0031】
図25に示されているとおり、本発明の実施形態に従うセンサシステムは一般的に参照番号200で示される。システム200は、送電ラインに沿って位置する戦略的に配置された複数のセンサ(例えばRFセンサ)230を含む。
【0032】
システム200は、架空送電ラインをモニタリング及び検査して、絶縁体、導体、及び圧縮コネクタのような構成要素に関する連続的な評価することに実行可能である。例えば、センサ230は、著しい環境ストレスがある領域、または、特定の構成要素が設けられている場所において展開される。展開されたセンサ230は、連続的にデータを収集し、それにより、ヒストグラムを生成し、最大値を判断する。解析のためにセンサ230に(ロボット10が)ごく接近するときに、履歴結果及び現在の測定値がロボット10に転送されうる。あるいは、センサ230が、地上クルー、ヘリコプター、及び、センサ230からデータを受け取り可能な他の検査手段と併せて使用されうる。連続的にセンサ230からのデータをモニタリング及び収集するように、局地のベースステーションを設置可能であることもまた認められるべきである。
【0033】
システム200は、離れて位置するスタッフが送電ライン要素及び敷設用地の状態の詳細且つ最新の知識を得ることを可能にし、それにより、オペレーション及びメンテナンス費用を削減しつつ信頼性を増加させる。
【0034】
ライン検査ロボット及びシステムを上に説明した。本発明の特定の実施形態が説明されたが、当該技術分野に属する当業者にとって、本発明の技術的範囲から外れることなく様々な改変をこれに対して行うことが可能であることは明らかであろう。すなわち、本発明の好適な実施形態及び本発明を実施するための最適な形態の上記説明は、限定の目的ではなく単に説明のために提供されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットが物体を通過することを可能にする迂回システムであって、
(a)シールド線に取り付けられた第1ダイバータと、
(b)前記第1ダイバータから離隔した位置で前記シールド線に取り付けられた第2ダイバータと、
(c)前記第1ダイバータに接続された第1端及び前記第2ダイバータに接続された第2端を有するブリッジと、を備え、
(d)前記第1ダイバータが前記ロボットを前記シールド線から前記ブリッジ上に離脱させ、前記第2ダイバータが前記ロボットを前記ブリッジから前記シールド線上に離脱させ、前記ロボットが前記物体を通過することを可能にすることを特徴とする迂回システム。
【請求項2】
前記第1ダイバータは、
(a)前記ロボットを前記シールド線から前記第1ダイバータ上に移送するように構成された第1移送セクションと、
(b)前記ロボットのホイールを当該迂回システム上にそらすように構成されたクロスオーバーセクションと、
(c)前記ロボットを前記第1ダイバータから前記ブリッジ上に移送するように構成された第2移送セクションと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の迂回システム。
【請求項3】
前記第2ダイバータは、
(a)前記ロボットを前記第2ダイバータから前記シールド線に移送するように構成された第1移送セクションと、
(b)前記ロボットのホイールを前記シールド線上にそらすように構成されたクロスオーバーセクションと、
(c)前記ロボットを前記ブリッジから前記第2ダイバータ上に移送するように構成された第2移送セクションと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の迂回システム。
【請求項4】
前記ブリッジは可撓性であることを特徴とする請求項1に記載の迂回システム。
【請求項5】
前記ブリッジは剛性であることを特徴とする請求項1に記載の迂回システム。
【請求項6】
前記第1移送セクションは、前記シールド線の周囲の閉位置から、前記クロスオーバーセクションに適合する大きさを有する開位置へと前記ロボットのホイールを移動させるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の迂回システム。
【請求項7】
前記第2移送セクションは、前記クロスオーバーセクションに適合する大きさを有する開位置から、前記ブリッジに前記ロボットを固定する大きさを有する閉位置に、前記ロボットのホイールを移動させることが可能であるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の迂回システム。
【請求項8】
前記第2移送セクションは、前記ブリッジ周囲の閉位置から、前記クロスオーバーセクションに適合する大きさを有する開位置に、前記ロボットのホイールを移動させるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の迂回システム。
【請求項9】
前記第1移送セクションは、記クロスオーバーセクションに適合する大きさを有する開位置から、前記ブリッジに前記ロボットを固定する大きさを有する閉位置に、前記ロボットのホイールを移動させることが可能であるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の迂回システム。
【請求項10】
前記第1及び第2ダイバータは、それぞれ所定の移送放射形状を含み、前記ブリッジが前記シールド線の下に配置されることを可能にすることを特徴とする請求項1に記載の迂回システム。
【請求項11】
前記第1及び第2ダイバータ管の位置で前記ブリッジを支持するように構成された第3ダイバータをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の迂回システム。
【請求項12】
前記第1及び第2ダイバータはそれぞれ、前記ロボットのホイールの溝に適合するように形成された両側部を含み、前記ホイールが前記第1及び第2ダイバータとの密接な滑動防止の接続を保持することを特徴とする請求項1に記載の迂回システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2012−516812(P2012−516812A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−554283(P2011−554283)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際出願番号】PCT/US2011/024315
【国際公開番号】WO2011/100406
【国際公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(507291523)エレクトリック パワー リサーチ インスティテュート,インク. (15)
【Fターム(参考)】