説明

ラクタム環含有共重合体およびその製造方法

【課題】洗剤用途に用いられた場合に従来より一層改善された再汚染防止能を有する、界面活性剤との優れた相溶性を有する共重合体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
特定のラクタム環含有単量体由来の構造と特定のポリオキシアルキレン系単量体由来の構造を有するラクタム環含有共重合体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラクタム環含有共重合体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣料類に用いられる洗剤には、洗剤の洗浄効果を向上させることを目的として、ゼオライト、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールなどの洗剤ビルダー(洗剤助剤)を配合することが行われている。
また、上記の各種洗剤ビルダーに加えて、近年では、重合体が洗剤ビルダーとして洗剤組成物に配合されている。
例えば、特定のモノエチレン性不飽和ポリアルキレンオキシドモノマーと、少なくとも1個の窒素原子を含有する少なくとも1種の両性モノマーとの水溶性コポリマーを洗剤ビルダーとして用いることが開示されている(特許文献1参照)。特許文献1には、該水溶性共重合体が、木綿布等から、草や茶のしみを除去する性能を有することが開示されている。
ここで、近年の消費者の環境問題への意識の高まりより、洗剤ビルダーに要求される性能が変化しつつある。すなわち、消費者が節水型の洗濯機を使用することにより節水を図ったり、排水する洗剤成分の低減の志向により使用量の少ない洗剤(洗剤組成物のコンパクト化)を好んだりするようになってきた。
節水条件下での洗濯により、洗濯物間での色移りがしやすくなる等の問題が発生することとなるが、当該問題に対処すべく、洗濯中の繊維などへ染料等が付着することを抑制する移染防止能(色移り防止能)が従来より一層高い剤が要求されている。
更に、洗剤組成物の溶け残りが衣服などに残留することの回避等の為に、液体状の洗剤組成物が好まれる傾向が大きくなるに伴い、液体洗剤組成物に配合可能(界面活性剤との良好な相溶性)な洗剤ビルダーへの要求がより一層大きくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007−511652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、種々の重合体が報告されてはいるものの、上述した現在の消費者ニーズに更に適応した洗剤ビルダーの開発が求められている。
そこで、本発明は、洗剤用途に用いられた場合に従来より一層改善された界面活性剤との相溶性および移染防止能を有する重合体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、本発明者らは、特定のラクタム環含有単量体由来の構造と、特定のポリオキシアルキレン系化合物由来の構造とを有する共重合体が、高い界面活性剤との相溶性を有することに起因して高い液体洗剤への相溶性を有し、かつ移染防止能が顕著に向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の共重合体は、下記一般式(r−1)で表されるラクタム環含有単量体由来の構造(R1)、下記一般式(p−1)または(p−2)で表されるポリオキシアルキレン系単量体由来の構造(P)、を有するラクタム環含有共重合体であって、共重合体の全単量体由来の構造の質量100質量%に対するラクタム環含有単量体由来の構造(R1)の組成が、30〜90質量%であり、共重合体の全単量体由来の構造の質量100質量%に対するポリオキシアルキレン系単量体由来の構造(P)の組成が10〜70質量%であり、共重合体の全単量体由来の構造の質量100質量%に対するラクタム環含有単量体由来の構造(R1)とポリオキシアルキレン系単量体由来の構造(P)の合計の組成が50〜100質量%である、ラクタム環含有共重合体である。
【0006】
【化1】

【0007】

上記一般式(r−1)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、nは1〜6の整数を表す。
【0008】
【化2】

【0009】

上記一般式(p−1)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは単結合、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、−X、−Yは、水酸基または下記一般式(p−3)で表される構造の基を表す。
【0010】
【化3】

【0011】

上記一般式(p−1)において、Zは炭素数2〜20のオキシアルキレン基を表し、nは、Zの繰り返しの数を表し、1〜200の数であり、Rは炭素数1〜20の有機基を表す。
【0012】
【化4】

【0013】

上記一般式(p−2)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは単結合、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、Zは炭素数2〜20のオキシアルキレン基を表し、nは、Zの繰り返しの数を表し、1〜200の数であり、−Xは、水酸基または下記一般式(p−4)または(p−5)で表される構造の基を表す。
【0014】
【化5】

【0015】

上記一般式(p−4)、(p−5)において、Rは炭素数1〜20の有機基を表す。
【0016】
本発明の別の局面によれば、共重合体の製造方法が提供される。本発明の製造方法は、下記一般式(r−1)で表されるラクタム環含有単量体、下記一般式(p−1)および/または(p−2)で表されるポリオキシアルキレン系単量体、を共重合させることを特徴とする、請求項1に記載のラクタム環含有共重合体の製造方法である。
【0017】
【化6】

【0018】

上記一般式(r−1)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、nは1〜6の整数を表す。
【0019】
【化7】

【0020】

上記一般式(p−1)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは単結合、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、−X、−Yは、水酸基または下記一般式(p−3)で表される構造の基を表す。
【0021】
【化8】

【0022】

上記一般式(p−1)において、Zは炭素数2〜20のオキシアルキレン基を表し、nは、Zの繰り返しの数を表し、1〜200の数であり、Rは炭素数4〜20の有機基を表す。
【0023】
【化9】

【0024】

上記一般式(p−2)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは単結合、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、Zは炭素数2〜20のオキシアルキレン基を表し、nは、Zの繰り返しの数を表し、1〜200の数であり、−Xは、水酸基または下記一般式(p−4)または(p−5)で表される構造の基を表す。
【0025】
【化10】

【0026】

上記一般式(p−4)、(p−5)において、Rは炭素数4〜20の有機基を表す。
【発明の効果】
【0027】
本発明の共重合体(本発明の重合体とも言う)を洗剤ビルダーとして使用すれば、本発明の共重合体が優れた移染防止能を有していることに起因して洗浄力が向上するので、洗剤添加物として好ましく使用することができる。また、本発明の共重合体が高い界面活性剤との相溶性を有していることに起因して、液体洗剤へより多く配合することができる為、液体洗剤組成物の洗浄力が相乗的に向上する。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の共重合体は、特定のラクタム環含有単量体(一般式(r−1)の構造を有する単量体とも言う)に由来の構造、特定のポリオキシアルキレン系単量体(一般式(p−1)の構造を有する単量体とも言う)に由来の構造を有する共重合体である。
[ラクタム環含有不飽和単量体]
本発明において、ラクタム環含有単量体は、下記一般式(r−1)で表される構造を有することを特徴としている。
【0029】
【化11】

【0030】

上記一般式(r−1)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、nは1〜6の整数を表す。
【0031】
共重合体が上記構造を有することにより、移染防止能が向上する。共重合体の移染防止能がより向上する傾向にあることから上記一般式(r−1)において、Rは、水素原子であることがより好ましい。
共重合体の移染防止能がより向上する傾向にあることから上記一般式(r−1)において、nは、3〜6であることがより好ましく、3であることが最も好ましい。
上記一般式(r−1)において、nが3であるラクタム環含有単量体とは、下記一般式(r−2)で表される構造を有する。
【0032】
【化12】

【0033】

上記一般式(r−2)において、Rは水素原子またはメチル基を表す。
【0034】
本発明において、好ましいラクタム環含有単量体として、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニル−ο−バレロラクタム等が例示される。最も好ましくはN−ビニルピロリドンである。
【0035】
共重合体の全単量体由来の構造の質量100質量%に対するラクタム環含有単量体由来の構造(R1)の組成は、30〜90質量%であり、より好ましくは35〜85質量%であり、更に好ましくは40〜80質量%である。上記範囲内とすることにより、良好な移染防止能および界面活性剤との相溶性を発現する。
【0036】
共重合体の全単量体由来の構造100モル%に対するラクタム環含有単量体由来の構造(R1)の組成は、90〜99.7モル%であり、より好ましくは93〜99.6質量%であり、更に好ましくは95〜99.5モル%である。上記範囲内とすることにより、残存するポリオキシアルキレン系単量体を顕著に低減することができる。
【0037】
本発明の共重合体は、上記一般式(r−1)で表されるラクタム環含有単量体由来の構造(R1)を必須として有することを特徴としている。本発明で、ラクタム環含有単量体由来の構造(R1)とは、上記一般式(r−1)で表されるラクタム環含有単量体がラジカル重合により共重合した構造であり、下記一般式(R1)で表される。
【0038】
【化13】

【0039】

上記一般式(R1)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、nは1〜6の整数を表す。
[ポリオキシアルキレン系単量体]
本発明のポリオキシアルキレン系単量体は、下記一般式(p−1)または(p−2)で表される構造を有することを特徴としている。下記一般式(p−1)または(p−2)で表される構造を有することにより、ラクタム環含有不飽和単量体と共重合した場合に残存するポリオキシアルキレン系単量体量を低くすることができる。また、良好な共重合性に起因して、得られた共重合体を水溶液で保管した場合の保存安定性が良好となる。更に下記一般式(p−1)または(p−2)で表されるの構造を有することにより、得られる重合体の主鎖とポリアルキレングリコール基の間にエステル基等を有さないことから、製造工程における加水分解などを受けないため、ロット間における重合体中のポリアルキレングリコール含有量を均一に保つことができる。よって、例えば洗剤組成物等の製品に添加した場合の品質の安定性(ロットぶれを防ぐ)を確保することができる。また、液体洗剤配合後の加水分解も抑制することができる。
【0040】
【化14】

【0041】

上記一般式(p−1)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは単結合、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、−X、−Yは、水酸基または下記一般式(p−3)で表される構造の基を表す。
【0042】
【化15】

【0043】

上記一般式(p−1)において、Zは炭素数2〜20のオキシアルキレン基を表し、nは、Zの繰り返しの数を表し、1〜200の数であり、Rは炭素数1〜20の有機基を表す。
【0044】
【化16】

【0045】

上記一般式(p−2)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは単結合、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、Zは炭素数2〜20のオキシアルキレン基を表し、nは、Zの繰り返しの数を表し、1〜200の数であり、−Xは、水酸基または下記一般式(p−4)または(p−5)で表される構造の基を表す。
【0046】
【化17】

【0047】

上記一般式(p−4)、(p−5)において、Rは炭素数1〜20の有機基を表す。
【0048】
上記一般式(p−1)、(p−2)において、Rは単結合、炭素数1〜4のアルキレン基を表わす。ここで、Rが単結合とは、例えば上記式(p−1)の、C−R−Oの構造においては、C−Oで表されることを意味する。
上記アルキレン基としては、重合性が高いことから、炭素数が1または2のアルキレン基が好ましい。
【0049】
上記一般式(p−1)において、得られる重合体の界面活性剤との相溶性が向上することから、−X、−Yの少なくとも一方は、上記一般式(p−3)で表される構造の基であることが好ましく、一方が上記一般式(p−3)で表される構造の基であることが好ましい。
【0050】
上記一般式(p−2)、(p−3)において、Zは、炭素数2〜20のオキシアルキレン基を表すが、水溶性が向上し、重合体の移染防止能が向上することから、好ましくは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であることが好ましく、2または3のオキシアルキレン基が更に好ましく、2のオキシアルキレン基が最も好ましい。
具体的には、上記オキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシイソプロピレン基、オキシイソブチレン基、オキシイソオクチレン基、フェニルオキシエチレン基、ジフェニルオキシエチレン基等の基が例示され得る。
中でも、上記オキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシイソプロピレン基であることが好ましい。なお、オキシアルキレン基としては、1種のみが単独で存在してもよいし、2種以上が混在していてもよい。
【0051】
本発明のポリオキシアルキレン系単量体の有するポリアルキレングリコール鎖(オキシアルキレン基により形成される基)は、オキシエチレン基(−O−CH2−CH2−)を主体とするものであることが好ましい。すなわち、上記一般式(p−2)、(p−3)において、Zはエチレン基を主体とすることが好ましい。この場合、「オキシエチレン基を主体とする」とは、オキシアルキレン基が単量体中に2種以上存在する場合に、全オキシアルキレン基の存在数において、オキシエチレン基がその過半数を占めるものであることを意味する。これにより、製造時の重合がスムーズに進行し、かつ、得られる共重合体の水溶性や移染防止能が向上するという優れた効果が得られる。
【0052】
本発明のポリオキシアルキレン系単量体の有するポリアルキレングリコール鎖において、「オキシエチレン基を主体とする」ことを全オキシアルキレン基100モル%中のオキシエチレン基のモル%で表すとき、50〜100モル%であることが好ましい。オキシエチレン基の含量が50モル%未満であると、オキシアルキレン基から形成される基の親水性が低下する虞がある。より好ましくは、70モル%以上であり、さらに好ましくは80モル%以上であり、特に好ましくは90モル%以上であり、最も好ましくは100モル%である。
【0053】
上記一般式(p−2)、(p−3)において、nは1〜200の数であるが、得られる重合体の界面活性剤との相溶性が向上することからnは3以上であることが好ましく、5以上であることが好ましい。また、得られる重合体の移染防止能が向上する傾向にあることからnは150未満であることが好ましく、100未満であることが好ましい。
【0054】
上記一般式(p−3)、(p−4)、(p−5)において、Rは炭素数1〜20の有機基を表わす。炭素数1〜20の有機基としては、例えば炭素数1〜20のアルキル基、アルケニル基、アリール基や、官能基で置換されたアルキル基、アルケニル基、アリール基(但しRで表される基全体として炭素数1〜20である。)が例示される。上記官能基としては、上記一般式(p−1)、(p−2)で表されるポリオキシアルキレン系単量体とラクタム環含有単量体の重合に重大な悪影響を及ぼすものでなければ任意に採用することができ、例えば水酸基;カルボキシル基、スルホン酸基等の酸基およびこれらの塩;エステル基、アミド基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、チオール基、カルボニル基等である。
【0055】
上記一般式(p−3)、(p−4)、(p−5)において、Rの具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ターシャリーブチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基およびイコシル基等のアルキル基;ブチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン基およびイコシレン基等のアルケニル基;フェネチル基、2,3−若しくは2,4−キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニリル基、トリチル基およびピレニル基等のアリール基;ブトキシメチル基、オクトキシメチル基、フェノキシメチル基等のアルコキシ基、またはアリールオキシ基で置換されたアルキル基が挙げられる。
中でも、得られる重合体の移染防止能が向上する傾向にあることから、炭素数4〜20のアルキル基が好ましく、一般式(p−4)、(p−5)においてはアルコキシ基、またはアリールオキシ基で置換されたアルキル基も好ましい。
【0056】
本発明の共重合体は、上記一般式(p−1)、(p−2)で表されるポリオキシアルキレン系単量体由来の構造(P)を必須として有することを特徴としている。本発明で、ポリオキシアルキレン系単量体由来の構造(P)とは、ポリオキシアルキレン系単量体がラジカル重合により共重合した構造であり、例えば下記一般式(P1)で表される。
【0057】
【化18】

【0058】

上記一般式(p−1)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは単結合、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、−X、−Yは、水酸基または下記一般式(p−3)で表される構造の基を表す。
【0059】
【化19】

【0060】

上記一般式(p−1)において、Zは炭素数2〜20のオキシアルキレン基を表し、nは、Zの繰り返しの数を表し、1〜200の数であり、Rは炭素数1〜20の有機基を表す。
本発明のポリオキシアルキレン系単量体由来の構造(P)は、主要部分にエステル基やアミド基を含まないため、安定性が良く、洗剤等の製造工程においても、分解が抑制される。そのため、製品性能の振れが抑えられるという効果を奏する。また、液体洗剤配合後の加水分解も抑制することができる。
【0061】
本発明の共重合体の全単量体由来の構造の質量100質量%に対するポリオキシアルキレン系単量体由来の構造(P)の組成は、10〜70質量%であり、より好ましくは15〜65質量%であり、更に好ましくは20〜60質量%である。ポリオキシアルキレン系単量体由来の構造(P)の組成が10質量%以上であれば、例えば共重合体を液体洗剤組成物に添加した場合に界面活性剤との相溶性が向上することから、より多様な洗剤配合が可能となる。70質量%以下であれば、移染防止能が向上する傾向にある。
【0062】
共重合体の全単量体由来の構造100モル%に対するポリオキシアルキレン系単量体由来の構造(P)の組成は、0.3〜10モル%であり、より好ましくは0.4〜7質量%であり、更に好ましくは0.5〜5モル%である。上記範囲内とすることにより、残存するポリオキシアルキレン系単量体を顕著に低減することができる。
【0063】
(ポリオキシアルキレン系単量体の製造方法)
上記ポリオキシアルキレン系単量体の製造方法は限定されない。
上記一般式(p−1)の構造を有するポリオキシアルキレン系単量体の好ましい製造方法としては、(i)炭素‐炭素二重結合を有するアルコールのグリシジルエーテルにモノアルコキシポリアルキレングリコール等を反応する製造方法が好ましい。
上記一般式(p−2)の構造を有するポリオキシアルキレン系単量体の好ましい製造方法としては、(ii)イソプレノール等の炭素‐炭素二重結合を有するアルコールに、アルキレンオキシドを付加した後、エポキシ化合物を反応させる製造方法が好ましい。
【0064】
上記(ii)の製造方法において、炭素‐炭素二重結合を有するアルコールに、アルキレンオキシドを付加する手法としては、例えば、1)アルカリ金属の水酸化物、アルコキシド等の強アルカリや、アルキルアミン等を塩基触媒として用いるアニオン重合、2)金属および半金属のハロゲン化物、鉱酸、酢酸等を触媒として用いるカチオン重合、3)アルミニウム、鉄、亜鉛等の金属のアルコキシド、アルカリ土類化合物、ルイス酸等を組み合わせたものを用いる配位重合などの手法を用いて、該アルコールの水酸基に、上述したアルキレンオキサイドを付加する手法が挙げられる。
[他の単量体]
なお、上記ラクタム環含有不飽和単量体、上記ポリオキシアルキレン系単量体に加えて、当該単量体のいずれかと共重合可能な他の単量体が含まれてもよい。他の単量体としては、特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、2−メチレングルタル酸、およびこれらの塩等のカルボキシル基含有単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アルキル(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸と炭素数1〜18のアルコールとのエステル化により得られるアルキル(メタ)アクリレート類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたはその4級化物等のアミノ基含有アクリレート;(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド等のアミド基含有単量体類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;スチレン等の芳香族ビニル系単量体類;マレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド誘導体;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系単量体類;3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸およびこれらの塩などのスルホン酸基を有する単量体;ビニルホスホン酸、(メタ)アリルホスホン酸などのホスホン酸基を有する単量体等(メタ)アクロレイン等のアルデヒド基含有ビニル系単量体類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、アリルアルコール等のその他官能基含有単量体類;(メタ)アリルアルコールやビニルヒドロキシアルキルエーテル等不飽和アルコールにアルキレンオキサイドを付加した化合物や(メタ)アクリル酸のポリアルキレングリコールエステルのような、一般式(p−1)で表されるポリオキシアルキレン系単量体以外のポリオキシアルキレン系単量体等が挙げられる。これらの他の単量体についても、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
なお、本発明においてカルボキシル基含有単量体やスルホン酸基を有する単量体の「塩」としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、4級アンモニウム塩等を表す。これらの「塩」を使用する場合は、クレー等の分散性が向上することから、アルカリ金属塩が好ましい。
【0065】
共重合体の全単量体由来の構造の質量100質量%に対する他の単量体由来の構造(E1)の組成は、好ましくは0〜30質量%である。当該構造(E1)は任意成分であり、用途に応じて当該構造(E1)を有していても良く、全く有さなくても構わない。
すなわち、共重合体の全単量体由来の構造の質量100質量%に対する、一般式(r−1)で表されるラクタム環含有単量体由来の構造と一般式(p−1)及び/または(p−2)で表されるポリオキシアルキレン系単量体由来の構造の合計は、70〜100質量%である。
【0066】
本発明で、他の単量体由来の構造とは、他の単量体がラジカル重合により共重合した構造であり、例えば他の単量体がアクリル酸メチルである場合、−CH−CH(COOCH)−で表される構造を言う。
なお、一般式(r−1)で表されるラクタム環含有単量体、一般式(p−1)、(p−2)で表されるポリオキシアルキレン系単量体、および他の単量体の全体(「単量体成分の全量」又は「全単量体組成」とも言う)に占めるラクタム環含有単量体の割合は特に制限されないが、本発明の作用効果を十分に発揮させるという観点から、単量体成分の全量に対する一般式(r−1)で表されるラクタム環含有単量体の割合は、30〜90質量%であり、より好ましくは35〜85質量%であり、更に好ましくは40〜80質量%である。
また、単量体成分の全量に対する一般式(r−1)で表されるラクタム環含有単量体の割合は、90〜99.7モル%であり、より好ましくは93〜99.6質量%であり、更に好ましくは95〜99.5モル%である。
単量体成分の全量に占める一般式(p−1)または(p−2)で表されるポリオキシアルキレン系単量体の割合((p−1)と(p−2)の合計の割合)は特に制限されないが、本発明の作用効果を十分に発揮させるという観点から、単量体成分の全量に対するポリオキシアルキレン系単量体の割合は、10〜70質量%であり、より好ましくは15〜65質量%であり、更に好ましくは20〜60質量%である。
また、単量体成分の全量に対するポリオキシアルキレン系単量体の割合は、0.3〜10モル%であり、より好ましくは0.4〜7質量%であり、更に好ましくは0.5〜5モル%である。
単量体成分の全量に占める他の単量体の割合は特に制限されないが、好ましくは0〜30質量%である。
【0067】
[ラクタム環含有共重合体]
上述したように、本発明のスルホン酸基含有共重合体は、上述した(r−1)で表されるラクタム環含有単量体由来の構造(R1)と(p−1)または(p−2)で表されるポリオキシアルキレン系単量体由来の構造(P)を必須として含むものである。
本発明のラクタム環含有共重合体は、(r−1)で表されるラクタム環含有単量体と、(p−1)または(p−2)で表されるポリオキシアルキレン系単量体を含む単量体成分を共重合することにより得られるものであることが好ましい。
本発明のラクタム環含有共重合体の製造において、(r−1)で表されるラクタム環含有単量体は1種類で用いても、2種類以上で用いても良く、(p−1)または(p−2)で表されるポリオキシアルキレン系単量体は、(p−1)で表されるポリオキシアルキレン系単量体と(p−2)で表されるポリオキシアルキレン系単量体のどちらかを使用しても良く、両方を使用しても良く、どちらか、または両方のポリオキシアルキレン系単量体を1種類で用いても、2種類以上で用いても良い。
【0068】
本発明のラクタム環含有共重合体の重量平均分子量は、洗剤ビルダー等としての所望の性能などを考慮して適宜設定されうるため、特に限定されないが、本発明のラクタム環含有共重合体の重量平均分子量は、具体的には、好ましくは100〜50000であり、より好ましくは500〜40000であり、さらに好ましくは1000〜30000である。この重量平均分子量の値が大きすぎると、粘度が高くなり、取扱いが煩雑になる虞がある。一方、この重量平均分子量の値が小さすぎると、移染防止能が低下し、洗剤ビルダーとして十分な性能が発揮されなくなる虞がある。なお、本発明のラクタム環含有共重合体の重量平均分子量の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。
【0069】
また、本発明のラクタム環含有共重合体の数平均分子量は、洗剤ビルダー等としての所望の性能などを考慮して適宜設定されうるため、特に限定されないが、本発明のラクタム環含有共重合体の数平均分子量は、具体的には、好ましくは100〜25000であり、より好ましくは200〜20000であり、さらに好ましくは500〜15000である。この数平均分子量の値が大きすぎると、粘度が高くなり、取扱いが煩雑になる虞がある。一方、この数平均分子量の値が小さすぎると、移染防止能が低下し、洗剤ビルダーとして十分な性能が発揮されなくなる虞がある。なお、本発明のラクタム環含有共重合体の数平均分子量の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。
【0070】
本発明のラクタム環含有共重合体は、後述する[ラクタム環含有共重合体の製造方法]の箇所で記載する方法により得られたものが好ましい。
【0071】
[ラクタム環含有共重合体の製造方法]
本発明のラクタム環含有共重合体の製造方法は、特に断りの無い限りは、公知の重合方法あるいは公知の方法を修飾した方法が使用できる。不純物の少ない、高性能な共重合体を製造するという観点から、重合は中性付近またはアルカリ条件下で行なうことが好ましい。具体的には、好ましくはpH5.5以上であり、より好ましくは6以上であり、更に好ましくは6.5以上である。好ましいpHの上限は13である。
【0072】
本発明の製造方法においては、重合開始剤を用いて単量体成分を共重合すればよい。開始剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)塩酸塩、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩、4,4’−アゾビス−4−シアノパレリン酸、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が好適である。これらの重合開始剤のうち、過酸化水素、過硫酸塩、水溶性のアゾ化合物が好ましく、2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)塩酸塩が最も好ましい。これらの重合開始剤は、単独で使用されてあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
【0073】
重合反応における重合開始剤の使用量は、単量体成分の使用量に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、単量体100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、10質量部以下、より好ましくは0.005質量部以上、8質量部以下、さらに好ましくは0.01質量部以上、5質量部以下である。
【0074】
本発明のスルホン酸基含有共重合体の製造方法は、重合開始剤の他に、連鎖移動剤を使用することが好ましい。この際使用できる連鎖移動剤としては、分子量の調節ができる化合物であれば特に制限されず、公知の連鎖移動剤が使用できる。具体的には、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン際、3−メルカプトプロピオン際、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ブチルチオグリコレート等の、チオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等の、ハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の、第2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸、及びその塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、及びその塩(亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等)等の、低級酸化物およびその塩などが挙げられる。上記連鎖移動剤は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
【0075】
本発明のラクタム環含有共重合体の製造方法は、開始剤などの使用量を低減する等の目的で反応促進剤を加えても良い。反応促進剤としては、重金属イオンが例示される。本発明で重金属イオンとは、比重が4g/cm以上の金属を意味する。上記金属イオンとしては、例えば、鉄、コバルト、マンガン、クロム、モリブデン、タングステン、銅、銀、金、鉛、白金、イリジウム、オスミウム、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等が好ましい。これらの重金属は1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、鉄がより好ましい。上記重金属イオンのイオン価は特に限定されるものではなく、例えば、重金属として鉄が用いられる場合、開始剤における鉄イオンとしては、Fe2+であっても、Fe3+であってよく、これらが組み合わされていてもよい。
上記重金属イオンは、イオンの形態として含まれるものであれば特に限定されないが、重金属化合物を溶解してなる溶液を用いる方法を用いると、取り扱い性に優れるため好適である。その際に用いる重金属化合物は、開始剤に含有することを所望する重金属イオンを含むものであればよく、用いる開始剤に応じて決定することができる。上記重金属イオンとして鉄を用いる場合、モール塩(Fe(NH(SO・6HO)、硫酸第一鉄・7水和物、塩化第一鉄、塩化第二鉄等の重金属化合物等を用いることが好ましい。また、重金属イオンとしてマンガンを用いる場合、塩化マンガン等を好適に用いることができる。これらの重金属化合物を用いる場合においては、いずれも水溶性の化合物であるため、水溶液の形態として用いることができ、取り扱い性に優れることになる。なお、上記重金属化合物を溶解してなる溶液の溶媒としては、水に限定されるものではなく、本発明の疎水基含有共重合体の製造において、重合反応を妨げるものでなく、かつ、重金属化合物を溶解するものであればよい。
【0076】
上記重金属イオンの含有量は、また、重合反応完結時における重合反応液の全質量に対して好ましくは0.1〜10ppmであることが好ましい。重金属イオンの含有量が0.1ppm未満であると、重金属イオンによる効果が十分に発現しないおそれがある。一方、重金属イオンの含有量が10ppmを超えると、得られる重合体の色調の悪化を来たすおそれがある。また、重金属イオンの含有量が多いと、生成物である重合体を洗剤ビルダーとして用いる場合に、洗剤用ビルダーの汚れの原因となるおそれがある。
【0077】
なお、上記重合反応完結時とは、重合反応液中において重合反応が実質的に完了し、所望する重合体が得られた時点を意味する。例えば、重合反応液中において重合された重合体がアルカリ成分で中和される場合には、中和した後の重合反応液の全質量を基準に、重金属イオンの含有量を算出する。2種以上の重金属イオンが含まれる場合には、重金属イオンの総量が上述の範囲であればよい。
【0078】
上記開始剤と連鎖移動剤との組み合わせとしては、過硫酸塩と亜硫酸塩とをそれぞれ1種以上用いることが最も好ましい。この場合、過硫酸塩と亜硫酸塩との混合比は、特に制限されないが、過硫酸塩1質量部に対して、亜硫酸塩0.5〜8質量部を用いることが好ましい。より好ましくは、過硫酸塩1質量部に対して、亜硫酸塩の下限は、1質量部であり、最も好ましくは2質量部である。また、亜硫酸塩の上限は、過硫酸塩1質量部に対して、より好ましくは7質量部であり、最も好ましくは6質量部である。ここで、亜硫酸塩が0.5質量部未満であると、低分子量化する際に開始剤総量が増加するおそれがあり、逆に8質量部を超えると、副反応が増加し、それによる不純物が増加するおそれがある。
【0079】
上記連鎖移動剤、開始剤及び反応促進剤の組み合わせは、特に制限されず、上記各例示の中から適宜選択できる。例えば、連鎖移動剤、開始剤及び反応促進剤の組み合わせとしては、亜硫酸水素ナトリウム(SBS)/過酸化水素(H)、亜硫酸水素ナトリウム(SBS)/過硫酸ナトリウム(NaPS)、亜硫酸水素ナトリウム(SBS)/Fe、亜硫酸水素ナトリウム(SBS)/過酸化水素(H)/Fe、亜硫酸水素ナトリウム(SBS)/過硫酸ナトリウム(NaPS)/Fe、亜硫酸水素ナトリウム(SBS)/過硫酸ナトリウム(NaPS)/過酸化水素(H)、亜硫酸水素ナトリウム(SBS)/酸素/Fe等の形態が好ましい。より好ましくは、亜硫酸水素ナトリウム(SBS)/過硫酸ナトリウム(NaPS)、亜硫酸水素ナトリウム(SBS)/過硫酸ナトリウム(NaPS)/Feであり、最も好ましくは亜硫酸水素ナトリウム(SBS)/過硫酸ナトリウム(NaPS)/Feである。
【0080】
本発明のラクタム環含有共重合体の製造方法において、重合の際には、上述した重合開始剤に加えて、重合開始剤の分解触媒や還元性化合物を反応系に添加してもよい。重合開始剤の分解触媒としては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム等のハロゲン化金属;酸化チタン、二酸化ケイ素等の金属酸化物;塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硫酸、硝酸等の無機酸の金属塩;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ラク酸、イソラク酸、安息香酸等のカルボン酸、そのエステルおよびその金属塩;ピリジン、インドール、イミダゾール、カルバゾール等の複素環アミンおよびその誘導体等が挙げられる。これらの分解触媒は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0081】
また、還元性化合物としては、例えば、フェロセン等の有機金属化合物;ナフテン酸鉄、ナフテン酸銅、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン等の、鉄、銅、ニッケル、コバルト、マンガン等の金属イオンを発生できる無機化合物;三フッ化ホウ素エーテル付加物、過マンガン酸カリウム、過塩素酸等の無機化合物;二酸化硫黄、亜硫酸塩、硫酸エステル、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、スルホキシ酸塩、ベンゼンスルフィン酸とその置換体、パラトルエンスルフィン酸等の環状スルフィン酸の同族体等の硫黄含有化合物;オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、α−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオプロピオン酸、α−チオプロピオン酸ナトリウムスルホプロピルエステル、α−チオプロピオン酸ナトリウムスルホエチルエステル等のメルカプト化合物;ヒドラジン、β−ヒドロキシエチルヒドラジン、ヒドロキシルアミン等の窒素含有化合物;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、イソバレリアンアルデヒド等のアルデヒド類;アスコルビン酸等が挙げられる。これらの還元性化合物もまた、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。メルカプト化合物等の還元性化合物は、連鎖移動剤として添加してもよい。
【0082】
上記連鎖移動剤、開始剤、及び反応促進剤の総使用量は、全単量体成分1モルに対して、0.5〜10gであることが好ましい。このような範囲とすることで、本発明の疎水基含有共重合体を効率よく生産することができ、また、疎水基含有共重合体の分子量分布を所望のものとすることができる。より好ましくは、1〜8gであり、更に好ましくは、2〜7gである。
【0083】
上記重合開始剤及び連鎖移動剤の反応容器への添加方法としては、滴下、分割投入等の連続投入方法を適用することができる。また、連鎖移動剤を単独で反応容器へ導入しても
よく、単量体成分を構成する各単量体、溶媒等とあらかじめ混同しておいてもよい。
【0084】
上記共重合方法において、単量体成分や重合開始剤等の反応容器への添加方法としては、反応容器に単量体成分の全てを仕込み、重合開始剤を反応容器内に添加することによって共重合を行う方法;反応容器に単量体成分の一部を仕込み、重合開始剤と残りの単量体成分を反応容器内に連続してあるいは段階的に(好ましくは連続して)添加することによって共重合を行う方法;反応容器に重合溶媒を仕込み、単量体成分と重合開始剤の全量を添加する方法;単量体のうちの一(例えば、ポリオキシアルキレン系単量体)の一部を反応容器に仕込み、重合開始剤と残りの単量体成分を反応容器内に(好ましくは連続して)添加することによって共重合を行う方法等が好適である。このような方法の中でも、得られる共重合体の分子量分布を狭く(シャープに)することができ、洗剤ビルダーとして用いる場合の分散性を向上することができうることから、重合開始剤と単量体成分を反応容器に逐次滴下する方法で共重合を行うことが好ましい。
【0085】
上記共重合方法としては、例えば、溶液重合やバルク重合、懸濁重合、乳化重合等の通常用いられる方法で行うことができ、特に限定されるものではないが、溶液重合が好ましい。この際使用できる溶媒は、上述したように、全溶媒に対して50質量%が水である混合溶媒または水であることが好ましい。水のみを使用する場合には、脱溶剤工程を省略できる点で好適である。
【0086】
上記共重合方法は、回分式でも連続式でも行うことができる。また、共重合の際、必要に応じて使用される溶媒としては、公知のものを使用でき、水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;グリセリン;ポリエチレングリコール;ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、n−ヘプタン等の芳香族又は脂肪族炭化水素類;酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルホルムアルデヒド等のアミド類;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等が好適である。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、単量体成分及び得られる共重合体の溶解性の点から、水及び炭素数1〜4の低級アルコールからなる群より選択される1種又は2種以上の溶媒を用いることが好ましい。
【0087】
本発明のラクタム環含有共重合体の製造方法は、必要に応じて、任意の連鎖移動剤、pH調節剤、緩衝剤などを用いることができる。
重合の際の温度は好ましくは70℃以上であり、より好ましくは75〜110℃であり、さらに好ましくは80〜100℃である。重合時の温度が上記範囲であれば、残存単量体成分が少なくなり、重合体の再汚染防止能が向上する傾向にある。なお、重合時の温度は、重合反応の進行中において、常に一定に保持する必要はなく、例えば、室温から重合を開始し、適当な昇温時間または昇温速度で設定温度まで昇温し、その後、設定温度を保持するようにしてもよいし、単量体成分や開始剤等の滴下方法に応じて、重合反応の進行中に経時的に重合温度を変動(昇温または降温)させてもよい。
重合時間は特に制限されないが、好ましくは30〜420分であり、より好ましくは45〜390分であり、さらに好ましくは60〜360分であり、最も好ましくは90〜240分である。なお、本発明において、「重合時間」とは単量体を添加している時間を表す。
反応系内の圧力としては、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下のいずれであってもよいが、得られる重合体の分子量の点では、常圧下、または、反応系内を密閉し、加圧下で行うことが好ましい。また、加圧装置や減圧装置、耐圧性の反応容器や配管等の設備の点では、常圧(大気圧)下で行うことが好ましい。反応系内の雰囲気としては、空気雰囲気でもよいが、不活性雰囲気とするのが好ましく、例えば、重合開始前に系内を窒素等の不活性ガスで置換することが好ましい。
【0088】
[ラクタム環含有共重合体組成物(重合体組成物)]
本発明の重合体組成物中には、本発明のラクタム環含有共重合体が必須に含まれる。このほか、未反応のラクタム環基含有単量体、未反応のポリオキシアルキレン系単量体、未反応の重合開始剤、重合開始剤分解物等が含まれうる。
重合体組成物中に存在する未反応のポリオキシアルキレン系単量体の含有量は、重合体組成物の固形分100質量%に対して3質量%未満が好ましい。より好ましくは2質量%未満である。重合体組成物中に存在する酸基含有不飽和単量体からなる重合体の含有量は、重合体組成物の固形分100質量%に対して1質量%未満が好ましい。より好ましくは0.5質量%未満未満である。ラクタム環含有不飽和単量体は、重合体組成物の固形分100質量%に対して、好ましくは1000質量ppm以下であり、より好ましくは100質量ppm以下であり、最も好ましくは0質量ppmである。
なお、本願でいう重合体組成物は、特に制限されるものではないが、生産効率性の観点から、好ましくは、不純物除去などの精製工程を経ずに得られる。さらに、重合工程の後に、得られた重合組成物を、取り扱いの便のため、少量の水にて希釈(得られた混合物に対して1〜400質量%程度)したものも本願でいう重合体組成物に含まれる。
本発明の共重合体、重合体組成物は、水処理剤、繊維処理剤、分散剤、洗剤ビルダー(または洗剤組成物)等として用いられうる。洗剤ビルダーとしては、衣料用、食器用、住居用、毛髪用、身体用、歯磨き用、及び自動車用など、様々な用途の洗剤に添加されて使用されうる。
【0089】
<水処理剤>
本発明の重合体組成物は、水処理剤に用いることができる。該水処理剤には、必要に応じて、他の配合剤として、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、防食剤、スライムコントロール剤、キレート剤を用いても良い。
【0090】
上記水処理剤は、冷却水循環系、ボイラー水循環系、海水淡水化装置、パルプ蒸解釜、黒液濃縮釜等でのスケール防止に有用である。また、性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでもよい。
【0091】
<繊維処理剤>
本発明の重合体組成物は、繊維処理剤に用いることができる。該繊維処理剤は、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つと、本発明の重合体組成物を含む。
【0092】
上記繊維処理剤における本発明の重合体組成物の含有量は、繊維処理剤全体に対して、好ましくは1〜100重量%であり、より好ましくは5〜100重量%である。また、性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでいてもよい。
【0093】
以下に、より実施形態に近い、繊維処理剤の配合例を示す。この繊維処理剤は、繊維処理における精錬、染色、漂白、ソーピングの工程で使用することができる。染色剤、過酸化物および界面活性剤としては繊維処理剤に通常使用されるものが挙げられる。
【0094】
本発明の重合体組成物と、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つとの配合比率は、例えば、繊維の白色度、色むら、染色けんろう度の向上のためには、繊維処理剤純分換算で、本発明の重合体組成物1重量部に対して、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つを0.1〜100重量部の割合で配合された組成物を繊維処理剤として用いることが好ましい。
【0095】
上記繊維処理剤を使用できる繊維としては、任意の適切な繊維を採用し得る。例えば、木綿、麻等のセルロース系繊維、ナイロン、ポリエステル等の化学繊維、羊毛、絹糸等の動物性繊維、人絹等の半合成繊維およびこれらの織物および混紡品が挙げられる。
【0096】
上記繊維処理剤を精錬工程に適用する場合は、本発明の重合体組成物と、アルカリ剤および界面活性剤とを配合することが好ましい。漂白工程に適用する場合では、本発明の重合体組成物と、過酸化物と、アルカリ性漂白剤の分解抑制剤としての珪酸ナトリウム等の珪酸系薬剤とを配合することが好ましい。
【0097】
<無機顔料分散剤>
本発明の重合体組成物は、無機顔料分散剤に用いることができる。該無機顔料分散剤には、必要に応じて、他の配合剤として、縮合リン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、ポリビニルアルコールを用いても良い。
【0098】
上記無機顔料分散剤中における、本発明の重合体組成物の含有量は、無機顔料分散剤全体に対して、好ましくは5〜100重量%である。また性能、効果に影響しない範囲で、任意の適切な水溶性重合体を含んでいてもよい。
【0099】
上記無機顔料分散剤は、紙コーティングに用いられる重質ないしは軽質炭酸カルシウム、クレイの無機顔料の分散剤として良好な性能を発揮し得る。例えば、無機顔料分散剤を無機顔料に少量添加して水中に分散することにより、低粘度でしかも高流動性を有し、かつ、それらの性能の経日安定性が良好な、高濃度炭酸カルシウムスラリーのような高濃度無機顔料スラリーを製造することができる。
【0100】
上記無機顔料分散剤を無機顔料の分散剤として用いる場合、該無機顔料分散剤の使用量は、無機顔料100重量部に対して、0.05〜2.0重量部が好ましい。該無機顔料分散剤の使用量が上記範囲内にあることによって、十分な分散効果を得ることが可能となり、添加量に見合った効果を得ることが可能となり、経済的にも有利となり得る。
【0101】
<洗剤組成物>
本発明の重合体組成物は、洗剤組成物にも添加しうる。
本発明の重合体組成物は、上述したラクタム環含有共重合体を含むが、洗剤組成物における当該ラクタム環含有共重合体の含有量は特に制限されない。ただし、優れたビルダー性能を発揮しうるという観点からは、ラクタム環含有共重合体の含有量は、洗剤組成物の全量に対して、好ましくは0.1〜15質量%であり、より好ましくは0.3〜10質量%であり、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。
洗剤用途で用いられる洗剤組成物には、通常、洗剤に用いられる界面活性剤や添加剤が含まれる。これらの界面活性剤や添加剤の具体的な形態は特に制限されず、洗剤分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。また、上記洗剤組成物は、粉末洗剤組成物であってもよいし、液体洗剤組成物であってもよい。
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選択される1種または2種以上である。2種以上が併用される場合、アニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤との合計量は、界面活性剤の全量に対して50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは80質量%以上である。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸またはエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和脂肪酸塩、不飽和脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルリン酸エステルまたはその塩、アルケニルリン酸エステルまたはその塩等が好適である。これらのアニオン性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基には、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイド等が好適である。これらのノニオン性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基には、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩等が好適である。また、両性界面活性剤としては、カルボキシル型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等が好適である。これらのカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基は、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
上記界面活性剤の配合割合は、通常、洗剤組成物の全量に対して10〜60質量%であり、好ましくは15〜50質量%であり、さらに好ましくは20〜45質量%であり、特に好ましくは25〜40質量%である。界面活性剤の配合割合が少なすぎると、十分な洗浄力を発揮できなくなる虞があり、界面活性剤の配合割合が多すぎると、経済性が低下する虞がある。
添加剤としては、アルカリビルダー、キレートビルダー、カルボキシメチルセルロースナトリウム等の汚染物質の再沈着を防止するための再付着防止剤、ベンゾトリアゾールやエチレン−チオ尿素等の汚れ抑制剤、ソイルリリース剤、色移り防止剤、柔軟剤、pH調節のためのアルカリ性物質、香料、可溶化剤、蛍光剤、着色剤、起泡剤、泡安定剤、つや出し剤、殺菌剤、漂白剤、漂白助剤、酵素、染料、溶媒等が好適である。また、粉末洗剤組成物の場合にはゼオライトを配合することが好ましい。
上記洗剤組成物は、本発明の重合体組成物に加えて、他の洗剤ビルダーを含んでもよい。他の洗剤ビルダーとしては、特に制限されないが、例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、珪酸塩などのアルカリビルダーや、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、ボウ硝、ニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、クエン酸塩、(メタ)アクリル酸の共重合体塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体、フマル酸塩、ゼオライト等のキレートビルダー、カルボキシメチルセルロース等の多糖類のカルボキシル誘導体等が挙げられる。上記ビルダーに用いられる対塩としては、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、アンモニウム、アミン等が挙げられる。
上記添加剤と他の洗剤用ビルダーの合計の配合割合は、通常、洗浄剤組成物100質量%に対して0.1〜50質量%が好ましい。より好ましくは0.2〜40質量%であり、さらに好ましくは0.3〜35質量%であり、特に好ましくは0.4〜30質量%であり、最も好ましくは0.5〜20質量%以下である。添加剤/他の洗剤ビルダーの配合割合が0.1質量%未満であると、十分な洗剤性能を発揮できなくなる虞があり、50質量%を超えると経済性が低下する虞がある。
なお、上記洗剤組成物の概念には、家庭用洗剤の合成洗剤、繊維工業その他の工業用洗剤、硬質表面洗浄剤のほか、その成分の1つの働きを高めた漂白洗剤等の特定の用途にのみ用いられる洗剤も含まれる。
上記洗剤組成物が液体洗剤組成物である場合、液体洗剤組成物に含まれる水分量は、通常、液体洗剤組成物の全量に対して0.1〜75質量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜70質量%であり、さらに好ましくは0.5〜65質量%であり、さらにより好ましくは0.7〜60質量%であり、特に好ましくは1〜55質量%であり、最も好ましくは1.5〜50質量%である。
本発明のラクタム環含有共重合体は、優れた界面活性剤との相溶性を有する為、水分量を低くすることが可能となる。
上記洗剤組成物が液体洗剤組成物である場合、当該洗剤組成物は、カオリン濁度が200mg/L以下であることが好ましく、より好ましくは150mg/L以下であり、さらに好ましくは120mg/L以下であり、特に好ましくは100mg/L以下であり、最も好ましくは50mg/L以下である。
また、本発明の重合体組成物を洗剤ビルダーとして液体洗剤組成物に添加する場合としない場合とでのカオリン濁度の変化(差)は、500mg/L以下であることが好ましく、より好ましくは400mg/L以下であり、さらに好ましくは300mg/L以下であり、特に好ましくは200mg/L以下であり、最も好ましくは100mg/L以下である。カオリン濁度の値としては、以下の手法により測定される値を採用するものとする。
【0102】
<カオリン濁度の測定方法>
厚さ10mmの50mm角セルに均一に攪拌した試料(液体洗剤)を仕込み、気泡を除いた後、日本電色株式会社製NDH2000(商品名、濁度計)を用いて25℃でのTubidity(カオリン濁度:mg/L)を測定する。
上記洗浄剤組成物に配合することができる酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ等が好適である。中でも、アルカリ洗浄液中で活性が高いプロテアーゼ、アルカリリパーゼ及びアルカリセルラーゼが好ましい。
上記酵素の添加量は、洗浄剤組成物100質量%に対して5質量%以下であることが好ましい。5質量%を超えると、洗浄力の向上が見られなくなり、経済性が低下するおそれがある。
上記洗剤組成物は、カルシウムイオンやマグネシウムイオンの濃度が高い硬水(例えば、100mg/L以上)の地域中で使用しても、塩の析出が少なく、優れた洗浄効果を有する。この効果は、洗剤組成物が、LASのようなアニオン界面活性剤を含む場合に特に顕著である。
【実施例】
【0103】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
また、本発明のラクタム環含有共重合体の重量平均分子量、数平均分子量、再汚染防止能、未反応の単量体の定量、重合体組成物および重合体水溶液の固形分量は、下記の方法に従って測定した。
【0104】
<重量平均分子量および数平均分子量の測定条件(GPC)>
装置:株式会社日立製作所製 L−7000シリーズ
検出器:RI
カラム:昭和電工株式会社製 SHODEX Asahipak GF−310−HQ,GF−710−HQ,GF−1G 7B
カラム温度:40℃
流速:0.5mL/min
検量線:創和科学株式会社製 POLYETHYLENGLYCOL STANDARD
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム/アセトニトリル=3/1(質量比)
<未反応のポリオキシアルキレン単量体の定量方法>
重合体組成物中の未反応のポリオキシアルキレン系単量体の定量は、以下の条件の高速クロマトグラフィーで行った。
高速液体クロマトグラフィー
測定装置:東ソー株式会社製 8020シリーズ
カラム:株式会社資生堂製 CAPCELL PAK C1 UG120
温度:40.0℃
溶離液:10mmol/Lリン酸水素二ナトリウム・12水和物水溶液
(リン酸でpH7に調整)/アセトニトリル=45/55(体積比)
流速:1.0ml/min
検出器:RI、UV(検出波長215nm)
また、単量体の製造における反応の進行は、液体クロマトグラフィーによる原料のポリアルキレングリコールのリテンションタイムのシフトと、HNMRにより確認した。
【0105】
<重合体組成物、共重合体水溶液等の固形分測定方法>
窒素雰囲気下、130℃に加熱したオーブンで重合体組成物(重合体組成物1.0g+水3.0g)を1時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、固形分(%)と、揮発成分(%)を算出した。
【0106】
<重合体組成物中のラクタム環基含有単量体の測定>
該単量体の測定は、下記表1の条件にて液体クロマトグラフィーを用いて行った。
液体クロマトグラフィーの測定条件
カラム:資生堂社製 CAPCELL PAC C18 TYPE UG120 5μm、1.5mmΦ×250mm
溶離液:メタノール/水=1/24(1−ヘプタンスルホン酸ナトリウム0.4質量%含有)
流量:100μL/min
カラムオーブン:20℃
注入量:10μL
UV検出器:235nm
測定装置:株式会社日立製作所製 L−7000シリーズ
検出器:株式会社日立製作所製 UV検出器 L−7400
カラム:株式会社昭和電工製 SHODEX RSpak DE−413
温度:40.0℃
溶離液:0.1%リン酸水溶液
流速:1.0ml/min
<移染防止能>
(i)JIS綿布(5cm×5cm、財団法人 日本規格協会より入手)を予め日本電色工業社製の測色色差計SE2000型を用いて、白色度を反射率にて測定した(試験前の試験布の白色度という)。
(ii)塩化カルシウム2水和物、塩化マグネシウム(6水和物)に純水を加えて硬水を調整した(カルシウムイオン150ppm(炭酸カルシウム換算)、マグネシウムイオン(炭酸マグネシウム換算)50ppm)。
(iii)ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム3.2g、ポリオキシエチレン(7)ラウリルエーテル0.4g、ホウ酸ナトリウム0.4g、クエン酸1.0gに、純水を加えて、100.0gとし、界面活性剤水溶液を調製した。pHは、水酸化ナトリウムで8.5に調整した。
(iv)ターゴットメーターを40℃にセットし、硬水500mLとゼオライト0.7g、5質量%の炭酸ナトリウム水溶液7.7g、5質量%のLAS(花王 株式会社より入手)水溶液3.5g、固形分換算で1%の重合体水溶液3.5g、染料としてクロラゾールブラックLF(試薬 東京化成工業 株式会社より入手)の0.25質量%水溶液2gをポットに入れ、100rpmで1分間撹拌した。その後、白布10枚を入れ、100rpmで30分間撹拌した。
(v)手で白布の水を切り、40℃にした水道水500mLをポットに入れ、100rpmで2分間撹拌した。これを2回行った。
(vi)白布に当て布をして、アイロンでしわを伸ばしながら乾燥させた後、上記測色色差計にて再度、白布の白度を反射率にて測定した(洗浄後の試験布の白色度という)。
(vii)以上の測定結果から、下式により移染防止能を求めた。
(viii)移染防止能(%)=〔(洗浄後の試験布の白色度)/(試験前の試験布の白色度)〕×100
<界面活性剤との相溶性試験>
実施例で得られた新規共重合体及び以下の成分を用いて各種洗剤を調整した。各成分が均一になる様に充分に攪拌し、25℃での濁度値を測定した。濁度値は、日本電色株式会社製NDH2000(濁度計)を用いてTurbidity(カオリン濁度mg/l)を測定した。
評価結果は次の3段階を基準とした。
【0107】
○:濁度値(0〜50(mg/l))、目視で分離、沈殿又は白濁していない。
【0108】
△:濁度値(50〜200(mg/l))、目視で僅かに白濁している。
【0109】
×:濁度値(200(mg/l)以上)、目視で白濁している。
洗剤配合:
SFT−70H(ソフタノール70H、日本触媒社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル);11g
ネオペレックスF−65(花王株式会社製、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム);32g
ジエタノールアミン;10g
エタノール;5g
プロピレングリコール;15g
実施例で得られた新規共重合体および比較重合体;1.5g
純水;バランス
<単量体合成例1>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、イソプレノールのエチレンオキサイド50モル付加物(以下、「IPN50」と称す。) 823.0gと、水酸化カリウム(以下、「KOH」と称す。)9.1gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、90℃まで降温し、ラウリルグリシジルエーテル(以下、「LGE」と称す。)87.1gを30分かけて添加し、その後、5時間反応させた。さらに、60℃まで降温し、酢酸9.6gを添加してKOHを中和し、単量体(1)を得た。
【0110】
<単量体合成例2>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、IPN50 685.8gと、KOHを7.7g仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、90℃まで降温し、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(以下、「EHGE」と称す。)83.7gを30分かけて添加し、その後、5時間反応させた。さらに、60℃まで降温し、酢酸8.4gを添加してKOHを中和し、単量体(2)を得た。
【0111】
<単量体合成例3>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、ニューコール2360(株式会社日本乳化剤製;C12−13アルコールのエチレンオキサイド60モル付加物) 823.0gと、KOH9.1gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、90℃まで降温し、アリルグリシジルエーテル(以下、「AGE」と称す。)87.1gを30分かけて添加し、その後、5時間反応させた。さらに、60℃まで降温し、酢酸9.6gを添加してKOHを中和し、単量体(3)を得た。
【0112】
<単量体合成例4>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、フェノールのエチレンオキサイド20モル付加物(以下、「PH200」と称す。) 389.6gと、KOH2.3gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、90℃まで降温し、AGE68.4gを30分かけて添加し、その後、5時間反応させた。さらに、60℃まで降温し、酢酸2.4gを添加してKOHを中和し、単量体(4)を得た。
【0113】
<単量体合成例5>
攪拌機(パドル翼)を備えた容量500mLのガラス製セパラブルフラスコに、メタノールのエチレンオキサイド25モル付加物(以下、「PGM25」と称す。) 452.8gと、KOH2.6gを仕込み、窒素吹き込み、攪拌しながら、120℃まで昇温し、この状態を1時間維持することにより、反応系の脱水を行った。次に、還流冷却器を取り付け、90℃まで降温し、AGE68.4gを30分かけて添加し、その後、5時間反応させた。さらに、60℃まで降温し、酢酸3.0gを添加してKOHを中和し、単量体(5)を得た。
【0114】
<実施例1>
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量300mLのガラス製セパラブルフラスコに、単量体(1)15.0g、純水90.0gを仕込み、攪拌しながら、90℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、90℃に保持された重合反応系中に、N−ビニルピロリドン(以下、「NVP」とも称する。)35.0g、2、2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライドの5%水溶液(以下、「5%V50」とも称する。)を32.1g、それぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液の滴下時間は、NVPについては120分間、5%V50については130分間とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。
NVPの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を90℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷した。
【0115】
このようにして、共重合体を含む固形分濃度30%の水溶液(共重合体組成物(1))を得た(得られた共重合体を共重合体(1)とした)。
【0116】
<実施例2>
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量300mLのガラス製セパラブルフラスコに、単量体(2)15.0g、純水90.0gを仕込み、攪拌しながら、90℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、90℃に保持された重合反応系中に、NVP35.0g、5%V50を32.1g、それぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液の滴下時間は、NVPについては120分間、5%V50については130分間とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。
NVPの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を90℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷した。
このようにして、共重合体を含む固形分濃度30%の水溶液(共重合体組成物(2))を得た(得られた共重合体を共重合体(2)とした)。
【0117】
<実施例3>
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量300mLのガラス製セパラブルフラスコに、単量体(3)15.0g、純水90.0gを仕込み、攪拌しながら、90℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、90℃に保持された重合反応系中に、NVP35.0g、5%V50を32.0g、それぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液の滴下時間は、NVPについては120分間、5%V50については130分間とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。
NVPの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を90℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷した。
このようにして、共重合体を含む固形分濃度30%の水溶液(共重合体組成物(3))を得た(得られた共重合体を共重合体(3)とした)。
【0118】
<実施例4>
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量300mLのガラス製セパラブルフラスコに、単量体(4)10.0g、純水86.0gを仕込み、攪拌しながら、90℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、90℃に保持された重合反応系中に、NVP40.0g、5%V50を36.9g、それぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液の滴下時間は、NVPについては120分間、5%V50については130分間とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。
NVPの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を90℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷した。
このようにして、共重合体を含む固形分濃度30%の水溶液(共重合体組成物(4))を得た(得られた共重合体を共重合体(4)とした)。
【0119】
<実施例5>
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量300mLのガラス製セパラブルフラスコに、単量体(5)10.0g、純水86.0gを仕込み、攪拌しながら、90℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、90℃に保持された重合反応系中に、NVP40.0g、5%V50を36.8g、それぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液の滴下時間は、NVPについては120分間、5%V50については130分間とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。
NVPの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を90℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷した。
【0120】
このようにして、共重合体を含む固形分濃度30%の水溶液(共重合体組成物(5))を得た(得られた共重合体を共重合体(5)とした)。
【0121】
<比較例1>
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量300mLのガラス製セパラブルフラスコに、純水58.0gを仕込み、攪拌しながら、90℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、90℃に保持された重合反応系中に、NVP70.0g、5%V50を63.1g、および亜硫酸ナトリウムの5%水溶液(以下、「5%SS」とも称する。)63.1gを、それぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液の滴下時間は、NVPと5%SSについては120分間、5%V50については130分間とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。
NVPの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を90℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷した。
このようにして、固形分濃度30%の比較重合体(1)を得た。
【0122】
<比較例2>
還流冷却器、攪拌機(パドル翼)を備えた容量300mLのガラス製セパラブルフラスコに、純水80.0gを仕込み、攪拌しながら、90℃まで昇温して重合反応系とした。次に、攪拌下、90℃に保持された重合反応系中に、メタノールのエチレンオキサイド25モル付加物メタクリル酸エステルの60%水溶液(以下、「60%PGM25E」とも称する。)25.0g、NVP35.0g、5%V50を32.8g、それぞれ別々のノズルより滴下した。各溶液の滴下時間は、60%PGM25Eについては90分間、NVPについては120分間、5%V50については130分間とした。また、各溶液の滴下速度は一定とし、各溶液の滴下は連続的に行った。
NVPの滴下終了後、更に30分間、上記反応溶液を90℃に保持(熟成)して重合を終了した。重合終了後、重合反応液を攪拌、放冷した。
このようにして、固形分濃度30%の比較重合体(2)を得た。
【0123】
【表1】

【0124】

表1に示す結果から、本発明の共重合体は従来の重合体と比較して、優れた界面活性剤との相溶性を有することが実証された。また、本発明の重合体は従来の重合体と比較して、優れた移染防止能を有していることが実証された。
従って、本発明の重合体を洗剤ビルダーとして用いると、節水条件下でも色移りが効果的に防止されうることが期待される。しかも、本発明の重合体は優れた界面活性剤との相溶性を有するため、液体洗剤への配合など、より幅広い洗剤配合が可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(r−1)で表されるラクタム環含有単量体由来の構造(R1)、
下記一般式(p−1)または(p−2)で表されるで表されるポリオキシアルキレン系単量体由来の構造(P)、
を有するラクタム環含有共重合体であって、
共重合体の全単量体由来の構造の質量100質量%に対するラクタム環含有単量体由来の構造(R1)の組成が、30〜90質量%であり、
共重合体の全単量体由来の構造の質量100質量%に対するポリオキシアルキレン系単量体由来の構造(P)の組成が10〜70質量%であり、
共重合体の全単量体由来の構造の質量100質量%に対するラクタム環含有単量体由来の構造(R1)とポリオキシアルキレン系単量体由来の構造(P)の合計の組成が50〜100質量%である、
ラクタム環含有共重合体。
【化1】


上記一般式(r−1)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、nは1〜6の整数を表す。
【化2】


上記一般式(p−1)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは単結合、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、−X、−Yは、水酸基または下記一般式(p−3)で表される構造の基を表す。
【化3】


上記一般式(p−1)において、Zは炭素数2〜20のオキシアルキレン基を表し、nは、Zの繰り返しの数を表し、1〜200の数であり、Rは炭素数1〜20の有機基を表す。
【化4】


上記一般式(p−2)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは単結合、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、Zは炭素数2〜20のオキシアルキレン基を表し、nは、Zの繰り返しの数を表し、1〜200の数であり、−Xは、水酸基または下記一般式(p−4)または(p−5)で表される構造の基を表す。
【化5】


上記一般式(p−4)、(p−5)において、Rは炭素数1〜20の有機基を表す。
【請求項2】
下記一般式(r−1)で表されるラクタム環含有単量体、
下記一般式(p−1)および/または(p−2)で表されるポリオキシアルキレン系単量体、
を共重合させることを特徴とする、
請求項1に記載のラクタム環含有共重合体の製造方法。
【化6】


上記一般式(r−1)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、nは1〜6の整数を表す。
【化7】


上記一般式(p−1)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは単結合、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、−X、−Yは、水酸基または下記一般式(p−3)で表される構造の基を表す。
【化8】


上記一般式(p−1)において、Zは炭素数2〜20のオキシアルキレン基を表し、nは、Zの繰り返しの数を表し、1〜200の数であり、Rは炭素数1〜20の有機基を表す。
【化9】


上記一般式(p−2)において、Rは水素原子またはメチル基を表し、Rは単結合、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、Zは炭素数2〜20のオキシアルキレン基を表し、nは、Zの繰り返しの数を表し、1〜200の数であり、−Xは、水酸基または下記一般式(p−4)または(p−5)で表される構造の基を表す。
【化10】


上記一般式(p−4)、(p−5)において、Rは炭素数1〜20の有機基を表す。

【公開番号】特開2010−241880(P2010−241880A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89686(P2009−89686)
【出願日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】