説明

ラベルプリンタ、情報処理端末、およびプログラム

【課題】ラベルプリンタにおけるラベルの発行で行われる処理のスループットを向上させることができるラベルプリンタ、情報処理端末、およびプログラムを提供する。
【解決手段】フォーマットが同一のラベルのうち、イメージバッファ304にラベルイメージが展開されたラベル(1ページ目のラベル)と一部の印字内容が異なるラベル(2ページ目以降のラベル)を発行する場合に、2ページ目のラベルを表すラベルデータから、設定された変更エリアの変更エリアデータを抽出し、抽出した変更エリアデータを展開した変更エリアイメージを、イメージバッファ304に展開された1ページ目のラベルのラベルイメージ内の変更エリアに挿入し、変更エリアイメージが挿入されたラベルイメージを用紙に印字する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルプリンタ、情報処理端末、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ラベルプリンタは、フォーマット以外の印字内容のみがラベル毎に異なるラベルを発行することが多い。しかし、従来のラベルプリンタは、フォーマットが同じラベルを発行する場合であっても、ラベルを発行する度にラベル全面のイメージを描画展開していたため、ラベルの発行におけるスループットが低かった。具体的には、プリンタドライバが、ラベル全面のイメージの描画展開を要求するコマンドデータを生成し、生成したコマンドデータをラベルプリンタに送信する。次に、ラベルプリンタが、プリンタドライバから受信したコマンドデータを解析するとともに、ラベル全面のイメージを描画展開し、描画展開したイメージのラベルを発行していた。
【0003】
そこで、特許文献1では、フォーマットが同じラベルを発行する場合に、フォーマット以外の印字内容を表すラベルデータのラベルイメージのみの描画展開を要求するコマンドデータをラベルプリンタに送信し、プリンタが既に描画展開されているフォーマットに対してラベルイメージを重ねて描画展開する技術が開示されている。これにより、同じフォーマットのラベルを発行する場合に、ラベル毎にラベル全面のイメージを描画することがなくなるので、ラベルの発行で行われる処理の無駄を削減することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ラベルプリンタから発行されるラベルには、フォーマット以外の印字内容の中にも共通する部分が含まれていることが多い。しかしながら上記特許文献1に開示された技術では、フォーマット以外の印字内容については、ラベル毎にラベル全面のイメージを描画展開しているため、ラベルの発行で行われる処理には未だ無駄な処理が含まれている。また、ラベルの発行におけるスループットはラベルのサイズの上昇に比例して低下するため、ラベルのサイズが大きくなった場合のスループットの向上も期待されている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ラベルプリンタにおけるラベルの発行で行われる処理のスループットを向上させることができるラベルプリンタ、情報処理端末、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、フォーマットが同一のラベル群のうち一つの印字対象のラベルを表すラベルデータのラベルイメージを展開する展開手段と、前記展開したラベルイメージのうち、印字内容がラベル毎に変更されるフォーマット以外の変更エリアを設定する設定手段と、前記ラベル群のうち前記一つの印字対象のラベル以外の他の印字対象のラベルを表すラベルデータから、前記設定した変更エリアの変更エリアデータを抽出する抽出手段と、前記抽出した変更エリアデータを展開した変更エリアイメージを、前記展開したラベルイメージ内の前記変更エリアに挿入する挿入手段と、前記展開した変更エリアイメージが挿入されたラベルイメージを印字媒体に印字する印字手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、フォーマットが同一のラベル群のうち一つの印字対象のラベルを表すラベルデータから展開したラベルイメージを用紙に印字するラベルプリンタを制御する情報処理端末であって、前記展開したラベルイメージうち、印字内容がラベル毎に変更されるフォーマット以外の変更エリアを設定する設定手段と、前記ラベル群のうち前記一つの印字対象のラベル以外の他の印字対象のラベルを表すラベルデータから、前記設定した変更エリアの変更エリアデータを抽出する抽出手段と、前記抽出した変更エリアデータを前記ラベルプリンタに送信して、前記送信した変更エリアデータを展開した変更エリアイメージを前記展開したラベルイメージ内の前記変更エリアに挿入することを要求する送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、コンピュータを、フォーマットが同一のラベル群のうち一つの印字対象のラベルを表すラベルデータのラベルイメージを展開する展開手段と、前記展開したラベルイメージのうち、印字内容がラベル毎に変更されるフォーマット以外の変更エリアを設定する設定手段と、前記ラベル群のうち前記一つの印字対象のラベル以外の他の印字対象のラベルを表すラベルデータから、前記設定した変更エリアの変更エリアデータを抽出する抽出手段と、前記抽出した変更エリアデータを展開した変更エリアイメージを、前記展開したラベルイメージ内の前記変更エリアに挿入する挿入手段と、前記展開した変更エリアイメージが挿入されたラベルイメージを印字媒体に印字する印字手段と、として機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかるラベルプリンタ、情報処理端末、およびプログラムは、ラベルプリンタにおけるラベルの発行で行われる処理のスループットを向上させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本実施の形態にかかるラベル発行システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本実施の形態にかかる端末およびプリンタの電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、端末およびプリンタのラベルを発行するためのソフトウェアおよびハードウェアを示したブロック図である。
【図4】図4は、フォーマットが同一のラベル群のラベルイメージを示す図である。
【図5】図5は、変更エリアを設定する画面を示す図である。
【図6】図6は、変更エリアを設定する画面を示す図である。
【図7】図7は、印刷コマンドに含まれるラベルデータから展開されるラベルイメージを示す図である。
【図8】図8は、端末からプリンタへの印刷コマンドの送信処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】図9は、ラベルの発行処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】図10は、端末およびプリンタのラベルを発行するためのソフトウェアおよびハードウェアを示したブロック図である。
【図11】図11は、端末からプリンタへの印刷コマンドの送信処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】図12は、変更エリアデータおよびフォントデータを含む印刷コマンドを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるラベルプリンタ、情報処理端末、およびプログラムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態にかかるラベル発行システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態にかかるラベル発行システム1は、ラベルデータを作成するPC(Personal Computer)などの端末(情報処理端末)100、および端末100から送信されたラベルデータを用紙に印字するプリンタ(ラベルプリンタ)200を備えている。そして、端末100とプリンタ200とは、ケーブルを介して接続されている。
【0013】
図2は、本実施の形態にかかる端末およびプリンタの電気的な構成を示すブロック図である。プリンタ200は、プリンタ200の主要部であって各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)201を備えている。そして、プリンタ200は、プリンタ200の制御プログラム303(図3参照)等を記憶しているROM(Read Only Memory)202、各種データを書換え可能に記憶するものであり、端末100から送信されたラベルデータのラベルイメージが展開されるイメージバッファ304(図3参照)を有するRAM(Random Access Memory)203を、バス208を介してCPU201に接続している。さらに、プリンタ200は、搬送モータ等の各モータ204、プリンタ200内を搬送されるラベルの位置などを検知する各センサ205、ラベルの印字面を加熱して印字を行うヘッド206、プリンタ200と端末100との通信を司るI/F207を、バス208を介してCPU201に接続している。
【0014】
端末100は、端末100の主要部であって各部を集中的に制御するCPU101を備えている。そして、端末100は、OS(Operating System)、ラベルデータの作成やプリンタ200の指定などを行うアプリケーション301(図3参照)、プリンタ200の動作を制御するプリンタドライバ302(図3参照)等を記憶しているROM102、各種データを書換え可能に記憶するRAM103を、バス109を介してCPU101に接続している。さらに、端末100は、キーボードやマウス等の操作部104の操作を制御する操作部コントローラ105、各種情報を表示する液晶ディスプレイなどの表示部106を制御する表示部コントローラ107、プリンタ200と端末100との通信を司るI/F108を、バス109を介してCPU101に接続している。
【0015】
図3は、端末およびプリンタのラベルを発行するためのソフトウェアおよびハードウェアを示したブロック図である。
【0016】
図3に示すように、端末100は、ソフトウェア構成として、アプリケーション301およびプリンタドライバ302を備えている。プリンタ200は、ソフトウェア構成として、制御プログラム303を備えている。さらに、プリンタ200は、ハードウェア構成として、イメージバッファ304を備えている。なお、イメージバッファ304は、プリンタ200が備えるRAM203内のメモリ領域に作成されるものとする。
【0017】
アプリケーション301は、プリンタドライバ302に対するラベルの発行命令、プリンタ200から発行するラベルを表すラベルデータの作成、作成したラベルデータを出力するプリンタ200の指定などを行うものである。
【0018】
プリンタドライバ302は、プリンタ200の動作を制御するものであって、GDI(Graphics Device Interface)305、通信制御部306、プリンタフォント308、発行条件309などを有している。
【0019】
GDI305は、プリンタ200をコントロールするものであり、印刷コマンド生成部305aを備えている。
【0020】
印刷コマンド生成部305aは、アプリケーション301からラベルの発行命令やラベルを発行するプリンタ200の指定を受けた場合に、プリンタ200からラベルを発行する際の印字スピードなどの発行条件309やアプリケーション301から指定されたプリンタ200用のフォントであるプリンタフォント308を予め設定するものである。
【0021】
また、印刷コマンド生成部305aは、フォーマットが同一のラベル群のうちイメージバッファ304にラベルイメージが展開された一つの印字対象のラベル(1ページ目のラベル)と一部の印字内容が異なるラベル(2ページ目以降のラベル)を発行する場合に、イメージバッファ304に展開したラベルイメージのうち、印字内容がラベル毎に異なるフォーマット以外の変更エリアを発行条件309として設定する。
【0022】
図4は、フォーマットが同一のラベル群のラベルイメージを示す図である。図4に示す3つのラベルイメージ401,402,403のラベルを発行する場合、印刷コマンド生成部305aは、各ラベルイメージのうち、製造番号が印字された変更エリアAおよび二次元バーコードが印字された変更エリアBを発行条件309として設定する。
【0023】
図5,図6は、変更エリアを設定する画面を示す図である。例えば、図4に示すラベルイメージ401,402,403に含まれる変更エリアA,Bを発行条件309として設定する場合、印刷コマンド生成部305aは、図5に示すように、1ページ目のラベルのラベルイメージ401を、表示部コントローラ107を介して表示部106に表示する。次いで、操作部コントローラ105を介して操作部104から変更エリアA,Bが指定されると、印刷コマンド生成部305aは、指定された変更エリアA,Bの起点座標および終端座標を検出する。そして、印刷コマンド生成部305aは、図6に示すように、検出した起点座標および終端座標を、表示部コントローラ107を介して表示部106に表示するとともに、当該検出した起点座標および終端座標が表す変更エリアA,Bを発行条件309として設定する。
【0024】
さらに、印刷コマンド生成部305aは、予め設定された発行条件309を表す発行条件データ、予め設定されたプリンタフォント308を表すフォントデータ、アプリケーション301により作成されたラベルデータ、アプリケーション301から受けた発行命令を表す発行命令データなどを含む印刷コマンド307を生成する。
【0025】
図7は、印刷コマンドに含まれるラベルデータから展開されるラベルイメージを示す図である。より具体的には、アプリケーション301から1ページ目のラベルの発行命令を受けた場合、印刷コマンド生成部305aは、図7に示すように、当該1ページ目のラベル全面を表すラベルデータ701を含み、イメージバッファ304に展開されたラベルイメージ全面のクリアを要求する印刷コマンド307を生成する。
【0026】
一方、印刷コマンド生成部305aは、図7に示すように、アプリケーション301から2ページ目以降のラベル(フォーマットが同一のラベル群のうち1ページ目のラベル以外の他の印字対象のラベル)の発行命令を受けた場合、2ページ目以降のラベルを表すラベルデータから、発行条件309として予め設定された変更エリアのラベルデータ(以下、変更エリアデータとする)702,703を抽出する。そして、印刷コマンド生成部305aは、抽出した変更エリアデータ702,703を含み、当該変更エリアデータ702,703を展開した変更エリアイメージをイメージバッファ304に展開したラベルイメージ内の変更エリアに挿入することを要求する印刷コマンド307を生成する。なお、発行条件309として予め設定された変更エリアが複数ある場合、印刷コマンド生成部305aは、全ての変更エリアの変更エリアデータを抽出するまで、変更エリアデータの抽出を繰り返すものとする。
【0027】
通信制御部306は、I/F108を介して、印刷コマンド生成部305aにより生成された印刷コマンド307をプリンタ200に送信するものである。
【0028】
プリンタ200がソフトウェア構成として備える制御プログラム303は、通信制御部311、印刷コマンド解析部312、イメージ描画部313、およびヘッド出力/駆動制御部314などを備えている。
【0029】
通信制御部311は、I/F207を介して、端末100の通信制御部306から送信された印刷コマンド307を受信するものである。
【0030】
印刷コマンド解析部312は、通信制御部311により受信した印刷コマンド307を解析して、当該印刷コマンド307から発行条件データ、フォントデータ、ラベルデータ(または変更エリアデータ)、および発行命令データを読み込む。さらに、印刷コマンド解析部312は、当該印刷コマンドが、イメージバッファ304に展開されたラベルイメージ全面のクリアを要求するものか、イメージバッファ304に展開したラベルイメージへの変更エリアイメージの挿入を要求するものかを判断する。
【0031】
イメージ描画部313は、印刷コマンド解析部312により印刷コマンドがイメージバッファ304に展開されたラベルイメージ全面のクリアを要求するものと判断された場合、イメージバッファ304に展開されているラベルイメージをクリアする。そして、イメージ描画部313は、印刷コマンド解析部312により印刷コマンドから読み込んだラベルデータのラベルイメージをイメージバッファ304に展開する。
【0032】
一方、イメージ描画部313は、印刷コマンド解析部312により印刷コマンドがイメージバッファ304に展開したラベルイメージへの変更エリアイメージの挿入を要求するものと判断された場合、印刷コマンドから読み込んだ変更エリアデータを展開した変更エリアイメージを、イメージバッファ304に展開したラベルイメージ内の変更エリアに挿入する。
【0033】
ヘッド出力/駆動制御部314は、各モータ204やヘッド206などを制御して、イメージバッファ304に展開(または、変更エリアイメージが挿入)されたラベルイメージを用紙に印字するものである。なお、本実施の形態では、ヘッド出力/駆動制御部314は、ラベルイメージを用紙に印字しているが、ラベルイメージを印字可能な印字媒体であれば、これに限定するものではなく、例えば、カードや封筒等にラベルイメージを印字することも可能である。
【0034】
図8は、端末からプリンタへの印刷コマンドの送信処理の流れを示すフローチャートである。アプリケーション301は、ラベルデータを作成すると(ステップS801)、作成したラベルデータが2ページ目以降のラベルを表すラベルデータか否かを判断する(ステップS802)。
【0035】
1ページ目のラベルを表すラベルデータと判断した場合(ステップS802:No)、印刷コマンド生成部305aは、操作部コントローラ105を介して操作部104から指定された変更エリアを発行条件309として設定する(ステップS803)。さらに、印刷コマンド生成部305aは、1ページ目のラベル全面を表すラベルデータを含む印刷コマンド307を生成する(ステップS804)。
【0036】
一方、2ページ目以降のラベルを表すラベルデータと判断した場合(ステップS802:Yes)、印刷コマンド生成部305aは、変更エリアが発行条件309として設定されているか否かを判断する(ステップS805)。変更エリアが発行条件309として設定されていなかった場合(ステップS805:No)、印刷コマンド生成部305aは、2ページ目以降のラベル全面を表すラベルデータを含む印刷コマンド307を生成する(ステップS804)。
【0037】
一方、変更エリアが発行条件309として設定されていた場合(ステップS805:Yes)、印刷コマンド生成部305aは、設定された発行条件を読み込むとともに(ステップS806)、読み込んだ変更エリアの起点座標および終端座標を検出する(ステップS807)。そして、印刷コマンド生成部305aは、2ページ目以降のラベルを表すラベルデータから、検出した起点座標から終端座標までの変更エリアの変更エリアデータを抽出し、抽出した変更エリアデータを含む印刷コマンド307を生成する(ステップS808)。印刷コマンド生成部305aは、全ての変更エリアの変更エリアデータを含む印刷コマンド307が生成されるまで、ステップS806からステップS808までの処理を繰り返す(ステップS809)。
【0038】
印刷コマンド307が生成されると、通信制御部306は、I/F108を介して、生成された印刷コマンド307をプリンタ200に送信する(ステップS810)。
【0039】
図9は、ラベルの発行処理の流れを示すフローチャートである。通信制御部311が端末100から印刷コマンド307を受信すると、印刷コマンド解析部312は、受信した印刷コマンド307を解析する(ステップS901)。
【0040】
そして、印刷コマンド解析部312は、印刷コマンド307がイメージバッファ304に展開したラベルイメージ全面のクリアを要求するものであるか否かを判断する(ステップS902)。そして、印刷コマンド307がイメージバッファ304に展開したラベルイメージ全面のクリアを要求するものであった場合(ステップS902:Yes)、イメージ描画部313は、イメージバッファ304に展開されているラベルイメージをクリアする(ステップS903)。そして、イメージ描画部313は、印刷コマンド307から読み込んだラベルデータのラベルイメージをイメージバッファ304に展開する(ステップS904)。
【0041】
一方、印刷コマンド307がイメージバッファ304に展開したラベルイメージへの変更エリアイメージの挿入を要求するものであった場合(ステップS902:No)、イメージ描画部313は、印刷コマンド307から読み込んだ変更エリアデータを展開した変更エリアイメージを、イメージバッファ304に展開したラベルイメージ内の変更エリアに挿入する(ステップS904)。さらに、印刷コマンド307から次の変更エリアデータが読み込まれた場合(ステップS905:No)、イメージ描画部313は、次の変更エリアデータを展開した変更エリアイメージを、イメージバッファ304に展開したラベルイメージ内の変更エリアに挿入する(ステップS904)。
【0042】
印刷コマンド307から全ての変更エリアデータが読み込まれると(ステップS905:Yes)、ヘッド出力/駆動制御部314は、イメージバッファ304に展開されたラベルイメージ(または変更エリアデータが挿入されたラベルイメージ)を用紙に印字する(ステップS906)。
【0043】
このように本実施の形態にかかるラベル発行システム1によれば、フォーマットが同一のラベル群のうち、イメージバッファ304にラベルイメージが展開されたラベル(1ページ目のラベル)と一部の印字内容が異なるラベル(2ページ目以降のラベル)を発行する場合に、2ページ目のラベルを表すラベルデータから、設定された変更エリアの変更エリアデータを抽出し、抽出した変更エリアデータを展開した変更エリアイメージを、イメージバッファ304に展開された1ページ目のラベルのラベルイメージ内の変更エリアに挿入し、変更エリアイメージが挿入されたラベルイメージを用紙に印字することにより、2ページ目以降のラベルを発行する場合に、当該2ページ目以降のラベル全面のラベルイメージを展開する必要がなくなるので、ラベルの発行で行われる処理から無駄な処理を省くことができるので、プリンタ200におけるラベルの発行で行われる処理のスループットを向上させることができる。また、サイズが大きいラベルを発行する場合も、2ページ目以降のラベルについては、当該2ページ目以降のラベル全面のラベルイメージを展開する必要がなくなるので、プリンタ200におけるラベルの発行で行われる処理のスループットを向上させることができる。
【0044】
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、ラベルイメージの印字に用いるプリンタフォントの中から、変更エリアを示す特殊フォントを選択し、2ページ目以降のラベルを表すラベルデータから、選択された特殊フォントが示す変更エリアの変更エリアデータを抽出する例である。なお、第1の実施の形態と同様の箇所については、説明を省略し、異なる箇所についてのみ説明を行う。
【0045】
図10は、端末およびプリンタのラベルを発行するためのソフトウェアおよびハードウェアを示したブロック図である。
【0046】
アプリケーション1001は、1ページ目のラベルを表すラベルデータを作成した際に、ラベルデータを出力するプリンタ200の動作を制御するプリンタドライバ302を選択する。次いで、アプリケーション1001は、選択したプリンタドライバ302が有するプリンタフォント1003の中から、変更エリアを示す特殊フォントを読み込む。そして、アプリケーション1001は、読み込んだ特殊フォントのうち、印字内容がラベル毎に異なるフォーマット以外の変更エリアを示す特殊フォントを選択する。
【0047】
印刷コマンド生成部1002は、アプリケーション1001が2ページ目以降のラベルの発行命令を受けた場合、2ページ目以降のラベルを表すラベルデータから、アプリケーション1001によって選択された特殊フォントが示す変更エリアの変更エリアデータを抽出する。
【0048】
図11は、端末からプリンタへの印刷コマンドの送信処理の流れを示すフローチャートである。アプリケーション1001は、ラベルデータを作成すると(ステップS1101)、作成したラベルデータが2ページ目以降のラベルを表すラベルデータか否かを判断する(ステップS1102)。
【0049】
1ページ目のラベルを表すラベルデータと判断した場合(ステップS1102:No)、アプリケーション1001は、作成したラベルデータを出力するプリンタ200の動作を制御するプリンタドライバ302を選択する(ステップS1103)。次いで、アプリケーション1001は、選択したプリンタドライバ302が有するプリンタフォント1003の中から、特殊フォントを読み込む(ステップS1104)。そして、アプリケーション1001は、読み込んだ特殊フォントのうち、ラベル毎に印字内容が異なるフォーマット以外の変更エリアを示す特殊フォントを選択する(ステップS1105)。なお、アプリケーション1001は、全ての変更エリアを示す特殊フォントが選択されるまで、ステップS1105に示す処理を繰り返す(ステップS1106:Yes)。
【0050】
全ての変更エリアを示す特殊フォントが選択されると(ステップS1106:No)、印刷コマンド生成部1002は、1ページ目のラベル全面を表すラベルデータを含む印刷コマンド307を生成する(ステップS1107)。
【0051】
一方、2ページ目以降のラベルを表すラベルデータと判断した場合(ステップS1102:Yes)、印刷コマンド生成部1002は、特殊フォントが選択されているか否かを判断する(ステップS1108)。特殊フォントが選択されていなかった場合(ステップS1108:No)、印刷コマンド生成部1002は、2ページ目以降のラベル全面を表すラベルデータを含む印刷コマンド307を生成する(ステップS1107)。
【0052】
一方、特殊フォントが選択されていた場合(ステップS1108:Yes)、印刷コマンド生成部1002は、選択された特殊フォントが示す変更エリアを読み込む(ステップS1109)。さらに、印刷コマンド生成部1002は、読み込んだ変更エリアの起点座標および終端座標を検出する(ステップS1110)。そして、印刷コマンド生成部1002は、2ページ目以降のラベルを表すラベルデータから、検出した起点座標から終端座標までの変更エリアの変更エリアデータを抽出し、抽出した変更エリアデータおよび選択された特殊フォントを示すフォントデータ含む印刷コマンド307を生成する(ステップS1111)。印刷コマンド生成部1002は、選択された全ての特殊フォントが示す変更エリアの変更エリアデータおよび選択された全ての特殊フォントを示すフォントデータを含む印刷コマンド307が生成されるまで、ステップS1109からステップS1111までの処理を繰り返す(ステップS1112)。
【0053】
図12は、変更エリアデータおよびフォントデータを含む印刷コマンドを説明するための図である。図12に示すように、印刷コマンド生成部1002は、2ページ目以降のラベルイメージ402,403のうち変更エリアA,Bの変更エリアデータ、および特殊フォントCを示すフォントデータを含む印刷コマンド307を生成する。
【0054】
印刷コマンド307が生成されると、通信制御部306は、I/F108を介して、生成された印刷コマンド307をプリンタ200に送信する(ステップS1113)。
【0055】
このように本実施の形態にかかるラベル発行システム1によれば、ラベルイメージの印字に用いるプリンタフォントの中から、変更エリアを示す特殊フォントを選択し、2ページ目以降のラベルを表すラベルデータから、選択された特殊フォントが示す変更エリアの変更エリアデータを抽出することにより、1ページ目のラベルのラベルイメージを見ながらユーザ自身が変更エリアを設定する必要がなくなるので、ラベルを発行する際のラベル発行システム1の操作が容易になる。
【0056】
なお、本実施の形態の端末100およびプリンタ200で実行されるプログラム(アプリケーション301,1001、プリンタドライバ302、制御プログラム303など)は、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0057】
本実施の形態の端末100およびプリンタ200で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0058】
さらに、本実施の形態の端末100およびプリンタ200で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の端末100およびプリンタ200で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0059】
100 端末
200 プリンタ
301,1001 アプリケーション
302 プリンタドライバ
303 制御プログラム
304 イメージバッファ
305 GDI
305a,1002 印刷コマンド生成部
306,311 通信制御部
309 発行条件
313 イメージ描画部
314 ヘッド出力/駆動制御部
1003 プリンタフォント
【先行技術文献】
【特許文献】
【0060】
【特許文献1】特開平04−176677号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーマットが同一のラベル群のうち一つの印字対象のラベルを表すラベルデータのラベルイメージを展開する展開手段と、
前記展開したラベルイメージのうち、印字内容がラベル毎に変更されるフォーマット以外の変更エリアを設定する設定手段と、
前記ラベル群のうち前記一つの印字対象のラベル以外の他の印字対象のラベルを表すラベルデータから、前記設定した変更エリアの変更エリアデータを抽出する抽出手段と、
前記抽出した変更エリアデータを展開した変更エリアイメージを、前記展開したラベルイメージ内の前記変更エリアに挿入する挿入手段と、
前記展開した変更エリアイメージが挿入されたラベルイメージを印字媒体に印字する印字手段と、
を備えたことを特徴とするラベルプリンタ。
【請求項2】
前記展開したラベルイメージの出力に用いるプリンタフォントの中から、前記変更エリアを示す特殊フォントを選択する選択手段をさらに備え、
前記抽出手段は、前記特殊フォントが選択された場合、前記他の印字対象のラベルを表すラベルデータから、前記選択された特殊フォントが示す前記変更エリアの変更エリアデータを抽出することを特徴とする請求項1に記載のラベルプリンタ。
【請求項3】
フォーマットが同一のラベル群のうち一つの印字対象のラベルを表すラベルデータから展開したラベルイメージを用紙に印字するラベルプリンタを制御する情報処理端末であって、
前記展開したラベルイメージのうち、印字内容がラベル毎に変更されるフォーマット以外の変更エリアを設定する設定手段と、
前記ラベル群のうち前記一つの印字対象のラベル以外の他の印字対象のラベルを表すラベルデータから、前記設定した変更エリアの変更エリアデータを抽出する抽出手段と、
前記抽出した変更エリアデータを前記ラベルプリンタに送信して、前記送信した変更エリアデータを展開した変更エリアイメージを前記展開したラベルイメージ内の前記変更エリアに挿入することを要求する送信手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理端末。
【請求項4】
前記展開したラベルイメージの出力に用いるプリンタフォントの中から、前記変更エリアを示す特殊フォントを選択する選択手段をさらに備え、
前記抽出手段は、前記特殊フォントが選択された場合、前記他の印字対象のラベルを表すラベルデータから、前記選択された特殊フォントが示す前記変更エリアの変更エリアデータを抽出することを特徴とする請求項3に記載の情報処理端末。
【請求項5】
コンピュータを、
フォーマットが同一のラベル群のうち一つの印字対象のラベルを表すラベルデータのラベルイメージを展開する展開手段と、
前記展開したラベルイメージのうち、印字内容がラベル毎に変更されるフォーマット以外の変更エリアを設定する設定手段と、
前記ラベル群のうち前記一つの印字対象のラベル以外の他の印字対象のラベルを表すラベルデータから、前記設定した変更エリアの変更エリアデータを抽出する抽出手段と、
前記抽出した変更エリアデータを展開した変更エリアイメージを、前記展開したラベルイメージ内の前記変更エリアに挿入する挿入手段と、
前記展開した変更エリアイメージが挿入されたラベルイメージを印字媒体に印字する印字手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、さらに、
前記展開したラベルイメージの出力に用いるプリンタフォントの中から、前記変更エリアを示す特殊フォントを選択する選択手段として機能させ、
前記抽出手段は、前記特殊フォントが選択された場合、前記他の印字対象のラベルを表すラベルデータから、前記選択された特殊フォントが示す前記変更エリアの変更エリアデータを抽出することを特徴とする請求項5に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−186655(P2011−186655A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49679(P2010−49679)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】