説明

ラベルプリンタ

【課題】複数種類のラベル用紙に対して適度なテンションを与え、利便性を向上させる。
【解決手段】ラベルが外側に貼付されてロール状に巻回された外巻ラベル用紙を収納した用紙収納部からラベルに対する印字を行うラベル印刷機構21に対して外巻ラベル用紙を搬送する第1の搬送経路近傍に設けられる第1取付板51と、ラベルが内側に貼付されてロール状に巻回された内巻ラベル用紙を収納した用紙収納部からラベル印刷機構21に対して内巻ラベル用紙を搬送する第2の搬送経路近傍に設けられる第2取付板と、第1取付板51または第2取付板の何れかに対して取り付けられて、第1の搬送経路または第2の搬送経路の何れかに干渉するラベルダンパー50と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ラベルに印字を行なうラベルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、台紙に貼付されたラベルに印字を行なうラベルプリンタでは、台紙巻取り軸によって台紙を巻き取りつつ、ラベル剥離部によって用紙の案内経路を屈曲させ、印字データが印字されたラベルを台紙から剥離して発行するようにしている。
【0003】
このようなラベルプリンタにおいて、例えば、ロール状に巻回された大径のラベル用紙(ラベル+台紙)を使用した場合、バックフィードなどの処理によって搬送中のラベル用紙が弛んでしまうと、慣性力(慣性抵抗)によってラベル用紙を引っ張りきれず、印字性能を安定させることができないという問題があった。
【0004】
そこで、テンション部材によってラベル用紙(ラベル+台紙)に適度なテンションを与えることにより、ラベル用紙(ラベル+台紙)に張力を与えて、大径のラベル用紙(ラベル+台紙)から用紙を引っ張ることにより、印字性能を安定させるラベルプリンタが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のラベルプリンタでは、テンション部材とプラテンローラとの間にラベル用紙(ラベル+台紙)を通さねばならならず、使い勝手が悪いものとなっている。また、ラベル用紙には、例えば、ラベルが外側に貼付されたロール状の外巻ラベル用紙、ラベルが内側に貼付されたロール状の内巻ラベル用紙があるが、特許文献1に記載のラベルプリンタでは、所定方向に巻回されたラベル用紙しか使用できず利便性が悪かった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成により、複数種類のラベル用紙に対して適度なテンションを与えることができ、利便性を向上させたラベルプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ラベル用紙収納部と、プラテンと、ラベル剥離部材と、台紙巻取部とが設けられ、前記プラテンに対して離間及び当接自在な印字ヘッドが設けられた装置本体に収容可能で、かつ当該装置本体から引き出し可能なプリンタユニットと、前記プリンタユニットが前記装置本体に収納されると前記印字ヘッドを前記プラテンに当接させ、前記プリンタユニットが前記装置本体から引き出されると前記印字ヘッドを前記プラテンから離間させるヘッドブロックと、前記ヘッドブロック又は前記プリンタユニットの何れかに着脱自在に取り付けられ、前記ラベル用紙収納部から引き出され、前記プラテンを介して前記台紙巻取軸によって巻き取られる用紙にテンションを与えるダンパーと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかるラベルプリンタは、簡易な構成により、複数種類のラベル用紙に対して適度なテンションを与えることができ、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、ラベルプリンタの外観構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、プリンタユニットが引き出された状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、プリンタユニットが引き出された状態を示す断面図である。
【図4】図4は、プリンタユニットが収容されている状態を示す拡大断面図である。
【図5】図5は、ラベルダンパーの設置位置付近を示す断面図である。
【図6】図6は、ラベルダンパーの設置位置付近を示す斜視図である。
【図7】図7は、ラベルダンパーの設置位置を説明するためのプリンタユニットの断面図である。
【図8−1】図8−1は、ラベルダンパーの斜視図である。
【図8−2】図8−2は、ラベルダンパーの斜視図である。
【図9】図9は、ラベルダンパーが取付板を介してヘッドブロックに設けられた状態を示す説明図である。
【図10】図10は、ラベルダンパーが取付板を介して片持ちユニットに設けられた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるラベルプリンタの最良な実施の形態を詳細に説明する。以下では、本発明のラベルプリンタを、食品等の商品に関連する情報を印字したラベルを発行するラベルプリンタに適用した例を示すが、これに限定されることなく用紙等の記録媒体に各種情報を印字する装置であればいずれの装置(プリンタ)に適用してもよい。
【0011】
図1は、本実施の形態におけるラベルプリンタ1の外観構成を示す斜視図である。ラベルプリンタ1は、ラベルに食品等の商品に関連する情報を印字し、印字したラベルを発行するものである。図1に示すように、ラベルプリンタ1の装置本体10の上部には、商品に関する種々の情報を表示するタッチパネル付きのディスプレイ11が設けられている。また、ラベルプリンタ1の装置本体10の上面には、操作者からの各種入力を受付けるキーボード12が設けられている。また、ラベルプリンタ1の装置本体10の正面下部には、商品を載置して商品の重量を計測する計量秤13が設けられている。
【0012】
ラベルプリンタ1の装置本体10の内部には、プリンタユニット15、16が並設されて収容されており、ラベルプリンタ1の装置本体10の計量秤13側の下部に溝状に設けられた把持部15a、16aに指を掛けて引っ張ることで、ラベルプリンタ1の装置本体10から図1におけるA方向に引き出し可能となっている。また、引き出されたプリンタユニット15、16をA方向と反対方向に押圧することで、ラベルプリンタ1の装置本体10の内部にプリンタユニット15、16を収容可能となっている。本実施の形態のラベルプリンタ1のプリンタユニット15、16には、ラベルが台紙の外側に貼付されてロール状に巻回された外巻ラベル用紙(P1)、またはラベルが台紙の内側に貼付されてロール状に巻回された内巻ラベル用紙(P2)が収納可能となっている。
【0013】
図2は、プリンタユニット15が引き出された状態を示す斜視図である。図2におけるプリンタユニット15には、ラベル印刷機構21(図4、10参照)により印字される、ラベルが台紙の外側に貼付されたロール状の外巻ラベル用紙P1が収納されている。外巻ラベル用紙P1は、保持軸22(図3参照)に紙管が挿入されることで着脱自在に保持されている。また、外巻ラベル用紙P1は、プリンタユニット15が装置本体10に収容されると、屈曲したロール紙保持機構201により端面を支持されて幅方向の動きが規制される。ラベルプリンタ1は、プリンタユニット15、16のラベル印刷機構21によって印刷されたラベルが、ラベルプリンタ1の装置本体10の計量秤13側に形成されたラベル発行口17、18から排出される構成となっている。
【0014】
ここで、以下では、右側に位置し、外巻ラベル用紙P1が収納された状態でのプリンタユニット15の構成を説明するが、上述のように、プリンタユニット15には、内巻ラベル用紙P2を収納することも可能であり、後述するラベルダンパー50の設置位置以外の構成は同様である。また、左側に位置する他方のプリンタユニット16は、プリンタユニット15と左右対称となる構造を有しており、同様に外巻ラベル用紙P1、内巻ラベル用紙P2が収納可能となっている。このため、左側に位置するプリンタユニット16については、説明を省略する。
【0015】
図3は、プリンタユニット15が引き出された状態を示す断面図である。図4は、プリンタユニット15が収容されている状態を示す拡大断面図である。なお、図3では、ロール紙保持機構201が省略されている。以下、図面を参照しつつ、ラベルプリンタ1の構造について詳細に説明する。
【0016】
ラベルプリンタ1は、装置本体10のプリンタ保持部20に対して、プリンタユニット15が引出自在に収容されて構成されている。プリンタユニット15は、ラベル発行口17から順に、ラベル印刷機構21を構成するプラテン及び外巻ラベル用紙P1のラベルと台紙とを剥離させるためのラベル剥離板を備える片持ちユニット23と、外巻ラベル用紙P1を収納保持する用紙収納部24とが設けられている。また、片持ちユニット23の下方には、ラベル剥離板により剥離された台紙を巻き取るための台紙巻取り軸25が設けられている。プリンタユニット15の内部一側部には取付壁26が設けられ、この取付壁26と対向する他側部には開放部27が形成されている。取付壁26は、プラテン、ラベル剥離板及び台紙巻取り軸25を片持ち状態で支持する構造体であり、開放部27は切欠構造である。
【0017】
したがって、用紙収納部24の保持軸22と片持ちユニット23(プラテン及びラベル剥離板)と台紙巻取り軸25とによって、プリンタユニット15には、用紙収納部24の保持軸22から台紙巻取り軸25に至る外巻ラベル用紙P1の搬送経路が形成される。
【0018】
また、プリンタユニット15の取付壁26には、プリンタユニット15の押し込み動作時に、後述するラベルダンパー50の取付板51の被当接部53(図8などを参照)に当接する階段形状の当接部26aが形成されている。
【0019】
片持ちユニット23(プラテン及びラベル剥離板)の自由端は、補助板金28に支持されて位置決め精度の向上及び剛性確保が図られている。片持ちユニット23のプラテン及び台紙巻取り軸25は回転自在に取り付けられており、取付壁26には、片持ちユニット23のプラテン及び台紙巻取り軸25に対する動力伝達機構を構成するギヤ列(図示せず)が設けられている。片持ちユニット23および台紙巻取り軸25が取付壁26に取り付けられた状態において、片持ちユニット23(プラテン、ラベル剥離板)及び台紙巻取り軸25は、プリンタユニット15の引き出し及び収容方向と直交する略水平軸に沿って配置されることになる。
【0020】
なお、プリンタ保持部20は、その内側壁に、片持ちユニット23の補助板金28の底部を支持する自由端支持部(図示せず)を有する。つまり、この自由端支持部は、直接的に支持する補助板金28を支持することによってこの補助板金28に取り付けられた片持ちユニット23(プラテン及びラベル剥離板)の自由端を支持する。
【0021】
プリンタ保持部20には、片持ちユニット23のプラテンに対して、ラインサーマルヘッド30を離間および当接自在なヘッドブロック31が設けられている。ラインサーマルヘッド30は、用紙収納部24に収納されたラベル用紙P(外巻ラベル用紙P1、内巻ラベル用紙P2)を引き出して搬送する搬送過程においてラベル用紙Pのラベルに所定事項を印字するものであり、ラベル印刷機構21を構成する印字ヘッドである。
【0022】
ヘッドブロック31は、プリンタユニット15の引き出し動作に伴い、ラインサーマルヘッド30が跳ね上げられる方向に回動する。また、ヘッドブロック31は、プリンタユニット15の押し込み動作に伴い、ラインサーマルヘッド30をプラテンに当接する印字位置に復帰させる方向に回動する。このように、ラベルプリンタ1では、プリンタユニット15のスライド移動に伴って、ラインサーマルヘッド30の跳上げ動作を実現している。すなわち、ヘッドブロック31は、プリンタユニット15における外巻ラベル用紙P1の用紙収納部24からラベル印刷機構21に至る搬送経路の近傍の上方に、装置本体10のプリンタ保持部20に対してプリンタユニット15を引き出しおよび収容する過程で開放および閉止自在に設けられる開閉ブロックである。
【0023】
また、プリンタカセット15がプリンタ保持部20から最大限引き出された最大引出位置では、ラインサーマルヘッド30を跳ね上げるようにヘッドブロック31を回動させる跳上げ構造を実現する跳上げ手段が、図示しないカム構造(カムおよびカムフォロワ)によって構成されている。
【0024】
また、ヘッドブロック31には、用紙収納部24から引き出された外巻ラベル用紙P1に適度なテンションを与えるラベルダンパー50が設けられている。ここで、本実施の形態におけるラベルプリンタ1では、プリンタユニット15に収納されたラベル用紙が、外巻ラベル用紙P1か内巻ラベル用紙P2であるかによって、ラベルダンパー50を所定の設置位置に選択的に取り付けている。図5は、ラベルダンパー50の設置位置付近を示す断面図である。また、図6は、ラベルダンパー50の設置位置付近を示す斜視図である。図5、6では、説明の都合上、ラベルダンパー50を2つのラベルダンパー50a、50bとして記載しているが、ラベルダンパー50は1つの部材であって、ラベルダンパー50aの設置位置およびラベルダンパー50bの設置位置に着脱可能に設けられる部材となっている。図7は、ラベルダンパー50の設置位置を説明するためのプリンタユニット15の断面図である。なお、図7のプリンタユニット15は、プリンタ保持部20に収容された状態を示している。
【0025】
図5〜7を参照すると、プリンタユニット15に外巻ラベル用紙P1が収納された場合に設置されたラベルダンパー50は、ラベルダンパー50aである。ラベルダンパー50aは、用紙収納部24からラベル印刷機構21に対して外巻ラベル用紙P1を搬送する搬送経路S1近傍の搬送経路S1を干渉する位置、すなわちヘッドブロック31に設けられており、用紙収納部24から引き出された外巻ラベル用紙P1に適度なテンションを与えるものである。この場合、外巻ラベル用紙P1は、取付壁26に向かって左巻きに巻かれた状態で保持軸22に保持されている。
【0026】
一方、プリンタユニット15に内巻ラベル用紙P2が収納された場合のラベルダンパー50は、ラベルダンパー50bである。ラベルダンパー50bは、用紙収納部24からラベル印刷機構21に対して内巻ラベル用紙P2を搬送する搬送経路S2近傍の搬送経路S2を干渉する位置、すなわち片持ちユニット23に設けられており、用紙収納部24から引き出された内巻ラベル用紙P2に適度なテンションを与えるものである。この場合、内巻ラベル用紙P2は、取付壁26に向かって右巻きに巻かれた状態で保持軸22に保持される。
【0027】
ここで、ラベルダンパー50の構成について説明する。図8−1は、ラベルダンパー50aの斜視図である。また、図8−2は、ラベルダンパー50bの斜視図である。上述のように、ラベルダンパー50は一つの部材であり、図8−1に示すラベルダンパー50aと図8−2に示すラベルダンパー50bとは、異なる角度から視たラベルダンパー50の斜視図である。
【0028】
ラベルダンパー50(50aおよび50b)は、テンションボード52と、ブラケット59と、軸部材56と、スプリング57とから主に構成されている。テンションボード52は、ラベル用紙P(外巻ラベル用紙P1および内巻ラベル用紙P2)の幅方向と略同一の幅に略板形状に形成され、用紙収納部24から引き出された外巻ラベル用紙P1または内巻ラベル用紙P2を押圧してテンションを与えるものである。ブラケット59は、ラベル用紙Pの搬送経路に干渉するラベルプリンタ1の所定位置に取り付けられるものである。詳細は後述する。軸部材56は、円柱形状で形成されており、テンションボード52とブラケット59とに貫通することで、ブラケット59に対してテンションボード52を回動可能に取り付けるものである。そして、スプリング57は、軸部材56に設けられ、矢印B1方向(矢印B2方向)にテンションボード52を付勢する付勢部材である。
【0029】
次に、プリンタユニット15に外巻ラベル用紙P1が収納される場合において、ラベルプリンタ1へのラベルダンパー50(50a)の設置ついて説明する。図9は、ラベルダンパー50aが取付板51を介してヘッドブロック31に設けられた状態を示す説明図である。図9は、図5を矢印α方向(上向き)に見た図となっている。図5、6、9に示すように、ラベルダンパー50aは、ブラケット59がネジ58によって取付板51に着脱可能に取り付けられ、さらに取付板51がヘッドブロック31に対して両持ちで軸54により軸支されて回動自在となっている。そして、図3、4に示すように、ラベルダンパー50aが取り付けられた取付板51は、圧縮スプリング55によってヘッドブロック31方向へ付勢され、これにより、ラベルダンパー50aも同様にヘッドブロック31方向へ付勢される。
【0030】
そして、プリンタユニット15を装置本体10へ収容する押込み動作が行われる。図4に示すように、ラベルダンパー50aが取り付けられた取付板51には、プリンタユニット15の押し込み動作時に、プリンタユニット15の取付壁26に形成された当接部26aに当接する被当接部53が形成されている。これにより、プリンタユニット15のプリンタ保持部20への押し込み動作によって、ラインサーマルヘッド30をプラテンに当接する印字位置に復帰させる方向に移動する際、取付板51における被当接部53に対して、取付壁26に形成された当接部26aが当接する。
【0031】
さらにプリンタユニット15をプリンタ保持部20に押し込むと、圧縮スプリング55の付勢力に抗して取付板51が用紙収納部24側へと回動する。つまり、ラベルダンパー50が取り付けられた取付板51の被当接部53とプリンタユニット15の取付壁26に形成された当接部26aとが当接した状態で、さらにプリンタユニット15をプリンタ保持部20に押し込むと、取付板51の回動に伴ってラベルダンパー50aが用紙収納部24側、すなわち図5におけるB1方向へと回動することになる。
【0032】
また、図3〜6に示すように、プリンタユニット15がプリンタ保持部20に収納された状態では、ヘッドブロック31のラインサーマルヘッド30近傍に設けられたフック32が片持ちユニット23の補助板金28に設けられたロックピン29に係合することで閉じた位置に位置決めされる。フック32とロックピン29との係合は、フック32の形状がプリンタユニット15の引き出し方向に向かって開口していることから、プリンタユニット15のプリンタ保持部20からの引き出し動作によって解除される。
【0033】
一方、プリンタユニット15のプリンタ保持部20からの引き出し動作によって、フック32とロックピン29との係合が解除されるとともに、ラベルダンパー50が取り付けられた取付板51の被当接部53とプリンタユニット15の取付壁26に形成された当接部26aとの当接が解除されると、圧縮スプリング55の付勢力により取付板51がヘッドブロック31方向、すなわち図5におけるR1方向へ回動することになる。これにより、プリンタユニット15のプリンタ保持部20からの引き出しの際に、ラベルダンパー50のテンションボード52が用紙収納部24に収納保持された外巻ラベル用紙P1に当たるのを防止することができる。
【0034】
つまり、上述したように、引き出された状態のプリンタユニット15にラベルダンパー50aを設置すると、ラベルダンパー50aは、図5、6における点線で示された位置に設置される。そして、プリンタユニット15がプリンタ保持部20に押し込まれると、取付板51の回動に伴い、ラベルダンパー50aは、図5、6における実線で示された位置に回動する。従って、プリンタユニット15に設置して、プリンタユニット15をプリンタ保持部20に押し込んだ場合のラベルダンパー50aの基本位置は、図5、6における実線で示された位置となり、スプリング57(図8−1参照)により矢印B1方向に付勢されている。
【0035】
そして、用紙収納部24から外巻ラベル用紙P1を引き出して、ラベル印刷機構21に向けて搬送した場合、図5〜7に示すように、スプリング57から矢印B1方向に付勢されているラベルダンパー50aが外巻ラベル用紙P1にテンションを与える。そして、大径の外巻ラベル用紙P1が収納された場合、テンションが掛かりすぎて外巻ラベル用紙P1が破損等しないように、ラベルダンパー50aは、外巻ラベル用紙P1からの押圧力によって、スプリング57による矢印B1方向の付勢力に対抗して矢印R1方向に回動することで外巻ラベル用紙P1への適度なテンションを維持している。
【0036】
次に、プリンタユニットに内巻ラベル用紙P2が収納される場合において、ラベルプリンタへのラベルダンパー50(50b)の設置について説明する。図10は、ラベルダンパー50bが取付板60を介して片持ちユニット23に設けられた状態を示す説明図である。図10は、図5を矢印β方向(下向き)に見た図となっている。取付板60は、取付壁26と補助板金28との間に設けられている。図5、6、10に示すように、ラベルダンパー50bは、ブラケット59がネジ58によって取付板60に着脱可能に取り付けられ、さらに取付板60がラベル印刷機構21の近傍の片持ちユニット23に固定されて、図5、6における実線で示された位置に設置される。従って、プリンタユニット15に設置したラベルダンパー50bの基本位置は、図5、6における実線で示された位置となり、スプリング57(図8−2参照)により矢印B2方向に付勢されている。なお、この場合、ラベルダンパー50bはプリンタユニット15側に設置されているため、プリンタユニット15が装置本体10に対して引き出されていても収容されていても、ラベルダンパー50bの基本位置は変わらない。
【0037】
そして、用紙収納部24から内巻ラベル用紙P2を引き出して、ラベル印刷機構21に向けて搬送した場合、図5〜7に示すように、スプリング57から矢印B2方向に付勢されているラベルダンパー50bが内巻ラベル用紙P2にテンションを与える。そして、大径の内巻ラベル用紙P2が収納された場合、テンションが掛かりすぎて内巻ラベル用紙P2が破損等しないように、ラベルダンパー50bは、内巻ラベル用紙P2からの押圧力により、スプリング57による矢印B2方向の付勢力に対抗して矢印R2方向に回動することで内巻ラベル用紙P2への適度なテンションを維持している。
【0038】
このような構成において、本実施の形態のラベルプリンタ1は、例えば、計量秤13に載せた品物の重量を計量してその計量結果を印字したラベルをプリンタユニット15、16によって印字しラベル発行口17、18から発行するというように利用される。
【0039】
ここで、ラベル用紙P(外巻ラベル用紙P1および内巻ラベル用紙P2)の交換作業のためのプリンタユニット15の引き出し及び押し込み動作について説明する。まず、ラベルプリンタ1の装置本体10のプリンタ保持部20にプリンタユニット15が収容されている状態からプリンタユニット15が最大引出位置まで引き出された状態では、跳上げ手段によってヘッドブロック31が回動させられ、ラインサーマルヘッド30が跳ね上げられる。また、プリンタユニット15には、片持ちユニット23(プラテン及びラベル剥離板)及び台紙巻取り軸25が片持ち状態で設けられ、プリンタユニット15においてこれらを片持ちする取付壁26と対面する側は開放部27となっている。そこで、プリンタユニット15が最大引出位置まで引き出された状態で、用紙収納部24に対するラベル用紙Pのセット作業、ラベル用紙Pから引き出したラベル用紙の片持ちユニット23(プラテン及びラベル剥離板)へのセット作業、台紙巻取り軸25に対する台紙のセット作業、各部の保守作業等を容易に行なうことが可能となる。
【0040】
このように本実施の形態のラベルプリンタ1では、ラベルダンパー50をヘッドブロック31または片持ちユニット23に着脱可能に設けることができるため、外巻ラベル用紙P1および内巻ラベル用紙P2のいずれのラベル用紙Pを利用しても、用紙収納部24からラベル印刷機構21に至る搬送経路において、引き出されたラベル用紙Pに適度なテンションを与えることができる。従って、着脱可能なラベルダンパー50の設置場所をラベル用紙Pの種類によって付け替えることで、部品の点数を軽減した簡易な構成により、複数種類のラベル用紙に対して適度なテンションを与えることができ、利便性を向上させることができる。
【0041】
なお、ラベルダンパー50は、第1取付け部であるヘッドブロック31、第2取付け部である片持ちユニット23の何れにも取り付けることができる構成としたので、一つのものを第1取付け部(ヘッドブロック31)または第2取付け部(片持ちユニット23)の何れか一方に対して選択的に取り付けるような使い方に限定する必然性は高くなく、第1取付け部(ヘッドブロック31)および第2取付け部(片持ちユニット23)の両方にそれぞれ一つずつ取り付けるような使い方を排除する必然性はない。
【符号の説明】
【0042】
1 ラベルプリンタ
10 装置本体
11 ディスプレイ
12 キーボード
13 計量秤
15、16 プリンタユニット
15a、16a 把持部
17、18 ラベル発行口
20 プリンタ保持部
21 ラベル印刷機構
22 保持軸
23 第2取付け部、片持ちユニット
24 用紙収納部
25 台紙巻取り軸
26 取付壁
26a 当接部
27 開放部
28 補助板金
29 ロックピン
30 ラインサーマルヘッド
31 第1取付け部、ヘッドブロック
32 フック
50、50a、50b ラベルダンパー
51、60 取付板
52 テンションボード
53 被当接部
54 軸
55 圧縮スプリング
56 軸部材
57 スプリング
58 ネジ
59 ブラケット
201 ロール紙保持機構
P ラベル用紙
P1 外巻ラベル用紙
P2 内巻ラベル用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【特許文献1】特開2001−302043号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル用紙収納部と、プラテンと、ラベル剥離部材と、台紙巻取部とが設けられ、前記プラテンに対して離間及び当接自在な印字ヘッドが設けられた装置本体に収容可能で、かつ当該装置本体から引き出し可能なプリンタユニットと、
前記プリンタユニットが前記装置本体に収納されると前記印字ヘッドを前記プラテンに当接させ、前記プリンタユニットが前記装置本体から引き出されると前記印字ヘッドを前記プラテンから離間させるヘッドブロックと、
前記ヘッドブロック又は前記プリンタユニットの何れかに着脱自在に取り付けられ、前記ラベル用紙収納部から引き出され、前記プラテンを介して前記台紙巻取軸によって巻き取られる用紙にテンションを与えるダンパーと、
を備えることを特徴とするラベルプリンタ。
【請求項2】
前記ダンパーは、前記ラベル用紙収納部から引き出された用紙が前記プラテンへと至る経路途中において当該用紙を押圧する、
ことを特徴とする請求項1記載のラベルプリンタ。
【請求項3】
前記ラベル用紙収納部は外巻ラベル用紙又は内巻ラベル用紙を収納可能であって、
前記ダンパーは、前記ラベル用紙収納部に前記外巻ラベルが収納される場合には、前記ヘッドブロックに取り付けられ、前記ラベル用紙収納部に内巻ラベルが収納される場合には、前記プリンタユニットに取り付けられる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のラベルプリンタ。
【請求項4】
前記プリンタユニットは、前記装置本体に収納されると前記ヘッドブロックに係合し、前記装置本体から引き出される際には前記ヘッドブロックとの係合が解除される、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載のラベルプリンタ。
【請求項5】
前記プリンタユニットは、前記装置本体から引き出される側に前記プラテンが設けられ、前記装置本体に収納される側に前記ラベル用紙収納部が設けられた、
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載のラベルプリンタ。
【請求項6】
前記ラベル剥離部材は、前記プリンタユニットの前記装置本体から引き出される側に設けられ、
前記台紙巻取軸は、前記プラテンおよび前記ラベル剥離部材よりも前記プリンタユニットが収納される側に設けられた、
ことを特徴とする請求項5に記載のラベルプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−91517(P2012−91517A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−268197(P2011−268197)
【出願日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【分割の表示】特願2010−25687(P2010−25687)の分割
【原出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】