説明

ラベル付き容器及びその製造方法

【課題】外観デザインとして段差を設けた場合でも、熱収縮性のラベルのしわや破れの発生が抑えられたラベル付き容器及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明のラベル付き容器は、口頸部21と胴部23とを有する容器本体2に、筒状のラベル3が熱収縮により被着されている。口頸部21と胴部23との間には肩部22が設けられている。胴部23は、その周りに設けられた段部231を境にして肩部22側が細い胴細部232を有している。段部23は、容器本体2の高さ方向における位置が、周方向の一方側で高く、他方側で低く形成されている。ラベル3は、その上端縁31が、段部231の周方向における位置の高い一方側で肩部22にかかるとともに低い他方側で胴細部232の周面部にかかるように被着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体に筒状のラベルが熱収縮により被着されたラベル付き容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷等を施した熱収縮性の筒状のラベル基材内に容器本体を配し、該ラベル基材を熱収縮させることによって該ラベル基材を該容器本体に被着させたラベル付き容器がある。
【0003】
容器の外観デザインとして、口頸部及び該口頸部から肩部を経て連なる胴部を有する容器本体の該胴部に、段部を境にして前記肩部側を細くすることで胴細部を設け、前記口頸部、肩部及び胴細部の全体を覆う蓋体を形成する場合がある。このような場合に、該容器本体及び熱収縮性のラベル基材を使用してラベル付き容器を製造すると、ラベル基材にしわや破れが発生することが課題となっていた。
【0004】
ラベル付き容器におけるラベル基材のしわの発生を防ぐ技術は、これまで種々提案されているが(例えば、特許文献1参照)、この技術は、上記課題の解決手段とはなり得なかった。
【0005】
【特許文献1】実開平5−75136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、外観デザインとして段差を設けた場合でも、熱収縮性のラベルのしわや破れの発生が抑えられたラベル付き容器及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、口頸部及び胴部を有する容器本体に、筒状のラベルが熱収縮により被着されたラベル付き容器であって、前記口頸部と前記胴部との間には肩部が設けられており、前記胴部は、その周りに設けられた段部を境にして前記肩部側が細い胴細部を有し、前記段部は、前記容器本体の高さ方向における位置が、その周方向の一方側で高く、他方側で低く形成され、前記ラベルは、その上端縁が、前記段部の周方向における位置が高い一方側で前記肩部にかかるとともに低い他方側で前記胴細部の周面部にかかるように被着されているラベル付き容器を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0008】
また、本発明は、上記本発明のラベル付き容器を製造する方法であって、前記ラベルの基材となる熱収縮性の筒状のラベル基材の上端縁を斜めに形成しておき、前記ラベル基材内に前記容器本体を配して前記ラベル基材の前記上端縁と前記容器本体の前記段部とを位置合わせし、前記ラベル基材を加熱して熱収縮させ、前記ラベル基材の上端縁が、前記段部の周方向における位置が高い一方側で前記肩部にかかり、該位置の低い他方側で前記胴細部の周面部にかかるように前記ラベル基材を前記容器本体に被着させるラベル付き容器の製造方法を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、容器のデザインの自由度を広げつつ、しわや破れ等の発生が抑えられて熱収縮性のラベルが好適に被着されたラベル付き容器が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本発明の一実施形態であるラベル付き容器1は、口頸部21と胴部23との間に肩部22を有する容器本体2に、筒状のラベル3が熱収縮により被着されている。
【0011】
胴部23は、その周りに設けられた段部231を境にして肩部22側で細くなる胴細部232を有している。
【0012】
段部231は、容器本体2の高さ方向における位置が、その周方向の一方側で高く、他方側で低く形成されている。即ち、本実施形態のラベル付き容器1では、段部231は、その周方向の高さ位置が左肩上がりに上昇しており、左側部で肩部22に最も近い高さとなり、右側部で肩部22から離れた高さとなるように設けられている。本実施形態では、段部231の高さHは、蓋体4の外周壁部の肉厚より高く設けられており、蓋体4を容器本体2に嵌着したときに、蓋体4の外周壁部よりも段部231が周方向に張り出している。これにより、段差231の曲線によるデザイン性がより強調されるが、このような場合においても、ラベル3のしわや破れ等の発生が抑えられている。
【0013】
容器本体2は、その材質に特に制限はないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の従来からこの種の容器に使用されている合成樹脂が好ましい。
【0014】
ラベル3は、その上端縁31が、段部231の周方向の位置が高い一方側で肩部22にかかるとともに該位置の低い他方側で胴細部232の周面部にかかるように被着されている。
【0015】
ラベル3に使用されるラベル基材には、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニール、ポリオレフィン等の従来からこの種のラベル容器に使用されている樹脂シートが使用される。
また、容器本体2の縦方向の収縮率を容器本体2の円周方向に対して小さくなるように延伸率を制御したラベルを用いることが好ましく、本実施例の場合は円周方向の収縮率は熱収縮前を100%とした場合、最大収縮率40%のものを用いることにより容器本体2の形状への追随性を確保した。ラベル厚みは40〜100μmが好ましく、本実施形態では50μmを使用した。
【0016】
ラベル付き容器1は、口頸部21、肩部22及び胴細部232を覆うように容器本体2に嵌着される蓋体4を備えている。この蓋体4の材質に特に制限はない。本実施形態では、蓋体4は、容器本体2の材質と同じ材質で成形される。
【0017】
次に、本発明のラベル付き容器の製造方法の好ましい実施形態を、上述のラベル付き容器1の製造方法に基づいて、図3を参照しながら説明する。
【0018】
図3(a)に示すように、先ず、ラベル3の基材となる熱収縮性の筒状のラベル基材30の上端縁301を斜めに形成することにより、上端縁301に高低差を設ける。本実施形態では、ラベル基材30の連続体から個々のラベル基材を裁断して形成するので、下端縁302も同じ形態(斜め)に形成されている。下端縁302を上端縁301と平行な斜めに形成することで無駄なくラベル基材31を形成することができる。
【0019】
次に、ラベル基材30内に容器本体2を配してラベル基材30の上端縁301と容器本体2の段部231とを位置合わせする。本実施形態では、図3に示すように、容器本体2が、装着補助台座5に固定されている。台座51の基面部52は、ラベル基材30の下端縁302と同じ傾きの斜面に形成されている。このため、ラベル基材30の上端縁301の高い部分が段部231の周方向における位置が高い一方側に容易に位置合わせできる。このとき、ラベル基材30の上端縁301の低い部分が、容器本体2の肩部22と概ね同じ高さ、好ましくは肩部22よりも低くなるように、台座51の高さ及びラベルの長さが設定される。これにより、ラベル基材30が熱収縮するときに、段部231の周方向における位置が低い他方側の部分においてもラベル基材30の追随性が良好となり、しわの発生が抑えられる。また、ラベル基材30の下端縁302は、周方向のいずれの側においても容器本体2の底部より低くなるように設定する。
【0020】
次に、ラベル基材30を所定温度で所定時間加熱して熱収縮させる。そして、図3(b)に示すように、ラベル基材30の上端縁301(ラベル3の上端縁31)が、段部231の周方向における位置の高い一方側で肩部22にかかり、周方向における位置の低い他方側で胴細部232の周面部にかかるようにラベル基材30を容器本体2に被着させる。ラベル基材30の下端縁302は、熱収縮に伴って、容器本体2の底部24において係止される。
【0021】
次に、図3(c)に示すように、蓋体4を上方から容器本体2に嵌着させる。このとき、ラベル基材30を胴細部232の周面部において滑らせて、ラベル基材30にかかる張力を緩和させる。これにより、ラベル基材301のしわの発生を抑えつつその破れを防ぐことができる。蓋体4の嵌着は、内容物の充填後に行うこともできる。
【0022】
以上説明したように、本実施形態のラベル付き容器1は、デザイン性に優れ、しわや破れの発生が抑えられてラベルが好適に被着された容器であり、その製造方法では、該容器を好適に製造することができる。
【0023】
本発明は、前記実施形態に制限されない。
本発明のラベル付き容器1は、前記実施形態のように、ラベル基材31の上端縁と下端縁を斜めに形成したが、上端縁のみ斜めに形成して高低差を設けてもよい。
また、ラベル基材の上端縁の形態は、左右両側において所望の高低差が得られる形態であれば、他の形態、例えば、湾曲や屈曲した形態としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のラベル付き容器の一実施形態を、蓋体と容器本体とを分離させた状態で示す正面図である。
【図2】同実施形態のラベル付き容器における容器本体の要部の拡大正面図である。
【図3】同実施形態のラベル付き容器の製造工程を示す模式図であり、(a)はラベル基材と容器とを配置した状態を示す図、(b)はラベル基材を熱収縮させて容器本体に被着させ、その後に嵌着させる蓋体を上方に配した状態を示す図、(c)は容器本体に蓋体を嵌着させた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1 ラベル付き容器
2 容器本体
21 口頸部
22 肩部
23 胴部
24 底部
3 ラベル
30 ラベル基材
301 上端縁
302 下端縁
31 上端縁
4 蓋体
5 装着補助台座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口頸部及び胴部を有する容器本体に、筒状のラベルが熱収縮により被着されたラベル付き容器であって、
前記口頸部と前記胴部との間には肩部が設けられており、
前記胴部は、その周りに設けられた段部を境にして前記肩部側が細い胴細部を有し、
前記段部は、前記容器本体の高さ方向における位置が、その周方向の一方側で高く、他方側で低く形成され、
前記ラベルは、その上端縁が、前記段部の周方向における位置が高い一方側で前記肩部にかかるとともに低い他方側で前記胴細部の周面部にかかるように被着されているラベル付き容器。
【請求項2】
前記口頸部、前記肩部及び前記胴細部を覆うように前記容器本体に嵌着される蓋体を備えている請求項1に記載のラベル付き容器。
【請求項3】
請求項1に記載のラベル付き容器を製造する方法であって、
前記ラベルの基材となる熱収縮性の筒状のラベル基材の上端縁を斜めに形成しておき、
前記ラベル基材内に前記容器本体を配して前記ラベル基材の前記上端縁と前記容器本体の前記段部とを位置合わせし、
前記ラベル基材を加熱して熱収縮させ、
前記ラベル基材の上端縁が、前記段部の周方向における位置が高い一方側で前記肩部にかかり、該位置の低い他方側で前記胴細部の周面部にかかるように前記ラベル基材を前記容器本体に被着させる請求項1又は2に記載のラベル付き容器の製造方法。
【請求項4】
前記口頸部、前記肩部及び前記胴細部を覆うように前記容器本体に蓋体を嵌着させるときに、前記ラベル基材を前記胴細部の周面部において滑らせて、該ラベル基材にかかる張力を緩和させる請求項3に記載のラベル付き容器の製造方法。
【請求項5】
前記ラベル基材の下端縁に、前記上端縁と同じ形態で高低差を設けておく請求項3又は4に記載のラベル付き容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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