説明

ラベル剥離装置

【課題】しごきが不要なラベルに対しても対応できるようにして汎用性の向上を図る。
【解決手段】帯状台紙を支持する支持面11及び帯状台紙を折り返してラベルを剥離する先端部12を有した剥離部材10を備え、この剥離部材10の支持面11の先端部12近傍に帯状台紙が没入する溝15を形成し、押さえ部材20により溝15内の帯状台紙を押さえてラベルをしごいて剥離させるようにし、押さえ部材20を、溝15より上流側の支持面11上の帯状台紙を押圧するように移動可能に支持し、押さえ部材20を、溝15に対して帯状台紙をその表面側から押さえてしごきを行うしごき位置Fから帯状台紙のしごきを行わない非しごき位置Gへ移動可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のラベルが仮着された帯状台紙を折り返すことにより帯状台紙からラベルを剥離するラベル剥離装置に係り、特に、ラベルを剥離する際にラベルをしごいてラベルを剥離できるようにしたラベル剥離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のラベル剥離装置としては、例えば、特許第4371666号公報(特許文献1)に掲載されたものが知られている。
図9に示すように、このラベル剥離装置Saは、複数のラベルLが長手方向に沿って等間隔に仮着された帯状台紙Dを長手方向に沿って送出し、この送出過程で帯状台紙Dを折り返すことにより帯状台紙DからラベルLを剥離するもので、帯状台紙DのラベルLが仮着された表面Daを上側にして帯状台紙Dの裏面Dbを支持する支持面101及び帯状台紙Dが折り返される先端部102を有した剥離部材100を備えている。この剥離部材100の支持面101の先端部102近傍には、帯状台紙Dの支持面101に沿う送出前後方向Rに直交する方向に延び支持面101上の帯状台紙Dが没入する断面円弧状の溝103が形成されている。また、この溝103に下部が隙間を設けて遊嵌した溝103に対して帯状台紙Dをその表面側から押さえる円柱状の押さえ部材104が設けられており、溝103と押さえ部材104との間の隙間に帯状台紙Dを通すことにより帯状台紙Dに仮着されたラベルLをしごいて剥離させるようにしている。
【0003】
ラベル剥離装置Saにおいては、帯状台紙DからラベルLが剥離され、ラベルLの下流側が所定長さ剥離部材100の先端部102から突出した位置で、帯状台紙Dの送出を一時的に停止し、この状態で、例えば、手でラベルLを取り出して被着体である図示外の物品にラベルLを貼付するようにし、あるいは、被着体である物品を剥離部材100の先端部102外側を通過させてこの物品にラベルLを貼付するようにしている。この場合、剥離されるラベルLは、押さえ部材104から離れて解放されていれば、ラベルLを取り出しやすくなるが、ラベルLが落下することもあるので、剥離されるラベルLの上流側端部を押さえ部材104によって押さえておくこともできる。
【0004】
このようにして、ラベルLをしごいて剥離させるのは、帯状台紙Dに仮着されたラベルLに設けられた粘着剤の粘着力が強い場合、あるいは、ラベルLの材質や形状などに起因して、ラベルLの剥離ができなくなる等の剥離不良が生じることがあり、このような剥離不良の発生を防止するためである。
【0005】
【特許文献1】特許第4371666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、帯状台紙Dにおいては、ラベルLの粘着力が比較的弱く、しごきが不要のものもある。あるいは、ラベルLの形状や材質などによっても、しごきが不要のものもある。しかしながら、上記従来のラベル剥離装置Saにおいては、押さえ部材104は溝103に対して固定なので、強制的にしごきが行われ、このようなしごきの不要なラベルLに対して対応することができないという問題があった。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたもので、しごきが不要なラベルに対しても対応できるようにして汎用性の向上を図ったラベル剥離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明のラベル剥離装置は、複数のラベルが長手方向に沿って等間隔に仮着された帯状台紙を当該長手方向に沿って送出し、この送出過程で該帯状台紙を折り返すことにより該帯状台紙からラベルを剥離するラベル剥離装置であって、
上記帯状台紙のラベルが仮着された表面を上側にして該帯状台紙の裏面を支持する支持面及び該帯状台紙が折り返される先端部を有した剥離部材を備え、該剥離部材の支持面の先端部近傍に該帯状台紙の上記支持面に沿う送出前後方向に直交する方向に延び該支持面上の帯状台紙が没入する溝を形成し、該溝に対して該帯状台紙をその表面側から押さえる押さえ部材を設け、上記溝及び押さえ部材により上記帯状台紙に仮着されたラベルをしごいて剥離させるようにしたラベル剥離装置において、
上記押さえ部材を、上記溝に対して該帯状台紙をその表面側から押さえてしごきを行うしごき位置から該帯状台紙のしごきを行わない非しごき位置へ移動可能にした構成としている。
【0009】
これにより、しごきが必要なラベルが仮着された帯状台紙に対しては、押さえ部材を、しごき位置に位置決めして帯状台紙からラベルを剥離する。この場合、帯状台紙が送出されると、帯状台紙はラベルが仮着された表面を上側にしてその裏面が剥離部材の支持面に支持され、剥離部材の先端部で折り返される。先端部の近傍においては、帯状台紙は略横断面矩形状の溝に没入するとともに押さえ部材によりその表面側から押さえられ、ラベルの剥離が行われる。
一方、しごきが不要なラベルが仮着された帯状台紙に対しては、押さえ部材を、非しごき位置に移動させて帯状台紙からラベルを剥離する。このため、帯状台紙及びラベルのしごきが行われないので、ラベルの粘着力が比較的弱くしごきが不要のもの、あるいは、ラベルの形状や材質などによってしごきが不要のものに対応できる。また、ラベルの長手方向の長さが比較的長く帯状台紙に残っている部分を長く取りたいもの、あるいは、ラベルの表面をできるだけ露出させてよく見えるようにして取り出しを行いたい場合についても、押さえ部材が上流側に移動するので、邪魔になってラベルの取り出しを阻害することがなくなるので、対応することができるようになる。
【0010】
そして、必要に応じ、上記押さえ部材を、上記溝より上流側の支持面上の帯状台紙を押圧するように該上流側の支持面側に移動可能に支持する支持機構を備え、上記非しごき位置を上記溝より上流側の支持面上の帯状台紙を押圧する位置に設定し、該押さえ部材を、所要の移動位置でロックするロック機構を設けた構成としている。非しごき位置では、押さえ部材は、溝から外れるのでラベルを溝と共働してしごくことなく、帯状台紙を剥離部材の支持面に対して押さえながら送出できる。
【0011】
また、必要に応じ、上記押さえ部材を該押さえ部材が帯状台紙に弾接するように上記剥離部材の支持面側に付勢する付勢機構を設けた構成としている。これにより、押さえ部材は付勢機構により帯状台紙に弾接しているので、帯状台紙やラベルの厚さが異なる場合でもこれに追従することができ、そのため、しごきが十分に行われるとともに、帯状台紙の通過が窮屈になってラベルの表面を損傷したりする等の事態を防止することができる。
【0012】
更に、必要に応じ、上記支持機構を、上記剥離部材の側部に設けられる支持プレートと、上記帯状台紙の上記支持面に沿う送出前後方向に直交する方向の軸線を有して上記押さえ部材を支持するとともに上記支持プレートに対して上記帯状台紙の上記支持面に沿う送出前後方向に移動可能に設けられる支持軸とを備えて構成し、上記押さえ部材の基端側を上記支持軸に回動可能に支持し、上記付勢機構を、上記支持軸に挿通され一端が上記支持軸に係止され他端が上記押さえ部材に係止されるコイルスプリングで構成している。これにより、支持軸に押さえ部材を回動可能に設けて、コイルスプリングの付勢力により押さえ部材の当接縁をラベルに弾接することができるので、比較的構造を簡単にして装置を構成することができる。
【0013】
更にまた、必要に応じ、上記押さえ部材を、上記付勢機構により該押さえ部材の当接縁を上記剥離部材の支持面側に押圧する押圧位置と、該押さえ部材の当接縁を上記剥離部材の支持面の上方に退避させて該押さえ部材と該剥離部材の支持面との間に帯状台紙を通過させる空間を形成する退避位置の2位置に移動可能にし、該押さえ部材を上記押圧位置及び退避位置の2位置に位置決めする位置決め機構を設けた構成としている。
これにより、帯状台紙を装置に装着するときは、押さえ部材を退避位置に位置決めする。この場合、退避位置では、押さえ部材と剥離部材の支持面との間に帯状台紙を通過させる空間が形成されるので、帯状台紙を引き通し易くすることができ、そのため、装着操作性を向上させることができる。一方、帯状台紙を送出してラベルの剥離を行うときは、押さえ部材を押圧位置に位置決めする。これにより、上記と同様の剥離動作を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、しごきが必要なラベルが仮着された帯状台紙に対しては、押さえ部材を、しごき位置に位置決めしてラベルの剥離を行うことができる。一方、しごきが不要なラベルが仮着された帯状台紙に対しては、押さえ部材を、非しごき位置に移動させて帯状台紙からラベルを剥離することができる。この場合は、帯状台紙及びラベルのしごきが行われないので、ラベルの粘着力が比較的弱くしごきが不要のもの、あるいは、ラベルの形状や材質などによってしごきが不要のものに対応できる。また、ラベルの長手方向の長さが比較的長く帯状台紙に残っている部分を長く取りたいもの、あるいは、ラベルの表面をできるだけ露出させてよく見えるようにして取り出しを行いたい場合についても、押さえ部材が上流側に移動するので、邪魔になってラベルの取り出しを阻害することがなくなるので、対応することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係るラベル剥離装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るラベル剥離装置を示す要部側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るラベル剥離装置を示す要部断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るラベル剥離装置を示す一部切欠き要部斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るラベル剥離装置を示し、(a)は退避位置での状態を示す要部側面断面図、(b)は押圧位置での状態を示す要部側面断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るラベル剥離装置の作用を示す要部断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るラベル剥離装置の別の作用を示す要部側面図である。
【図8】本発明の別の実施の形態に係るラベル剥離装置を示す要部側面図である。
【図9】従来のラベル剥離装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係るラベル剥離装置について詳細に説明する。
図1乃至図7に示すように、本発明の実施の形態に係るラベル剥離装置Sは、手でラベルLを取り出して被着体である図示外の物品にラベルLを貼付することができるようにしたもので、複数のラベルLが長手方向に沿って等間隔に仮着された帯状台紙Dを、機台1に設けた台紙送り機構2により、供給リール3から長手方向に沿って送出し、巻取リール4で巻き取り、この送出過程で帯状台紙Dを折り返すことにより帯状台紙DからラベルLを剥離する。機台1には、供給リール3から送出される帯状台紙DのラベルLが仮着された表面Daを上側にして帯状台紙Dの裏面Dbを支持する支持面11及び帯状台紙Dが折り返される先端部12を有した剥離部材10を備えている。
【0017】
この剥離部材10の先端部12より下流側には、剥離部材10の先端部12から所定長さ突出したラベルLの有無を検知するラベルセンサ5が設けられている。このラベルセンサ5のラベル検知により、帯状台紙Dの送出を一時的に停止し、この状態では、ラベルLは剥離部材10の先端部12から所定長さ突出するので、手でラベルLを取り出すことを可能にしている。ラベルLが取り出された後は、ラベルセンサ5がラベル無しを検知して、再び、帯状台紙Dを送出し、次のラベルLを剥離部材10の先端部12から突出させる。
【0018】
剥離部材10において、その支持面11の先端部12近傍には、帯状台紙Dの支持面11に沿う送出前後方向Rに直交する方向に延び支持面11上の帯状台紙Dが没入する溝15が形成されている。剥離部材10の溝15は、図2,図6及び図7に示すように、その上流側開口縁17a及び下流側開口縁18aが角部を形成するように、底面16,上流側壁面17及び下流側壁面18を有した略横断面矩形状に形成されている。
【0019】
また、機台1には、溝15に対して帯状台紙Dをその表面側から押さえる押さえ部材20が設けられており、溝15及び押さえ部材20により帯状台紙Dに仮着されたラベルLをしごいて剥離させるようにしている。
詳しくは、押さえ部材20は、図2に示すように、板状の先端側部21とこれに連設された箱型の基端側部22とで構成され、板状の先端側部21の先端縁は、帯状台紙Dの支持面11に沿う送出前後方向Rに直交する方向に延び溝15の上流側壁面17及び下流側壁面18間に臨んで帯状台紙Dの表面に当接する直状の当接縁23として構成されている。押さえ部材20は、押さえ部材20の当接縁23が帯状台紙Dに弾接してこの帯状台紙Dを押さえるように後述の付勢機構30により溝15の底面16側に付勢されている。また、押さえ部材20は、押さえ部材20の当接縁23が溝15の上流側壁面17及び下流側壁面18間で帯状台紙Dの支持面11に沿う送出前後方向Rに移動可能になるように支持されている。
【0020】
更に、押さえ部材20は、押さえ部材20の当接縁23が溝15の上流側の支持面11上の帯状台紙Dを押圧するように、溝15よりも上流側の支持面11側に移動可能になるように支持されている。押さえ部材20は、押さえ部材20の当接縁23が溝15から外れて、ラベルLを溝15と共働してしごくことなく、単に剥離部材10の支持面11に対して押さえる機能を備える。
即ち、押さえ部材20は、溝15に対して帯状台紙Dをその表面側から押さえてしごきを行うしごき位置Fからこの溝15とは帯状台紙Dのしごきを行わない非しごき位置Gへ移動可能に支持されている。
【0021】
また、本装置Sは、押さえ部材20のしごき位置Fにおいて、押さえ部材20によるしごき力を調整するしごき力調整手段Tを備えている。しごき力調整手段Tは、押さえ部材20の当接縁23が溝15の上流側開口縁17a及び下流側開口縁18a間で帯状台紙Dの支持面11に沿う送出前後方向Rに移動可能になるように押さえ部材20を支持する支持機構Taと、押さえ部材20を所要の移動位置に位置決めするロック機構Tbとを備えて構成されている。また、この支持機構Taは、押さえ部材20を上記のしごき位置Fと非しごき位置Gとの間で移動可能に支持する機能を備え、ロック機構Taは非しごき位置Gにおいても押さえ部材20を所要の移動位置に位置決めする機能を備えている。
【0022】
詳しくは、支持機構Taは、剥離部材10の側部に設けられた支持プレート24と、帯状台紙Dの支持面11に沿う送出前後方向Rに直交する方向の軸線を有して支持プレート24を支持するとともに支持プレート24に対して帯状台紙Dの支持面11に沿う送出前後方向Rに移動可能に設けられる支持軸25とを備えて構成されている。支持軸25の一端は、支持プレート24の剥離部材10側に設けられ、帯状台紙Dの支持面11に沿う送出前後方向Rに摺動可能な移動部材26に取り付けられており、支持軸25はこの移動部材26を介して移動可能になっている。そして、この支持軸25に、押さえ部材20の基端側部22が回動可能に支持されている。図3及び図5に示すように、基端側部22に形成された支持軸25への挿通孔27は、支持軸25の外径より僅かに大きな内径を有しており、これにより押さえ部材20は、支持軸25に対して回動可能且つ僅かに遊動可能に支持されている。
【0023】
実施の形態に係るラベル剥離装置Sには、押さえ部材20を、押さえ部材20の当接縁23が帯状台紙Dに弾接するように溝15の底面16側に付勢する付勢機構30が設けられている。図3及び図5に示すように、付勢機構30は、支持軸25に挿通され一端が上記支持軸25に係止され他端が押さえ部材20に係止されるコイルスプリング31で構成されている。付勢機構30は、支持軸25に押さえ部材20を回動可能に設けて、コイルスプリング31の付勢力により押さえ部材20の当接縁23をラベルLに弾接することができるので、比較的構造を簡単にして装置を構成することができる。
【0024】
また、ロック機構Tbは、図3に示すように、支持プレート24に形成され帯状台紙Dの支持面11に沿う送出前後方向Rに延びる長孔41と、支持プレート24の剥離部材10側に設けられ支持軸25の一端を支持するとともに長孔41に沿って摺動可能な上記の移動部材26と、移動部材26の長孔41に対応する位置に形成された雌ネジ部42と、支持プレート24の剥離部材10とは反対側に位置するボルト頭43a及び長孔41を通して移動部材26に設けた雌ネジ部42に螺合する雄ネジ部43bを有したボルト43とを備えて構成されている。
【0025】
このロック機構Tbは、このボルト43の雄ネジ部43bを雌ネジ部42に締め付けることにより、ボルト43のボルト頭43a及び移動部材26で支持プレート24を挾持し、移動部材26をその所要の移動位置で位置決めする。ボルト43の雄ネジ部43bを雌ネジ部42に対して緩めるとロックは解除され、押さえ部材20は、支持軸25及び移動部材26を介して移動可能になる。ロック機構Tbは、移動部材26を長孔41に対して移動させ、ボルト43の締め付け操作でロックできるので、比較的構造を簡単にして装置を構成することができる。
【0026】
更に、押さえ部材20は、上記のように、支持軸25に対して挿通孔27を介して回動可能且つ僅かに遊動可能に支持されているが、これにより、押さえ部材20は、付勢機構30のコイルスプリング31によりその当接縁23を溝15の底面16側に押圧する押圧位置X(図1,図2,図5(b),図6及び図7)と、付勢機構30のコイルスプリング31の付勢力に抗して押さえ部材20を支持軸25に対して回動させその当接縁23を剥離部材10の支持面11の上方に退避させて押さえ部材20と剥離部材10の支持面11との間に帯状台紙Dを通過させる空間を形成する退避位置Y(図5(a))との2位置に移動可能になっている。押さえ部材20の基端側部22には、この押さえ部材20をコイルスプリング31の付勢力に抗して押圧位置Xから退避位置Yに回動させるためのプレート状のレバー28が設けられている。
【0027】
そして、実施の形態に係るラベル剥離装置Sには、図4及び図5に示すように、押さえ部材20を、押圧位置X及び退避位置Yの2位置に位置決めする位置決め機構50が設けられている。この位置決め機構50は、移動部材26に突出された係止ピン51と、押さえ部材20の基端側に設けられ係止ピン51が挿通されるカム溝52とを備えて構成されている。このカム溝52は、係止ピン51にガイドされてコイルスプリング31の付勢力を有効にする有効溝部53と、コイルスプリング31の付勢力に抗して押さえ部材20を支持軸25に対して回動させたとき、押さえ部材20の支持軸25に対する遊動により係止ピン51に係止して押さえ部材20を退避位置Yに保持する係止段部54とを備えて形成されている。位置決め機構50は、係止ピン51とカム溝52とで構成されているので、押さえ部材20の回動操作のみで押さえ部材20を押圧位置X及び退避位置Yの2位置に位置決めすることができ、それだけ操作性が向上させられるとともに、比較的構造を簡単にして装置を構成することができる。
【0028】
従って、このラベル剥離装置Sにおいて、帯状台紙Dを装置に装着するときは、供給リール3から帯状台紙Dを引き出し、剥離部材10を経由して、巻取リール4に装着するが、この際には、図5(a)に示すように、押さえ部材20を退避位置Yに位置決めする。この場合、押さえ部材20のレバー28を手で持ち上げて、押さえ部材20をコイルスプリング31の付勢力に抗して押圧位置Xから退避位置Yに回動させる。退避位置Yでは、位置決め機構50のカム溝52の係止段部54が係止ピン51に係止し、押さえ部材20を退避位置Yに保持する。これにより、押さえ部材20と剥離部材10の支持面11との間に帯状台紙Dを通過させる空間が形成されるので、帯状台紙Dを引き通し易くすることができ、そのため、帯状台紙Dの装着操作性を向上させることができる。その後、押さえ部材20のレバー28を押すと、押さえ部材20は支持軸25に対して遊動可能なので、この遊動により、カム溝52の係止段部54が係止ピン51から外れ、押さえ部材20は、コイルスプリング31の付勢力により退避位置Yから押圧位置Xに回動させられる。
【0029】
そして、帯状台紙Dに対してしごきを行う場合には、押さえ部材20をしごき位置Fへ移動させるとともに、後述もするように、しごき力調整機構Tにより押さえ部材20を所要の位置に位置決めしておく。この状態では、図3及び図6に示すように、ロック機構Tbにより、押さえ部材20は、押さえ部材20の当接縁23が溝15の上流側開口縁17a及び下流側開口縁18a間の所要の位置(例えば図6(a))に位置決めされてロックされている。そして、このラベル剥離装置Sを作動させると、供給リール3から、帯状台紙Dが送出され、帯状台紙DはラベルLが仮着された表面Daを上側にしてその裏面Dbが剥離部材10の支持面11に支持され、剥離部材10の先端部12で折り返される。先端部12の近傍においては、帯状台紙Dは略横断面矩形状の溝15に没入するとともに押さえ部材20の当接縁23によりその表面側から押さえられる。
この場合、押さえ部材20の当接縁23は付勢機構30により帯状台紙Dに弾接しているので、帯状台紙DやラベルLの厚さが異なる場合でもこれに追従することができ、そのため、しごきが十分に行われるとともに、帯状台紙Dの通過が窮屈になってラベルLの表面を損傷したりする等の事態を防止することができる。
【0030】
また、図6に示すように、帯状台紙Dは、裏面Db側においては、溝15の上流側開口縁17a及び下流側開口縁18aに当接し、表面Da側においては、この上流側開口縁17a及び下流側開口縁18a間で押さえ部材20の当接縁23に押さえられる。この場合、上流側開口縁17a及び下流側開口縁18aが角部を形成し、押さえ部材20の当接縁23は直状になっているので、ラベルLはこの角部と直状の当接縁23によってしごかれることになり、従来のように円弧面に接してしごかれるのに比較して、角ばった3個所の部分でしごかれるようになることから、この点でも、しごきが十分に行われ、ラベルLの剥離が確実に行われる。
【0031】
帯状台紙DからラベルLが剥離され、剥離部材10の先端部12より下流側にあるラベルセンサ5がラベルLを検知すると、帯状台紙Dの送出が一時的に停止される。この状態では、ラベルLは剥離部材10の先端部12から所定長さ突出するので、手でラベルLを取り出し、被着体である物品にラベルLを貼付するようにする。尚、この場合、剥離されるラベルLは、押さえ部材20から離れて解放されていれば、ラベルLを取り出しやすくなるが、ラベルLが落下することもあるので、剥離されるラベルLの上流側端部を押さえ部材20によって押さえておくこともできる。ラベルLが取り出された後は、ラベルセンサ5がラベル無しを検知して、再び、帯状台紙Dを送出し、次のラベルLを剥離部材10の先端部12から突出させる。このようにして、順次、ラベルLの剥離が行われる。
【0032】
次に、例えば、帯状台紙D及びラベルLの状態や種類が異なる場合に、しごき力調整機構Tによりしごき力を調整する場合について説明する。この場合は、以下のようにして行う。図3に示すように、先ず、ロック機構Tbのボルト43の雄ネジ部43bを雌ネジ部42に対して緩め、ロックを解除する。この状態で、図2及び図6(a)(b)に示すように、押さえ部材20の当接縁23を溝15の上流側壁面17及び下流側壁面18間で移動させ、所要の位置に位置決めして、再び、図3に示すように、ロック機構Tbのボルト43の雄ネジ部43bを雌ネジ部42に対して締め付けてロックする。これにより、押さえ部材20の当接縁23の位置を上流側開口縁17aや下流側開口縁18aに近づけたり遠ざけたりすることで、帯状台紙Dの撓み具合を変え、ラベルLのしごき力を調整することができる。このため、ラベルLに設けられた粘着剤の粘着力の度合いに合わせ、あるいは、帯状台紙DやラベルLの厚さや形状等の条件に合わせて、しごき力を設定することができることから、しごき力を適正なものにしてラベルLの剥離を確実に行うことができるようになる。
【0033】
ところで、帯状台紙Dにおいては、ラベルLの粘着力が比較的弱く、しごきが不要のものもある。あるいは、ラベルLの形状や材質などによっても、しごきが不要のものもある。また、ラベルLの長手方向の長さが比較的長く、ラベルLの下流側が剥離部材10の先端部12から突出しすぎると、下に垂れさがって、取り出しにくくなるものがある。その場合には、帯状台紙Dに残っている部分を長く取りたいが、押さえ部材20が邪魔になって、ラベルLの取り出しを阻害する。また、ラベルLの表面をできるだけ露出させてよく見えるようにして取り出しを行いたい場合もある。本実施の形態に係るラベル剥離装置Sでは、このようなラベルLに対して対応することができる。この場合には、押さえ部材20を、以下のようにして、しごき位置Fから非しごき位置Gへ移動させる。
【0034】
先ず、図3に示すように、ロック機構Tbのボルト43の雄ネジ部43bを雌ネジ部42に対して緩め、ロックを解除する。この状態で、図2及び図7に示すように、押さえ部材20を、押さえ部材20の当接縁23が溝15の上流側の支持面11上の帯状台紙Dを押圧するように、溝15よりも上流側の支持面11側の非しごき位置Gに移動させ、適宜の位置に位置決めして、再び、図3に示すように、ロック機構Tbのボルト43の雄ネジ部43bを雌ネジ部42に対して締め付けてロックする。これにより、図7に示すように、押さえ部材20の当接縁23が溝15から外れて、ラベルLを溝15と共働してしごくことなく、単に剥離部材10の支持面11に対して押さえることになる。そのため、ラベルLの粘着力が比較的弱くしごきが不要のもの、あるいは、ラベルLの形状や材質などによってしごきが不要のものに対応できる。また、ラベルLの長手方向の長さが比較的長く帯状台紙Dに残っている部分を長く取りたいもの、あるいは、ラベルLの表面をできるだけ露出させてよく見えるようにして取り出しを行いたい場合についても、押さえ部材20が上流側に移動するので、邪魔になってラベルLの取り出しを阻害することがなくなるので、対応することができるようになる。この場合、押さえ部材20の当接縁23は直状に形成されているので、押さえを確実にすることができる。
【0035】
図8には、本発明の別の実施の形態に係るラベル剥離装置Sを示す。これは、上記従来と同様の断面円弧状の溝15を形成した剥離部材10を備え、この溝10に嵌合する上記従来と同様の円柱状の押さえ部材20をばねなどの付勢機構30で弾接させるようにするとともに、この押さえ部材20を溝15の上流側の支持面11上の帯状台紙Dを押圧するように上流側の支持面11側に移動可能になるように支持したものである。これによっても、上記と同様の作用,効果を奏する。
【0036】
尚、上記実施の形態において、溝15の形状や押さえ部材20の形状は上述した形状に限定されるものではなく適宜変更して差し支えない。
【符号の説明】
【0037】
S ラベル剥離装置
L ラベル
D 帯状台紙
Da 表面
Db 裏面
1 機台
2 台紙送り機構
3 供給リール
4 巻取リール
5 ラベルセンサ
10 剥離部材
11 支持面
12 先端部
15 溝
16 底面
17 上流側壁面
17a 上流側開口縁
18 下流側壁面
18a 下流側開口縁
20 押さえ部材
21 先端側部
22 基端側部
23 当接縁
R 送出前後方向
F しごき位置
G 非しごき位置
T しごき力調整手段
Ta 支持機構
24 支持プレート
25 支持軸
26 移動部材
27 挿通孔
28 レバー
30 付勢機構
31 コイルスプリング
Tb ロック機構
41 長孔
42 雌ネジ部
43 ボルト
43a ボルト頭
43b 雄ネジ部
X 押圧位置
Y 退避位置
50 位置決め機構
51 係止ピン
52 カム溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のラベルが長手方向に沿って等間隔に仮着された帯状台紙を当該長手方向に沿って送出し、この送出過程で該帯状台紙を折り返すことにより該帯状台紙からラベルを剥離するラベル剥離装置であって、
上記帯状台紙のラベルが仮着された表面を上側にして該帯状台紙の裏面を支持する支持面及び該帯状台紙が折り返される先端部を有した剥離部材を備え、該剥離部材の支持面の先端部近傍に該帯状台紙の上記支持面に沿う送出前後方向に直交する方向に延び該支持面上の帯状台紙が没入する溝を形成し、該溝に対して該帯状台紙をその表面側から押さえる押さえ部材を設け、上記溝及び押さえ部材により上記帯状台紙に仮着されたラベルをしごいて剥離させるようにしたラベル剥離装置において、
上記押さえ部材を、上記溝に対して該帯状台紙をその表面側から押さえてしごきを行うしごき位置から該帯状台紙のしごきを行わない非しごき位置へ移動可能にしたことを特徴とするラベル剥離装置。
【請求項2】
上記押さえ部材を、上記溝より上流側の支持面上の帯状台紙を押圧するように該上流側の支持面側に移動可能に支持する支持機構を備え、上記非しごき位置を上記溝より上流側の支持面上の帯状台紙を押圧する位置に設定し、
該押さえ部材を、所要の移動位置でロックするロック機構を設けたことを特徴とする請求項1記載のラベル剥離装置。
【請求項3】
上記押さえ部材を該押さえ部材が帯状台紙に弾接するように上記剥離部材の支持面側に付勢する付勢機構を設けたことを特徴とする請求項2記載のラベル剥離装置。
【請求項4】
上記支持機構を、上記剥離部材の側部に設けられる支持プレートと、上記帯状台紙の上記支持面に沿う送出前後方向に直交する方向の軸線を有して上記押さえ部材を支持するとともに上記支持プレートに対して上記帯状台紙の上記支持面に沿う送出前後方向に移動可能に設けられる支持軸とを備えて構成し、上記押さえ部材の基端側を上記支持軸に回動可能に支持し、上記付勢機構を、上記支持軸に挿通され一端が上記支持軸に係止され他端が上記押さえ部材に係止されるコイルスプリングで構成したことを特徴とする請求項3記載のラベル剥離装置。
【請求項5】
上記押さえ部材を、上記付勢機構により該押さえ部材の当接縁を上記剥離部材の支持面側に押圧する押圧位置と、該押さえ部材の当接縁を上記剥離部材の支持面の上方に退避させて該押さえ部材と該剥離部材の支持面との間に帯状台紙を通過させる空間を形成する退避位置の2位置に移動可能にし、該押さえ部材を上記押圧位置及び退避位置の2位置に位置決めする位置決め機構を設けたことを特徴とする請求項3または4記載のラベル剥離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−218803(P2012−218803A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89725(P2011−89725)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)サトーホールディングス株式会社 (1,153)
【Fターム(参考)】