説明

ラベル発行装置及びラベル貼付装置

【課題】 ラベルの貼付面に塗布される粘着物質の粘着力の強弱に関係なく、ラベルの発行、ラベル貼付を確実に行うことができるラベル発行装置及びラベル貼付装置を提供する。
【解決手段】 ラベル発行口から発行されるラベル1b’の繰出し方向前方位置に、発行されるラベルの貼付面と反対側の面が当接するラベル保持体8を配置し、そのラベル保持体の下面にラベルの貼付面と反対側の面を当接させて発行されたラベルを前記保持体に保持させる保持手段9を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被貼付対象物に貼付するラベルを発行するラベル発行装置及びラベル貼付手段を備えたラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のラベル発行装置は、帯状の台紙にラベルが所定間隔毎に貼着されたラベルロール紙を引き出し、剥離部(ラベル発行口)で前記ラベルロール紙を屈曲することで台紙からラベルが剥離され、その剥離されたラベルは剥離部前方に配置されたラベル保持ローラの外周面に糊付面(貼付面)が接着されて略水平状に保持される。そして、前記ラベル保持ローラ上に保持されたラベルは、吸引機構を備えたラベル貼付手段で吸着保持して被貼付対象物に貼付(自動貼付)、或いはラベル保持ローラ上に保持されたラベルを手で取って被貼付対象物に手貼りするなどの構成を備えている。
【0003】
上記ラベル保持ローラは、外周縁が幅狭く形成されたソロバン玉状に形成され、それによりラベルの糊付面は接触面積の小さい幅狭い外周縁に接着保持され、ラベル貼付手段が備える弱い吸引力でも確実にラベルをラベル保持ローラから剥がして吸着保持し得るようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、上記構成によりラベル保持ローラにはラベルの糊付面に塗布されている粘着物質が付着し、定期的な清掃が要求されていた。しかしながら、ラベルロール紙におけるラベルの糊付面に塗布される粘着物質の粘着力はラベル製造メーカによって異なり、特に粘着力の強い粘着物質が塗布されたラベルの場合、前記ラベル保持ローラの外周縁との接着度が強く、ラベル保持ローラから取り外し難いという問題を有する。
それにより、発行されたラベルを手で取るラベル発行装置でも前記のようにラベルが取りづらく、また、吸引機構を備えたラベル貼付手段でラベルを自動貼付する場合には、前記ラベル保持ローラ上からラベルを正しく受け取れず、ラベルの貼付不良が発生する問題が発生していた。
そして、ラベル貼付手段を有する場合、ラベル発行部の直後に、ラベルを吸着する吸着部を有するラベル貼付手段を待機させ、発行されたラベルを前記ラベル保持ローラ上に排出することなく、前記吸着部に直接吸着させて対象物へラベルを貼付するタイプの装置がある。
このような装置の場合、前記ラベル保持ローラは使用しないので前記のような問題は生じないが、ラベルを発行する場合、該ラベル発行部直後に吸着部が位置する必要があるので、吸着部を有するラベル貼付手段が商品へラベルを貼付している間、つまりラベル貼付手段がラベル発行部直後に位置しない間はラベルを発行できず、吸着部がラベル発行部近傍へ移動してからラベルが発行されるので、結果的にラベル貼付処理速度がおそくなってしまうという問題があった。また、ロール状にラベルが巻き回されたラベルロールからラベルが発行された場合、ラベルの巻き癖により、発行されたラベルが下方向にカーブし吸着部にて正しく吸着されないという問題もあった。
【0005】
【特許文献1】実公昭53−39197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、ラベルの貼付面に塗布される粘着物質の粘着力の強弱に関係なく、ラベルの発行、ラベル貼付を確実に行うことができるラベル発行装置及びラベル貼付装置を提供することを目的とする。
更に、他の目的はラベル貼付処理速度が遅くならず、またラベルに巻き癖があっても正しく吸着保持してラベルを貼付することができるラベル貼付装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する為に本発明のラベル発行装置は、ラベル発行口から発行されるラベルの繰出し方向前方位置に、発行されるラベルの貼付面と反対側の面が当接するラベル保持体を配置し、そのラベル保持体の下面にラベルの貼付面と反対側の面を当接させて発行されたラベルを前記保持体に保持させる保持手段を備えた構成を特徴とする(請求項1)。
上記ラベル発行装置は、帯状の台紙にラベルが所定間隔で剥離可能に貼着された台紙付きのラベルロール紙を用いるものに限らず、帯状用紙の一側面が印字面で、他側面が接着剤を塗布された貼付面をなし、且つ長さ方向に沿って所定長さ毎に切断を容易ならしめるミシン目などが施された台紙レスラベルロール紙を用いるラベル発行装置も含むものである。
【0008】
上記台紙付きのラベルロール紙を用いるラベル発行装置におけるラベル発行口とは、ラベルロール紙を屈曲させて台紙からラベルを剥離する剥離部が相当し、台紙レスラベルロール紙を用いるラベル発行装置のラベル発行口は、帯状用紙を所定長さに切断する切断部近傍の下流側部分が相当する。
又、上記ラベル保持体は、ラベル発行口から発行されるラベルの貼付面(糊付面)とは反対側の面(印字面)と当接して該ラベルを略水平状に保持するもので、ラベルを自動貼付するラベル貼付手段による吸着保持(受け取り)、或いは手貼り時における手で掴み取る作業の支障とならなければその形状、形態は問わない。特に、発行されたラベルを手で取り、対象物へ貼る手貼りの時は、ラベルの貼付面と反対側の面全面或いは一部とラベル保持体とが当接するようになっていてもよい。
前記ラベル保持体の下面にラベルを当接保持する保持手段は、発行されるラベルの貼付面に対して下方から空気を吹き付けて貼付面とは反対側の面をラベル保持体の下面に当接させる方式(請求項2)、或いは発行されるラベルの貼付面とは反対側の面を吸引してラベル保持体の下面に当接させる方式(請求項3)の何れでもよい。
【0009】
上記手段によれば、ラベル発行口から発行されるラベルは、保持手段によってラベル保持体の下面に該ラベルの貼付面とは反対側の面が当接保持される。即ち、ラベルの貼付面(糊付面)は従来装置のようにラベル保持体に接触することはなく、よって貼付面に塗布された粘着物質の粘着力の強弱に関係なく、ラベルを保持することができる。従って、自動貼付におけるラベル貼付手段によるラベルの受け取り、手貼りにおける手によるラベル取りをスムーズ且つ確実に行うことができる。
【0010】
前記保持手段が空気吹き出し装置である場合、該保持手段は前記ラベル保持体の下方に配置する(請求項2)。この場合、ラベル保持体の下方に配置する空気吹き出し装置の数は1個、複数個(2個以上)の何れでもよい。
又、前記保持手段がラベルを負圧で吸着する吸引装置である場合、前記ラベル保持体の下面に吸着部を配置形成する(請求項3)。この場合、ラベル保持体の下面に配置形成する吸着部は、負圧発生用のファンを内蔵する、或いは負圧発生源に連結されたホースの端部を配置する等、何れでもよい。
【0011】
前記ラベル保持体の形状、形態は、ラベル貼付手段による吸着保持、手貼り時における手による受け取りの支承とならない形状であればよく、例えば、ラベルの略中央部を除く外周部に当接する枠体とする(請求項4)。
前記枠体におけるラベルの外周部との当接は、ラベルの受け取り動作を考慮した場合、ラベルを受け取って移動する方向は開放(非当接)されているのが望ましい。即ち、外周の一部が当接する枠体とする。
【0012】
上記手段によれば、ラベルの略中央部を除く外周の一部が当接保持されるため、ラベル貼付手段による吸着保持、或いは手による掴み取りを確実に行うことができると共に、受け取った後の被貼付対象物方向へのラベル移動をスムーズに行なうことが可能となる。
【0013】
前記ラベル保持体の枠体構造の具体例として、例えば、ラベルの繰出し方向に沿って突出し、且つ該ラベルの繰出し方向と交差するラベル幅方向に間隔をおいて配置された一対の平行枠とする(請求項5)。尚、枠体の形状は、平行枠以外に、平面視L字型、平面視コ字型等、任意である。
【0014】
上記手段によれば、ラベルの幅方向の両側部が平行枠の下面に当接して略水平状に保持され、平行枠間の中央部が露出するため、ラベルを安定よく保持することができる。そして、ラベルを受け取った後の被貼付対象物方向へのラベル移動をスムーズに行なうことが可能となる。
【0015】
又、前記一対の平行枠は、分離独立し、ラベルの幅方向に移動調整自在としてもよい(請求項6)。幅方向への移動調整は、両方とも移動可、何れか一方のみ移動可の何れでもよい。
【0016】
上記手段によれば、ラベルの幅に合わせて該ラベルを保持する平行枠の間隔を広狭調整することができる。そして、幅の大きいラベルであっても平行枠の間隔を小さくすることで、空気の吹き付け部上方の露出部分(平行枠間のラベル部分)が小さくなり、それにより前記露出部分が平行枠の間で上方に吹き上げられるのを防止できる。従って、ラベルをラベル保持体の下面に略水平状に保持することができる。
【0017】
又、前記平行枠には、ラベルが幅方向に移動するのを規制するガイド部を前記平行枠の側端に設けてもよい(請求項7)。そのガイド部は、平行枠のラベル幅方向に沿った外側縁を略直角下向きに折り曲げ形成することで構成できる。
【0018】
上記手段によれば、平行枠の外側縁に略直角下向きにガイド部が突出することで、平行枠の下面に当接保持されるラベルは幅方向の側縁が前記ガイド部に突き当たり、該ラベルが幅方向に移動するのを防止される。従って、ラベルの位置がずれるのを防止でき、安定した貼付を可能とする。
【0019】
また、前記ラベル保持体は、該保持体の下面にラベルの貼付面と反対側の面の一部を当接させて発行されたラベルを当接保持し、前記反対側の面における露出部を吸着して該ラベルを被貼付対象物方向へ移動し貼付するラベル貼付手段を、前記ラベル発行装置に備えてラベル貼付装置としてもよい(請求項8)。
そして、前記ラベル保持体は水平方向に開口部を有する枠体であって、前記ラベル貼付手段は前記開口部側へ移動した後、ラベルを貼付対象物へ移動し貼付する構成としてもよい(請求項9)。
前記ラベル貼付手段は、ラベルの繰り出し発行方向に移動する形態に限らず、ラベルの繰り出し発行方向と直交する方向に移動する形態でもよい。
【0020】
上記手段によれば、ラベルは貼付面(糊付面)とは反対側の面がラベル保持体の下面に当接保持されているため、該ラベルの貼付面(糊付面)に塗布された粘着物質はラベル保持体に全く接触せず、従ってラベル保持体の下面に当接保持されたラベルはラベル貼付手段の吸着によって確実に吸着され、被貼付対象物に正確且つ確実に貼付される。
また、ラベル保持体に一旦保持されてから、ラベルが貼付手段により吸着されるので、貼付手段の位置にかかわらずラベルを発行でき、貼付手段がラベルを取りにラベル保持体へ移動した時に直ぐにラベル貼付が可能になるので、ラベル貼付処理を迅速にすることができ、又発行されたラベルに巻き癖が生じていたとしてもラベル保持体に保持されるので巻き癖が矯正されるよう働き、巻き癖によるラベルの吸着の問題も生じることがない。
更に、ラベル貼付手段はラベル保持体の下面に当接保持されたラベルを吸着して開口部側へ水平移動してから貼付するので、ラベル貼付手段の移動がラベル保持体(枠体)と干渉することがなく、安定してラベルを貼付することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のラベル発行装置は請求項1〜3記載の構成により、ラベル発行口から発行されるラベルは、保持手段によってラベル保持体の下面に該ラベルの貼付面とは反対側の面が当接保持される。即ち、ラベルの貼付面(糊付面)は従来装置のようにラベル保持体に接触することはなく、よって貼付面に塗布された粘着物質の粘着力の強弱に関係なく、ラベルを保持することができる。従って、自動貼付におけるラベル貼付手段によるラベルの受け取り、手貼りにおける手によるラベル取りをスムーズ且つ確実に行うことができる。
【0022】
又、請求項4記載の構成により、ラベルの略中央部を除く外周の一部が当接保持されるため、ラベル貼付手段による吸着保持、或いは手による掴み取りを確実に行うことができると共に、受け取った後の被貼付対象物方向へのラベル移動をスムーズに行なうことが可能となる。
更に、請求項5記載の構成により、ラベルの幅方向の両側部が平行枠の下面に当接して略水平状に保持され、平行枠間の中央部が露出するため、ラベルを安定よく保持することができる。そして、ラベルを受け取った後の被貼付対象物方向へのラベル移動をスムーズに行なうことが可能となる。
【0023】
また、請求項6記載の構成により、ラベルの幅に合わせて該ラベルを保持する平行枠の間隔を広狭調整することができ、それにより平行枠の間隔を小さくすることで、空気の吹き付け部上方の露出部分(平行枠間のラベル部分)が小さくなり、前記露出部分が平行枠の間で上方に吹き上げられるのを防止できる。従って、ラベルをラベル保持体の下面に略水平状に保持することができる。
更に、請求項7記載の構成により、ラベルの位置がずれるのを防止でき、安定した貼付を可能とする。
又、請求項8記載の構成により、ラベルの貼付面に塗布された粘着物質の粘着力の強弱に関係なく、安定したラベル貼付を実現できるラベル貼付装置を提供できる。また、ラベル保持体に一旦保持されてから、ラベルが貼付手段により吸着されるので、貼付手段の位置にかかわらずラベルを発行でき、貼付手段がラベルを取りにラベル保持体へ移動した時に直ぐにラベル貼付が可能になるので、ラベル貼付処理を迅速にすることができ、又発行されたラベルに巻き癖が生じていたとしてもラベル保持体に保持されるので巻き癖が矯正されるよう働き、巻き癖によるラベルの吸着の問題も生じることがない。
更に、請求項9記載の構成により、ラベル貼付手段の移動がラベル保持体(枠体)と干渉することがなく、安定してラベルを貼付することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係るラベル貼付装置の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1は、ラベル発行装置及びラベル貼付手段(アプリケータ)をストレッチ包装機に組み込んだ状態を示す正面図で、図中、Aはストレッチ包装機で、商品Wが搬入されると、その商品Wをストレッチフィルムで自動的に包装を行い、排出路に包装済みの商品Wを排出する。そして、そのストレッチ包装機Aで包装を完了した商品Wが排出される排出路の近傍にラベル発行装置B1とラベル貼付手段(アプリケータ)B2が配置され、商品Wにラベルを貼付し得るようになっている。
【0025】
ラベル発行装置B1は、長尺帯状の台紙1aにラベル1bが一定間隔で剥離可能に貼付されたロール巻のラベルロール紙1を回転可能に支持するラベルロールセット部2と、そのラベルロールセット部2から引き出したラベルロール紙1のラベル1bに所定事項を印字する印字手段3と、印字済みのラベル1b’を台紙1aから剥離する剥離部材4と、ラベル1b’が剥離された台紙1aを巻き取る台紙巻き取り軸5を備え、前記台紙巻き取り軸5はモータ等で構成された駆動手段(図示省略)によって駆動回転するように構成されている。即ち、台紙巻き取り軸5の駆動回転によりラベルロールセット部2に支持されたラベルロール紙が引き出されるようになっている。
そして、上記構成部材はケース6に収容され、そのケース6における剥離部材4の前方下流側には該剥離部材4で剥離されたラベル1b’を送出するラベル発行口7が開設され、そのラベル発行口7の前方には送出されたラベル1b’をラベル貼付手段(アプリケータ)B2のラベル吸着部が吸着保持するまで待機保持するラベル保持体8が配置され、該ラベル保持体8の下方には前記ラベル1b’をラベル保持体8の下面に当接させる保持手段9が設けられている。
【0026】
前記ラベル保持体8はケースの外側面に取付枠10を介して設置され、更にそのラベル保持体8の側方位置には該ラベル保持体8に保持されたラベル1b’を吸着保持して移動し、前記包装済みの商品Wに貼付するラベル貼付手段(アプリケータ)B2が設けられている。
前記取付枠10は、図2及び図3に示すように、金属板を側面視略L字形に屈曲形成して構成され、その取付枠10の垂直片10aがラベル発行装置B1のケース6に開設したラベル発行口7より上方位置に止ネジ11で固定され、前記垂直片10aの下端に連設された水平片10bにラベル保持体8がラベルb’の繰り出し方向に向けて略水平状に突出支持されている。
【0027】
前記ラベル保持体8は、前記ラベル発行口7から発行されるラベル1b’の繰り出し方向に沿って突出し、且つ該ラベル1b’の繰り出し方向と交差するラベル幅方向に間隔をおいて対向配置される一対の平行枠12a,12bとで構成され、その一対の平行枠12a、12bは前記取付枠10の水平片10bに、その水平片10bの長手方向に移動調整可能に止ネジ14で固定されている。
【0028】
前記一対の平行枠12a,12bは金属製平板を用いて平面視略L字型に形成され、前記水平片10b上に載置しネジ止めする短辺部分にその短辺方向に沿って長孔13が開設され、その長孔13に挿通し前記水平片10bに螺着される止ネジ14を緩めることで平行枠12a,12bはラベル1b’の幅方向(取付片10の長手方向)に沿って移動調整可能となる。
一対の平行枠12aと12bとの間隔は、該平行枠12a,12bの下面に当接保持され、その平行枠12aと12bとの間に露出するラベルの貼付面とは反対側の面(印字面)に少なくともラベル貼付手段(アプリケータ)B2のラベル吸着部23が密着し得る間隔とする。
【0029】
又、前記一対の平行枠12a,12bにおける長辺の外側縁(ラベル1b’の幅方向側縁と対向する縁)は直角下向きに折り曲げてガイド部15が一体に形成されている。このガイド部15にラベル1b’の幅方向側縁が当接することで該ラベルの幅方向への移動が規制され、ラベルは常に一定の位置に保持される。尚、ガイド部15は、平行枠12a,12bにおける長辺の外側縁の全長を直角下向きに折り曲げることなく、長辺の外側縁を部分的に折り曲げて形成してもよい。
【0030】
前記一対の平行枠12a,12bにおける長辺の下面に、ラベル1b’の貼付面とは反対側の面(印字面)を当接させる保持手段9は、前記ラベル発行口から発行繰り出されるラベルの貼付面(下面)に対して下方から空気を吹き付ける空気吹き出し装置16で、例えば小型の送風ファンで構成されている。
【0031】
前記空気吹き出し装置16は、ラベル発行装置B1のケース6における底板6’の突出部上面に載置固定され、ラベル発行装置B1をラベル貼付手段(アプリケータ)B2による自動貼付の状態(図1参照)から反時計回り方向に90度水平回動し、該ラベル発行装置B1から発行されるラベルの繰り出し方向をストレッチ包装機Aの包装済み商品の排出方向と同方向となる手貼り状態に切り換えた場合でも、発行されるラベルが確実にラベル保持体8の下面に当接保持されるようになっている。
尚、空気吹き出し装置16は、送風ファンを底板6’上に載置して構成する形態に限らず、吐出空気の発生源を該当箇所以外の場所に配置し、その発生源にホース等を接続して構成してもよい。
【0032】
図4はラベル保持体8の他の実施例を示し、そのラベル保持体8’は図2及び図3に示した前示実施例と同様、金属製平板を用いて平面視略L字型に形成し、直角を構成する一辺17aの長手方向の開放端外側に支持片18が直角を構成する他辺17bと平行に突設され、その支持片18に長孔13が開設されている。そして、該長孔13に止ネジ14が挿通され、取付枠10の水平片10bに螺着されている。それにより、前記止ネジ14を緩めることでラベル保持体8’は取付枠10に沿ってラベルの幅方向に移動調整可能となり、発行されるラベル幅に応じて調整する。
【0033】
又、ラベル保持体8’は上記構成によりラベル1b’の繰り出し発行方向前方位置にL字型の他辺17bが取付枠10と平行に配置され、発行されるラベル1b’の貼付面とは反対側の面における進行方向前側とその前側と交差する一方の側縁(図面では進行方向に向かって左側)が該ラベル保持体8’の下面に当接する。その為に、ラベル保持体8’の下面に当接保持されたラベル1b’を吸着保持して被貼付対象物に貼付するラベル貼付手段(アプリケータ)B2は、前示実施例におけるラベル貼付手段(アプリケータ)B2の移動方向(ラベルの繰り出し発行方向)と同じ方向には移動できず、ラベル保持体8’に当接保持されたラベル1b’を吸着保持した後は該ラベル保持体8’の開放されている方向(ラベル保持体8’の辺17bの突出方向)に移動するように制御する。
【0034】
また、平面視略L字型をしたラベル保持体8’の場合、繰り出し発行されるラベル1b’を前記ラベル保持体8’に当接保持させる保持手段9(空気吹き出し装置16)の位置は、該ラベル保持体8’の辺17aと辺17bが交差する角部の略真下位置が好適である。それによりラベル1b’の対応する二辺(進行方向前側とその前側と交差する一方の側縁)をラベル保持体8’に安定して当接させることができる。尚、保持手段9(空気吹き出し装置16)の位置は前記位置に限定されず、ラベル保持体8’から外れた位置、例えばL型の内方でもよいが、その場合保持手段9から吐出する空気圧は、ラベルの受圧部分が上方に膨出せず、ラベル全体が水平状態を維持して上方に押し上げられラベル保持体8’に当接保持できる程度とする。
【0035】
図5はラベル保持体8の他の実施例を示し、そのラベル保持体8”は金属製平板を用いて平面視略コ字型に形成され、コ字型の開放部分が繰り出し発行されるラベル1b’の進行方向に対し直交する方向に向くように配置する。そして、このラベル保持体8”の下面に対してラベル1b’を当接保持させる保持手段9(空気吹き出し装置16)の位置、個数は限定されないが、例えば図示のようにコ字型の横辺18a,18bの略真下位置に配置する。それにより発行されるラベル1b’をラベル保持体8”に対して安定して当接保持できる。
【0036】
又、前記ラベル保持体8”の平行な横辺18a,18bは縦辺18cで一体に連結されていてもよいが、図示するように、縦辺部分を分断して二重スライド構造とし、発行されるラベル1b’の長さ寸法(発行方向に沿った長さ寸法)に合わせて縦辺部分をスライド調整し、横辺相互の間隔を広狭調整するようにしてもよい。尚、縦辺部分の二重スライド構造は、一方の横辺18aに連設した縦辺18cに長孔19を形成し、他方の横辺18bに連設した縦辺18c’に前記長孔19を貫通して止ネジ20を螺着する。
【0037】
前記ラベル保持体8、8’、8”に対するラベル1b’の当接保持は、発行されるラベル1b’の貼付面下方に配置した保持手段9(空気吹き出し装置16)より空気を吹き付けて該ラベルを空気圧で上方に押し上げ、ラベル1b’の貼付面とは反対側の面(印字面)をラベル保持体8(又は8’、8”)の下面に当接させたが、ラベル保持体の下面に対してラベル1b’の貼付面とは反対側の面を当接させる方法は吸引方式でもよい。その一例を図6に基づいて簡単に説明する。
図6に示すラベル保持体21は第1実施例で示した一対の平行枠の形態とし、その平行枠は中空構造で、長手方向の略中央位置の下面側に、保持手段9として負圧でラベルを吸着する吸引装置22が取り付けられている。
【0038】
前記吸引装置22は、ラベル貼付手段(アプリケータ)B2のラベル吸着部と同様、中空構造の枠内に小型ファンを内蔵し、そのファンの駆動により平行枠の下面に開設した通孔部分に負圧を生じさせる。尚、吸引装置22は一対の平行枠で構成されたラベル保持体に限らず、平面視略L字型のラベル保持体8’(図4参照)、或いは平面視略コ字型のラベル保持体8”(図5参照)等にも装備してもよい。
【0039】
又、前記ラベル保持体8(又は8’、8”)の下面にラベル1b’の貼付面とは反対側の面を保持手段9(空気吹き出し装置16又は吸引装置22)で当接させる力(風圧、吸引力)は、ラベル保持体8(又は8’、8”)に保持されたラベル1b’を吸着して商品Wに貼付するラベル貼付手段B2におけるラベル吸着部23のラベル吸引力より弱く設定されている。
図中、24はラベル保持体8(又は8’、8”)にラベル1b’が存在するか否かを検知するセンサで、このセンサ24の検知信号でラベルの発行が制御されるようになっている。
【0040】
ラベル貼付手段(アプリケータ)B2は、前記ラベル保持体8(又は8’、8”)に保持されたラベル1b’を吸着保持するラベル吸着部23と、そのラベル吸着部23を初期位置からラベル保持体の略真上位置へ、更にラベル保持体の位置からラベルを貼付する商品Wの位置まで移動させる移動機構(図示省略)とを備えた今日周知の構造のものである。そして、ラベルを吸着保持するラベル吸着部23は吸引ファンの回転によってラベル吸着面に負圧による吸引力が生じるように構成されており、前記吸引ファンは前記保持手段9を構成する空気吹き出し装置16又は吸引装置22のファンと同様のタイミングでON/OFFするようになっている。
【0041】
上記構成により、ラベル発行装置B1においてラベル1b’が台紙から剥離され、ラベル保持体8(又は8’、8”)に向けて繰り出し発行されると、該ラベル1b’はラベル保持体8の下方に配置した保持手段9(空気吹き出し装置16)又はラベル保持体21に備えた保持手段9(吸引装置22)によってラベル保持体8(又はラベル保持体21)の下面に当接保持される。
そして、前記ラベル1b’の当接保持は、該ラベル1b’の貼付面とは反対側の面(印字面)が当接するため、ラベル1b’の貼付面に塗布される粘着部材が前記ラベル保持体8(又は8’、8”)に付着することはない。従って、ラベル保持体8(又は8’、8”)に保持されたラベル1b’はラベル貼付手段(アプリケータ)B2のラベル吸着部23によって吸着保持され、商品Wに確実に貼付される。
また、ラベル保持体8(又は8’、8”)に一旦保持されてから、ラベル1b’がラベル貼付手段(アプリケータ)B2のラベル吸着部23により吸着されるので、ラベル貼付手段の位置にかかわらずラベルを発行でき、ラベル貼付手段がラベルを取りにラベル保持体へ移動した時、発行されているラベルの吸着が直ぐに可能になるので、ラベル貼付処理を迅速にすることができ、又発行されたラベル1b’に巻き癖が生じていたとしてもラベル保持体8(又は8’、8”)に押し付けられるように保持されるので巻き癖が矯正されるよう働き、巻き癖によるラベルの吸着の問題も生じることがない。
【0042】
又、ラベル保持体に向けて繰り出し発行されるラベルのサイズが小さく、ラベルの発行方向に沿って突出する一対の平行枠に対して該ラベルの幅方向の何れか一方の側部しか当接しない場合がある。このようなサイズの小さいラベルに対応する為に、図7に示すように、ラベル発行口の直後に、金属製平板で櫛歯形状に形成した補助ラベル保持体24を、ラベル保持体25の一対の平行枠25a,25bの間に位置させ、且つラベルの発行方向に向けて前方下向きに垂下固定する。そして、その補助ラベル保持体26の先端はラベル保持体25の平行枠25a,25bの下面と略同じ高さに設定されている。
それにより、発行されるサイズの小さいラベル1b”は、ラベル保持体25の下方に配置した保持手段9(空気吹き出し装置)の風圧によって上方に押し上げられ、該ラベル1b”の貼付面とは反対側の面(印字面)が前記ラベル保持体25の一方の平行枠25aの下面と補助ラベル保持体26の先端に当接して保持される。尚、補助ラベル保持体26は
ラベル保持体25を固着する取付枠10の垂直片10aとで挾着する形態、或はラベル保持体25と関係なく、取付枠10に単独で固定してもよい。
【0043】
本発明は図示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で変更可能である。
(1)ラベル保持体は、図示した一対の平行枠、L字型、コ字型に限定されず、要はラベルの貼付面とは反対側の面を空気の吹き付け、又は吸引力で板状部材の下面に当接保持され、且つ当接保持されたラベルがラベル貼付手段のラベル吸着部によって吸着されるようになっていればよい。
(2)ラベル保持体に対してラベルを空気圧(風圧)で押し上げ当接させる空気吹き出し装置(保持手段)の設置個数及び設置場所は問わない。
(3)ラベル発行装置にラベル貼付手段を組み付けたラベル貼付装置の実施例はストレッチ包装機であるが、ラベル貼付装置は包装機に限らず、例えば、コンベアによって搬送される物品に対してラベルを貼付するラベル貼付装置に本発明を利用してもよい。
(4)実施例は、帯状の台紙にラベルが剥離可能に貼着され、剥離部によってラベルが台紙から剥離されて発行される台紙付きラベルを使用するラベル発行装置(又はラベル貼付装置)であるが、本発明は帯状用紙の一側面が印字面で、他側面が接着剤を塗布された貼付面をなし、且つ長さ方向に沿って所定長さ毎に切断を容易ならしめるミシン目などが施された台紙レスラベルロール紙を用いるラベル発行装置(又はラベル貼付装置)でもよい。
(5)ラベル発行装置は印字手段を備えたものに限らず、印字手段を備えず、予め所定事項がラベルに印字されたラベルロール紙を用いるラベル発行装置でもよい。
(6)実施例のラベル発行装置は、台紙巻き取り軸を駆動回転することでラベルロール紙を回転し、ラベルを繰り出すものとしたが、ラベルロール紙を回転させる駆動源を台紙巻き取り軸の駆動源とは別途に設けた構成としてもよい。
(7)前記平行枠の本数は2本に限らず、3本でもそれ以上でもよい。貼付部が保持体の隙間に嵌入してラベル面(印字面)に接触できればよい。
(8)前記実施例ではラベル貼付手段(アプリケータ)の吸引ファンと、空気吹き出し装置16又は吸引装置22のファンを同様のタイミングでON/OFFするようになっているとの説明であったが、空気吹き出し装置16、吸引装置22のファンはラベル貼付手段(アプリケータ)の吸引ファンとは独立したタイミングでON/OFFするようにしてもよい。つまり、ラベル貼付装置を含むストレッチ包装機の電源のON/OFFにあわせて、空気吹き出し装置16又は吸引装置22のファンをON/OFFするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係るラベル発行装置をストレッチ包装機に組み付けた状態を示す正面図。
【図2】ラベル保持体及び保持手段の概略を示す拡大側面図。
【図3】(a)は同平面図、(b)は(a)図のb−b線に沿える縦断面図。
【図4】ラベル保持体の他の実施例を示す平面図。
【図5】ラベル保持体の更に他の実施例を示す平面図。
【図6】保持手段の他の実施例を示し、(a)は平面図、(b)は縦断面図。
【図7】本発明の他の実施例を示す斜視図。
【符号の説明】
【0045】
B1…ラベル発行装置 B2…ラベル貼付手段
1…ラベルロール紙 1a…台紙
1b’…ラベル 8、8’、8”…ラベル保持体
9…保持手段 16…空気吹き出し装置
22…吸引装置 12a,12b…一対の平行枠
7…ラベル発行口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル発行口から発行されるラベルの繰出し方向前方位置に、発行されるラベルの貼付面と反対側の面が当接するラベル保持体を配置し、そのラベル保持体の下面にラベルの貼付面と反対側の面を当接させて発行されたラベルを前記保持体に保持させる保持手段を備えたことを特徴とするラベル発行装置。
【請求項2】
前記保持手段が、繰出し発行されるラベルの貼付面に対して空気を吹き付ける空気吹き出し装置で、前記ラベル保持体の下方に配置されていることを特徴とする請求項1記載のラベル発行装置。
【請求項3】
前記保持手段が、繰出し発行されるラベルを負圧で吸着する吸引装置で、前記ラベル保持体の下面に吸着部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のラベル発行装置。
【請求項4】
前記ラベル保持体は、前記ラベルの略中央部を除く外周部に当接する枠体であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のラベル発行装置。
【請求項5】
前記ラベル保持体は、ラベルの繰出し方向に沿って突出し、且つ該ラベルの繰出し方向と交差するラベル幅方向に間隔をおいて配置された一対の平行枠であることを特徴とする請求項4記載のラベル発行装置。
【請求項6】
前記ラベル保持体を構成する一対の平行枠は分離独立し、ラベルの幅方向に移動調整自在であることを特徴とする請求項5記載のラベル発行装置。
【請求項7】
前記ラベル保持体を構成する平行枠は、ラベルが幅方向に移動するのを規制するガイド部を前記平行枠の側端に有することを特徴とする請求項6記載のラベル発行装置。
【請求項8】
前記ラベル保持体は、該保持体の下面にラベルの貼付面と反対側の面の一部を当接させて発行されたラベルを当接保持し、前記反対側の面における露出部を吸着して該ラベルを貼付対象物へ移動し貼付するラベル貼付手段を請求項1乃至7の何れか1項記載のラベル発行装置に備えたことを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項9】
前記ラベル保持体は水平方向に開口部を有する枠体であって、前記ラベル貼付手段は前記開口部側へ移動した後、ラベルを貼付対象物へ移動し貼付することを特徴とする請求項8記載のラベル貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−298435(P2009−298435A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154132(P2008−154132)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】