説明

ラベル貼付パッドおよびラベル貼付装置

【課題】凹凸の激しい金属板面にも剥がれることなくラベルを自動で貼付出来るラベル貼付パッドおよびそれを備えたラベル貼付装置を提供する。
【解決手段】
繰り出されたラベルを一旦吸着保持するラベル吸着面が一方の面に形成された耐熱性硬質ゴム層と、前記耐熱性硬質ゴム層の他方の面に固着された軟質ゴム層とを備え、前記耐熱性硬質ゴム層と軟質ゴム層とを貫通して前記ラベル吸着面に至る複数の排気用の孔部を有するラベル貼付パッド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板の識別をするために金属板固有の情報が記載されたラベルを金属板に貼付するラベル貼付装置において、ラベルを保持して被着体に貼付するラベル貼付パッド、およびそれを備えるラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来厚鋼板剪断ライン等で用いられている自動ラベル貼付装置は、以下の動作でラベルを糊で厚鋼板の剪断面に貼付している。従来技術のラベル貼付装置は特許文献1や特許文献2に記載されている。
1) ラベルを台紙からエアーを吹き付けて剥がし、ラベル貼付パッドへ吸着させる。
2) ラベル貼付パッドはラベルを吸着したまま、鋼板断面へラベルを押し付ける。
3) ラベル貼付パッドの真空を解き、ラベルの糊の粘着力で鋼板へ貼付させる。
一方、ラベル貼付を必要とされる鋼板等の金属板は、製造ラインから下りることはなく、高温で搬送される場合が多い。このため図6に示すように、従来公知のラベル貼付パッド20は吸着面に耐熱性に優れた硬質ゴム層110を用い、耐熱性硬質ゴム層110には複数の小さな孔部150が空けられている。耐熱性硬質ゴム層は同様に硬質ゴム製の裏面板160に接着等で固着され、裏面板160には、中空部(溝部)100が設けられ、裏面板160は図示しない真空ポンプの複数の排気管190を連結するフランジ170と連結している。真空ポンプを作動させると、排気管190を経由して中空部100の空気が吸引され、中空部100と吸着面10とを連通する複数の小さな孔部150から空気が吸引され吸着面にラベルが吸着される。
【0003】
鋼板へラベルを貼付する位置は、鋼板を剪断した際の剪断面であり、凹凸の激しい断面となるため、従来のラベル自動貼付装置のラベル貼付パッドを用いてラベルを貼付しても剥がれ落ち、手動で貼付し直す作業が多かった。鋼板はラベルされないまま製品としてラインで搬送することは出来ないので、ラベルの手動での貼り直し作業は鋼板剪断ラインの下流の手直し場で行われる。手動ラベル貼付作業が連続すると、剪断ラインを停止させる要因となっていた。ラベル自動貼付装置の不良で手動ラベル貼付作業となることを低減するために、ラベル押し付け時間を長くしたり、ラベルの糊を変更する等の改良を行ったが大きな改善は認められなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭51−108600号公報
【特許文献2】特開2008−74422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、凹凸の激しい金属板面にも剥がれることなくラベルを自動で貼付出来るラベル貼付パッドを提供する。また本発明のラベル貼付パッドを備えたラベル貼付装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、以下を提供する。
(1)繰り出されたラベルを一旦吸着保持するラベル吸着面が一方の面に形成された耐熱性硬質ゴム層と、前記耐熱性硬質ゴム層の他方の面に固着された軟質ゴム層とを備え、前記耐熱性硬質ゴム層と軟質ゴム層とを貫通して前記ラベル吸着面に至る複数の排気用の孔部を有するラベル貼付パッド。
より詳細には、耐熱性硬質ゴム層の表面にラベル吸着面を有し、その内側に軟質ゴム層を備え、耐熱性硬質ゴム層と軟質ゴム層とを貫通してラベル吸着面に至る複数の孔部を有し、これら孔部は、排気口を介してラベル吸着面から真空引きするための排気機構に接続される。
(2)前記耐熱性硬質ゴム層と軟質ゴム層との厚さの比が1:3〜30である(1)に記載のラベル貼付パッド。
(3)前記複数の孔部のうち、少なくとも一部の孔部は、他の孔部に対して独立に排気可能である(1)または(2)に記載のラベル貼付パッド。
(4)前記耐熱性硬質ゴム層と軟質ゴム層とは、前記複数の孔部に連通する共通の中空部を有さない(1)〜(3)のいずれかに記載のラベル貼付パッド。
(5)前記耐熱性硬質ゴム層の孔部の径は、前記軟質ゴム層の孔部の径より小さい(1)〜(4)のいずれかに記載のラベル貼付パッド。
【0007】
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載のラベル貼付パッドと、
前記ラベル貼付パッドを、ラベル供給装置から被着体の被着部に搬送する搬送機構とラベルを被着部に押圧する押圧機構とを備え、
ラベル供給装置から前記吸着面に一旦吸着保持したラベルを、前記被着体の被着部に搬送し、ラベルを被着部に押圧して貼付するラベル貼付装置。
(7)前記被着体の被着部の形状を検出する位置センサーを有し、前記搬送機構が、前記位置センサーにより検出された前記被着体の被着部の形状に基づいて選択された位置にラベルが貼付されるように前記ラベル貼付パッドを搬送する(6)に記載のラベル貼着装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明のラベル貼付パッドは、ラベル貼付時に金属板の凹凸に沿って変形するのでラベルを凹凸の激しい金属面に密着させ貼付した後にラベルが剥がれ落ちることがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明のラベル貼付パッドが、ラベル供給装置からラベルを吸着面に吸着した状態を示す模式図である。
【図2】図2(A)は、ラベルが貼付される鋼板の切断面を示す側面模式図である。図2(B)は、本発明のラベル貼付パッドが、ラベルを被着体の被着部に押圧した状態を拡大して示す平面断面模式図である。
【図3】図3は、本発明のラベル貼付装置の動作を説明する斜視図であり、図3(A)は、ラベル吸引、図3(B)は、ラベル剥離、吸着状態を示す。
【図4】図4は、本発明のラベル貼付装置の動作を説明する斜視図であり、図4(A)は、旋回、図4(B)は、ラベル貼付状態を示す。
【図5】図5は、距離センサーを用いて被着体の側面形状を検出する方法を説明する側面図である。
【図6】図6は、従来例のラベル貼付パッドを説明する模式図である。
【図7】図7(A)は、2層ゴム層を有するが、中空部も有するラベル貼付パッドの構成を説明する模式図である。図7(B)は、中空部を介して真空引きした場合の軟質ゴム層の変形により、孔部がふさがれ真空引きが出来ない状態を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本発明のラベル貼付パッド]
図1は、本発明のラベル貼付パッド2が、ラベル供給装置からラベル1を吸着面10に吸着した状態を示す模式図である。
【0011】
ラベル貼付パッド2の構造は限定されないが、図1に示す構造が例示でき、以下に図1に示す好適実施態様を説明する。
図1に示すラベル貼付パッド2は、ラベル吸着面10が一方の面に形成された耐熱性硬質ゴム層11と、耐熱性硬質ゴム層11の他方の面に固着された軟質ゴム層12とを備える。軟質ゴム層12の他方の面は硬質ゴム製またはプラスチック製等の部材でゴムパッキンを備えた裏面板16に接着剤等で固着されている。耐熱性硬質ゴム層11と軟質ゴム層12とを貫通してラベル吸着面10に至る複数の排気用の孔部15は、複数の排気管19を介して排気口21から真空ポンプ23に接続されている。真空ポンプ23で真空引きすることにより、ラベル吸着面10にラベル1を一旦吸着できるように構成されている。裏面板16と排気管19とはフランジ17で気密に連結されている。排気機構は限定されないが、真空ポンプ23が例示できる。ラベル吸着面10は複数の孔部15を介してエアーで給気されてもよい。この場合、排気機構が真空ポンプまたはエアー連通口を有する給排気機構となる。エアー連通口は真空ポンプを開放して真空中にエアーを導入する機構であってもよいし、ポンプを介して加圧エアーを送れる機構であってもよい。給排気機構は一体の機構であってもよいし別々の給気機構と排気機構とを切換え弁等で切り替えて排気管19に接続してもよい。
【0012】
前記複数の孔部のうち、少なくとも一部の孔部は、他の孔部に対して独立に排気可能であるのが好ましい。この構成をとれば後に説明するように軟質ゴム層が変形して一部孔部が潰れて排気できなくなった場合でも他の孔部から排気できる。
また、複数の孔部15のうち一部の孔部15を、真空ポンプ23に替えて、例えば大気連通口、ボンベまたはポンプに接続すれば、ラベル1が被着部に押圧された後、ラベル貼付パッド2の一部の孔部15からのエアーの吹き付けを行うことができるようになるので、より確実にラベルを吸着面から離すことができ、その結果、被着部により確実にラベルを貼付することができる。
本発明のラベル貼付パッドによりラベルを貼付される被着体である金属板は限定されないが、鉄、アルミニウム、銅板等の各種金属板が例示でき、これらの各種金属のめっき済み材、表面処理済み材、積層材、複合材等が例示できる。以下の説明では、金属板の例示として鋼板5を用いて説明するが、本発明は金属板の材質に限定されない。
【0013】
図2(A)に示すように、鋼板5の側面である切断面の上部には縦縞の凹凸3がある場合がある。ラベル1を鋼板5の切断面に貼付する場合、この凹凸3にラベルがかかるとラベル1と鋼板5との接着力が弱く、鋼板温度によりラベルが反りかえり剥がれることになる。本発明のラベル貼付パッドは従来全体が耐熱性の硬質ゴムで出来ていた吸着面のゴム層を、図2(B)に示すように耐熱性硬質ゴム層11とその内側に軟質ゴム層12とを有する構造とした。このため図2(B)に示すように、鋼板5の切断面の凹凸3にラベル貼付パッド2が押しつけられたときに、ラベル貼付パッド2が切断面の凹凸3に沿ったように変形し、ラベル1を切断面に密着させて貼付できるので貼付されたラベルが剥がれることがほとんどない。
【0014】
耐熱性硬質ゴム層は技術的にはゴム原料に硫黄分を多く加えた弾性の小さいゴムを意味し、原料ゴムは限定されない。好ましくは耐熱性、耐候性、耐薬品性等で平均した特性を持ち一般工業部品に使われる硬質のクロロプレンゴムが好ましく、これと同等な他のゴム材料を用いてもよい。耐熱性とは、200〜450℃の熱で軟化したり変形したりすることがないことを意味する。
軟質ゴム層は、ゴム原料に硫黄分を少なくした弾性の大きいゴムを用いることができ原料ゴムは限定されない。スポンジ状の軟質ゴム層が好ましく、ウレタンスポンジが例示できる。
本発明のラベル貼付パッドの、耐熱性硬質ゴム層11と軟質ゴム層12との厚さは、耐熱性硬質ゴム層11を軟質ゴム層12より薄くするのが好ましい。
ラベル貼付パッドの軟質ゴム層を厚くすることで被着体の被着部の凹凸面により対応して変形することができる。
耐熱性硬質ゴム層11と軟質ゴム層12との厚さの比は好ましくは、1:3〜30、さらに好ましくは1:10〜30である。鋼板の切断面に例えば、50mm〜300mm長さ×2mm〜10mm巾のラベルを貼付するラベル貼付パッドの場合は、より好ましくは耐熱性硬質ゴム層の厚さ0.5mm〜3mm、さらには0.5mm〜1.5mm、軟質ゴム層の厚さ10mm〜30mm、さらには10〜20mmとする。硬質ゴム層の厚さが上記範囲を超えて薄すぎると被着体の温度で劣化しやすくなり、硬質ゴム層の厚さが上記範囲を超えて厚すぎると被着体に押しつける圧力が必要になる。
ラベル貼付パッド2のゴム層を、外面の耐熱性硬質ゴム層11とその内側の軟質ゴム層12との2層とし、耐熱性硬質ゴム層11を軟質ゴム層12より薄く構成するので、ラベル貼付パッド2が鋼板面に押しつけられたとき、図2(B)に示すように、鋼板5の切断面上部に縦縞の凹凸3が存在しても凹凸3に対応して耐熱性硬質ゴム層11と軟質ゴム層12とが充分変形してラベル1を凹凸面に貼付することができる。
【0015】
本発明者等は、以下の検討を行い、より好ましい態様を見出した。軟質ゴム層12と耐熱性硬質ゴム層11とを貫通してラベル吸着面10に至る複数の孔部15は、少なくとも一部の孔部は他の孔部に対して独立に排気可能な構成とするのが好ましい。軟質ゴム層の厚さが硬質ゴム層の3倍以上であるので複数の孔部がすべて真空引きされると軟質ゴム層が変形しやすくなるので、少なくとも一部の孔部を他の孔部に対して独立に排気可能な構造とすれば軟質ゴム層の過度の変形が避けられる。好ましくは孔部を3〜4グループに分けて排気する、または全て独立に排気する構造とすることができる。また、ゴム層の内部に前記複数の孔部15に連通する共通の中空部を有さない構成とするのがより好ましい。
【0016】
図6に示すように、従来のラベル貼付パッド20は、真空引きが容易なように、耐熱性硬質ゴム層110に形成された複数の孔部150は硬質ゴム製の裏面板160の中空部100を介して図示しない真空ポンプに連結する排気管190に連通していた。すなわち複数の孔部150は一旦中空部100に連通し、この中空部100を複数の排気管190を介して排気口210から真空ポンプで真空引きする構成となっていた。硬質ゴム製の裏面板160と排気管190とはフランジ170で気密に連結されている。図7(A)に示すように、従来の耐熱性硬質ゴム層110部分を外面の耐熱性硬質ゴム層11とその内側の軟質ゴム層12の2層としてもラベル貼付パッドの構造が中空部100を有する構造のままであると以下の問題が起こる場合がある。
ラベル1を耐熱性硬質ゴム層11の吸着面10に吸着するために、ゴム層を真空ポンプ23で真空引きすると、図7(B)に示すように、ラベル貼付パッドのゴム層、特に軟質ゴム層12が変形し、複数の孔部150が変形のために閉塞されて、それに伴い中空部100も変形してしまい、ラベル1をラベル吸着面10に吸着できなくなるという不具合が発生することがある。発明者等は、少なくとも一部の孔部を、他の孔部に対して独立に排気可能な構成とすれば、一部の孔部がふさがれても他の孔部から独立に排気できるので、不具合が改善されることを知見した。より好ましくは耐熱性硬質ゴム層と軟質ゴム層は、複数の孔部に連通する共通の中空部100を持たない構成とする。
【0017】
さらに好ましくは、図2(B)に示すように、耐熱性硬質ゴム層11の孔部13の直径を軟質ゴム層12の孔部14の直径より小さくする。例えば耐熱性硬質ゴム層11の孔部13の直径を2mm未満〜0.5mmとし、軟質ゴム層12の孔部14の直径を2mm〜5mmとする。このような耐熱性硬質ゴム層11の孔部13と軟質ゴム層12の孔部14により各孔部15を構成すれば、真空引きスピードが速くなり効率がよくなる。裏面板16の部分を貫通する孔部の径は限定されないが、軟質ゴム層の孔部の径より大きくする方が好ましい。真空引き方向に孔部の径が大きいと真空引きの効率が良い。耐熱性硬質ゴム層11の孔部の直径を1mmとし、軟質ゴム層12の孔部14の直径を2mmとする例では裏面板の孔部の直径は4mm位とすることができる。
【0018】
<ラベル貼付位置の選択>
被着体の被着部は、金属板の側面が主平面に対して平坦な直角の平坦面である場合は容易に選択できる。しかし、金属板が剪断されたままの金属板の側面である場合は上記の凹凸がある、また不規則な凸部や凹部が存在する場合があり、被着体の側面で被着部の位置選択を行うのが好ましい場合がある。図5に示すように、被着部の位置選択は、金属板である鋼板側面に対面した位置に側面の形状を測定できる装置、例えば図5に示す距離センサー8を置いて、板厚方向にラベル貼付巾で側面形状を逐次測定して側面がどのような形状にあるかを適切に把握し、その情報を選択情報伝送機構でラベル貼着装置に伝送し、被着部の形状に基づいて選択された位置にラベルが貼付されるように前記ラベル貼付パッドを搬送し、適切な位置にラベルを貼付するのがより好ましい。
距離センサー8は、金属板側面に対して平行で金属板の側面を真横から測定できる位置に設置するのが好ましい。距離センサーからはレーザー光線9を金属板の側面4に向けて発することにより、このレーザー光線の反射光線を受光して距離を測定する。レーザー光線9を板厚方向およびラベル長さ方向にスキャンさせることにより、側面の各位置からの距離を連続して測定し、その距離の変動状況によって、被着体の側面における表面がどのような形状であるかを測定できる。
【0019】
[本発明のラベル貼付装置]
図3、図4に示すラベル貼付装置の詳細部分は例示であり、本発明はこれらの構造に限定されない。
図3(A)に示すように、本発明のラベル貼付装置70は、上述のラベル貼付パッド2と、ラベル貼付パッド2がラベル1をラベル供給装置30から受取り、搬送ローラー7上を移動する被着体である金属板の被着部に貼付するために、ラベル貼付パッド2を搬送する搬送機構60とラベル1を被着部に押圧する押圧機構とを備える。
搬送機構60には、ラベル貼付パッド2を前進後退させる駆動機構40と、ラベル貼付パッド2を旋回させる旋回機構42とを備える。駆動機構40にラベル貼付パッド20を連結する部分は図3に示されるように単に直角に連結されていてもよいが、ラベル貼付パッドの吸着面10が被着体に接する際に吸着面10の方向を被着体の方向に応じて変えられるような首振り機構を介して連結されていてもよい。駆動機構40と旋回機構42とは貼付パッド駆動台45にマウントされている。駆動機構40はラベルを被着体に押圧する押圧機構としても作動する。貼付パッド駆動台45は搬送機構60に連結されている。さらに搬送機構60は、ラベル貼付パッド駆動台45を、鋼板5の搬送方向(縦方向)、搬送方向に直角な方向(横方向)、鋼板平面に対して上下方向にそれぞれ移動させる機構を有する。図3(A)では、横方向移動機構48のみが示されている。
搬送ローラー7上において、被着体である金属板の停止位置がほぼ一定であり、それにより被着部の位置もほぼ一定であれば、ラベル貼付装置は一定の動作をする機構を有すれば金属板へのラベル貼付が可能となる。なお、ラベル貼付装置70は、被着体においてより好適な被着部を選択する目的で、下記のような制御機構を有していてもよい。この場合、制御装置は、図5に示したような位置センサー8からの被着体の被着部を選択するための選択情報によって搬送機構60を制御する。位置センサー8は、ラベル貼付装置70から鋼板が搬送される上流側に設置される。選択情報は適切な選択情報伝送機構を介して位置センサー8からラベル貼着装置70に伝送すればよい。
ラベル貼付装置70は、ラベル供給装置30からラベル貼付パッド2のラベル吸着面10に一旦吸着保持したラベル1を、鋼板である被着体の側面である被着部に搬送し、ラベル1を被着部に押圧した後、ラベル貼付パッド2の孔部15において維持していた真空を解除した上で、ラベル貼付パッド2を被着部から離すことにより、ラベル1を被着部に貼付する。なお、ラベル1を被着部に押圧した後、ラベル貼付バッドの孔部15において真空を解除した後に孔部15からエアーを吹き付けることが可能である。このエアー吹き付けを実施すれば、例えば吸着面の材質の経時劣化などにより真空解除だけではラベルが吸着面からはがれにくい状況においても、より確実にラベルを吸着面から離すことができる。
【0020】
[ラベル貼付装置の動作]
ラベル貼付装置の動作を、好適実施例の図である、図3(A)ラベル貼付パッドのラベル吸引、図3(B)ラベル供給装置からのラベル剥離、ラベル吸着、図4(A)ラベル貼付パッド旋回、鋼板搬送ローラー上待機、および図4(B)ラベル貼付、を用いて説明する。
<図3(A)ラベル貼付パッド待機>
鋼板に貼付すべきラベル1の情報は、ラベル供給装置30に必要なタイミングで伝送されてラベルシート33に印刷される。ラベル1への印刷が完了すると、例えば少し離れた位置で待機していたラベル貼付パッド2が駆動機構40の駆動によって、ラベル供給装置30の剥離部35に向けて前進させられる。
【0021】
<図3(A)ラベル吸引><図3(B)ラベル吸着>
ラベル貼付パッド2が前進限に達すると、ラベル供給装置40内のラベルシート33がフィードされ、同時に剥離部35付近でエアーチューブ32から剥離用のエアーの噴射が行われ、ラベル貼付パッド2の吸着面10はラベル吸着用の真空が発生させられ、ラベルシート33から剥離されたラベル1を吸引できるようになる。フィードされたラベル1はエアー噴射により吸着面に向けて吹き飛ばされ、ラベルシート33から飛ばされ剥離されたラベル1はラベル貼付パッド2の吸着面10に吸着される。
【0022】
<図4(A)ラベル貼付パッド旋回、鋼板搬送ローラー上待機>
ラベル1が吸着面10に吸着されると、ラベル貼付パッド2が駆動機構40によって後退し、さらに貼付パッド旋回機構42によって90度旋回させられ、ラベル1を貼付される鋼板側面に向けられる。旋回されたラベル貼付パッド2は、さらに搬送機構60により、被着体が搬送ローラー7で搬送される位置まで搬送された後、待機させられる。
【0023】
<図4(B)ラベル貼付>
被着体である鋼板5が搬送ローラー7で搬送され、停止されると、ラベル1を吸着面10に吸着しているラベル貼付パッド2は待機していた位置から鋼板5の側面に向かって前進し、側面にラベル1を押圧する。この時、本発明のラベル貼付パッド2は、耐熱性硬質ゴム層11とその内側に軟質ゴム層12とを有する構造であるので、図2(B)に示すように、被着体の被着部に凹凸3がある場合でもラベル貼付パッド2の耐熱性硬質ゴム層11と軟質ゴム層12が凹凸に沿って変形し、ラベル1を切断面に密着させて貼付できる。ラベル1は被着部に押圧された後、ラベル貼付パッド2の孔部15において真空を解除した後に、ラベル貼付パッド2を被着部から離すことにより、ラベルは被着部に添付される。なお、ラベル貼付パッド2の孔部15からエアーの吹き出しを実施してもよい。
【0024】
ラベル貼付パッド2は、ラベル供給装置40からのラベル吸着位置−被着体へのラベル貼付位置−ラベル吸着位置の間を往復運動し、この動作に同期して、ラベル供給装置40のラベルシート33のラベルピッチ送りが行われ、次の新たなラベル1がテープから既に説明したと同様にして剥離され、上記ラベル吸着位置に復帰しているラベル貼付パッド2に吸着される。
【実施例】
【0025】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
鋼板を製造する厚板剪断ラインにおいて、耐熱性硬質ゴム層にネオプレンゴム(厚さ1mm)を用い、軟質ゴム層にウレタンスポンジ(厚さ14mm)を有し、図1に示すラベル貼付パッドを備えた図3に示すラベル貼付装置を用いてラベルの自動貼付作業を行った。複数の孔部の直径は2mmΦであった。吸着面の孔部の配置は25mm間隔でラベル貼付パッドの中央に1列の配置であった。1年間でラベルの貼り直し作業は0であった。従来図6に示すラベル貼付パッドを有するラベル貼付装置を用いてラベル貼付を行っていた場合は1年間の作業で月平均5.2%のラベル貼り直しが起こっていた。
(実施例2)
耐熱性硬質ゴム層と軟質ゴム層とに貫通する複数の孔部の径を同一ではなく硬質ゴム層の孔部1mmΦ、軟質ゴム層の孔部2mmΦとした以外は実施例1に記載のラベル貼付パッドを有するラベル貼付装置を用いて、実施例1と同様の自動貼付作業を行った。真空引き工程の時間が、ラベル1枚を鋼板に貼付する1工程で実施例1のラベル貼付パッドを用いた場合に比較して60%に短縮できた。
【符号の説明】
【0026】
1 ラベル
2、 20 ラベル貼付パッド
3 凹凸
4 側面
5 鋼板
7 搬送ローラー
8 距離センサー
9 レーザー光線
10 吸着面
11 耐熱性硬質ゴム層
12 軟質ゴム層
13 耐熱性硬質ゴム層の孔部
14 軟質ゴム層の孔部
15 孔部
16 裏面板
17 フランジ
19 排気管
21 排気口
23 真空ポンプ
30 ラベル供給装置
32 エアーチューブ
33 ラベルシート
35 剥離部
40 駆動機構
42 旋回機構
45 貼付パッド駆動台
48 移動機構
60 搬送機構
70 ラベル貼付装置
100 中空部
110 耐熱性硬質ゴム層
150 孔部
160 裏面板
170 フランジ
190 排気管
210 排気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り出されたラベルを一旦吸着保持するラベル吸着面が一方の面に形成された耐熱性硬質ゴム層と、前記耐熱性硬質ゴム層の他方の面に固着された軟質ゴム層とを備え、前記耐熱性硬質ゴム層と軟質ゴム層とを貫通して前記ラベル吸着面に至る複数の排気用の孔部を有するラベル貼付パッド。
【請求項2】
前記耐熱性硬質ゴム層と軟質ゴム層との厚さの比が1:3〜30である請求項1に記載のラベル貼付パッド。
【請求項3】
前記複数の孔部のうち、少なくとも一部の孔部は、他の孔部に対して独立に排気可能である請求項1または2に記載のラベル貼付パッド。
【請求項4】
前記耐熱性硬質ゴム層と軟質ゴム層は、前記複数の孔部に連通する共通の中空部を有さない請求項1〜3のいずれかに記載のラベル貼付パッド。
【請求項5】
前記耐熱性硬質ゴム層の孔部の径は、前記軟質ゴム層の孔部の径より小さい請求項1〜4のいずれかに記載のラベル貼付パッド。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のラベル貼付パッドと、
前記ラベル貼付パッドを、ラベル供給装置から被着体の被着部に搬送する搬送機構とラベルを被着部に押圧する押圧機構とを備え、
ラベル供給装置から前記吸着面に一旦吸着保持したラベルを、前記被着体の被着部に搬送し、ラベルを被着部に押圧して貼付するラベル貼付装置。
【請求項7】
前記被着体の被着部の形状を検出する位置センサーを有し、前記搬送機構が、前記位置センサーにより検出された前記被着体の被着部の形状に基づいて選択された位置にラベルが貼付されるように前記ラベル貼付パッドを搬送する請求項6に記載のラベル貼着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−153424(P2012−153424A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16466(P2011−16466)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】