説明

ラベル連続体断裁装置およびラベル貼付機

【課題】装置の洗浄を不要とすることにより、連続運転を可能とするとともに、運転効率の向上を可能としたラベル連続体断裁装置を提供する。
【解決手段】打撃面22が鈍角に形成された打撃部材21と、裏面に粘着剤を有するラベル連続体30に設けられたミシン目33を前記打撃部材21の近傍に移動させるラベル連続体移動部とを備え、前記打撃部材21の前記打撃面22が前記ラベル連続体30の表面の前記ミシン目33近傍に打撃をすることよって前記ミシンに沿ってラベル連続体が断裁されるラベル連続体断裁装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離紙のないタイプのラベル連続体を個別のラベル毎に断裁するラベル連続体断裁装置に関する。また、同ラベル連続体断裁装置を備えたラベル貼付機に関する。
【背景技術】
【0002】
ラベル連続体を個別のラベル毎に断裁するラベル連続体切断装置が、ラベル貼付機に組み合わされて広く使用されている。ラベル連続体切断装置には、例えば、特許文献1のようにはさみ状の刃を用いるタイプや、特許文献2のように押切刃を用いるタイプが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−331667号公報
【特許文献2】特開2000−296822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ラベル連続体には剥離紙を備え、ラベルを剥離して使用するラベル連続体と、剥離紙を持たないセパレス(登録商標:大阪シーリング印刷株式会社)ラベル連続体とがある。前者の場合には問題となりにくいが、後者については、連続してラベル連続体を切断すると、刃に粘着剤付着して刃の切断力を低下させるため、切断が困難になるという欠点がある。
【0005】
具体的には、図6(a)に示すように、カッター刃121をラベル連続体130に表側から押しつけると、カッター刃121は、まず基材層131を切断し、続けて、図6(b)に示すように、粘着剤層132を切断する。その結果、粘着剤屑132aが刃先に付着する。この付着した粘着剤屑132aがカッター刃121の切断性能を低下させる。そのため、ラベル連続体130から一定枚数ラベルを切断すると、カッター刃121を洗浄する必要があった。カッター刃121を洗浄は、ラベル連続体切断装置を停止させて行なうため、ラベル連続体切断装置の運転効率を低下させ、問題となっていた。また、洗浄操作を手動で行なうと手間である一方、自動洗浄させると装置が複雑化するという問題があった。
【0006】
本発明は上記問題を解消するためになされたもので、装置の洗浄を不要とすることにより、連続運転を可能とするとともに、運転効率の向上を可能としたラベル連続体断裁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のラベル連続体断裁装置は、打撃面が鈍角に形成された打撃部材と、裏面に粘着剤を有するラベル連続体に設けられたミシン目を前記打撃部材の近傍に移動させるラベル連続体移動手段とを備える。前記打撃部材の前記打撃面が前記ラベル連続体の表面の前記ミシン目近傍に打撃をすることよって前記ミシンに沿ってラベル連続体が断裁される。
【0008】
本発明によれば、打撃部材によりミシン目近傍を打撃することによりラベル連続体を断裁することができる。また、打撃部材の打撃面は鈍角に形成されているため、カッターの場合のように刃先がラベル連続体の粘着剤に触れることがなく、粘着剤が付着しにくい。仮に、打撃面に粘着剤がついた場合であっても、刃先でラベル連続体を切断するわけではないため、特に断裁に支障は生じない。
【0009】
本発明のラベル連続体断裁装置は、粘着剤の付着を抑制する部材により被覆されていることが好ましい。
【0010】
本発明によれば、打撃面が、粘着剤の付着を抑制する部材により被覆されているため、打撃面に粘着剤が一層付着しにくい。
【0011】
本発明のラベル連続体断裁装置は、前記打撃面に、ラベル連続体に向かって突出した突部を有することが好ましい。
【0012】
本発明によれば、打撃面に、ラベル連続体に向かって突出した突部を有するため、打撃をする際に、突部が先行してラベル連続体の表面を打撃する。従って、打撃圧が突部に打撃された部分の近傍のミシン目に集中することにより、同部分が先行して断裁される。一部が断裁されることをきっかけとして、ミシン目が順次断裁されるため、ラベル連続体の断裁が容易となる。
【0013】
本発明のラベル連続体断裁装置はラベル連続体貼付装置に好適に用いられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、打撃部材によりミシン目近傍を打撃することによりラベル連続体を断裁することができるため、ラベル連続体断裁装置の洗浄を不要とすることが可能となる。その結果、ラベル連続体断裁装置の連続運転を可能とするとともに、運転効率の向上を可能としたラベル連続体断裁装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のラベル連続体断裁装置の一実施形態に係るラベル連続体貼付装置に用いるラベル連続体の斜視図である。
【図2】本発明のラベル連続体断裁装置の一実施形態に係るラベル連続体貼付装置の正面図である。
【図3】図1のラベル連続体貼付装置の要部拡大図である。
【図4】図1のラベル連続体貼付装置の打撃部材の拡大図であって、(a)は断面図、(b)は流れ方向において手前側から見た図である。
【図5】(a)〜(c)は図1のラベル連続体貼付装置の打撃部材がラベル連続体を断裁する様子を連続的に示した断面図である。
【図6】(a)および(b)は従来のラベル連続体貼付装置のカッター刃がラベル連続体を断裁する様子を連続的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のラベル連続体断裁装置を適用したラベル連続体貼付装置の実施形態を図1〜図5を用いて説明する。なお、以下の説明において、方向および向きについては、図中に記載した方向および向きを用いる。
【0017】
ラベル連続体断裁装置に用いるロール状に巻回されたラベル連続体30には、所定の間隔毎にミシン目33が設けられている。このミシン目で切り離すことにより、個別のラベル片35となる。
【0018】
図2に示すように、ラベル連続体断裁装置の、上部には、このラベル連続体30を取り付けるためのローラーR1が備えられている。また、ローラーR1の下部には、流れ方向において奥から手間に向かいローラーR2〜R5が順に配設されている。また、ローラーR5の流れ方向において手前には、ローラーR6およびR7が打撃部材21をはさんで備えられている。このローラーR6およびR7は高さ方向における上方および下方からラベル連続体30の端部を挟持するように、配置されている。
【0019】
更に、ローラーR3とローラーR4の間には、ミシン目位置測定用の赤外線位置測定器Sが備えられている。従って、赤外線位置測定器Sにより測定されたミシン目位置に基づいて、非図示の位置制御装置が、ローラーR2〜R7を制御することにより、ミシン目を前記打撃部材の近傍に移動させることができる。従って、ローラーR2〜R7および赤外線位置測定器Sがラベル連続体移動部として機能する。
【0020】
ローラーR5の更に手前側には、断裁部20が設けられている。断裁部20近傍の拡大図である図3に示すように、断裁部20はラベル連続体30のミシン目33近傍を打撃する打撃部材21およびローラーR6およびR7を備えられている。この打撃部材21の下側の面がラベル連続体30を打撃する打撃面22となっている。この打撃面22は、粘着剤の付着を抑制する部材であるフッ素コーティングが成されている。
【0021】
打撃部材21の断面図である図4(a)に示すように、打撃部材21の打撃面22は鈍角に形成されている。そのため、図6に示した従来のカッター刃のように、ラベル連続体30を切断するのではなく、ラベル連続体30を打撃することによりミシン目33に負荷をかけるとともにミシン目33を断裁させる。そのため、打撃面22に直接粘着剤が付着することを抑制できる。
【0022】
また、図4(b)に示すように、打撃面22には、高さ方向において下方に突出した、即ちラベル連続体30に向かって突出した突部23が設けられている。そのため打撃部材21がラベル連続体30を打撃する際には、図5(a)に示すように、突部23がまずミシン目33の近傍に接触する。そのため打撃力は一点に集中し、図5(b)に示すように、ミシン目33のうち突部23が接触した部分近傍の基材層31および粘着剤層32がまず断絶される。この断絶をきっかけとしてミシン目33が順次断絶されるため、図5(c)に示すように、ラベル連続体30の端部は容易に分離されラベル片35となる。
【0023】
このとき、打撃面22は粘着剤層32に直接触れることがないため、値着剤が打撃面に付着することを抑制することができる。また例え値着剤が打撃面22に付着したとしても、打撃部材21が、ミシン目33近傍を打撃する能力が低下することはないため、断裁力が低下しない。
【0024】
一方、ローラーR6とローラーR7とは互いに対向して接するように配置されているため、互いの間に、ラベル連続体30の端部を挟み込み、端部を手前側に引っ張った状態で保持することができる。かかる状態で、ラベル連続体30の端部のミシン目33近傍を打撃部材21に打撃されることにより、ラベル連続体30の端部は切り離され、ラベル片35となる。
【0025】
打撃部材21の流れ方向における手前側には、ラベル片35を手前側に移動させるためのベルトコンベアBが備えられている。このベルトコンベアBの表面は、離型処理がされているため、ラベル片35の裏面に備えている粘着剤により、ラベル片35がベルトコンベアBの表面に付着することはない。
【0026】
このベルトコンベアBの更に手前側には、貼り付けローラーR8が配設されている。このロールは、弾性のあるスポンジ素材で表面が形成されているため、ラベル片35の表面に押しつけることにより、ラベル片を貼り付け対象物に貼り付けることができる。
【0027】
このラベル連続体断裁装置のローラーR1にラベル連続体30がセットされると、ラベル連続体30はラベル連続体移動部より端部より順に、ミシン目が打撃部近傍に位置する態様で、断裁部20に移動させられる。断裁部20により断裁されたラベル連続体30の端部であるラベル片35はベルトコンベアBにより流れ方向の手前側に移動させられた後、貼り付けローラーR8により貼り付けられる。
【0028】
以上に説明した本実施形態によれば、上記した以下の効果を得ることができる。
【0029】
(1)本実施形態によれば、打撃部材21によりミシン目33近傍を打撃することによりラベル連続体30を断裁することができる。また、打撃部材21の打撃面22は鈍角に形成されているため、カッターの場合のように刃先がラベル連続体30の粘着剤に触れることがなく、粘着剤が付着しにくい。また仮に、打撃面22に粘着剤がついた場合であっても、刃先でラベル連続体30を切断するわけではないため、特に断裁に支障は生じない。
【0030】
(2)本実施形態によれば、打撃面22が、粘着剤の付着を抑制する部材により被覆されているため、打撃面に粘着剤が一層付着しにくい。
【0031】
(3)本実施形態においては、打撃面22に、ラベル連続体30に向かって突出した突部23を有するため、打撃をする際に、突部23が先行してラベル連続体30の表面を打撃する。従って、打撃圧が突部23に打撃された部分の近傍のミシン目33に集中することにより、同部分が先行して断裁される。一部が断裁されることをきっかけとして、ミシン目33が順次断裁されるため、ラベル連続体30の断裁が容易となる。
【0032】
なお、上記実施形態は以下のように変更しても良い。
【0033】
・上記実施形態において、打撃面22は、粘着剤の付着を抑制する部材であるフッ素コーティングが成されているが、他のコーティングであっても良い。例えば、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーン等をコーティングしても良い。要は、粘着剤の付着防止機能を有すれば良いのであるから、粘着剤の種類に対応して使い分けても良い。
【0034】
・また、打撃面22への粘着剤の付着がコーティングしなくても見られない場合や、そもそも付着が問題とならないのであれば、コーティングは割愛しても良い。割愛により、コストダウンに資するためである。
【0035】
・上記実施形態において、突部23は、打撃面22の幅方向における中央付近に設けられているが、他の構成であっても良い。例えば、人側又は機械側のいずれかの端部に設けても良い。また、突部23を複数設けても良い。打撃圧をミシン目33の一部に集中させる構成であればどのような構成であっても、同様の効果を上げることが可能となる。
【0036】
・また、突部23を設けなくても、ラベル連続体30が容易に断裁できるのであれば、突部を割愛してコストダウンをはかっても良い。
【0037】
・上記実施形態において、ラベル連続体30はミシン目33を有していたが、他の構成であっても良い。要は、打撃部材21の打撃によって裁断される構造であれば良い。例えば、基材層31にハーフカットを設けていても良い。
【0038】
・上記実施形態において、ラベル連続体断裁装置は、ラベル連続体貼付装置に用いたが、他の構成であっても良い。例えば、ラベル連続体断裁装置のみを単独で用いても良いし、更に印刷機構を有するラベル連続体印刷貼付装置の一部として用いても良い。特に、ラベル連続体30の基材層31が感熱記録層を有する場合は、サーマルヘッドを有するサーマルプリンタにラベル連続体断裁装置を組み込んでも良い。
【符号の説明】
【0039】
20…断裁部
21…打撃部材
22…打撃面
23…突部
30…ラベル連続体
31…基材層
32…粘着剤層
33…ミシン目
35…ラベル片
121…カッター刃
130…ラベル連続体
131…基材層
132…粘着剤層
132a…粘着剤屑
B…ベルトコンベア
R1…ローラー
R2…ローラー
R3…ローラー
R4…ローラー
R5…ローラー
R6…ローラー
R7…ローラー
R8…ローラー
S…赤外線位置測定器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
打撃面が鈍角に形成された打撃部材と、
裏面に粘着剤を有するラベル連続体に設けられたミシン目を前記打撃部材の近傍に移動させるラベル連続体移動部とを備え、
前記打撃部材の前記打撃面が前記ラベル連続体の表面の前記ミシン目近傍に打撃をすることよって前記ミシンに沿ってラベル連続体が断裁されるラベル連続体断裁装置。
【請求項2】
前記打撃面が、粘着剤の付着を抑制する部材により被覆されている請求項1に記載のラベル連続体断裁装置。
【請求項3】
前記打撃面に、ラベル連続体に向かって突出した突部を有する請求項1または2に記載のラベル連続体断裁装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のラベル連続体断裁装置を用いたラベル連続体貼付装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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