ラベル
【課題】 基材シートからの表面シートの剥離性を確保した上で、被貼着物に対する貼着で基材シートから表面シートが剥離してしまうのを防止することのできるラベルを提供する。
【解決手段】 一方の面に貼付用の接着層が形成された基材シートと、基材シートの他方の面側に積層された表面シートとで構成され、基材シート又は表面シートの互いに対向する何れか一方に接着層が形成されると共に、他方に前記接着層に対して剥離性を有する剥離層が形成され、基材シート及び表面シートが積層状態で互いに対向する少なくとも何れか一方の対向面に印刷された情報を隠蔽可能に構成されてなり、被貼着物に対する貼着で表面シートの両側端間に曲げ作用が生じるラベルにおいて、剥離層は、表面シートの両側端部の一部と基材シートとが接着層を介して直接接着する接着領域を残して形成されてなることを特徴とする。
【解決手段】 一方の面に貼付用の接着層が形成された基材シートと、基材シートの他方の面側に積層された表面シートとで構成され、基材シート又は表面シートの互いに対向する何れか一方に接着層が形成されると共に、他方に前記接着層に対して剥離性を有する剥離層が形成され、基材シート及び表面シートが積層状態で互いに対向する少なくとも何れか一方の対向面に印刷された情報を隠蔽可能に構成されてなり、被貼着物に対する貼着で表面シートの両側端間に曲げ作用が生じるラベルにおいて、剥離層は、表面シートの両側端部の一部と基材シートとが接着層を介して直接接着する接着領域を残して形成されてなることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被貼着物に貼着するラベルに関し、特には、貼付用の接着層を介して被貼着物に接着される基材シートに対し、表面シートが剥離可能に積層され、該表面シートを基材シートから剥離できるように構成されたラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品や飲料等の被収容物を容器に収容した商品に対し、消費者の購買意欲を高めるべく、くじやキャンペーンの案内等を印刷したラベルが添付される場合がある。かかるラベルとして、図11に示す如く、一方の面に商品(被貼着物)に貼着するための貼付用接着層110が形成された基材シート100と、該基材シート100の他方の面側に積層された表面シート200とで構成されたものがある。
【0003】
該ラベルRは、前記基材シート100の他方の面及び表面シート200の一方の面、即ち、基材シート100及び表面シート200の互いに対向する対向面の少なくとも何れか一方の面に、前記くじの結果や、キャンペーンの応募要領等の情報が印刷されている。さらに、該ラベルRは、前記情報が印刷された表面シート200の一方の面の全面に接着層210が形成される一方、同じく情報が印刷された基材シート100の他方の面に前記接着層210に対して剥離性を有する剥離層120が形成されており、基材シート100から表面シート200を剥離できるようになっている。
【0004】
これにより、該ラベルRは、基材シート100に表面シート200が積層された状態において、前記情報を隠蔽することができる一方で、表面シート200を基材シート100から剥離することで、前記情報の内容を認識できるようになっている。
【0005】
前記被貼着物Pに貼着される前のラベルRは、図5に示す如く、長尺な離型紙Aに長手方向に間隔を有して複数貼着されており、これにより、ラベル自動貼付装置5(ラベラー)を用いることで、前記被貼着物P(例えば、飲料の入った容器(PETボトルやガラス瓶等)等)に貼着できるようになっている。
【0006】
ここでラベラー5について説明すると、ラベラー5は、前記離型紙Aを巻き取る巻取部(図示しない)と、該巻取部で順次巻き取られることで長手方向に移動する離型紙Aの移動方向を切り換え、離型紙AからラベルRを剥離させる剥離部50とを備えている。剥離部50は、例えば断面三角形状をなして離型紙Aを巻き掛けるエッジ部52を有する剥離体51を備えており、巻取部で離型紙Aを巻き取ることにより、離型紙Aの移動方向が切り替わる一方で、該離型紙Aに貼着されたラベルRは、自己の剛性によって移動方向を維持し、エッジ部52を起点にして移動方向が切り替わる離型紙Aから剥離されると共に、搬送されてくる被貼着物Pに向けて送り出されるように構成されている。これにより、前記ラベルRは、被貼着物Pの外面に前記貼付用接着層110が接触し、被貼着物Pに貼着されることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記構成のラベルRが貼着される被貼着物Pには、種々の形態のものがあり、例えば、図12(イ)に示す如く、缶やボトルのように胴部Bが曲面をなす被貼着物PにラベルRを貼着すると、該ラベルRは、胴部Bの曲面に沿って貼着されることになり、当該ラベルRに曲げ作用が生じてしまう。このため、表面シート200の何れか一方の側端部が基材シート100から浮き上がった態様となって剥離し易くなり、表面シート200と基材シート100との間に隠蔽された情報が露呈してしまうといった問題がある。即ち、上記構成のラベルRは、表面シート200を基材シート100から容易に剥離させることができるように剥離層120が設けられているため、被貼着物Pの外面の沿って貼着されたラベルRは、基材シート100が貼付用接着層110によって前記外周面に沿った態様になるのに対し、表面シート200は、自己の剛性(弾性)及び剥離層120の剥離性が起因して、側端側(胴部Bの周方向に位置する一端又は他端)が基材シート100から剥離してしまい(浮いてしまい)、前記情報を隠蔽した状態でラベルRを被貼着物Pに貼着することができない場合があった。
【0008】
また、上記構成のラベラー5でラベルRを貼着する場合、離型紙Aが剥離体51のエッジ部52を通過するに際し、該離型紙Aの移動に追従するようにラベルRに曲げ作用が生じてしまう。そのため、被貼着物Pの外面に貼着したときと同様に、図12(ロ)に示す如く、貼付用接着層110を介して離型紙Aに貼着された基材シート100は、下流側が移動方向の切り替わる離型紙Aに追従しようとする一方、表面シート200は、自己の剛性(弾性)及び剥離層120の剥離性が起因して、姿勢を維持しようとして基材シート100から剥離してしまうといった問題があった。
【0009】
即ち、上記構成のラベルRは、消費者における表面シート200の剥離性を考慮するあまり、被貼着物に対する貼着(貼着時或いは貼着状態)で、表面シート200が基材シート100から剥離してしまうといった問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、消費者における基材シートからの表面シートの剥離性を確保した上で、被貼着物に対する貼着で表面シートの側端部が基材シートから剥離してしまうのを防止することのできるラベルを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るラベルは、被貼着物に貼着すべく、一方の面に貼付用接着層が形成された基材シートと、該基材シートの他方の面側に積層された表面シートとで構成され、前記基材シート又は表面シートの互いに対向する何れか一方に接着層が形成されると共に、他方に前記接着層に対して剥離性を有する剥離層が形成されたラベルにおいて、前記剥離層は、該剥離層を介在させることなく表面シートと基材シートとが接着層を介して部分的に接着される接着領域を画定するように形成されており、該接着領域は、少なくとも表面シートの両側端部に対応して形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記構成のラベルによれば、前記剥離層は、該剥離層を介在させることなく表面シートと基材シートとが接着層を介して部分的に接着される接着領域を画定するように形成されており、該接着領域は、少なくとも表面シートの両側端部に対応して形成されているので、表面シートの側端部の一部が剥離層を介さずに基材シートに接着されることになる。従って、被貼着物に対する貼着で、基材シートが撓んだり、変形したりしようとしても、該接着領域での基材シートと表面シートとの接着により、表面シートの側端部が基材シートから剥離してしまうのを防止することができる。つまり、表面シートは自己の弾性の作用で、表面シートの側端から内側に向けて剥離しようとするが、表面シートの剥離性を向上させる剥離層を介在させずに表面シートと基材シートとが接着層を介して部分的に接着される接着領域(剥離層の存在しない領域)が、表面シートの両側端部に対応して形成されることで、その部分での接着力が高まり、表面シートの側端部の浮き上がり(剥離)が防止されることになる。
【0013】
本発明の一態様として、前記接着領域が表面シートの両側端に沿って複数形成されてなることが好ましい。このようにすれば、表面シートの側端部の多くの部分が剥離層を介することなく、基材シートに接着されることになり、被貼着物に対する貼着によって表面シートの側端部が基材シートから浮き上がるのを確実に防止することができる。また、複数の接着領域が表面シートの側端に沿って複数形成されれば、各接着領域間に剥離層を介して接着層が接着する領域、即ち、表面シートを基材シートから剥離させ易い領域が形成されることになり、消費者は表面シートを容易に捲る(基材シートから剥離させる)ことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るラベルによれば、消費者における基材シートからの表面シートの剥離性を確保した上で、被貼着物に対する貼着で表面シートの側端部が基材シートから剥離してしまうのを防止することができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係るラベルについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0016】
本実施形態に係るラベルは、くじの結果や、応募番号、キャンペーンの応募要領等の情報を備えており、容器等の被貼着物に付帯されるものである。より具体的には、本実施形態に係るラベルは、図1に示す如く、飲料等が収容された被貼着物である容器P(本実施形態においてはPETボトル)の肩部Sから一端側(上端側)が上方に向けて突出した態様となるように、他端部(下端部)が容器Pの肩部S近傍の胴部Bに貼着される、いわゆるPOPラベルとして採用されるものである。
【0017】
該ラベルRは、図2及び図3に示す如く、容器Pに貼着される基材シート1と、該基材シート1に積層された表面シート2とで構成されている。
【0018】
前記基材シート1は、例えば、紙(合成紙:ポリエステル合成紙、ポリオレフィン合成紙等)や、ポリエステル系フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、オレフィン系フィルム(例えば、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン重合体等のポリプロピレン系樹脂のフィルム)、ポリスチレン系フィルム等のプラスチックフィルム、或いは、これらの積層体によって構成される。
【0019】
本実施形態に係るラベルRは、上述の如くPOPラベルとして使用されるため、前記基材シート1は、自己支持性を得ることのできる厚みに設定され、例えば、5μm〜200μm、好ましくは20μm〜100μm程度に設定される。
【0020】
該基材シート1は、一方の面に容器Pに貼着するための接着層10(貼付用接着層)が形成されている。当該ラベルRは、上述の如く下端部が容器Pの胴部Bに貼着されるので、該基材シート1は、ラベルRの下端部になる他端部のみに貼付用接着層10が形成されている。該貼付用接着層10には、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の慣用の感圧接着剤を採用することができる。この貼付用接着層10は、採用される接着剤の接着性を考慮して厚みを適宜設定できるが、一般的には5μm〜100μm、好ましくは10μm〜30μm程度に設定される。
【0021】
より具体的に説明すると、基材シート1は、一方の面の全領域に接着剤を印刷した後、基材シート1の他端部を除いた領域に非接着性を付与するマスキング11が施されており、基材シート1の他端部のみに貼付用接着層10が露呈するようになっている。該マスキング11は、マスキング剤を用いて通常の印刷方法(例えば、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等)により形成でき、マスキング剤としては、慣用のUVインキ(紫外線硬化型インキ)等を採用することができる。該UVインキは、通常オリゴマー成分、モノマー成分、光重合開始剤、及び必要に応じて、添加剤(例えば、光重合促進剤、安定剤、ワックス、ミスト防止剤、色料、滑剤、乾燥剤、湿潤剤、粘性改良剤等)等により構成される。該マスキング11の厚みは、当該ラベルRを容器Pに貼着するに際の操作性、貼着安定性等を損なわない範囲で適宜設定できるが、通常1μm〜30μm程度、好ましくは2μm〜15μm程度に設定される。
【0022】
前記基材シート1は、他方の面に前記情報が印刷されており、該情報の印刷された領域(印刷領域)に、表面シート2の後述する接着層20に対して剥離性を有する剥離層12が形成されている。即ち、基材シート1は、隠蔽を要する情報を含んだ領域に剥離層12が形成されており、基材シート1に積層されて前記情報を隠蔽していた表面シート2を剥離できるように構成されている。なお、図において印刷によって形成された印刷層については図示を省略している。本実施形態に係る剥離層12には、シリコン系剥離剤等の公知乃至慣用の剥離剤を含むワニス等が採用されており、印刷面上にワニス等を慣用のコーティング法を用いて塗工することにより形成されている。該剥離層12は、印刷された情報を視認可能なように透明性を有しており、厚みが、例えば、0.3μm〜10μm、好ましくは0.5μm〜5μm程度に設定される。
【0023】
この剥離層12が形成される領域についてより具体的に説明すると、該剥離層12は、該剥離層12を介在させることなく基材シート1と表面シート2とが接着層20を介して部分的に接着される領域13,13(以下、接着領域という)を画定するように形成されており、接着領域13,13…は、基材シート1(前記印刷領域)の両側端部に形成されている。つまり、表面シート2の両側端部に対応する基材シート1の両側端部には、剥離層12の形成されていない接着領域13,13…が部分的に形成されている。本実施形態に係る接着領域13,13…は、基材シート1の側端縁に沿って複数形成されている。各接着領域13,13…は、基材シート1の側端縁を弦として半円状に形成されている。これにより、基材シート1の側端部に、剥離層12の存在する領域と、剥離層12の存在しない領域(接着領域13,13…)とが交互に形成されることになる。
【0024】
また、本実施形態に係るラベルRは、表面シート2を基材シート1から剥離させた状態で、前記情報を認識することができると共に、該情報を認識するにあたり、表面シート2が基材シート1から分離することのないように、基材シート1の一端部(帯状の領域)を除いて剥離層12が形成されている。即ち、該ラベルRは、基材シート1及び表面シート2の一端部においても、剥離層12を介することなく接着層20によって接着されるようになっている。なお、表面シート2を剥離させる際に、表面シート2を把持する把持部分を容易に形成できるように、前記接着領域13は、表面シート2の角部(本実施形態においては、上述の如く表面シート2と基材シートとの一端部同士が接着層20を介して接着しているので他端側の角部)に存在しないように形成することが好ましい。
【0025】
前記表面シート2は、基材シート1と同様に、例えば、紙(合成紙:ポリエステル合成紙、ポリオレフィン合成紙等)や、ポリエステル系フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、オレフィン系フィルム(例えば、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン重合体等のポリプロピレン系樹脂のフィルム)、ポリスチレン系フィルム等のプラスチックフィルム、或いは、これらの積層体によって構成される。
【0026】
前記表面シート2についても、自己支持性を得ることのできる厚みに設定され、例えば、5μm〜200μm、好ましくは20μm〜100μm程度に設定される。
【0027】
前記表面シート2は、平面視略矩形状に形成されており、両側端間の幅が基材シート1の側端間の幅と略一致し、両端間(図3において上下端間)の長さが基材シート1の両端間の長さよりも短く設定され、基材シート1よりも小さく形成されている。該表面シート2は、一端部を除いた領域内に前記情報が印刷されており、該印刷面の全面に接着層20が形成されている。本実施形態に係る接着層20には、前記貼付用接着層10と同様に、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の慣用の感圧接着剤を採用することができるが、本実施形態においては、常態において粘着性及び透明性を有するホットメルト接着剤が採用されている。該接着層20は、前記ホットメルト接着剤を加熱溶融状態にて表面シート2に塗工されることにより形成されており、印刷された情報を視認可能な厚みに設定されており、例えば、5μm〜100μm、好ましくは10μm〜30μm程度に設定される。
【0028】
該表面シート2は、一端及び両側端を基材シート1の一端及び両側端に沿わせた状態で、基材シート1に積層され、この状態で、図4(イ)〜(ロ)に示す如く、接着層20が前記剥離層12及び剥離層12の形成されていない一端部、並びに接着領域13,13…に接着することになる。そうすると、前記基材シート1の一端部、及び接着領域13,13…には剥離層12が形成されていないので、接着層20を介して比較的強固に基材シート1と表面シート2とが接着されることになり、剥離層12の形成された領域においては、比較的容易に剥離できる程度に基材シート1と表面シート2とが接着されることになる。即ち、基材シート1及び表面シート2の両側端部は、図4(ハ)に示す如く、各側端に沿って剥離し易い領域と、剥離し難い領域とが交互に形成されることになる。
【0029】
また、基材シート1の一端部及び表面シート2の一端部についても、接着層20によって直接接着されるが、当該部分は帯状に接着されている(広い接着面積で接着されている)ので、強固に接着されており、印刷領域の表面シート2を基材シート1から剥離させる力では剥離しないようになっている。
【0030】
本実施形態に係るラベルRは、以上の構成からなり、以下に、容器Pに対するラベルRの貼着方法、及び該ラベルRの使用態様について説明する。
【0031】
上記構成のラベルRは、容器Pに貼着される前は、図5に示す如く、長尺な離型紙Aに対して長手方向に所定の間隔を有して複数枚貼着されており、ラベル自動貼付装置5(ラベラー)を用いて容器Pに貼着できるようになっている。即ち、該ラベルRは、以下に説明するラベラー5で容器Pに貼着されるため、それぞれの側端が離型紙Aの長手方向と直交するように、長手方向に間隔を有して複数貼着されている。
【0032】
該ラベラー5は、前記離型紙Aを巻き取る巻取部(図示しない)と、該巻取部で順次巻き取られることで長手方向に移動する離型紙Aの移動方向を切り換え、離型紙AからラベルRを剥離させる剥離部50と、剥離部50で離型紙Aから剥離されたラベルRの貼付用粘着層に向けて容器Pを搬送する搬送系(図示しない)とを備えている。
【0033】
剥離部50は、断面三角形状をなし剥離体51を備えており、前記離型紙Aを該剥離体51のエッジ部52に巻き掛けるように構成されている。従って、即ち、剥離部50は、所定角度をなす二面に沿って剥離部50を巻き掛けるようになっており、該離型紙Aの先端側を巻取部で巻き取ることにより、離型紙Aが剥離体51の二面に沿って、エッジ部52を境にして上流側で移動する離型紙Aに対して下流側の離型紙Aが鋭角をなした態様(上流側と下流側とで移動方向が切り替わった態様)で移動するようになっている。これにより、該離型紙Aに貼着されたラベルRは、離型紙Aが剥離体51のエッジ部52を通過するに際し、離型紙Aの移動方向が切り替わるのに対し、ラベルRは自己の剛性によってエッジ部52よりも上流側の離型紙Aに沿った態様で下流側(別途搬送されてくる容器Pに向けて)に移動し、離型紙Aから剥離されることになる。
【0034】
前記搬送系は、例えば、ターンテーブルやコンベア等によって構成されており、容器Pの肩部S近傍における胴部Bが剥離体51のエッジ部52から突出したラベルRの先端部(容器Pに対して貼着された状態での一側端部)を掠めるように、該容器Pを搬送するようになっている。即ち、該搬送系は、離型紙Aから剥離したラベルRの先端部における貼付用接着層10に対して容器Pの胴部Bが接触するように該容器Pを搬送し、胴部Bに接触したラベルRをスクレーパー(ゴムベラ等:図示しない)で押さえることで、ラベルRを胴部Bの外周面に沿った態様で貼着できるよう容器Pを搬送するようになっている。
【0035】
ラベラー5は以上の構成を備えており、該ラベラー5で上記構成のラベルRを容器Pに貼着する際には、剥離体51のエッジ部52を離型紙Aが通過する初期の段階において貼付用接着層10の接着力が作用している基材シート1の先端部(貼着状態における一側端部)が離型紙Aの移動に追従しようとする一方で、表面シート2は自己の剛性で姿勢を維持しようとするが、上述の如く、当該ラベルRは、両側端部に形成された接着領域13,13…の接着力で、基材シート1及び表面シート2の一側端部同士の接着状態が維持され、基材シート1の離型紙Aに対する追従が阻止されることになり、表面シート2の側端部が基材シート1から剥離してしまうことが防止される。
【0036】
そして、ラベルRは、上述の如く、容器Pの肩部Sから上端(一端)側が突出するように、他端部に形成された貼付用接着層10を介して容器Pの胴部Bに貼着された態様となる(図1参照)。そうすると、図6に示す如く、ラベルRは胴部Bの外周面に沿って貼着されることになり、当該ラベルR(基材シート1及び表面シート2)は、両側端間が湾曲した状態となる。そうすると、従来のラベルRでは、表面シート2の自己の弾性が作用すると共に、接着層に対する剥離層の剥離性が起因して、基材シートから表面シートの一側端側が剥離するといった問題があったが、本実施形態に係るラベルRは、剥離層12の存在しない接着領域13,13…、即ち、接着層20を介して基材シート1と表面シート2とが直接接着する接着領域13,13…が両側端部の一部に形成されているので、上述の如く、容器Pの形状に沿った態様になって表面シート2に自己の弾性が作用したとしても(両側端間に曲げ作用が生じたとしても)、接着領域13,13…での接着力により、表面シート2の側端部が基材シート1から剥離してしまうことが防止される。従って、基材シート1及び表面シート2の印刷された前記情報が隠蔽状態で保たれることになる。
【0037】
そして、消費者が容器Pを購入してラベルRの情報を確認する場合、表面シート2の他端側の角部から捲くることで、表面シート2は基材シート1から剥離されることになる。このように表面シート2を基材シート1から剥離させるに際し、接着領域13,13…は、基材シート1の側端縁に沿って複数形成されている、即ち、基材シート1の側端部において複数の小さな領域からなる接着領域13,13…が一端乃至他端(図3において上下方向)に所定間隔を有して配置されているので、人手による力であれば表面シート2を容易に剥離させることができる。なお、基材シート1の一端部及び表面シート2の一端部は、接着領域13,13…とは異なり、帯状に接着されているので、当該部分での接着力は大きく、消費者が表面シート2を基材シート1から剥離させようとしても、接着状態が維持されることになる。従って、基材シート1と表面シート2とは分離することなく、前記情報が確認されることになる。
【0038】
以上のように、本実施形態に係るラベルRは、接着層20を介して基材シート1及び表面シート2の側端部の一部を直接接着される接着領域13,13…が形成されているので、容器等の被貼着物Pに対する貼着(被貼着物Pに対して貼着する際や、被貼着物Pに貼着した状態)で、表面シート2が基材シート1から剥離して情報の隠蔽性が解除されるのを防止することができる。
【0039】
また、接着領域13,13…を基材シート1の端縁に沿って複数形成し、剥離し易い領域と剥離しにくい領域とを交互に形成したので、基材シート1及び表面シート2の側端部における剥離防止を確実にした上で、消費者が意図的に表面シート2を基材シート1から剥離させる際に、大きな力を作用させることなく容易に表面シート2を基材シート1から剥離させて情報を認識することができる。
【0040】
さらに、本実施形態に係るラベルRは、基材シート1及び表面シート2の一端部における帯状の領域を接着層20を介して直接接着するようにしているので、消費者が前記情報を確認すべく、基材シート1から表面シート2を剥離させても、基材シート1と表面シート2とが分離することがなく、情報確認後における当該ラベルRの取り扱いや廃棄等の煩雑さを抑えることができる。
【0041】
尚、本発明のラベルは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0042】
上記実施形態において、基材シート1の印刷領域に剥離層12を形成し、表面シート2の印刷領域に接着層20を形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、基材シート1に接着層20を形成し、表面シート2の印刷領域に剥離層12を形成してもよい。この場合においても、剥離槽は、基材シート1及び表面シート2の側端部の一部が接着層20で直接接着される接着領域13,13…が形成されるように構成することは勿論のことである。
【0043】
また、上記実施形態において、容器Pの肩部Sから上方に向けて一端が突出した状態で貼着するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、図7に示す如く、当該ラベルRの全面を飲料やビール等の金属缶等の容器Pの胴部Bに貼着するようにしてもよい。この場合、マスキング印刷を施さずに、基材シート1の一方の面の全領域に貼付用接着層10を形成するようにすればよい。
【0044】
上記実施形態において、基材シート1の他端部のみを容器Pに貼着すべく、マスキング印刷を施して基材シート1の他端部のみの貼付用接着層10を露呈させるようにしたが、例えば、基材シート1の他端部のみに、貼付用接着層10を塗工するようにしても勿論よい。
【0045】
上記実施形態において、基材シート1と表面シート2とを別体で構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、図8に示す如く、基材シート1及び表面シート2を一枚のシートで構成し、該シートを折り返すことで、その折曲稜線を境にして、上記表面シート2に対応した領域と前記基材シート1に対応した領域を形成するようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施形態において、表面シート2が基材シート1から完全に分離しないように、基材シート1の一端部と表面シート2の一端部とを接着層20で接着する(一端同士を接続状態で維持できる)ようにしたが、これに限定されるものではなく、表面シート2を基材シート1から剥離させた状態で、これらが完全に分離するようにしてもよい。即ち、図9に示す如く、基材シート1及び表面シート2を別体で構成し、基材シート1の両側端部のみに、基材シート1及び表面シート2が接着層20を介して直接接着する接着領域13,13…を形成し(基材シート1の側端部に接着領域13,13を残して剥離層12を形成し)、剥離状態において基材シート1と表面シート2とが完全に分離するようにしてもよい。このようにしても基材シート1及び表面シート2の側端部が接着領域13で接着されているので、ラベルRの両側端間に曲げ作用が生じても、表面シート2の側端部が基材シート1から剥離してしまうことを防止することができる。
【0047】
上記実施形態において、接着領域13,13…を半円形状に形成したが、例えば、図10(イ)に示す如く、基材シート1の側端縁が弦となるように半楕円状に形成したり、図10(ロ)に示す如く、一辺が基材シート1の側端縁上に位置するように三角形状に形成したり、図10(ハ)に示す如く、一つの頂点が基材シート1の側端縁上に位置するように三角形状に形成するようしてもよい。また、このように基材シート1の側端を含むように接着領域13を複数形成する場合には、接着領域13,13…は、側端縁に沿って互いに隣接するように形成するようにしてもよい。
【0048】
また、接着領域13,13…は、必ずしも基材シート1(表面シート2)の側端縁を含んだ領域で形成する必要はなく、例えば、図10(ニ)に示す如く、基材シート1の側端から僅かに内側に入った領域(基材シート1の側端部の領域)内に、各種形状(例えば、点状、円形状、三角形状等の多角形状)の領域からなる複数の接着領域13,13…を、基材シート1の側端縁に沿うように形成するようにしてもよい。また、上記実施形態において、接着領域13を表面シート2の両側端部に対応するように形成したが、例えば、上記構成の接着領域13に加え、表面シート2の両側端間に剥離層12を介在させることなく基材シート1と表面シート2とを接着層20を介して部分的に接着させる接着領域14,14を補助的に形成するようにしてもよい。即ち、接着領域13,13は、少なくとも表面シート2の両側端部に対応するように形成すればよいが、表面シート2の両側端部以外の領域で基材シート1と部分的に接着させる補助接着領域14,14を必要に応じて設けるようにしてもよい(図10(ニ)参照)。
【0049】
また、上記実施形態において、多数の接着領域13,13…を基材シート1の側端に沿って形成したが、これに限定されるものではなく、接着領域13,13…は、例えば、図10(ホ)に示す如く、表面シート2の角部に対応する位置に形成するようにしてもよい。このようにしても、表面シート2の一側端部、或いは他側端部から中央に向けて基材シート1から剥離するのを接着領域13,13…の接着により防止することができる。即ち、剥離層12を介在させることなく基材シート1及び表面シート2の側端部の一部同士が接着領域13で直接接着されるので、ラベルRに生じる曲げ作用で表面シート2の側端部が基材シート1から剥離してしまうのを防止することができる。また、ラベラー5におけるラベルRを搬送する搬送系がローラで構成されている場合には、該ローラとの接触でラベルRが湾曲することになるが、基材シート1及び表面シート2の側端部の一部同士が剥離層12を介在させることなく接着層13を介して接着されているので、表面シート2の側端部が基材シート1から剥離してしまうのを防止することができる。また、図10(ヘ)に示す如く、基材シート1の側端部の略中央部等の一部に形成したりするようにしても、上記作用及び効果を奏することになるが、表面シート2の角部からの捲れを考慮すれば、図10(イ)〜図10(ホ)に示す如く、接着領域13を表面シート2の角部近傍に形成することが好ましい。
【0050】
また、上記実施形態において、ラベルRを貼着する対象(被貼着物)としてPETボトルを一例に挙げたが、これに限定されるものではなく、例えば、缶、箱、瓶等の容器Pであっても勿論よい。即ち、ラベルRは、ラベルRを貼着した状態で、該ラベルRの両側端間に曲げ作用が生じる被貼着物Pに貼着できることは勿論、ラベルRに曲げ作用が生じない形状の被貼着物Pにも貼着できることは勿論のことである。
【0051】
上記実施形態において、基材シート1及び表面シート2の両側端間の幅を一致させるようにしたが、これに限定されるものではなく、表面シート2の両側端間の幅を基材シート1よりも狭くしてもよい。また、基材シート1及び表面シート2を同サイズに構成しても勿論よい。但し、表面シート2を剥離させる操作性や、見栄えなどを考慮すれば、上記実施形態と同様に、基材シート1及び表面シート2の両側端間の幅を一致させることが好ましい。また、上記実施形態において、基材シート1及び表面シート2の両側端間の幅を一致させるようにしたため、基材シート1の側端を基準にして接着領域13の形成位置について説明したが、あくまでも、剥離層12を介在させることなく接着層20を介して表面シート2の側端部の一部を基材シート1に接着することが前提であり、上述の如く、表面シート2の両側端間の幅が、基材シート1の両側端間の幅よりも狭く設定されている場合には、前記接着領域13は、表面シート2の側端間の幅に対応して形成することは勿論である。
【0052】
また、貼付用接着層10として感熱性接着剤を用いてもよい。このようにすれば、商品Pに対する貼着前においても離型紙Aが不要となるが、離型紙Aを用いたときのように複数のラベルRを保持することができなくなるので、例えば、基材シート1に長尺なものを採用し、該基材シート1に対して複数の表面シート2を上記の態様で貼着して複数のラベルRが連なった原反シートを形成するようにし、基材シート1を適宜切断することで独立したラベルRにするようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係るラベルを容器に貼着した状態の斜視図を示す。
【図2】同実施形態に係るラベルの分解斜視図を示す。
【図3】同実施形態に係るラベルの平面図であって、表面シートの一部を剥離させた状態を示す。
【図4】同実施形態に係るラベルの適宜位置での断面図であって、(イ)は、図3におけるI−I線断面図を示し、(ロ)は、図3におけるII−II線断面図を示し、(ハ)は、図3におけるIII−III線断面図を示し、(ニ)は、IV−IV線断面図を示す。
【図5】同実施形態に係るラベルをラベラーを用いて容器に貼着する際の状態図を示す。
【図6】同実施形態に係るラベルを容器の胴部に貼着した状態図を示す。
【図7】容器の胴部に対して別の形態でラベルを貼着した状態の斜視図を示す。
【図8】他実施形態に係るラベルの平面図であって、表面シートの一部を剥離させた状態を示す。
【図9】別の実施形態に係るラベルの斜視図を示す。
【図10】さらに別の実施形態に係るラベルの平面図(表面シートの一部を剥離させた状態の平面図)であって、(イ)は、接着領域を半楕円状に形成したラベルを示し、(ロ)及び(ハ)は、接着領域を三角形状に形成したラベルを示し、(ニ)は、接着領域を基材シート(表面シート)の側端よりも内側に形成したラベルを示し、(ホ)は、接着領域を表面シートの四隅に形成したラベルを示し、(ヘ)は、接着領域を表面シートの側端の略中央に一つ形成したラベルを示す。
【図11】従来のラベルの斜視図を示す。
【図12】従来のラベルの問題点を説明するための説明図であって、(イ)は、従来のラベルを容器の胴部に貼着した状態を示し、(ロ)は、従来のラベルをラベラーで貼着する状態を示す。
【符号の説明】
【0054】
1…基材シート、2…表面シート、5…ラベラー、10…貼付用接着層、11…マスキング、12…剥離層、13…接着領域、20…接着層、50…剥離部、51…剥離体、52…エッジ部、100…基材シート、110…貼付用接着層、130…剥離層、200…表面シート、210…接着層、A…離型紙、B…胴部、P…容器(商品:被貼着物)、R…ラベル、S…肩部
【技術分野】
【0001】
本発明は、被貼着物に貼着するラベルに関し、特には、貼付用の接着層を介して被貼着物に接着される基材シートに対し、表面シートが剥離可能に積層され、該表面シートを基材シートから剥離できるように構成されたラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品や飲料等の被収容物を容器に収容した商品に対し、消費者の購買意欲を高めるべく、くじやキャンペーンの案内等を印刷したラベルが添付される場合がある。かかるラベルとして、図11に示す如く、一方の面に商品(被貼着物)に貼着するための貼付用接着層110が形成された基材シート100と、該基材シート100の他方の面側に積層された表面シート200とで構成されたものがある。
【0003】
該ラベルRは、前記基材シート100の他方の面及び表面シート200の一方の面、即ち、基材シート100及び表面シート200の互いに対向する対向面の少なくとも何れか一方の面に、前記くじの結果や、キャンペーンの応募要領等の情報が印刷されている。さらに、該ラベルRは、前記情報が印刷された表面シート200の一方の面の全面に接着層210が形成される一方、同じく情報が印刷された基材シート100の他方の面に前記接着層210に対して剥離性を有する剥離層120が形成されており、基材シート100から表面シート200を剥離できるようになっている。
【0004】
これにより、該ラベルRは、基材シート100に表面シート200が積層された状態において、前記情報を隠蔽することができる一方で、表面シート200を基材シート100から剥離することで、前記情報の内容を認識できるようになっている。
【0005】
前記被貼着物Pに貼着される前のラベルRは、図5に示す如く、長尺な離型紙Aに長手方向に間隔を有して複数貼着されており、これにより、ラベル自動貼付装置5(ラベラー)を用いることで、前記被貼着物P(例えば、飲料の入った容器(PETボトルやガラス瓶等)等)に貼着できるようになっている。
【0006】
ここでラベラー5について説明すると、ラベラー5は、前記離型紙Aを巻き取る巻取部(図示しない)と、該巻取部で順次巻き取られることで長手方向に移動する離型紙Aの移動方向を切り換え、離型紙AからラベルRを剥離させる剥離部50とを備えている。剥離部50は、例えば断面三角形状をなして離型紙Aを巻き掛けるエッジ部52を有する剥離体51を備えており、巻取部で離型紙Aを巻き取ることにより、離型紙Aの移動方向が切り替わる一方で、該離型紙Aに貼着されたラベルRは、自己の剛性によって移動方向を維持し、エッジ部52を起点にして移動方向が切り替わる離型紙Aから剥離されると共に、搬送されてくる被貼着物Pに向けて送り出されるように構成されている。これにより、前記ラベルRは、被貼着物Pの外面に前記貼付用接着層110が接触し、被貼着物Pに貼着されることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記構成のラベルRが貼着される被貼着物Pには、種々の形態のものがあり、例えば、図12(イ)に示す如く、缶やボトルのように胴部Bが曲面をなす被貼着物PにラベルRを貼着すると、該ラベルRは、胴部Bの曲面に沿って貼着されることになり、当該ラベルRに曲げ作用が生じてしまう。このため、表面シート200の何れか一方の側端部が基材シート100から浮き上がった態様となって剥離し易くなり、表面シート200と基材シート100との間に隠蔽された情報が露呈してしまうといった問題がある。即ち、上記構成のラベルRは、表面シート200を基材シート100から容易に剥離させることができるように剥離層120が設けられているため、被貼着物Pの外面の沿って貼着されたラベルRは、基材シート100が貼付用接着層110によって前記外周面に沿った態様になるのに対し、表面シート200は、自己の剛性(弾性)及び剥離層120の剥離性が起因して、側端側(胴部Bの周方向に位置する一端又は他端)が基材シート100から剥離してしまい(浮いてしまい)、前記情報を隠蔽した状態でラベルRを被貼着物Pに貼着することができない場合があった。
【0008】
また、上記構成のラベラー5でラベルRを貼着する場合、離型紙Aが剥離体51のエッジ部52を通過するに際し、該離型紙Aの移動に追従するようにラベルRに曲げ作用が生じてしまう。そのため、被貼着物Pの外面に貼着したときと同様に、図12(ロ)に示す如く、貼付用接着層110を介して離型紙Aに貼着された基材シート100は、下流側が移動方向の切り替わる離型紙Aに追従しようとする一方、表面シート200は、自己の剛性(弾性)及び剥離層120の剥離性が起因して、姿勢を維持しようとして基材シート100から剥離してしまうといった問題があった。
【0009】
即ち、上記構成のラベルRは、消費者における表面シート200の剥離性を考慮するあまり、被貼着物に対する貼着(貼着時或いは貼着状態)で、表面シート200が基材シート100から剥離してしまうといった問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、消費者における基材シートからの表面シートの剥離性を確保した上で、被貼着物に対する貼着で表面シートの側端部が基材シートから剥離してしまうのを防止することのできるラベルを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るラベルは、被貼着物に貼着すべく、一方の面に貼付用接着層が形成された基材シートと、該基材シートの他方の面側に積層された表面シートとで構成され、前記基材シート又は表面シートの互いに対向する何れか一方に接着層が形成されると共に、他方に前記接着層に対して剥離性を有する剥離層が形成されたラベルにおいて、前記剥離層は、該剥離層を介在させることなく表面シートと基材シートとが接着層を介して部分的に接着される接着領域を画定するように形成されており、該接着領域は、少なくとも表面シートの両側端部に対応して形成されていることを特徴とする。
【0012】
上記構成のラベルによれば、前記剥離層は、該剥離層を介在させることなく表面シートと基材シートとが接着層を介して部分的に接着される接着領域を画定するように形成されており、該接着領域は、少なくとも表面シートの両側端部に対応して形成されているので、表面シートの側端部の一部が剥離層を介さずに基材シートに接着されることになる。従って、被貼着物に対する貼着で、基材シートが撓んだり、変形したりしようとしても、該接着領域での基材シートと表面シートとの接着により、表面シートの側端部が基材シートから剥離してしまうのを防止することができる。つまり、表面シートは自己の弾性の作用で、表面シートの側端から内側に向けて剥離しようとするが、表面シートの剥離性を向上させる剥離層を介在させずに表面シートと基材シートとが接着層を介して部分的に接着される接着領域(剥離層の存在しない領域)が、表面シートの両側端部に対応して形成されることで、その部分での接着力が高まり、表面シートの側端部の浮き上がり(剥離)が防止されることになる。
【0013】
本発明の一態様として、前記接着領域が表面シートの両側端に沿って複数形成されてなることが好ましい。このようにすれば、表面シートの側端部の多くの部分が剥離層を介することなく、基材シートに接着されることになり、被貼着物に対する貼着によって表面シートの側端部が基材シートから浮き上がるのを確実に防止することができる。また、複数の接着領域が表面シートの側端に沿って複数形成されれば、各接着領域間に剥離層を介して接着層が接着する領域、即ち、表面シートを基材シートから剥離させ易い領域が形成されることになり、消費者は表面シートを容易に捲る(基材シートから剥離させる)ことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るラベルによれば、消費者における基材シートからの表面シートの剥離性を確保した上で、被貼着物に対する貼着で表面シートの側端部が基材シートから剥離してしまうのを防止することができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係るラベルについて、添付図面を参照しつつ説明する。
【0016】
本実施形態に係るラベルは、くじの結果や、応募番号、キャンペーンの応募要領等の情報を備えており、容器等の被貼着物に付帯されるものである。より具体的には、本実施形態に係るラベルは、図1に示す如く、飲料等が収容された被貼着物である容器P(本実施形態においてはPETボトル)の肩部Sから一端側(上端側)が上方に向けて突出した態様となるように、他端部(下端部)が容器Pの肩部S近傍の胴部Bに貼着される、いわゆるPOPラベルとして採用されるものである。
【0017】
該ラベルRは、図2及び図3に示す如く、容器Pに貼着される基材シート1と、該基材シート1に積層された表面シート2とで構成されている。
【0018】
前記基材シート1は、例えば、紙(合成紙:ポリエステル合成紙、ポリオレフィン合成紙等)や、ポリエステル系フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、オレフィン系フィルム(例えば、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン重合体等のポリプロピレン系樹脂のフィルム)、ポリスチレン系フィルム等のプラスチックフィルム、或いは、これらの積層体によって構成される。
【0019】
本実施形態に係るラベルRは、上述の如くPOPラベルとして使用されるため、前記基材シート1は、自己支持性を得ることのできる厚みに設定され、例えば、5μm〜200μm、好ましくは20μm〜100μm程度に設定される。
【0020】
該基材シート1は、一方の面に容器Pに貼着するための接着層10(貼付用接着層)が形成されている。当該ラベルRは、上述の如く下端部が容器Pの胴部Bに貼着されるので、該基材シート1は、ラベルRの下端部になる他端部のみに貼付用接着層10が形成されている。該貼付用接着層10には、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の慣用の感圧接着剤を採用することができる。この貼付用接着層10は、採用される接着剤の接着性を考慮して厚みを適宜設定できるが、一般的には5μm〜100μm、好ましくは10μm〜30μm程度に設定される。
【0021】
より具体的に説明すると、基材シート1は、一方の面の全領域に接着剤を印刷した後、基材シート1の他端部を除いた領域に非接着性を付与するマスキング11が施されており、基材シート1の他端部のみに貼付用接着層10が露呈するようになっている。該マスキング11は、マスキング剤を用いて通常の印刷方法(例えば、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷等)により形成でき、マスキング剤としては、慣用のUVインキ(紫外線硬化型インキ)等を採用することができる。該UVインキは、通常オリゴマー成分、モノマー成分、光重合開始剤、及び必要に応じて、添加剤(例えば、光重合促進剤、安定剤、ワックス、ミスト防止剤、色料、滑剤、乾燥剤、湿潤剤、粘性改良剤等)等により構成される。該マスキング11の厚みは、当該ラベルRを容器Pに貼着するに際の操作性、貼着安定性等を損なわない範囲で適宜設定できるが、通常1μm〜30μm程度、好ましくは2μm〜15μm程度に設定される。
【0022】
前記基材シート1は、他方の面に前記情報が印刷されており、該情報の印刷された領域(印刷領域)に、表面シート2の後述する接着層20に対して剥離性を有する剥離層12が形成されている。即ち、基材シート1は、隠蔽を要する情報を含んだ領域に剥離層12が形成されており、基材シート1に積層されて前記情報を隠蔽していた表面シート2を剥離できるように構成されている。なお、図において印刷によって形成された印刷層については図示を省略している。本実施形態に係る剥離層12には、シリコン系剥離剤等の公知乃至慣用の剥離剤を含むワニス等が採用されており、印刷面上にワニス等を慣用のコーティング法を用いて塗工することにより形成されている。該剥離層12は、印刷された情報を視認可能なように透明性を有しており、厚みが、例えば、0.3μm〜10μm、好ましくは0.5μm〜5μm程度に設定される。
【0023】
この剥離層12が形成される領域についてより具体的に説明すると、該剥離層12は、該剥離層12を介在させることなく基材シート1と表面シート2とが接着層20を介して部分的に接着される領域13,13(以下、接着領域という)を画定するように形成されており、接着領域13,13…は、基材シート1(前記印刷領域)の両側端部に形成されている。つまり、表面シート2の両側端部に対応する基材シート1の両側端部には、剥離層12の形成されていない接着領域13,13…が部分的に形成されている。本実施形態に係る接着領域13,13…は、基材シート1の側端縁に沿って複数形成されている。各接着領域13,13…は、基材シート1の側端縁を弦として半円状に形成されている。これにより、基材シート1の側端部に、剥離層12の存在する領域と、剥離層12の存在しない領域(接着領域13,13…)とが交互に形成されることになる。
【0024】
また、本実施形態に係るラベルRは、表面シート2を基材シート1から剥離させた状態で、前記情報を認識することができると共に、該情報を認識するにあたり、表面シート2が基材シート1から分離することのないように、基材シート1の一端部(帯状の領域)を除いて剥離層12が形成されている。即ち、該ラベルRは、基材シート1及び表面シート2の一端部においても、剥離層12を介することなく接着層20によって接着されるようになっている。なお、表面シート2を剥離させる際に、表面シート2を把持する把持部分を容易に形成できるように、前記接着領域13は、表面シート2の角部(本実施形態においては、上述の如く表面シート2と基材シートとの一端部同士が接着層20を介して接着しているので他端側の角部)に存在しないように形成することが好ましい。
【0025】
前記表面シート2は、基材シート1と同様に、例えば、紙(合成紙:ポリエステル合成紙、ポリオレフィン合成紙等)や、ポリエステル系フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、オレフィン系フィルム(例えば、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン重合体等のポリプロピレン系樹脂のフィルム)、ポリスチレン系フィルム等のプラスチックフィルム、或いは、これらの積層体によって構成される。
【0026】
前記表面シート2についても、自己支持性を得ることのできる厚みに設定され、例えば、5μm〜200μm、好ましくは20μm〜100μm程度に設定される。
【0027】
前記表面シート2は、平面視略矩形状に形成されており、両側端間の幅が基材シート1の側端間の幅と略一致し、両端間(図3において上下端間)の長さが基材シート1の両端間の長さよりも短く設定され、基材シート1よりも小さく形成されている。該表面シート2は、一端部を除いた領域内に前記情報が印刷されており、該印刷面の全面に接着層20が形成されている。本実施形態に係る接着層20には、前記貼付用接着層10と同様に、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の慣用の感圧接着剤を採用することができるが、本実施形態においては、常態において粘着性及び透明性を有するホットメルト接着剤が採用されている。該接着層20は、前記ホットメルト接着剤を加熱溶融状態にて表面シート2に塗工されることにより形成されており、印刷された情報を視認可能な厚みに設定されており、例えば、5μm〜100μm、好ましくは10μm〜30μm程度に設定される。
【0028】
該表面シート2は、一端及び両側端を基材シート1の一端及び両側端に沿わせた状態で、基材シート1に積層され、この状態で、図4(イ)〜(ロ)に示す如く、接着層20が前記剥離層12及び剥離層12の形成されていない一端部、並びに接着領域13,13…に接着することになる。そうすると、前記基材シート1の一端部、及び接着領域13,13…には剥離層12が形成されていないので、接着層20を介して比較的強固に基材シート1と表面シート2とが接着されることになり、剥離層12の形成された領域においては、比較的容易に剥離できる程度に基材シート1と表面シート2とが接着されることになる。即ち、基材シート1及び表面シート2の両側端部は、図4(ハ)に示す如く、各側端に沿って剥離し易い領域と、剥離し難い領域とが交互に形成されることになる。
【0029】
また、基材シート1の一端部及び表面シート2の一端部についても、接着層20によって直接接着されるが、当該部分は帯状に接着されている(広い接着面積で接着されている)ので、強固に接着されており、印刷領域の表面シート2を基材シート1から剥離させる力では剥離しないようになっている。
【0030】
本実施形態に係るラベルRは、以上の構成からなり、以下に、容器Pに対するラベルRの貼着方法、及び該ラベルRの使用態様について説明する。
【0031】
上記構成のラベルRは、容器Pに貼着される前は、図5に示す如く、長尺な離型紙Aに対して長手方向に所定の間隔を有して複数枚貼着されており、ラベル自動貼付装置5(ラベラー)を用いて容器Pに貼着できるようになっている。即ち、該ラベルRは、以下に説明するラベラー5で容器Pに貼着されるため、それぞれの側端が離型紙Aの長手方向と直交するように、長手方向に間隔を有して複数貼着されている。
【0032】
該ラベラー5は、前記離型紙Aを巻き取る巻取部(図示しない)と、該巻取部で順次巻き取られることで長手方向に移動する離型紙Aの移動方向を切り換え、離型紙AからラベルRを剥離させる剥離部50と、剥離部50で離型紙Aから剥離されたラベルRの貼付用粘着層に向けて容器Pを搬送する搬送系(図示しない)とを備えている。
【0033】
剥離部50は、断面三角形状をなし剥離体51を備えており、前記離型紙Aを該剥離体51のエッジ部52に巻き掛けるように構成されている。従って、即ち、剥離部50は、所定角度をなす二面に沿って剥離部50を巻き掛けるようになっており、該離型紙Aの先端側を巻取部で巻き取ることにより、離型紙Aが剥離体51の二面に沿って、エッジ部52を境にして上流側で移動する離型紙Aに対して下流側の離型紙Aが鋭角をなした態様(上流側と下流側とで移動方向が切り替わった態様)で移動するようになっている。これにより、該離型紙Aに貼着されたラベルRは、離型紙Aが剥離体51のエッジ部52を通過するに際し、離型紙Aの移動方向が切り替わるのに対し、ラベルRは自己の剛性によってエッジ部52よりも上流側の離型紙Aに沿った態様で下流側(別途搬送されてくる容器Pに向けて)に移動し、離型紙Aから剥離されることになる。
【0034】
前記搬送系は、例えば、ターンテーブルやコンベア等によって構成されており、容器Pの肩部S近傍における胴部Bが剥離体51のエッジ部52から突出したラベルRの先端部(容器Pに対して貼着された状態での一側端部)を掠めるように、該容器Pを搬送するようになっている。即ち、該搬送系は、離型紙Aから剥離したラベルRの先端部における貼付用接着層10に対して容器Pの胴部Bが接触するように該容器Pを搬送し、胴部Bに接触したラベルRをスクレーパー(ゴムベラ等:図示しない)で押さえることで、ラベルRを胴部Bの外周面に沿った態様で貼着できるよう容器Pを搬送するようになっている。
【0035】
ラベラー5は以上の構成を備えており、該ラベラー5で上記構成のラベルRを容器Pに貼着する際には、剥離体51のエッジ部52を離型紙Aが通過する初期の段階において貼付用接着層10の接着力が作用している基材シート1の先端部(貼着状態における一側端部)が離型紙Aの移動に追従しようとする一方で、表面シート2は自己の剛性で姿勢を維持しようとするが、上述の如く、当該ラベルRは、両側端部に形成された接着領域13,13…の接着力で、基材シート1及び表面シート2の一側端部同士の接着状態が維持され、基材シート1の離型紙Aに対する追従が阻止されることになり、表面シート2の側端部が基材シート1から剥離してしまうことが防止される。
【0036】
そして、ラベルRは、上述の如く、容器Pの肩部Sから上端(一端)側が突出するように、他端部に形成された貼付用接着層10を介して容器Pの胴部Bに貼着された態様となる(図1参照)。そうすると、図6に示す如く、ラベルRは胴部Bの外周面に沿って貼着されることになり、当該ラベルR(基材シート1及び表面シート2)は、両側端間が湾曲した状態となる。そうすると、従来のラベルRでは、表面シート2の自己の弾性が作用すると共に、接着層に対する剥離層の剥離性が起因して、基材シートから表面シートの一側端側が剥離するといった問題があったが、本実施形態に係るラベルRは、剥離層12の存在しない接着領域13,13…、即ち、接着層20を介して基材シート1と表面シート2とが直接接着する接着領域13,13…が両側端部の一部に形成されているので、上述の如く、容器Pの形状に沿った態様になって表面シート2に自己の弾性が作用したとしても(両側端間に曲げ作用が生じたとしても)、接着領域13,13…での接着力により、表面シート2の側端部が基材シート1から剥離してしまうことが防止される。従って、基材シート1及び表面シート2の印刷された前記情報が隠蔽状態で保たれることになる。
【0037】
そして、消費者が容器Pを購入してラベルRの情報を確認する場合、表面シート2の他端側の角部から捲くることで、表面シート2は基材シート1から剥離されることになる。このように表面シート2を基材シート1から剥離させるに際し、接着領域13,13…は、基材シート1の側端縁に沿って複数形成されている、即ち、基材シート1の側端部において複数の小さな領域からなる接着領域13,13…が一端乃至他端(図3において上下方向)に所定間隔を有して配置されているので、人手による力であれば表面シート2を容易に剥離させることができる。なお、基材シート1の一端部及び表面シート2の一端部は、接着領域13,13…とは異なり、帯状に接着されているので、当該部分での接着力は大きく、消費者が表面シート2を基材シート1から剥離させようとしても、接着状態が維持されることになる。従って、基材シート1と表面シート2とは分離することなく、前記情報が確認されることになる。
【0038】
以上のように、本実施形態に係るラベルRは、接着層20を介して基材シート1及び表面シート2の側端部の一部を直接接着される接着領域13,13…が形成されているので、容器等の被貼着物Pに対する貼着(被貼着物Pに対して貼着する際や、被貼着物Pに貼着した状態)で、表面シート2が基材シート1から剥離して情報の隠蔽性が解除されるのを防止することができる。
【0039】
また、接着領域13,13…を基材シート1の端縁に沿って複数形成し、剥離し易い領域と剥離しにくい領域とを交互に形成したので、基材シート1及び表面シート2の側端部における剥離防止を確実にした上で、消費者が意図的に表面シート2を基材シート1から剥離させる際に、大きな力を作用させることなく容易に表面シート2を基材シート1から剥離させて情報を認識することができる。
【0040】
さらに、本実施形態に係るラベルRは、基材シート1及び表面シート2の一端部における帯状の領域を接着層20を介して直接接着するようにしているので、消費者が前記情報を確認すべく、基材シート1から表面シート2を剥離させても、基材シート1と表面シート2とが分離することがなく、情報確認後における当該ラベルRの取り扱いや廃棄等の煩雑さを抑えることができる。
【0041】
尚、本発明のラベルは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0042】
上記実施形態において、基材シート1の印刷領域に剥離層12を形成し、表面シート2の印刷領域に接着層20を形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、基材シート1に接着層20を形成し、表面シート2の印刷領域に剥離層12を形成してもよい。この場合においても、剥離槽は、基材シート1及び表面シート2の側端部の一部が接着層20で直接接着される接着領域13,13…が形成されるように構成することは勿論のことである。
【0043】
また、上記実施形態において、容器Pの肩部Sから上方に向けて一端が突出した状態で貼着するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、図7に示す如く、当該ラベルRの全面を飲料やビール等の金属缶等の容器Pの胴部Bに貼着するようにしてもよい。この場合、マスキング印刷を施さずに、基材シート1の一方の面の全領域に貼付用接着層10を形成するようにすればよい。
【0044】
上記実施形態において、基材シート1の他端部のみを容器Pに貼着すべく、マスキング印刷を施して基材シート1の他端部のみの貼付用接着層10を露呈させるようにしたが、例えば、基材シート1の他端部のみに、貼付用接着層10を塗工するようにしても勿論よい。
【0045】
上記実施形態において、基材シート1と表面シート2とを別体で構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、図8に示す如く、基材シート1及び表面シート2を一枚のシートで構成し、該シートを折り返すことで、その折曲稜線を境にして、上記表面シート2に対応した領域と前記基材シート1に対応した領域を形成するようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施形態において、表面シート2が基材シート1から完全に分離しないように、基材シート1の一端部と表面シート2の一端部とを接着層20で接着する(一端同士を接続状態で維持できる)ようにしたが、これに限定されるものではなく、表面シート2を基材シート1から剥離させた状態で、これらが完全に分離するようにしてもよい。即ち、図9に示す如く、基材シート1及び表面シート2を別体で構成し、基材シート1の両側端部のみに、基材シート1及び表面シート2が接着層20を介して直接接着する接着領域13,13…を形成し(基材シート1の側端部に接着領域13,13を残して剥離層12を形成し)、剥離状態において基材シート1と表面シート2とが完全に分離するようにしてもよい。このようにしても基材シート1及び表面シート2の側端部が接着領域13で接着されているので、ラベルRの両側端間に曲げ作用が生じても、表面シート2の側端部が基材シート1から剥離してしまうことを防止することができる。
【0047】
上記実施形態において、接着領域13,13…を半円形状に形成したが、例えば、図10(イ)に示す如く、基材シート1の側端縁が弦となるように半楕円状に形成したり、図10(ロ)に示す如く、一辺が基材シート1の側端縁上に位置するように三角形状に形成したり、図10(ハ)に示す如く、一つの頂点が基材シート1の側端縁上に位置するように三角形状に形成するようしてもよい。また、このように基材シート1の側端を含むように接着領域13を複数形成する場合には、接着領域13,13…は、側端縁に沿って互いに隣接するように形成するようにしてもよい。
【0048】
また、接着領域13,13…は、必ずしも基材シート1(表面シート2)の側端縁を含んだ領域で形成する必要はなく、例えば、図10(ニ)に示す如く、基材シート1の側端から僅かに内側に入った領域(基材シート1の側端部の領域)内に、各種形状(例えば、点状、円形状、三角形状等の多角形状)の領域からなる複数の接着領域13,13…を、基材シート1の側端縁に沿うように形成するようにしてもよい。また、上記実施形態において、接着領域13を表面シート2の両側端部に対応するように形成したが、例えば、上記構成の接着領域13に加え、表面シート2の両側端間に剥離層12を介在させることなく基材シート1と表面シート2とを接着層20を介して部分的に接着させる接着領域14,14を補助的に形成するようにしてもよい。即ち、接着領域13,13は、少なくとも表面シート2の両側端部に対応するように形成すればよいが、表面シート2の両側端部以外の領域で基材シート1と部分的に接着させる補助接着領域14,14を必要に応じて設けるようにしてもよい(図10(ニ)参照)。
【0049】
また、上記実施形態において、多数の接着領域13,13…を基材シート1の側端に沿って形成したが、これに限定されるものではなく、接着領域13,13…は、例えば、図10(ホ)に示す如く、表面シート2の角部に対応する位置に形成するようにしてもよい。このようにしても、表面シート2の一側端部、或いは他側端部から中央に向けて基材シート1から剥離するのを接着領域13,13…の接着により防止することができる。即ち、剥離層12を介在させることなく基材シート1及び表面シート2の側端部の一部同士が接着領域13で直接接着されるので、ラベルRに生じる曲げ作用で表面シート2の側端部が基材シート1から剥離してしまうのを防止することができる。また、ラベラー5におけるラベルRを搬送する搬送系がローラで構成されている場合には、該ローラとの接触でラベルRが湾曲することになるが、基材シート1及び表面シート2の側端部の一部同士が剥離層12を介在させることなく接着層13を介して接着されているので、表面シート2の側端部が基材シート1から剥離してしまうのを防止することができる。また、図10(ヘ)に示す如く、基材シート1の側端部の略中央部等の一部に形成したりするようにしても、上記作用及び効果を奏することになるが、表面シート2の角部からの捲れを考慮すれば、図10(イ)〜図10(ホ)に示す如く、接着領域13を表面シート2の角部近傍に形成することが好ましい。
【0050】
また、上記実施形態において、ラベルRを貼着する対象(被貼着物)としてPETボトルを一例に挙げたが、これに限定されるものではなく、例えば、缶、箱、瓶等の容器Pであっても勿論よい。即ち、ラベルRは、ラベルRを貼着した状態で、該ラベルRの両側端間に曲げ作用が生じる被貼着物Pに貼着できることは勿論、ラベルRに曲げ作用が生じない形状の被貼着物Pにも貼着できることは勿論のことである。
【0051】
上記実施形態において、基材シート1及び表面シート2の両側端間の幅を一致させるようにしたが、これに限定されるものではなく、表面シート2の両側端間の幅を基材シート1よりも狭くしてもよい。また、基材シート1及び表面シート2を同サイズに構成しても勿論よい。但し、表面シート2を剥離させる操作性や、見栄えなどを考慮すれば、上記実施形態と同様に、基材シート1及び表面シート2の両側端間の幅を一致させることが好ましい。また、上記実施形態において、基材シート1及び表面シート2の両側端間の幅を一致させるようにしたため、基材シート1の側端を基準にして接着領域13の形成位置について説明したが、あくまでも、剥離層12を介在させることなく接着層20を介して表面シート2の側端部の一部を基材シート1に接着することが前提であり、上述の如く、表面シート2の両側端間の幅が、基材シート1の両側端間の幅よりも狭く設定されている場合には、前記接着領域13は、表面シート2の側端間の幅に対応して形成することは勿論である。
【0052】
また、貼付用接着層10として感熱性接着剤を用いてもよい。このようにすれば、商品Pに対する貼着前においても離型紙Aが不要となるが、離型紙Aを用いたときのように複数のラベルRを保持することができなくなるので、例えば、基材シート1に長尺なものを採用し、該基材シート1に対して複数の表面シート2を上記の態様で貼着して複数のラベルRが連なった原反シートを形成するようにし、基材シート1を適宜切断することで独立したラベルRにするようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係るラベルを容器に貼着した状態の斜視図を示す。
【図2】同実施形態に係るラベルの分解斜視図を示す。
【図3】同実施形態に係るラベルの平面図であって、表面シートの一部を剥離させた状態を示す。
【図4】同実施形態に係るラベルの適宜位置での断面図であって、(イ)は、図3におけるI−I線断面図を示し、(ロ)は、図3におけるII−II線断面図を示し、(ハ)は、図3におけるIII−III線断面図を示し、(ニ)は、IV−IV線断面図を示す。
【図5】同実施形態に係るラベルをラベラーを用いて容器に貼着する際の状態図を示す。
【図6】同実施形態に係るラベルを容器の胴部に貼着した状態図を示す。
【図7】容器の胴部に対して別の形態でラベルを貼着した状態の斜視図を示す。
【図8】他実施形態に係るラベルの平面図であって、表面シートの一部を剥離させた状態を示す。
【図9】別の実施形態に係るラベルの斜視図を示す。
【図10】さらに別の実施形態に係るラベルの平面図(表面シートの一部を剥離させた状態の平面図)であって、(イ)は、接着領域を半楕円状に形成したラベルを示し、(ロ)及び(ハ)は、接着領域を三角形状に形成したラベルを示し、(ニ)は、接着領域を基材シート(表面シート)の側端よりも内側に形成したラベルを示し、(ホ)は、接着領域を表面シートの四隅に形成したラベルを示し、(ヘ)は、接着領域を表面シートの側端の略中央に一つ形成したラベルを示す。
【図11】従来のラベルの斜視図を示す。
【図12】従来のラベルの問題点を説明するための説明図であって、(イ)は、従来のラベルを容器の胴部に貼着した状態を示し、(ロ)は、従来のラベルをラベラーで貼着する状態を示す。
【符号の説明】
【0054】
1…基材シート、2…表面シート、5…ラベラー、10…貼付用接着層、11…マスキング、12…剥離層、13…接着領域、20…接着層、50…剥離部、51…剥離体、52…エッジ部、100…基材シート、110…貼付用接着層、130…剥離層、200…表面シート、210…接着層、A…離型紙、B…胴部、P…容器(商品:被貼着物)、R…ラベル、S…肩部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被貼着物に貼着すべく、一方の面に貼付用接着層が形成された基材シートと、該基材シートの他方の面側に積層された表面シートとで構成され、前記基材シート又は表面シートの互いに対向する何れか一方に接着層が形成されると共に、他方に前記接着層に対して剥離性を有する剥離層が形成されたラベルにおいて、前記剥離層は、該剥離層を介在させることなく表面シートと基材シートとが接着層を介して部分的に接着される接着領域を画定するように形成されており、該接着領域は、少なくとも表面シートの両側端部に対応して形成されていることを特徴とするラベル。
【請求項2】
前記接着領域が表面シートの両側端に沿って複数形成されてなる請求項1記載のラベル。
【請求項1】
被貼着物に貼着すべく、一方の面に貼付用接着層が形成された基材シートと、該基材シートの他方の面側に積層された表面シートとで構成され、前記基材シート又は表面シートの互いに対向する何れか一方に接着層が形成されると共に、他方に前記接着層に対して剥離性を有する剥離層が形成されたラベルにおいて、前記剥離層は、該剥離層を介在させることなく表面シートと基材シートとが接着層を介して部分的に接着される接着領域を画定するように形成されており、該接着領域は、少なくとも表面シートの両側端部に対応して形成されていることを特徴とするラベル。
【請求項2】
前記接着領域が表面シートの両側端に沿って複数形成されてなる請求項1記載のラベル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−3634(P2006−3634A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179926(P2004−179926)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
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