説明

ラマン増幅を用いた光増幅器およびラマン励起光源

【課題】ラマン増幅器の広帯域化及び、出力と利得の波長特性を平坦にするために、励起光源を複数化し、励起光により利得が生じた結果をモニタする際に、励起光源を3個以上にした場合の制御。
【解決手段】励起光発生手段をブロック化し、信号光の入出力モニターの波長帯域を励起光発生手段のブロック化数以上及び信号チャンネル数以下に分けてモニターし、その結果にもとづき、制御アルゴリズムを用いて、各波長帯域の励起光の出力パワーを調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種光通信システムで信号光の増幅に使うことが出来るラマン増幅器であり、特に波長分割多重光の増幅に適するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の光通信システムで使用される光増幅器のほとんどは、
希土類添加光ファイバ増幅器である。特にErを添加した光ファイバ増幅器(EDFAと略する)が広く用いられている。EDFAの広い利得帯域を活用した波長多重(WDM)光伝送方式は、複数の波長の光信号を1本の光ファイバで伝送することにより、通信容量を増大させることが可能な伝送方式である。
このWDM光伝送方式は既存の光ファイバを利用できるため導入コストが低く、また、光増幅器等を用いることで伝送路はビットレートフリーとなり、将来のアップブレードが容易であるなどの利点を有する。
光ファイバ伝送路の損失の小さい帯域(約0.3dB/km以下)は、1450nmから1650nmであるが、EDFAの実用的な増幅帯域は1530nmから1610nmである。EDFAはこのうちの一部への適用に過ぎない。その中で、一本の光ファイバで伝送可能容量を増やす技術の研究・開発が精力的に進められている。
一方、WDM光通信システムにおいて、所定の伝送特性を得るには、各チャンネル間の光パワーのバラツキを各光中継段において、1dB以下に抑える必要がある。
これは、光パワーの上限が非線型効果により制限され、下限が受信SNRにより制限されるためである。
ここで、WDM光通信システムを構成する伝送路や分散補償ファイバ等の損失波長特性を小さくする必要がある。実際のWDM光通信システムでは、次に挙げる事柄などにより各チャンネル間の光伝送パワーに波長特性が生じる。
(1)レイリー散乱による伝送路の損失波長特性
(2)分散補償器の波長特性
(3)誘導ラマン散乱による伝送路の損失波長特性
(4)光増幅器の利得の波長特性
(5)伝送路、分散補償器および光増幅器の温度特性
具体的には、例えば信号の波長帯域を1530〜1610nmとした場合に長さ100kmの1.3μmゼロ分散シングルモードファイバを光伝送路に用いたときに上記(1)及び(3)に起因して発生する光伝送パワーの偏差は7dBとなる。
また、上記(2)に起因する偏差は一般的な分散補償ファイバを分散補償器として用いたとき約0.5dBとなり、上記(4)に起因する偏差は、一般的なEDFAを用いたときに1dBとなる。更に上記(5)に起因する偏差は、該各光デバイスを用いたとき約0.3dBと見積もることができる。
以上みてきたように、信号の波長特性に尤も大きく影響するのは、誘導ラマン散乱による伝送路の損失の波長特性であることが分かる。
現在の波長多重伝送システムのキーコンポーネントは多波長の信号を一括増幅できるEDFAであり、このEDFAは低雑音、所定の出力を送出すること、所定の利得を補償すること、チャンネル間の出力バラツキを小さくできる特性を有していた。
今後更に、伝送容量の増大、超長距離伝送を可能にするには、EDFAのこれらの特性を有しつつ帯域の異なる光増幅器が求められている。伝送容量増大のための帯域拡大として、ラマン増幅器が注目を集めている。ラマン増幅器は、励起光周波数より増幅媒体のラマンシフト量だけストークスシフトした周波数で増幅することができ、任意の波長の励起光源さえ用意できれば、任意の波長で増幅することが可能となる。
例えば、J.Kani等はElectronics Letter、 vol. 34 pp.1745で励起波長1420nmを用いてEDFA適用帯域外の1505〜1522nmの利得を報告している。
また、M.Takeda等のOSA TOPS vol.30 pp.101−105 (1999)での報告や特開2000−98433では、ラマン増幅器をEDFAの出力偏差の補正として用いている他、ラマン増幅器は、誘導ラマン散乱による伝送路の損失波長特性補正として、伝送路に励起光を導入し、伝送路をラマン増幅媒体とした出力劣化補正に用いることができる等の理由からラマン増幅器に注目が集まっている。
ラマン増幅器として主に以下の3つの応用が考えられ、(a)EDFAの適用波長帯域外での使用、(b)EDFAの出力偏差補正と光SNR改善、(c)伝送路の誘導ラマン散乱補償である。波長多重伝送方式において、これらの全ての応用で最初に求められる特性は広帯域と平坦な波長特性である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−098433号公報
【特許文献2】特開平09−211507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラマン増幅器の広帯域のために、特開2000−98433にあるように波長の異なる複数の励起光を利用することが考えられている。特開2000−98433やM.Takeda et al.、 OSA TOPS vol.30、 pp.101−105 (1999)には、ラマン増幅出力をモニタまたは、ラマン増幅器の後にインラインアンプを挿入後の出力をモニタし、利得偏差若しくは出力偏差が小さくなるようにラマン増幅器の帯域確保のために用いた複数の励起LDの出力を制御するとある。
しかしながら、特開2000−98433の実施例では2つのグループに分けた励起光源に対する制御の場合について示しているだけであり、また同様にM.Takeda等も励起光源を2つにした場合について示している。励起光源が3つ以上になった場合は、出力パワー一定制御若しくは利得一定制御、波長特性平坦化制御のアルゴリズムが非常に煩雑となる。
つまり、広帯域化、波長特性平坦化のために励起波長数若しくは励起光源数が増えるに従い、複雑な制御アルゴリズムを必要とするが適当なアルゴリズムがなく、多波長励起光源を用いたラマン増幅器の光システムへの実用レベルでの適用を阻む要因となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はラマン増幅を行なう場合に、複数励起光波長若しくは励起光源を用いて広帯域化を行い、尚且つ、波長特性を平坦化または特定の傾斜を持つ特性をとるように、出力パワー一定制御、利得一定制御、波長特性平坦化制御を簡便に行なう制御アルゴリズムを提供するものである。
第一の手段は、複数のチャンネルのいずれかに配置された複数の信号光が波長多重された波長多重光を入力しラマン増幅を行う光増幅媒体と、波長の異なる複数の励起光をそれぞれ出力する複数の励起光源と、該複数の励起光を該光増幅媒体に出力する励起光供給手段と、該増幅媒体から出力された該波長多重光の、複数の波長帯域ごとのパワーをモニタする出力モニタ手段と、該出力モニタ手段のモニタ結果と、該複数の励起光の各々の励起により該光増幅媒体で生じる利得の波長特性を基に、該複数の励起光源をそれぞれ制御する励起光制御手段とを備えた光増幅器であって、該複数の波長帯域は、少なくとも1つの該チャンネルをそれぞれ含み、該複数の励起光のいずれかにより該光増幅媒体においてラマン増幅される波長帯域であることを特徴とする。
第二の手段は、複数のチャンネルのいずれかに配置された複数の信号光が波長多重された波長多重光を入力し、ラマン増幅を行う光増幅媒体と、波長の異なる複数の励起光をそれぞれ出力する複数の励起光源と、該複数の励起光を該光増幅媒体に出力する励起光供給手段と、該光増幅媒体に入力される該波長多重光の、複数の波長帯域ごとのパワーをモニタする入力モニタ手段と、該光増幅媒体より出力された該波長多重光の、該複数の波長帯域ごとのパワーをモニタする出力モニタ手段と、
該入力モニタ手段及び該出力モニタ手段のモニタ結果と、該複数の励起光の各々の励起により該光増幅媒体で生じる利得の波長特性に基づき該複数の励起光源を制御する励起光制御手段とを備えた光増幅器であって、該複数の波長帯域は、少なくとも1つの該チャンネルをそれぞれ含み、該複数の励起光のいずれかにより該光増幅媒体においてラマン増幅される波長帯域であることを特徴とする。
第三の手段は、複数のチャンネルのいずれかに配置された複数の信号光が波長多重された波長多重光を入力しラマン増幅を行う光増幅媒体と、波長の異なる複数の励起光をそれぞれ出力する複数の励起光源と、該複数の励起光を該光増幅媒体に出力する励起光供給手段と、該増幅媒体から出力された該波長多重光を、第一の波長帯域と第二の波長帯域に分離する帯域分離手段と、該分離された第一の波長帯域の光を増幅する第一の希土類元素ドープファイバと、該分離された第二の波長帯域の光を増幅する第二の希土類元素ドープファイバと、該第一の希土類元素ドープファイバの出力光をモニタする第一モニタ手段と、該第二の希土類元素ドープファイバの出力光をモニタする第二モニタ手段と、該第一モニタ手段および第二モニタ手段のモニタ結果と、該複数の励起光の各々の励起により該光増幅媒体で生じる利得の波長特性を基に、該複数の励起光源をそれぞれ制御する励起光制御手段とを備えた光増幅器であって、該複数の波長帯域は、少なくとも1つの該チャンネルをそれぞれ含み、該複数の励起光のいずれかにより該光増幅媒体においてラマン増幅される波長帯域であることを特徴とする。
第四の手段は、複数のチャンネルに配置された信号光が波長多重された波長多重光が入力され、ラマン増幅を行う光増幅媒体を励起するラマン励起光源であって、異なる波長の複数の励起光をそれぞれ出力する複数の励起光源と、該複数の励起光を合該光増幅媒体に出力する励起光供給手段と、該増幅媒体から出力された該波長多重光の、少なくとも1つの該チャネルが含まれる複数の波長帯域ごとのパワーをモニタするモニタ手段と、該モニタ手段のモニタ結果と、該複数の励起光の各々の励起により該光増幅媒体で生じる利得の波長特性を基に、該複数の励起光の出力パワーをそれぞれ制御する励起光制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
ラマン増幅器の広帯域化及び、出力と利得の波長特性を平坦にするために、励起光源を複数化し、励起光により利得が生じた結果をモニタする際に、励起光源を3個以上にした場合の制御に関する。
本発明では、励起光発生手段をブロック化し、信号光の入出力モニタの波長帯域を励起光発生手段のブロック化数以上及び信号チャンネル数以下に分けてモニタすることで、簡便な制御アルゴリズムを用いて出力パワーと利得の波長特性偏差の制御及び、出力一定制御、利得一定制御を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ラマン増幅時の励起光と利得波長の関係を示す図
【図2】励起光源を波長多重化することで、ラマン増幅の帯域拡大を示す図
【図3】第1の実施構成を示す図
【図4】単独の励起光源ブロックの波長特性を示す図
【図5】単独の励起光源ブロックの波長特性を示す図
【図6】波長特性を一定にするための制御を説明する図
【図7】第1の実施構成の励起光制御部の制御フローチャート
【図8】第1の実施構成に於いて励起光源ブロック数とモニタブロック数を任意にした場合の構成図
【図9】モニタブロック数を任意にした場合の波長特性を示す図
【図10】図3及び図8の構成の励起光源ブロックと波長合波カプラの具体的構成を示す図
【図11】第1の実施構成に於いて重み付けした場合の構成を示す図
【図12】第2の実施構成を示す図
【図13】第2の実施構成の励起光制御部の制御フローチャート
【図14】第2の実施構成の変形例を示す図
【図15】第3の実施構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の詳細な説明を記す。ラマン増幅は図1に示すように、励起光波長から増幅媒体のラマンシフト量だけシフトされた信号波長に利得を生じるものであり、ラマンシフト量、ラマン帯域は物質(増幅媒体)固有に与えられるものである。
HYPERLINK "JavaScript:void(0)"図1は、励起波長を長波長側にシフトさせると、利得の中心波長及び利得帯域がほぼ励起波長のシフト量と同じだけ長波長側にシフトする様子が示されている。従って、ラマン増幅は、任意の波長をもつ励起光源さえ揃えられれば、任意の波長で利得を得ることができる光増幅技術である。励起波長が僅かずつ異なる励起光源を一括して増幅媒体に入射することで、図2に示すように広帯域な光増幅を可能とする。
本発明の第1の実施構成を図3に示す。0は入力ポート、1はラマン増幅媒体、2は合波カプラ、3は分岐カプラ、4は合波カプラ、5は波長分離カプラ、6−1乃至6−3は励起光源ブロック、7−1乃至7−3は受光素子、8は励起光制御部をそれぞれ示す。
複数の信号光が波長多重された波長多重光がラマン増幅器の入力ポートから、後方励起されたラマン増幅媒体1に入射される。合波カプラ4は中心波長の異なる励起光源ブロック6−1乃至6−3からの平均波長λp1乃至λp3の励起光を合波する波長多重カプラである。合波カプラ2は合波カプラ4からの波長λp1乃至λp3の励起光と複数の信号光を波長多重した波長多重光とをラマン増幅媒体1の中で波長多重する波長多重カプラである。
分岐カプラ3はラマン増幅媒体1で増幅された波長多重光を10対1で分岐するビームスプリッタである。波長分離カプラ5は励起光源ブロック6−1乃至6−3からの励起光により生じるラマン利得波長帯域を、3つの波長帯域ブロック(モニタブロック)に分割する波長帯域分岐カプラである。
受光素子7−1乃至7−3は波長分離カプラ5で分離した3つの帯域各々を受光し光/電変換する。励起光制御回路8は受光素子からの出力を用いて励起光源ブロック6−1乃至6−3の平均波長λp1乃至λp3の出力パワーを制御する。
以下に励起光制御回路8の制御原理について説明をする。
励起光源ブロック6−1の平均励起波長をlp1、励起光源ブロック6−1の出力パワーをPp1、励起光源ブロック6−2の平均励起波長をlp2、励起光源ブロック6−2の出力パワーをPp2、励起光源ブロック6−3の平均励起波長をlp3、励起光源ブロック6−3の出力パワーをPp3とする。
受光素子7−1で受信する波長帯域ブロック(モニタブロック1;平均波長ls1)の平均出力パワーをPs1とし、受光素子7−2で受信する波長帯域ブロック(モニタブロック2;平均波長ls2)の平均出力パワーをPs2とし、受光素子7−3で受信する波長帯域ブロック(モニタブロック3;平均波長ls3)の平均出力パワーをPs3とする。
励起光源ブロック6−1のみを稼動させ、平均励起波長λp1、平均励起出力パワーPp1で動作した場合の、波長多重光の出力を図4(a)に示す。細い実線は、波長帯域ブロック1(平均波長ls1)における出力スペクトルを示し、太い実線は波長帯域ブロック1の平均出力パワーPp1を示している。
励起光源ブロック6−2のみを稼動させ平均励起波長λp2、平均励起出力パワーPp2で動作した場合の、波長多重光の出力を図4(b)に示す。細い実線は、波長帯域ブロック2(平均波長ls2)における出力スペクトルを示し、太い実線は波長帯域ブロック2の平均出力パワーPp2を示している。
励起光源ブロック6−3のみを稼動させ平均励起波長λp3、平均励起出力パワーPp3で動作した場合の、波長多重光の出力を図4(c)示す。細い実線は、波長帯域ブロック3(平均波長ls3)における出力スペクトルを示し、太い実線は波長帯域ブロック3の平均出力パワーPp3を示している。
励起光源ブロック6−1が最も寄与する信号光出力モニタブロックはブロック1であり、励起光源ブロック6−2が最も寄与する信号光出力モニタブロックはブロック2であり、励起光源ブロック6−3が最も寄与する信号光出力モニタブロックはブロック3であることが分かる。
同時に、励起光源ブロック6−1は信号光出力モニタブロックls2と信号光出力モニタブロックls3にも寄与し、励起光源ブロック6−2は信号光出力モニタブロックls1と信号光出力モニタブロックls3にも寄与し、励起光源ブロック6−3は信号光出力モニタブロックls1と信号光出力モニタブロックls2にも寄与している。
従って、広帯域な光アンプを作るために複数波長の励起光を用いた場合には、一つの励起光源ブロックのパワーを制御すると、励起光により利得が生じる波長帯域は広い範囲に及び、モニタする波長帯域ブロックの複数に影響を及ぼしていることが判る。
所定の増幅信号パワーを得るためには励起光源のパワーに利得係数を掛ければ良いので、励起光源ブロック6−1乃至6−3の励起光出力の平均パワー変動量をΔP、受光素子7−1乃至7−3からの得た励起光により利得が生じる帯域の平均出力パワーの変動量をΔPs、平均利得係数をAとすると、
【0009】
【数1】

【0010】
となる。
従って、各波長帯域ブロックの出力パワーの波長特性偏差をなくすためには、波長分離カプラ5で3つに分離した各波長帯域の波長多重光のパワーレベルを同じになるようにΔPpを調整すれば良い。
ΔPpは、励起光源の光出力パワーを変動させることで調整でき、また励起波長を変動させ重心波長をシフトさせることでも調整でき、また励起光波長幅を変動することでも調整することができる。ここでは、光出力パワーを変動する調整の例を示す。
図4に示したように、一つの励起光源ブロックにより生じる利得波長帯域は広く、各モニタブロック間に跨がり利得を有しているため、一つの励起光源ブロックを変化させた場合に他のモニタブロックの波長に与える影響を考慮して式1を計算する必要がある。言い換えると、各モニタブロックのパワーを各励起光源ブロックごとの光増幅媒体で生じる利得の波長特性を基に各励起光ブロックの出力パワーの制御をおこなう必要がある。
ここで、励起光ブロック6−1の平均励起波長lp1の平均出力パワー変動ΔPp1がモニタブロックのブロック1の平均出力パワー変動ΔPs1に及ぼす平均利得係数をA11、励起光源ブロック6−1の励起光波長lp1の平均出力パワー変動ΔPp1がモニタブロックのブロック2の平均出力パワー変動ΔPs2に及ぼす平均利得係数をA12、励起光源ブロック6−1の励起波長lp1の平均出力パワー変動ΔPp1がモニタブロックのブロック3の平均出力パワー変動ΔPs3に及ぼす平均利得係数をA13、励起光源ブロック6−2の励起波長lp2の平均出力パワー変動ΔPp2がモニタブロックのブロック1の平均出力パワー変動ΔPs1に及ぼす平均利得係数をA21、励起光源ブロック6−2の励起波長lp2の平均出力パワー変動ΔPp2が信モニタブロックのブロック2の平均出力パワー変動ΔPs2に及ぼす平均利得係数をA22、励起光源ブロック6−2の励起波長lp2の平均出力パワー変動ΔPp2がモニタブロックのブロック3の平均出力パワー変動ΔPs3に及ぼす平均利得係数をA23、励起光源ブロック6−3の励起波長lp3の平均出力パワー変動ΔPp3がモニタブロックのブロック1の平均出力パワー変動ΔPs1に及ぼす平均利得係数をA31、励起光源ブロック6−3の励起波長lp3の平均出力パワー変動ΔPp2がモニタブロックのブロック2の平均出力パワー変動ΔPs2に及ぼす平均利得係数をA32、励起光源ブロック6−3の励起波長lp3の平均出力パワー変動ΔPp3がモニタブロックのブロック3の平均出力パワー変動ΔPs3に及ぼす平均利得係数をA33と定義する。
図5(a)に励起光源ブロック6−1のみを稼動させた場合の、励起光出力パワー差分に対する、モニタブロックのブロック1、モニタブロックのブロック2、モニタブロックのブロック3の平均出力パワー差分を示している。それぞれの傾きがA11、A12、A13に相当する。
また、図5(b)に励起光源ブロック6−2のみを稼動させた場合の、励起光出力パワー差分に対する、出力モニタブロックのブロック1、出力モニタブロックのブロック2、出力モニタブロックのブロック3の平均出力パワー差分を示している。それぞれの傾きがA21、A22、A23に相当する。
図5(c)に励起光源ブロック6−3のみを稼動させた場合の、励起光出力パワー差分に対する、出力モニタブロックのブロック1、出力モニタブロックのブロック2、出力モニタブロックのブロック3の平均出力パワー差分を示している。それぞれの傾きがA31、A32、A33に相当する。
それらを要素とする平均利得係数行列[A]を求めることが出来る。
【0011】
【数2】

【0012】
図6(a)に示すように信号光出力の波長特性が大きな信号光スペクトルの場合の出力モニタブロックのブロック1、ブロック2、ブロック3の平均出力は図中の太い実線で、全波長帯域の平均出力をPfとして破線で示している。
波長多重光出力の波長特性偏差を小さくすることは、図6(b)に示すように出力モニタブロックのブロック1、ブロック2、ブロック3の平均出力Ps1乃至Ps3を目的とするラマン増幅された波長多重光出力Pf(全波長帯域の平均出力)に一致させることを意味している。
【0013】
【数3】

【0014】
【数4】

【0015】
ラマン増幅媒体1でラマン利得が生じる全波長帯域で出力差分(チルト)を小さく抑えるには、上式を満たすように励起光源ブロック6−1乃至6−3の励起光の出力Pp1乃至Pp3の補正量をΔPp1、ΔPp2、ΔPp3を下式から算出すればよい。
【0016】
【数5】

【0017】
すなわち、HYPERLINK "JavaScript:void(0)"図3中の励起光制御部8は複数の信号光が波長多重された波長多重光を所定の波長帯域のモニタブロックに分けて出力パワーをモニタし、各波長帯域のモニタブロックの全出力をチャンネル数で割った平均値化処理を行い、全波長帯域での出力パワー差分を小さくするために必要な各励起光源ブロックの励起波長が各モニタブロックの波長に対して及ぼす影響の重み付けを励起光の平均出力パワー差分を上記の式5により計算し、各励起光源ブロックより出力される励起光のパワーを制御すれば良い。
そして、所定の波長特性偏差が得られるまで、1回〜10回程度のフィードバック制御を行う。このような制御処理を行なうことで、励起光により生じるラマン利得波長帯域の平均パワーを一定のパワーPfの値にすることができる。
図3の構成に於いて、励起光制御部8はCPU等のプロセッサにより図7のフローにより制御することで実現できる。
ステップ1として:制御処理を開始する。
ステップ2として:受光素子7−1乃至7−3の出力よりモニタブロック内の平均出力パワーPs1乃至Ps3を求める。
ステップ3として:モニタブロック内の平均波長出力パワーPs1乃至Ps3を目的とする波長多重光出力値Pfと比較し、ΔPs1乃至ΔPs3を求める。
ステップ4として:ΔPs1乃至ΔPs3とPfの差分が、許容範囲内の場合は動作を止めステップ7に、許容範囲該の場合は次のステップ5に行く。
ステップ5として:ΔPs1乃至ΔPs3より各励起光が各モニタブロックに及ぼす平均利得係数A11乃至A33の逆行列を用いて励起光源ブロックのλp1乃至λp3のパワーレベルPp1乃至Pp3の制御量ΔPp1乃至ΔPp3を求める。
ステップ6として:現在のPp1乃至Pp3に制御量ΔPp1乃至ΔPp3を加え励起光源ブロック6−1乃至6−3の出力パワーPp1乃至Pp3、を制御する。
ステップ7として:制御処理を終了する。
図3では一例として、励起光源ブロックを3つブロックとし、励起光源ブロックからの励起光により生じる利得を生じる波長帯域のモニタブロックは3つに分けているが、これらの数は必要に応じて任意に設定することができる。
励起光源ブロックとモニタブロックの数を任意の数に設定した場合をHYPERLINK "JavaScript:void(0)"図8に示す。図中、励起源ブロックの数をn個(6−1乃至6−n)、波長多重光のモニタブロックm個で構成したとする。
ここでの励起光により生じるラマン増幅利得の波長帯域を図9に示し、波長分離カプラ5の波長多重光のm個のモニタブロックに分ける。励起光パワー制御の変動量ΔPpはn×1の行列となり、モニタブロック内の.波長多重光パワーの平均値と目的とする制御の値との差分ΔPsはm×1の行列となり、Aはn×mの行列となる。
【0018】
【数6】

【0019】
この場合のΔPpiは励起源のブロックの平均出力パワーの変動量、またΔPsjは信号光モニタブロックの平均出力パワーの変動量である。変動量を用いているので、モニタ出力パワーを主信号出力パワーに変換する必要はない。ΔPsjに伴うΔPpiを求めるには[A]の逆行列[A]-1を求めればよいことが分かる。従って、
【0020】
【数7】

【0021】
となり各ブロック間の平均出力パワーの偏差を小さくすることは、信号光出力パワーの波長特性の平坦化を行うことになる。
第1の実施構成では励起光源ブロックとモニタブロック数は任意に構成できるが、モニタブロックの数は波長多重光に多重されている信号光チャンネル数以下にし、励起光源ブロック化数以上にすることが望ましい。
図3の構成における、具体的な構成をHYPERLINK "JavaScript:void(0)"図10に示す。
図中24、25はWDMカプラ、61乃至63は偏光合成カプラ、51乃至56はファイバグレーティングフィルタ、81乃至86は半導体レーザをそれぞれ示す。
励起光源ブロック6−1乃至6−3は2つの僅かに波長の異なる半導体レーザ81、82の組み合わせ83、84の組み合わせ85、86の組み合わせでそれぞれ構成される。(この例では半導体レーザの波長間隔は約4nm)
半導体レーザ81乃至86からの光はファイバグレーティンクフィルタ51乃至56でそれぞれ特定の波長(この例では1429.7nm、1433.7nm、1454.0nm、1480.0nm、1484.5nm、1488.5nmの各波長)で半導体レーザ81乃至86にそれぞれ反射して半導体レーザ81乃至86とファイハグレーティングフィルタ51乃至56で共振構造を取り特定の波長の励起光を出力する。
各励起光源ブロックの2つの励起光は偏波構成カプラ61乃至63でそれぞれ偏波合成され励起光源ブロックの出力となる。偏波合成を行うのは、ラマン増幅の偏光依存性を解消するためである。合波カプラ4はWDMカプラ24、25で構成されている。
WDMカプラ25は励起光源ブロック6−2からの波長の光を反射して、励起光源ブロック6−3からの波長を通過する特性を有している。WDMカプラ24は励起光源ブロック6−1からの波長の光を反射して、励起光源ブロック6−2、励起光源ブロック6−3からの波長を通過する特性を有している。
図10に於いては励起光源ブロック内の半導体レーザとファイバグレーティングの中心は僅かに波長が異なる光を出力しているが、同じ波長の光としても良い。また、励起光源ブロックの光は必ずしも複数半導体レーザで構成する必要はなく、偏光無依存の励起光源等を用いる場合は単一の光源で有っても良い。
第1実施例では目標となる波長多重光出力値をPfとして、全ての波長帯域の平均パワーがPfに揃うように制御しているため、全ての波長帯域にて出力一定制御を行なうことができる。この出力一定制御の変形例として、モニタブロックの波長帯域毎にPfをPf1、Pf2、Pf3と定めて、比較することにより、波長ブロック単位で個別に出力一定制御を行なうことができる。
この場合図7のフローチャートのステップ4でPfの代わりに、各モニタブロックに対応して、Pf1、Pf2、Pf3をさだめる。そして、Pf1、Pf2、Pf3より、それぞれ対応するPs1、Ps2、Ps3を引くことで励起光制御部8の制御を行なうことができる。
またPfを変える変わり図11に示すように図3の受光素子7−1乃至7−3の前段に可変または固定の減衰器71乃至73を設けることで、任意にモニタブロック単位で重み付けを行ない、波長ブロック単位で個別に出力一定制御を行なうことができる。
また、第1の実施例はラマン増幅媒体としては、通常の1.3ゼロミクロンファイバはもちろん、実効断面積が小さく非線形が大きい分散補償ファイバ(DCF)、分散シフトファイバ(DSF)、ノンゼロ分散シフトファイバ(NZDSF)を用いることも可能である。これらの非線形が大きいファイバを用いると必要な利得をえるためのラマン増幅媒体となるファイバは短くて済み、集中増幅を可能にすることができる。
第1の実施構成ではモニタブロックは波長分離カプラ5、10と受光素子7−1乃至11−1で構成しているが、これらはスペクトルアナライザで代用することが可能である。
第2の実施構成を図12に示す。図12に於いて図3と同じ構成は同じ番号で示す。図中9は分岐カプラ、10は波長分離カプラ、11−1乃至11−3は受光素子をそれぞれ示す。分岐カプラ9はラマン増幅器の入力ポートに設け、入力ポートに入力される複数の信号光波長多重された波長多重光を、分岐比10:1で分岐するビームスプリッタである。
波長分離カプラ10は分岐カプラ9の1/10側のポートからの波長多重光を、波長分離カプラ5と同じように、励起光源ブロック6−1乃至6−3からの励起光により生じるラマン利得波長帯域を、3つの波長帯域ブロック(モニタブロック)に分離する波長分離カプラである。受光素子11−1乃至11−3は3つのモニタブロックにそれぞれ対応して設けられ、各モニタブロックの光パワーを電気信号に変換する。
波長分離カプラ10で分離したモニタブロック1の平均波長をls1、平均出力パワーをPin_s1、モニタブロック2の平均波長をls2、平均出力パワーをPin_s2、モニタブロック3の平均波長をls3、平均出力パワーをPin_s3とする。
その後、信号光は後方励起されたラマン増幅媒体1に入射される。励起光源ブロック6−1乃至6−3は図10のように構成されても良いし、第1の実施例と同様のさまざまな構成で実現可能である。
増幅媒体1で増幅された信号はその後、10対1の分岐カプラ3で分岐され、その1/10ポートから出力された信号光は、図3と同様に波長分離カプラ5で、入力ポート側に設けた波長分離カプラ10と同じ3つの波長帯域ブロックに分けられる。波長分離カプラ5の波長帯域ブロックは波長分離カプラ10のモニタブロックの平均波長ls1、ls2、ls3にそれぞれ対応している。受光素子7−1乃至7−3にて波長多重光出力パワーを光電変換する。
図3と同様に波長分離カプラ5のモニタブロックの平均波長ls1の平均出力パワーをPs1、モニタブロックの平均波長ls2の平均出力パワーをPs2、モニタブロックの平均波長ls3の平均出力パワーをPs3とする。励起光制御部8では受光素子7−1乃至7−3及び11−1乃至11−3からのモニタ入力により利得が所定の値となるように制御する。
図12における具体的な制御部8の動作の説明を以下に述べる。各モニタブロックの平均利得G1、G2、G3は増幅媒体1で増幅された波長多重光を波長分離カプラで分離して受光素子7−1乃至7−3で得たPs1、Ps2、Ps3、より入力ポート側の波長分離カプラ10で分離して受光素子11−1乃至11−3で得たPin_s1、Pin_s2、Pin_s3を引くことにより得られる。
【0022】
【数8】

【0023】
各モニタブロックの励起光平均出力パワーと各モニタブロックの波長光平均利得は各モニタブロックの平均利得係数で結び付けることができ、励起光平均出力パワー変動量をΔPp、信号光平均出力パワーの変動量をΔG、平均利得係数をAとすると、
【0024】
【数9】

【0025】
となる。
実施例1で使用した[A]は励起光平均出力パワーの信号光平均出力パワーの傾きを示しているので、ここで定義する利得Aに対しても同様に下記の関係が成り立つ。
【0026】
【数10】

【0027】
目的とする利得レベルを全波長帯域の平均利得Gfとし、各モニタブロックの平均利得をG1、G2、G3とし、GfとG1の差分をΔG1、GfとG2の差分をΔG2、GfとG3の差分をΔG3とする。
【0028】
【数11】

【0029】
全波長帯域で利得波長偏差(チルト)を小さく抑えるには、各モニタブロック間の平均利得を揃えて全波長帯域の平均利得Gfと一致するように制御すれば良い。
ここで、Gfは利得を一定にするための予め定めた値とすることで、全ての波長が定めた利得に一定に制御できる。
【0030】
【数12】

【0031】
従って、式11を用いて式13からΔPp1、ΔPp2、ΔPp3を算出すればよい。
【0032】
【数13】

【0033】
すなわち、励起光制御部8は波長多重光のモニタブロックの全出力を取得し、モニタブロックの全出力をチャンネル数で割った平均値化処理を行い、全波長帯域での利得差分を小さくするために、各励起光源ブロックによる利得が各モニタブロックの波長に及ぼす影響を考慮して、必要な励起光の平均出力差分を計算し、モニタブロックの励起光発生手段を制御する働きをしている。ラマン光増幅器の各モニタブロックの利得の波長特性偏差がなくなるまで、1回〜10回程度のフードバック制御を行う。
図13に励起光制御部8の動作フローチャートの一例を示す。
ステップ1として:制御開始する。
ステップ2として:光増幅媒体の出力側に設けた波長分離カプラ5の各モニタブロックのパワーPs1乃至Ps3より入力側に設けた波長分離カプラ5の各モニタブロックのパワーPin_s1乃至Pin_s3を引き各モニタブロックの利得G1乃至G3を求める。
ステップ3として:目標とする利得Gfとモニタブロック内の利得G1乃至G3fと比較し、差分ΔG1乃至ΔG3を求める。
ステップ4として:ΔG1乃至ΔG3とGfとの差分が、許容範囲内の場合は動作を止めステップ7に、許容範囲該の場合は次のステップ5に行く。
ステップ5として:ΔG1乃至ΔG3より各励起光が各モニタブロックに及ぼす平均利得係数A11乃至A33を用いて励起光源ブロックのλp1乃至λp3のパワーレベルp1乃至Pp3の制御量ΔPp1乃至ΔPp3を求める。
ステップ6として:現在のPp1乃至Pp3に制御量ΔPp1乃至ΔPp3を加え励起光源ブロック6−1乃至6−3の出力パワーPp1乃至Pp、3を制御する。
ステップ6として:制御処理を終了する。
以上の様な流れで励起光制御部8は励起光源ブロックを制御する。
第2の実施例においても第1の実施例同様に、励起光源ブロックとモニタブロックの数は任意の数にすることができる。即ち、励起光源ブロックをn個とし、モニタブロックの数をm個とした場合は、式10乃至式13を式14乃至式18と書き換えることができる。
【0034】
【数14】

【0035】
【数15】

【0036】
【数16】

【0037】
【数17】

【0038】
【数18】

【0039】
これらの式に対応させて、励起光制御部8を操作すれば良い。
第2の実施構成でも第1の実施構成と同様に励起光源ブロックとモニタブロック数は任意に構成できるが、モニタブロックの数は波長多重光に多重されている信号光チャネル数以下にし、励起光源ブロック化数以上にすることが望ましい。
また、第二の実施例では第1の実施例と同様に、ラマン増幅媒体を通常の1.3ゼロミクロンファイバはもちろん、実効断面積が小さく非線形が大きい分散補償ファイバ(DCF)、分散シフトファイバ(DSF)、ノンゼロ分散シフトファイバ(NZDSF)を用いることも可能である。これらの非線形が大きいファイバを用いると必要な利得を得るためのラマン増幅媒体となるファイバは短くて済み、集中増幅をすることができる。
ラマン増幅媒体1となる光ファイバの実効断面積が小さく非線形が強いファイバの場合はラマン増幅媒体1を短く構成できるが、通常の1.3μmゼロ分散ファイバの場合は励起パワーにもよるが約40Km以上必要な場合もある。そこで、図14に図12ラマン増幅器の波長多重光入力の通知を実際の伝送路を用いて行なう例を示す。
図14では監視制御部12で各モニタブロックのパワーを検出し、その結果を情報化して波長λOSCの波長で合波カプラ13を介して、ラマン増幅媒体1となる伝送路に送信する。この波長λOSCの信号は波長分離カプラ5により分離され監視制御部14で検出され励起光制御部8に供給される。図14では波長λOSCを波長分離カプラ5で分離したが、伝送路より分岐カプラを別途設け、監視制御信号を分離して監視制御部14に入力しても良い。
図13の説明ではGfを全てのモニタブロックにて同じ値を用いることにより、励起光源ブロックからの励起光により、増幅媒体1で生じる利得波長帯域で、このような構成にすることでラマン増幅媒体1が伝送路を用いた場合でも利得を一定に制御することができるが、ここで、Gfを各モニタブロックごとに別の利得を設定することで、各モニタブックの波長帯域毎重み付けした利得による利得一定制御を行なうことができる。
また、第2の実施例でも第1の実施例同様に、上記の重み付けの処理は全ての波長ブロックでGfに一定にし、モニタブロックの単位に受光素子の前段に可変または固定の光減衰器71乃至73を設けることで重み付けを行なう処理を行なっても良い。
第2の実施構成ではモニタブロックは波長分離カプラ5、10と受光素子7−1乃至11−1で構成しているが、これらはスペクトルアナライザで代用することが可能である。
第3の実施構成として、第1の実施例と第2の実施例を希土類元素ドープファイバ(例えばエルビウプドープファイバ)を用いた光増幅器との組み合わせについて図15を用いて説明する。図中13−1は第1の希土類元素ドープファイバ増幅器、13−2は第2の希土類元素ドープファイバ増幅器、5−1は波長帯域分離カプラ、5−2乃至5−5は分岐カプラ、5−6は第1の波長帯域モニタ、5−7は第2の波長帯域モニタ、5−8は第1のスペクトルアナライザ、5−9は第2のスペクトルアナライザをそれぞれ示す。図3および図12と同一機能のブロックと同一の機能のブロックは同一符号で示す。
波長帯域分離カプラ5−1はラマン増幅媒体1で増幅された波長多重光を第一の波長帯域(C−band帯域1530nm乃至1557nm)と第2の波長帯域(Lband帯域1570nm乃至1610nm)に分割して出力する。
第1の希土類元素ドープファイバ増幅器13−1は第1の波長帯域に対して利得を有するエルビウムドープファイバ(EDF)からなる光増幅器である。第2の希土類元素ドープファイバ増幅器13−2は第2の波長帯域に対して利得を有するエルビウムドープファイバ(EDF)からなる光増幅器である。波長帯域分離カプラ5−1で分岐された光は第1の希土類元素ドープファイバ増幅器と第2の希土類元素ドープファイバ増幅器にてそれぞれの波長帯域の光が増幅される。
分岐カプラ5−2、5−3は第1の波長帯域の光を10対1程度で分岐する分岐カプラである。分岐カプラ5−4、5−5は第2の波長帯域の光を10対1程度で分岐する分岐カプラである。
第1の波長帯域モニタ5−6は分岐カプラ5−2で分岐された第1の波長帯域の光のパワーをモニタする。第2の波長帯域モニタ5−7は分岐カプラ5−4で分岐された第2の波長帯域の光のパワーをモニタする。
励起光制御回路8は第1及び第2の波長モニタ5−6、5−7の出力をもとに第1のスペクトラルアナライザ5−8及び第2のスペクトラルアナライザ5−9の出力パワーの校正を行う。
5−8、5−9の出力を1528.773〜1552.122nm、1552.524〜1563.455nm、1570.416〜1581.601nm、1582.018〜1607.035nmの3つの波長帯域ブロックに分けて、各モニタブロックの平均出力を求め励起光6−1乃至6−3を制御する。
第2の実施構成との組み合わせの場合は図12及び図14の波長分離カプラ10からの出力を用いる場合と監視制御波長信号OSCを用い監視制御部14からのラマン増幅される前の信号を検出して制御を行なう方法を用いることもできる。
[付記1]複数の信号光を波長多重した波長多重光をラマン増幅するための光増幅媒体と、複数の波長の異なる励起光を発生する複数の励起光源と、該複数の励起光を合波する第1光合波手段と、複数の信号光と該励起光を合波する第2光合波手段と、該増幅媒体で増幅された該波長多重光を複数の波長帯域に分割してパワーを検出するモニタ手段と、該モニタ手段の各波長帯域のパワーと該各励起光ごとに該光増幅媒体で生じる利得の波長特性を基に該各励起光の出力パワーを制御する励起光制御手段を設けたことを特徴とする光増幅器。
[付記2]該励起光制御手段は該モニタの該各波長帯域間のパワーの波長特性偏差が小さくなるように該各励起光の出力を制御する事を特徴とする付記1記載の光増幅器。
[付記3]該励起光制御手段は該各波長帯域の出力パワーが各々特定の値になるように該各励起光の出力を制御する事を特徴とする付記1記載の光増幅器。
[付記4]該励起光制御手段は該各波長帯域の出力パワーが全て特定の値になるように該各励起光の出力を制御する事を特徴とする付記1記載の光増幅器。
[付記5]該励起光制御手段は該各波長帯域の出力パワーが全て特定の値になるように該各励起光の出力を制御する事を特徴とする付記1記載の光増幅器。
[付記6]複数の信号光を波長多重した光をラマン増幅するための光増幅媒体と、複数の波長の異なる励起光を発生する複数の励起光源と、該複数の励起光を合波する第1光合波手段と、複数の信号光と該励起光を合波する第2光合波手段と、該増幅媒体に入射されるパワーを検出する入力モニタ手段と、該増幅媒体で増幅したパワーを検出する出力モニタ手段と、該入力モニタ手段及び該出力モニタ手段に基づき該各励起光の出力パワーを制御する励起光制御手段を設けたことを特徴とする光増幅器。
[付記7]該入力モニタ手段は該増幅媒体に入射される該波長多重光を複数の波長帯域に分割してパワーを検出し、該出力モニタ手段は該増幅媒体で増幅した該波長多重光を複数の波長帯域に分割してパワーを検出することを特徴とする付記6記載の光増幅器。
[付記8]該制御手段は該入出力モニタ手段の同じ波長帯域のパワーを比較して得た該各波長帯域ごとの利得と該各励起光ごとの該光増幅媒体で生じる利得の波長特性を基に該各励起光の出力を制御する付記7記載の光増幅器。
[付記9]該励起光制御手段は該モニタの該各波長帯域間の利得の波長特性偏差が小さくなるように該各励起光の出力を制御する事を特徴とする付記8記載の光増幅器。
[付記10]該励起光制御手段は該各波長帯域の利得が各々特定の値になるように該各励起光の出力パワーを制御する事を特徴とする付記8記載の光増幅器。
[付記11]該励起光制御手段は該各波長帯域の利得が全て特定の値になるように該各励起光の出力を制御する事を特徴とする付記8記載の光増幅器。
【符号の説明】
【0040】
0:入力ポート、
1:ラマン増幅媒体
2:合波カプラ、
3:分岐カプラ、
4:合波カプラ、
5:波長分離カプラ、
6−1乃至6−3:励起光源ブロック、
7−1乃至7−3:受光素子、
8:励起光制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチャンネルに配置された信号光が波長多重された波長多重光が入力され、ラマン増幅を行う光増幅媒体を励起するラマン励起光源であって、
異なる波長の励起光をそれぞれ出力する少なくとも3つ以上の励起光源と、
該励起光を合該光増幅媒体に出力する励起光供給手段と、
該増幅媒体から出力された該波長多重光の、少なくとも1つの該チャネルが含まれる複数の波長帯域ごとのパワーをモニタするモニタ手段と、
該モニタ手段のモニタ結果から得られる複数の波長帯域ごとの出力パワーと、該励起光源をそれぞれ個別に稼動させたときの波長帯域ごとの出力パワーを基に、該モニタ結果から得られる複数の波長帯域の各々における出力パワーが各々の目標出力パワーと等しくなるよう、該複数の励起光の出力パワーをそれぞれ制御する励起光制御手段とを備えたラマン励起光源。
【請求項2】
請求項1に記載のラマン励起光源であって、該複数の波長帯域の数は、該複数の励起光源の数よりも多く、該チャンネルの数よりも少ないことを特徴とするラマン励起光源。
【請求項3】
請求項1に記載のラマン励起光源であって、該複数の励起光源は、それぞれ、複数の半導体レーザの出力を偏波合成し該複数の励起光としてそれぞれ出力することを特徴とするラマン励起光源。
【請求項4】
請求項1に記載のラマン励起光源であって、該複数の励起光源は、それぞれ、半導体レーザとファイバグレーティングフィルタによる共振構造を構成することを特徴とするラマン励起光源。
【請求項5】
請求項4記載のラマン励起光源であって、該複数の励起光源の該ファイバグレーティングフィルタは、それぞれ、反射波長が異なることを特徴とするラマン励起光源。
【請求項6】
請求項1に記載のラマン励起光源であって、該励起光供給手段は、該複数の励起光を合波する第一光合波手段と、該第一光合波手段で合波された該複数の励起光を該光増幅媒体に供給する第二光合波手段とを有することを特徴とするラマン励起光源。
【請求項7】
請求項1に記載の光増幅器であって、該出力モニタ手段は、該増幅媒体から出力された該波長多重光を分岐する分岐手段と、該分岐手段からの出力光を該複数の波長帯域に分離する波長帯域分離カプラを有することを特徴とするラマン励起光源。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−170372(P2011−170372A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85937(P2011−85937)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【分割の表示】特願2000−255291(P2000−255291)の分割
【原出願日】平成12年8月25日(2000.8.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】