説明

ラミネータの任意位置自動停止手段およびそれを用いた枚葉状の印刷紙のラミネート方法並びにそれを用いた情報通信体の製造方法

【課題】 枚葉状の印刷紙を被覆するヒートローラからなるラミネートローラを使用したラミネータにおいて、停止の際にラミネートローラ間の印刷紙がヒートローラとの接触部分で汚損しない手段を提供する。
【解決手段】 ヒートローラ22a、22bの上流側に光電センサKを配置する。停止の際に前記光電センサKが読み取った枚葉状の印刷紙縁辺に記載されたマークMにより、常時前後する印刷紙S1の境界で停止するように設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は枚葉状の印刷紙にフィルムシートを連続的に被覆するラミネータと、前記ラミネータによる枚葉状の印刷紙のラミネート方法並びに複数の葉片を剥離可能に折り畳み或いは切り重ねて一体化した情報通信体を前記ラミネータを利用した装置で製造する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のラミネータを利用した情報通信体の製造方法として、例えば特開2010−12761号公報に記載のように、連続的に送り込まれる枚葉状の印刷紙にフィルムシートを連続的に被覆して情報通信体に仕上げる方法がある。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−12761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記情報通信体の製造方法は、枚葉状の印刷紙から情報通信体に仕上げるまでの工程が切れ目なく一貫しており、仮に作業中に何らかのトラブルが生じ一旦停止を余儀なくされた場合に、ヒートローラにより構成されたラミネートローラ間で停止した印刷紙に熱が加わり、その部分において印刷紙に被覆されているフィルムが変形したり、さらに前記熱により宛名等トナーにより印字されている情報が溶融してしまい、それにより生じる文字のつぶれや転写により情報通信体全体を汚損してしまうことになる。従って、前記フィルムの変形等により美的外観が損なわれたものや、トナーの溶融により各種情報が読み取れなくなったものは廃棄することになり、特にプライバシーの保護や情報の管理が強く要求される昨今、個人情報等が表示された廃棄物の処理に関しても厳しい制限が掛けられている。
【0005】
前記不良品の発生はやり直しのための再作業等による時間や経費のロス等の作業効率の低下を招くばかりか、仮に情報通信体の製造から発送までを行う発送代行等の業務でユーザーから受け取った顧客情報等を廃棄処理する場合に、万が一外部に漏洩してしまう等のミスを犯すとユーザーの著しい不信を招くばかりか損害賠償請求等の大きな問題に発展しかねない。
本発明は、前記問題に鑑み、ヒートローラにより構成されたラミネートローラ間で停止する際に不良品を発生することがないラミネータの任意位置自動停止手段と、それを用いた枚葉状の印刷紙のラミネート方法並びにそれを用いた情報通信体の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のラミネータの任意位置自動停止手段は、印刷面に非影響区域を設けた枚葉状の印刷紙にフィルムシートを被覆するラミネータにおいて、停止時に前記枚葉状の印刷紙における非影響区域が少なくとも一対からなるヒートローラにより構成されるラミネートローラ間に位置することを特徴としている。
【0007】
また、上記目的を達成するために、本発明の任意位置自動停止制御を用いた枚葉状の印刷紙のラミネート方法は、印刷面に非影響区域を設けた枚葉状の印刷紙を連続的に繰り出す工程、繰り出された枚葉状の印刷紙にフィルムシートを少なくとも一対のラミネートローラにより連続的に被覆する被覆工程とからなり、停止時に前記枚葉状の印刷紙における非影響区域が少なくとも一対からなるヒートローラにより構成されるラミネートローラ間に位置することを特徴としている。
【0008】
なお、前記任意位置自動停止制御を用いた枚葉状の印刷紙のラミネート方法では、さらにフィルムシートが被覆されて連続状態となった枚葉状の印刷紙を当初の枚葉状の印刷紙毎に切断する切断工程が付加されても構わない。
【0009】
さらに、上記目的を達成するために、本発明の任意位置自動停止ラミネータを用いた情報通信体の製造方法は、情報通信体の単位印刷紙が記載されると共に印刷面に非影響区域を設けた枚葉状の印刷紙を連続的に繰り出す工程、繰り出された枚葉状の印刷紙の少なくとも一方の面に疑似接着フィルムシートを連続的に被覆する被覆工程、疑似接着フィルムシートが被覆された枚葉状の印刷紙の流れ方向の余白部分を切除する切除工程及び折りミシン及び/又は折り筋を形成する折り手段形成工程、流れ方向の余白部分が切除される共に折りミシン及び/又は折り筋が形成された枚葉状の印刷紙を折り畳む工程、折り畳まれた枚葉状の印刷紙を単位印刷紙毎に仕上げる断裁工程、断裁された単位印刷紙を剥離可能に一体化する一体化工程とからなる情報通信体の製造方法であって、停止時に前記枚葉状の印刷紙における非影響区域が少なくとも一対からなるヒートローラにより構成されるラミネートローラ間に位置することを特徴としている。
【0010】
前記任意位置自動停止ラミネータを用いた情報通信体の製造方法では、情報通信体の態様によっては疑似接着フィルムシートの他に完全接着フィルムシートを使用することがある。この場合疑似接着フィルムシートの被覆工程と同時に行うことが効率的である。
【0011】
また、前記情報通信体の製造方法では、必ずしも各工程をすべて一連に連続させる必要はない。例えば切除工程で排出される枚葉状の印刷紙を一旦ワインダー等に巻き取り、その後前記ワインダーに巻き取った枚葉状の印刷紙を別に設置された折畳み以後の工程へ送り出すようにして全工程を完了するようにしても構わない。
【0012】
さらに、既述の非影響区域としては、具体的には断裁されて除去される最終製品以外の余白部分、即ち断裁用のレジスターマーク(コーナートンボ)の外側が好適に選択されるが、最終製品の内部面であっても例えば白地のレイアウト部分等熱により影響が肉眼で確認しづらく違和感のない部分を選択しても構わない。
【0013】
本発明に使用可能な前記識別センサとして、カラーセンサ(ファイバーセンサを含む)等の光電センサやCCDカメラ等の視覚センサを好適に使用することができる。
【0014】
本発明に適用可能な枚葉状の印刷紙は、公知の上質紙、マットコート紙、グロスコート紙、合成紙、各種樹脂等を好適に使用することができる。また枚葉状の印刷紙の斤量や銘柄にも制限はない。
【0015】
本発明に使用可能なフィルムシートは、市販のサーマルラミネート法やドライラミネート法に対応したプリントラミネート用のフィルムシートを好適に使用することができるが、二軸延伸ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリエステル、アセテート等の樹脂フィルムをそのまま、或いは感熱接着剤層を形成して使用しても構わない。
【0016】
本発明に使用可能な疑似接着フィルムシートは、例えば二軸延伸ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等からなる基材の片面に疑似接着層を形成したものや、前記片面に疑似接着層を形成した基材の残るもう一方の面に公知の感熱接着剤層を形成したもの等が好適に使用できる。なお、前者はドライラミネート法、後者はサーマルラミネート法で使用されているが、市販されているそのようなものとして商品名「ハガキフィルムドライ」(ケイディケイ株式会社製)や商品名「ハガキフィルムサーマル」(ケイディケイ株式会社製)等がある。
【0017】
前記疑似接着フィルムシートは、例えば情報通信体を構成する印刷物の疑似接着予定面に被覆して、その後疑似接着予定面同士を折り合わせ疑似接着層同士を対向させて加圧或いは加熱・加圧処理を施すと剥離可能に接着するものである。そして疑似接着後に前記対向面同士を引き剥がすと、疑似接着層同士の界面から剥離するか、或いは基材と何れかの疑似接着層との間から剥離するか、さらに前記両者の剥離が複合的に起こり、対向面同士を容易に剥離することができるのである。
【0018】
本発明に使用可能な完全接着フィルムシートは、例えば、二軸延伸ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、アセテート等の基材の一方の面にヒートシール処理層を形成したものや、前記片面にヒートシール処理層を形成した基材の残るもう一方の面に公知の感熱接着剤層を形成したもの等が好適にしようできる。なお、前者はドライラミネート法、後者はサーマルラミネート法で使用されているが、ドライラミネート法で商品名「アルファンHS」(王子特殊紙株式会社製)や「片面ヒートシールグレード」(フタムラ株式会社製)、サーマルラミネート法で商品名「ハガキフィルムクローズ」(ケイディケイ株式会社製)が好適に使用できる。
【0019】
前記完全接着フィルムシートは、例えば情報通信体を構成する印刷物の完全接着予定面に被覆して、その後完全接着予定面同士を折り合わせヒートシール処理層同士を対向させて加圧或いは加熱・加圧処理を施すと剥離不能に接着するものである。
【0020】
本発明のラミネータで使用される一対のラミネートローラは、例えば上側に鏡面加工の金属製ヒートローラを配置し、下側にゴムライニングが施されたバックアップローラを配置した一対のローラ、或いは上下共にゴムライニングが施されたヒートローラで構成されるもの等を好適に採用することができるが、ヒータパネル等による加熱機構と少なくとも一対の加圧ローラからなる加熱・加圧処理手段でも構わない。
【0021】
ラミネートローラの上流或いは下流側に配置される識別センサは、装置に停止命令が掛けられた場合に通過するマークを読み取る。そして通過距離を演算した後に予め設定しておいた距離で停止するように駆動系に指令を出す。前記予め設定しておいた距離は、例えば枚葉状の印刷紙端縁の任意の位置に記載された各種マークから、枚葉状の印刷紙表面の熱による影響を受けても何ら問題のない部分までの距離とすることができる。前記熱による影響を受けても何ら問題のない部分とは、例えば断裁用のレジスターマーク(コーナートンボ等)により囲まれる見当線の外側で最終的に除去される余白部分(ドブ)が最適である。
【0022】
また、前記除去される余白部分(ドブ)以外に、例えば枚葉状の印刷紙表面のデザイン部分であっても、意図的に或いは意図せずに白地等被覆されるフィルムシートの熱による変形を確認しづらい部分を設けてその部分を選択しても構わない。
【発明の効果】
【0023】
本発明のラミネータの任意位置自動停止手段によれば、作業中のラミネータを停止するとラミネートロールを通過中の印刷紙が指定した任意の場所で停止する。従って前記手段を組み込んだ任意位置自動停止制御を用いた枚葉状印刷紙のラミネート方法では、製造開始前に作業中に停止しても製品の仕上がりに影響のない枚葉状の印刷紙表面の任意の位置を指定しておけば、仮に作業を停止しても不良品が発生することがない。また本発明の任意位置自動停止ラミネータを用いた情報通信体の製造方法では、トナー印字により個人情報の打ち出しが不可欠の情報通信体の製造において、不良品の発生がなくなるため作業効率が向上すると共に顧客からの信頼も高まり、損害賠償請求等が関わる大きな問題が起こらない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】は本発明で使用される枚葉状の印刷紙の表面図である。
【図2】(A)及び(B)は本発明で使用されるフィルムシート及び疑似接着フィルムシートのそれぞれ厚さ方向の部分拡大図である。
【図3】(A)及び(B)は本発明のラミネータの任意自動停止手段を経時的に説明するラミネータの要部概略図である。
【図4】図3(B)における一対のヒートローラ部分の拡大図である。
【図5】枚葉状の印刷紙S1において前後する枚葉状の印刷紙S1の端部を突き合わせて送り出す場合の停止状態を示す要部概略図である。
【図6】枚葉状の印刷紙S1において前後する枚葉状の印刷紙S1を等間隔で送り出す場合の停止状態を示す要部概略図である。
【図7】図5及び図6の送り出しの際に後続の枚葉状の印刷紙S1を上流側の任意の位置に待機させる場合の停止状態を示す要部概略図である。
【図8】枚葉状の印刷紙S1において前後する枚葉状の印刷紙S1の端部を重ね合わせて送り出す際に、後続の枚葉状印刷紙S1を上流側の任意の位置に待機させる場合の停止状態を示す要部概略図である。
【図9】任意位置自動停止制御を用いた枚葉状のラミネート印刷紙の製造方法を分かりやすく示す要部概略図である。
【図10】(A)及び(B)は任意位置自動停止制御を用いた情報通信体の製造方法に使用する枚葉状の印刷紙の表面図及び裏面図である。
【図11】任意位置自動停止制御を用いた情報通信体の製造方法を分かりやすく示す要部概略図である。
【図12】任意位置自動停止制御を用いた情報通信体の製造方法において、フィルムシートFを被覆して連続状態になった印刷紙の余白部分の切除及び折り用のミシン目の穿設状態を示す要部概略図である。
【図13】任意位置自動停止制御を用いた情報通信体の製造方法において、図12により切除及び穿設を終えた用紙を二つ折りに折り畳んだ状態を示す要部概略図である。
【図14】情報通信体の製造方法において、製造工程を分割した場合の工程前半の要部概略図である。
【図15】情報通信体の製造方法において、製造工程を分割した場合の工程後半の要部概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
[実施例1:ラミネータの任意位置自動停止手段]
図1に示すように、本発明で使用される枚葉状の印刷紙S1は、例えば実線で表す四角の内部にポスター等のレイアウトが組まれ、前記実線で示す四角の周囲にレジスターマークR等が表示されている。前記レジスターマークR等が表示された実線で示す四角の周囲は最終的に断裁等により除去される余白部分で、最終的に実線で示す四角部分がポスターの本体となるのである。
【0026】
前記枚葉状の印刷紙S1の余白部分には、例えば四角形のマークMが印刷されている。このマークMの形状や大きさに制限はなく、三角形や五角形或いはそれ以上の多角形でも構わず、更に星型や楕円、各種直線と曲線の組合せ、ロゴや文字等であっても構わない。更にマークMの色にも制限はなく、読み取りセンサの能力に合わせた形状、大きさ、色のマークを適宜選択すればよい。
【0027】
図3(A)に示すように、表面をフィルムシートFにより被覆する予定の枚葉状の印刷紙S1は、図1において斜線で示す、お互いの前後の端部を重ね合わせながら順次ラミネートローラ22a、22bに送り込まれる。そしてその状態でフィルムシートFを被覆されると下流の工程へニップローラ23a、23bにより送り出されるのである。
【0028】
フィルムシートFは図2(A)に示すように二軸延伸ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、アセテート、ポリカーボネート等の比較的腰の強い基材11の一方の面に公知の感熱接着剤層12を形成したものである。なお基材11のもう一方の面はコロナ処理、プラズマ処理等の表面処理が施されていても構わない。
【0029】
前記作業中に例えば下流の工程で不具合が発生した場合に停止スイッチを押すと、自動的にセンサKがマークMを読み取り、次いでエンコーダやスリット板或いはCPUとクロックパルスゼネレータの組み合わせを介したパルス演算等の送り距離測定方式により、図3(B)及び図4に示すように既述の端部の重なり部分まで進行して停止するよう予め設定されている。この重なり合って停止している部分は、元々断裁により除去される余白部分のため、仮にラミネートローラ22a、22bの熱によりフィルムシートFがダメージを受けても何ら影響をうけることがないのである。なお図4中のフィルムシートFは複雑化を防ぐために1層で表現している。
【0030】
なお、本実施例では、枚葉状の印刷紙を前後の端部を重ね合わせる方法で送り出し被覆しているが、送り出しの態様はこれに限られる訳ではない。例えば前後する枚葉状の印刷紙S1の端部を突き合わせた状態で送り出す場合には停止時に図5の状態になる。或いは前後する枚葉状の印刷紙S1の端部を等間隔で送り出す場合には図6の状態になる。何れにしてもこのような停止位置であれば熱による影響を受けることはない。
【0031】
前記前後する枚葉状の印刷紙S1の端部を突き合わせた状態で送り出す場合や等間隔で送り出す場合には、図7に示すように、先行する枚葉状の印刷紙S1の後端部をラミネートローラ22a、22b間に停止させておいて、後続の枚葉状の印刷紙S1は上流の任意の位置に待機させておいても構わない。その場合は再スタートの際に、後続の枚葉状の印刷紙S1がヒートローラ22a、22bに送り込まれ任意の位置に到達した時点で始動を開始すればよいのである。また端部を重ね合わせる場合でも、例えば図8に示すように、停止の際に後続の枚葉状の印刷紙S1を重ね合わせることができるように先行の枚葉状の印刷紙S1の後端部をヒートローラ22a、22bに入り込む手前で停止させておけばよい。
【0032】
[実施例2:任意位置自動停止制御を用いた枚葉状の印刷紙のラミネート方法]
次に実施例1の手段を用いた枚葉状の印刷紙のラミネート方法について説明する。
図9に示すように、複数の枚葉状の印刷紙S1が図中左下に積載される。そして最上面から一枚ずつ例えば吸着パッド20により搬送テーブルへ送り出される。なお、前記吸着パッド20以外にフィードローラ等他の公知の給紙手段を使用しても構わない。枚葉状の印刷紙S1は用紙前後の端部(図1の斜線部分)を重ね合わせるようにして送り出されるのであるが、既述の通り端部を付き合わせるか或いは等間隔で隙間を開けるようにして送り出しても構わない。
【0033】
送り出された枚葉状の印刷紙S1はニップローラ21a、21bに挟まれて下流のラミネートローラ22a、22bへと送り出されるのであるが、途中に設けられた識別センサKが通過する枚葉状の印刷紙S1の余白部分に記載されているマークMを何時でも読み取り可能な状態で待機している。
【0034】
ラミネートローラ22a、22bでは上方及び/又は下方(図中破線で表す)に待機しているロールから繰り出されるフィルムシートFの感熱接着剤層12側と枚葉状の印刷紙S1の表面及び/又は裏面が整合され、加熱・加圧処理が施されることで両者は剥離不能に接着されるのである。
【0035】
フィルムシートFの被覆が完了した枚葉状の印刷紙S1は、下流のニップローラ23a、23bに挟まれて更に下流のニップローラ24a、24bへ送られる。下流側のニップローラ24a、24bは常時上流側のニップローラ23a、23bよりも高速で回転しているが、通常は上側のニップローラ24aが上方に持ち上がっているため、通過する枚葉状の印刷紙S1に影響を与えることがない。しかるに前後する枚葉状の印刷紙S1同士の重ね合わせ部分が既述の上下流のニップローラ23a、23b及び24a、24b間に送り込まれると前記下流上側のニップローラ24aが押し下げられて、先行する枚葉状の印刷紙S1を挟みこむと共に急激に強く送り出そうとする。その際上下流の各ニップローラの速度差による衝撃により、一番脆弱な重ね合わせ部分の段差部分のフィルムシートFから破断され、前後する枚葉状の印刷紙S1同士は分離されるのである。
【0036】
なお、フィルムシートFの端縁に、ロールから繰り出されてラミネートローラ22a、22bに至る経路において、カッタ等により連続的に切り込みを設けたり、或いはロールの巻き端部分に予めミシン目等を連続的に設けておけば、その部分がフィルムシートFの破断の端緒となり破断を促進するため、前記長尺状の印刷紙S1と共に破断がよりスムーズに行われる。
【0037】
このようにしてフィルムシートが被覆されると共に、1枚毎に分離された枚葉状の印刷紙S1は、その後断裁工程や折り工程に移行して最終製品に仕上げられるのである。
【0038】
なお、前記工程中において何らかの停止せざるを得ない理由が生じた場合に停止操作を行うと、ニップローラ21a、21b及びヒートローラ22a、22b間に設置した識別センサKが、通過する枚葉状の印刷紙S1の余白部分に記載されているマークMを瞬時に読み取り、必ず図1(A)に示す斜線部分で図4の状態に停止するよう駆動系に指令を出し既述の位置に停止させる。従って枚葉状の印刷紙S1の破損等は発生しない。
【0039】
[実施例3:任意位置自動停止制御を用いた情報通信体の製造方法1]
次に実施例1の手段を用いた枚葉状の印刷紙の情報通信体の製造方法について説明する。
図10は本実施例3で使用される枚葉状の印刷紙S2の表面図及び裏面図である。同図(A)に示すように、枚葉状の印刷紙S2には2丁の二つ折り葉書用紙t1が面付けされている。そしてそれぞれの二つ折り葉書用紙t1の周囲には断裁位置を示すレジスターマークRが記載されている。二つ折り葉書用紙t1は第一葉片41及び第二葉片42が折り線43(必ずしも表示する必要はなくミシン目や折り筋に代えても構わない)を介して連接されている。
【0040】
第一葉片41表面には郵便切手欄、郵便番号欄及び受取人の住所氏名(後ほどプリンタ等により印字されても構わない)等が記載され、第二葉片42表面には宣伝広告等の一般情報44が記載されている。また図10(B)に示すように、二つ折り葉書完成後に内側に対向して折り畳まれる第一葉片41及び第二葉片42裏面には、受取人の個人情報45(一般情報でもよく、個人情報と一般情報が混載されていても構わない)が記載されている。
【0041】
既述の通り構成された枚葉状の印刷紙S2は、図11に示すように図中左下に複数枚積載される。そして最上面から一枚ずつ、例えば吸着パッド50により搬送テーブルへ等間隔で順次送り出される。なお、前記吸着パッド50以外にフィードローラ等他の公知の給紙手段を使用しても構わない。枚葉状の印刷紙S2は先行する枚葉状の印刷紙S2と後続のそれが一定の間隔を保つように送り出されるのであるが、端部を重ね合わせるか或いは突き合わせるようにして送り出しても構わない。
【0042】
送り出された枚葉状の印刷紙S2はニップローラ51a、51bに挟まれて下流のラミネートローラ52a、52bへと送り出されるのであるが、途中に設けられた識別センサKが通過する枚葉状の印刷紙S2の余白部分に印刷されているマークMを何時でも読み取ることができるよう待機している。
【0043】
ラミネートローラ52a、52bでは上方に待機しているロールから繰り出される疑似接着フィルムシートGと印刷紙S2の裏面(疑似接着予定面)が整合され、加熱・加圧処理が施される。疑似接着フィルムシートGは図2(B)に示すように、二軸延伸ポリプロピレンからなる基材11の一方の面にEVAからなる公知の感熱接着剤層12が形成されると共に、残るもう一方の面に疑似接着層13が形成されたものである。そして印刷紙S2の疑似接着予定面と、前記感熱接着剤層12を介して剥離不能に接着される。なお本実施例では、複雑化を避けるために疑似接着フィルムシートGを1層で表している。
【0044】
疑似接着フィルムシートGにより連続状態に繋がった枚葉状の印刷紙S2は、図12に示すように、スリッタ53a、53bにより両側の流れ方向の余白部分Xを切除すると共に、中央の折り線43にミシン刃54a、54bにより折り用のミシン目Pを形成する。そして下流のニップローラ55a、55bに牽引され更に下流の折り畳み装置56へと送り出されるのである。
【0045】
折り畳み装置56で図13の状態に二つ折に折り畳まれた枚葉状の印刷紙S2はサポートローラ57に引き上げられた後に、ほぼ水平に向きを変えてニップローラ58a、58bに牽引され更に下流へ送り出される。
【0046】
前記ニップローラ58a、58bの下流には例えば断裁刃59aと固定刃59bとからなる断裁装置により、図13に示すように光電センサK′が通過するマークM′を読み取ると予め定められた距離に従って余白Y、Y′部分を連続的に断裁することにより一体化前の単品の二つ折り葉書t1が切り出される。そして更に下流の一体化工程へニップローラ60a、60bにより送り出されるのである。
【0047】
一体化工程では一対の搬送ローラ61a、61bと一対のヒータパネル62a、62bが交互に配置されており、単品の二つ折り葉書t1はその中を通過する際に前記ヒータパネル62a、62b群に十分加熱され、尚且つヒートローラ63a、63bにより加熱・加圧処理が施される。そして前記処理により二つ折り葉書の内面側で対向する疑似接着層同士が剥離可能に疑似接着し、全体として一体化されるのである。
このように完成された二つ折り葉書は、ベルトコンベア等からなるスタッカ64に順次排出されて積載される。そしてまとめられた後に郵送手配されるのである。
【0048】
なお、前記工程中において何らかの停止せざるを得ない理由が生じた場合に停止操作を行うと、ニップローラ51a、51b及びヒートローラ52a、52b間に設置した識別センサKが、通過する枚葉状の印刷紙S2の縁辺に記載されているマークMを常時読み取っているため、必ず図13に示す余白部分Y′で停止する。従って枚葉状の印刷紙S2の破損等は発生しない。
【0049】
[実施例4:任意位置自動停止制御を用いた情報通信体の製造方法2]
本実施例は前記実施例3の工程を二分割したものである。図14に示すように前期実施例の図12に相当する状態(両側の流れ方向の余白部分Xを切除すると共に、中央にミシン目Pを形成した状態)に仕上げた印刷紙S2を一旦ワインダーW等の装置により巻き取る。その後図15に示すように、折り畳み装置56へワインダーWから送り出す製造方法である。
なお、前記の分割に限られることはなく、何れの工程間で分割しても構わず、さらに分割の数にも制限はない。
【0050】
本実発明は上記実施例に限られるものではない。
例えば、フィルムシートF及び疑似接着フィルムシートGは各実施例において上方で待機しているが、各図中破線で示すように下方から供給されても構わず、或いは上下方から同時に繰り出して印刷紙の両面を被覆するようにしても構わない。
【0051】
前記上下方から繰り出すケースは、例えば3葉片が連接された三つ折り葉書用紙の両面に疑似接着フィルムシートGを被覆するケース等が該当する。この場合各製造方法において折り畳み装置をZ折り等の三つ折り用に変更するだけで容易に対応することができる。
【0052】
また、例えば上方から疑似接着フィルムシートGを、下方から完全接着フィルムシートを繰り出し、三つ折り葉書用紙等の疑似接着予定面と完全接着予定面を被覆するようにしても構わない。情報通信体の態様によっては完全接着予定面のみに完全接着フィルムシートを被覆する場合があるが、要は情報通信体の態様に合せて繰り出すフィルムシートの種類を決定すればよいのである。
【0053】
さらに、任意位置自動停止手段を用いた情報通信体の製造方法では、ラミネートローラ52a、52bと下流のニップローラ55a、55b間或いは折り畳み装置56までの間において、長尺状の印刷紙S2に折りミシンや折り筋等を形成するが、この場合スリッタ53a、53b、折りミシン装置54a、54b(或いは折り筋装置)の配置に特別な制限はない。例えばスリッタ、折りミシン装置及び折り筋装置が同列に配置されていてもよいしそれぞれが前、中及び後のように順序正しく配置されていても構わない。
なお長尺状の印刷紙S2に予め折りミシンや折り筋等を形成しておけばこれら装置並びに工程を省略することができる。
【0054】
さらにまた、既述の実施例では停止位置を前後する単位印刷紙の境界付近に設定しているが、必ずしもその位置で停止する必要はない。例えば、図10に示すように、枚葉状の印刷紙S2において、情報通信体の単位印刷紙t1が2丁縦方向に並んでいる間の余白部分は最終的に除去されるので、その部分で停止するように設定しておけば何ら影響を及ぼすことはない。また情報通信体の単位印刷紙t1の内部であっても、例えば白地部分を意図的に或いは意図せずに形成しておけば、その部分を停止位置に選択しても何ら問題は起こらないのである。
【0055】
本実施例ではサーマルラミネート法に則して説明しているが、接着剤の塗布及び乾燥装置を付加することによりドライラミネート法でも適用可能なことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0056】
S1、S2 枚葉状の印刷紙
R レジスターマーク
M、M′ マーク
F フィルムシート
G 疑似接着フィルムシート
K、K′ 識別センサ
t1 情報通信体の単位印刷紙
X、Y、Y′ 余白部分
P ミシン目
W ワインダー
11 基材
12 感熱接着剤層
13 疑似接着層
20 吸着パッド
21a、21b、23a、23b、24a、24b、51a、51b、55a、55b、58a、58b、60a、60b ニップローラ
22a、22b、52a、52b、63a、63b ヒートローラ
41、42 葉片
43 折り線
44 一般情報
45 個人情報
57 サポートローラ
53a、53b スリッタ
54a、54b ミシン刃
56 折り畳み装置
59a 断裁刃
59b 固定刃
61a、61b 搬送ローラ
62a、62b ヒータパネル
64 スタッカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷面に非影響区域を設けた枚葉状の印刷紙にフィルムシートを被覆するラミネータにおいて、停止時に前記枚葉状の印刷紙における非影響区域が少なくとも一対からなるヒートローラにより構成されるラミネートローラ間に位置することを特徴としたラミネータの任意位置自動停止手段
【請求項2】
印刷面に非影響区域を設けた枚葉状の印刷紙を連続的に繰り出す工程、繰り出された枚葉状の印刷紙にフィルムシートを少なくとも一対のラミネートローラにより連続的に被覆する被覆工程とからなり、停止時に前記枚葉状の印刷紙における非影響区域が少なくとも一対からなるヒートローラにより構成されるラミネートローラ間に位置することを特徴とした任意位置自動停止制御を用いた枚葉状の印刷紙のラミネート方法。
【請求項3】
フィルムシートが被覆された枚葉状の印刷紙を当初の枚葉状の印刷紙毎に切断する切断工程が付加されたことを特徴とした請求項2に記載の任意位置自動停止手段を用いた枚葉状の印刷紙のラミネート方法。
【請求項4】
情報通信体の単位印刷紙が記載されると共に印刷面に非影響区域を設けた枚葉状の印刷紙を連続的に繰り出す工程、繰り出された枚葉状の印刷紙の少なくとも一方の面に疑似接着フィルムシートを連続的に被覆する被覆工程、疑似接着フィルムシートが被覆された枚葉状の印刷紙の流れ方向の余白部分を切除する切除工程及び折りミシン及び/又は折り筋を形成する折り手段形成工程、流れ方向の余白部分が切除される共に折りミシン及び/又は折り筋が形成された枚葉状の印刷紙を折り畳む工程、折り畳まれた枚葉状の印刷紙を単位印刷紙毎に仕上げる断裁工程、断裁された単位印刷紙を剥離可能に一体化する一体化工程とからなる情報通信体の製造方法であって、停止時に前記枚葉状の印刷紙における非影響区域が少なくとも一対からなるヒートローラにより構成されるラミネートローラ間に位置することを特徴とした任意位置自動停止ラミネータを用いた情報通信体の製造方法。
【請求項5】
切除工程で排出される枚葉状の印刷紙を巻き取る巻取り工程を追加し、改めて前記巻き取られた枚葉状の印刷紙を折畳み工程へ送り出すようにしたことを特徴とした請求項4に記載の任意位置自動停止ラミネータを用いた情報通信体の製造方法。
【請求項6】
枚葉状の印刷紙の少なくとも一方の面の完全接着予定面に完全接着フィルムシートを被覆する被覆工程が疑似接着フィルムシートを被覆する工程或いはその前後に加えられたことを特徴とした請求項4又は5の何れかに記載の任意位置自動停止手段を用いた情報通信体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−71450(P2013−71450A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228348(P2011−228348)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000105280)ケイディケイ株式会社 (99)
【Fターム(参考)】