説明

ラミネータの任意位置自動停止手段及びそれを用いた長尺状の印刷紙のラミネート方法並びにそれを用いた情報通信体の製造方法

【課題】 ヒートローラから構成される少なくとも一対からなるラミネートローラを使用したラミネータで印刷紙を被覆する際に、停止を余儀なくされてもラミネートローラ間の印刷紙が汚損することがない手段を提供する。
【解決手段】 ラミネートローラ22a、22bの上流側に光電センサKを配置する。停止の際に前記光電センサKが読み取っている印刷紙縁辺に記載されたマークMにより、常時前後する印刷紙S1の境界(切取線4)をラミネートローラ22a、22b間で停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は長尺状の印刷紙にフィルムシートを連続的に被覆するラミネータと、前記ラミネータによる長尺状の印刷紙のラミネート方法並びに複数の葉片を剥離可能に折り畳み或いは切り重ねて一体化した情報通信体を前記ラミネータの任意位置自動停止手段を利用したラミネータで製造する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のラミネータを利用した情報通信体の製造方法として、例えば特開2010−769公報に記載のように、連続的に送り込まれる長尺状の印刷紙にフィルムシートを連続的に被覆して情報通信体に仕上げる方法がある。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−00769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記情報通信体の製造方法は印刷紙から情報通信体に仕上げるまでの工程が切れ目なく一貫しており、仮に作業中に何らかのトラブルが生じ一旦停止を余儀なくされた場合に、ヒートローラにより構成されたラミネートローラ間で停止した印刷紙に熱が加わるため、その部分において印刷紙に被覆されているフィルムが変形したり、さらに前記熱より宛名等トナーにより印字されている情報が溶融してしまい、それにより生じる文字のつぶれや転写により情報通信体全体を汚損してしまうことになる。従って、前記フィルムの変形により美的外観が損なわれたものや、トナーの溶融により各種情報が読み取れなくなったものは廃棄することになり、特にプライバシーの保護や情報の管理が強く要求される昨今、個人情報等が表示された廃棄物の処理に関しても厳しい制限が掛けられている。
【0005】
前記不良品の発生はやり直しのための再作業等による時間や経費のロス等の作業効率の低下を招くばかりか、仮に情報通信体の製造から発送までを行う発送代行等の業務でユーザーから受け取った顧客情報等を廃棄処理する場合に、万が一外部に漏洩してしまう等のミスを犯すとユーザーの著しい不信を招くばかりか損害賠償請求等の大きな問題に発展しかねない。
本発明は、前記問題に鑑み、ヒートローラにより構成されたラミネートローラ間で停止する際に不良品を発生することがないラミネータの任意位置自動停止手段と、それを用いた長尺状の印刷紙のラミネート方法並びにそれを用いた情報通信体の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のラミネータの任意位置自動停止手段は、長尺状の印刷紙にフィルムシートを被覆するラミネータにおいて、停止指令を掛けた際に前記ラミネータを構成する少なくとも一対からなるラミネートローラの上流或いは下流に設置された識別センサにより、通過する長尺状の印刷紙を構成する単位印刷紙毎に表示されているマークを読み取り、通過する単位印刷紙を前記ラミネートローラに対して予め設定した任意の位置で停止するように制御したことを特徴としている。
【0007】
また、上記目的を達成するために、本発明の任意位置自動停止制御を用いた長尺状の印刷紙のラミネート方法は、任意の位置に識別センサにより識別可能な図形を表示した長尺状の印刷紙にフィルムシートを被覆するラミネータにおけるラミネート方法であって、任意の位置に識別センサにより識別可能なマークを表示した長尺状の印刷紙を連続的に繰り出す工程、繰り出された印刷紙の表面にフィルムシートを被覆する被覆工程とからなるラミネータにおいて、停止指令を掛けた際に前記ラミネータを構成する少なくとも一対からなるラミネートローラの上流或いは下流に設置された識別センサにより、通過する長尺状の印刷紙を構成する単位印刷紙毎に表示されているマークを読み取り、通過する単位印刷紙を前記ラミネートローラに対して予め設定した任意の位置で停止するように制御したことを特徴としている。
【0008】
なお、前記任意位置自動停止制御を用いた長尺状の印刷紙のラミネート方法では、さらにフィルムシートが被覆された長尺状の印刷紙を単位印刷紙毎に切断する切断工程が付加されても構わない。
【0009】
さらに、上記目的を達成するために、本発明の任意位置自動停止手段を用いた情報通信体の製造方法は、任意の位置に識別センサにより識別可能なマークを表示した単位情報通信体用印刷紙を連接した長尺状の印刷紙を連続的に繰り出す工程、繰り出された長尺状の印刷紙の少なくとも一方の面の疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートを被覆する被覆工程、疑似接着フィルムシートが被覆された長尺状の印刷紙のマージナル部分を切除する第一の切除工程及び折りミシン及び/又は折り筋を形成する折り手段形成工程、マージナル部分を切除されると共に折りミシン及び/又は折り筋が形成された長尺状の印刷紙を折り畳む折畳み工程、折り畳まれた長尺状の印刷紙の残ったマージナル部分を切除する第二の切除工程、残ったマージナル部分を切除した長尺状の印刷紙を単位印刷紙毎に仕上げる断裁工程、断裁された単位印刷紙を剥離可能に一体化する一体化工程とからなる情報通信体の製造方法において、停止指令を掛けた際に前記被覆工程を構成する少なくとも一対からなるラミネートローラの上流或いは下流に設置された識別センサにより、通過する長尺状の印刷紙を構成する単位情報通信体用印刷紙毎に表示されているマークを読み取り、通過する単位情報通信体用印刷紙を前記ラミネートローラに対して予め設定した任意の位置で停止するように制御したことを特徴としている。
【0010】
前記任意位置自動停止手段を用いた情報通信体の製造方法では、情報通信体の態様によっては疑似接着フィルムシートシートの他に完全接着フィルムシートを使用しても構わない。この場合疑似接着フィルムシートの被覆工程と同時に行うことが効率的である。
【0011】
なお、前記任意位置自動停止手段を用いた情報通信体の製造方法のマージナル部分を切除する第一及び第二の切除工程は、前記箇所に限らず、他の各工程間或いは他の工程の任意の位置に配置しても構わず、さらに第一の切除工程を省略して第二の切除工程で一挙に両マージナル部分を切除するようにしても構わない。
【0012】
また、前記任意位置自動停止手段を用いた情報通信体の製造方法では、折ミシンや折り筋等を施す工程が省略されていても構わない。その場合長尺状の印刷紙に予め折ミシンや折筋等が形成されていることが好ましい。
【0013】
さらにまた、前記任意位置自動停止手段を用いた情報通信体の製造方法では、断裁工程と一体化工程を入れ替えても構わない。
【0014】
既述の任意位置自動停止手段、任意位置自動停止制御を用いた長尺状の印刷紙のラミネート方法及び任意位置自動停止手段を用いた情報通信体の製造方法において、前記停止位置を通過する単位印刷紙或いは単位情報通信体用印刷紙の境界付近に設定しておけば後述する理由により極めて至便である。
【0015】
前記識別センサとしてカラーセンサ(ファイバーセンサを含む)等光電センサやCCDカメラ等の視覚センサを好適に使用することができる。
【0016】
本発明に適用可能な長尺状の印刷紙は、公知の上質紙、マットコート紙、グロスコート紙、合成紙、各種樹脂等を好適に使用することができる。また長尺状の印刷紙の斤量や銘柄にも制限はない。
【0017】
本発明に使用可能なフィルムシートは、市販のサーマルラミネート法やドライラミネート法に対応したプリントラミネート用のフィルムシートを好適に使用することができるが、二軸延伸ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリエステル、アセテート等の樹脂フィルムをそのまま、或いは感熱接着剤層を形成して使用しても構わない。
【0018】
本発明に使用可能な疑似接着フィルムシートは、例えば二軸延伸ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等からなる基材の片面に疑似接着層を形成したものや、前記片面に疑似接着層を形成した基材の残るもう一方の面に公知の感熱接着剤層を形成したもの等が好適に使用できる。なお、前者はドライラミネート法、後者はサーマルラミネート法で使用されているが、市販されているそのようなものとして商品名「ハガキフィルムドライ」(ケイディケイ株式会社製)や商品名「ハガキフィルムサーマル」(ケイディケイ株式会社製)等がある。
【0019】
前記疑似接着フィルムシートは、例えば情報通信体を構成する印刷物の疑似接着予定面に被覆して、その後疑似接着予定面同士を折り合わせ疑似接着層同士を対向させて加圧或いは加熱・加圧処理を施すと剥離可能に接着するものである。そして疑似接着後に前記対向面同士を引き剥がすと、疑似接着層同士の界面から剥離するか、或いは基材と何れかの疑似接着層との間から剥離するか、さらに前記両者の剥離が複合的に起こり、対向面同士を容易に剥離することができるのである。
【0020】
本発明に使用可能な完全接着フィルムシートは、例えば、二軸延伸ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、アセテート等の基材の一方の面にヒートシール処理層を形成したものや、前記片面にヒートシール処理層を形成した基材の残るもう一方の面に公知の感熱接着剤層を形成したもの等が好適に使用できる。なお、前者はドライラミネート法、後者はサーマルラミネート法で使用されているが、ドライラミネート法で商品名「アルファンHS」(王子特殊紙株式会社製)や「片面ヒートシールグレード」(フタムラ株式会社製)、サーマルラミネート法で商品名「ハガキフィルムクローズ」(ケイディケイ株式会社製)が好適に使用できる。
【0021】
前記完全接着フィルムシートは、例えば情報通信体を構成する印刷物の完全接着予定面に被覆して、その後完全接着予定面同士を折り合わせヒートシール処理層同士を対向させて加圧或いは加熱・加圧処理を施すと剥離不能に接着するものである。
【0022】
本発明のラミネータで使用されるラミネートローラは、例えば上側に鏡面加工の金属製ヒートローラを配置し、下側にゴムライニングが施されたバックアップローラを配置した一対のローラで構成されるものや、上下共にゴムライニングが施された一対のヒートローラで構成されるもの等を好適に採用することができるが、構成の態様や数量等はこれに限られるものではない。
【0023】
ラミネートローラの上流或いは下流側に配置される識別センサは、装置に停止命令が掛けられた際に通過するマークを読み取る。そして通過距離を演算した後に予め設定しておいた距離で停止するように駆動系に指令を出す。前記予め設定しておいた停止距離は、例えば単位印刷紙が連接された長尺状の印刷紙の、単位印刷紙の任意の位置に記載されたマークから、前記単位印刷紙の後端(続く単位印刷紙の前端に該当する)までの距離とすることができる。そのように設定しておけば、単位印刷紙同士の繋ぎ目に情報が記載されることがないためラミネートローラを構成するヒートローラの熱によるフィルムシートの変形は問題にならず、またトナー等の印字が施されることもないため溶融による汚損もない。
【発明の効果】
【0024】
本発明のラミネータの任意位置自動停止手段によれば、作業中ラミネータを停止しても単位印刷紙の予め指定した場所で停止する。従って、作業中に停止しても影響のない長尺状の印刷紙の任意の位置(例えば単位印刷紙同士の繋ぎめ等)を指定しておけば、仮に何らかの事情により作業を停止しても不良品が発生することがなくなる。また任意位置自動停止手段を用いたラミネータによる情報通信体の製造方法では、トナー印字により個人情報の打ち出しが不可欠の情報通信体の製造において、例えば前記停止位置を連接する単位情報通信体用用紙の繋ぎ目に設定しておけば、被覆されたフィルムシートの変形やトナーの溶融等による不良品の発生がなくなり、やり直しのための再作業等による時間や経費のロス等を回避することができるため、作業効率が向上すると共に顧客からの信頼も高まり損害賠償請求等に関わる大きな問題が起こらない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明で使用される長尺状の印刷紙の表面図である。
【図2】(A)及び(B)は本発明で使用されるフィルムシート及び疑似接着フィルムシートのそれぞれ厚さ方向の部分拡大図である。
【図3】(A)及び(B)は本発明のラミネータの任意自動停止手段を経時的に説明するラミネータの要部概略図である。
【図4】図3(B)における一対のラミネートローラ部分の拡大図である。出す場合の停止状態を示す要部概略図である。
【図5】本発明の任意位置自動停止手段を用いたラミネート印刷紙の製造方法の要部概略図である。
【図6】図5の任意位置自動停止手段を用いたラミネート印刷紙の製造方法で、停止状態の一対のラミネートローラ部分の拡大図である。
【図7】(A)及び(B)は任意位置自動停止手段を用いた情報通信体の製造方法に使用する長尺状の印刷紙の表面図と裏面図である。
【図8】本発明の任意位置自動停止手段を用いた情報通信体の製造方法の要部概略図である。
【図9】任意位置自動停止手段を用いた情報通信体の製造方法における切除工程及び折りミシン及び/又は折り筋を形成する折り手段形成工程の要部概略平面図である。
【図10】(A)及び(B)は本発明の情報通信体の製造方法により製造された二つ折り葉書の断面図及び開封後の内部側平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
[実施例1:ラミネータの任意位置自動停止手段]
図1に示すように、本発明で使用される長尺状の印刷紙S1は、横方向の切取線4により単位印刷紙t1が縦方向に連接されている。そして両側にマージナル孔2が形成されたマージナル部分3を有しており、この部分は最終的に仕上がるまでに例えば破線で示す切取線1(必ずしも表示される必要はなくミシン目や折り筋等に代えても構わない)の位置でスリッタ等により切除され、横方向の切取線4(必ずしも表示される必要はなくミシン目や折り筋等に代えても構わない)部分でギロチン方式やロータリー方式のカッタ或いはダイカット方式等により断裁される。即ち図中左右に配置されている縦方向の切取線1と横方向の切取線4で囲まれる部分が最終の仕上がり製品となる。なお切取線4と重複している斜線部分は後述するヒートローラ22a、22b及び34a、34bが停止する場所で前後する単位印刷紙t1同士の繋ぎ目であるが、この部分はビジネスフォーム印刷等の長尺状の印刷紙を使用する印刷方式においては面付けの都合上印刷や各種情報が施されることはないため、仮にこの部分がラミネートローラ間に位置する時に停止しても何ら支障は起こらないのである。
【0027】
前記長尺状の印刷紙のマージナル部分3には、例えば四角形のマークMが印刷されている。このマークMの形状や大きさに制限はなく、三角形や五角形或いはそれ以上の多角形でも構わず、更に星型や楕円、各種直線と曲線の組合せ、ロゴや文字等であっても構わない。またマークMの刷り色にも制限はなく、読み取りセンサの機能に合わせたマークを選択すればよい。
【0028】
図3(A)に示すように、表面をフィルムシートFにより被覆する予定の長尺状の印刷紙S1は、ニップローラ21a、21bによりラミネートローラ22a、22bに送り込まれる。そしてフィルムシートFが貼り込み予定面と整合され被覆されると下流の工程へニップローラ23a、23bにより送り出されるのである。
【0029】
フィルムシートFは図2(A)に示すように二軸延伸ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、アセテート、ポリカーボネート等の比較的腰の強い基材11の一方の面に公知の感熱接着剤層12を形成したものである。なお基材11の残るもう一方の面はコロナ処理、プラズマ処理等の表面処理が施されていても構わない。
【0030】
前記作業中に仮に下流の工程で不具合が発生したためラミネータを停止させる場合には、停止スイッチを押すと自動的にセンサKが通過中のマークMを読み取り、次いでエンコーダやスリット板或いはCPUとクロックパルスゼネレータの組み合わせ等を介してパルスを演算することにより、図3(B)及び図4に示すように既述の繋ぎ目部分(切取線4)まで進行して停止するよう予め設定されている。
【0031】
なお本実施例では、前記パルスの演算方法では、印刷紙の種類や表面の印刷状況により長尺状シートがスリップ等を起こし、そのため実際の進行距離と設定した値との間に若干の誤差が起こり得るため、長尺状シートの両外側に設けられているマージナル孔をカウントして、繋ぎ目部分(切取線4)が一対のラミネートローラ22a、22b間に位置したタイミングで停止させる手法を採用している。
【0032】
前記手法を採用した場合、例えば停止スイッチを押すと、センサKが最初に通過するマークMを読み取った後に、マージナル孔2を7個カウントした時点で停止するように電気的制御を行う。そして予めセンサKと一対のラミネートローラ22a、22b同士の接点までの距離を前記マージナル孔2を7個進んだ長さに調整しておけば、自動的に切取線4は一対のラミネートローラ22a、22b同士の接点の間で停止することになる。
【0033】
前記繋ぎ目部分(切取線4)付近は既述の通りビジネスフォーム印刷等の面付けの都合上印刷や各種情報が施されていない。従って製品の仕上がり等において何ら問題が発生することはない。なお図4中のフィルムシートFは複雑化を防ぐために1層で表現している。そして下流の工程の不具合が解消されればそのまま作業を続行すればよいのである。
【0034】
[実施例2:任意位置自動停止手段を用いた長尺状の印刷紙のラミネート方法]
図5に示すように、折り線4から蛇腹状に折り畳まれてブロック状態になっている長尺状の印刷紙S1が図中左下に積載される。そして連続的に上方のサポートローラ31へ引き上げられた後にほぼ水平に向きを変えて下流のピントラクタ32により牽引されると共に更に下流へ送り出される。
【0035】
送り出された長尺状の印刷紙S1はニップローラ33a、33b(このニップローラは必ずしも必要ではない)に挟まれて下流のラミネートローラ34a、34bへと送り出されるのであるが、途中に設けられた識別センサKは通過する長尺状の印刷紙S1のマージナル部分3に印刷されているマークMを常時検知しているか或いはいつでも検知できる状態に設定されている。
【0036】
ラミネートローラ34a、34bでは上方で待機しているロールから繰り出されるフィルムシートFと長尺状の印刷紙S1の貼り込み予定面とが感熱接着剤層12を介して整合され、加熱・加圧処理が施されることで両者は剥離不能に接着されるのである。
【0037】
フィルムシートFの被覆が完了した長尺状の印刷紙S1は、下流のニップローラ35a35bに挟まれ更に下流のニップローラ36a、36bへと送り出される。ところで、下流側のニップローラ36a、36bは常時上流側のニップローラ35a、35bよりも高速で回転しているが、通常は上側のニップローラ36aが上方に持ち上がっているため、通過する長尺状の印刷紙S1に影響を与えることがない。しかるに切取線4部分が上流及び下流の両ニップローラ間に送り出されると下流側のニップローラ36aが押し下げられて、先行する単位印刷紙t1を挟みこんで急激に強く送り出そうとする。その際上流及び下流の両ニップローラの速度差による衝撃により、一番脆弱な切取線4部分から破断され、前後する単位印刷紙t1同士は分離されるのである。
【0038】
なお、フィルムシートFの端縁に、ロールから繰り出されてラミネートローラ34a、34bに至る経路において、カッタ等により連続的に切り込みを設けたり、或いはロールの同部分に予めミシン目等を連続的に設けておけば、その部分がフィルムシートFの破断の端緒となり破断を促進するため、前記長尺状の印刷紙S1と共に破断がよりスムーズに行われる。
【0039】
なお、前記フィルムシートFへの切り込み、或いはミシン目等の加工は、フィルムシートFの製造工程でスリット機等により巻き取る際に予めロール自体に加工しておいも構わないが、既に巻き取られ設置されたロールにギヤ状のカッタを押し付けたり、或いはロールから繰り出されて下流側のニップローラ36a、36bに至るまでの間に、ミシン装置等の穿設装置を設けておいてもよい。また上流及び下流の両ニップローラの手前にカッタ装置を配置しておいて、フィルムシートFが貼り込まれた長尺状の印刷紙の端部に切り込みや傷を付けることにより破断をスムーズに行うようにしても構わない。
【0040】
前記工程中において何らかの停止せざるを得ない理由が生じた場合に停止操作を行うと、ニップローラ33a、33b及びラミネートローラ34a、34b間に設置した光電センサKが、搬送される長尺状の印刷紙S1の任意の箇所に記載されたマークMを読み取り、図6に示すように、必ず図1に示す斜線部分(切取線4)で停止する。従って印刷紙の破損等は発生しない。
【0041】
[実施例3:任意位置自動停止手段を用いた情報通信体の製造方法]
図7は本実施例で使用される長尺状の印刷紙S2の表面図及び裏面図である。同図(A)に示すように長尺状の印刷紙S2は、第一葉片71と第二葉片72が折り線73(必ずしも表示する必要はなく折りミシンや折り筋等に代えても構わない)を介して横方向に連接された単位印刷紙t2が、切取線74(必ずしも表示する必要はなく切取りミシン等に代えても構わない)を介して縦方向に連接されている。
【0042】
第一葉片71表面には郵便切手欄、郵便番号欄及び受取人の住所氏名(後ほどプリンタ等により印字されても構わない)等が記載され、第二葉片72表面には宣伝広告等の一般情報78が記載されている。また図7(B)に示すように、二つ折り葉書完成後に内側に折り畳まれる第一葉片71及び第二葉片72裏面には、受取人の個人情報79(一般情報でもよく、個人情報と一般情報が混載されていても構わない)が記載されている。
【0043】
既述の通り構成された長尺状の印刷紙S2は、図8に示すように図中左下に切り取り線74から蛇腹に折り畳まれてブロック状態で設置される。そして上方のサポートローラ81へ引き上げられるとほぼ水平に向きを変えてピントラクタ82により搬送位置を正確に合せながら下流へ送り出されるのである。なお、前記ブロック状態の設置に際して、図7(B)に示す裏面側が上面に配置され送り出されるように設置されている。
【0044】
送り出された印刷紙S2は一対のラミネートローラ83a、83bへと送り出されるのであるが、途中に設けられた識別センサKが通過する印刷紙S2の外周縁辺に印刷されているマークMを常時検知或いはいつでも検知可能な状態で待機している。
【0045】
ラミネートローラ83a、83bでは上方で待機しているロールから繰り出される疑似接着フィルムシートGと印刷紙S2の疑似接着予定面が整合され、加熱・加圧処理が施される。疑似接着フィルムシートGは図2(B)に示すように、二軸延伸ポリプロピレンからなる基材11の一方の面にEVAからなる公知の感熱接着剤層12が形成されると共に、残るもう一方の面に疑似接着層13が形成されたものである。そして印刷紙S2の疑似接着予定面とは、前記感熱接着剤層12を介して剥離不能に接着される。なお本実施例では、複雑化を避けるために疑似接着フィルムシートGを1層で表している。
【0046】
疑似接着フィルムシートGにより連続的に被覆された長尺状の印刷紙S2は、図9に示すように、左右何れかのマージナル部分77をスリッタ84a、84bにより切除され、さらに中央の折り線73に折りミシン装置85a、85bにより折りミシンを形成しながら下流のニップローラ86a、86bに牽引され更に下流の折り畳み装置87へと送り出されるのである。
【0047】
なお、ここまでの長尺状の印刷紙S2の搬送に関して、ピントラクタ82、一対のラミネートローラ83a、83b及びニップローラ86a、86b等が積極的に同調して牽引動作してもよく、或いはニップローラ86a、86bのみが牽引して、他のものはそれに積極的に同調して牽引動作することなく長尺状の印刷紙S2と共に前記ニップローラに牽引される状態で動作するようにしても構わない。
【0048】
折り畳み装置87で二つ折に折り畳まれた長尺状の印刷紙S2はサポートローラ88に引き上げられた後に、ほぼ水平に向きを変えて下流のピントラクタ89に牽引され更に下流へ送り出される。
【0049】
そして前記ピントラクタ89の下流に設置されているスリッタ90a、90bにより残りのマージナル部分77を切除した後に、ダイカットロール91aとバックアップローラ91bとからなる断裁装置により横方向の切取線74で連続的に断裁することにより一体化前の二つ折り葉書の単位印刷紙t2が切り出されるのである。そして更に下流の一体化工程へ送り出されるのである。
【0050】
一体化工程では一対の搬送ローラ92a、92bと一対のヒータパネル93a、93bが交互に配置されており、二つ折り葉書の単位印刷紙t2はその中を通過する際に前記ヒータパネル93a、93b群により十分加熱され、加えてヒートローラ94a、94bにより加熱・加圧処理が施される。そして前記処理により二つ折り葉書の内面側で対向する疑似接着層同士が剥離可能に疑似接着し、全体として一体化されるのである。
このように完成された二つ折り葉書は、ベルトコンベア等からなるスタッカ95に順次排出されて積載される。そしてまとめられた後に郵送手配されるのである。
【0051】
なお、前記工程中において何らかの停止せざるを得ない理由が生じた場合に停止操作を行うと、ピントラクタ82及びラミネートローラ83a、83b間に設置した識別センサKが、通過する長尺状の印刷紙S2の縁辺に記載されているマークMを常時読み取っているため、必ず図6に示すように仕上がりに影響を受けることがない切取線4上で停止する。従って長尺状の印刷紙S2の破損等は発生しない。
【0052】
このようにして製造された二つ折り葉書の受取人は、図10(A)に示すように、開封側縁辺に形成されている段差部分を端緒として、第一葉片71及び第二葉片72を容易に剥離開封することができる。そして同図(B)に示すように、開封した内部の個人情報79を透明な疑似接着フィルムシートGを透して確認することができるのである。
【0053】
なお、本実発明は上記実施例に限られるものではない。
例えば、フィルムシートF及び疑似接着フィルムシートGは各実施例において上方から供給されているが、図5及び図8において破線で示すように下方から供給されても構わず、或いは上下方から同時に繰り出して印刷紙の両面を被覆するようにしても構わない。
【0054】
前記上下方から繰り出すケースは、例えば3葉片が連接された三つ折り葉書用紙の両面に疑似接着フィルムシートGを被覆するケース等が該当する。この場合各製造方法において折り畳み装置を三つ折り用に変更するだけで容易に対応することができる。
【0055】
また、例えば上方から疑似接着フィルムシートGを、下方から完全接着フィルムシートを繰り出し、三つ折り葉書用紙等の疑似接着予定面と完全接着予定面を被覆するようにしても構わない。情報通信体の態様によっては完全接着予定面のみに完全接着フィルムシートを被覆する場合があるが、要は情報通信体の態様に合せて繰り出すフィルムシートの種類を決定すればよいのである。なお、完全接着フィルムシートの構成は、図2(B)に示す疑似接着フィルムシートGの疑似接着層13をヒート処理層に代えたものを好適に使用することができる。
【0056】
また、前記実施例3において、マージナル部分77を段階的に分けて切除しているが、下流側のスリッタ90a、90bにより一挙に切除しても構わない。この場合切断端面が揃い開封し辛くなるため、上流側のスリッタ84a、84bに代えてマイクロミシン刃を設置して、いずれかの葉片の開封端辺の内方に沿って開封用のミシン目を形成しておけば、その部分を破断して容易に開封することができる。
【0057】
さらに、任意位置自動停止手段を用いた情報通信体の製造方法では、ラミネートローラ83a、83bと下流のニップローラ86a、86b間或いは折り畳み装置87までの間において、長尺状の印刷紙S2に折りミシンや折り筋等を形成するが、この場合スリッタ84a、84b、折りミシン装置85a、85b(或いは折り筋装置)の配置に特別な制限はない。例えばスリッタ、折りミシン装置及び折り筋装置が同列に配置されていてもよいしそれぞれが前、中及び後のように順序正しく配置されていても構わない。
なお長尺状の印刷紙S2に予め折りミシンや折り筋等を形成しておけばこれら装置並びに工程を省略することができる。
【0058】
さらにまた、既述の実施例では停止位置を前後する単位印刷紙の境界付近に設定しているが、必ずしもその位置で停止する必要はない。例えば、単位印刷紙の表面で停止しても影響がない場所があれば、その部分で停止するように設定しても構わず、前記影響がない部分を意図的に設けておくこともできる。
【0059】
本実施例ではサーマルラミネート法に則して説明しているが、接着剤の塗布及び乾燥装置を付加することによりドライラミネート法でも適用可能なことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0060】
S1、S2 長尺状の印刷紙
M マーク
F フィルムシート
G 疑似接着フィルムシート
K 識別センサ
t1、t2 単位印刷紙
1、4、74、75 切取線
2、76 マージナル孔
3、77 マージナル部分
71 第一葉片
72 第二葉片
73 折り線
74 切取線
78 一般情報
79 個人情報
11 基材
12 感熱接着剤層
13 疑似接着層
21a、21b、23a、23b、33a、33b、35a、35b、36a、36b、86a、86b ニップローラ
22a、22b、34a、34b、83a、83b ラミネートローラ
31、81、88 サポートローラ
32、82、89 ピントラクタ
84a、84b、90a、90b スリッタ
85a、85b 折りミシン装置
87 折り畳み装置
92a、92b 搬送ローラ
93a、93b ヒータパネル
94a、94b ヒートローラ
95 スタッカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の印刷紙にフィルムシートを被覆するラミネータにおいて、停止指令を掛けた際に前記ラミネータを構成する少なくとも一対からなるラミネートローラの上流或いは下流に設置された識別センサにより、通過する長尺状の印刷紙を構成する単位印刷紙毎に表示されているマークを読み取り、通過する単位印刷紙を前記ラミネートローラに対して予め設定した任意の位置で停止するように制御したことを特徴としたラミネータの任意位置自動停止手段。
【請求項2】
停止指令を掛けた際に停止する位置が通過する前後の単位印刷紙の境界付近であることを特徴とした請求項1に記載のラミネータの任意位置自動停止手段。
【請求項3】
任意の位置に識別センサにより識別可能な図形を表示した長尺状の印刷紙にフィルムシートを被覆するラミネータにおけるラミネート方法であって、任意の位置に識別センサにより識別可能なマークを表示した長尺状の印刷紙を連続的に繰り出す工程、繰り出された印刷紙の表面にフィルムシートを被覆する被覆工程とからなるラミネータにおいて、停止指令を掛けた際に前記ラミネータを構成する少なくとも一対からなるラミネートローラの上流或いは下流に設置された識別センサにより、通過する長尺状の印刷紙を構成する単位印刷紙毎に表示されているマークを読み取り、通過する単位印刷紙を前記ラミネートローラに対して予め設定した任意の位置で停止するように制御したことを特徴とした任意位置自動停止制御を用いた長尺状シートのラミネート方法。
【請求項4】
フィルムシートが被覆された長尺状シートを単位印刷紙毎に切断する切断工程が付加されたことを特徴とした請求項3に記載の任意位置自動停止制御を用いた長尺状シートのラミネート方法。
【請求項5】
停止指令を掛けた際に停止する位置が移動する前後の単位印刷紙の境界付近であることを特徴とした請求項3又は4の何れかに記載の任意位置自動停止手段を用いた長尺状シートのラミネート方法。
【請求項6】
任意の位置に識別センサにより識別可能なマークを表示した単位情報通信体用印刷紙を連接した長尺状の印刷紙を連続的に繰り出す工程、繰り出された長尺状の印刷紙の少なくとも一方の面の疑似接着予定面に疑似接着フィルムシートを被覆する被覆工程、疑似接着フィルムシートが被覆された長尺状の印刷紙のマージナル部分を切除する第一の切除工程及び折りミシン及び/又は折り筋を形成する折り手段形成工程、マージナル部分を切除されると共に折りミシン及び/又は折り筋が形成された長尺状の印刷紙を折り畳む折畳み工程、折り畳まれた長尺状の印刷紙の残ったマージナル部分を切除する第二の切除工程、残ったマージナル部分を切除した長尺状の印刷紙を単位印刷紙毎に仕上げる断裁工程、断裁された単位印刷紙を剥離可能に一体化する一体化工程とからなる情報通信体の製造方法において、停止指令を掛けた際に前記被覆工程を構成する少なくとも一対からなるラミネートローラの上流或いは下流に設置された識別センサにより、通過する長尺状の印刷紙を構成する単位情報通信体用印刷紙毎に表示されているマークを読み取り、通過する単位情報通信体用印刷紙を前記ラミネートローラに対して予め設定した任意の位置で停止するように制御したことを特徴とした任意位置自動停止手段を用いた情報通信体の製造方法。
【請求項7】
停止指令を掛けた際に停止する位置が移動する前後の単位情報通信体用印刷紙の境界付近であることを特徴とした請求項6に記載の任意位置自動停止手段を用いた情報通信体の製造方法。
【請求項8】
長尺状の印刷紙の少なくとも一方の面の完全接着予定面に完全接着フィルムシートを被覆する被覆工程を疑似接着フィルムシートを被覆する工程と同時に行うか或いはその前後に加えられたことを特徴とした請求項6又は7の何れかに記載の任意位置自動停止手段を用いた情報通信体の製造方法。
【請求項9】
各工程間或いは工程の任意の位置に、マージナル部分を切除する切除工程を配置したことを特徴とした請求項6乃至8の何れかに記載の任意位置自動停止手段を用いた情報通信体の製造方法。
【請求項10】
第一の切除工程を省略し第二の切除工程で両マージナル部分を一挙に切除することを特徴とした請求項6乃至8の何れかに記載の任意位置自動停止手段を用いた情報通信体の製造方法。
【請求項11】
折ミシン及び/又は折り筋を施す工程が省略されたことを特徴とした請求項6乃至10の何れかに記載の任意位置自動停止手段を用いた情報通信体の製造方法
【請求項12】
断裁工程と一体化工程が入れ替わったことを特徴とした請求項6乃至11の何れかに記載の任意位置自動停止手段を用いた情報通信体の製造方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−59996(P2013−59996A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219610(P2011−219610)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000105280)ケイディケイ株式会社 (99)
【Fターム(参考)】