説明

ラメラ状酸化鉄(III)

本発明は、少なくとも50重量%、より好ましくは75重量%のラメラ構造を有する酸化鉄(III)に関する。本発明は、また、ラメラ状の酸化鉄(III)の製造方法及びその用途に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも50重量%、より好ましくは75重量%のラメラ構造を有する酸化鉄(III)に関する。
【0002】
本発明は、さらに、ラメラ状酸化鉄(III)の製造方法に関する。
【0003】
さらに、本発明は、ラメラ状酸化鉄(III)の利用に関する。
【背景技術】
【0004】
酸化鉄(III)は、典型的には赤から黒の結晶の形状を有する。鉱物学において常磁性に変化したものはヘマタイトと呼ばれている。ヘマタイトは、微細な鱗片状、板状、板様又は緻密な結晶、又は粒状物、又は粒子の形状を有する。微細な鱗片状、板状、板様の形状であるため、酸化鉄(III)は、鉄マイカ(Feマイカ)の名前で一般に知られている。
【0005】
本願では、ラメラ構造とは、微細な鱗片状、板状、板様の形状の酸化鉄(III)を意味する。
【0006】
酸化鉄(III)は、この構造が有効である多くの分野で使用されている。これは、特にフィルム、塗膜、種々のコーティング剤に有効であり、顔料として酸化鉄(III)は適切なバインダーと混合され、屋外の鋼構造物等の基材に塗布される。ラメラ状酸化鉄(III)粒子の存在により、コーティング膜は、障壁効果、遮蔽効果、高い耐摩耗性、そして強化されたカラーフィルムを提供する。コーティング膜の耐性とは、通常、障壁効果、遮蔽効果を意味する。一般に、それはコーティング剤を基礎部分に塗布することにより達成することができ、板状酸化鉄(III)粒子は基礎部分の表面に対し実質的に平行に
配向し、一部が互いに重なり合っている。これにより「浸透」の通路が長くなる結果、腐食活性物質の侵入(「浸透」)が阻止される(障壁効果)。同様に、紫外線や赤外線の放射等の環境的な影響因子による基礎部分やバインダーに対する急激な損傷は、その放射を、板状物質により又はその上で偏向又は反射することにより、温度変動を抑制することができる(遮蔽効果)。
【0007】
別の有利な効果として、機械的な摩耗に関し、耐負荷能力が増加することを挙げることができる。機械的摩耗だけでなく、コーティング膜の溶媒を蒸発させたり、加湿や乾燥によって、従来のコーティング膜は速やかに悪影響と損傷を受ける。コーティング膜に含まれるラメラ状酸化鉄(III)による補強効果により、その摩耗を抑制することができる。
【0008】
しかしながら、提供されるラメラ構造を有する天然の酸化鉄(III)の粒径は60又は50μmであるという問題がある。粒径はせいぜい30μmに小さくすることができる程度であり、これは30μmより大きい粒子だけが、損傷を受けていないラメラを有しているからである。そのため、今までの酸化鉄(III)についての前述の利点は、30μmよりも大きい粒径のものを用いた場合のみに得られるものである。30μmより小さい酸化鉄(III)の篩い残分を少量用いる場合でさえ、それは不合格品とみなされる。特に、粒径の小さい酸化鉄(III)は、コーティング剤に有効とは考えられていない。なぜなら、粒径の小さいものは、ラメラ構造を有する粒子の割合が非常に低い粒状物の混合物として存在しているためであり、ラメラ構造による有利な効果は認められなかった。
【0009】
本願に先立って出願人により発行された、名称が「MIOX MICRO−Serie」である天然鉄マイカに関するデータシートには、主にコーティング剤に使用されている製品(MICRO 30,MICRO 40,MICRO 50)が記載されており、ラメラ部分が90%であって、32μm、40μm、そして50μmにおける篩い残分が2%である。最大粒径が最も小さい試料(MICRO 30)の粒子累積曲線(粒径分布のグラフ表示)は、粒子の非常にわずかな部分が微細領域にあることを示している。
【0010】
同様の酸化鉄の製品については、特開昭61−031318号公報や特開平02−194072号公報にも記載されている。
【0011】
先行技術においては、天然の鉄マイカは、特にコーティング剤に用いた場合にさらに問題があると言われている。英国のピーターリー(Peterlee)のMPLC研究所のE. V. CarterとR. D. Laundonによる「保護コーティング剤の顔料として用いる合成ラメラ状酸化鉄の製造」と題する科学論文と、E. Carterの「合成ラメラ状酸化鉄:耐腐食性プライマー用の新規顔料」と題する科学論文には、天然の鉄マイカには予想外に粒状粒子と不規則形状の粒子の割合が多く、そして試料には好ましくない不純物、すなわち、パイライト等の硫黄鉱物、珪酸塩、炭酸塩等の随伴鉱物が多いため、コーティング膜の耐食性、用いるバインダーに対する付着力、耐久性、そして信頼性に対し悪影響を与えることが記載されている。
【0012】
そのため、天然の鉄マイカのそのような問題点を解決すべく、合成酸化鉄(III)を用いることが提案されている。多くの場合、合成の板状鉄マイカ粒子を製造するのに用いられている方法は、従来の化学的な方法であり、例えば、前述の科学論文に記載されている。
【0013】
特開平2−024364号公報には、酸化鉄粒子からの磁性酸化鉄顔料の製造が記載されており、その酸化鉄粒子は直径が5〜200μm、厚さが約0.1〜5μmであり、還元ガス条件で特定組成に還元され、その後で磁性酸化鉄に酸化される。
【0014】
ほとんどの場合、合成鉄マイカには、製造方法が高コストであり、複雑であり、そして多機能でない、という問題がある。プロセス技術の転換又は装置の転換を行うことなく、実質的に同一又は同様の粒径を有する板状の鉄マイカ粒子の単一粒子だけを提供することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、多用途に適用可能で低コストであるラメラ構造の酸化鉄(III)を提供することであり、その酸化鉄はより多くのラメラ構造を含み、かつ微細な粒径を含むものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によれば、この目的は天然の酸化鉄(III)を機械的に処理することにより達成され、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも90重量%が、粒径が10μmより小さい酸化鉄(III)を提供する。
【0017】
本発明によれば、機械的に処理される酸化鉄(III)を、超微粉砕する、すなわち磨り潰すことができる。好ましくは、機械的処理は以下の方法を用いて行うことができる。
【0018】
本発明においては、天然の酸化鉄(III)とは、天然資源、天然堆積物から一次的に採取された鉄粒子を意味する。
【0019】
ラメラ部分が増加し10μmより小さい粒径を有する酸化鉄(III)、を含む最終製品は、品質を向上させ用途を増加させる。この製品は、薄膜のコーティング膜が重要な産業分野だけでなく、一般的に、フィルムやコーティング膜に用いることができる。板状粒子の微細な大きさと粒径分布により、塗布される基礎部分への塗布に際し、板状粒子の配向と重なり合いが容易かつ速やかに行われる。バラバラで、大きさの異なる板状粒子が実質的に基礎部分に対し平行に並んだ状態である配向は、横向きに配列したり、直立した粒子により、すなわち、所望の向きに配向していない粒子により妨げられる。この粒子による望ましくない配向は、他の隣接する板状粒子が配向することにより自動的に修正される。さらに、大きさの異なる板状粒子であるため、酸化鉄(III)粒子は実質的に平行で、かつ相互に重なり合った配置をとるが、そのため、不作為的に侵入し有害である物質の通路がほとんどない状態を与える。このことは、コーティング膜の障壁効果や遮蔽効果に関係するので重要である。また、板状粒子の配向により高い充填密度が得られ、これもコーティング膜の不浸透性に有効である。
【0020】
粒径分布は、最終製品において確認することができ、顕微鏡等の簡単な方法で測定することができる。単一粒子、すなわち実質的に同一又は同様の粒径を有する粒子、は実質的に存在しないが、粒径の異なる粒子がかなり存在し、粒径の異なる粒子が最終製品の中に、分散して及び/又は部分的に重なり合って存在している。天然の酸化鉄(III)の粒径分布は、例えば粒子累積曲線により調べることができ、d10、d50及び/又はd98値(そのような製品の判定に通常使用される算術値)は一般に異なるが(互いに同等の関係ではない)、実質的に同じ値の場合は単一粒子であり、合成の酸化鉄(III)が相当する。天然の、機械的に処理した板状の鉄マイカ粒子は、それらの天然の鉱物構造から得られる特徴的な破断特性を示し、容易に識別することができる。さらに、天然の酸化鉄(III)の特徴として、異なる鉱物相を伴う連晶(intergrowth)の存在、及び/又は随伴鉱物の存在がある。例えば、珪酸塩や炭酸塩等との連晶が認められ、これは単独粒子(随伴鉱物)としても存在する。本発明の天然酸化鉄(III)のいくつかの試料では、随伴鉱物の割合は、10又は15%の範囲である。用途の分野に応じて、随伴鉱物の割合を減らすことができ、例えば随伴鉱物の少なくとも大部分を除去することより、あるいはそのままにしておくこともできる。
【0021】
最終製品が所望の最大粒径と最適な粒径分布を有することは、従来の方法、例えば粒度曲線を用いて調べることができる。自身の特性として、粒径もサブミクロンの領域にある。用途の分野に応じて、酸化鉄(III)をいくつかの所望の粒子帯(particle band)に分けることができる。例えば、1μmから3μm、5μmから10μmの範囲、又は微細な粒径範囲も含む他の範囲が好ましい。もちろん、サブミクロン領域の粒子帯も含まれる。
【0022】
最終製品は、粒径が10μmより小さいラメラ状酸化鉄(III)を約90%含むことが必要である。ワニス又は塗料等のコーティング剤では、これは大きな利点である。なぜなら、障壁効果、遮蔽効果、そして耐摩耗性が向上するからである。また、機械的摩擦に対する耐性や、温度、湿度、乾燥等の環境条件の変動に対する耐性も大きく向上する。粒径分布に関しては、例えばワニス中で、酸化鉄(III)粒子の高い充填密度が得られ、その結果、ワニスの機械的摩擦に対する耐性がさらに向上する。
【0023】
本発明のさらなる特徴として、粒径5μm以下の酸化鉄(III)も存在する。本発明の酸化鉄(III)の最大粒径は、最終製品の用途や要求特性に応じて、本発明で規定した範囲内でその大きさを変化させることができる。
【0024】
酸化鉄(III)のラメラ構造を特徴付けるだけでなく、指摘するために、アスペクト比を用いることができる。本発明の範囲内で、これは、酸化鉄(III)粒子における最大直径の厚さ又は高さに対する比率を意味する。アスペクト比を決定するため、最大粒径範囲の酸化鉄(III)を用いることが好ましい。本発明によれば、酸化鉄(III)のラメラのアスペクト比(最大直径/厚さ)が実質的に20:1、好ましくは5:1であることが、用途を広げることができるので好ましい。
【0025】
本発明によれば、酸化鉄(III)をコーティング剤として用いる際、特に薄膜用途に用いる際、層厚さ、すなわち板状粒子の厚さ、が2μmである板状酸化鉄(III)粒子を選び、コーティング膜の厚さが約15μmであるコーティングに用いる。この場合、コーティング膜は、板状酸化鉄(III)粒子からなる3から5あるいはそれ以上の層を有し、鉄粒子はコーティングの基礎部分に実質的に平行に配向した状態で存在している。
【0026】
本発明の範囲に含まれる別の特徴によれば、合成起源の酸化鉄(III)を酸化鉄(III)に混ぜることができる。適切に、その合成酸化鉄(III)は上記ラメラ構造を有し、好ましくは本発明における最大粒径を有する。好適には、本発明によれば、天然酸化鉄(III)と同じ又は同様のアスペクト比を有する。これにより、天然と合成の鉄マイカの混合物が得られる。この混合物は、特定の用途において、例えば、特定の粒径が粒子帯において大部分を占めることが要求される場合には有効であり、そして合成起源の酸化鉄(III)を用いることにより容易に得ることができる。この場合、例えば、混合物は概ね、10%あるいはさらに15%の合成酸化鉄(III)を含むことができる。
【0027】
合成酸化鉄(III)を作製するに関し、前述の方法も含む公知の種々の方法が考えられる。例えば硫酸鉄を出発物質とする鉄化合物の熱分解法、あるいはペニマン−ゾフ(Penniman-Zoph)法又はアニリン法等の水媒体における酸化法を用いることができ、これらは酸化鉄(III)顔料の製造に広く用いられている。合成酸化鉄(III)は溶解法でも製造することができ、例えば、適切な酸に鉄スクラップを入れ、続いて、加圧下及び保護ガス(例えば窒素ガス)雰囲気で制御しながら沈殿させる。
【0028】
別の方法として、酸化鉄(III)を結晶成長により成長させることができ、典型的には公知の条件の下で酸化鉄溶液から成長させる。酸化鉄(III)の結晶を成長させ、本発明の所望の最大粒径まで成長させることができる。結晶をより大きな結晶に成長させることも考えられ、その大きな結晶を本発明の粒径限界まで機械的に粉砕することができる。結晶成長時には、用途に応じて、酸化鉄(III)結晶のラメラ構造の形成及び保持に適切な注意を払う必要がある。
【0029】
本発明の目的は、さらにまた、本発明のラメラ状酸化鉄(III)の製造方法を提供することにより達成され、その製造方法では、公知のジェットミル等の衝撃破砕機の中で酸化鉄(III)を本発明の粒径まで粉砕する。この場合、ミル内の酸化鉄(III)粒子を加速するため、例えば、蒸気膨張を用いることができる。
【0030】
また、公知の剪断ミル用を用いて酸化鉄(III)に剪断応力を与えることも考えられる。この処理では摩擦により酸化鉄(III)粒子は粉砕される。
【0031】
これら前述の方法は、粒子のラメラ構造を維持しながら、所望粒径の酸化鉄(III)粒子を得る、温和で、効果的で、低コストの機械的処理方法を構成することが示されている。驚くべきことに、このことは、ジェットミルを用いた場合に顕著に認められる。
【0032】
この機械的処理に続き、酸化鉄(III)を粒子区分、粒子範囲又は粒子帯に分離することが好ましい。本発明の酸化鉄(III)は、この状態でさらなる処理のために提供される。空気セパレータや遠心力セパレータ等の移動装置(sifting devices)あるいは他の分別及び分離装置を用いることもできる。
【0033】
本発明の酸化鉄(III)の利用に関し、多くのオプションがある。本発明の酸化鉄(III)は、基礎部分を腐食から保護するワニス等のコーティング剤や、基礎部分を機械的摩耗から保護するコーティング剤や、基礎部分を紫外線や赤外線等の光から保護するコーティング剤に好適であることがわかっている。本発明の酸化鉄(III)を用いることにより、塗布される基礎部分に対する付着性が、コーティングの中間層であっても大きく向上することもわかっている。一般的に、酸化鉄(III)に対して用いるバインダーの種類に関係なく、保護特性を向上させることができる。基礎部分とは、金属又は非金属の表面、物品又はその他のものを意味する。本発明の酸化鉄(III)は、ワニスや、着色剤等の顔料として、屋外の鋼構造物に特に好適かつ効果的であることがわかっている。
【0034】
また、本発明の酸化鉄(III)を用いることにより、ボート、サーフボード、装飾物品、電気機器そしてその他多くの物品に対するコーティング剤、すなわち装飾用コーティング剤として、光学的効果や金属光沢を与え及び/又は促進させることができる。
【0035】
しかし、本発明の酸化鉄(III)の用途分野は、コーティング剤に限定されるものではなく、合成材料製品のフィラーとしての使用にまで拡張することができる。合成材料製品には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、繊維ガラス強化合成材料そしてその他の物質を挙げることができる。
【0036】
さらに驚くべきことに、本発明の酸化鉄(III)の障壁効果、遮蔽効果、機械的摩擦に対する保護効果、光学的効果等の特性に関し、セラミックス産業の製品にも好適に使用できることがわかった。それにより、本発明の酸化鉄(III)は、タイル、洗面台等の衛生用製品の製造及び/又は処理、特に表面の処理、に使用されるセラミックス材料に対する顔料等の添加剤として非常に優れている。
【0037】
これら前述の可能な用途に加え、本発明の酸化鉄(III)は、小粒径の酸化鉄(III)のラメラ構造が有用である他の多くの用途を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に、図面に示した実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。
図1の表は、詳細に、天然酸化鉄(III)と合成酸化鉄(III)についての種々の分析結果を互いに比較したものを示している。分析には、化学及び物理分析が含まれ、またそれらの中には沈降法(粒径分析)も含まれる。分析した天然酸化鉄(III)の試料は、本発明の酸化鉄(III)ではないことに注意すべきである。その例示は、天然と合成の酸化鉄(III)の違いを実質的に示している。
【0039】
図1の化学分析の結果から明らかなように、天然酸化鉄(III)のデータによれば、天然酸化鉄(III)は、Fe又はFeに加え、他の物質又は元素を含んでいる。合成酸化鉄(III)の純度は97重量%である。粒径のデータは、天然酸化鉄(III)には粒子帯、すなわち種々の粒径を持った粒子、が存在するのに対し、合成酸化鉄(III)は主に単一粒子、すなわち実質的に一種類の粒径のみである、からなることを示している。2つのタイプの酸化鉄(III)の間の違いは、アスペクト比にも見られる。
【0040】
図2は、本発明の酸化鉄(III)の電子顕微鏡写真を示しており、その倍率は5000倍である。また、図3は、本発明の酸化鉄(III)の電子顕微鏡写真を示しており、その倍率は10000倍である。両方の写真にスケールを付けているので、粒子の粒径が10μmより小さいことは明らかである。さらに、酸化鉄(III)粒子の大部分、概ね90%が、機械的処理にも拘わらず、無傷の板状形状を完全に保持していることがわかる。また、粒径分布も見ることができる。
【0041】
本発明の酸化鉄(III)粒子の板状形状だけでなく、粒子分布、個々の粒子の大きさ、層厚さの一部が、図4から6の写真にさらに示されており、これらの写真ではスケールは200μmである。図4では、鉄マイカ粒子と他の鉱物との連晶、天然酸化鉄(III)の生成により部分的に形成されたものであり、が認められ、これらは主に珪酸塩である。
【0042】
本発明のラメラ構造を有する酸化鉄(III)により、従来に比べはるかに薄いフィルム層を得ることができ、薄いにも拘わらず、コストや経済効率にみならず、障壁効果、遮蔽効果、耐負荷能力、耐久性についても高い要求に応えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】天然起源と合成起源の酸化鉄(III)を表の形で比較したものである。
【図2】本発明の酸化鉄(III)の一試料の電子顕微鏡写真であり、倍率は5000倍である。
【図3】本発明の酸化鉄(III)の一試料の電子顕微鏡写真であり、倍率は10000倍である。
【図4】本発明の酸化鉄(III)の一試料の電子顕微鏡写真である。
【図5】本発明の酸化鉄(III)の一試料の電子顕微鏡写真である。
【図6】本発明の酸化鉄(III)の一試料の電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも50重量%、より好ましくは75重量%のラメラ構造を有する酸化鉄(III)であって、
その酸化鉄(III)は天然の酸化鉄(III)を機械的に処理したものであり、少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも70重量%、さらに好ましくは少なくとも90重量%が10μmより小さい粒径を有することを特徴とする酸化鉄(III)。
【請求項2】
上記酸化鉄(III)の粒径が5μm以下であることを特徴とする請求項1記載の酸化鉄(III)。
【請求項3】
上記酸化鉄(III)のラメラのアスペクト比(最大直径/厚さ)が、実質的に20:1〜5:1、好ましくは10:1であることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化鉄(III)。
【請求項4】
合成の酸化鉄(III)が混合されていることを特徴とする請求項3記載の酸化鉄(III)。
【請求項5】
合成の混合された酸化鉄(III)が、従来法、例えば結晶成長により製造されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の酸化鉄(III)。
【請求項6】
酸化鉄(III)をジェットミル等の衝撃破砕機により機械的に処理することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一つに記載のラメラ状酸化鉄(III)の製造方法。
【請求項7】
機械的処理の後、酸化鉄(III)を、篩い等により、粒子又は粒子帯にそれぞれ分離することを特徴とする請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
腐食から基礎部分を保護するためのワニス等のコーティング剤の製造への請求項1から5のいずれか一つに記載の酸化鉄(III)の利用。
【請求項9】
機械的摩耗から基礎部分を保護するためのワニス等のコーティング剤の製造への請求項1から5のいずれか一つに記載の酸化鉄(III)の利用。
【請求項10】
基礎部分を遮光するためのワニス等のコーティング剤の製造への請求項1から5のいずれか一つに記載の酸化鉄(III)の利用。
【請求項11】
ボート、サーフボード、装飾物品等の物品に用いる装飾コーティング剤の製造への請求項1から5のいずれか一つに記載の酸化鉄(III)の利用。
【請求項12】
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、繊維状ガラス強化合成材料等の合成材料製品のフィラーとしての請求項1から5のいずれか一つに記載の酸化鉄(III)の利用。
【請求項13】
セラミックス材料の添加剤としての請求項1から5のいずれか一つに記載の酸化鉄(III)の利用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−503428(P2008−503428A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516871(P2007−516871)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【国際出願番号】PCT/AT2005/000231
【国際公開番号】WO2006/000009
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(506427439)ケルントナー・モンタンインドゥストリー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (1)
【氏名又は名称原語表記】KAERNTNER MONTANINDUSTRIE GESELLSCHAFT M.B.H.
【Fターム(参考)】