説明

ランフラットタイヤ補強ライナー用ゴム組成物

【課題】アミノ樹脂を配合した高切断時伸びを示すランフラットタイヤ補強ライナー用ゴム組成物を提供する。
【解決手段】ブレンドゴム100重量部に対し、カーボンブラック40〜65重量部未満、下記一般式(1)で表されるアミノ樹脂1〜15重量部のメチレン供与体を配合。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランフラットタイヤ補強ライナー用ゴム組成物に関し、更に詳しくは、アミノ樹脂を配合した高硬度、高弾性でかつ高切断時伸びを示すランフラットタイヤ補強ライナー用ゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ランフラットタイヤ用補強ライナーには、硬度及び弾性率の高いゴム組成物が用いられている。従来、ゴムを高硬度、高弾性化する手段として、カーボンブラックなどの充填剤を増量する方法、硫黄などを増量し架橋点を増やす方法、あるいは、未変性フェノール樹脂や、トールオイルやカシューオイルなどで変性したフェノール樹脂を配合する方法が知られている(特許文献1、2及び3)が、更なる高硬度、高弾性化とともに高切断時伸びが望まれている。
【0003】
【特許文献1】特開昭57‐57734号公報
【特許文献2】特開平5‐98080号公報
【特許文献3】特開昭58‐152030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、本発明では、ランフラットタイヤ補強ライナー用ゴム組成物に好適な、より高硬度、高弾性及び高切断時伸びのゴム組成物を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、天然ゴム(NR)またはポリイソプレンゴム(IR)とブタジエンゴム(BR)とのブレンドゴム100重量部に対し、カーボンブラック40重量部〜65重量部未満、下記一般式(1)で表される環球法による軟化点が130℃以下のアミノ樹脂1〜15重量部、及び当該アミノ樹脂の5〜20重量%のメチレン供与体を配合してなるランフラットタイヤ補強ライナー用ゴム組成物が提供される。
【化1】

(式中、nは1以上の整数、R1は水素またはアミノ基を表し、R2は水素、アミノ基、または炭素数1〜20個のアルキル基、炭素数3〜20個のシクロアルキル基、もしくは炭素数6〜20個のアリール基を表す。)
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明では、特定のアミノ樹脂をメチレン供与体と共にゴムに配合することで、従来技術によったものよりも更に高硬度、高弾性でかつ高切断時伸びのランフラットタイヤ用補強ライナーに適したゴム組成物が得られることを見出したものである。
【0007】
本発明のランフラットタイヤ補強ライナー用ゴム組成物において使用するゴム成分としては、一般に、従来より用いられている、天然ゴム(NR)またはポリイソプレンゴム(IR)とブタジエンゴム(BR)とのブレンドゴムが選定使用される。
【0008】
本発明のランフラットタイヤ補強ライナー用ゴム組成物に配合されるアミノ樹脂は、下記一般式(1):
【化2】

(式中、nは1以上の整数、R1は水素またはアミノ基を表し、R2は水素、アミノ基、または炭素数1〜20個のアルキル基、炭素数3〜20個のシクロアルキル基、もしくは炭素数6〜20個のアリール基を表す。)
で示される重合体であり、環球法による軟化点で130℃以下、好ましくは常温で液体〜130℃の軟化点を有するアミノ樹脂である。
【0009】
当該アミノ樹脂における置換基R2の炭素数1〜20個のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基、イソオクチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、プロペニル基、2−メチルアリル基、2−ブテニル基、ベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基などが挙げられ、また、炭素数3〜20個のシクロアルキル基としては、例えば、シクロへキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロオクチル基、2−メチルシクロヘキシル基、2−エチルシクロヘキシル基、2−シクロへキセン−1−イル基、シクロヘキサニル基、1,3−シクロヘキサジエニル基などが挙げられる。更に、炭素数6〜20個のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ビフェニル基などが挙げられる。
【0010】
また、当該アミノ樹脂は、例えば、商品名PR−TR−01、PR−TR−02(いずれも住友ベークライト製)などとして入手可能であるが、また、例えば、アニリン93kg、工業用塩酸93L、及び水930Lを用いて得られる塩酸アニリン溶液に、150Lのホルマリンを加えて1〜2時間反応させた後に、5%苛性ソーダ溶液で中和、濾過、水洗、乾燥させることによっても得ることができる。
【0011】
また、本発明のランフラットタイヤ補強ライナー用ゴム組成物に配合される硬化剤のメチレン供与体としては、ヘキサメチレンテトラミン及びメチロール化メラミン誘導体が使用でき、当該メチロール化メラミン誘導体としては、ヘキサメトキシメチロールメラミン、ペンタメトキシメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン、ヘキサキス−(メトキシメチル)メラミン、N,N',N”−トリメチル−N,N',N”−トリメチロールメラミン、N,N',N”−トリメチロールメラミン、N−メチロールメラミンN,N'−(メトキシメチル)メラミン、N,N',N”−トリブチル−N,N',N”−トリメチロールメラミン等が挙げられ、これらを単独で、あるいは組み合わせて使用することができる。これらのうち、特に、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン、ペンタメトキシメチロールメラミンの使用が好ましい。
【0012】
本発明のランフラットタイヤ補強ライナー用ゴム組成物には、本発明で特定するジエン系ゴム100重量部に対して、前記アミノ樹脂1〜15重量部、好ましくは1〜12重量部と、当該アミノ樹脂の5〜20重量%、好ましくは5〜15重量%に相当する量の前記メチレン供与体とが、併用して配合される。当該アミノ樹脂の配合量が、1重量部未満では所望の物性(硬度及び貯蔵弾性係数)を有するゴム組成物を得ることができず、逆に15重量部を超えると、所望の物性(切断時伸び)が低下するので好ましくない。また、当該メチレン供与体の配合量が、アミノ樹脂の5重量%未満であるときは所期の作用効果を発揮するゴム組成物を得ることができず、逆にアミノ樹脂の20重量%を超えるときは、ゴム用加硫促進剤としての働きが強くなり、ゴムの架橋系に悪影響を与えるため好ましくない。
【0013】
本発明のランフラットタイヤ補強ライナー用ゴム組成物には、更に、カーボンブラックが40重量部〜65重量部未満の配合量で配合される。また、当該カーボンブラックには、特に、窒素吸着比表面積(N2SA)が35〜60m2/gであるカーボンブラックを使用することが好ましい。当該カーボンブラックの配合量が40重量部未満であると、所要硬度のゴム組成物を得ることができず、逆に65重量部以上であると、所要の切断時伸びを有するゴム組成物が得られないので好ましくない。
【0014】
本発明に係るランフラットタイヤ補強ライナー用ゴム組成物には、更に、通常の加硫または架橋剤、加硫または架橋促進剤、脂肪酸、金属酸化物、シリカ等の補強剤、充填剤、シランカップリング剤、各種オイル、可塑剤、老化防止剤、その他一般タイヤゴム用に配合されている各種配合剤を配合することができ、かかる配合剤は、一般的な方法で混練してゴム組成物とし、加硫または架橋することができる。これら配合剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【実施例】
【0015】
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に説明するが、本発明の技術的範囲をこれら実施例に限定するものでないことは言うまでもない。
【0016】
試験サンプルの作製
以下の表1に示す配合における硫黄、加硫促進剤及びメチレン供与体を除くゴム及び配合剤を1.8Lの密閉型ミキサーで5分間混練し、マスターバッチを得た。このマスターバッチに、硫黄、加硫促進剤、及びメチレン供与体を投入して直径8インチのオープンロールで混練してゴム組成物を得た。次いで、このゴム組成物を15cm×15cm×0.2cmの金型中で160℃、20分間プレス加硫して目的とする試験片(ゴムシート)を作製し、以下の各物性試験に供した。
【0017】
試験方法
1)硬度: JIS K6253に準拠してタイプAデュロメータを用いて、20℃の硬度を測定した。測定結果は、比較例1を100として指数表示した。数値が大きい程、硬度が高いことを示す。
2)貯蔵弾性係数(E´):(株)東洋精機製作所製の粘弾性スペクトロメーターを用いて、20℃、初期歪:10%、振幅:±2%、周波数20Hzの条件で、20℃における貯蔵弾性係数を測定した。測定結果は、比較例1を100として指数表示した。数値が大きい程、貯蔵弾性率が高いことを示す。
3)切断時伸び(EB):JIS K6251に準拠して切断時伸びを測定した。測定結果は、比較例1を100として指数表示した。数値が大きい程、切断時伸びが大きいことを示す。
【0018】
実施例1〜4及び比較例1〜6
結果を表1に示す。
【表1】

【0019】
以上の結果によると、本発明のゴム組成物では、上記各物性(硬度、貯蔵弾性係数及び切断時伸び)の全ての点において極めて優れていることが分る。
【産業上の利用可能性】
【0020】
よって、本発明のゴム組成物は、これをランフラットタイヤ補強ライナー用ゴム組成物として使用すれば、極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ゴム(NR)またはポリイソプレンゴム(IR)とブタジエンゴム(BR)とのブレンドゴム100重量部に対し、カーボンブラック40重量部〜65重量部未満、下記一般式(1)で表される環球法による軟化点が130℃以下のアミノ樹脂1〜15重量部、および当該アミノ樹脂の5〜20重量%のメチレン供与体を配合してなるランフラットタイヤ補強ライナー用ゴム組成物。
【化1】

(式中、nは1以上の整数、R1は水素またはアミノ基を表し、R2は水素、アミノ基、または炭素数1〜20個のアルキル基、炭素数3〜20個のシクロアルキル基、もしくは炭素数6〜20個のアリール基を表す。)
【請求項2】
前記カーボンブラックが窒素吸着比表面積(N2SA)35〜60m2/gを有する、請求項1に記載のランフラットタイヤ補強ライナー用ゴム組成物。

【公開番号】特開2007−70373(P2007−70373A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−255321(P2005−255321)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】