説明

ランプとバンパとの取付構造

【課題】バンパとランプとの位置決めを正確に行うことができるランプとバンパとの取付構造を得る。
【解決手段】本取付構造では、リテーナ16はバンパカバー28の質量を支持する保持部である2段目リブ34Bの下方へ延出された側壁36にヘッドランプ14への取付部である貫通孔36A及び取付ねじ38が配置されてアウターレンズ22に取り付けられているので、バンパカバー28の質量によってはリテーナ16が変形することは少なく、リテーナ16はバンパカバー28とヘッドランプアウターレンズ22との間の間隔を一定に保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンパとヘッドランプ等との位置決めをするランプとバンパとの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドランプとバンパとの相対的な取付位置を決定するための取付構造として保持部材を用いる構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この取付構造では、板状の保持部材の一端でバンパと結合し、他の一端でランプへと結合されている。
【0004】
このため、この取付構造では、保持部材がバンパ取付部とランプ取付部との間で水平方向に延在しており、バンパの質量で保持部材の中間部が変形することによってバンパとランプとの位置関係に相対変化が生じる。この結果、バンパとヘッドランプとの相対位置が定まらず、バンパとヘッドランプとの間の間隔が一定とならない。
【特許文献1】特開2004−322910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、バンパとヘッドランプやテールランプとの位置決めを正確に行うことができるランプとバンパとの取付構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本出願の請求項1に係るランプとバンパとの取付構造は、バンパを車両前後方向及び上下方向に位置決めする保持部、及び前記保持部から略垂直下方へ延出した取付部を備える位置決めリテーナと、この位置決めリテーナの取付部をランプのアウターレンズの垂直方向壁面へ取付ける取付手段と、を有することを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の発明では、リテーナのバンパ位置決め保持部から略垂直下方へ延出して配置された取付部が取付手段によってランプのアウターレンズの垂直方向壁へ取り付けられるので、バンパの車両下方への荷重(質量)をリテーナの取付方向に対してせん断方向の荷重として受けることができる。このため、従来の取付構造のように保持部材が水平方向に延在した構成の場合と比較して、上記荷重による曲げの影響を受けることが抑制される。したがって、上記荷重によってリテーナが変形することは少なく、リテーナはその荷重を確実にランプへと伝えることができ、バンパとランプとの相対変位を抑制することができる。なお、取付部は保持部に対してできるだけ接近して配置されることが好ましい。このようにすることで、リテーナの変形を一層抑制することができる。
【0008】
本出願の請求項2に係るランプとバンパとの取付構造は、請求項1記載のランプとバンパとの取付構造において、前記保持部は、リテーナ本体の上部に配置され、前記取付部は、リテーナ本体の側壁に形成されることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明では、リテーナ本体の上部に保持部が配置されており、取付部が保持部直下の側壁に形成されているので、バンパの質量でリテーナ本体が変形し難く、バンパとランプとの間隔を相対的に変化させないようにしている。しかも、取付部がリテーナ本体の側壁に形成されるので、取付部に作用する荷重は側壁を介してリテーナ本体の他の部分に伝達される。したがって、リテーナ本体の剛性と相まって取付部を強固な構造とすることができる。
【0010】
本出願の請求項3に係るランプとバンパとの取付構造は、請求項1又は請求項2に記載のランプとバンパとの取付構造において、前記リテーナは、ランプの車両前方下方に設けられた凹部に配置され、前記バンパは、このリテーナの車両前方であってランプの下方に配置されると共に前記リテーナの前記取付部及び前記取付手段と前記アウターレンズとの間に介在する介在部を有することを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明では、ランプの車両前方下方にバンパが配置され、リテーナはランプの車両前方下方でかつバンパの後方に配置されるため、バンパとランプとを接近して配置させ、これらの相対変位を制限することができる。しかも、バンパは取付部及び取付手段とランプのアウターレンズとの間に介在する介在部を有しているので、アウターレンズを通して取付部や取付手段が見え難くなり、見栄えがよくなる。
【0012】
本出願の請求項4に係るランプとバンパとの取付構造は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のランプとバンパとの取付構造において、前記リテーナ本体は、箱状に形成され、複数の縦方向リブと、複数の横方向リブが互いに交差し、これらのリブの幅方向端部がリテーナ本体の側壁へ連結されて構成されていることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明では、複数の縦方向リブと横方向リブとを組み合わせてリテーナの強度を向上することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明に係るランプとバンパとの取付構造によれば、リテーナがバンパをランプと相対移動しないように確実に位置決めすることができる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1には、本発明がヘッドランプとバンパとの取り付けのために適用された取付構造10が示されている。図中矢印FRは車両前方を示している。
【0016】
この取付構造10では、バンパ12のバンパカバー28がヘッドランプ14へリテーナ16によって取り付けられている。ヘッドランプ14は車体へ取り付けられるランプハウジング20を有しており、このランプハウジング20は前方が開口した箱状であり、縦断面は車両前方に向けて開口した略コ字状となっている。このランプハウジング20の車両前方にはランプアウターレンズ22が対向して配置されている。ランプハウジング20の車両前方開口端部に形成された断面コ字状の凹部20Aは、車両後方に向けて開口した箱状のアウターレンズ22の車両後方端部23が挿入されている。この凹部20Aとアウターレンズ22の車両後方端部23との間にはシール部材(図示省略)が介在されており、これによってヘッドランプ14の内部が密閉状態とされている。ヘッドランプ14の内部には光源24が配置されており、乗員の操作により車両電源と接続されることによって発光し、アウターレンズ22を通して車両前方を照明するようになっている。
【0017】
アウターレンズ22の車両前方下部には凹部22Aが形成されている。この凹部22Aは車両前後方向の水平方向壁22B及び車両上下方向の垂直方向壁22Cを備えている。
【0018】
前記バンパ12は車両へ固定されているバンパ本体26を備えており、このバンパ本体26へバンパカバー28が取り付けられている。このバンパカバー28は樹脂等の柔らかい材料で形成されてバンパ本体26の車両前方外側に配置されており、車両外方に露出した意匠面を構成している。
【0019】
バンパカバー28は車両前方に面して上端に向けて次第に車両後方へ傾斜した前面28Aの上部が頂部28Bとなっている。図1に示されるように、前面28Aは車両前方へ面した輪郭がアウターレンズ22の車両前方へ面した輪郭とほぼ連続した外形面を形成するような車両前後方向配置とされ、また頂部28Bはアウターレンズ水平方向壁22Bの下面へ接近配置されている。この頂部28Bの車両後方側は垂直壁28C及びこれに続く水平方向壁28Dによって段部となっており、水平方向壁28Dは水平方向壁22Bとの間に隙間が設けられている。この水平方向壁28Dがリテーナ16へ位置決め用として取り付けられている。なお、頂部28B、垂直壁28C、水平方向壁28Dは、リテーナ16のアウターレンズ28への取付部(後述する側壁36)及び取付ねじ38と、アウターレンズ22との間に介在する介在部となっている。
【0020】
リテーナ16は図2、図10〜図15に示されるようにリテーナ本体16Aを有している。このリテーナ本体16Aは複数(この実施形態では10個)の縦方向リブ32及び複数(この実施形態では4個)の横方向リブ34が互いに一体的に連結された構造となっており、上部に配置される横方向リブである最上段リブ34A及び2段目リブ34Bと、最下段に配置される横方向リブ34と、左右(車両幅方向両側)の最外側に配置される一対の縦方向リブ34とによって全体として箱状に形成されている。また、図1、図3に示される如く複数の縦方向リブ32及び複数の横方向リブ34のうちの一部のリブはその幅方向一端(車両後方向端部)において側壁36が設けられている。なお、図2に示されるように縦方向リブ32は垂直配置であるが、横方向リブ34は水平面に対して傾いて配置されている。
【0021】
図1、図3〜図9に示されるように、このリテーナ16はアウターレンズ凹部22Aの水平方向壁22Bの下方でありかつ垂直方向壁22Cの車両前方に配置されている。リテーナ16の側壁36はバンパカバー28の水平方向壁28Dがリテーナ本体16Aへ取り付けられる保持部(後述する2段目リブ34B、門型リブ34C)の下方へ延出すると共に、アウターレンズ22の垂直方向壁22Cの車両前方に接近して配置されている。この側壁36には貫通孔36Aが軸心を車両前後方向として形成されており、この貫通孔36Aは取付ねじ38が車両前方から後方へ向けて貫通されるようになっている。この取付ねじ38はアウターレンズ22の垂直方向壁22Cに形成された螺入ブロック40へとねじ込まれるようになっている。これによってリテーナ16は取付ねじ38を介してヘッドランプ14へと固定される。
【0022】
なお、図3に詳しく示されるように螺入ブロック40の車両前方端部40Aは垂直方向壁22Cよりも車両前方へ突出しており、この端部40Aへ側壁36の側面が密着される。またリテーナ16には図13、14に詳細に示されるように、筒部44が貫通孔36Aと同軸的に設けられ、縦方向リブ32と横方向リブ34は、この筒部44の外周へ一体的に連結しており、筒部44の内部には縦方向リブ32と横方向リブ34は設けられていない。このため取付ねじ38は、車両前方からこの筒部44内を通して貫通孔36Aへと挿通される。また、図1に示されるように側壁36の車両後方側面には小筒部46が突出して、螺入ブロック40の端部40Aの外周を覆っている。
【0023】
リテーナ本体16Aを構成する複数の横方向リブ34のうち最上段の横方向リブである最上段リブ34Aは車両幅方向の片側(図2の左側)のみに設けられており、他の片側(図2の右側)は2段目リブ34Bの上面に門型リブ34Cが連結されている。この門型リブ34Cは車両前方が開放されており、図2の3−3線断面に相当する図1及び図3に示されるようにバンパ12の水平方向壁28Dが水平方向に車両後方へ向けて挿入できるようになっている(矢印S参照)。
【0024】
図12〜図14に詳細に示されるように、門型リブ34Cの水平方向壁52には車両前方端部に直角に上方へ屈曲された立壁53が連結している。水平方向壁52には図14、図15に示されるように車両後方から切込み54が形成され、この切込み54内には立壁53から車両後方へ延長される係止爪42がそれぞれ配置されている。係止爪42の先端は車両下方へ屈曲された係止部42Aとされて、水平方向壁52よりも下方へ突出している。これらの係止爪42は水平方向壁52への取付部付近を弾性変形させて係止部42Aが車両上下方向に弾性変形可能となっている。これらの係止部42Aは、バンパカバー28の水平方向壁28Dが図1、図3に示される如く車両前後方向に車両後方へ向けて矢印S方向に挿入された場合には、車両上下方向に一時的に弾性変形した後に弾性復帰して水平方向壁28Dに形成された開口56へと係合されるようになっている。このため、水平方向壁52と2段目リブ34Bとの間に挿入された水平方向壁28Dは車両前後方向が係止爪42によって位置決めされ、車両上下方向が水平方向壁52と2段目リブ34Bとによって制限される。また、バンパカバー28の矢印S方向の挿入量は垂直壁28Cが水平方向壁52へ当ることにより制限され、抜け出しは係止部42Aが開口56と係合して制限される。このため、バンパカバー28は、リテーナ本体16Aの上部に配置されて保持部を構成する2段目リブ34B、門型リブ34C、係止爪42によって車両上下方向及び車両前後方向の位置決めがなされる。また、リテーナ16は既に説明したようにヘッドランプ14へ位置決めされているので、バンパカバー28がヘッドランプ14へと車両上下方向及び前後方向に位置決めされることになる。
【0025】
なお、図14、15に詳細に示されるように、水平方向壁52に設けられる切込み54の車両幅方向の両側には小立壁58が固定されている。この小立壁58の下端部は水平方向壁52の下面よりも若干だけ車両下方へ延びており、水平方向壁28Dが矢印S方向に門型リブ34C内へ挿入される場合の案内面を構成している。さらに門型リブ34C内において、縦方向リブ32の頂部32Aは2段目リブ34Bの上方へ突出しており、この頂部32Aの頂面64は門型リブ34C内へ挿入される水平方向壁28Dの案内面を構成している。図2に示されるように、これらの小立壁58と頂部32Aとは車両幅方向に異なる位置とされ、門型リブ34C内へ挿入される水平方向壁28Dの上下の当り部となっている。頂部32Aと小立壁58との間の水平方向壁28Dの板厚方向の間隔を水平方向壁28Dの板厚よりも小さくすることにより、挿入される水平方向壁28Dは、頂部32Aと小立壁58との間で若干量だけ上下に波状に弾性変形するので門型リブ34C内でガタつきなく緊密に保持される。
【0026】
バンパカバー28の一部であって図2における最上段リブ34Aに対向する部分には、頂部28Bの車両後方に図1のような垂直壁28Cや水平方向壁28Dは設けられておらず、図4〜図6に示されるように水平延長部60が設けられ、アウターレンズ22の水平方向壁22Bの下方へと接近配置されている。またこの水平延長部60の一部は図4に示される如くリテーナ本体16Aの最上段リブ34Aよりも上方へ突出された縦方向リブ32(図4)の頂部32A、及び図2、図11において最上段リブ34Aの上方へ突出した上方突出リブ62の上方へと配置されて下方向への変形が防止されている。図4に示されるように、頂部32Aの頂面64は車両前方にかけて下方へ傾斜されて水平延長部60の下面における傾斜面60Aを支持する支持面となっており、この頂部32Aの車両前方は頂面64よりもさらに下方へ向けて傾斜した案内面66とされて傾斜面60Aの挿入時における頂面64への案内用となっている。なお、水平延長部60は、リテーナ16のアウターレンズ28への取付部である側壁36及び取付ねじ38と、アウターレンズ22との間に介在する介在部となっている。
【0027】
次に本実施形態における、バンパカバー28とヘッドランプ14との組付け手順を説明する。
【0028】
図1に示されるヘッドランプ14はランプハウジング20とアウターレンズ22とが予め一体的に固定されており、内部に光源24が配置された状態で車体へと図示しない取付手段によって取り付けられる。
【0029】
この状態でリテーナ16を取付ねじ38によってアウターレンズ22の螺入ブロック40へと取り付ける。このリテーナ16の取り付けは、筒部44内へ取付ねじ38を挿入し、貫通孔36Aを通してこの取付ねじ38を螺入ブロック40へとねじ込むことによってリテーナ側壁36が螺入ブロック40の端部40Aへと押圧密着されてリテーナ16が図1に示される如くアウターレンズ22の凹部22A内に配置される。なおこのリテーナ16はバンパ12の幅方向両側に対応してそれぞれヘッドランプ14へと取り付ける。この場合、図2のリテーナ16を車両左側のヘッドランプへの取付用とすれば、図2の左側が車両幅方向端部寄りに配置され、車両右側のヘッドランプへの取付用とすれば、図2の右側が車両幅方向端部寄りに配置されることになる。
【0030】
このようにヘッドランプ14のアウターレンズ22の凹部22A内に配置されたリテーナ16へバンパカバー28を取り付ける。この場合バンパカバー28は車両前方から後方へ向けて矢印S方向に水平方向壁28Dをリテーナ16の門型リブ34C内へと挿入する。この挿入に伴い、バンパカバー水平方向壁28Dは係止爪42の係止部42Aを一時的に上方へと弾性変形させる。バンパカバー水平方向壁28Dの挿入量が図1に示される状態になると、係止部42Aはバンパカバー水平方向壁28Dの開口56と対向するので、係止部42Aは弾性復帰して開口56内へと挿入される。係止部42Aは開口56の車両後方周縁に係合してバンパカバー28の車両前方への抜け出しを阻止する。また、バンパカバー28の垂直壁28Cは門型リブ34Cへと対応するので、バンパ12の車両後方への移動量が制限される。これによってバンパカバー28は車両前後方向の位置決めがなされる。バンパカバー28の水平方向壁28Dは門型リブ34C内に挿入されているので、門型リブ34Cと2段目リブ34Bとによって(詳細には頂部32Aの上端と小立壁58の下端とによって)車両上下方向の位置決めがなされる。このようにバンパカバー28は車両上下方向の取り付け位置が正確に維持されるので、頂部28Bとヘッドランプアウターレンズ22の水平方向壁22Bとの間の間隔を一定にかつ狭く配置することができる。
【0031】
リテーナ16の最上段リブ34Aにはバンパカバー28の水平延長部60が対向しており、図4に示される如く、縦方向リブ32の頂部32Aへと支持されるので、これによってもバンパカバー28の上下方向の位置決めが正確になされる。この状態で、バンパカバー28の水平延長部60は縦方向リブ32の頂部32Aを弾性的に下方へ押圧するような構造とすることにより、すなわち水平延長部60は縦方向リブ32に当っていない状態では図4の図示状態よりも若干量だけ車両下方に位置する自由状態とすることによってさらにバンパカバー28の車両上下方向の位置決めを正確に行うことができる。なお、バンパ本体26は予め車体へ固定しておき、バンパカバー28はリテーナ16を介してアウターレンズ22へ取り付ける前に、又は取り付けの後に、図示しない固定手段によりバンパ本体26へ固定する。このため、バンパカバー28へ作用する外力はバンパ本体26を介して主として車体本体へ支持されるようになっており、リテーナ16を介してヘッドランプアウターレンズ22へ作用する荷重は低くなるように配置されている。
【0032】
ここで、本実施形態では、通常走行時におけるバンパカバー28の自重は水平方向壁28Dを介してリテーナ16へと伝えられる。このため、バンパカバー28にはヘッドランプ14のアウターレンズ22と離間する方向に荷重が作用するが、リテーナ16は、バンパカバー28の自重を支持する保持部である2段目リブ34Bの略垂直下方へ延出されて2段目リブ34Bの直下に配置された側壁36に、ヘッドランプ14への取付部である貫通孔36A及び取付ねじ38が配置されてアウターレンズ22に取り付けられている。したがって、バンパカバー28の車両下方への荷重(質量)をリテーナ16の取付方向(矢印S方向)に対してせん断方向の荷重として受けることができる。このため、従来の取付構造のように保持部材が水平方向に延在した構成の場合と比較して、上記荷重による曲げの影響を受けることが抑制される。したがって、バンパカバー28の車両下方への荷重がリテーナ16に作用した場合にも、その荷重によってリテーナ16が変形することは少なく、その荷重を確実にヘッドランプ14へと伝えることができると共に、リテーナ16とヘッドランプ14との間の相対変位を抑制することができ、リテーナ16はバンパカバー28とヘッドランプアウターレンズ22との間の間隔を一定に保持することができる。
【0033】
また、本実施形態では、リテーナ16は、リテーナ本体16Aの上部に保持部(2段目リブ34B、門型リブ34C)が配置されており、ヘッドランプ14への取付部が上記保持部の直下の側壁36に形成されているので、バンパカバー28の質量でリテーナ本体16Aが変形し難く、バンパカバー28とヘッドランプ14との間隔を相対的に変化させないようにしている。しかも、ヘッドランプ14への取付部がリテーナ本体16Aの側壁36に形成されているので、取付部に作用する荷重は側壁36を介してリテーナ本体16Aの他の部分(縦方向リブ32及び横方向リブ32)に伝達される。したがって、リテーナ本体16Aの剛性と相まってヘッドランプ14への取付部を強固な構造とすることができる。
【0034】
さらに、本実施形態では、ヘッドランプ14の車両前方下方にバンパカバー28が配置され、リテーナ16はヘッドランプ14の車両前方下方でかつバンパカバー28の後方に配置されるため、バンパカバー28とヘッドランプ14とを接近して配置させ、これらの相対変位を制限することができる。しかも、バンパカバー28はリテーナ14の側壁36及び取付ねじ38とヘッドランプ14のアウターレンズとの間に介在する介在部(頂部28B、垂直壁28C、水平方向壁28D、及び水平延長部60)を有しているので、車両前上方からの視線方向に対しても、アウターレンズ22を通して側壁36や取付ねじ38等が見え難くなり、見栄えがよくなる。
【0035】
またさらに、本実施形態では、複数の縦方向リブ32と横方向リブ34とを組み合わせてリテーナ16の強度を向上することができる。
【0036】
なお上記実施例はバンパとヘッドランプとの位置決め構造を説明したが、本発明はヘッドランプに限らず、リヤランプとバンパとの位置決め構造等の他のランプとバンパとの取付けにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態を示す車両垂直断面図であり、図2の3−3線断面に相当する断面図である。
【図2】本実施形態に用いるリテーナを示す正面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】図2の4−4線断面図である。
【図5】図2の5−5線断面図である。
【図6】図2の6−6線断面図である。
【図7】図2の7−7線断面図である。
【図8】図2の8−8線断面図である。
【図9】図2の9−9線断面図である。
【図10】図2の1−1線断面図である。
【図11】本実施形態に用いるリテーナを示す斜視図である。
【図12】図11の9−9線断面に対応する斜視図である。
【図13】図11の8−8線断面に対応する斜視図である。
【図14】図11の3−3線断面に対応する斜視図である。
【図15】本実施形態に用いるリテーナの係止爪周辺の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
10 ヘッドランプとバンパとの取付構造
12 バンパ
14 ヘッドランプ
16 リテーナ
16A リテーナ本体
22 アウターレンズ
22A 凹部
28 バンパカバー
28B 頂部28B(介在部)
28C 垂直壁28C(介在部)
28D 水平方向壁(介在部)
32 縦方向リブ
34 横方向リブ
34B 2段目リブ(保持部)
34C 門型リブ(保持部)
36 側壁(取付部)
38 取付ねじ(取付手段)
42 係止爪(保持部)
52 水平方向壁
60 水平延長部(介在部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンパを車両前後方向及び上下方向に位置決めする保持部、及び前記保持部から略垂直下方へ延出した取付部を備える位置決めリテーナと、
この位置決めリテーナの取付部をランプのアウターレンズの垂直方向壁面へ取付ける取付手段と、
を有することを特徴とするランプとバンパとの取付構造。
【請求項2】
前記保持部は、リテーナ本体の上部に配置され、前記取付部は、リテーナ本体の側壁に形成されることを特徴とする請求項1に記載のランプとバンパとの取付構造。
【請求項3】
前記リテーナは、ランプの車両前方下方に設けられた凹部に配置され、前記バンパは、このリテーナの車両前方であってランプの下方に配置されると共に前記リテーナの前記取付部及び前記取付手段と前記アウターレンズとの間に介在する介在部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のランプとバンパとの取付構造。
【請求項4】
前記リテーナ本体は、箱状に形成され、複数の縦方向リブと、複数の横方向リブが互いに交差し、これらのリブの幅方向端部がリテーナ本体の側壁へ連結されて構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のランプとバンパとの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−237892(P2007−237892A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−62359(P2006−62359)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)