説明

ランプのキャップに対してロックされる電球を備えられる自動車用ランプ

自動車用ランプは、光源を包含する半透明な電球(3)、及び、クリック接続(4,5)を用いて電球(3)と係合するよう電球(3)の一部を取り囲むキャップ(1)を有する。当該ランプは、ランプホルダに対して当該ランプを接続する接続部材(10)を有する。接続部材(10)は、超音波溶接作業等によってキャップ(1)に対して着脱不能に接続され、クリック接続(4,5)をロックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源を包含する半透明な電球、及びクリック接続を用いて該電球と係合するよう該電球の一部を取り囲むキャップを有する、自動車用ランプに係る。
【背景技術】
【0002】
半透明という語は、透明、及び拡散的に透明(diffusely transparent)のいずれも含むよう理解されるべきである。
【0003】
「クリック接続」という表現は、キャップの一部が電球の協働部の後方に延在し、キャップがキャップの弾性材料の変形によって電球から取り除かれ得る一方、キャップの該部が電球の協働部から離れて動くようにする、ことを意味する。キャップを電球に対して接続するよう、電球はキャップへと挿入され、それによってキャップの弾性材料は、変形される。キャップの変形される材料は、電球がキャップに対して最終的な位置にある際にその本来の形状に戻る。該最終的な位置においてキャップは、上述された通り電球に係合する。
【0004】
ランプ電球がかかるクリック接続を用いてキャップによって係合される自動車用ランプは、WO−2004/015331(特許文献1)に記載される。該文献において記載されるキャップは、ランプの電球を安全に保定するよう小さな隆起を有する弾性の舌部を備えられる。弾性の舌部は、電球の一部を取り囲み、隆起を電球に係合させる。ランプのキャップは、電球から取り除かれ得、そのため舌部は、舌部の材料の弾性力に反して外方向に動かされなければならない。ランプのキャップは更に、自動車又は他の車両のランプユニットのバックプレート等であるランプホルダに対してランプを接続する手段を備えられる。
【0005】
ランプは、テールランプ又はブレーキランプ等である自動車のリフレクタを有するランプユニットにおいて使用されるよう、意図される。電球における光源は、ハロゲンランプ等であるいかなる種類のものでもあり得る。キャップは、ポリアミド等である熱可塑性樹脂から単一部品として形成される。この材料は、十分に弾性であり、使用中にランプによって生成される比較的高い温度に耐え得る。あるいは、キャップは、前出の小さな隆起を有する金属製の舌部を有する合成樹脂部品として形成され得る。
【0006】
一般的に、テールランプ、ブレーキランプ、方向指示器ランプ、逆方向走行ランプ等である自動車のランプユニットにおいて、異なる種類のランプが取り付けられるべきである。ランプユニットにおいて複数の異なるランプホルダがあり、各ランプホルダは、所定の種類のランプにのみ合致することができなければならない。したがって、各種のランプは、合致するランプホルダの形状に対応する独特な接続手段(キー素子、key elements)を備えられる。故に、ランプのキャップは、ランプの種類に従うキー素子を備えられなければならない。
【0007】
特許文献1において記載されるランプの不利点は、ランプを取り外す、即ち電球とキャップとを互いから分離する可能性である。この結果、特定の種類のランプの電球は、他の種類のランプの電球と交換され得、そのためランプは、キャップの独特な接続手段(キー素子)がその種類のランプに対応しないようにされる。かかるランプは、自動車のランプユニットにおいて不正確な場所に位置付けられ得る。
【特許文献1】WO−2004/015331
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、光源を包含する半透明な電球、及びクリック接続を用いて該電球と係合するようキャップを有し、ランプの種類に対して適合される接続手段、即ちキー素子を備えられる、自動車用ランプを与えることを目的とする。電球、及び接続手段を有するキャップは、取り外され得ない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するよう、ランプは、ランプをランプホルダに対して接続する接続部材を有する。該接続部材は、キャップに対して着脱不能に接続され、更には前出のクリック接続をロックする。ランプの組立ては、2つの段階において行なわれる:
・ まず、ランプ電球は、キャップのキャビティへと軸方向において挿入される。該キャビティは、(軸方向に延在するスリットによって中断される)キャップの環状壁によって取り囲まれる。
・ 次に、キャップは、ランプ接続部材において軸方向に沿って挿入される。
【0010】
最後に、ランプの取付け及び電気的接続は、組み立てられたランプをランプホルダに挿入することによって実現される。クリック接続をロックするよう、接続部材は、キャップの材料の変形がクリック接続の解放をもたらす場所において、キャップの材料の変形を妨げる。かかるロック機能は、接続部材の剛性部がキャップの弾性部に近接して位置決めされる際に達成され得、それによってキャップに対する接続部材の位置ずれは、不可能にされる。
【0011】
望ましい一実施例において、接続部材は、接着剤を用いてキャップに対して固定される。その場合、キャップ及び接続部材は、接着剤がいずれの材料とも協働することを前提として、異なる材料を有して作られ得る。
【0012】
他の望ましい一実施例において、接続部材は、望ましくは超音波溶接作業である溶接作業によってキャップに対して固定される。かかる超音波溶接作業は、周知であり、ランプの組立て作業中に比較的短時間で容易に行なわれ得る。
【0013】
望ましくは、キャップは、弾性材料を有する単一部品として形成され、少なくとも変形される必要があるキャップの一部は、比較的小さな厚さを有する。ランプの望ましい一実施例では、接続部材は、キャップの主要部(main portion)を取り囲む一方、クリック接続の少なくとも一部は、接続部材によって覆われる。
【0014】
更なる一実施例では、接続部材は、キー素子を有し、接続部材は、所定のランプホルダと独占的に合致する。キー素子が接続部材によって有される際、全ての種類のランプのキャップは同一であり、異なる種類のランプの接続部材のみが、各種のランプの独特な接続手段を形成するよう異なる。
【0015】
更に他の一実施例では、接続部材は、実質的に管状形状を有し、キャップは該管の一端にある。コネクタ素子は、ランプのリードワイヤと電気的に接触するよう管の他端へと挿入され得る。故に接続部材は、コネクタ素子をその接触位置において維持し得る。管状形状は、壁によって中断され得、管の内部の2つの端部におけるスペースは、相互に離される。ランプの光源に対して電力を供給するリードワイヤは、壁における開口を通され得る。
【0016】
更に他の望ましい一実施例では、自動車用ランプは、電球が交換可能ではない電球でなければならないことを含む法定規則の要項を満たさなければならない。前述された実施例においてキャップが接続部材に対して着脱不能に接続されることで電球の交換可能性が防がれるが、ガラス電球は、依然としてキャップの壁の可撓性の部分によりキャップから解放可能である、と考えられる。キャップからの電球の解放可能性を弱めるよう、キャップの環状壁におけるスリットは、接線方向においてシフトされる。該シフトの範囲は、以下の通りにされる:
a) クリックは、キャップの環状壁の平らな可撓性の部分ではなく、三次元の可撓性が少ない環状壁部である。
b) 半径方向から見て、接続部材の壁とキャップの壁の(可撓性のある)クリック部とは接線方向において重なる。
【0017】
接続部材の壁は、例えば超音波溶接を介して、キャップの可撓性が低い環状壁部に対して接着される。これは、接続部材がキャップに対して接着されることを確実なものとし、電球がより強い力で保持されるようキャップを比較的堅固なものとする。キャップのクリックが接続部材のクリックに対して接着される際、接続部材の壁が重なり、且つキャップのクリックに接触する場所においてキャップに対する接続部材の接着が行なわれるため、剛性なリングが作られる。剛性なリングは、全てのクリックを完全に固定し、力がバーナーに対して加えられる際、キャップのクリックが半径方向において屈曲され得ることを防ぐ。
【0018】
本発明は更に、自動車用ランプを組み立てる方法に係る。光源を包含する半透明の電球は、クリック接続を用いて該電球と係合するよう電球の一部を取り囲むキャップに対して接続される。また、ランプをランプホルダに対して接続する接続部材は、キャップに対して着脱不能に接続され、クリック接続をロックするようにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明はこれより、自動車用ランプの実施例の説明を用いて明らかにされる。該自動車用ランプは、電球、キャップ、及び接続部材を有し、複数の斜視図である図面が参照される。
【0020】
図面は、概略的であり、本発明を明らかにするよう関連する部分のみを示す。
【0021】
図1は、自動車用ランプのキャップ1を示す。キャップ1は、ポリアミドからの単一部品として形成される。ポリアミドは、弾性であり、使用中にランプによって生成される比較的高い温度に耐え得る。キャップ1は、図2に示される通り、電球3がキャップ1に対して接続される際、ランプの電球3を支持するよう環状表面2を有する。キャップ1は、ランプの電球3を係合するよう8つの隆起4を備えられる。係合されるよう、電球3は、フランジ5を備えられる。該フランジは、その一側を環状表面2に置く一方、キャップ1の隆起4は、ランプのキャップ1に対して電球3を固定するようフランジ5の他側と係合する。
【0022】
電球3をキャップ1に対して接続するよう、電球3のフランジ5は、キャップ1へと軸21に沿って挿入され、キャップ1の弾性材料を一時的に変形させるため、隆起4が外方向に動く。キャップ1の変形された材料は、電球3がキャップ1に対する最終位置にある際、その本来の形状に戻り、電球3のフランジ5は、キャップ1の環状表面2上に置かれる。キャップ1の材料における4つのスリット6は、隆起4が位置決めされるキャップ1の部分の一部の可撓性を高める。
【0023】
電球3とキャップ1との間における接続は、クリック接続と称され、キャップ1の隆起4は電球3のフランジ5の後方に延在する。電球3は、キャップ1の材料を変形させることによってキャップ1から解放され得、隆起4が外方向に動かされ、そのためフランジ5は、隆起4の間を通り得る。
【0024】
電球3は、電球3における光源に対して電力を供給するよう、2つのリードワイヤ7を備えられる。キャップ1は、穴を備えられ、2つのリードワイヤ7は、キャップ1を介してキャップ1の外側に延在し得る。
【0025】
図3は、完全なランプを示し、接続部材10がランプキャップ1に対して取り付けられている。接続部材10は、キャップ1を取り囲む部分9、及び自動車用ランプユニットのバックプレート等であるランプホルダにおいて終端し得るフランジ13を有する。バックプレートは開口を備えられ、電球3及び部分9は、該開口を介してランプユニットの後方からランプユニットへと挿入され得る。部分9は、4つの突起12を有する。該突起は、キー素子であり、ランプユニットのバックプレートにおいて対応する凹部の形状と合致する特定の形状を有し、かかるキー素子を有するランプのみが、特定の種類のランプに対するランプホルダへと挿入され得る。
【0026】
ランプは、バヨネット接続を用いてランプユニットのバックプレートにおいて固定され得る。突起12のうち1つ又はそれより多くは、技術的に周知であるバヨネット接続に対するピンとしての役割を有する。フランジ13は、その外側エッジの周囲において環状ゴムリング11を備えられ、該リングは、ランプとランプホルダとの間において密封を形成する。
【0027】
図4は、キャップ1に対する接続部材10の固定を図示するよう、図3の一部を拡大して電球3を有さずに示す。接続部材10及びキャップ1は、超音波溶接作業によって互いに対して接続され、接続部材10の材料は、キャップ1の材料に融合される。接続部材10とキャップ1との間の溶接14は、図4中の円15に示される。溶接作業後、接続部材10は、キャップ1から取り除かれ得ない。更には、接続部材10の部分9がキャップ1を取り囲み、且つ隆起4が外方向に動くことを防ぐため、キャップ1は、容易には変形され得ない。そのため、電球3のフランジ5は、安全に係合される。したがって、電球3は、キャップ1から容易に離され得ず、ランプは、容易に取り外され得ない。
【0028】
図5は、接続部材10の別の斜視図であり、管状部16が図示される。接続部材10の管状部16は、ランプホルダの後方からアクセス可能であり、コネクタ素子(図示せず)は、2つのリードワイヤ7(図2)に接触するよう部分16へと挿入され得、そのため、ランプの光源は電力を供給され得る。
【0029】
図6は、電球を有さない拡大図であり、キャップ1に対する接続部材10の固定を図示するよう、軸21に沿って接続部材のキャビティ23に挿入されるキャップ1を有する接続部材の一部を示す。接続部材10及びキャップ1は、超音波溶接作業を用いて互いに対して接続され、接続部材10の材料は、キャップ1の材料に対して融合される。接続部材10とキャップ1との間の溶接14は、図6における円15において図示される。溶接作業後、接続部材10は、キャップ1から取り除かれ得ない。更には、接続部材10の部分9がキャップ1を取り囲むだけではなく、更にはキャップの環状壁19におけるスリット6が接線方向においてシフトされるため、キャップ1は、電球及びキャップ1の取外しを可能にするよう十分に変形され得ない。該シフトの範囲は、以下の通りにされる:
a) クリックは、キャップ1の環状壁19の三次元であり可撓性が少ない環状壁部19aである。
b) 半径方向から見て、接続部材10の壁とキャップの壁の(可撓性のある)クリック部とは接線方向において重なる。
【0030】
キャップのクリック19aが接続部材に対して溶接14を介して接着される際、キャップ1に対する接続部材10の接着がキャップの壁及び接続部材の壁が重なり、且つ両壁が互いに対して接触する重畳位置20において行なわれるため、リング22によって概略的に図示される剛性なリングは、作られる。結果として、隆起4は、軸21に対して半径方向外側に動き得ることを防がれ、電球3のフランジ5(図6中に示されず)が恒久的に係合される。したがって、電球は、キャップ1から離され得ず、ランプは、取り外され得ない。剛性なリングは、全てのクリックを完全に固定し、力が電球に加えられる際にキャップのクリックが半径方向に屈曲され得ることを防ぐ。
【0031】
上述されたランプの実施例は、本発明に従った自動車用ランプの一例に過ぎない。本発明は、自動車用ランプにのみ制限されるのではなく、電球がキャップにクリック留めされるか、あるいはキャップされたランプがホルダ及び/又は接続部材においてクリック留めされる、多くの他の実施例にも適用される。一般的な照明の例は、例えばキャップされたハロゲンリフレクタランプである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】自動車用ランプのキャップを図示する。
【図2】ランプの電球に対して取り付けられるキャップを図示する。
【図3】自動車用ランプの全体を図示する。
【図4】キャップを有する接続部材の第1の実施例の一部の拡大図である。
【図5】接続部材の斜視図である。
【図6】キャップを有する接続部材の他の実施例の一部の拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用ランプであって、
光源を包含する半透明な電球と、
クリック接続を用いて該電球と係合するよう該電球の一部を取り囲むキャップと、
を有し、
当該ランプは、ランプホルダに対して当該ランプを接続する接続部材を有し、該接続部材は、前記キャップに対して着脱不能に接続され、且つ前記クリック接続をロックする、
ことを特徴とする自動車用ランプ。
【請求項2】
前記接続部材は、接着剤を用いて前記キャップに対して固定される、
ことを特徴とする請求項1記載の自動車用ランプ。
【請求項3】
前記接続部材は、溶接作業によって前記キャップに対して固定される、
ことを特徴とする請求項1記載の自動車用ランプ。
【請求項4】
前記接続部材は、超音波溶接作業によって前記キャップに対して接続される、
ことを特徴とする請求項3記載の自動車用ランプ。
【請求項5】
前記キャップは、弾性の材料を有する単一部品として形成される、
ことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の自動車用ランプ。
【請求項6】
前記接続部材は、前記キャップの主要部を取り囲む、
ことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項記載の自動車用ランプ。
【請求項7】
前記接続部材は、キー素子を有し、接続部材は、所定のランプホルダに独占的に合致する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか一項記載の自動車用ランプ。
【請求項8】
前記接続部材は、実質的に管状形状を有し、前記キャップは、該管の一端にあり、コネクタ素子は、当該ランプのリードワイヤと電気的に接触するよう前記管の他端へと挿入され得る、
ことを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか一項記載の自動車用ランプ。
【請求項9】
前記キャップの環状壁において与えられるスリットは、軸に対して接線方向においてシフトされ、
該シフトの範囲は、前記環状壁の壁部が前記キャップの三次元である可撓性が低い環状クリック部を形成するようにされ、また、半径方向からみて、前記接続部材の前記壁と前記クリック部とは、接線方向において重なる、
ことを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか一項記載の自動車用ランプ。
【請求項10】
自動車用ランプを組み立てる方法であって、
光源を包含する半透明の電球は、クリック接続を用いて該電球と係合するよう該電球の一部を取り囲むキャップに対して接続され、
当該ランプをランプホルダに対して接続する接続部材は、前記キャップに対して着脱不能に接続され、それによって前記クリック接続をロックする、
ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−529761(P2009−529761A)
【公表日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−557875(P2008−557875)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【国際出願番号】PCT/IB2007/050737
【国際公開番号】WO2007/105144
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】