説明

ランプシェード及びランプシェード付きランプ

【課題】 劣化に伴う交換や色柄等の変更に対処し得ると共に、劣化に関しては劣化の進行を遅らせて装飾の美麗さを保たせたり交換までの時間を長くし得るようなランプシェード及びこれを用いたランプを提供することを課題とする。
【解決手段】 発光源の近傍に設けられる透光性のランプシェードであって、内側層と外側層との間に工芸和紙などから成る装飾層が挟着されて成るものであり、これ等の3つの層は何れも透光性を有するものであり、前記装飾層は前記内側層と外側層との間に着脱交換自在に且つ外気に触れ難いように密閉可能に設けられていることを特徴とする。またランプとしてはこのようなランプシェードが設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は工芸和紙などから成る装飾層が交換自在に設けられた、美麗で劣化しにくいランプシェード及びこのランプシェードを用いたランプに関する。
【背景技術】
【0002】
ランプシェードは電球や蛍光管等の発光源からの強い光を和らげたりムードを醸し出すために、発光源の前方に置かれたり発光源の周りを囲うように設けられるものである。このようなランプシェードは発光源の近くにあるため日焼けなどによる劣化が激しい。
【0003】
一方、清掃や交換のためランプシェードを取り替えることが出来るような照明装置が提案されている。特開平6−275115の照明装置は照明用かさ本体に半透明または透明な部分を含む照明用かさを取り付けてなるものであって、照明用かさの少なくとも半透明または透明なかさ部分を複数個に分割し、且つこれら各半透明または透明なかさ部を照明用かさ本体に着脱可能に取り付けたものとしている。これにより複数個に分割された照明用かさの半透明または透明なかさ部が照明用かさ本体から任意に、且つ簡単に着脱することが可能となるので、必要に応じて半透明または透明なかさ部を新たなかさ部に交換したり、清掃後再び取り付けることが出来、照明の明るさを向上させることが出来るようになったとしている。
【0004】
また特開2000−268611の照明器具は、光源及び複数の支持部材からなる器具本体と、この器具本体の一部または全部を覆うためのかさとからなり、前記複数の支持部材を重ねて収納する収納状態とこの重なり合った複数の支持部材を開いて自立可能とする使用状態とに切り替え自在に構成すると共に、前記かさを器具本体に対して着脱自在に設けたものとしている。これにより前記かさが損傷した場合あるいは柄や色等が異なるかさに変更したい場合等に於いて、器具本体に対してかさを取り外して新たなかさを取り付けることが出来るようになっている。
【特許文献1】特開平6−275115
【特許文献2】特開2000−268611
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
確かに特開平6−275115の照明装置も特開2000−268611の照明器具も、かさが本体に対して着脱自在に設けられているため新たなかさに交換することは容易である。あるいは色柄等が異なるかさに変更することも容易ではある。しかしながらかさの交換は容易であっても、かさの劣化を遅くすることは出来ない。
【0006】
そこでこの発明は、上述したような問題点を解決して、劣化に伴う交換や色柄等の変更に対処し得ると共に、劣化に関しては劣化の進行を遅らせて装飾の美麗さを保たせたり交換までの時間を長くし得るようなランプシェード及びこのランプシェードを用いたランプの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
当発明者は鋭意研究を行った結果、ランプシェードの劣化は美麗な装飾部分が空気に触れることにより進行が早まると言う知見を得ることが出来たのである。美麗な装飾部分は発光源の近くにあり、この装飾部分に供給され続ける空気中の酸素が日焼けを促進してしまうのである。
【0008】
すなわち上記課題は、発光源の近傍に設けられる透光性のランプシェードであって、内側層と外側層との間に工芸和紙などから成る装飾層が挟着されて成るものであり、これ等の3つの層は何れも透光性を有するものであり、前記装飾層は前記内側層と外側層との間に着脱交換自在に且つ外気に触れ難いように密閉可能に設けられていることを特徴とする、ランプシェードとすることにより達成される。なおここで言う透光性とは、素材が透明なもの、透明な表面に凹凸を設けたり、多数のレンズ様のものを形成したり、擦りガラス様にしたもの、素材が半透明なもの、内部に気泡を入れたり、屈折率の異なる物質を入れたものなど任意であるが、何れにせよ不透明でなく発光源からの光を通過させることが出来るものと言うことになる。
【0009】
このランプシェードを構成する3つの層、すなわち内側層と外側層とこの間に挟着される工芸和紙などから成る装飾層とは何れも透光性を有するものであるためにランプシェードとしての役割を果たすことが出来る。特に装飾層の存在によりこのランプシェードは美麗な光を放つものとなっている。この装飾層はガラスやアクリル板等の本来クリアな素材に挟まれてその表面が保護されている。そして内側層と外側層との間からこの装飾層を着脱交換することが出来るが、新しい装飾層を内側層と外側層との間に挟む際に、この新しい装飾層を内側層と外側層とで外気に触れ難いように密閉可能にしているため、美麗な装飾層が空気に触れ難く劣化の進行を遅らせることが可能となり、装飾の美麗さを保たせたり交換までの時間を長くすることに成功している。
【0010】
なおこのようなランプシェードは、発光源を囲うようにして取り付けることも出来れば発光源の前方に置くようにすることも出来る。いわゆる電気スタンド等は前者として、また壁面ランプ等は後者として構成されることが多い。なお前者の場合に上部に発光源で熱せられた空気を抜くための抜気孔が開孔されているものとすれば、ランプシェードの内部の熱気を上方へ抜くことが容易になる。
【0011】
ところで請求項1に記載のランプシェードに関して、前記内側層と外側層とはその重合縁部に設けられた係合部で密着する構成とすることが出来る。内側層と外側層とは係合部で密着して全周が閉じられた状態となるため、空気は内側層と外側層との間に入り込み難くなっており、従って内側層と外側層との間に挟着された装飾層の劣化の進行が遅れる。
【0012】
なおこの発明のランプシェード付きランプは、発光源の近傍にランプシェードが設けられており、このランプシェードは内側層と外側層との間に装飾層が挟着されて成るものであり、これ等の3つの層は何れも透光性を有するものであり、前記装飾層は前記内側層と外側層との間に着脱交換自在に且つ外気に触れ難いように密閉可能に設けられていることを特徴とする。なおこのようなランプに関しても、ランプシェードは発光源を囲うようにして取り付けることも出来れば発光源の前方に置くようにすることも出来る。また前者の場合に上部に発光源で熱せられた空気を抜くための抜気孔が開孔されているものとすれば、ランプシェードの内部の熱気を上方へ抜くことが容易になる。
【0013】
また前記内側層と外側層とはその重合縁部に設けられた係合部で密着する構成とすることが出来る。内側層と外側層との間が気密に保たれるのは、内側層と外側層とを係合部で密着させて全周が閉じられた状態としているためである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば工芸和紙などから成る美麗な装飾層が交換自在であるため、状況により好みのものに交換してムードを変えることが出来る。またこの装飾層は内側層と外側層とに挟着されて外気に触れ難いため、劣化し難く長持ちさせることが出来る。またこの装飾層は汚れにも極めて強いものとなっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下この発明の実施形態を図面を参照しつつ説明するが、この発明はこれ等の実施形態にのみ限定されるものではなく、各種のバリエーションを与えることが可能である。
【0016】
第1実施形態
この実施形態のスタンドは支台2に立設した支柱20の頂部に設けた電球Bの周りに掛けるランプシェードに関するものであり、シェード1は図示しない金具で支柱20に固定される(図1)。このシェード1を図2を用いて説明すると、シェード1は頂部を閉じた円筒形状を呈する透明な外筒部10及び内筒部12で草花を入れ込んだ工芸和紙からなる装飾筒14を挟み込んで成るものである。外筒部10の内側に装飾筒14をセットし、この更に内側に内筒部12をセットすることでシェード1が得られる。
【0017】
この際に外筒部10の下縁部の全周に亘って形成した凹部である嵌合縁部11に、内筒部12の下縁部の全周に亘って形成した凸部である嵌合縁部13が嵌合することによって、この部位が密着して外筒部10と内筒部12との隙間が密閉状態となり、この隙間に納められた装飾筒14が外気から隔離された状態となるのである(図2)。従って装飾筒14は劣化し難く長寿命である
【0018】
電球Bからの光を透して見る装飾筒14は美麗であり、工芸和紙独特のムードを十分醸し出しているが、これを別の絵柄や素材のものに変えたいとする場合には、前記内筒部12の嵌合縁部13を外筒部10の嵌合縁部11から浮かせるようにして外し、そのまま内筒部12を外筒部10から引き出すようにする。これによって装飾筒14を取り出すことが出来る。
【0019】
第2実施形態
この実施形態のシェード3は上下吹き抜けの円筒形状を呈している点、及び外筒部30と内筒部31の隙間を気密に保つためのキャップ4が上下の縁部に冠されている点に特徴を有する(図3)。
【0020】
すなわちシェード3は上開口部32及び下開口部33により頂部底部共に開放された、円筒形状を呈する透明な外筒部30及び内筒部31で工芸和紙の装飾筒34(ここでは工芸和紙を丸めただけのものを使用している)を挟み込んで成るものである。外筒部30の内側に装飾筒34をセットし、この更に内側に内筒部31をセットして、前記上開口部32及び下開口部33にキャップ4を填め込むことによりシェード3が得られる。このキャップ4には全周囲に亘って嵌合凹部40が設けられており、この嵌合凹部40に装飾筒34を挟み込んだ外筒部30と内筒部31の上下の縁部に填め込むのである。
【0021】
このようにキャップ4によって外筒部30と内筒部31との隙間が密閉状態となり、この隙間に納められた装飾筒34が外気から隔離された状態となってその寿命が長く保たれることになるのである。なお装飾筒34を別のものと交換したい場合には、シェード3の上下縁部から前記キャップ4を外して内筒部31を外筒部30から引き出すようにして装飾筒34を取り出す。
【0022】
第3実施形態
この実施形態のシェード5は、その殆どの構成を上述した第2実施形態のシェード3に倣うものであるが、外筒部が次の点で異なる。すなわち外筒部は布張り製の遮光体であるが、その遮光部50の中央部が開口されて窓部51が設けられている。なお内筒部は透明筒である(図4)。
【0023】
この図示しない内筒部と前記外筒部との間に絵画を焼き付けたカラーフィルムからなる装飾フィルム52が挟着されている。こうして電球の光が装飾フィルム52を明るく照らしてムードを醸し出すのである。なお装飾フィルム52は気密に保たれて長寿命となるが、交換自在であるために状況により好みのものに交換してムードを変えることが出来るようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0024】
この発明のランプシェード及びランプは、それを構成する部品の材質や形状等は設計者が自由に選択することが出来る。装飾層の気密性を保つための構成例としては、上述した外筒部10及び内筒部12の嵌合縁部同士の嵌合によるものや外筒部30と内筒部31の上下の縁部に填め込む嵌合凹部40を有するキャップ4によるものの他にも、例えば上述した第3実施形態の他の構成例として、外筒部の遮光部50に設けた窓部の背面に円形の填込凹部を形成し、この填込凹部の壁面部分に螺子部を設け、ここに内側層となる円形の透明な別の窓部がその周縁部に形成された螺子部によって気密に螺子込まれるようにする構成を上げることが出来る。この構成によれば遮光部50の窓部の前記填込凹部の中に草花を入れ込んだ工芸和紙等からなる装飾層を納めてから内側層となる前記別の窓部を螺子込むと、装飾層が気密に保たれるようになるのである。
【0025】
またこの発明に於いて装飾層は気密性を保たれる限りは内側層と外側層とによりピッタリと挟み付けられている必要はないから、例えば編目の荒い2枚の布によるモアレパターンの変化が見られるように、布を内側層と外側層との間に緩く納めるような構成とすることも可能である。装飾層の構成も任意であって、和紙に押し花をすき込んだものや、透明板に手製の折り紙や切り絵を貼り付けたものなど(影絵も可)、透光性のあるものなら何でも利用することが出来る。また用途も任意であって、電気スタンド、壁面ランプ、天井灯、庭園の外燈などの他にも、この発明のランプシェード及びランプの構成を壁面や天井や床面の全体に及ぼしたものや、小さなものでは時計の文字盤とすることなども十分可能である。また発光源としては電球の他、蝋燭やガスランプなども任意に利用することが出来る。なおこの発明を発光源の背後に設けられる反射性のランプシェードとして構成することも可能がある。すなわち何れも透光性を有する内側層と外側層とこの間に挟み込んだ装飾層とから成り、前記外側層(一番奥の層)には光の反射面である鏡面が形成されており、前記装飾層は前記内側層と外側層との間に着脱交換自在に且つ外気に触れ難いように密閉可能に設けられている、主として天井ランプや壁面ランプ用のランプシェードである。この3つの層、すなわち内側層と外側層とこの間に挟み込まれた装飾層との内、内側層と装飾層とは透光性を有しており、発光源からの光はこの2つの層を透過して外側層に入るが、ここでこの外側層の反射面によって反射され再び装飾層と内側層とを透過して人の目に達するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】 第1実施形態の斜視図である。
【図2】 同実施形態のシェード1部分の断面図である。
【図3】 第2実施形態のシェード3の断面図である。
【図4】 第3実施形態のシェード5の正面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 シェード
10 外筒部
11 嵌合縁部
12 内筒部
13 嵌合縁部
14 装飾筒
2 支台
20 支柱
3 シェード
30 外筒部
31 内筒部
32 上開口部
33 下開口部
34 装飾筒
4 キャップ
40 嵌合凹部
5 シェード
50 遮光部
51 窓部
52 装飾フィルム
B 電球

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光源の近傍に設けられる透光性のランプシェードであって、内側層と外側層との間に工芸和紙などから成る装飾層が挟着されて成るものであり、これ等の3つの層は何れも透光性を有するものであり、前記装飾層は前記内側層と外側層との間に着脱交換自在に且つ外気に触れ難いように密閉可能に設けられていることを特徴とする、ランプシェード。
【請求項2】
発光源の周囲に設けられるものである、請求項1に記載のランプシェード。
【請求項3】
上部にランプで熱せられた空気を抜くための抜気孔が開孔されている、請求項2に記載のランプシェード。
【請求項4】
発光源の前方に設けられるものである、請求項1に記載のランプシェード。
【請求項5】
前記内側層と外側層とはその重合縁部に設けられた係合部で密着する、請求項1に記載のランプシェード。
【請求項6】
発光源の近傍にランプシェードが設けられており、このランプシェードは内側層と外側層との間に装飾層が挟着されて成るものであり、これ等の3つの層は何れも透光性を有するものであり、前記装飾層は前記内側層と外側層との間に着脱交換自在に且つ外気に触れ難いように密閉可能に設けられていることを特徴とする、ランプシェード付きランプ。
【請求項7】
発光源の周囲に設けられるものである、請求項6に記載のランプシェード付きランプ。
【請求項8】
上部にランプで熱せられた空気を抜くための抜気孔が開孔されている、請求項7に記載のランプシェード付きランプ。
【請求項9】
発光源の前方に設けられるものである、請求項6に記載のランプシェード付きランプ。
【請求項10】
前記内側層と外側層とはその重合縁部に設けられた係合部で密着する、請求項6に記載のランプシェード付きランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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