説明

ランプ及びランプの製造方法

本発明は、長い光源及びこの光源を囲む同軸の透明スリーブを有するランプであって、光源が硬化セメントによってスリーブの一端に固定され、硬化されていない状態のセメントがランプの中央部に入るのを防止するためのセメントバリアが、光源とスリーブとの間にあり、このセメントバリアがやや可撓性のある材料からなるランプに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長い光源及びこの光源を囲む同軸の透明スリーブを有するランプに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなランプは、欧州特許出願公開第0336478号明細書に説明される。既知のランプでは、光源及びスリーブは、両方ともベースに取り付けられる。このような透明スリーブは、ランプ内に生じる高温に耐えなければならず、それゆえ、一般的に、ガラス、石英ガラス又は石英からなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
どのようにして光源及びスリーブがベースに取り付けられているかは説明されていないけれども、電流供給導体を有するベースが比較的大きいことが分かり、このことはそのランプの信頼性にとって不利である。本発明の目的は、よりコンパクトで信頼性の高い取り付けの解決策を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的のために、光源が硬化セメントによってスリーブの一端に固定され、硬化されていない状態のセメントがスリーブの中央部に入るのを防止するためのセメントバリアが、光源とスリーブとの間にあり、セメントバリアがやや可撓性のある非金属材料からなる。好ましくは、光源及びスリーブが、好ましくはセラミックセメントによってセラミックベースに取り付けられ、好ましくは、リフレクタもセメントによってこのベースに取り付けられる。このようにして、非常にコンパクトなランプベースが得られ、ここでは、光源の位置が、非常に信頼のおける正確なやり方で維持されることができる。更に、電流供給導体が、このセメントに安全に封入される。
【0005】
セメントバリアは、いくぶん可撓性を有していなければならない。なぜならば、金属セメントバリアが使用された場合、スリーブ又はバーナがかなり頻繁にクラックを生じやすいことが分かっているからである。このクラッキングは、主として、金属セメントバリアと、石英又は石英ガラススリーブとの間の熱膨張の大きな違いによって、及びそれにより石英又は石英ガラススリーブに印加される力によって引き起こされた。従って、上記の用語「可撓性又は弾力性(flexibility,フレキシビリティ)」とは、ガラス、石英ガラス及び石英よりも可撓性をもつこと及び/又はより柔らかいこととして解釈されるべきである。(可撓性材料又は弾力性物質と呼ばれる)可撓性をもつ材料が使用される場合、これらの力は簡単に吸収される。
【0006】
好ましくは、この非金属の可撓性材料が、150℃を上回る温度で、好ましくは200℃を上回る温度で、より好ましくは250℃を上回る温度でその形状を保持する。ある好ましい実施形態では、非金属材料がセメントに対して滑らかな表面をもち、このことは、セメントのセメントバリア材料への付着を弱める。適切な材料は、マイカ及び種々の合成材料又はプラスチックである。特に、マイカは、400℃までのランプ温度に容易に耐えることができるので、非常に有用であることが分かっている。更に、セメントはマイカプレートに付着しない。このことは、高い応力を避ける点で更なる利点となる。
【0007】
他の好ましい実施形態では、セメントバリアの可撓性材料が、セメントに対して繊維状の表面をもつ。この材料の繊維状の構造のため、セメントに対向する表面はセメントが付着し得るバリアを形成し、それと同時に、この表面は熱膨張の違いを簡単に吸収し、従って、種々の異なる部分間に熱応力が構築されることを避ける。特に、ガラスウール又はセラミックウールは、非金属セメントバリアが形成されることができる適切な繊維状の材料であることが分かっている。
【0008】
更に他の実施形態では、可撓性材料が合成材料によって形成される。合成材料の利点は、非常に多くの利用可能な材料から選択が行われ得ることである。この選択において重要なことは、選択される材料が、150℃以上の温度に持続的に耐える適切な熱特性をもつことである。この点において非常に適している材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
【0009】
好ましい実施形態では、光源がセラミックバーナを有し、スリーブが石英ガラス又は石英からなる。
【0010】
更に、本発明は、ランプを製造する方法であって、長い光源が透明スリーブに同軸的に挿入され、やや可撓性のある材料からなるセメントバリアが、光源とスリーブとの間に配置され、光源をスリーブに固定するために、液状セメントがバリアに注入される方法にも関する。
【0011】
本発明の上記及び他の態様は、図面を参照して説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1において、照明ユニット1は、対称軸3をもつ凹状リフレクタ2と、この軸を横切るリフレクタの周囲エッジ20によって境界付けられる発光窓21と、を備え、ここで、長い(elongate)光源30が、対称軸上において実質的に対称に軸に沿って配置され、発光窓の反対側のホルダ4に収容され、更に、軸に沿って位置付けられるキャップ5が、反射されない光線をさえぎるために光源を部分的に囲む光学遮蔽手段として作用している。この光源は、発光窓に対向する端部61をもつスリーブ60によって囲まれている。キャップ5は、スリーブに設けられる固定素子(locking element)70によって、その端部に隣接するスリーブの上を覆って位置付けられる。図示される実施形態では、光源がセラミック放電容器31によって形成され、このセラミック放電容器が、リードスルー素子を放電容器に配置される電極に位置付けるために、それぞれの軸端面32,33に外部密閉プラグ320,330を備え、これらの電極の間で動作状態中に放電が広がる。これが、説明される実施例におけるメタルハライド放電である。放電容器は、外側バルブ34に収容されている。説明される事例では、外側バルブ34、スリーブ60及びリフレクタ2が、ホルダ4の領域で互いに取り外しできないように接続されている。このように、リフレクタ及び光源が、メタルハライドランプに組み込まれている。
【0013】
スリーブ60は、キャップ5が端部61の領域を通ってその上にはめられている硬質ガラス製の管状体である。このキャップは、発光窓から離れて対向する側に遮蔽リング51を備え、この遮蔽リングが、光源から半径方向に距離dにわたって延在する。遮蔽リングの位置決めにより、キャップとホルダとの間に位置する光源の当該部分からくる反射されない発光が効果的に防止される。遮蔽リングはリングエッジ52を備え、固定素子70はタグ形状の素子71を備えている。このタグ形状の素子が、光源から半径方向に離れる向きにばね力でリングエッジを把持する(grip into,締め付ける)。少なくとも一つの凹部62が、スリーブ6の外側表面6に設けられ、その凹部の中に固定素子70の一部が、ばね力で把持されている。
【0014】
図2は他の有利な実施形態を示し、ここでは、ホルダ4が、電源に接続するための電気接点をもつベース8を備えている。
【0015】
リフレクタ及び光源は、好ましくは、ホルダ4の領域にランプを形成するように、互いに取り外しできないように好適に接続されている。
【0016】
図2において、ホルダ4は、このホルダ4の端部の近傍にくぼみ(indentation)の形で、光源34及びスリーブ60への接続部に隣接する固定メカニズム41を備えている。このくぼみは、一方ではリフレクタと、他方では光源及びスリーブとの間の結合が、光源の動作中の膨張の違いにもかかわらず、損なわれないままであるように成形される。非常に好ましい状況は、3つのくぼみ41が、ホルダの関連する端部の周囲に等しい相互間隔をおいて設けられる状況である。
【0017】
ベース8、ホルダ4及びスリーブ60は、硬化セメント80によって光源の、例えば、ピンチ部の形をしたシール部341に接合されている。ベース8は、硬化されていない形態のセメント、即ち、依然として液状のセメントを供給するための上昇孔(rise hole,ライズホール)811及び充填孔(filling hole,フィリングホール)81を備えている。それ自体が知られるやり方で、このセメントが加熱によって硬化されて硬化セメント80になり、それにより、上述された接合部が生成される。充填孔81について充填周囲長82を、出口の周囲長821よりも大きく選択することにより、有利なことに、硬化状態のセメント80が、インターロッキング固定部(interlocking fixture)を形成することが達成される。このことは、断面図で充填孔81が先細りする勾配(tapering gradient)をもつことが示される実施形態において実現される。このインターロッキング効果は、上昇孔811も、ホルダ4から離れた側で最大の直径を有する先細りする勾配をもつことによって一層高められる。
【0018】
少なくとも実質的にスリーブ60の壁まで円周方向に延びるプレート83が、光源のシール部341付近に配置されている。図3は、プレート83の平面図である。このプレートは、硬化されていないセメント、即ち、充填中に依然として液状セメント80を阻止(stop,ストップ)するように機能を果たす。このように、プレート83はセメントバリアを形成する。プレート83は、好ましくは150℃まで、より好ましくは少なくとも200℃まで、更に一層好ましくは少なくとも250℃までの耐熱性であるべきである。本発明の一態様において、セメント80は、好ましくは、プレート83に付着するべきではない。さもなければ、膨張係数の違いのためにクラックが生じる可能性がある。従って、プレート83の材料は、好ましくは、セメントに対して滑らかな表面をもつ。本発明の他の態様では、プレート83の材料は、セメント80に対して繊維状の表面をもつ。このことが、セメントの付着を促進することは事実ではある。しかしながら、その場合、膨張係数の違いは、材料の繊維状の構造によって容易に吸収される。更に、この材料は、好ましくは、あまり硬すぎてはいけない。なぜならば、あまりに硬すぎると、プレート83は、圧力によってスリーブ60又はシール部341のガラスを破壊する可能性があるからである。材料が好ましくはもつべきである他の特性は、材料があまり脆すぎてもいけないということである。
【0019】
従って、金属は、プレート83のために特に適している材料ではないことが分かった。結果的に、プレート83の材料は、いくぶん可撓性があるべきであり、少なくとも金属よりも並びにガラス、石英ガラス及び石英よりも可撓性に優れるべきである。非常に適切な非金属材料は、マイカ(mica,雲母)であることが分かった。繊維状の非金属材料としてのガラスウールが、セラミックウールとともに適切な材料であることも分かっている。プレートが好適に製造され得る非金属材料の他の実施例は、フェノール樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド、可撓性ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル熱可塑性エラストマ(TPE)、オレフィンTPE、ポリエステルアロイ、熱可塑性ポリイミド、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂、フルオロポリマ、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン樹脂及びポリエステルカーボネイト(polyester carbonate)のような種々の合成材料である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明によるランプユニットの断面図である。
【図2】本発明によるランプユニットの他の実施形態を示す図である。
【図3】本発明によるランプユニットに使用されるセメントバリアの平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長い光源及び前記光源を囲む同軸の透明スリーブを有するランプであって、
前記光源が、硬化セメントによって前記スリーブの一端に固定され、
硬化されていない状態のセメントが前記スリーブの中央部に入るのを防止するためのセメントバリアが、前記光源と前記スリーブとの間にあり、
前記セメントバリアが、やや可撓性のある非金属材料からなるランプ。
【請求項2】
前記材料が、150℃を上回る温度で、好ましくは200℃を上回る温度で、より好ましくは250℃を上回る温度でその形状を保持する、請求項1に記載のランプ。
【請求項3】
前記非金属材料が前記セメントに対して滑らかな表面をもち、このため、前記セメントの前記セメントバリア材料への付着を弱める、請求項1又は2に記載のランプ。
【請求項4】
前記非金属材料がマイカである、請求項1、2又は3に記載のランプ。
【請求項5】
前記非金属材料が合成材料である、請求項1、2又は3に記載のランプ。
【請求項6】
前記セメントバリアの前記非金属材料が、前記セメントに対して繊維状の表面をもつ、請求項1又は2に記載のランプ。
【請求項7】
前記非金属材料が、ガラスウール又はセラミックウールである、請求項1、2又は6に記載のランプ。
【請求項8】
前記光源及び前記スリーブが、前記セメントによってセラミックベースに取り付けられる、請求項1乃至7の何れか一項に記載のランプ。
【請求項9】
リフレクタが、前記セメントによって前記ベースに取り付けられる、請求項1乃至8の何れか一項に記載のランプ。
【請求項10】
前記光源がセラミックバーナを有する、請求項1乃至9の何れか一項に記載のランプ。
【請求項11】
前記スリーブが、石英ガラス又は石英からなる、請求項1乃至10の何れか一項に記載のランプ。
【請求項12】
ランプを製造する方法であって、
長い光源が、透明スリーブに同軸的に挿入され、
やや可撓性のある材料からなるセメントバリアが、前記光源と前記スリーブとの間に配置され、
前記光源を前記スリーブに固定するために、液状セメントが前記バリアに注入される方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−500929(P2007−500929A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530804(P2006−530804)
【出願日】平成16年5月12日(2004.5.12)
【国際出願番号】PCT/IB2004/050642
【国際公開番号】WO2004/102613
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】