説明

リアシートクッション構造

【課題】本発明は、リア側シートの乗降性を向上させるようにしたリアシートクッション構造を提供する。
【解決手段】リアシートクッション構造において、リア側シート1のリアシートクッションSCのドア側コーナーCの下部には、リアシートクッションのパッド材を凹状に成形し、この凹状部分の表面にトリムカバーが接着剤により貼着されている足通過スペースSが形成されている。このような足通過スペースSの採用により、乗員が乗り込む際に、フロント側シートとリア側シート1のリアシートクッションSCとの間にドア開口Dから矢印B方向に乗員の足Fを通過させ易く、降りる際も足Fを通過させやすいので、これによって、リア側シート1の乗降性を向上させることができ、また、足通過スペースの形状を良好に保持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リア側シートのリアシートクッション構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開平4−237646号公報がある。この公報に記載されたリア側シートのシートクッションの前面は、下方向に斜めにカットされており、これに対して、シートクッションのドア側の側面は、鉛直面になっているのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−237646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、リア側シートのシートクッションの前面は、下方向に斜めにカットされているが、フロント側シートが後側に大きく移動させられている場合に、フロント側シートとリア側シートのシートクッションとの間のスペースが狭くなっており、リア側シートに着座する際に、足をドア開口側から床に向かって入れ難く、降りる際も足を出し難いといった問題点があった。なお、フロント側シートでは、ドア側の側面を下方に斜めにカットされたものがあるが、これは、リクライニングなどの操作部を収容するためのスペースとして利用されており、乗降性を考慮したものではない。
【0005】
本発明は、リア側シートの乗降性を向上させるようにしたリアシートクッション構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、フロント側シートの後方に配置されるリア側シートにおいて、
前記リア側シートのリアシートクッションのドア側コーナーの下部には、凹状の足通過スペースが形成され、該足通過スペースを形成するために、前記リアシートクッションのパッド材は凹状に形成され、この凹状部分の表面にトリムカバーが接着剤により貼着されていることを特徴とする。
【0007】
このリアシートクッション構造においては、リア側シートのリアシートクッションのドア側コーナーの下部に凹状の足通過スペースが形成されているので、フロント側シートとリア側シートのリアシートクッションとの間で乗員の足を通過させ易く、これによって、リア側シートの乗降性を向上させることができる。特に、リアシートクッションのドア側コーナーは、リア側シートの乗降性に大きく関与しており、本発明では、リアシートクッションの座面をドア側コーナーで大きくカットする必要がないので、リアシートクッションの座面を小さくすることなく、座り心地を確保することができる。更には、リアシートクッション側の足元に足を差し入れるための通路として、利用者が足通過スペースを認識することができるので、足が座面を通過するような入れ方を適切に回避でき、リアシートクッションの座面が足で汚されることが無くなる。
【0008】
また、前記足通過スペースを形成するために、前記リアシートクッションの発泡体製のパッド材は凹状に成形され、この凹状部分の表面にトリムカバーが接着剤により貼着されている。
このような構成を採用すると、凹状の足通過スペースが湾曲していても、トリムカバーをリアシートクッションのパッド材に確実に沿わせることができ、トリムカバーの浮きを防止することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、リア側シートの乗降性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るリアシートクッション構造が適用されたリア側シートの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図4のA−A線に沿う断面図である。
【図3】リアシートクッションの要部を示す正面図である。
【図4】リアシートクッションの要部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るリアシートクッション構造の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0012】
図1及び図2に示されるように、フロント側シートの後方に配置されるリア側シート1は、フロアパネルPの隆起部Pbに固定されたリアシートクッションSCと、リアシートクッションSCに対してリクライニング可能なシートバックSBとを備えている。
【0013】
リアシートクッションSCは、発泡体からなるパッド材2を有し、このパッド材2は、フロアパネルPの隆起部Pbにボルトにより固定されるシートフレームの上面に設けられて水平に延在するワイヤフレーム3上に載置されている。パッド材2の表面はトリムカバー4で覆われ、トリムカバー4の端部は、結着部材としてのホブリング5によってワイヤフレーム3に結着されている。
【0014】
図1〜図4に示されるように、リア側シート1のリアシートクッションSCの前側面14の外側と、外側面12の前面側との間であるドア側コーナーCの下部には、凹状の足通過スペースSが形成されている。この足通過スペースSは、下側にゆくにつれて凹みが大きくなるような湾曲形状をなす。
【0015】
このような足通過スペースSの採用により、乗員が乗り込む際に、フロント側シートとリア側シート1のリアシートクッションSCとの間にドア開口D(図3参照)から矢印B方向に乗員の足F(図4参照)を通過させ易く、降りる際も足を通過させやすいので、これによって、リア側シート1の乗降性を向上させることができる。
【0016】
特に、リアシートクッションSCのドア側コーナーCは、リア側シート1の乗降性に大きく関与しており、本発明では、リアシートクッションSCの座面11をドア側コーナーCで大きくカットする必要がないので、リアシートクッションSCの座面11を小さくすることなく、座り心地を確保することができる。
【0017】
更には、リアシートクッションSC側の足元Pa(図1参照)に足を差し入れるための通路として、利用者が足通過スペースSを認識することができるので、足Fが座面11を通過するような入れ方を適切に回避でき、リアシートクッションSCの座面11が足Fで汚されることが無くなる。
【0018】
更に、足通過スペースSは、リアシートクッションSCのドア側の外側面12で後方に向かって延在している、この足通過スペースSは、リアシートクッションSCの後端まで達している。
【0019】
ドア側の外側面12の下部に足通過スペースSを形成することで、座面11を確保しつつ、リアシートクッションSCを小さく見せることができ、これによって、車内の居住空間を広く見せることができる。
【0020】
図2に示されるように、足通過スペースSを形成するために、リアシートクッションSCのパッド材2は凹状に成形され、この凹状部分2aの表面にトリムカバー4が接着剤13により貼着されている。このトリムカバー4は、パッド材2の上面2bでも接着剤13により貼着されている。この接着剤13は、トリムカバー4の裏面に予め付着させられた、例えば、加熱、加圧することにより接着する接着剤が利用されている。
【0021】
このように、接着剤13を利用すると、凹状の足通過スペースSが湾曲していても、トリムカバー4をリアシートクッションSCのパッド材2に確実に沿わせることができ、トリムカバー4の浮きを防止することができる。
【符号の説明】
【0022】
1…リア側シート、2…パッド材、2a…凹状部分、4…トリムカバー、11…座面、12…ドア側の外側面、13…接着剤、S…足通過スペース、C…ドア側コーナー、F…足、SC…リアシートクッション。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロント側シートの後方に配置されるリア側シートにおいて、
前記リア側シートのリアシートクッションのドア側コーナーの下部には、凹状の足通過スペースが形成され、該足通過スペースを形成するために、前記リアシートクッションのパッド材は凹状に成形され、この凹状部分の表面にトリムカバーが接着剤により貼着されていることを特徴とするリアシートクッション構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−232688(P2012−232688A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103414(P2011−103414)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(000133098)株式会社タチエス (454)
【Fターム(参考)】