説明

リスク階層化におけるプロカルシトニン(PCT)の使用、及び原発性の非感染性疾患を有する患者の予後診断

【課題】感染症ではない原発性疾患を有する患者のin vitro予後診断方法を提供する。
【解決手段】患者から得られた試料中の、プロカルシトニン又は少なくとも12アミノ酸長、好ましくは50アミノ酸超、より好ましくは110アミノ長超のそのフラグメントのレベルを測定し、そして、プロカルシトニン又はそのフラグメントのレベルを、まだ発現していない、そして/あるいはまだ症候性でない更なる疾患又は病状に罹る患者のリスクと相関させることを含む、in vitro予後診断方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、原発性の非感染性疾患を有する患者のin vitro診断、予後診断、及びリスク階層化であって、患者の体液試料中のプロカルシトニン(PCT)のレベルが、更なる疾患又は病状に罹る患者のリスクを示すものに関する。
【背景技術】
【0002】
プロカルシトニン(PCT)は、敗血症診断についての十分に確立されたバイオマーカーとなっている。PCTは細菌感染の重症度を反映するために使用されており、そして具体的には、感染症の敗血症、重症敗血症、又は敗血症性ショックへの進行を監視するために使用されている。敗血症、重症敗血症、又は敗血症性ショックにおけるPCT濃度は典型的には、1ng/mLを上回る。感染に伴う全身性炎症反応の活性を測定するため、そして治療の成功をコントロールするため、そして予後を推定するために、PCTを使用することが可能である(Assicot M他:High serum procalcitonin concentrations in patients with sepsis and infection. Lancet 1993, 341:515-8; Clec'h C他:Diagnostic and prognostic value of procalcitonin in patients with septic shock. Crit Care Med 2004:32;1166-9; Lee YJ他: Predictive comparisons of procalcitonin (PCT) level arterial keton body ratio (AKBR), APACHE III score and multiple organ dysfunction score (MODS) in systemic inflammatory response syndrome (SIRS), Yonsei Med J 2004, 45, 29-37; Meisner M.: Biomarkers of sepsis: clinically useful? Curr Opin Crit Care 2005, 11, 473-480; Wunder C他: Are IL-6, LI-10 and PCT plasma concentrations reliable for outcome prediction in severe sepsis? A comparison with APACHE III and SAPS II. Inflamm Res 2004, 53, 158-163)。敗血病患者におけるPCTレベルの増大は、死亡と相関する(Oberhoffer M他:Outcome prediction by traditional and new biomarkers of inflammation in patients with sepsis. Clin Chem Lab Med 1999;37:363-368)。
【0003】
ますます多くの研究において、非敗血症性の感染性疾患、例えば肺炎、細菌性髄膜炎及びマラリアにおけるPCTの潜在的役割が論じられている(Bugden SA他:The potential role of procalcitonin in the emergency department management of febrile young adults during a sustained meningococcal epidemic. Emerg Med Australas 2004, 16, 114-119; Chiwakata CB他:Procalcitonin as a parameter of disease severity and risk of mortality in patients with Plasmodium falciparum malaria. J Infect Dis 2001, 183, 1161-1164; Schwarz S 他:Serum procalcitonin levels in bacterial and abacterial meningitis, Crit Care Med 2000, 28, 1828-1832)。
【0004】
in vitro研究が示したところでは、PCTは、単球接着中及び単球遊走中に重要な役割を果たし、そしてさらに、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)遺伝子発現に効果を及ぼす(Linscheid P 他:Expression and secretion of procalcitonin and calcitonin gene-related peptide by adherent monocytes and by macrophage-activated adipocytes, Crit Care Med 2004, 32, 1715-1721; Wiedermann FJ他:Migration of human monocytes in response to procalcitonin, Crit Care Med, 2002, 30, 1112-1117; Hoffmann G他:Procalcitonin amplifies inducible nitric oxide synthase gene expression and nitric oxide production in vascular smooth muscle cells, Crit Care Med, 2002, 30, 2091-2095)。
【0005】
PCTは、抗生物質療法をガイドするために使用されている(Christ-Crain M他:Effect of procalcitonin-guided treatment on antibiotic use and outcome in lower respiratory tract infections: cluster-randomised, single-blinded intervention trial, Lancet. 2004 Feb 21; 363 (9409):600-7)。救急外来に運ばれた下気道感染の症状を有する患者において、PCTを測定し、そしてPCT濃度>0.25ng/mL又は>0.5ng/mLの患者だけを抗生物質で治療した。見かけ上、この投薬計画は、PCT濃度<0.25ng/mLの多くの患者も抗生物質を受けたコントロール群と区別不能な臨床結果をもたらした。この研究において、注目すべきは、例えば心不全のような関連併存疾患を有する患者は除外されたことである。従って今までのところ、感染症に加えて原発性疾患の存在が、0.25ng/mL未満のPCT濃度の解釈に影響を及ぼすかどうかは明らかではない。関連原発性疾患は、免疫系に更なる負担をかけることがあり、感染のバイオマーカー、例えばPCTは、このような状況において、関連原発性疾患が存在しない場合の濃度とは異なる濃度、すなわちより低い濃度で感染を示すこともあり得る。
【0006】
健常個体の場合、PCT濃度は0.25ng/mLを十分に下回る。中央濃度は0.014ng/mLであることが割り出されている(Morgenthaler NG他:Sensitive immunoluminometric assay for the detection of procalcitonin. Clin Chem. 2002 May; 48 (5):788-90)。
【0007】
患者におけるバイオマーカー・プロカルシトニンを測定する、心不全に付随する気道及び肺の感染又は炎症性疾患の診断方法が、国際公開第2008/040328号パンフレットに記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、原発性の非感染性疾患を有する患者の試料中に、僅かに上昇するプロカルシトニン(PCT)レベル(濃度)が高い頻度で検出され、そしてこれらが診断関連性を有するという、驚くべき発見に基づく。注目すべきことに、発明者は、原発性の非感染性疾患を有する患者の全部で4997個の試料から、それぞれ0.03ng/mL(26.0%)及び0.05ng/mL(14.7%)を上回る血清レベルを有する多数の試料を同定した。僅かに上昇するPCTレベルは、約0.02〜0.25ng/mL、好ましくは約0.02〜0.1ng/mLのPCTレベルに関連する。僅かに上昇するPCTレベルの存在は、まだ臨床的には発現しておらず、そして/あるいはまだ無症状である更なる疾患又は病状に罹る、非感染性の原発性疾患を有する患者のリスクを示すと言える。このような更なる疾患又は病状は、局所感染に関連することがあり、或いは、局所感染は、更なる疾患又は病状に罹るリスクを助長、加速、及び/又は増強することがある。本発明は、非感染性の原発性疾患に加えて更なる疾患又は病状に罹る患者のリスクを予後診断する方法を提供する。このことはまた、例えば上昇するPCTレベルが検出されなかったならば必ずしも受けなかったであろう追加の抗生物質治療によって、これらの患者の治療の適合を可能にする。注意すべきなのは、これまで、非感染性の原発性疾患を有する患者が、診断中にPCTレベルに関して日常的にはスクリーニングされてこなかったことである。本発明により教示されるのは、感染症ではない原発性疾患を有する患者は、更なる疾患又は病状に罹るリスクの予後診断を可能にするために、そして最終的には治療の適合を可能にするために、PCTレベルに関して検査されるべきであることである。
【0009】
従って、本発明は、感染症ではない原発性疾患を有する患者のin vitro予後診断方法であって:前記患者から得られた試料中の、プロカルシトニン又は少なくとも12アミノ酸長、好ましくは50アミノ酸超、より好ましくは110アミノ長超のそのフラグメントのレベルを測定し、そして、プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルを、まだ発現していない、そして/あるいはまだ症候性でない更なる疾患又は病状に罹る患者のリスクと相関させることを含む、in vitro予後診断方法、を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、患者の試料におけるプロカルシトニン・レベル範囲の頻度を示すヒストグラム・プロットである。これらは、PCTではない種々のタイプの分析のために民間検査機関に種々の専門の医師によって逐次送られてきた任意抽出の4997個の試料である。
【図2】図2は、それぞれの試料を提供した診察専門医の医療分野に関連する、0.05ng/mLを上回るPCTレベルの分布を示す図である。全ての群における中央値が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、感染症ではない原発性疾患を有する患者のin vitro予後診断方法であって:前記患者から得られた試料中の、プロカルシトニン又は少なくとも12アミノ酸長、好ましくは50アミノ酸長超、より好ましくは110アミノ長超のそのフラグメントのレベルを測定し、そして、プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルを、まだ発現していない、そして/あるいはまだ症候性でない更なる疾患又は病状に罹る患者のリスクと相関させることを含む、in vitro予後診断方法に関する。
【0012】
本発明の意味における「患者」は、特に他の断りのない限り、彼らが病理学的変化を示すか否かとは無関係に、全ての人間又は動物であると理解されるべきである。好ましい実施態様の場合、本発明による患者はヒトである。
【0013】
好ましくは、本発明との関連における患者は、感染症ではない原発性疾患を有しており、この患者の血清試料又は血漿試料中のプロカルシトニン又は少なくとも12アミノ酸長のそのフラグメントのレベルは0.25ng/mL未満である。
【0014】
本発明において、「予後診断」という用語は、被検者(例えば患者)の病状がどのように進行するかという予測を意味する。このことは、前記被検者の回復の見込み、又は不都合な結果のおそれを推測することを含む。
【0015】
タンパク質又はペプチドとの関連において本明細書中で述べられる用語「フラグメント」は、大型のタンパク質又はペプチドから誘導可能な小型のタンパク質又はペプチドを意味する。従って、これらの小型のタンパク質又はペプチドは、大型のタンパク質又はペプチドの部分配列を含む。前記フラグメントは、ペプチド結合のうちの1つ又は2つ以上の結合の鹸化によって大型のタンパク質又はペプチドから誘導可能である。
【0016】
プロカルシトニンは、116個のアミノ酸を含むペプチドである。より小さな変異体、例えばPCT3−116及びその他も存在する。このように、プロカルシトニン・フラグメントの長さは、少なくとも12アミノ酸、好ましくは50アミノ酸超、より好ましくは110アミノ超である。
【0017】
本明細書中で好ましくは、更なる疾患又は病状に罹る前記リスクは、現存の細菌感染、具体的に局所感染に関連する。局所感染は、非感染性の原発性疾患を有する患者において、更なる疾患又は病状に罹るリスクを助長、加速、及び/又は増強することがある。
【0018】
in vitro方法の特に好ましい実施態様の場合、プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルは、患者における細菌感染の兆候を示す。
【0019】
前記感染が局所感染であることがさらに好ましい。
【0020】
本明細書中の局所感染は、敗血症ほど重症ではない全ての感染症に関連する。敗血症は、「全身性炎症反応症候群」(Systemic Inflammatory Response Syndrome)(「SIRS」)と関連する感染症として定義される(Levy MM 他, 2001 SCCM/ESICM/ACCP/ATS/SIS International Sepsis Definitions Conference. Crit Care Med. 2003 Arp;31(4):1250-6)。
【0021】
局所感染は、例えば口腔内の歯又は歯根における感染、創傷内の感染、呼吸管内の感染、又は痔疾、又はその他のものであってよい。
【0022】
本明細書における前記局所感染は、抗生物質の投与により治療することができる。局所感染の治療は、患者が更なる疾患又は病状に罹るリスクを低くすることになる。従って、in vitro方法の好ましい実施態様の場合、前記細菌感染は抗生物質で治療することができる。この場合、患者が抗生物質で治療されると、更なる疾患又は病状に罹るリスクが減少することが好ましい。
【0023】
本発明のin vitro方法の相関ステップは、プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルを、閾値レベルと比較することを含み、この場合、プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルが前記閾値レベルを超えているときには、前記患者は前記リスクに対する素因がある。
【0024】
前記閾値レベルは、好ましくは0.02〜0.25ng/mL、より好ましくは0.02〜0.1ng/mL、さらにより好ましくは約0.05(+/−0.01)ng/mLであり、そして最も好ましくは0.03(+/−0.01)ng/mLである。これらの閾値レベルの定義は、添付の図1のヒストグラム及び例1に示されたPCTレベル範囲の頻度分布の分析から生じる。
【0025】
具体的な実施態様の場合、前記原発性疾患は、アテローム性動脈硬化症ではない。別の実施態様の場合、前記原発性疾患は、心不全ではない。本発明のいくつかの実施態様の場合、前記原発性疾患は、急性冠症候群ではない。さらに、具体的な実施態様の場合、前記原発性疾患が冠動脈疾患でないことが好ましい。具体的な実施態様の場合、更なる疾患又は病状は、急性冠症候群、心不全、又は心筋梗塞を含む群から選択されない。
【0026】
1実施態様の場合、前記更なる疾患又は病状は、感染症ではなく、具体的には気道及び肺の感染症ではない。
【0027】
in vitro方法の別の実施態様の場合、前記原発性疾患は、限定しないが、癌、糖尿病、慢性胃腸疾患、慢性腎疾患、高血圧症、骨粗鬆症を含む整形外科疾患、及びアルツハイマー病を含む神経変性病を含む群から選択される。
【0028】
さらに、別の実施態様の場合、前記更なる疾患又は病状は、限定しないが、アテローム性動脈硬化症、急性冠症候群、及び心不全を含む群から選択された心臓病を含む群から選択される。
【0029】
本明細書中の原発性疾患は、既に発現し、そして/あるいは既に症候性である疾患に関する。更なる疾患又は病状は、まだ発現していない、そして/あるいはまだ症候性でない疾患に関する。
【0030】
患者由来の試料は、血液試料、血清試料、血漿試料、及び尿試料、又は前記試料のうちのいずれかの抽出物を含む群から選択されてよい。
【0031】
本発明の特定の実施態様の場合、in vitro方法はさらに、プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルを、1又は複数の追加の予後バイオマーカーのレベルと数学的に組み合わせることを含み、プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルと、追加の予後バイオマーカーの前記レベルとの組み合わせが、更なる疾患又は病状に罹る前記リスクについての、プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベル、又は前記関連バイオマーカーのレベルの予測値を増大させる。
【0032】
本発明との関連において、「アルゴリズム」又は「数学的アルゴリズム」は、或る測定値を基準個体群の値と比較することにより前記測定値を階層化するために数学的又は統計的な方法又はモデルを用いることを意味する。これは例えば、所定の試料から成る群中の或る存在物のレベルの中央値であってよい。これは、前記存在物の測定レベルが、所与の数の試料中の前記存在物のレベルの数学的中央値と比較されることを意味する。中央値を割り出すために使用される試料の数は特に限定されないが、しかし中央値の統計的有意性を保証するのに十分であるべきである。中央値を割り出すために使用される試料の数は、中央値の統計的有意性を高めるために、臨床試料からの更なる測定値の結果が加えられるのに伴って、時間の経過中に増大してもよい。好ましくは、試料の数は、中央値の統計的有意性が保証されるように選ばれる。このように、前記中央値は基準値として使用され、前述の存在物の測定レベルは、中央値を上回る又は下回る相対レベル、及び前記中央値からの測定値の偏差の程度に応じて、或る特定の生理学的状態、例えば患者に対する不都合な結果の傾向と、統計学的に相関させることができる。中央値の代わりに、他の統計的方法、例えば分位点(四分位数又はパーセンタイル)の割り出し、又は数学的モデル、好ましくはコックス回帰を上記と同様に用いることにより、上述の基準値を得ることができ、そして/あるいは試料をそこから得た所与の被検者の生理学的状態に対する測定値の有意性を他の形で割り出すことができる。前記数学的又は統計学的な方法又はモデルは当業者によく知られており、医薬用途との関連においてこれを用いることは、よく確立されている。
【0033】
バイオマーカー(生物学的マーカー)という用語は、測定可能且つ定量化可能な生物学的パラメーター(例えば特異的酵素濃度、特異的ホルモン濃度、個体群中の特異的遺伝子表現型分布、生体物質の存在)であって、健康関連及び生理学関連の評価、例えば病気のリスク、精神疾患、環境曝露とその影響、疾患診断、代謝過程、薬物乱用、妊娠、細胞系発生、疫学研究などの指標として役立つものに関する。さらに、バイオマーカーは、正常な生物学的過程、発病過程、又は治療介入に対する薬理学的反応の指標として客観的に測定され評価される特徴として定義されている。バイオマーカーは、生体試料(血液、尿、又は組織試験として)上で測定することができ、又は、人から得られた記録であってよく(血圧、ECG、又はホルター)、又は画像試験であってもよい(心エコー図又はCTスキャン)(Vasan他, 2006, Circulation 113:2335-2362)。
【0034】
バイオマーカーは、環境因子に対する曝露のレベル又はタイプ、遺伝的感受性、曝露に対する遺伝的反応、亜臨床又は臨床疾患のバイオマーカー、あるいは治療に対する反応の指標を含む、種々様々な健康特性又は疾患特性を示すことができる。このように、バイオマーカーについて考える極めて単純な方法は、疾患形質(リスク因子又はリスク・バイオマーカー)、疾患状態(前臨床又は臨床)、又は疾患の速度(進行)の指標として考えることである。従って、バイオマーカーは、先行のバイオマーカー(病気の発生リスクを識別)、スクリーニング・バイオマーカー(前臨床疾患に対するスクリーニング)、診断バイオマーカー(顕在的疾患の認識)、ステージング・バイオマーカー(疾患重症度の分類)、又は予後バイオマーカー(再発及び治療に対する反応を含む将来の疾患経過の予測、及び治療の効力のモニタリング)として分類することができる。バイオマーカーは、サロゲート・エンドポイントとして役立つこともできる。サロゲート・エンドポイントは、当該の真の結果の測定の代わりに、治療の安全性及び効果を評価するための臨床試験における結果として用いることができるものである。根底を成す原理は、サロゲート・エンドポイントの変化が、当該結果の変化を密接に伴いながら追跡することである。サロゲート・エンドポイントの利点は、評価のために大型の臨床試験を必要とする、罹患率及び死亡率のようなエンドポイントよりも短い時間枠で、しかも低いコストでこれらを集めることができる。サロゲート・エンドポイントの更なる価値は、これらが当該曝露/介入に近接しており、より隔たった臨床事象よりも因果的に関連しやすいという事実を含む。サロゲート・エンドポイントの重大な欠点は、当該臨床結果が、多数の因子(サロゲート・エンドポイントに加えて)によって影響を及ぼされる場合、残りの交絡が、サロゲート・エンドポイントの有効性を低減するおそれがあることである。サロゲート・エンドポイントが当該結果に対する曝露又は介入の影響の少なくとも50%を説明できるならば、サロゲート・エンドポイントの有効性はより大きいことが示唆されている。例えば、バイオマーカーはタンパク質、ペプチド、又は核酸分子であってよい。
【0035】
前記予後バイオマーカーのうちの1つは、前記患者から得られた試料中のプロBNP又はそのフラグメントである。より好ましくは、プロBNPの前記フラグメントはNTプロBNP又はBNPである。
【0036】
具体的な実施態様の場合、in vitro方法はさらに、前記患者から得られた試料中の1又は複数の追加の予後バイオマーカーのレベルを測定し、そしてプロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベル、及び1又は複数の追加の予後バイオマーカーの前記レベルの両方を、前記リスクの被りやすさと相関させることを含み、プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルと、1又は複数の追加の予後バイオマーカーの前記レベルとの組み合わせが、前記リスクについての、プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルの予測値を増大させる。
【0037】
追加の予後バイオマーカーは、トロポニン、ミエロペルオキシダーゼ、CRP、ネオプテリン、GDF−15、ST2、シスタチン−C、並びに、成熟ペプチド、プロホルモン(前駆体)、及び関連するプロホルモン・フラグメントの形態の次のペプチド:ナトリウム利尿ペプチド、アドレノメデュリン、エンドセリン、バソプレシンを含む群から選択されてよい。
【0038】
好ましくは、プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルと、1又は複数の追加の予後バイオマーカーの前記レベルとの相関は、数学的アルゴリズムで実施される。
【0039】
更なる態様において、本発明は、感染症ではない原発性疾患を有する患者において、まだ発現していない、そして/あるいはまだ症候性でない更なる疾患又は病状に罹る患者のリスクを見極めるための、約0.05ng/mL未満、好ましくは約0.04ng/mL未満、より好ましくは約0.03ng/mL未満、最も好ましくは約0.02ng/mL未満の検出下限を有する超高感度プロカルシトニン・アッセイの使用に関する。
【0040】
超高感度プロカルシトニン・アッセイの使用の好ましい実施態様において、プロカルシトニン、又は少なくとも12アミノ酸長のそのフラグメント、又はプロカルシトニン及び/又はそのフラグメントの混合物のレベルが、前記患者由来の試料中で測定される。1実施態様では、ただ1つのフラグメントのレベルが測定される。別の実施態様では、プロカルシトニン及び/又はそのフラグメントの混合物のレベルが測定される。
【0041】
本明細書中で述べる「アッセイ」又は「診断アッセイ」は、例えば酵素反応、ルミネッセンス、蛍光又は放射性化学物質に基づくアッセイ法を含む、診断分野に適用されるいかなるタイプのものであってもよい。好ましい検出方法は、迅速試験(介護場所での試験)、ラジオイムノアッセイ、化学発光イムノアッセイ、及び蛍光イムノアッセイ、イムノブロットアッセイ、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、ルミネックス・ベースのビーズアッセイ、及びタンパク質マイクロアレイ・アッセイを含む。アッセイ・タイプはさらに、マイクロタイタープレート・ベース、チップ・ベース、ビーズ・ベースであってよく、バイオマーカーは、表面又は溶液中に取り付けることができる。アッセイは、ホモジニアスアッセイ又はヘテロジニアスアッセイ、サンドイッチ・アッセイ、競合及び非競合アッセイであることが可能である。特に好ましい実施態様の場合、アッセイはサンドイッチ・アッセイの形態を成す。このサンドイッチ・アッセイは、非競合イムノアッセイであり、検出及び/又は定量化されるべき分子は第1抗体及び第2抗体に結合される。第1抗体は、固相、例えばビーズ、ウェル又はその他の容器の表面、チップ又はストリップに結合されてよく、そして第2抗体は、例えば色素、放射性同位体、又は反応性又は触媒活性の部分で標識付けされた抗体である。その場所における標識付き抗体の量が、次いで適宜の方法によって測定される。「サンドイッチ・アッセイ」に関連する一般的な組成及び手順はよく確立されており、当業者に知られている(The Immunoassay Handbook, David Wild編, Elsevier Ltd, Oxford; 第3版(May 2005), ISBN-13: 978-0080445267; Hultschig C他、Curr Opin Chem Biol. 2006 Feb; 10(1):4-10. PMID: 16376134)(これを参考のため本明細書中に引用する)。
【0042】
特に好ましい実施態様の場合、アッセイは2つの捕捉分子(捕捉プローブ)、好ましくは両方とも液体反応混合物中の分散体として存在する抗体を含み、第1マーキング成分が第1捕捉分子に取り付けられ、前記第1マーキング成分は、蛍光又は化学発光の消光又は増幅に基づくマーキング系の部分であり、そして前記マーキング系の第2マーキング成分が、第2捕捉分子に取り付けられるので、検出されるべき被分析物に両捕捉分子が結合すると、試料を含む溶液中の形成済サンドイッチ複合体の検出を可能にする測定可能な信号が発生する。
【0043】
本発明との関連において、捕捉プローブは、核酸分子、具体的にはアプタマー、炭水化物分子、PNA分子、タンパク質、抗体、ペプチド、具体的には環状ペプチド又は糖タンパク質を含む群から選択されてよい。
【0044】
さらに好ましくは、前記マーキング系は、蛍光色素又は化学発光色素、具体的にはシアニン・タイプの色素と組み合わされた希土類クリプテート又は希土類キレートである。
【0045】
本発明との関連において、蛍光ベースのアッセイは、例えば、FAM(5−又は6−カルボキシフルオレセイン)、VIC、NED、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、IRD−700/800、シアニン色素、例えばCY3、CY5、CY3.5、CY5.5、Cy7、キサンテン、6−カルボキシ−2’,4’,7’,4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、TET、6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン(JOE)、N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、5−カルボキシローダミン−6G(R6G5)、6−カルボキシローダミン−6G(RG6)、ローダミン、ローダミングリーン、ローダミンレッド、ローダミン110、BODIOY色素、例えばBODIPY TMR、オレゴングリーン、クマリン、例えばウンベリフェロン、ベンズイミド、例えばHoechst 33258;フェナントリジン、例えばテキサスレッド、ヤキマイエロー、アレキサフルオル、PET、エチジウムブロミド、アクリジニウム色素、カラバゾール色素、フェノキサジン色素、ポルフィリン色素、及びポリメチン色素などを含む群から選択することができる、色素の使用を含む。
【0046】
本発明との関連において、化学発光ベースのアッセイは、Kirk-Othmer, Encyclopedia of chemical technology, 第4版, 編集責任者J. I. Kroschwitz; 編集者M. Howe-Grant, John Wiely & Sons, 1993, vol.15, p518-562(第551-562頁の引用を含む)(参考のため本明細書中に引用する)における化学発光材料に関して記載された物理的原理に基づいて、色素を使用することを含む。
【0047】
本発明との関連において、「超高感度プロカルシトニン・アッセイ」という用語は、プロカルシトニン又はそのフラグメントの検出、及び/又は、そのレベルの定量化のためのアッセイが、約0.05ng/mL未満、好ましくは約0.04ng/mL未満、より好ましくは約0.03ng/mL未満、最も好ましくは約0.02ng/mL未満の検出下限を有することを意味する。
【0048】
超高感度PCTアッセイは、例えばPCT感受性LIA(ルミネッセンス・イムノアッセイ)キット(B.R.A.H.M.S AG, ドイツ国Hennigsdorf, 製品番号109.050)である。本発明との関連におけるPCTレベルは、例えば上記のようなアッセイによって、好ましくは例1におけるようなPCT感受性LIA(ルミネッセンス・イムノアッセイ)キット(B.R.A.H.M.S AG, ドイツ国Hennigsdorf, 製品番号109.050)を使用して、又は例2に記載された一般手順に従って測定することができる。
【0049】
超高感度プロカルシトニン・アッセイは、好ましくは、原発性疾患を有する患者において、更なる疾患又は病状に罹るリスクを階層化するために用いられる。
【0050】
超高感度プロカルシトニン・アッセイは、前記更なる疾患又は病状の治療又は予防をコントロールするために用いられてよい。好ましくは、前記治療又は予防は、患者に抗生物質を投与することを含む。
【0051】
超高感度プロカルシトニン・アッセイは、例えば、異なるプロカルシトニン部分に対する2つの抗体を含むサンドイッチ・アッセイであってよい。
【0052】
超高感度プロカルシトニン・アッセイの使用の具体的な実施態様では、一方の抗体が、プロカルシトニンのカルシトニン部分に対する抗体であり、そして他方の抗体が、プロカルシトニンのカタカルシン部分に対するモノクローナル抗体である。
【0053】
本発明との関連において、「プロカルシトニンのカルシトニン部分」という用語は、プレ・プロカルシトニンのアミノ酸85〜116を含むポリペプチドを意味する。本発明との関連において、「プロカルシトニンのカタカルシン部分」は、プレ・プロカルシトニンのアミノ酸121〜141を含むポリペプチドを意味する。上記アミノ酸の数は、タンパク質データバンク・エントリーhttp://www.expasy.ch/uniprot/P01258に挙げられているような人間のプレプロカルシトニンの配列を意味する。また、他の種における類似の起源のアミノ酸配列、並びに、上述の人間のポリペプチドに対する配列相同性が好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%のポリペプチドも含まれる。
【0054】
さらに別の態様の場合、本発明は、原発性疾患を有する患者においてまだ発現していない更なる疾患又は病状を予防するために、局所感染を治療する際に使用するための抗生物質であって、前記原発性疾患が感染症ではなく、そして血液試料、血清試料、及び血漿試料を含む群から選択された患者の試料中の、プロカルシトニン又は少なくとも12アミノ酸長のそのフラグメントのレベルが、0.02〜0.25ng/mL、好ましくは0.02〜0.1ng/mLであるときに、抗生物質が投与される、抗生物質に関する。好ましくは、前記患者が抗生物質で治療されると、更なる疾患又は病状に罹るリスクが減少する。
【0055】
更なる態様の場合、本発明は、患者における細菌感染の存在を診断するためのin vitro方法であって、この方法は、
(i) 前記抗生物質治療開始前、又は治療開始後6時間以内に少なくとも1回、そして
(ii) 患者に対する抗生物質治療の開始から12時間後から1週間後に少なくとも1回、
前記患者から得られた試料中の、プロカルシトニン又は少なくとも12アミノ酸長のそのフラグメントのレベルを測定し、そして、
プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルを、細菌感染の存在と相関させることを含み、24時間当たり少なくとも20%の前記レベル(ng/mL)の減少が、患者における細菌感染の存在を示す、
患者における細菌感染の存在を診断するためのin vitro方法に関する。
【0056】
好ましくは、患者は、感染症ではない原発性疾患を有しており、前記患者の血清試料又は血漿試料中の、プロカルシトニン又は少なくとも12アミノ酸長のそのフラグメントのレベルが、0.25ng/mL未満である。
【0057】
本発明との関連における「抗生物質」という用語は、微生物の成長を抑制するか又は微生物を殺す能力を有する化学物質を意味する。種々異なる抗生物質が、種々の作用メカニズム、例えばバクテリアのリボソーム・サブユニットに結合し、これによりタンパク質生合成を阻害し、細胞壁合成を阻害し、例えばペプチドグリカン合成を阻害し、バクテリア細胞膜と相互作用し、これにより例えばその透過性を変化させ、バクテリアのDNAジャイレース又はトポイソメラーゼIV酵素を阻害し、これによりDNA複製及び転写を阻害し、葉酸合成を阻害し、又はRNAポリメラーゼに結合することにより転写を阻害する、種々の作用メカニズムを有することができる。本発明による関連における抗生物質は、例えば、β−ラクタム、グリコペプチド、ポリケチド、アミノグリコシド抗生物質、ポリペプチド抗生物質、キノロン及びスルホンアミドを含む群から選択することができる。好ましくは、この用語は、ベータ−ラクタム化合物、例えばペニシリン、セファロスポリン又はカルバペネム;テトラサイクリン;マクロリド;フルオロキノロン;スルホンアミド;アミノグリコシド;イミダゾール;ペプチド抗生物質及びリンコサミドを意味する。より好ましくは、この用語は、アモキシシリン、フルクロキサシリン、ペニシリンG、アンピリシン、メチシリン、オキサシリン、セフォキシチン、セフトリアキソン、セフトリゾキシム、イミペネム、エリスロマイシン、チロシン、チルミコシン、スピラマイシン、ジョサマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、テトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、ライムサイクリン、ノルフロキサシン、エノキサシン、オフロキサシン、コ−トリモキサゾール、シプロフロキサシン、トリメトプリム、ゲンタマイシン、アミカシン、メトロニダゾール、バクチラシン、クリンダマイシン、又はリンコマイシンに関する。最も好ましくは、この用語は、アンピリシン、セフォタキシム、エリスロマイシン、テトラサイクリン、シプロフロキサシン、コ−トリモキサゾール、ゲンタマイシン、メトロニダゾール、バシトラシン又はクリンドマイシンに関する。
【実施例】
【0058】
例1:種々の原発性疾患を有する患者の試料中のプロカルシトニンの測定
臨床検査機関の患者の4997個の連続血清試料を、B.R.A.H.M.S PCT感受性LIA(ルミネッセンス・イムノアッセイ)キット(B.R.A.H.M.S AG, ドイツ国Hennigsdorf, 製品番号109.050)を使用してプロカルシトニン(PCT)のレベルを測定するように分析した。患者の血清は、種々の医療分野、例えば腎臓学、泌尿器学、腫瘍学、小児科、内科、一般内科、及びその他の分野から、種々異なる診察専門医によって検査機関に分析のために送られてきたものである。機能アッセイ感度(FAS)を高め、そして低濃度範囲(0.05〜0.25ng/mL)のPCTレベル濃度を信頼性高く測定するために、試料体積を50μLから100μLに増大させることを除けば、キットに同梱されているマニュアルに従って、アッセイを行った。
【0059】
測定されたPCTレベルの頻度をヒストグラムにプロットした(添付の図1参照)。血清試料の66.7%が、0.017ng/mLを上回るPCTレベルを示し、血清試料の26.0%が、0.03ng/mLを上回るPCTレベルを示し、そして血清試料の14.0%が、0.05ng/mLを上回るPCTレベルを示した。0.05ng/mLを上回るPCTレベルを有する試料(すなわち4997個の試料のうち702個の試料)を、それぞれの試料が由来する診察専門医の医療分野に従って分類した。この相関関係を添付の図2にプロットする。感染症ではないがしかしそれにもかかわらずPCTレベルが0.03ng/mL及び0.05ng/mLを上回る原発性疾患の患者数が多いことは、驚くべき発見である。
【0060】
例2:患者の試料中のプロカルシトニン・レベルを測定するための一般手順
プロカルシトニン(PCT)を記載のように測定することができる(Morgenthaler NG他:Clin Chem, 2002 May, 48(5), 788-790)。PCTのカルシトニン部分に対してヒツジ抗体を形成し、PCTのカタカルシン部分に対して、マウス・モノクローナル抗体を形成した。管に抗カタカルシン抗体を被覆した。抗カルシトニン抗体に、MACNアクリジニウムエステル(InVent GmbH、ドイツ国Hennigsdorf)を標識付けし、これはトレーサーとして役立った。正常なウマ血清中の組み換えPCTの希釈体が標準として役立った。100μlの試料又は標準を、30分間にわたって、被覆された管内でインキュベートし、200μlのトレーサーを添加した。2時間にわたってインキュベートした後、管を1mlのLIA洗浄溶液(B.R.A.H.M.S AG)で4回洗浄し、そして固定した。LB952T照度計(ドイツ国、Berthold)を使用して、化学発光を測定した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感染症ではない原発性疾患を有する患者の予後診断を実施するためのin vitro方法であって:前記患者から得られた、血液試料、血清試料、血漿試料、及び尿試料、又は前記試料のうちのいずれかの抽出物、を含む群から選択される試料中の、プロカルシトニン又は少なくとも12アミノ酸長のそのフラグメントのレベルを測定し;そして、プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルを、まだ発現していない、そして/あるいはまだ症候性でない更なる疾患又は病状に罹る患者のリスクと相関させることを含み、前記相関ステップが、プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルを、閾値レベルと比較することを含み、プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルが0.02〜0.25ng/mLの閾値レベルを超えているときには、前記患者は前記リスクに対する素因がある、
in vitro方法。
【請求項2】
プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルが、患者の細菌感染の兆候を示す、請求項1に記載のin vitro方法。
【請求項3】
前記感染が局所感染である、請求項2に記載のin vitro方法。
【請求項4】
前記細菌感染が、抗生物質で治療可能である、請求項2又は3に記載のin vitro方法。
【請求項5】
更なる疾患又は病状に罹る患者のリスクが、前記患者が抗生物質で治療されたときに減少する、請求項4に記載のin vitro方法。
【請求項6】
前記原発性疾患が、癌、糖尿病、慢性胃腸疾患、慢性腎疾患、高血圧症、骨粗鬆症を含む整形外科疾患、及びアルツハイマー病を含む神経変性病を含む群から選択される、請求項1から5までのいずれか1項に記載のin vitro方法。
【請求項7】
前記更なる疾患又は病状が、アテローム性動脈硬化症、急性冠症候群、及び心不全を含む群から選択された心臓病を含む群から選択される、請求項1から6までのいずれか1項に記載のin vitro方法。
【請求項8】
プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルを、1又は複数の追加の予後バイオマーカーのレベルと相関させることを更に含み、プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルと、追加の予後バイオマーカーの前記レベルとの組み合わせが、前記リスクについての、プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルの予測値、あるいは前記関連マーカーのレベルの予測値を増大させる、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記予後バイオマーカーのうちの1つが、前記患者から得られた試料中のプロBNP又はそのフラグメントである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
プロBNPの前記フラグメントがNTプロBNP又はBNPである、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記患者から得られた試料中の1又は複数の追加の予後バイオマーカーのレベルを測定し、そしてプロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベル、及び1又は複数の追加の予後バイオマーカーの前記レベルの両方を、前記リスクの被りやすさと相関させることを更に含み、プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルと、1又は複数の追加の予後バイオマーカーの前記レベルとの組み合わせが、前記リスクについての、プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルの予測値を増大させる、請求項8から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記追加の予後バイオマーカーが、トロポニン、ミエロペルオキシダーゼ、CRP、ネオプテリン、GDF−15、ST2、シスタチン−C、並びに、成熟ペプチド、前駆体、プロホルモン、及び関連するプロホルモン・フラグメントの形態の次のペプチド:ナトリウム利尿ペプチド、アドレノメデュリン、エンドセリン、バソプレシンを含む群から選択される、請求項8から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルと、1又は複数の追加の予後バイオマーカーの前記レベルとの相関が、数学的アルゴリズムで実施される、請求項8から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
患者における細菌感染の存在を診断するためのin vitro方法であって、
前記患者から得られた、血液試料、血清試料、血漿試料、又は前記試料のうちのいずれかの抽出物、を含む群から選択される試料中の、プロカルシトニン又は少なくとも12アミノ酸長のそのフラグメントのレベルを、
(i) 抗生物質治療開始前、又は治療開始後6時間以内に少なくとも1回、そして
(ii) 患者に対する抗生物質治療の開始から12時間後から1週間後に少なくとも1回、測定し;そして、
プロカルシトニン又はそのフラグメントの前記レベルを、細菌感染の存在と相関させることを含み、24時間当たり少なくとも20%の前記レベルの減少が、患者における細菌感染の存在を示し、前記患者の血清試料又は血漿試料中の、プロカルシトニン又は少なくとも12アミノ酸長のそのフラグメントのレベルが、0.25ng/mL未満である、
患者における細菌感染の存在を診断するためのin vitro方法。
【請求項15】
前記患者が、感染症ではない原発性疾患を有している、請求項14に記載のin vitro方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−237760(P2012−237760A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−171897(P2012−171897)
【出願日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【分割の表示】特願2010−518695(P2010−518695)の分割
【原出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(508093584)ベー.エル.アー.ハー.エム.エス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (27)
【Fターム(参考)】