説明

リストバンド

【課題】接着部分の開封が行われた場合に、「開封済み」などの表記が顕在化してその開封状態を表示し、取外しおよび再度の装着がなされても、その誤使用ないし不正使用を防止可能であって、低コストかつ装着操作が簡単なリストバンドを提供すること。
【解決手段】リストバンドの開封状態、すなわち、帯状のバンド本体2が輪状を解かれたときに、その解除状態を表示することができるようにすることに着目したもので、個人情報を表示するための帯状のバンド本体2と、バンド本体2の一方の端部6に形成した開封表示層3と、開封表示層3の裏面に形成するとともにバンド本体2の他方の端部7に接着可能な接着剤層4と、を有し、開封表示層3と接着剤層4との間の第1の接着力を、接着剤層4とバンド本体2の他方の端部7との間の第2の接着力より弱くしてあることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリストバンドにかかるもので、とくに病院などにおいて患者の四肢たとえば手首あるいは足首に環状にゆるく巻き付けて個人情報を表示するためのリストバンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、病院などにおいて患者の診療科、氏名、年齢、血液型などその個人固有の識別データをリストバンドに印字して表示した上で、患者の四肢たとえば手首あるいは足首に環状にゆるく巻き付けて、患者の特定を確実にすることが行われている。
【0003】
このリストバンドの固定方法としては、たとえば、合成樹脂製の帯状のバンド本体に複数個の固定孔を開けて、クリップにより固定するものがある(たとえば特許文献1)。
しかしながら、この構成では、リストバンド固定のためにクリップが必要であり、操作が面倒であるとともに、低コストでの提供が困難であるという問題がある。
【0004】
したがって、バンド本体の端部に接着剤を塗布しておき、輪状にして接着する構成のリストバンドもある。
しかしながら、この接着剤を用いる構成のリストバンドでは、低コストかつ装着操作が簡単である反面、接着部分を開封してリストバンドを一時的に取り外すことが可能であり、再度の装着時に、本人とは異なる患者にリストバンドを取り付けてしまう可能性があり、医療現場では重大な問題に発展しかねないという問題がある。
【0005】
なお、病院以外にも、遊園地や遊戯施設その他において入場券や遊戯券として個人の特定のためにリストバンドが使用される場合があり、上記接着部分の開封および再接着が可能であれば、リストバンドの使い回しなど不正な取扱いを招きかねないという問題もある。
【0006】
【特許文献1】特開2003−289917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、低コストかつ装着操作が簡単なリストバンドを提供することを課題とする。
【0008】
また本発明は、接着部分の開封が行われた場合に、「開封済み」、「無効」、「VOID」などの表記が顕在化してその開封状態を表示可能なリストバンドを提供することを課題とする。
【0009】
また本発明は、取外しおよび再度の装着がなされても、その誤使用ないし不正使用を防止可能なリストバンドを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明は、リストバンドの開封状態、すなわち、帯状のバンド本体が輪状を解かれたときに、その解除状態を表示することができるようにすることに着目したもので、人体の四肢の少なくともいずれかひとつに巻き付けるとともに、その人体の個人情報を表示可能なリストバンドであって、上記個人情報を表示するための帯状のバンド本体と、このバンド本体の一方の端部に形成した開封表示層と、この開封表示層の裏面に形成するとともに、上記バンド本体の他方の端部に接着可能な接着剤層と、を有し、上記開封表示層と上記接着剤層との間の第1の接着力を、上記接着剤層と上記バンド本体の上記他方の端部との間の第2の接着力より弱くしてあることを特徴とするリストバンドである。
【0011】
上記開封表示層は、上記接着剤層との間の接着を開封したときに、この開封状態を表示可能としてあることができる。
【0012】
上記開封表示層は、上記開封表示層自体が破壊されたときに、この開封状態を表示可能としてあることができる。
である。
【0013】
上記接着剤層の裏面に剥離紙を仮着しておくことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によるリストバンドにおいては、帯状のバンド本体に開封表示層を形成し、この開封表示層と接着剤層との間の第1の接着力を、接着剤層とバンド本体の他方の端部との間の第2の接着力より弱くしたので、開封表示層が剥がれたとき、あるいは破壊されたときに、その開封状態を表示可能とし、再度の使用についての警告を行うことができる。
すなわち、病院での使用であれば、新しいリストバンドに付け替えることにより正しい個人識別状態を保持することができるので、リストバンドと患者本人との一致を確実にしてその信頼性を高め、誤使用の防止ないし医療過誤の防止となり、遊園地や遊戯施設などでは不正使用の防止に役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、帯状のバンド本体に開封表示層と接着剤層とを設ける構成としたので、低コストかつ簡単な操作で装着が可能であるとともに、誤使用ないし不正使用の防止が可能なリストバンドを実現した。
【実施例】
【0016】
つぎに本発明の第1の実施例によるリストバンド1を図1ないし図4にもとづき説明する。
図1は、リストバンド1の平面図、図2は、図1のII−II線拡大断面図であって、リストバンド1は、その積層方向に、バンド本体2と、開封表示層3と、接着剤層4と、剥離紙5と、を有する。
リストバンド1は、たとえば病院などにおいて患者を特定するために、患者の四肢の少なくともいずれかひとつに巻き付けるとともに、その表面側にその個人情報を印字して表示可能なものであって、左右一対の細幅の巻付け用帯部6、7と、その間の中央太幅の情報印字表示部8と、を有する。
【0017】
バンド本体2は、好ましくは軟性の合成樹脂その他の材料による透明な基材であって、中央の情報印字表示部8の表面側に個人情報を印字して表示可能とする。
【0018】
開封表示層3は、バンド本体2の一方の端部(一方の巻付け用帯部6)の裏面側にこれを形成してあり、さらにその裏面側に接着剤層4を積層し、接着剤層4との間の接着状態を無理ないしは故意に開封したときに、この開封状態を表示可能としてある。
すなわち、開封表示層3は、たとえばベタ印刷層9と、接着剤層4との間の境界部分に設けた透明印刷部10と、を有し、この透明印刷部10により、「開封済み」、「無効」、「VOID」などの開封状態を示す任意の表記をあらかじめ印刷してある。
開封表示層3と接着剤層4との間の接着が解除開封されることにより、開封表示層3(ベタ印刷層9)と接着剤層4(透明印刷部10)との間に空気が入り込み、これらの表記が顕在化して、外部から開封状態を認識可能となる。
【0019】
接着剤層4は、開封表示層3の裏面にこれを形成するとともに、バンド本体2の他方の端部(他方の巻付け用帯部7)にこれを接着可能とすることにより、リストバンド1を輪状にして、手首や足首に巻き付け可能とする。
すなわち、図3は、リストバンド1を輪状とした状態を示す斜視図であって、たとえば患者の手首Wに巻き付け可能とする。
【0020】
また、開封表示層3と接着剤層4との間の第1の接着力を、接着剤層4とバンド本体2の他方の端部(他方の巻付け用帯部7の表面側)との間の第2の接着力より弱くしてあるもので、患者自身が図3の巻付け状態を開封しようとしてリストバンド1の一方の巻付け用帯部6と他方の巻付け用帯部7との間を剥がそうとしたときに、開封表示層3と接着剤層4との間が優先的に開封されて、透明印刷部10の表記が顕在化するようになっている。
なお、開封表示層3と接着剤層4との間が開封されたときに、透明印刷部10は、転着部として接着剤層4側に転着するものとする。
【0021】
こうした構成のリストバンド1において、図1に示すように、情報印字表示部8に患者の情報を印字して表示し、図3に示すように、一方の巻付け用帯部6における剥離紙5を剥がし、その接着剤層4を他方の巻付け用帯部7に貼り付けることにより手首Wにリストバンド1を巻き付け、患者の特定を可能とする。
【0022】
しかして、患者がリストバンド1を剥がそうとして、一方の巻付け用帯部6および他方の巻付け用帯部7の部分における積層状態を解除しようとしたときに、開封表示層3と接着剤層4との間の第1の接着力が、接着剤層4と他方の巻付け用帯部7との間の第2の接着力より小さいので、図4に示すように、開封表示層3と接着剤層4との間の積層が優先的に解除される。
図4は、開封表示層3と接着剤層4との間の積層が解除された状態を示す要部拡大断面図であって、開封表示層3に空気層11が形成され、透明印刷部10が空気中に露出され、この透明印刷部10による「開封済み」、「無効」、「VOID」などの表記が視認可能となり、開封表示層3と接着剤層4とを再接着したとしても、外部からこの開封状態を確認することができる。
したがって、開封されたリストバンド1を破棄し、新しいリストバンド1と交換することにより、万が一の誤使用を回避することができる。
もちろん、遊園地や遊技場などにおける入場券としてリストバンド1を使用する場合には、その不正使用を防止可能である。
【0023】
図5は、本発明の第2の実施例によるリストバンド20の、図2と同様の要部拡大断面図であって、リストバンド20においては、リストバンド1(図1、図2)と同様に、バンド本体2、開封表示層21、接着剤層4および剥離紙5を有するが、開封表示層21自体を多層構造としている。
【0024】
すなわち、開封表示層21は、透明フィルム層22と、前記ベタ印刷層9および透明印刷部10と、を有する。
開封表示層21は、開封表示層21自体が破壊されたときに、すなわち、ベタ印刷層9と透明フィルム層22との間が開封されたときに、この開封状態を表示可能としてある。
なお、開封表示層21においては、透明フィルム層22とベタ印刷層9との間の第3の接着力を、開封表示層3と接着剤層4との間の第1の接着力、接着剤層4と他方の巻付け用帯部7との間の第2の接着力より、さらに小さくしてある。
【0025】
こうした構成のリストバンド20においても、既述のリストバンド1の場合と同様に、患者が一方の巻付け用帯部6および他方の巻付け用帯部7の間の接着を解除しようとしても、透明フィルム層22とベタ印刷層9との間が優先的に開封され、開封表示層21の部分を破壊することになって、透明印刷部10がベタ印刷層9に転着し、透明印刷部10による「開封」などの表記が顕在化し、その開封状態を外部から確認することができる。
【0026】
なお、本発明においては、開封表示層の構成は、バンド本体2と接着剤層4との間に積層するものであれば、上述の例以外にも各種のものを採用可能であり、バンド本体2や接着剤層4の材質などに応じて任意のものを選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施例によるリストバンド1の平面図である。
【図2】同、図1のII−II線拡大断面図である。
【図3】同、リストバンド1を輪状とした状態を示す斜視図である。
【図4】同、開封表示層3と接着剤層4との間の積層が解除された状態を示す要部拡大断面図である。
【図5】本発明の第2の実施例によるリストバンド20の、図2と同様の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 リストバンド(第1の実施例、図1)
2 バンド本体
3 開封表示層
4 接着剤層
5 剥離紙
6 一方の巻付け用帯部(一方の端部)
7 他方の巻付け用帯部(他方の端部)
8 情報印字表示部
9 ベタ印刷層
10 透明印刷部
11 空気層(図4)
20 リストバンド(第2の実施例、図5)
21 開封表示層
22 透明フィルム層
W 患者の手首(図3)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の四肢の少なくともいずれかひとつに巻き付けるとともに、その人体の個人情報を表示可能なリストバンドであって、
前記個人情報を表示するための帯状のバンド本体と、
このバンド本体の一方の端部に形成した開封表示層と、
この開封表示層の裏面に形成するとともに、前記バンド本体の他方の端部に接着可能な接着剤層と、
を有し、
前記開封表示層と前記接着剤層との間の第1の接着力を、前記接着剤層と前記バンド本体の前記他方の端部との間の第2の接着力より弱くしてあることを特徴とするリストバンド。
【請求項2】
前記開封表示層は、前記接着剤層との間の接着を開封したときに、この開封状態を表示可能としてあることを特徴とする請求項1記載のリストバンド。
【請求項3】
前記開封表示層は、前記開封表示層自体が破壊されたときに、この開封状態を表示可能としてあることを特徴とする請求項1記載のリストバンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−26473(P2008−26473A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−196984(P2006−196984)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】