説明

リチウムイオン二次電池用電解質層

【課題】漏液が抑制されており、電池出力または体積出力密度に優れるリチウムイオン二次電池を実現しうる電解質層を提供する。
【解決手段】 ポリマー電解質411からなる枠と、前記枠により形成された空間に充填された電解液415と、を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用電解質層410。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリチウムイオン二次電池用電解質層に係り、より詳細には、電池出力の低下と電解液の漏液との双方を抑制しうるリチウムイオン二次電池用電解質層に係る。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池に用いられる従来の電解質層は、「電解液」、または「ポリマー電解質」のいずれかのみからなっていた。
【0003】
「電解液」を用いる場合、従来ではリチウムイオン二次電池内部に電解液を満たした構造とするか、またはエラストマーなどからなるシール部材で電解質層を囲い、電解液が電極間のみに存在するようにした密閉型の構造としていた。
【0004】
「ポリマー電解質」を用いる場合、従来では電極間にポリマー電解質を配置する構造としていた。特許文献1にはポリマー電解質としてゲル電解質を用いたリチウムイオン二次電池が開示されている。
【特許文献1】特開平11−354158号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電解液のみを用いた場合、二次電池の外装が破損することにより電解液が漏液するという問題があった。一方、シール部材を用いた場合、漏液が抑制されるものの、電極表面の一部にシール部材が接触してしまう分、電解液のみを用いた場合と比較して電池出力が低下するという問題があった。これを解決するために電極表面の一部にシール部材が接触しないようにすると、今度は二次電池に余分なスペースを形成する必要が生じ、二次電池の単位体積当たりの出力密度(以下「体積出力密度」とも記載する)が低下するという問題が生じていた。
【0006】
また、ポリマー電解質を用いた場合、漏液は抑制されるものの、ポリマー電解質のイオン伝導性は電解液よりも劣るため、電解液を用いた場合と比較して電池出力が低下するという問題があった。
【0007】
本発明は上記課題を解決するために、漏液が抑制され、体積出力密度または電池出力に優れるリチウムイオン二次電池を実現しうる電解質層を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、従来のシール部材の代わりにポリマー電解質を利用することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち本発明は、ポリマー電解質からなる枠と、前記枠により形成された空間に充填された電解液と、を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用電解質層により上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、漏液が抑制されており、電池出力または体積出力密度に優れるリチウムイオン二次電池を実現しうる電解質層を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の第一はポリマー電解質からなる枠と、前記枠により形成された空間に充填された電解液と、を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用電解質層である。
【0012】
本発明の第一によれば、ポリマー電解質よりもイオン伝導性に優れる電解液を使用することができ、さらに、電解質としての機能を持たない従来のシール部材の代わりにポリマー電解質を用いるため、漏液と、電池出力または体積出力密度の低下と、を抑制することができる。
【0013】
ポリマー電解質からなる枠の形状としては特に限定されず、例えば、図1のAの電解質層の平面概略図に例示するようにポリマー電解質111を額縁状に配置してもよいし、図1のB〜Dに例示するようにポリマー電解質111を額縁状に配置し、さらに、縞状、襷文状、ハニカム状、または碁盤目状などに配置してもよい。図1において符号110は電解質層を示す。図1は単なる例示であって、本発明における電解質層の各構成の形状などは図1に限定されない。
【0014】
ポリマー電解質と電解液との体積比は1:0.1〜1:2が好ましく、より好ましくは1:1〜1:1.6であり、特に好ましくは1:1.3である。ポリマー電解質の体積を1とした際の電解液の体積が0.1以上であれば、ポリマー電解質のみを用いる二次電池に比べて電池出力に優れ、2以下であると、ポリマー電解質からなる枠の体積に対して電解液の体積が大きくなりすぎず、電解液の液漏を抑制できる程度になるため好ましい。
【0015】
電解質層の電解液部分の厚みは35μm以下であることが好ましく、より好ましくは25μm以下であり、更に好ましくは20μm以下である。厚みが35μm以下であると、電池出力が向上するため好ましい。
【0016】
以下に本発明の電解質層を構成する電解液およびポリマー電解質の詳細を記載する。
【0017】
(電解液)
電解液としては、非水溶媒に支持塩を溶解させたものなど従来公知のものを用いることができる。
【0018】
非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、およびエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、およびジエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、および1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類;γ−ブチロラクトンなどのラクトン類;アセトニトリルなどのニトリル類;プロピオン酸メチルなどのエステル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;酢酸メチル、ギ酸メチルなどのエステル類;スルホラン;ジメチルスルホキシド;ならびに3−メチル−1,3−オキサゾリジン−2−オンからなる群より選択される少なくとも1種などが好ましく挙げられる。
【0019】
支持塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、およびLi10Cl10などの無機酸イオン塩、ならびに、Li(CSON、Li(CFSON、LiCFSO、およびLi(CSONなどの有機酸陰イオン塩からなる群より選択される少なくとも1種のリチウム塩などが好ましく挙げられる。電解液は目的に応じて他の添加剤を含みうる。
【0020】
(ポリマー電解質)
ポリマー電解質は、真性ポリマー電解質とゲル電解質とに分類することができ、本発明においてはいずれも好ましく、より好ましくはゲル電解質である。また、図2に例示するように、ポリマー電解質211として真性ポリマー電解質212とゲル電解質213とを併用してもよい。図2において符号210は電解質層を示し、符号215は電解液を示す。図2は単なる例示であって、本発明における電解質層の各構成の形状などは図2に限定されない。
【0021】
(真性ポリマー電解質)
真性ポリマー電解質は、ポリマーからなる固体状の電解質である。真性ポリマー電解質は、電解質中に電解液を含まないため液漏れのおそれがなく安全性が高いという利点を有する。真性ポリマー電解質を構成するポリマーとしては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエステル系樹脂、アラミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、これらの共重合体、またはこれらのアロイなどの従来公知のものが好ましく挙げられる。ポリエステル系樹脂としてはPETなどが好ましく挙げられ、アラミド系樹脂としてはパラ系芳香族ポリアミド、メタ系芳香族ポリアミドなどが好ましく挙げられ、ポリオレフィン系樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレンなどが好ましく挙げられる。
【0022】
また、イオン伝導性を向上させるために、カルボン酸基、リン酸基、スルフォン酸基、またはシロキシルアミン基などのイオン性解離基をこれらに導入したものを真性ポリマー電解質としてもよい。
【0023】
真性ポリマー電解質の製造方法としては、高分子電解質原料とリチウム塩とを混合し、熱または光などで重合させる方法が挙げられる。
【0024】
高分子電解質原料としては、上述の真性ポリマー電解質を構成するポリマー、そのオリゴマー、または重合により前記ポリマーを形成しうるモノマーなどが挙げられる。リチウム塩としては、上述の電解液の項に記載したものが好ましく挙げられる。また、重合に際しては、光重合開始剤、または熱重合開始剤を適宜添加することができる。
【0025】
(ゲル電解質)
ゲル電解質は、化学結合、結晶化または分子の絡み合いなど分子鎖間の相互作用によってポリマーが三次元的な網目構造を構成し、その空隙に電解液を保持したゲル状の電解質である。ゲル電解質は、エラストマーのように変形可能であるため集電体、または正極活物質層もしくは負極活物質層との密着性に優れ、漏液を抑制しやすいという利点を有する。
【0026】
ゲル電解質として、ポリマー自身がイオン伝導性を有する真性ポリマー電解質を骨格として電解液を保持したもの、または自身はイオン伝導性を有さないポリマーもしくはイオン伝導性が低いポリマーを骨格として電解液を保持したものを用いることができる。電解液の詳細については上述したとおりである。
【0027】
ゲル電解質に含まれる真性ポリマー電解質については、上述したものを好ましく用いることができる。イオン伝導性を有さないポリマーまたはイオン伝導性が低いポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルクロライド、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、これらの共重合体、またはこれらのアロイなど従来公知のものを好ましく用いることができる。
【0028】
ゲル電解質に含まれるポリマーとしてより好ましくはポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、またはポリエチレンオキシドである。フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体におけるポリフッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンとの共重合比は特に限定されず目的に応じて適宜決定することができる。前記ポリエチレンオキシドは化学架橋されていることが好ましい。
【0029】
ゲル電解質を用いる場合、ゲル電解質に含まれるポリマーの割合は、前記ゲル電解質総量に対して5〜20質量%であることが好ましい。5質量%以上であると漏液がより抑制されるため好ましく、20質量%以下であると電池出力が向上するため好ましい。
【0030】
また、ゲル電解質に含まれるポリマーとしてポリフッ化ビニリデン、またはフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体を用いる場合には、ゲル電解質に含まれるポリマーの割合はゲル電解質総量に対して10〜20質量%であることが好ましい。
【0031】
また、ゲル電解質に含まれるポリマーとして化学架橋されたポリエチレンオキシドを用いる場合には、ゲル電解質に含まれるポリマーの割合は、ゲル電解質総量に対して5〜10質量%であることが好ましい。
【0032】
本発明の第二は上述のリチウムイオン二次電池用電解質層を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池である。
【0033】
リチウムイオン二次電池に含まれる電極は、少なくとも集電体と活物質層とから構成される。本発明において、リチウムイオン二次電池に含まれる電極は、図3のAに示す集電体320の片面に正極活物質層331が配置され、一方の面に負極活物質層332が配置されたバイポーラ型の電極31、および図3のBに示す両面に正極活物質層331が配置された集電体320と、両面に負極活物質層332が配置された集電体320とを含むバイポーラ型でない型の電極32いずれも好ましく、より好ましくはバイポーラ型の電極31である。図3は単なる例示であって、本発明におけるリチウムイオン二次電池に含まれる電極の各構成の形状などは図3に限定されない。
【0034】
電極以外のリチウムイオン二次電池構造ついては特に限定されず、従来公知の構造を適宜選択することができる。例えば、複数の前記バイポーラ電極同士の間に本発明の電解質層が配置された積層体が外装材で封止されている構造でもよい。
【0035】
本発明のリチウムイオン二次電池に含まれる電解質層を構成するポリマー電解質の形状は特に限定されず、図4のAに示すように正極活物質層431と負極活物質層432との間にポリマー電解質411が配置された形状でもよいし、正極活物質層431と負極活物質層432との間、さらに集電体420同士の間に411が配置された形状でもよい。図4において符号410は電解質層を示し、符号415は電解液を示す。図4は単なる例示であって、本発明におけるリチウムイオン二次電池の各構成の形状などは図4に限定されない。
【0036】
また、本発明では、電解液の体積に対してポリマー電解質の体積が少ない場合など、正極活物質層と負極活物質層とが接触する可能性がある場合には、正極活物質層と負極活物質層との間にセパレータを配置してもよい。例えば、セパレータは、正極活物質層と電解質層との間、負極活物質層と電解質層との間、または、正極活物質層と負極活物質層との間の電解液が満たされている部分などに配置することができる。
【0037】
本発明の第三は上述のリチウムイオン二次電池用電解質層、または上述のリチウムイオン二次電池を含むことを特徴とする車両である。
【0038】
本発明の車両に含まれる電解質層は電池出力または体積出力密度に優れるため、二次電池の質量または体積を小さくすることもできる。車両において二次電池の占める質量または体積を小さくできるということは、車両設計上有利である。
【実施例】
【0039】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
【0040】
(実施例1)
[正極スラリーの作製]
正極活物質としてLiMn[85質量%]、導電助剤としてアセチレンブラック[5質量%]、およびバインダとしてPVDF[10質量%]からなる材料を上記比率にて秤量し、次に、塗布工程に最適な粘度になるまでスラリー粘度調整溶媒としてNMPを添加し、混合して正極スラリーを作製した。上記NMPは、電極乾燥時にすべて揮発させて除去するので、電極の構成材料ではなく、適当なスラリー粘度になるように適量を加えた。また、上記比率は、スラリー粘度調整溶媒を除く成分で換算した比率を示す。
【0041】
[負極スラリーの作製]
負極活物質としてハードカーボン[90質量%]、およびバインダとしてPVDF[10質量%]からなる材料を上記比率にて秤量し、次に、塗布工程に最適な粘度になるまでスラリー粘度調整溶媒としてNMPを添加し、混合して負極スラリーを作製した。上記NMPは、電極乾燥時にすべて揮発させて除去するので、電極の構成材料ではなく、適当なスラリー粘度になるように適量を加えた。また、上記比率は、スラリー粘度調整溶媒を除く成分で換算した比率を示す。
【0042】
[バイポーラ型の電極の作製]
集電体としてSUS箔を用意した。各集電体の片面に正極スラリーを塗布した後真空オーブンを用いて、集電体の片面に正極活物質層を形成した。続いて、集電体の残りの面に負極スラリーを塗布した後真空オーブンを用いて、バイポーラ型の電極を作製した。
【0043】
得られたバイポーラ型の電極において、集電体の厚みは80μmであり、平面積は170×120mmであり、正極活物質層の厚みは30μmであり、平面積は130×80mmであり、負極活物質層の厚みは30μmであり、平面積は130×80mmであった。
【0044】
[電解質層の形成および積層体の形成]
バイポーラ電極上にゲル電解質からなる枠と、前記枠により形成された空間に充填された電解液とを含む電解質層を形成した。
【0045】
より詳細には、ポリエチレンテレフタレート(PET)のセパレータ上に、電解液:PVDF(体積比1:1)からなるポリマー骨格を含む、ポリマー電解質の枠を形成した。前記電解液としては、1MのLiPFを含むプロピレンカーボネートおよびエチレンカーボネートの混合液(体積比1:1)を用いた。得られたポリマー電解質はゲル電解質である。
【0046】
次に、ポリマー電解質の枠を形成したセパレータを、正極活物質層と接するようにバイポーラ電極上に積層し、その後、ポリマー電解質からなる前記枠内に1MのLiPFを含むプロピレンカーボネートおよびエチレンカーボネートの混合液(体積比1:1)からなる電解液を注ぎ入れ、枠内を電解液で満たし、上述の図4のBの符号410で例示される電解質層を形成した。次に別のバイポーラ型の電極の負極活物質層を電解質層と接するように積層した(図4のBではセパレータの記載が省略されているが、セパレータは正極活物質層431と負極活物質層432との接触を防ぐように、これらの間に配置されている)。
【0047】
得られた電解質層においてポリマー電解質と電解液との体積比は1:1.3であり、平面積は130×80mmであり、電解液部分の厚みは30μmであった。
【0048】
以降、積層されたバイポーラ電極の正極活物質層上に同様にして電解質層を形成し、バイポーラ電極を積層する工程を繰り返し、積層体を形成した。
【0049】
[積層体の封止]
ラミネートシートを用いて積層体を封止し、リチウムイオン二次電池を得た。
【0050】
(実施例2)
下記事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。
【0051】
セパレータ上に、高分子電解質原料としてポリエチレンオキシド(30質量%)、リチウム塩としてLiMn(16質量%)、および光重合開始剤を準備し、これに溶媒としてアセトニトリル(54質量%)を加えた電解質スラリーを塗布して、枠状に整え、溶媒を飛ばした。溶媒を飛ばした後、紫外線を20分間照射し真性ポリマーの枠とした。上記質量%は、高分子電解質原料、リチウム塩、および溶媒の総量に対する値である。前記光重合開始剤は高分子電解質原料に対して0.2質量%となるよう添加した。
【0052】
(比較例1)
下記事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。
【0053】
ゲル電解質と電解液とからなる電解質層の代わりに、実施例1と同様のゲル電解質の層を用いた。図5のAに比較例1で用いたリチウムイオン二次電池の部分概略断面図を示す。図5のAにおいて、符号511はゲル電解質を示し、符号520は集電体を示し、符号531は正極活物質層を示し、符号532は負極活物質層を示す。
【0054】
(比較例2)
下記事項以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を得た。
【0055】
バイポーラ電極の活物質を形成しない箇所(周囲)にエポキシ樹脂からなるシール部材を用い、図5のBに示すようにシール部550を形成した。集電体520からはみ出たシール部の長さLは5mmであった。図5のBにおいて符号515は電解液を示す。
【0056】
(電池出力の測定)
実施例1〜2、および比較例1〜2で得られたリチウムイオン二次電池の電池出力を測定した。
【0057】
実施例1の電池出力を100とした際の、実施例2および比較例1〜2の電池出力を表1に示す。また、実施例1の電池体積を100とした際の、実施例2および比較例1〜2の電池体積、および、前記電池出力を前記電池体積で割ることにより得られる体積出力密度も表1に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
実施例1〜2から、本発明の電解質層を含むリチウムイオン二次電池は、従来のリチウムイオン二次電池である比較例1の二次電池と比べて電池出力と、体積出力密度とに優れることがわかる。また、従来のリチウムイオン二次電池である比較例2の二次電池と比べると、体積出力密度に優れることがわかる。さらに、実施例2の場合、真性ポリマー電解質を含んでいる為、電池出力は実施例1に比べて低下するものの比較例1、2に対しては体積出力密度に優れていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】(A)〜(D)は本発明の電解質層におけるポリマー電解質の配置例を示した平面概略図である。
【図2】真性ポリマー電解質とゲル電解質とからなるポリマー電解質を用いた本発明の電解質層を例示した平面概略図である。
【図3】(A)はバイポーラ型の電極の断面概略図であり、(B)はバイポーラ型でない電極の断面概略図である。
【図4】(A)〜(B)はポリマー電解質の配置例を示す、リチウムイオン二次電池の部分断面概略図である。
【図5】(A)は比較例1のリチウムイオン二次電池の部分断面概略図であり、(B)は比較例2のリチウムイオン二次電池の部分断面概略図である。
【符号の説明】
【0061】
31 バイポーラ型の電極、
32 バイポーラ型でない型の電極、
110 電解質層、
111 ポリマー電解質、
115 電解液、
210 電解質層、
211 ポリマー電解質、
212 真性ポリマー電解質、
213 ゲル電解質、
215 電解液、
320 集電体、
331 正極活物質層、
332 負極活物質層、
410 電解質層、
411 ポリマー電解質、
415 電解液、
420 集電体、
431 正極活物質層、
432 負極活物質層、
511 ゲル電解質、
515 電解液、
520 集電体、
531 正極活物質層、
532 負極活物質層、
550 シール部、
L 集電体からはみ出たシール部の長さ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー電解質からなる枠と、
前記枠により形成された空間に充填された電解液と、
を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用電解質層。
【請求項2】
前記ポリマー電解質はゲル電解質からなり、
前記ゲル電解質に含まれるポリマーの割合は、前記ゲル電解質総量に対して5〜20質量%であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用電解質層。
【請求項3】
前記ポリマーはポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、または、化学架橋されたポリエチレンオキシドであることを特徴とする請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用電解質層。
【請求項4】
前記ポリマー電解質は真性ポリマー電解質であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用電解質層。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用電解質層を含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項6】
バイポーラ型の電極を含むことを特徴とする請求項5に記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用電解質層、または
請求項5もしくは6に記載のリチウムイオン二次電池、
を含むことを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−257863(P2007−257863A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−77049(P2006−77049)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】