説明

リチウム二次電池及びその正極活物質粒子

【課題】 層状岩塩構造を有する正極活物質における高容量化。
【解決手段】 正極活物質粒子は、層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物の単結晶一次粒子が複数集合してなる二次粒子であって、前記単結晶一次粒子内には微粒子が分散されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池(リチウムイオン二次電池と称されることもある)、及びその正極活物質の粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池の正極活物質として、層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物が広く知られている(例えば、特開平9−22693号公報、特開2006−127955号公報、特開2003−168434号公報、特開2006−127955号公報、特開2010−80407号公報、特開2010−210701号公報、等参照。)。
【0003】
ここで、「層状岩塩構造」とは、リチウム層とリチウム以外の遷移金属層とが酸素の層を挟んで交互に積層された結晶構造、すなわち、酸化物イオンを介して遷移金属イオン層とリチウム単独層とが交互に積層した結晶構造(典型的にはα−NaFeO型構造:立方晶岩塩型構造の[111]軸方向に遷移金属とリチウムとが規則配列した構造)をいう。この種の正極活物質としては、コバルト酸リチウムやニッケル酸リチウム(コバルトやニッケルの一部を他の遷移金属元素で置換したものを含む)が知られている。
【0004】
この種の正極活物質においては、(003)面以外の結晶面(例えば(101)面や(104)面:以下「リチウムイオン出入面」と称する。)にて、リチウムイオン(Li)の出入りが生じる。かかるリチウムイオンの出入りによって、充放電動作が行われる。このとき、正極活物質内部のリチウムイオンの移動は、(003)面の面内方向(すなわち(003)面と平行な平面内)で行われる。
【発明の概要】
【0005】
この種の正極活物質においては、リチウムイオンを引き抜きすぎると構造が不安定化するため、高容量化に限界があった。本発明は、かかる課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、層状岩塩構造を有する正極活物質、及びこれを用いたリチウム二次電池における、高容量化を図ることにある。
【0006】
本発明のリチウム二次電池は、多数の正極活物質粒子を含む正極と、負極活物質を含む負極と、を備えている。本発明の前記正極活物質粒子は、層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物(リチウム遷移金属酸化物)の単結晶一次粒子が複数集合してなる二次粒子である。層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物としては、コバルトの他にニッケルやマンガン等を含有した固溶体からなるものであってもよい。具体的には、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル・マンガン酸リチウム、ニッケル・コバルト酸リチウム、コバルト・ニッケル・マンガン酸リチウム、コバルト・マンガン酸リチウム等が挙げられる。さらに、これらの材料に、Mg,Al,Si,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Ga,Ge,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ag,Sn,Sb,Te,Ba,Bi等の元素が1種以上含まれていてもよい。
【0007】
本発明の特徴は、前記単結晶一次粒子内に微粒子が分散されていることにある。なお、前記微粒子は、前記正極活物質粒子を製造する際の原料中に予め添加されるものであってもよいし、焼成時や焼成後の降温時、また充放電時に析出するものであってもよい。
【0008】
かかる構成においては、前記単結晶一次粒子内からリチウムイオンが抜けた際に、前記単結晶一次粒子内に分散した前記微粒子によって、結晶構造が安定化される。これにより、前記単結晶一次粒子内から従来よりも多量のリチウムイオンを引き抜くことが可能になる。したがって、本発明によれば、層状岩塩構造を有する正極活物質における高容量化が実現される。
【0009】
例えば、前記正極活物質粒子を製造する際の条件(材料の選択等)によっては、焼成後の降温時にて、前記微粒子の存在あるいは生成により、前記単結晶一次粒子内に引張方向の残留応力を生じさせることができる。かかる引張応力により、前記単結晶一次粒子内からリチウムイオンが抜ける際の結晶構造がよりいっそう良好に安定化される。また、前記単結晶一次粒子内に残留応力が生じていない場合であっても、リチウムイオンが抜ける際に、前記微粒子の存在により、前記単結晶一次粒子内に引張応力が生じ、これにより構造安定化の効果が生じる。
【0010】
かかる観点からすれば、前記正極活物質粒子(前記二次粒子)に含まれる前記単結晶一次粒子の結晶方位が可及的に揃っていることが好ましい。具体的には、例えば、前記二次粒子中に含まれる複数の前記単結晶一次粒子の全数に対して、「特定の配向性」を有する前記単結晶一次粒子の割合が、30%以上であることが好ましい。これにより、前記二次粒子中の多数の前記単結晶一次粒子の配向性がない(すなわち多数の前記単結晶一次粒子における特定の面がそれぞれ完全にランダムである)場合に比して、上述の引張応力によって構造安定化される前記単結晶一次粒子の割合を増加させることが可能になる。
【0011】
また、上述のように、前記正極活物質粒子内部のリチウムイオンの移動は、(003)面の面内方向(すなわち(003)面と平行な平面内)で行われる。このため、リチウムイオンが抜けた後の前記単結晶一次粒子に対して、(003)面の法線方向である[003]方向について補強することが、結晶構造の安定化のために有効である。かかる観点からすれば、前記「特定の配向性」は、(003)面の配向性であることが好ましい。なお、前記正極活物質粒子の外表面には、「リチウムイオン出入面」が露出していることが好ましい。かかる観点からすれば、上述の「特定の配向性」を有する前記単結晶一次粒子において、(003)面が面内配向していることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態が適用されたリチウム二次電池の概略構成を模式的に示す断面図である。
【図2】図1に示されている正極の拡大断面図である。
【図3】図2に示されている正極活物質粒子の拡大図である。
【図4】従来の正極活物質粒子の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態を、実施例及び比較例を用いつつ説明する。なお、以下の実施形態に関する記載は、法令で要求されている明細書の記載要件(記述要件・実施可能要件)を満たすために、本発明の具体化の単なる一例を、可能な範囲で具体的に記述しているものにすぎない。よって、後述するように、本発明が、以下に説明する実施形態や実施例の具体的構成に何ら限定されるものではないことは、全く当然である。本実施形態や実施例に対して施され得る各種の変更の例示は、当該実施形態の説明中に挿入されると、一貫した実施形態の説明の理解が妨げられるので、主として末尾にまとめて記載されている。
【0014】
<リチウム二次電池の概略構成>
図1は、本発明の一実施形態が適用されたリチウム二次電池1の概略構成を模式的に示す断面図である。図1を参照すると、本実施形態のリチウム二次電池1は、電池ケース2と、セパレータ3と、電解質4と、負極5と、正極6と、を備えている。
【0015】
セパレータ3は、電池ケース2内を、負極5の側と正極6の側とに二分するように設けられている。すなわち、電池ケース2内には、負極5及び正極6が、セパレータ3を隔てて対向するように設けられている。また、電池ケース2内には、電解質4が収容されている。
【0016】
電解質4としては、例えば、電気的特性や取り扱い易さの点から、液体電解質が好適に用いられ得る。かかる液体電解質としては、有機溶媒等の非水系溶媒にリチウム塩等の電解質塩を溶解させることによって調製された、非水溶媒系のものが好適に用いられる。もっとも、ポリマー電解質、ゲル電解質、有機固体電解質、無機固体電解質も、電解質4として問題なく使用することができる。
【0017】
非水系溶媒としては、特に限定はないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピオンカーボネート等の鎖状エステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の誘電率の高い環状エステル;鎖状エステルと環状エステルの混合溶媒;等を用いることができ、鎖状エステルを主溶媒とした環状エステルとの混合溶媒が特に適している。
【0018】
上述の非水系溶媒に溶解させる電解質塩としては、例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(RfSO)(Rf′SO)、LiC(RfSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO[ここでRfとRf′はフルオロアルキル基]、等が用いられ得る。かかる電解質塩としては、1種のみが単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0019】
上述の電解質塩の中でも、炭素数2以上の含フッ素有機リチウム塩が特に好ましい。この含フッ素有機リチウム塩は、アニオン性が大きく、且つイオン分離しやすいために、上述の溶媒に溶解し易いからである。非水電解液としての電解質4中における電解質塩の濃度は、特に限定はないが、例えば、0.3mol/l以上、より好ましくは0.4mol/l以上であって、1.7mol/l以下、より好ましくは1.5mol/l以下であることが好ましい。
【0020】
負極5に係る負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵及び放出できるものであればよい。よって、例えば、炭素質材料(黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭等)が、負極活物質として用いられ得る。また、黒鉛の一部は、リチウムと合金化し得る金属や酸化物等と置き換えられ得る。さらに、金属リチウムや、金属リチウムと他の元素(ケイ素,スズ,インジウム等)とを含む合金、リチウムに近い低電位で充放電できるケイ素,スズ等の酸化物、Li2.6Co0.4N等のリチウムとコバルトとの窒化物、等の、リチウム吸蔵物質も、負極活物質として用いられ得る。
【0021】
負極活物質として黒鉛を用いた場合、満充電時の電圧を、リチウム基準で約0.1Vとみなすことができる。このため、電池電圧に0.1Vを加えた電圧で正極6の電位を便宜上計算することができる。よって、この場合、正極6の充電電位が制御しやすく、好適である。
【0022】
<正極の構成>
図2は、図1に示されている正極6の拡大断面図である。図2を参照すると、正極6は、正極集電体7と、正極活物質層8と、を備えている。正極活物質層8は、正極集電体7と接合されている。この正極活物質層8は、カーボン等の導電助剤を含有する結着材81と、この結着材81内に分散された正極活物質粒子82と、から構成されている。
【0023】
正極活物質粒子82は、下記一般式で表され層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物焼結体であって、平均粒径が5〜40μmであり、アスペクト比が1.0〜1.5となるように形成されている。ここで、「平均粒径」は、レーザ回折式の粒度分布測定装置による円相当径の体積基準の平均値である。また、「アスペクト比」とは、粒子の短軸径(短手方向の寸法)に対する長軸径(長手方向の寸法)の割合をいい、この値が1に近いほど粒子は球状に近い形状であるといえる。
LiMO
(上記一般式中、Mは、Mn、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Mg、Zr、B、及びMoからなる群から選択された少なくとも一種以上の金属であり、0.9≦p≦1.3)
【0024】
また213系と呼ばれる材料系、すなわち、
一般式:xLiMO−(1−x)LiMeO
(上記一般式中、0<x<1、0.9≦p≦1.3であって,M及びMeはそれぞれ独立的に、Mn、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Mg、Zr、B、及びMoからなる群から選択された少なくとも一つ以上の金属)
で示される材料系においても、同様にナノサイズの粒子が分散されることで、上述と同様の効果が得られる。
【0025】
LiMOにおける“M”としては、平均酸化状態が“4+”である1種類以上の金属元素であればよく、特に制限されるものではないが、Mn、Zr及びTiから選ばれてなる1種類以上の元素が好ましい。
【0026】
LiMeOにおける“Me”としては、平均酸化状態が“3+”である1種類以上の金属元素であればよく、特に制限されるものではないが、Mn、Ni、Co及びFeから選ばれてなる1種類以上の遷移金属元素が好ましい。
【0027】
図3における(i)は、図2に示されている正極活物質粒子82を拡大した平面図である。図3における(i)に示されているように、正極活物質粒子82は、層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物の単結晶一次粒子821が複数集合してなる二次粒子である。単結晶一次粒子821は、図中「MP」で示されている(003)面が面内配向する(すなわち(003)面が板面TSと交差するように配向する)ように形成されている。
【0028】
本実施形態においては、正極活物質粒子82は、(003)面の高い面内配向性を有している。すなわち、正極活物質粒子82においては、これに含まれる複数の単結晶一次粒子821における(003)面の方位が揃っている。具体的には、正極活物質粒子82中に含まれる複数の単結晶一次粒子821の全数に対して、(003)面の配向性が同一の単結晶一次粒子821の割合が、30%以上である。
【0029】
図3における(ii)は、図3における(i)に示されている単結晶一次粒子821の断面図である。図3における(ii)に示されているように、単結晶一次粒子821は、リチウム以外の遷移金属(コバルトやニッケル等)の層である金属層821aと、リチウムイオン821bの層であるリチウム層とが交互に配列された構造を有している。また、単結晶一次粒子821内には、複数の金属層821aに跨るように、複数の微粒子821cが分散されている(なお、単結晶一次粒子821における微粒子821c以外の部分は、母材あるいは主相とも称され得る)。
【0030】
<正極の構成による効果>
図4は、従来の正極活物質粒子82’の拡大図である。図3と同様に、図4における(i)は、従来の正極活物質粒子82’を拡大した平面図であり、(ii)は、図4における(i)に示されている従来の単結晶一次粒子821’の断面図である。以下、図3に示されている本実施形態の正極活物質粒子82によって奏される作用・効果について、図4に示されている従来の正極活物質粒子82’の構成と対比しつつ説明する。
【0031】
従来の正極活物質粒子82’においては、周知のとおり、単結晶一次粒子821’から多数のリチウムイオン821bが抜けると、結晶構造が不安定化する。これに対し、本実施形態の正極活物質粒子82においては、単結晶一次粒子821から多数のリチウムイオン821bが抜けても、複数の金属層821aに跨るように分散された複数の微粒子821cによって、結晶構造が安定化される。これにより、従来の正極活物質粒子82’よりも多量のリチウムイオン821bを引き抜くことが可能になり、以て従来よりも高い充放電容量が得られる。
【0032】
また、正極活物質粒子82を製造する際の条件(材料の選択等)によっては、焼成後の降温時にて、微粒子821cの存在あるいは生成により、単結晶一次粒子821内に引張方向の残留応力を生じさせることができる。例えば、コバルト化合物等の主原料中に予め微粒子821cが添加される場合であって、微粒子821cの方が単結晶一次粒子821の母材よりも熱膨張係数が適度に小さいとき、焼成によるリチウム複合酸化物の合成後の降温時にて、微粒子821cよりも母材の方が大きく収縮する。このため、母材が収縮するのを微粒子821cにより抑制される形となり、これにより母材に引張応力が生じる。かかる引張応力により、単結晶一次粒子821内からリチウムイオン821bが抜ける際の結晶構造がよりいっそう良好に安定化される。
【0033】
また、正極活物質粒子82を製造する際の条件(材料の選択等)によっては、充放電時に母材の一部が析出することを利用して、ナノサイズの粒子が分散した構造を実現することができる。この様な場合も、構造の安定化に寄与し、充放電特性を改善する。
【0034】
この点、本実施形態の正極活物質粒子82においては、複数の単結晶一次粒子821における(003)面の方位が揃っているため、複数の単結晶一次粒子821における(003)面の方位が完全にランダムである場合よりも、所定の引張応力により結晶構造が安定化される単結晶一次粒子821の割合を可及的に増加させることが可能になる。さらに、複数の単結晶一次粒子821における(003)面の方位が揃っていることで、結晶粒界におけるリチウムイオン821bの移動がスムーズに行われるようになり、正極活物質粒子82内のリチウムイオン821bの拡散抵抗が低下する。これにより、充放電特性を顕著に向上させることが可能になる。
【0035】
なお、コバルト化合物等の主原料中に予め微粒子821cが添加される場合であって、微粒子821cの方が単結晶一次粒子821の母材よりも熱膨張係数が大きいときは、焼成によるリチウム複合酸化物の合成後の降温時にて、上述とは逆に、母材に圧縮応力が生じる。これにより、単結晶一次粒子821内からリチウムイオン821bが抜ける際の母材内の過度の引張応力の発生が抑制される。したがって、微粒子821cの熱膨張係数と単結晶一次粒子821の母材の熱膨張係数の大小関係に拘わらず、微粒子821cにより結晶構造の安定化の効果が奏される。
【0036】
さらに、本実施形態の正極活物質粒子82においては、(003)面が面内配向している。これにより、板面TSに「リチウムイオン出入面」が多く露出し、以て充放電特性を顕著に向上させることが可能になる。
【0037】
<製造方法の概要>
以下、図3に示されている正極活物質粒子82の製造方法の概要について説明する。
【0038】
まず、リチウム化合物、コバルト化合物、及びニッケル化合物を含む主原料粉末と、微粒子821c(あるいは微粒子821cを構成する物質)と、を含む混合粉末を調製する。なお、微粒子FPは、上記主原料粉末の混合の際にこれらと(ほぼ)同時に添加されてもよいし、主原料粉末を一旦所定の組成比で混合した後に添加されてもよい。
【0039】
なお、上記主原料粉末には、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物、マンガン化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物、セリウム化合物等が、上述の混合粉末中に含有される。
【0040】
リチウム化合物としては、例えば、LiCO、LiNO、LiOH、Li、LiO、CHCOOLi、Li(OCH)、Li(OC)、Li(OC)、Li(OC)、Li(C1119)、Li、LiCl、等が用いられ得る。コバルト化合物としては、例えば、Co、CoO、Co(OH)、CoCO、CoC、CoCl、Co(NO、Co(OC、等が用いられ得る。
【0041】
ニッケル化合物としては、例えば、NiO、Ni(OH)、NiNO、Ni(C、NiC、NiCO、NiCl、等が用いられ得る。アルミニウム化合物としては、例えば、α−Al、γ−Al、AlOOH、Al(OH)、Al(OCH、Al(OC、Al(OC、Al(OC、AlOCl、Al(NO、等が用いられ得る。
【0042】
マグネシウム化合物としては、例えば、MgO、Mg(OH)、MgCO、Mg(OCH、Mg(OC、Mg(OC、Mg(OC、Mg(C1119、MgCl、Mg(C、Mg(NO、MgC、等が用いられ得る。マンガン化合物としては、MnO、MnO、Mn、Mn、MnCO、MnOOH、Mn(OCH、Mn(OC、Mn(OC、MnC、Mn(CHCOO)、MnCl、Mn(NO、等が用いられ得る。チタン化合物としては、例えば、TiO、TiO、Ti、Ti(OCH、Ti(OC、Ti(OC、Ti(OC、TiCl、等が用いられ得る。
【0043】
ジルコニウム化合物としては、例えば、ZrO、Zr(OH)、ZrO(NO、Zr(OCH、Zr(OC、Zr(OC、Zr(OC、ZrOCl、等が用いられ得る。セリウム化合物としては、例えば、CeO、Ce(OH)、Ce(NO、等が用いられ得る。
【0044】
なお、リチウム化合物及びマンガン化合物として、リチウムとマンガンとをともに含む化合物(例えば、LiMn)が用いられ得る。また、マンガン化合物及びビスマス化合物として、マンガンとビスマスとをともに含む化合物(例えば、BiMn10)が用いられ得る。
【0045】
微粒子821cを構成する物質としては、アルミナ、ジルコニア、SiC、SiO、等の化学的に安定なものや、充放電時に安定なマンガン酸リチウム等や、充放電時に生成するスピネル構造や層状岩塩構造のマンガン化合物等が用いられ得る。なお、上述のように、微粒子821cを構成する物質の熱膨張係数は、母材より小さくても大きくても、あるいはほぼ同じであっても、構造安定化の効果が生じる。また、母材よりも熱膨張係数の大きなものと小さなものとが併用されてもよい。
【0046】
微粒子821cについては、小さ過ぎると構造安定化の効果が十分に得られず、多すぎるとリチウムイオンの移動が阻害されることで電池容量が減少する。この点、微粒子821cの大きさとしては、粒径が0.5nm〜1μmが好ましく、1〜100nmがさらに好ましい。また、母材(単結晶一次粒子821)に対する粒径比としては、0.1〜10%が好ましい。また、正極活物質粒子82における微粒子821cの添加量(含有割合)は、0.01〜10vol%が好ましく、0.1〜3vol%がさらに好ましい。
【0047】
上述の混合粉末は、必要に応じて粉砕してもよい。例えば、混合粉末の粒径は10μm以下であることが好ましい。このため、混合粉末の粒径が10μmより大きい場合は、乾式又は湿式の粉砕方法により、粒径が10μm以下になるように、上述の混合粉末を粉砕することが好ましい。粉砕方法は特に限定されないが、乳鉢、ポットミル、ビーズミル、ハンマーミル、ジェットミル等が用いられ得る。
【0048】
次に、上述の混合粉末を用いて、適宜の形状の成形体に成形する。成形方法については、特に限定はなく、例えば、従来周知の成形方法を用いることが可能である。
【0049】
続いて、上述の成形体を焼成(熱処理)する。これにより、成形体は、層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物(正極活物質)の焼成体となる。なお、焼成雰囲気は酸素雰囲気(酸素分圧の高い状態)であってもよい。また、焼成は2段階に分けて行うこともできる。例えば、リチウム化合物を含まない混合粉末を成形して一旦焼成した後、リチウム化合物を添加して更に焼成することにより、リチウム複合酸化物を形成することができる。
【0050】
焼成の際の昇温速度を適宜調節する(例えば50〜500℃/時)ことにより、焼成後の一次粒子の粒径を均一化することができる。また、低温度域で温度を保持し、その後焼成温度で焼成することにより、一次粒子を均一に粒成長させることができる。この場合、低温度域としては、例えば、焼成温度が900℃のとき、400〜800℃とすることができる。また、焼成温度よりも高い温度に保ち、結晶の核を形成させた後に焼成温度で焼成することによっても、一次粒子を均一に粒成長させることができる。この場合、焼成温度よりも高い温度としては、例えば、焼成温度が900℃のとき、1000℃等とすることができる。また、焼成時の条件を適宜設定すること、例えば、降温速度を適宜調節(例えば5〜500℃/時)することにより、粒内に析出する微粒子の粒径や分散状態を制御することができる。
【0051】
続いて、得られた焼結体に対して、解砕及び/又は分級を行う。解砕は、湿式又は乾式の処理により、一次粒子を破壊しない一方で隣接する一次粒子同士の付着部(粒界部)にて劈開が生じる程度で行われる。解砕処理の方法としては、特に限定されないが、所定の開口径のメッシュやスクリーンに押し当てて解砕する方法や、乳鉢、ポットミル、ビーズミル、ハンマーミル、ジェットミル等を用いる方法等が用いられ得る。分級処理の方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、所定の開口径のメッシュで篩い分けする方法、水簸による方法、気流分級機、篩分級機、エルボージェット分級機等を用いる方法等が用いられ得る。
【0052】
所定の粒度分布、及び所定の単一粒子の割合を有する、正極活物質粉末は、上述の解砕及び/又は分級の条件を適宜設定することによって得ることが可能である。あるいは、所定の粒度分布、及び所定の単一粒子の割合を有する、正極活物質粉末は、上述の解砕及び/又は分級によって得られた複数種類の粉末を混合することによっても得ることが可能である。すなわち、例えば、得られた焼結体に対する解砕及び/又は分級の条件が異なる複数種類の粉末を混合することで、所定の粒度分布、及び所定の単一粒子の割合を有する、正極活物質粉末を得ることが可能である。
【0053】
なお、得られた正極活物質粉末を上述の焼成温度よりも低い温度で再度熱処理することで、解砕時の結晶性の乱れを回復させることが可能である(但し、かかる再熱処理は、必須ではない。)。もっとも、解砕処理に先立つ焼成工程における焼成温度からの降温時に、所望の温度で一定時間保持する、もしくは降温速度を調整することは、再熱処理としての効果がある。解砕処理後(又は分級処理後)に再熱処理をする場合、再熱処理した粉末を再び解砕・分級処理してもよい。この場合の、再度の解砕・分級処理には、前述した方法等を用いることができる。
【0054】
<具体例>
以下、上述の製造方法の具体例、及びかかる具体例によって製造された粒子の評価結果について、詳細に説明する。
【0055】
<<製造方法>>
(i)スラリー調製工程
混合物の組成比がLi1.1(Ni0.75Co0.2Al0.05)Oの組成比となるように、Ni(OH)粉末(株式会社高純度化学研究所製)、Co(OH)粉末(株式会社高純度化学研究所製)、Al・HO(SASOL社製)、及びLiOH・HO粉末(和光純薬工業株式会社製)、並びに表1に記載された添加剤(微粒子821cを構成する化合物)を秤量し、かかる秤量物をボールミルにより16時間粉砕・混合することで、原料粉末を調製した。
【表1】

【0056】
このようにして調製した原料粉末100重量部と、分散媒(トルエン:イソプロピルアルコール=1:1(質量比))100重量部と、バインダーバインダー(ポリビニルブチラール:品番BM−2、積水化学工業株式会社製)10重量部と、可塑剤(DOP:Di(2-ethylhexyl)phthalate、黒金化成株式会社製)4重量部と、分散剤(製品名レオドールSP−O30、花王株式会社製)2重量部と、を混合した。さらに、この混合物を、減圧下で撹拌することで脱泡するとともに、粘度を3〜4Pa・sに調整した(粘度は、ブルックフィールド社製LVT型粘度計で測定した。)。
【0057】
(ii)成形工程
上述のようにして調製されたスラリーを、ドクターブレード法によって、PETフィルムの上に、送り速度1m/sで、乾燥後の厚さが25μmとなるように、シート状に成形した。PETフィルムから剥がしたシート状の成形体を厚さ2mmとなるまで多数積層し、かかる積層体を20kg/cm2、80℃にて圧着することで、焼成前成形体を得た。
【0058】
(iii)焼成(熱処理)工程
このようにして得られた焼成前成形体を、ホットプレスを用いて、酸素雰囲気下において500℃で2時間保持した後に、20MPaで加圧しながら775℃で24時間焼成した。その後、ホットプレスの圧力を維持しながら500℃まで10℃/hで降温し、500℃以下となったところで圧力を開放して焼成体を放冷した。
【0059】
(iv)解砕・分級工程
得られた焼成体を、アルミナ製の乳鉢にて解砕し、解砕後の粉末を開口径50μmのメッシュを通すことで、求める粒径の正極活物質(Li(Ni0.75Co0.2Al0.05)O)粒子粉末を得た。
【0060】
<<評価方法>>
(1)単結晶一次粒子の粒径
電界放射型走査型子顕微鏡(FE−SEM:日本電子株式会社製 製品名「JSM−7000F」)を用いて、単結晶一次粒子が視野内に10個以上入る倍率を選択して、正極活物質のSEM画像を撮影した。このSEM画像において、それぞれの一次粒子内に内接円を描いたときの直径を求め、これらの平均値を一次粒子径とした。
【0061】
(2)微粒子の粒径
得られた正極活物質粒子粉末をエポキシ系合成樹脂に埋めて硬化させた後、集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)加工を用いて、炭素材料を構成する粒子の断面を切り出して、厚みが100nm〜200nm程度の範囲で均一な厚みの薄片試料を得た。走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いてこの薄片試料を観察することで、単結晶一次粒子内に分散した粒子の粒径を10個測定し、その平均値を微粒子の粒径とした。
【0062】
(3)微粒子含有割合
単結晶一次粒子が占有する面積(B)、及び微粒子が占有する面積(b)を、画像処理ソフトウェア(Adobe社製 商品名「photoshop(登録商標)」)を使用して測定し、(b/B)×100の値を算出した。5個の単結晶一次粒子についての算出値の平均値を、微粒子の含有割合とした。
【0063】
(4)配向率
ガラス基板上に、正極活物質粒子を、互いにできるだけ重ならないように配置した。次に、ガラス基板上に配置した粒子を粘着テープに写し取り、これを合成樹脂に埋め、正極活物質粒子の板面あるいは断面が観察できるように研磨することで、配向率測定用観察試料を作製した。
【0064】
このようにして作製した配向率測定用観察試料における、一個の二次粒子中に単結晶一次粒子が10個以上見られる視野において、電子後方散乱回折像法(EBSD)を用いて結晶方位解析を行うことで、各一次粒子の(003)面について測定面(研磨面)に対する傾き角度を求めた。なお、EBSDにおいては、株式会社TSLソリューションズ製のソフトウェア(測定ソフト:製品名「OIM Data Collection」、解析ソフト:製品名「OIM Analysis」)を用いた。
【0065】
角度に対する一次粒子数のヒストグラム(角度分布)における、一次粒子数が最大(ピーク値)となる角度を、この二次粒子の測定面に対する(003)面傾斜角θとし、測定した二次粒子について(003)面がθ±10度以内にある一次粒子数を算出した。求めた一次粒子数を全一次粒子数で除することで、測定した二次粒子における一次粒子の(003)面の配向率を算出した。これを異なる10個の二次粒子について行い、その平均値を(003)面の配向率とした。
【0066】
(5)電池特性
正極活物質粉末試料、導電剤としてのアセチレンブラック、及び結着材としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)を75:20:5の重量比で混合したもの0.02gを、300kg/cm2の圧力で直径20mmの円板状にプレス成形することで、正極活物質層を作製した。このようにして作製した正極活物質層と、リチウム金属板からなる負極活物質層と、ステンレス集電板と、セパレータとを、集電板−正極活物質層−セパレータ−負極活物質層−集電板の順に配置し、この集積体を電解液で満たすことでコインセルを作製した。電解液は、エチレンカーボネート(EC)及びジエチルカーボネート(DEC)を等体積比で混合した有機溶媒に、LiPFを1mol/Lの濃度となるように溶解することで調製した。
【0067】
試験温度を25℃とし、0.1Cレートの電流値で電池電圧が4.7Vとなるまで定電流充電し、その後電池電圧を4.7Vに維持する電流条件でその電流値が1/20に低下するまで定電圧充電した後10分間休止し、続いて1Cレートの電流値で電池電圧が3.0Vになるまで定電流放電した後10分間休止する、という充放電操作を1サイクルとし、合計2サイクル繰り返し、2サイクル目の放電容量の測定値を電池容量(0.1Cレートの放電容量)とした。
【0068】
<<評価結果>>
評価結果を表2及び表3に示す。
【表2】

【表3】

【0069】
表2及び表3に示されているように、微粒子添加がない比較例1に比して、微粒子(ナノ粒子)が単結晶一次粒子内に分散された実施例1〜4においては、高い電池容量が得られた。
【0070】
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態や具体例は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の具現化の一例を単に示したものにすぎないのであって、本発明はもとより上述の実施形態や具体例によって何ら限定されるべきものではない。よって、上述の実施形態や具体例に対して、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、種々の変形が施され得ることは、当然である。
【0071】
以下、変形例について幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態における各構成要素と同様の構成・機能を有する構成要素については、本変形例においても同一の名称及び同一の符号が付されているものとする。そして、当該構成要素の説明については、上述の実施形態における説明が、矛盾しない範囲で適宜援用され得るものとする。
【0072】
もっとも、変形例とて、下記のものに限定されるものではないことは、いうまでもない。本発明を、上述の実施形態や下記変形例の記載に基づいて限定解釈することは、(特に先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、許されない。
【0073】
また、上述の実施形態の構成、及び下記の各変形例に記載された構成の全部又は一部が、技術的に矛盾しない範囲において、適宜複合して適用され得ることも、いうまでもない。
【0074】
本発明は、上述の実施形態にて具体的に開示された構成に何ら限定されない。例えば、本発明は、液体型の電池構成に限定されない。すなわち、例えば、電解質としては、ゲルポリマー電解質が用いられ得る。また、本発明は、上述の具体例の組成に限定されない。
【0075】
本発明は、上述の実施形態にて開示された製造方法に限定されない。例えば、焼成については、ホットプレスによる方法以外の方法が用いられ得る。具体的には、押出成形によりペレット状の成形体を得て、この成形体を乾燥させた後に加熱炉中にて焼成する方法も用いられ得る。
【0076】
また、上述の具体例とは異なり、単結晶一次粒子821における(003)面の方位が揃っていなくても、以下に示すように、単結晶一次粒子821内に微粒子821cが分散されることで、高容量化の効果が得られる。
【0077】
(i)原料調製工程
混合物の組成比がLi1.1(Ni0.75Co0.2Al0.05)Oの組成比となるように、Ni(OH)粉末(株式会社高純度化学研究所製)、Co(OH)粉末(株式会社高純度化学研究所製)、Al・HO(SASOL社製)、及びLiOH・HO粉末(和光純薬工業株式会社製)、並びに表4に記載された添加剤(微粒子821cを構成する化合物)を秤量し、この秤量物100部と、分散媒としての有機溶媒(トルエン及びイソプロピルアルコールを等量混合した混合液)100部とを、合成樹脂製の円筒型広口瓶に入れ、合成樹脂製の円筒型広口瓶に投入して、ボールミル(直径5mmのジルコニアボール)で20時間、湿式混合及び粉砕を行うことで、混合粉末を得た。
【表4】

【0078】
(ii)成形工程
この混合粉末を用いて2t/cmの圧力で圧粉成形することで、直径20mm×厚さ2mmの大きさの多数の圧粉成形体を得た。
【0079】
(iii)焼成(熱処理)工程
ホットプレスを用いて、圧粉成形体を、酸素雰囲気下において500℃で2時間保持した後に、10MPaで加圧しながら750℃で12時間焼成した。その後、ホットプレスの圧力を維持しながら500℃まで10℃/hで降温し、500℃以下となったところで圧力を開放して焼成体を放冷した。
【0080】
(iv)解砕・分級工程
得られた焼成体を、アルミナ製の乳鉢にて解砕し、解砕後の粉末を開口径50μmのメッシュを通すことで、求める粒径の正極活物質粒子粉末を得た。得られた正極活物質粒子粉末の評価結果を表5に示す。
【表5】

【0081】
単結晶一次粒子の粒径は、焼成条件(焼成温度、昇温速度、保持温度、等)を適宜調整することで、任意に変更可能である。また、微粒子の含有割合や粒径も、焼成条件(焼成温度、昇温速度、降温速度、保持温度、圧力、等)、微粒子を構成する物質の添加量や粒径、種類等により、任意に変更可能である。
【0082】
その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。
【0083】
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した先行出願や各公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして適宜援用され得る。
【符号の説明】
【0084】
1…リチウム二次電池
2…電池ケース 3…セパレータ 4…電解質
5…負極 6…正極 7…正極集電体
8…正極活物質層 81…結着材 82…正極活物質粒子
821…単結晶一次粒子 821a…金属層 821b…リチウムイオン
821c…微粒子
MP…(003)面 TP…板面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】
【特許文献1】特開平9−22693号公報
【特許文献2】特開2003−59490号公報
【特許文献3】特開2003−168434号公報
【特許文献4】特開2006−127955号公報
【特許文献5】特開2010−80407号公報
【特許文献6】特開2010−210701号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物の単結晶一次粒子が複数集合してなる二次粒子であって、
前記単結晶一次粒子内に微粒子が分散されている
ことを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質粒子。
【請求項2】
請求項1に記載の、リチウム二次電池の正極活物質粒子であって、
前記二次粒子中に含まれる複数の前記単結晶一次粒子の全数に対して、特定の配向性を有する前記単結晶一次粒子の割合が、30%以上であることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質粒子。
【請求項3】
請求項2に記載の、リチウム二次電池の正極活物質粒子であって、
前記特定の配向性は、(003)面の配向性であることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質粒子。
【請求項4】
請求項3に記載の、リチウム二次電池の正極活物質粒子であって、
(003)面が面内配向していることを特徴とする、リチウム二次電池の正極活物質粒子。
【請求項5】
多数の正極活物質粒子を含む、正極と、
負極活物質を含む、負極と、
を備えた、リチウム二次電池であって、
前記正極活物質粒子は、
層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物の単結晶一次粒子が複数集合してなる二次粒子であって、
前記単結晶一次粒子内に微粒子が分散されていることを特徴とする、リチウム二次電池。
【請求項6】
請求項5に記載の、リチウム二次電池であって、
前記二次粒子中に含まれる複数の前記単結晶一次粒子の全数に対して、特定の配向性を有する前記単結晶一次粒子の割合が、30%以上であることを特徴とする、リチウム二次電池。
【請求項7】
請求項6に記載の、リチウム二次電池であって、
前記特定の配向性は、(003)面の配向性であることを特徴とする、リチウム二次電池。
【請求項8】
請求項7に記載の、リチウム二次電池であって、
(003)面が面内配向していることを特徴とする、リチウム二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−238495(P2012−238495A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107041(P2011−107041)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】