説明

リチウム二次電池用正極活物質前駆体、及びこれを利用したリチウム二次電池用正極活物質、及び正極活物質を含むリチウム二次電池

【課題】経済的で、安定性があり、高容量であると同時に向上した電気伝導度及び高率特性を有する正極活物質の前駆体、及び前記前駆体を利用した正極活物質及びこれを含むリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】下記化学式(1)で表示され、X線回折分析による(001)面のピーク高さ(I001)に対する(100)面のピーク高さ(I100)の強度比(I100/I001)が0.2以上、(001)面のピークの半値幅(W001)に対する(100)面のピークの半値幅(W100)の比(W100/W001)が2未満、(001)面のピーク面積(S001)に対する100面のピーク面積(S100)の比(S100/S001)が0.265以下である正極活物質前駆体。NiCoMn(OH)・・・(1)(Mは金属、0.45≦x≦0.65、0.15≦y≦0.25、0.15≦z≦0.35、0≦k≦0.1、x+y+z+k=1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池用正極活物質前駆体、及びこれを利用したリチウム二次電池用正極活物質、及び正極活物質を含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯用電子機器の小型化及び軽量化の傾向と関連して、これらの機器の電源として使用する電池の高性能化及び大容量化の必要性が高まっている。
【0003】
電池とは、正極と負極に電気化学反応が可能な物質を使用することによって電力を発生するものである。このような電池の代表的な例としては、正極及び負極にリチウムイオンが挿入/脱離する時の化学電位(chemical potential)の変化によって電気エネルギーを生成するリチウム二次電池がある。
【0004】
前記リチウム二次電池は、リチウムイオンの可逆的な挿入/脱離が可能な物質を正極活物質及び負極活物質として用いて、前記正極と負極との間に有機電解液またはポリマー電解液を充填して製造する。
【0005】
リチウム二次電池の正極活物質としてはリチウム複合金属化合物が使用されており、例えば、LiCoO、LiMn、LiNiO、LiNi1−xCo(0<x<1)、LiMnO等の複合金属酸化物が研究されている。
【0006】
前記正極活物質のうちLiMn、LiMnO等のMn系正極活物質は、合成が容易であり、値段が比較的低廉であり、過充電時に他の活物質に比べて熱的安定性が最も優れており、環境汚染が低いために魅力ある物質ではあるが、容量が少ないという短所を有している。
【0007】
LiCoOは優れた電気伝導度と約3.7V程度の高い電池電圧を有し、サイクル寿命特性、安定性、さらには放電容量も優れているため、現在商用化されて市販されている代表的な正極活物質である。しかし、LiCoOは値段が高くて電池価格の30%以上を占めるため、価格競争力が低下するという問題がある。
【0008】
また、LiNiOは上述した正極活物質のうち最も高い放電容量の電池特性を有しているが、合成が難いという短所がある。また、ニッケルの高い酸化状態は電池及び電極寿命低下の原因となり、自己放電が激しくて可逆性が落ちるという問題がある。その上、安定性確保が完全でないために商用化に困難がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の第1側面は、経済的であり、安定性があって、高容量であると同時に向上した電気伝導度及び高率特性を有する正極活物質を提供するための正極活物質前駆体を提供する。
【0010】
本発明の第2側面は、前記正極活物質前駆体を利用して製造した正極活物質及びこれを含むリチウム二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1側面によると、下記式1で表示されて、X線回折分析による(001)面のピークの高さ(I001)に対する(100)面のピークの高さ(I100)の強度比(I100/I001)が0.2以上であり、X線回折分析による(001)面のピークの半値幅(W001)に対する(100)面のピークの半値幅(W100)の比(W100/W001)が2未満であり、X線回折分析による(001)面のピークの面積(S001)に対する(100)面のピークの面積(S100)の比(S100/S001)が0.265以下であるリチウム二次電池用正極活物質前駆体が提供される。
【化1】

(前記化学式(1)において、Mは金属であり、0.45≦x≦0.65、0.15≦y≦0.25、0.15≦z≦0.35、0≦k≦0.1、x+y+z+k=1である。)
【0012】
前記正極活物質前駆体は、X線回折分析による(001)面のピークの高さ(I001)に対する(100)面のピークの高さ(I100)の強度比(I100/I001)が0.2〜0.6の範囲にあり、X線回折分析による(001)面のピークの半値幅(W001)に対する(100)面のピークの半値幅(W100)の比(W100/W001)が1未満または0.12〜0.8の範囲にあってもよく、X線回折分析による(001)面のピークの面積(S001)に対する(100)面のピークの面積(S100)の比(S100/S001)が0.235〜0.260の範囲にあってもよい。
【0013】
前記正極活物質前駆体は、X線回折分析による(001)面のピークに対する(002)面のピークまたは(101)面のピークの強度比(I(002、101)/I001)が0.4以上であり、X線回折分析による(001)面のピークの半値幅に対する(002)面のピークまたは(101)面のピークの半値幅の比(W(002、101)/W001)が2.5以下の範囲にあってもよい。
【0014】
前記正極活物質前駆体は、X線回折分析による(001)面のピークに対する(002)面のピークまたは(101)面のピークの強度比(I(002、101)/I001)が0.45〜0.6の範囲にあり、X線回折分析による(001)面のピークの半値幅に対する(002)面のピークまたは(101)面のピークの半値幅の比(W(002、101)/W001)が1〜2.3の範囲にあってもよい。
【0015】
X線回折分析による(001)面のピークの面積(S001)に対する(002)面のピークまたは(101)面のピークの面積(S(002、101))の比(S(002、101)/S001)が0.95以上であってもよい。X線回折分析による(001)面のピークの面積(S001)に対する(002)面のピークまたは(101)面のピークの面積(S(002、101))の比(S(002、101)/S001)が0.95〜1.072の範囲にあってもよい。
【0016】
前記正極活物質前駆体は単一相(single phase)であってもよい。
【0017】
前記式1において、x、y、z及びkは0.55≦x≦0.65、0.15≦y≦0.25、0.15≦z≦0.25、0≦k≦0.1、x+y+z+k=1の範囲にあってもよい。前記yとzは同一であってもよい。xは0.6、yとzは0.2であってもよい。
【0018】
前記金属はAl、Mg、Ti、Zrまたはこれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0019】
前記正極活物質前駆体は、2.2〜2.5g/cmのタップ密度(tap density)を有する。
【0020】
本発明の第2側面によると、前記正極活物質前駆体を利用して得られる正極活物質が提供される。
【0021】
前記正極活物質は下記化学式(2)で表示される化合物であってもよい。
【化2】

(前記化学式(2)において、Mは金属であり、0.9≦a≦1.2、0.45≦x≦0.65、0.15≦y≦0.25、0.15≦z≦0.35、0≦k≦0.1、x+y+z+k=1であり、a:(x+y+z+k)は0.9:1乃至1:1.2の範囲にある。)
【0022】
前記a:(x+y+z+k)は0.97:1乃至1:1.05の範囲にあってもよい。
【0023】
前記正極活物質のa軸格子定数は2.865Å以上であり、c軸格子定数は14.2069Å以上である。
【0024】
本発明の第3側面によると、正極、負極及び前記正極と負極との間に存在する電解質を含み、前記正極は前記正極活物質を含むリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、前記正極活物質前駆体は、経済的であり、安定性があって、高容量であると同時に向上した電気伝導度及び高率特性を有する正極活物質を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係るリチウム二次電池の概略図である。
【図2】実施例1に係る正極活物質前駆体のX線回折分析結果を示した図である。
【図3】比較例1に係る正極活物質前駆体のX線回折分析結果を示した図である。
【図4】比較例2に係る正極活物質前駆体のX線回折分析結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。但し、これは例示として提示され、これによって本発明が限定されることなく、本発明は後述する請求範囲の範疇によって定義される。
【0028】
本発明の第1実施形態によると、下記化学式(1)で表示され、X線回折分析による(001)面のピークの高さ(I001)に対する(100)面のピークの高さ(I100)の強度比(I100/I001)が0.2以上であり、X線回折分析による(001)面のピークの半値幅(W001)に対する(100)面のピークの半値幅(W100)の比(W100/W001)が2未満であり、X線回折分析による(001)面のピークの面積(S001)に対する(100)面のピークの面積(S100)の比(S100/S001)が0.265以下であるリチウム二次電池用正極活物質前駆体が提供される。
【化3】

(前記化学式(1)において、Mは金属であり、0.45≦x≦0.65、0.15≦y≦0.25、0.15≦z≦0.35、0≦k≦0.1、x+y+z+k=1である。)
【0029】
前記正極活物質前駆体は、X線回折分析による(001)面のピークに対する(100)面のピークの強度比(I100/I001)が0.2〜0.6の範囲にあり、X線回折分析による(001)面のピークの半値幅に対する(100)面のピークの半値幅の比(W100/W001)が1未満または0.12〜0.8の範囲にあってもよく、X線回折分析による(001)面のピークの面積(S001)に対する(100)面のピークの面積(S100)の比(S100/S001)が0.235〜0.260の範囲にあってもよい。
【0030】
前記範囲の(001)面のピークに対する(100)面のピーク強度比、半値幅の比及びピーク面積比を有する正極活物質前駆体は、非晶質相がほとんど観察されずに結晶性が優れており、初期効率、容量及び率特性(1C/0.1C)が優れた正極活物質を提供することができる。
【0031】
本発明において、X線回折分析は、正極活物質前駆体粉末サンプルに対して光源としてCuKα線(ray)を利用して15°〜90°の範囲の回折角(2θ)の範囲で、0.02°/stepのスキャン速度(scan rate)で行う。
【0032】
前記正極活物質前駆体は、X線回折分析による(001)面のピークに対する(002)面のピークまたは(101)面のピークの強度比(I(002、101)/I001)が0.4以上であり、X線回折分析による(001)面のピークの半値幅に対する(002)面のピークと(101)面のピークの半値幅の比(W(002、101)/W001)が2.5以下の範囲にあってもよい。(002)面と(101)面はピークの位置がほとんど重なって現れるため、W(002、101)は二つのピークのうちより大きいピークの面積を意味する。
【0033】
前記正極活物質前駆体は、X線回折分析による(001)面のピークに対する(002)面のピークまたは(101)面のピークの強度比(I(002、101)/I001)が0.45〜0.6の範囲にあり、X線回折分析による(001)面のピークの半値幅に対する(002)面のピークまたは(101)面のピークの半値幅の比(W(002、101)/W001)が1〜2.3の範囲にあってもよい。
【0034】
前記範囲の(001)面のピークに対する(002)面のピークまたは(101)面のピーク強度比、半値幅の比及びピーク面積比を有する正極活物質前駆体の配向性が優れている。
【0035】
このような正極活物質前駆体は、結晶性が高く、高い異方性(anisotropy)を有し、不純物相が存在せずに単一相(single phase)で存在する。
【0036】
前記化学式(1)において、x、y、z及びkは0.55≦x≦0.65、0.15≦y≦0.25、0.15≦z≦0.25、0≦k≦0.1、x+y+z+k=1の範囲にあってもよい。x:y:zは6:2:2であってもよい。x、y、z及びkが前記範囲にある場合、電池容量、電圧維持率、サイクル(cycle)特性などの電池特性を改善できる正極活物質を提供することができる。
【0037】
より具体的に、前記yとzは同一であってもよい。つまり、CoとMnのモル比は同一であってもよい。正極活物質前駆体がこのような組成を有する場合、電池の容量、寿命、安定性などを改善できる正極活物質を提供することができる。
【0038】
前記金属はAl、Mg、Ti、Zrまたはこれらの組み合わせから選択されてもよい。これらの金属はLi、Ni、Co及びMnの一部を置換して存在してもよく、リチウム二次電池の高率特性及び初期容量を増加できる正極活物質が提供される。
【0039】
前記正極活物質前駆体は2.2〜2.5g/cmのタップ密度(tap density)を有する。前記範囲のタップ密度を有する場合、電池の体積あたりの容量を増加できる。
以下、前記正極活物質前駆体の製造方法について説明する。
【0040】
まず、ニッケル塩、マンガン塩、コバルト塩及び金属塩と錯化剤(complexing agent)及びpH調節剤を反応器に水溶液状態で投入して反応させて、前記化学式(1)の正極活物質前駆体を製造する。
【0041】
前記ニッケル塩としては、硫酸ニッケル、水酸化ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、これらの水和物などを使用してもよく、前記マンガン塩としては、硫酸マンガン、酢酸マンガン、これらの水和物などを使用してもよく、前記Co塩としては、硫酸コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、これらの水和物などを使用してもよい。前記金属塩としては金属の種類に応じて塩を選択してもよく、例えば、アルミニウム塩としては硝酸アルミニウムまたは硫酸アルミニウムを使用してもよく、マグネシウム塩としては硝酸マグネシウムまたは硫酸マグネシウムを使用してもよい。
【0042】
この時、反応器の温度は35〜45℃の範囲を維持することが望ましく、反応時間は36時間以上であることが望ましい。前記範囲で反応条件を維持する場合に、均一な組成を有する正極活物質前駆体を得ることができる。
【0043】
反応器内のpHは11.2〜11.8で維持することが望ましい。前記範囲でpHを維持する場合に、正極活物質前駆体のX線回折分析によるピーク強度比を所望の範囲で調節することができる。
【0044】
前記錯化剤としてはアンモニア水、NHHCO等を使用してもよく、前記pH調節剤としてはNaOH、NaCO等を使用してもよい。
【0045】
また、ニッケル塩、マンガン塩、コバルト塩及び金属塩状で供給されるニッケル、マンガン、コバルト及び金属は1.5〜3Mの量で使用することが望ましい。ニッケル塩、マンガン塩、コバルト塩及び金属塩状で供給されるニッケル、マンガン、コバルト及び金属の合計量と錯化剤のモル比は1:0.5〜1.5の範囲であることが望ましい。これらの反応器内の反応物を600〜999rpmの速度で攪拌しながら反応させることが望ましく、600〜900rpmであることがさらに望ましい。前記得られた結果物を120℃で24時間以上乾燥して正極活物質前駆体を得る。
【0046】
本発明の第2実施形態によると、前記正極活物質前駆体を利用して製造した正極活物質が提供される。前記正極活物質前駆体とリチウム塩を混合した後、熱処理して正極活物質を製造する。
【0047】
前記リチウム塩としては、炭酸リチウム、硝酸リチウム、酢酸リチウム、水酸化リチウム、これらの水和物、酸化リチウムまたはこれらの混合物が使用されてもよいが、これらに制限されない。
【0048】
前記熱処理は800℃以上及び900℃未満の温度で行うことが望ましく、850〜890℃で行うことがさらに望ましい。前記熱処理は10時間以上行ってもよい。前記温度範囲は一般的な焼成温度範囲より低い範囲である。このような範囲で焼成すると、正極活物質前駆体の粒形を最適に調節しながら容量を極大化することができる。
【0049】
前記正極活物質は下記の化学式(2)で表示される化合物であってもよい。
【化4】

(前記化学式(2)において、Mは金属であり、0.9≦a≦1.2、0.45≦x≦0.65、0.15≦y≦0.25、0.15≦z≦0.35、0≦k≦0.1、x+y+z+k=1であり、a:(x+y+z+k)は0.9:1乃至1:1.2の範囲である。)
【0050】
前記a:(x+y+z+k)は0.97:1乃至1:1.05の範囲であってもよい。正極活物質がこのような組成を有する場合に、電池の容量、寿命、安定性などを改善できる。
【0051】
前記正極活物質のa軸格子定数は2.865Å以上であり、c軸格子定数は14.2069Å以上である。前記格子定数の範囲を満たす場合にイオンの移動が容易になるという長所がある。但し、前記a軸格子定数は2.9Åより大きくなることが難くて、前記c軸格子定数は14.25Åより大きくなることが難い。
【0052】
本発明の第3実施形態によると、正極、負極及び電解質を含むリチウム二次電池が提供される。前記正極は電流集電体及び前記電流集電体上に形成された正極活物質層を含み、前記正極活物質層は、前述した一つの実施形態に係る正極活物質を含む。前記正極活物質に関する説明は前述したとおりである。
【0053】
前記正極活物質層はさらにバインダー及び導電材を含んでもよい。
【0054】
前記バインダーは正極活物質粒子を互いによく付着させて、また正極活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たし、その代表的な例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化されたポリ塩化ビニル、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラバー、アクリレートスチレン−ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロンなどが挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0055】
前記導電材は電極に導電性を付与するために使用されるものであり、構成される電池において化学変化を起こさずに電子伝導性材料であればいずれのものを使用してもよく、その例としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質、銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質、ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー、またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用してもよい。
【0056】
前記電流集電体としてはAlを用いてもよいが、これに限定されるのではない。
【0057】
前記負極は集電体及び前記集電体上に形成された負極活物質層を含み、前記負極活物質層は負極活物質を含む。
【0058】
前記負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に挿入/脱離することができる物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムをドープ及び脱ドープすることができる物質、または遷移金属酸化物が含まれる。
【0059】
前記リチウムイオンを可逆的に挿入/脱離することができる物質は炭素物質であり、リチウムイオン二次電池において一般的に使用される炭素系負極活物質であればいずれのものを使用してもよく、その代表的な例としては、結晶質炭素、非晶質炭素、またはこれらを共に使用することができる。前記結晶質炭素の例としては、無定形、板状、鱗片状(flake)、球形または繊維状の天然黒鉛、または人造黒鉛のような黒鉛が挙げられ、前記非晶質炭素の例としては、ソフトカーボン(soft carbon)またはハードカーボン(hard carbon)、メソフェーズピッチ炭化物、焼成したコークスなどが挙げられる。
【0060】
前記リチウム金属の合金としては、リチウム、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、Al及びSnから構成された群より選択される金属の合金が用いられてもよい。
【0061】
前記リチウムをドープ及び脱ドープすることができる物質としては、Si、SiO(0<x<2)、Si−Y合金(前記Yはアルカリ金属、アルカリ土金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素、及びこれらの組み合わせから構成された群より選択される元素であり、Siではない)、Sn、SnO、Sn−Y(前記Yはアルカリ金属、アルカリ土金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素、及びこれらの組み合わせから構成された群より選択される元素であり、Snではない)などが挙げられ、またこれらの中の少なくとも一つとSiOを混合して使用してもよい。前記元素Yとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、及びこれらの組み合わせから構成された群より選択されてもよい。
【0062】
前記遷移金属酸化物としては、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などが挙げられる。
【0063】
前記負極活物質層はさらにバインダーを含み、選択的に導電材をさらに含んでもよい。
【0064】
前記バインダーは負極活物質粒子を互いによく付着させて、また負極活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たし、その代表的な例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化されたポリ塩化ビニル、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラバー、アクリレートスチレン−ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロンなどが挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0065】
前記導電材は電極に導電性を付与するために使用され、構成される電池において化学変化を起こさずに電子伝導性材料であればいずれも使用可能であり、その例としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質、銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質、ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー、またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用してもよい。
【0066】
前記集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステレンス鋼箔、チタン箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材、及びこれらの組み合わせから構成された群より選択されるものを使用してもよい。
【0067】
前記負極と正極は各々活物質、導電材及び結着剤を溶媒中で混合して活物質組成物を製造し、この組成物を集電体に塗布して製造する。このような電極製造方法は、当該分野に広く知られている内容であるため、本明細書では詳細な説明は省略する。前記溶媒としてはN−メチルピロリドンなどが使用されてもよいが、これに限定されるのではない。
【0068】
前記電解質は非水性有機溶媒とリチウム塩を含む。
【0069】
前記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できるよう媒質の役割を果たす。
【0070】
非水性有機溶媒としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、または非陽子性溶媒を使用してもよい。前記カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)等を用いてもよく、前記エステル系溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、ジメチルアセテート、メチルプロピオン酸塩、エチルプロピオン酸塩、γ−ブチロラクトン、デカノライド(decanolide)、バレロラクトン、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)、などを用いてもよい。前記エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどを用いてもよく、前記ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどを用いてもよい。また、前記アルコール系溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを用いてもよく、前記非陽子性溶媒としては、R−CN(Rは炭素数2〜20の直鎖状、分枝状、または環構造の炭化水素基であり、二重結合方向環またはエーテル結合を含んでもよい)等のトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3−ジオキソランなどのジオキソラン類、スルホラン(sulfolane)類などを用いてもよい。
【0071】
前記非水性有機溶媒は単独または一つ以上を混合して用いてもよく、一つ以上混合して使用する場合の混合比は目的とする電池性能により適切に調節してもよく、これは当業者には広く理解されることができる。
【0072】
また、前記カーボネート系溶媒の場合、環状(cyclic)カーボネートと鎖状(chain)カーボネートを混合して用いることが望ましい。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは1:1乃至1:9の体積比で混合して用いることが電解液の性能が優れる。
【0073】
本発明の非水性有機溶媒は前記カーボネート系溶媒に芳香族炭化水素系有機溶媒をさらに含んでもよい。この時、前記カーボネート系溶媒と芳香族炭化水素系有機溶媒は1:1乃至30:1の体積比で混合されてもよい。
【0074】
前記芳香族炭化水素系有機溶媒としては、下記化学式(3)の芳香族炭化水素系化合物が用いられる。
【化5】

(前記化学式(3)において、R〜Rは各々独立的に水素、ハロゲン、C1〜C10のアルキル基、C1〜C10のハロアルキル基、及びこれらの組み合わせから構成された群より選択される。)
【0075】
前記芳香族炭化水素系有機溶媒は、ベンゼン、フルオロベンゼン、1,2−ジフルオロベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジフルオロベンゼン、1,2,3−トリフルオロベンゼン、1,2,4−トリフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、ヨードベンゼン、1,2−ジヨードベンゼン、1,3−ジヨードベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1,2,3−トリヨードベンゼン、1,2,4−トリヨードベンゼン、トルエン、フルオロトルエン、1,2−ジフルオロトルエン、1,3−ジフルオロトルエン、1,4−ジフルオロトルエン、1,2,3−トリフルオロトルエン、1,2,4−トリフルオロトルエン、クロロトルエン、1,2−ジクロロトルエン、1,3−ジクロロトルエン、1,4−ジクロロトルエン、1,2,3−トリクロロトルエン、1,2,4−トリクロロトルエン、ヨードトルエン、1,2−ジヨードトルエン、1,3−ジヨードトルエン、1,4−ジヨードトルエン、1,2,3−トリヨードトルエン、1,2,4−トリヨードトルエン、キシレン、及びこれらの組み合わせから構成された群より選択される。
【0076】
前記非水性電解質は電池寿命を向上させるため、ビニレンカーボネートまたは下記化学式(4)のエチレンカーボネート系化合物をさらに含んでもよい。
【化6】

(前記化学式(4)において、R及びRは各々独立的に水素、ハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO)及びC1〜C5のフルオロアルキル基からなる群より選択され、前記RとRのうち少なくとも一つはハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO)及びC1〜C5のフルオロアルキル基からなる群より選択される。)
【0077】
前記エチレンカーボネート系化合物の代表的な例としては、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネート、またはフルオロエチレンカーボネートなどが挙げられる。このような寿命向上添加剤をさらに使用する場合に、その使用量は適切に調節してもよい。
【0078】
前記リチウム塩は有機溶媒に溶解して電池内でリチウムイオンの供給源として作用して、基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極との間のリチウムイオンの移動を促す役割を果たす物質である。このようなリチウム塩の代表的な例としては、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiCSO、LiClO、LiAlO、LiAlCl、LiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)(ここで、x及びyは自然数である)、LiCl、LiI及びLiB(C(リチウムビスオキサレートボラート(lithiumbis(oxalato)borate、LiBOB)からなる群より選択される一つまたは二つ以上を支持(supporting)電解塩として含む。リチウム塩の濃度は0.1〜2.0M範囲内で使うことが望ましい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれると、電解質が適切な電導度及び粘度を有するため、優れた電解質性能を有し、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0079】
リチウム二次電池の種類によって正極と負極との間にセパレータが存在してもよい。このようなセパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、またはこれらの2層以上の多層膜を用いてもよく、ポリエチレン/ポリプロピレンの2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレンの3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層セパレータなどの混合多層膜を用いてもよいことは勿論である。
【0080】
図1に本発明のリチウム二次電池の代表的な構造を概略的に示した。図1に示したように、前記リチウム二次電池1は、正極3、負極2及び前記正極3と負極2との間に存在するセパレータ4に含浸された電解液を含む電池容器5と、前記電池容器5を封入する封入部材6を含む。
【0081】
以下、本発明の実施例及び比較例を記載する。下記の実施例は本発明の一実施形態に過ぎず、本発明が下記実施例に限定されるのではない。
【実施例1】
【0082】
実施例1:正極活物質前駆体の製造
Ni:Co:Mnのモル比が6:2:2となるようにNiSO、CoSO及びMnSOを共沈反応器に供給し、アンモニア水溶液を(Ni+Co+Mn):アンモニアのモル比が1:1となるように供給し、6MのNaOHを供給して連続的に反応させる。
【0083】
共沈反応時のpHは11.2〜11.8で維持させ、反応時間は36時間であり、反応温度は40℃であり、共沈反応器の攪拌速度は600rpmであった。
【0084】
比較例1:正極活物質前駆体
Jinhe社のNi0.5Co0.2Mn0.3(OH)を使用する。
【0085】
比較例2:正極活物質前駆体
Tanaka社のニッケルコバルトマンガンヒドロキシド(商品名:KTH−NE)を使用する。
【0086】
前記実施例1、比較例1及び比較例2に係る正極活物質前駆体に対してX線回折分析を行い、その結果を各々図2乃至図4に示した。X線回折分析はX線回折光源としてCuKα線(ray)を利用し、15°〜90°の範囲の回折角(2θ)範囲で、0.02°/stepのスキャン速度(scan rate)で実施する。
前記X線回折分析結果を下記表1に記載する。
【表1】

【0087】
前記表1のように、比較例1と比較例2に係る正極活物質前駆体は、36〜37.5°(degree)において付加的な不純物相が多く存在するのに対して、実施例1に係る正極活物質前駆体は、単一相で結晶性が高く存在することが分かる。従って、本発明の一実施形態に係るピーク強度比、半値幅の比及びピーク面積比を有する正極活物質前駆体は、初期効率、容量及び率特性(1C/0.1C)が優れた正極活物質を提供することができる。
【実施例2】
【0088】
実施例2:正極活物質の製造
実施例1で得られた正極活物質前駆体を洗浄した後、120℃オーブンで乾燥する。乾燥された正極活物質前駆体にLi/金属(Ni+Co+Mn)比が1.03となるようにLiCOを入れて簡易混合器を利用して混合する。
【0089】
得られた混合物を2℃/分の速度で昇温させて、890℃の温度で10時間焼成した後、2℃/分の速度で冷却させて正極活物質を製造する。
【0090】
比較例3及び4:正極活物質の製造
比較例1及び2の正極活物質前駆体をLi/金属(Ni+Co+Mn)比が1.03になるようにLiCOを入れて簡易混合器を利用して混合する。得られた混合物を2℃/分の速度で昇温させて、890℃の温度で10時間焼成した後、2℃/分の速度で冷却させて正極活物質を製造する。
【実施例3】
【0091】
実施例3:電池の製造
実施例2の正極活物質、ポリフッ化ビニリデンバインダー及びカーボン導電材を96:2:2の重量比でN−メチルピロリドン溶媒で分散させて正極スラリーを製造した。前記正極スラリーを60μmの厚さでアルミ箔上にコーティングして薄い極板状として生成した後、135℃で3時間以上乾燥させた後に圧延して正極板を製造した。
【0092】
リチウム金属を対極として用いて前記正極板を正極として用いて、前記正極と対極の中間にポリエチレンセパレータを介在した後に電解液を注入してコインセル(half−cell)を製造した。前記電解液としては1.5MのLiPFが溶解されたエチレンカーボネート(EC)、エチレンメチルカーボネート(EMC)及びジメチルカーボネート(DMC)の混合溶媒(2:2:6の体積比)を使った。
【0093】
比較例5及び6:コインセル(half−cell)の製造
正極活物質として比較例3及び4の正極活物質を利用したことを除いては、実施例3と同様な方法でコインセルを製造する。
【0094】
本発明は前記の実施形態に限定されることなく、互いに異なる多様な形態で製造されることができ、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更せずに、他の具体的な形態で実施できることを理解できる。従って、以上で記述した多数の実施形態は全て例示的なものであり、限定的ではないことを理解しなければならない。
【符号の説明】
【0095】
1 二次電池
2 負極
3 正極
4 セパレータ
5 電池容器
6 封入部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(1)で表示されて、X線回折分析による(001)面のピークの高さ(I001)に対する(100)面のピークの高さ(I100)の強度比(I100/I001)が0.2以上であり、X線回折分析による(001)面のピークの半値幅(W001)に対する(100)面のピークの半値幅(W100)の比(W100/W001)が2未満であり、X線回折分析による(001)面のピークの面積(S001)に対する(100)面のピークの面積(S100)の比(S100/S001)が0.265以下であることを特徴とする、リチウム二次電池用正極活物質前駆体。
【化1】

(前記化学式(1)において、Mは金属であり、0.45≦x≦0.65、0.15≦y≦0.25、0.15≦z≦0.35、0≦k≦0.1、x+y+z+k=1である。)
【請求項2】
前記正極活物質前駆体は、X線回折分析による(001)面のピークの高さ(I001)に対する(100)面のピークの高さ(I100)の強度比(I100/I001)が1未満であり、X線回折分析による(001)面のピークの半値幅(W001)に対する(100)面のピークの半値幅(W100)の比(W100/W001)が0.12〜0.8の範囲にあり、X線回折分析による(001)面のピークの面積(S001)に対する(100)面のピークの面積(S100)の比(S100/S001)が0.235〜0.260の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質前駆体。
【請求項3】
前記正極活物質前駆体は、X線回折分析による(001)面のピークの高さ(I001)に対する(100)面のピークの高さ(I100)の強度比(I100/I001)が0.2〜0.6の範囲にあり、X線回折分析による(001)面のピークの半値幅(W001)に対する(100)面のピークの半値幅(W100)の比(W100/W001)が0.12〜0.8の範囲にあり、X線回折分析による(001)面のピークの面積(S001)に対する(100)面のピークの面積(S100)の比(S100/S001)が0.235〜0.260の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質前駆体。
【請求項4】
前記正極活物質前駆体は、X線回折分析による(001)面のピークに対する(002)面のピークまたは(101)面のピークの強度比(I(002、101)/I001)が0.4以上であり、X線回折分析による(001)面のピークの半値幅に対する(002)面のピークまたは(101)面のピークの半値幅の比(W(002、101)/W001)が2.5以下の範囲にあり、X線回折分析による(001)面のピークの面積(S001)に対する(002)面のピークまたは(101)面のピークの面積(S(002、101))の比(S(002、101)/S001)が0.95以上であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質前駆体。
【請求項5】
前記正極活物質前駆体は、X線回折分析による(001)面のピークに対する(002)面のピークまたは(101)面のピークの強度比(I(002、101)/I001)が0.45〜0.6の範囲にあり、X線回折分析による(001)面のピークの半値幅に対する(002)面のピークまたは(101)面のピークの半値幅の比(W(002、101)/W001)が1〜2.3の範囲にあり、X線回折分析による(001)面のピークの面積(S001)に対する(002)面のピークまたは(101)面のピークの面積(S(002、101))の比(S(002、101)/S001)が0.95〜1.072であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質前駆体。
【請求項6】
前記正極活物質前駆体は単一相であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質前駆体。
【請求項7】
前記化学式(1)において、x、y、z及びkは0.55≦x≦0.65、0.15≦y≦0.25、0.15≦z≦0.25、0≦k≦0.1、x+y+z+k=1の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質前駆体。
【請求項8】
前記化学式(1)において、yとzが同一であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質前駆体。
【請求項9】
前記化学式(1)において、xは0.6でありyとzは0.2であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質前駆体。
【請求項10】
前記金属はAl、Mg、Ti、Zr、またはこれらの組み合わせから選択されることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質前駆体。
【請求項11】
前記正極活物質前駆体は2.2〜2.5g/cmのタップ密度を有することを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質前駆体。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のうちのいずれか一項に記載の正極活物質前駆体から得られることを特徴とする正極活物質。
【請求項13】
前記正極活物質は下記化学式(2)で表示される化合物であることを特徴とする、請求項12に記載の正極活物質。
【化2】

(前記化学式(2)において、Mは金属であり、0.9≦a≦1.2、0.45≦x≦0.65、0.15≦y≦0.25、0.15≦z≦0.35、0≦k≦0.1、x+y+z+k=1であり、a:(x+y+z+k)は0.9:1乃至1:1.2の範囲にある。)
【請求項14】
前記a:(x+y+z+k)は0.97:1乃至1:1.05の範囲にあることを特徴とする、請求項12に記載の正極活物質。
【請求項15】
前記正極活物質のa軸格子定数は2.865Å以上であり、c軸格子定数は14.2069Å以上であることを特徴とする、請求項12に記載の正極活物質。
【請求項16】
正極、負極、及び前記正極と負極との間に存在する電解質を含み、
請求項1乃至請求項11のうちのいずれか一項に記載の正極活物質前駆体から得られる正極活物質を含むことを特徴とする、リチウム二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−4097(P2012−4097A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239965(P2010−239965)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】