説明

リチウム2次電池用負極活物質、負極の製造方法およびこれを含むリチウム2次電池

【課題】サイクル寿命特性に優れたリチウム2次電池用負極活物質、負極の製造方法、および前記負極を含むリチウム2次電池を提供する。
【解決手段】負極活物質は下記化学式1で表される負極活物質を含む。[化学式1]X−Ra−Rb。前記化学式1中、Xは、活物質から誘導された基であり、Raは、シランカップリング剤から誘導された残基であり、Rbは、下記化学式2aで表される第1繰り返し単位を含むポリマーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、リチウム2次電池用負極活物質、負極の製造方法およびこれを含むリチウム2次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯用小型電子機器の電源として脚光を浴びているリチウム2次電池は、有機電解液を使用して既存のアルカリ水溶液を使用した電池よりも2倍以上の高い放電電圧を示すことによって高いエネルギー密度を示す電池である。
【0003】
リチウム2次電池の正極活物質としては、LiCoO、LiMn、LiNi1−xCo(0<X<1)などのようにリチウムがインターカレーション可能な構造を有するリチウムと遷移金属からなる酸化物が主に使用される。
【0004】
負極活物質としては、リチウムのインターカレーション/デインターカレーションが可能な人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボンを含む多様な形態の炭素系材料が適用されている。このような黒鉛系負極活物質は、金属リチウムが析出されないため、デンドライトによる内部短絡が発生されず、これによる付加的な短所が発生しない。
【0005】
しかしながら、黒鉛系活物質は理論的なリチウム吸蔵能力が372mAh/gであって、リチウム金属理論容量の10%に該当する極めて小さい容量であるという限界を有する。したがって、高容量が要求されている最近は、2次電池初期に提案されたSiのような金属系負極活物質に対する研究が再び活発に行われている。
【0006】
金属系負極活物質は、容量は優秀であるが、充放電時に膨張および収縮が大きく発生することによってサイクル寿命特性が急激に劣化することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一実施形態は、サイクル寿命特性に優れたリチウム2次電池用負極活物質を提供することにその目的がある。
【0008】
本発明の他の一実施形態は、負極の製造方法を提供することにその目的がある。
【0009】
本発明のさらに他の実施形態は、前記負極を含むリチウム2次電池を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、下記化学式1で表されるリチウム2次電池用負極活物質を提供する。
【0011】
[化学式1]
X−Ra−Rb
【0012】
前記化学式1中、
Xは、金属を含む活物質から誘導された基であり、
Raは、シランカップリング剤から誘導された残基であり、
Rbは、下記化学式2aで表される第1繰り返し単位を含むポリマーである。
【0013】
【化1】

【0014】
前記化学式2a中、
10〜R13は、互いに同一または異なり、水素;または置換または非置換のC1〜C5のアルキル基であり、nは、1〜100000の整数であり、*は化学結合を意味する。この時、置換のC1〜C5のアルキル基は、一つ以上の水素がアミノ基、アクリル基、ビニル基、エポキシ基、またはフェニル基で置換されたものである。
【0015】
前記シランカップリング剤から誘導された残基であるRaは、下記化学式3で表されても良い。
【0016】
【化2】

【0017】
前記化学式3中、
、RおよびRは、互いに同一または異なり、水素;または置換または非置換のC1〜C5アルキル基であり、
は、COO、アミノ基、アクリル基、ビニル基、エポキシ基またはフェニル基であり、
は、置換または非置換のC1〜C5アルキル基であり、
Yは、シラン作用基である。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記ポリマーは、前記第1繰り返し単位と共に、下記化学式2bの第2繰り返し単位をさらに含むコポリマーであっても良い。
【0019】
【化3】

【0020】
前記化学式2b中、
20〜R22は、互いに同一または異なり、水素;または置換または非置換のC1〜C5のアルキル基である。この時、置換のC1〜C5のアルキル基は、一つ以上の水素がアミノ基、アクリル基、ビニル基、エポキシ基、またはフェニル基で置換されたものである。
【0021】
前記ポリマーが第2繰り返し単位をさらに含むコポリマーである場合、前記第1繰り返し単位および第2繰り返し単位のモル比は、0.9:0.1〜0.1:0.9であっても良い。
【0022】
本発明の他の一実施形態は、シランカップリング剤、溶媒および水を混合して加水分解生成物を製造し;前記加水分解生成物に金属を含む活物質を添加して縮合反応を招いて縮合反応生成物を製造し;前記縮合反応生成物に、モノマー、オリゴマーおよび開始剤を含むビヒクルを添加して混合物を製造し;前記混合物を電流集電体に塗布し;得られた電流集電体を重合反応させる工程を含むリチウム2次電池用負極の製造方法を提供する。
【0023】
前記金属を含む活物質は、Si、SiO(0<x<2)、Si−Q合金(前記Qは、アルカリ金属、アルカリ土金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Siではない)、Sn、SnO、Sn−R(前記Rは、アルカリ金属、アルカリ土金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Snではない)またはこれらの組み合わせであっても良い。
【0024】
前記シランカップリング剤は、アミノ基、アクリル基、ビニル基、エポキシ基、フェニル基またはこれらの組み合わせより選択される作用基を有するシラン系化合物であっても良い。
【0025】
前記シランカップリング剤の具体的な例としては、3−メトキシシリルプロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−エトキシシリルプロピルメタクリレート、3−メトキシシリルプロピルアクリレート、3−エトキシシリルプロピルアクリレート、3−メトキシシリルブチルメタクリレート、3−エトキシシリルブチルメタクリレート、3−メトキシシリルブチルアクリレート、3−エトキシシリルブチルアクリレート、3−メトキシシリルペンチルメタクリレート、3−エトキシシリルペンチルメタクリレート、3−メトキシシリルペンチルアクリレート、3−エトキシシリルペンチルアクリレート、3−メトキシシリルヘキシルメタクリレート、3−エトキシシリルヘキシルメタクリレート、3−メトキシシリルヘキシルアクリレート、3−エトキシシリルヘキシルアクリレート、3−メトキシシリルヘプチルメタクリレート、3−エトキシシリルヘプチルメタクリレート、3−メトキシシリルヘプチルアクリレート、3−エトキシシリルヘプチルアクリレート、3−メトキシシリルオクチルメタクリレート、3−エトキシシリルオクチルメタクリレート、3−メトキシシリルオクチルアクリレート、3−エトキシシリルオクチルアクリレート、3−メトキシシリルノニルメタクリレート、3−エトキシシリルノニルメタクリレート、3−メトキシシリルノニルアクリレート、または3−エトキシシリルノニルアクリレートまたはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0026】
前記モノマーおよび前記オリゴマーは、バインダーの役割を果たすものであり、モノマーおよびオリゴマーの具体的な例としては、一つ以上のアミノ基、アクリル基、ビニル基、エポキシ基またはフェニル基を含むモノマーおよびオリゴマーが挙げられる。
【0027】
前記活物質の添加量は、前記シランカップリング剤100重量部に対して3000重量部〜9000重量部であっても良い。
【0028】
同時に、バインダーであるモノマーとオリゴマーの混合比率は1:9〜9:1重量比であっても良い。
【0029】
前記重合反応は、光硬化または熱硬化工程で実施しても良い。
【0030】
本発明のさらに他の一実施形態は、前記負極活物質を含む負極、正極活物質を含む正極および非水電解質を含むリチウム2次電池を提供する。
【0031】
その他本発明の実施形態の具体的な事項は以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一実施形態によるリチウム2次電池用負極活物質は、優れたサイクル寿命特性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態によるリチウム2次電池の構造を概略的に示した図面である。
【図2】実施例2〜3および比較例1により製造された負極を利用した半電池のサイクル寿命特性を示したグラフである。
【図3】本発明の一実施形態による負極の製造工程を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、これにより本発明が制限されず、本発明は後述する特許請求の範囲の範疇により定義されるだけである。
【0035】
本発明の一実施形態は、下記化学式1で表されるリチウム2次電池用負極活物質を提供する。
【0036】
[化学式1]
X−Ra−Rb
前記化学式1中、
Xは、金属を含む活物質であり、
Raは、シランカップリング剤から誘導された残基であり、
Rbは、下記化学式2aで表される第1繰り返し単位を含むポリマーである。
【0037】
【化4】

【0038】
前記化学式2a中、
10〜R13は、互いに同一または異なり、水素;または置換または非置換のC1〜C5のアルキル基であり、nは、1〜100000の整数であり、*は化学結合を意味する。この時、置換のC1〜C5のアルキル基は、一つ以上の水素がアミノ基、アクリル基、ビニル基、エポキシ基、またはフェニル基で置換されたものである。
前記シランカップリング剤から誘導された残基であるRaは、下記化学式3で表されても良い。
【0039】
【化5】

【0040】
前記化学式3中、
、RおよびRは、互いに同一または異なり、水素;または置換または非置換のC1〜C5アルキル基であり、
は、COO、アミノ基、アクリル基、ビニル基、エポキシ基またはフェニル基であり、
は、置換または非置換のC1〜C5アルキル基であり、
Yは、シラン作用基である。
本発明の一実施形態において、前記ポリマーは前記化学式2aの第1繰り返し単位と共に、下記化学式2bの第2繰り返し単位をさらに含むコポリマーであっても良い。
【0041】
【化6】

【0042】
前記化学式2b中、
20〜R22は、互いに同一または異なり、水素または置換または非置換のC1〜C5のアルキル基である。この時、置換のC1〜C5のアルキル基は、一つ以上の水素がアミノ基、アクリル基、ビニル基、エポキシ基、またはフェニル基で置換されたものである。
【0043】
前記ポリマーが第2繰り返し単位をさらに含むコポリマーである場合、前記第1繰り返し単位および第2繰り返し単位のモル比は、0.9:0.1〜0.1:0.9であっても良い。第1繰り返し単位および第2繰り返し単位のモル比が前記範囲に含まれる場合にはバインダーと活物質間のネットワークがより活発に行われ得、サイクル寿命を向上させながら、極板結着力は良好に維持することができる。
【0044】
前記ポリマーが第2繰り返し単位をさらに含むコポリマーである場合、コポリマーの重量平均分子量(Mw)は5,000〜4,000,000であっても良い。
【0045】
本発明の一実施形態において、前記化学式2aで表される第1繰り返し単位、または第1繰り返し単位と前記化学式2bで表される第2繰り返し単位を含むポリマーは、負極製造工程で使用されるモノマーおよびオリゴマーが重合されて得られるものである。
【0046】
前記モノマーおよび前記オリゴマーは、一つ以上のアミノ基、アクリル基、ビニル基、エポキシ基またはフェニル基を含むモノマーおよびオリゴマーであっても良い。
【0047】
特にこれらに制限されるのではないが、モノマーは、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ビスフェノールエトキシレートジアクリレート、エトキシレートフェノールモノアクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレート、トリエチルプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレンオキシド付加型トリエチルプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エトキシレイテッドペンタエリスリトールテトラアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、エトキシレイテッドビスフェノールAジアクリレートおよびこれらの混合物からなる群より選択されても良い。
【0048】
また、前記オリゴマーは、ウレタンアクリレートオリゴマーまたはエポキシアクリレートオリゴマーを使用しても良い。
【0049】
本明細書の活物質は金属系活物質であり、この金属系活物質で、金属とは、熱や電気を良好に伝導する特性を有し、代表的な例としてアルカリ金属のように一般的な金属以外に半導体性質を有するSiなどのセミメタル(semi−metal)を全て含む。
【0050】
前記活物質は、Si、SiO(0<x<2)、Si−Q合金(前記Qは、アルカリ金属、アルカリ土金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Siではない)、Sn、SnO、Sn−R(前記Rは、アルカリ金属、アルカリ土金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Snではない)またはこれらの組み合わせであっても良い。前記元素QおよびRとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用しても良い。
【0051】
本発明の一実施形態による負極活物質を含む負極は、前記負極活物質を含む負極活物質層と電流集電体を含む。前記負極活物質層は、前記化学式1で表される負極活物質のみで構成されたものであり、別途の導電剤およびバインダーを含まない。
【0052】
前記電流集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステレンス鋼箔、チタニウム箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材、またはこれらの組み合わせを使用しても良い。
【0053】
本発明の他の一実施形態は、シランカップリング剤、溶媒および水を混合して加水分解生成物を製造し;前記加水分解生成物に活物質を添加して縮合反応を招いて縮合反応生成物を製造し;前記縮合反応生成物に、モノマー、オリゴマーおよび開始剤を含むビヒクルを添加して混合物を製造し;前記混合物を電流集電体に塗布し;得られた電流集電体を重合反応させる工程を含むリチウム2次電池用負極の製造方法を提供する。以下、各工程について図3を参照して詳細に説明する。
【0054】
まず、シランカップリング剤、溶媒および水を混合して加水分解生成物を製造する。
【0055】
前記シランカップリング剤と溶媒の混合比は、1:50〜100重量比であっても良い。
【0056】
前記溶媒としては、極性溶媒は如何なるものでも使用可能であり、その例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ベンジルアルコールまたはこれらが組み合わせを使用しても良いが、これに限定されない。
【0057】
水は加水分解反応のために使用するものであり、シランカップリング剤を加水分解させ、OH基を有するシラン作用基を形成させる役割を果たす。この時、水の使用量はシランカップリング剤を十分に加水分解させるだけ使用しなければならず、例えばシランカップリング剤1モル当り水を最小3モル使用しても良い。水の使用量がシランカップリング剤1モル当り3モル以上であれば十分であるため、最大値をあえて限定する必要はない。
【0058】
前記シランカップリング剤としては、アミノ基、アクリル基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、クロロ基、フェニル基またはこれらの組み合わせより選択される作用基を有するシラン系化合物であっても良い。
【0059】
前記シランカップリング剤の具体的な例としては、3−メトキシシリルプロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−エトキシシリルプロピルメタクリレート、3−メトキシシリルプロピルアクリレート、3−エトキシシリルプロピルアクリレート、3−メトキシシリルブチルメタクリレート、3−エトキシシリルブチルメタクリレート、3−メトキシシリルブチルアクリレート、3−エトキシシリルブチルアクリレート、3−メトキシシリルペンチルメタクリレート、3−エトキシシリルペンチルメタクリレート、3−メトキシシリルペンチルアクリレート、3−エトキシシリルペンチルアクリレート、3−メトキシシリルヘキシルメタクリレート、3−エトキシシリルヘキシルメタクリレート、3−メトキシシリルヘキシルアクリレート、3−エトキシシリルヘキシルアクリレート、3−メトキシシリルヘプチルメタクリレート、3−エトキシシリルヘプチルメタクリレート、3−メトキシシリルヘプチルアクリレート、3−エトキシシリルヘプチルアクリレート、3−メトキシシリルオクチルメタクリレート、3−エトキシシリルオクチルメタクリレート、3−メトキシシリルオクチルアクリレート、3−エトキシシリルオクチルアクリレート、3−メトキシシリルノニルメタクリレート、3−エトキシシリルノニルメタクリレート、3−メトキシシリルノニルアクリレート、または3−エトキシシリルノニルアクリレートなどが挙げられる。
【0060】
次に、得られた加水分解生成物に活物質を添加する。
【0061】
前記活物質の添加量は、使用されたシランカップリング剤100重量部に対して3000〜9000重量部であっても良い。活物質の添加量が前記範囲に含まれる場合、活物質とシランカップリング剤の適正な結合を通じて結着力が向上し、寿命特性に優れた長所を有することができる。
【0062】
前記活物質としては、前記シランカップリング剤と縮合反応を通じて結合可能な活物質は如何なるものでも使用可能である。活物質の具体的な例としては、Si、SiO(0<x<2)、Si−Q合金(前記Qは、アルカリ金属、アルカリ土金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Siではない)、Sn、SnO、Sn−R(前記Rは、アルカリ金属、アルカリ土金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Snではない)またはこれらの組み合わせであっても良い。前記元素QおよびRとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ti、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用しても良い。
【0063】
このような活物質は使用時に空気中の酸素と結合して表面にOH基が存在する状態で使用される。そこで、表面に存在するOH基とシランカップリング剤の加水分解生成物が縮合反応が招かれる。
【0064】
前記縮合反応は使用される溶媒の沸点以下の温度で実施すれば良く、例えば、常温〜100℃で実施しても良い。縮合反応時間は最大12時間実施すれば良く、特別に限定する必要はない。
【0065】
得られた縮合生成物にビヒクルを添加する。
【0066】
前記ビヒクルは、モノマー、オリゴマーおよび開始剤を混合して製造する。この時、前記モノマーとオリゴマーの混合比率は、9:1〜1:9重量比であっても良い。モノマーとオリゴマーの混合比率が前記範囲に含まれる場合、極板の柔軟性をより良好に維持することができる。
【0067】
また、前記開始剤は、前記モノマーおよびオリゴマー混合重量100重量部に対して0.1〜10重量部で使用しても良い。
【0068】
前記モノマーおよび前記オリゴマーは、一つ以上のアミノ基、アクリル基、ビニル基、エポキシ基またはフェニル基を含むモノマーおよびオリゴマーであっても良い。
【0069】
特にこれらにより制限されないが、モノマーは、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ビスフェノールエトキシレートジアクリレート、エトキシレートフェノールモノアクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレート、トリエチルプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エチレンオキシド付加型トリエチルプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エトキシレイテッドペンタエリスリトールテトラアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、エトキシレイテッドビスフェノールAジアクリレートおよびこれらの混合物からなる群より選択される。
【0070】
また、前記オリゴマーは、ウレタンアクリレートオリゴマーまたはエポキシアクリレートオリゴマーを使用しても良い。
【0071】
最終コーティング剤の物性を向上させるための添加剤が追加的に添加されても良く、その添加量はコーティング剤の物性を変化させない範囲内で添加しても良い。添加剤の種類としては、熱安定剤、相溶化剤、無機物添加剤、界面活性剤、可塑剤、脱泡剤、混和剤、安定剤、滑剤、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0072】
前記開始剤としては、熱硬化開始剤または光硬化開始剤を使用しても良い。
【0073】
前記熱硬化開始剤の例としては、ジ−t−ブチルペルオキシドのようなペルオキシド系、ペルスルフェート系、アゾ系、アルキル銀系(silver alkyls)が挙げられる。
【0074】
前記光硬化開始剤の具体的な例としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン、2,4−ビストリクロロメチル−6−p−メトキシスチル−s−トリアジン、2−p−メトキシスチル−4,6−ビストリクロロメチル−s−トリアジン、4−トリクロロメチル−6−トリアジン、4−トリクロロメチル−4−メチルナフチル−6−トリアジン、ベンゾフェノン、p−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,2−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、2,2'−ジエトキシアセトフェノン、2,2'−ジブトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルトリクロロアセトフェノン、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2−メチルチオキサントン、2−イソブチルチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2'−ビス−2−クロロフェニル−4,5,4',5'−テトラフェニル−2'−1,2'−ビイミダゾール化合物またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0075】
前記縮合生成物とビヒクルの混合比率は、1:9〜1:3重量比であっても良い。
【0076】
次に、前記混合物を電流集電体に塗布してコーティング層を形成する。この塗布工程は一般的なコーティング工程であれば如何なる工程で実施しても関係ない。
【0077】
前記コーティング層が形成された電流集電体を重合反応させる。この重合反応は光硬化または熱硬化工程で実施しても良い。重合反応を光硬化工程で実施する場合には、コーティング層が形成された電流集電体に光源を照射することで実施しても良い。この時、使用される光源としては、UV、電子線またはX線を使用しても良い。その代表的な例としては、200nm〜400nm領域のUVを使用しても良く、照射時間は数秒〜数十分であって特別に限定する必要はない。
【0078】
重合反応を熱硬化工程で実施する場合には、コーティング層が形成された電流集電体を100℃〜200℃で0.1時間〜2時間維持して実施しても良い。
【0079】
前記工程により、前記化学式1で表される負極活物質を含む負極活物質層が電流集電体に形成される。また、モノマーを1種使用すれば、前記化学式2aで表される第1繰り返し単位のみを含むポリマーで構成された負極活物質層が電流集電体に形成され得、モノマーを2種以上使用する場合には前記化学式2aで表される第1繰り返し単位以外に、前記化学式2bで表される第2繰り返し単位を有するポリマーで構成された負極活物質層が電流集電体に形成され得る。
【0080】
前記重合反応を実施した後、80℃〜140℃で2時間〜4時間熱処理して極板の水分を除去する工程をさらに実施しても良い。この熱処理工程は真空雰囲気下で実施しても良い。
【0081】
本発明のさらに他の一実施形態は、リチウム2次電池に関する。
【0082】
リチウム2次電池は、使用するセパレータと電解質の種類に応じてリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池およびリチウムポリマー電池に分類され、形態に応じて円筒型、角型、コイン型、パウチ型などに分類され、サイズに応じてバルクタイプと薄膜タイプに分類されても良い。これら電池の構造と製造方法はこの分野に広く知られているため、詳細な説明は省略する。
【0083】
本発明のさらに他の実施形態によるリチウム2次電池は、本発明の一実施形態による負極、正極活物質を含む正極および非水電解質を含む。
【0084】
前記正極は電流集電体およびこの電流集電体に形成される正極活物質層を含む。前記正極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物(リチエイテッドインターカレーション化合物)を使用しても良い。具体的には、コバルト、マンガン、ニッケル、およびこれらの組み合わせより選択される金属とリチウムとの複合酸化物中の1種以上のものを使用しても良い。正極活物質のより具体的な例としては、下記化学式のうちのいずれか一つで表される化合物を使用しても良い。Li1−b(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5);Li1−b2−c(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);Li2−b4−c(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05);LiNi1−b−cCoα(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0≦α≦2);LiNi1−b−cCo2−αα(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0≦α<2);LiNi1−b−cCo2−α(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0≦α<2);LiNi1−b−cMnα(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0≦α≦2);LiNi1−b−cMn2−αα(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0≦α<2);LiNi1−b−cMn2−α(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0≦α<2);LiNi(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1);LiNiCoMn(0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0.001≦e≦0.1);LiNiG(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);LiCoG(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);LiMnG(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);LiMn(0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1);QO;QS;LiQS;V;LiV;LiZO;LiNiVO;Li(3−f)(PO(0≦f≦2);Li(3−f)Fe(PO(0≦f≦2);LiFePO
【0085】
前記化学式において、Aは、Ni、Co、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Xは、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Dは、O、F、S、P、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Eは、Co、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Tは、F、S、P、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Qは、Ti、Mo、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Zは、Cr、V、Fe、Sc、Y、およびこれらの組み合わせからなる群より選択され;Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0086】
もちろん、この化合物表面にコーティング層を有するのを使用しても良く、または前記化合物とコーティング層を有する化合物を混合して使用しても良い。このコーティング層は、コーティング元素のオキシド、コーティング元素のヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネートおよびコーティング元素のヒドロキシカーボネートからなる群より選択される少なくとも一つのコーティング元素化合物を含んでも良い。これらコーティング層をなす化合物は、非晶質または結晶質であっても良い。前記コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zrまたはこれらの混合物を使用しても良い。コーティング層形成工程は、前記化合物にこのような元素を使用して正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えばスプレーコーティング、浸漬法)でコーティングすることができれば如何なるコーティング方法を用いても良く、これについては当該分野に務める者によく理解され得る内容であるため、詳しい説明は省略する。
【0087】
前記正極活物質層で前記正極活物質の含量は、正極活物質層全体重量に対して90重量%〜98重量%であっても良い。
【0088】
前記正極活物質層はまたバインダーおよび導電剤を含む。この時、前記バインダーおよび導電剤の含量は正極活物質層全体重量に対してそれぞれ1重量%〜5重量%であっても良い。
【0089】
前記バインダーは、正極活物質粒子を互いに良好に付着させ、また正極活物質を電流集電体に良好に付着させる役割を果たす。バインダーの代表的な例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化されたポリ塩化ビニル、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンラバー、アクリレイテッドスチレン−ブタジエンラバー、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用しても良いが、これに限定されない。
【0090】
前記導電剤は、電極に導電性を付与するために使用されるものであり、構成される電池において、化学変化を招かない電子伝導性材料であれば如何なるものでも使用可能である。導電剤の代表的な例としては、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末、金属繊維などを使用しても良く、また、ポリフェニレン誘導体などの導電性材料を1種または1種以上を混合して使用しても良い。
【0091】
前記電流集電体としては、アルミニウム箔を使用しても良いが、これに限定されない。
【0092】
前記正極は、活物質、導電剤およびバインダーを溶媒中で混合して活物質組成物を製造し、この組成物を電流集電体に塗布して製造する。このような電極製造方法は当該分野に広く知られた内容であるため、本明細書で詳細な説明は省略する。前記溶媒としては、N−メチルピロリドンなどを使用しても良いが、これに限定されない。
【0093】
前記非水電解質は、非水性有機溶媒とリチウム塩を含む。
【0094】
前記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動することができる媒質の役割を果たす。
【0095】
非水性有機溶媒としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、または非陽子性溶媒を使用しても良い。前記カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などが使用されても良く、前記エステル系溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、ジメチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、γ−ブチロラクトン、デカノライド(decanolide)、バレロラクトン、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などが使用されても良い。前記エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどが使用されても良く、前記ケトン系溶媒としては、シクロヘキサノンなどが使用されても良い。また前記アルコール系溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどが使用されても良く、前記非陽子性溶媒としては、R−CN(Rは、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状、または環構造の炭化水素基であり、二重結合方向環またはエーテル結合を含んでも良い)などのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3−ジオキソランなどのジオキソラン類、スルホラン(sulfolane)類などが使用されても良い。
【0096】
前記非水性有機溶媒は、単独または一つ以上混合して使用されても良く、一つ以上混合して使用する場合の混合比率は、目的とする電池性能に応じて適切に調節することができ、これは当該分野に務める者には幅広く理解されるだろう。
【0097】
また、前記カーボネート系溶媒の場合、環状(cyclic)カーボネートと鎖状(chain)カーボネートを混合して使用することが良い。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは1:1〜1:9の体積比で混合して使用することで電解液の性能が優秀に現れる。
【0098】
本発明の非水性有機溶媒は、前記カーボネート系溶媒に芳香族炭化水素系有機溶媒をさらに含んでも良い。この時、前記カーボネート系溶媒と芳香族炭化水素系有機溶媒は、1:1〜30:1の体積比で混合されても良い。
【0099】
前記芳香族炭化水素系有機溶媒としては、下記化学式4の芳香族炭化水素系化合物が使用されても良い。
【0100】
【化7】

(前記化学式4中、
31〜R36は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロアルキル基およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである。)
【0101】
前記芳香族炭化水素系有機溶媒の具体的な例としては、ベンゼン、フルオロベンゼン、1,2−ジフルオロベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジフルオロベンゼン、1,2,3−トリフルオロベンゼン、1,2,4−トリフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、ヨードベンゼン、1,2−ジヨードベンゼン、1,3−ジヨードベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1,2,3−トリヨードベンゼン、1,2,4−トリヨードベンゼン、トルエン、フルオロトルエン、2,3−ジフルオロトルエン、2,4−ジフルオロトルエン、2,5−ジフルオロトルエン、2,3,4−トリフルオロトルエン、2,3,5−トリフルオロトルエン、クロロトルエン、2,3−ジクロロトルエン、2,4−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロトルエン、2,3,4−トリクロロトルエン、2,3,5−トリクロロトルエン、ヨードトルエン、2,3−ジヨードトルエン、2,4−ジヨードトルエン、2,5−ジヨードトルエン、2,3,4−トリヨードトルエン、2,3,5−トリヨードトルエン、キシレン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである。
【0102】
前記非水性電解質は、電池寿命を向上させるためにビニレンカーボネートまたは下記化学式5のエチレンカーボネート系化合物をさらに含んでも良い。
【0103】
【化8】

(前記化学式5中、
37およびR38は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO)およびフッ素化された炭素数1〜5のアルキル基からなる群より選択され、前記R37とR38のうちの少なくとも一つは、ハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO)およびフッ素化された炭素数1〜5のアルキル基からなる群より選択されるが、ただし、R37とR38がすべて水素であるのではない。)
【0104】
前記エチレンカーボネート系化合物の代表的な例としては、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネートまたはフルオロエチレンカーボネートなどが挙げられる。このような寿命向上添加剤をさらに使用する場合、その使用量は適切に調節しても良い。
【0105】
前記リチウム塩は有機溶媒に溶解され、電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム2次電池の作動を可能にし、正極と負極の間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。このようなリチウム塩の代表的な例としては、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiN(SO、Li(CFSON、LiN(SO、LiCSO、LiClO、LiAlO、LiAlCl、LiN(C2x+1SO)(CF2y+1SO)(ここで、xおよびyは、自然数である)、LiCl、LiIおよびLiB(C(リチウムビスオキサラトボレート(lithium bis(oxalato) borate;LiBOB)からなる群より選択される一つまたは二つ以上を支持(supporting)電解塩として含む。リチウム塩の濃度は0.1〜2.0Mの範囲内で使用することが良い。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれれば、電解質が適切な電導度および粘度を有するため、優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0106】
図1に本発明の実施形態によるリチウム2次電池の代表的な構造を概略的に示した。図1に示したように、前記リチウム2次電池1は、正極3、負極2および前記正極3と負極2の間に存在するセパレータ4に含浸された電解液を含む電池容器5と、前記電池容器5を封入する封入部材6を含む。
【0107】
リチウム2次電池の種類に応じて正極と負極の間にセパレータが存在しても良い。このようなセパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデンまたはこれらの2層以上の多層膜が使用しても良く、ポリエチレン/ポリプロピレンの2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレンの3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層セパレータなどのような混合多層膜が使用されても良いことはもちろんである。
【実施例】
【0108】
以下、本発明の好適な実施例および比較例を記載する。しかしながら、下記の実施には本発明の好適な一実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されない。
【0109】
〔実施例1〕
下記化学式6の3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートシランカップリング剤をイソプロピルアルコールおよび水と混合した。この時、シランカップリング剤とイソプロピルアルコールの混合比は1:100重量比で使用し、シランカップリング剤と水のモル比は1:4モル比とした。
【0110】
【化9】

【0111】
この工程により下記反応式1のようにシランカップリング剤が加水分解された。
【0112】
【化10】

【0113】
前記加水分解生成物にSiO(x=0.3)活物質を添加し、これを60℃で6時間維持した。前記活物質の添加量は、前記シランカップリング剤100重量部に対して9000重量部とした。これによって、下記反応式2のように縮合反応が起こって縮合反応生成物が得られた。つまり、SiO(x=0.3)活物質の表面に自然に存在する「−OH基」と、シランの「H基」が縮合反応を通じて水が除去されながら、結合が誘導された。
【0114】
下記反応式2中、
活物質−シラン結合物は、代表的に一部を表現したものであり、「*−O−」部分は末端がメチル基でなく酸素と活物質などが結合された状態を示す。
【0115】
【化11】

【0116】
下記化学式7のトリメチロールプロパントリアクリレートモノマー、ウレタンアクリレートオリゴマーおよび、ジ−t−ブチルペルオキシド開始剤を混合してビヒクルを製造した。
【0117】
【化12】

【0118】
次に、得られた縮合生成物と前記ビヒクルを1:9重量%比率で混合した。
【0119】
得られた混合物において前記シランカップリング剤、イソプロピルアルコール、モノマー、オリゴマーおよび活物質の含量を下記表1に示した。また、開始剤の使用量は、モノマーおよびオリゴマー全体100重量部に対して3重量部になるように使用した。
【0120】
前記混合物をAl電流集電体に塗布してコーティング層を製造した。
【0121】
前記コーティング層が形成されたAl電流集電体を200℃で1時間熱硬化させた。前記熱硬化工程により重合反応が起こり、モノマーとオリゴマーが活物質に結合されたシランカップリング剤が互いに反応し、モノマーとオリゴマーが互いに架橋されてポリマーが形成された。次に、熱処理されたAl電流集電体を80℃で真空雰囲気下で3時間熱処理して極板の水分を除去した。
【0122】
結果的に、モノマーとオリゴマーが重合されて形成されたポリマーがSiO(x=0.3)活物質にシランカップリング剤を媒介として結合された負極活物質を含む負極活物質層がAl電流集電体に形成された負極が製造された。
【0123】
〔実施例2〕
縮合生成物と前記ビヒクルを混合した混合物において前記シランカップリング剤、イソプロピルアルコール、モノマー、オリゴマーおよび活物質の含量を下記表1に示したように変更したことを除いては、前記実施例1と同一に実施した。開始剤の使用量はモノマーおよびオリゴマー全体100重量部に対して3重量部になるように使用した。
【0124】
〔実施例3〕
縮合生成物と前記ビヒクルを混合した混合物において前記シランカップリング剤、イソプロピルアルコール、モノマー、オリゴマーおよび活物質の含量を下記表1に示した。また、開始剤の使用量はモノマーおよびオリゴマー全体100重量部に対して3重量部になるように使用した。
【0125】
〔比較例1〕
縮合生成物と前記ビヒクルを混合した混合物において前記シランカップリング剤、イソプロピルアルコール、モノマー、オリゴマーおよび活物質の含量を下記表1に示したように変更したことを除いては、前記実施例1と同一に実施した。また、開始剤の使用量はモノマー、オリゴマー、シランカップリング剤、活物質および溶媒全体100重量部に対して3重量部になるように使用した。
【0126】
【表1】

【0127】
前記実施例1〜3および比較例1により製造された負極、対極としてリチウム金属および1MのLiPFが溶解されたエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート、フルオロエチレンカーボネートの混合溶媒(5:55:40体積比)電解液を使用してコイン型の半電池を製造した。
【0128】
前記半電池を0.5Cで定電流/定電圧充電および0.5Cで定電流放電条件で、50回充放電を実施し、放電容量を測定した。
【0129】
その結果のうち、実施例2および3と比較例1の放電容量維持率(サイクル寿命特性)を図2に示した。図2に示したように、実施例2〜3の容量維持率が比較例1よりも優れていることが分かる。
【0130】
以上で本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0131】
1 リチウム2次電池
2 負極
3 正極
4 セパレータ
5 電池容器
6 封入部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される、リチウム2次電池用負極活物質。
[化学式1]
X−Ra−Rb
(前記化学式1中、
Xは、活物質から誘導された基であり、
Raは、シランカップリング剤から誘導された残基であり、
Rbは、下記化学式2aで表される第1繰り返し単位を含むポリマーである。
【化1】

前記化学式2a中、
10〜R13は、互いに同一または異なり、水素または置換または非置換のC1〜C5のアルキル基であり、nは、1〜100000の整数であり、*は化学結合を意味する。)
【請求項2】
前記置換のC1〜C5のアルキル基は、一つ以上の水素がアミノ基、アクリル基、ビニル基、エポキシ基、またはフェニル基で置換されたものである、請求項1に記載のリチウム2次電池用負極活物質。
【請求項3】
前記シランカップリング剤から誘導された残基であるRaは、下記化学式3で表されるものである、請求項1に記載のリチウム2次電池用負極活物質。
【化2】

(前記化学式3中、
、RおよびRは、互いに同一または異なり、水素または置換または非置換のC1〜C5アルキル基であり、
は、COO、アミノ基、アクリル基、ビニル基、エポキシ基またはフェニル基であり、
は、互いに同一または異なり、置換または非置換のC1〜C5アルキル基であり、
Yは、シラン作用基である。)
【請求項4】
前記ポリマーは、下記化学式2bの第2繰り返し単位をさらに含むコポリマーである、請求項1に記載のリチウム2次電池用負極活物質。
【化3】

(前記化学式2b中、
20〜R22は、互いに同一または異なり、水素または置換または非置換のC1〜C5のアルキル基である。)
【請求項5】
前記第1繰り返し単位および第2繰り返し単位のモル比は、0.9:0.1〜0.1:0.9である、請求項4に記載のリチウム2次電池用負極活物質。
【請求項6】
前記活物質は、Si、SiO(0<x<2)、Si−Q合金(前記Qは、アルカリ金属、アルカリ土金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Siではない)、Sn、SnO、Sn−R(前記Rは、アルカリ金属、アルカリ土金属、13族元素、14族元素、15族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Snではない)またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載のリチウム2次電池用負極活物質。
【請求項7】
シランカップリング剤、溶媒および水を混合して加水分解生成物を製造し;
前記加水分解生成物に活物質を添加して縮合反応を招いて縮合反応生成物を製造し;
前記縮合反応生成物に、モノマー、オリゴマー、バインダーおよび開始剤を含むビヒクルを添加して混合物を製造し;
前記混合物を電流集電体に塗布し;
得られた電流集電体を重合反応させる
工程を含む、リチウム2次電池用負極の製造方法。
【請求項8】
前記活物質は、Si、SiO(0<x<2)、Si−Q合金(前記Qは、アルカリ金属、アルカリ土金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Siではない)、Sn、SnO、Sn−R(前記Rは、アルカリ金属、アルカリ土金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Snではない)またはこれらの組み合わせである、請求項7に記載のリチウム2次電池用負極の製造方法。
【請求項9】
前記シランカップリング剤は、3−メトキシシリルプロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−エトキシシリルプロピルメタクリレート、3−メトキシシリルプロピルアクリレート、3−エトキシシリルプロピルアクリレート、3−メトキシシリルブチルメタクリレート、3−エトキシシリルブチルメタクリレート、3−メトキシシリルブチルアクリレート、3−エトキシシリルブチルアクリレート、3−メトキシシリルペンチルメタクリレート、3−エトキシシリルペンチルメタクリレート、3−メトキシシリルペンチルアクリレート、3−エトキシシリルペンチルアクリレート、3−メトキシシリルヘキシルメタクリレート、3−エトキシシリルヘキシルメタクリルレート、3−メトキシシリルヘキシルアクリレート、3−エトキシシリルヘキシルアクリレート、3−メトキシシリルヘプチルメタクリレート、3−エトキシシリルヘプチルメタクリレート、3−メトキシシリルヘプチルアクリレート、3−エトキシシリルヘプチルアクリレート、3−メトキシシリルオクチルメタクリレート、3−エトキシシリルオクチルメタクリレート、3−メトキシシリルオクチルアクリレート、3−エトキシシリルオクチルアクリレート、3−メトキシシリルノニルメタクリレート、3−エトキシシリルノニルメタクリレート、3−メトキシシリルノニルアクリレート、または3−エトキシシリルノニルアクリレートまたはこれらの組み合わせである、請求項7に記載のリチウム2次電池用負極の製造方法。
【請求項10】
前記モノマーおよび前記オリゴマーは、一つ以上のアミノ基、アクリル基、ビニル基、エポキシ基またはフェニル基を含むモノマーおよびオリゴマーである、請求項7に記載のリチウム2次電池用負極の製造方法。
【請求項11】
前記活物質の添加量は、前記シランカップリング剤100重量部に対して3000〜9000重量部である、請求項7に記載のリチウム2次電池用負極の製造方法。
【請求項12】
前記モノマーとオリゴマーの混合比率は、1:9〜9:1重量比である、請求項7に記載のリチウム2次電池用負極の製造方法。
【請求項13】
前記重合反応は、光硬化または熱硬化工程で実施するものである、請求項7に記載のリチウム2次電池用負極の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の負極活物質を含む負極;
正極活物質を含む正極;および
非水電解質
を含む、リチウム2次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−114080(P2012−114080A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216804(P2011−216804)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】