リッジフィルタ及び粒子線照射装置
【課題】小型化を可能とするリッジフィルタ及び粒子線照射装置を提供すること。
【解決手段】患者の患部に粒子線を照射して治療する粒子線照射装置に設けられ、前記粒子線の拡大ブラッグピークを形成するリッジフィルタであって、回転軸を有し当該回転軸を中心に回転可能に設けられ、前記回転軸を中心とする複数の同心円上にそれぞれ複数の貫通孔が設けられた回転板と、前記複数の貫通孔をそれぞれ覆うように前記回転板の板面上に複数設けられ、前記粒子線の入射面にリッジが設けられた基板と、前記回転板を回転させる回転機構と、前記回転板を自身の基板面に沿った方向に移動させる移動機構とを具備することを特徴とするリッジフィルタ。
【解決手段】患者の患部に粒子線を照射して治療する粒子線照射装置に設けられ、前記粒子線の拡大ブラッグピークを形成するリッジフィルタであって、回転軸を有し当該回転軸を中心に回転可能に設けられ、前記回転軸を中心とする複数の同心円上にそれぞれ複数の貫通孔が設けられた回転板と、前記複数の貫通孔をそれぞれ覆うように前記回転板の板面上に複数設けられ、前記粒子線の入射面にリッジが設けられた基板と、前記回転板を回転させる回転機構と、前記回転板を自身の基板面に沿った方向に移動させる移動機構とを具備することを特徴とするリッジフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リッジフィルタ及び粒子線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の患部に陽子線や重粒子線などの粒子線を照射する粒子線治療方法が知られている。この治療に用いる粒子線照射システムは、粒子線発生装置と、シンクロトロンなどの加速装置と、所定の照射エネルギーまで加速された粒子線を輸送する輸送路と、患者に対して粒子線を照射する粒子線照射装置とを備えている。
【0003】
粒子線を患者に照射した場合、粒子線は患者の体表面から所定の深さ位置で急激にエネルギーを放出して消滅する(ブラッグピーク)ことが知られている。粒子線の照射エネルギーが高いほどブラッグピークの発生する深さ位置が深くなり、粒子線が体内の深部まで到達することになる。したがって、ブラッグピークの発生位置を患部の深さ位置に合わせて粒子線を照射することで、患部に対して選択的に粒子線のエネルギーを放出することができる。粒子線のエネルギー放出を受けた患部は、細胞が破壊されて除去される。
【0004】
通常、患部は患者の体内で深さ方向に厚みを有している。患部全体を除去するためにはある程度の深さ範囲に亘ってブラッグピークを発生させる必要がある。つまり、深さ方向においてある程度広い吸収線量範囲(拡大ブラッグピーク)を形成する必要がある。このような拡大ブラッグピークを形成する手段として、例えばリッジフィルタが知られている。
【0005】
リッジフィルタは、粒子線の照射エネルギーを吸収する吸収材(アルミニウム等)からなる基板を主体として構成されている。各基板の表面が断面視三角形のリッジ状になっており、基板毎にリッジの高さが異なるように形成されている(例えば、特許文献1参照)。リッジフィルタを用いた具体的な構成としては、例えば複数のリッジフィルタを回転板に取り付けた構成が知られている。
【0006】
回転板には貫通孔が形成されており、当該貫通孔を覆うように基板を取り付けた構成になっている。貫通孔は回転板の回転軸を中心とする一同心円上に配置されている構成が一般的である。回転板を回転させることにより、粒子線の照射経路上には厚さの異なる複数の基板を選択的に配置させることができるようになっている。
【0007】
例えば、粒子線がリッジの高さの低い基板を通過した場合、吸収される照射エネルギーの量が少ないため、粒子線は照射エネルギーが高い状態で患者に照射される。この高エネルギーの粒子線は体表面から深い位置まで到達するため、当該体表面から深い位置でブラッグピークが生じる。
【0008】
一方、粒子線がリッジの高さの高い基板を通過した場合、吸収される照射エネルギーの量が多いため、粒子線は照射エネルギーが低い状態で患者に照射される。この低エネルギーの粒子線は体表面からそれほど深くない位置までしか到達しないため、当該体表面からそれほど深くない位置でブラッグピークが生じる。
【0009】
このように、リッジの高さの異なる複数の基板を選択的に用いることにより、ブラッグピークの形成される深さ方向の位置を変動させることができるため、体表面からの深さ方向において比較的広くフラットな拡大ブラッグピークを得ることができる。
【特許文献1】特開2000−202048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、拡大ブラッグピークのピーク幅をある程度大きくするためには、回転板に一定以上の数の基板を配列させておく必要がある。このため、従来のリッジフィルタは回転板の大きさが大きくなってしまうという問題があった。回転板が大きいと、当該回転板を回転させるモータなどの大きさも大きくなってしまい、リッジフィルタが大型化し、ひいては粒子線照射装置全体が大型化してしまうことになる。
【0011】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、小型化を可能とするリッジフィルタ及び粒子線照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係るリッジフィルタは、患者の患部に粒子線を照射して治療する粒子線照射装置に設けられ、前記粒子線の拡大ブラッグピークを形成するリッジフィルタであって、回転軸を有し当該回転軸を中心に回転可能に設けられ、前記回転軸を中心とする複数の同心円上にそれぞれ複数の貫通孔が設けられた回転板と、前記複数の貫通孔をそれぞれ覆うように前記回転板の板面上に複数設けられ、前記粒子線の入射面にリッジが設けられた基板と、前記回転板を回転させる回転機構と、前記回転板を自身の板面に沿った方向に移動させる移動機構とを具備することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、回転板には回転軸を中心とする複数の同心円上にそれぞれ複数の貫通孔が設けられているので、複数の貫通孔が密集して配置されることになる。粒子線の入射面にリッジを有する複数の基板は、この複数の貫通孔をそれぞれ覆うように回転板の板面上に設けられているので、基板についても密集して配置されることになる。貫通孔及び基板が密集して配置される分、回転板の回転軸を中心とする1つの同心円上に基板を設ける従来の構成に比べて、回転板の寸法を小さくすることができる。これにより、小型のリッジフィルタを得ることができる。
【0014】
また、本発明によれば、回転板を回転させる回転機構に加えて、回転板を自身の基板面に沿った方向に移動させる移動機構が設けられているので、回転板の位置を粒子線の照射位置に移動させることが可能となる。これにより、粒子線の照射位置を変更する必要が無いため、リッジフィルタの設計が複雑化するのを回避することができる。
【0015】
さらに、本発明によれば、回転板を小型化することができるので、回転板の重量も軽量化されることになる。このため、当該回転板を回転させる回転機構や、回転板を板面に沿った方向に移動させる移動機構の負荷を軽くすることができる。これにより、回転機構及び移動機構を小型化することができる上に、回転板の動作を軽快に行うことができるという利点もある。
【0016】
上記のリッジフィルタは、前記複数の貫通孔が前記回転軸を中心とする2つの同心円上にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、複数の貫通孔が回転軸を中心とする2つの同心円上にそれぞれ設けられていることとしたので、複数の貫通孔をバランス良く配置することができる。加えて、回転板を基板面に沿った方向に2箇所だけ移動するだけで済むため、移動の制御を容易に行うことができる。
【0017】
上記のリッジフィルタは、前記複数の貫通孔のうち少なくとも一部が、前記回転板の回転方向において同一の位相となる位置に設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、複数の貫通孔のうち少なくとも一部が回転板の回転方向において同一の位相となる位置に設けられていることとしたので、同一位相の貫通孔上に設けられる基板同士については、回転板の回転角の制御を共通して行うことができる。これにより、回転制御を容易に行うことができる。
【0018】
上記のリッジフィルタは、前記回転板上に、前記基板の周縁部に沿うようにフレームが設けられており、前記フレームが、前記同一の位相となる位置に設けられた複数の貫通孔をそれぞれ覆う複数の基板に跨って設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、基板の周縁部に沿うようにフレームが回転板上に設けられており、当該フレームが同一の位相となる位置に設けられた複数の貫通孔をそれぞれ覆う複数の基板に跨って設けられていることとしたので、回転板に基板を取り付ける際、同一位相に配置される基板同士の位置合わせが容易になる。
【0019】
上記のリッジフィルタは、前記基板が、前記回転板の板面に平行な一平面上に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、基板が回転板の板面に平行な一平面上に配置されているので、粒子線の入射する位置がずれるのを防ぐことができる。このため、粒子線が入射する基板が異なっても粒子線の経路において同一の環境とすることができる。
【0020】
上記のリッジフィルタは、前記基板のうち前記回転板の外周側よりも前記回転軸側の方が、前記回転板の回転方向における寸法が小さいことを特徴とする。
本発明によれば、基板のうち回転板の外周側よりも回転軸側の方が、回転板の回転方向における寸法が小さいこととしたので、回転軸を中心に基板を密集させて配置しても、基板同士の間隔を十分に確保することができる。これにより、基板同士が重なり合ったり接触しあったりするのを回避することができる。
【0021】
本発明に係る粒子線照射装置は、上記のリッジフィルタを搭載したことを特徴とする。
本発明によれば、回転板の寸法が小さく、小型のリッジフィルタを備えているので、小型の粒子線照射装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るリッジフィルタは、回転板には回転軸を中心とする複数の同心円上にそれぞれ複数の貫通孔が設けられているので、複数の貫通孔が密集して配置されることになる。粒子線の入射面にリッジを有する複数の基板は、この複数の貫通孔をそれぞれ覆うように回転板の板面上に設けられているので、基板についても密集して配置されることになる。貫通孔及び基板が密集して配置される分、回転板の回転軸を中心とする1つの同心円上に基板を設ける従来の構成に比べて、回転板の寸法を小さくすることができる。これにより、小型のリッジフィルタを得ることができる。
【0023】
また、本発明によれば、回転板を回転させる回転機構に加えて、回転板を自身の基板面に沿った方向に移動させる移動機構が設けられているので、回転板の位置を粒子線の照射位置に移動させることが可能となる。これにより、粒子線の照射位置を変更する必要が無いため、リッジフィルタの設計が複雑化するのを回避することができる。
【0024】
さらに、本発明によれば、回転板を小型化することができるので、回転板の重量も軽量化されることになる。このため、当該回転板を回転させる回転機構や、回転板を板面に沿った方向に移動させる移動機構の負荷を軽くすることができる。これにより、回転機構及び移動機構を小型化することができる上に、回転板の動作を軽快に行うことができるという利点もある。
【0025】
本発明に係る粒子線照射装置は、回転板の寸法が小さく、小型のリッジフィルタを備えているので、小型の粒子線照射装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態に係る粒子線照射システムの構成を示す図である。
同図に示すように、粒子線照射システム1は、粒子線発生装置2と、加速装置3と、粒子線照射装置4と、輸送管5とを主体として構成されている。この粒子線照射システム1は、治療台S上の患者Tの患部に陽子線や重粒子線などの粒子線を照射する粒子線治療方法に用いられる。
【0027】
粒子線発生装置2は、陽子線や重粒子線を発生させる装置である。粒子線発生装置2としては、例えばECR型イオン源やPIG型イオン源など、公知のイオン源が用いられる。例えば炭素イオンC6+の重粒子を生成する粒子線発生装置には、CO2ガスに電子ビームを照射し炭素分子Cから電子を1つずつたたき出してC+、C2+、C3+、C4+と順に生成する機構と、C4+に残っている2つの電子を剥ぎとって炭素原子核のみのC6+を生成する機構とが設けられている。このほか、生成された粒子を加速装置3に入射するために当該粒子を加速する前段加速器(図示しない)なども設けられている。
【0028】
加速装置3は、加速高周波の周期を粒子回転周期に同期させることによって粒子線を290MeV/u程度の高エネルギーまで加速する装置である。代表的な加速装置3として、例えばシンクロトロン等が挙げられる。シンクロトロンには、例えば粒子線を周回軌道に保つための機構や、周回軌道上における粒子線の広がりを収束させる機構などが設けられている。このほか、シンクロトロンの周回軌道に沿って高周波加速空洞や高周波印加装置、加速した粒子線を射出する粒子線射出口なども設けられている。
【0029】
粒子線照射装置4は、治療台S上の患者Tの患部に対して水平方向及び垂直方向に粒子線を照射する装置である。本実施形態では、患者Tの患部に対して水平方向に粒子を照射する水平照射装置4aと、患者Tの患部に向けて垂直方向に粒子を照射する水平照射装置4aとの2つの照射装置が設けられている。
【0030】
輸送管5は、加速装置3から射出された粒子線を2つの粒子線照射装置4まで輸送する輸送系である。この輸送管5は、一端が加速装置3の粒子線射出口に接続されており、粒子線照射装置4側では2つに分岐している。一方の分岐端が水平照射装置4aに接続されており、他方の分岐端が垂直照射装置4bに接続されている。
【0031】
図2は、粒子線照射装置4の構成を模式的に示す図である。
同図に示すように、粒子線照射装置4は、ワブラー法による粒子線照射装置であり、モニタ部11と、ワブラー電磁石12と、散乱体13と、リッジフィルタ15と、レンジシフタ16と、アライメント18と、コリメータ19とを主体として構成されている。水平照射装置4aと垂直照射装置4bとでは、同一の構成になっている。
【0032】
モニタ部11は、患者Tの体内に照射する粒子線の線量を測定する線量モニタや、粒子線が正しい位置にあるかどうかを識別する位置モニタなどを有している。
【0033】
ワブラー電磁石12は、位相が互いに90°ずれた2基の電磁石からなる。ワブラー電磁石12には、各電磁石に同一周波数の交流励磁電流を流して磁場を発生させる機構が設けられている。この磁場により荷電粒子ビームを円軌道に沿って高速で走査させることができるようになっている。
【0034】
散乱体13は、例えばタンタルや鉛などの金属からなり、粒子線を散乱させることが可能な構成を有している。当該散乱によって粒子線の照射範囲を径方向(進行方向に対して垂直な方向)に拡大することができるようになっている。例えば図示しない制御部によって粒子線の拡大範囲を調節できるようになっている。
【0035】
リッジフィルタ15は、粒子線の照射経路上に配置されている。このリッジフィルタ15は、粒子線の照射エネルギーの分布幅を広げ患部の体内に形成されるブラッグピークを広範囲に拡大する装置である。
【0036】
レンジシフタ16は、患者Tの体表面から深さ方向に対する粒子線の到達位置を調節する機構である。このレンジシフタ16は、粒子線のエネルギーを吸収する材料(例えば、アクリルなど)からなる複数の板状部材を有している。複数の板状部材はそれぞれ厚さが異なっており、各板状部材によって吸収される照射エネルギーが異なっている。各板状部材は、図示しない駆動機構によって粒子線の照射経路上に出没可能に設けられている。当該照射経路上に出没させる板状部材の組み合わせに応じて、吸収させる照射エネルギーを調節することができるようになっている。
【0037】
アライメント18は、粒子線の照射エネルギーの分布を測定する機構である。
【0038】
コリメータ19は、粒子線の照射領域が患者Tの患部の形状に対応した形状となるように粒子線の一部を遮断する機構である。
【0039】
図3は、リッジフィルタ15のうち粒子線の入射面の構成を示す図である。図4は、リッジフィルタ15の入射面に対する側面の構成を示す図である。
図3に示すように、リッジフィルタ15は、ステージ21と、回転板22と、フィルタ24と、フレーム25とを主体として構成されている。
【0040】
ステージ21は、上記各部を支持する基台である。ステージ21の下面側には、図中左右方向に移動可能となるように移動機構29が設けられている。移動機構29は、ガイドレール29aと、モータ機構29bとを有しており、モータ機構29bの駆動によってステージ21がガイドレール29aに沿って移動するようになっている。モータ機構29bの一部は、例えばステージ21内に設けられている。
【0041】
回転板22は、例えば鋼材などからなる円形の板状部材であり、中心部に設けられた回転軸27を中心として回転可能に設けられている。回転軸27は回転機構28によって時計回り、あるいは反時計回りにそれぞれ回転するようになっていると共に、回転角度が制御可能になっている。回転板22は、回転板支持部23を介してステージ21に固定されている。
【0042】
回転板22には、自身を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔22aが形成されている。貫通孔22aは、回転軸27を中心とする2つの同心円上(図中二点鎖線で示す)にそれぞれ配置されている。各貫通孔22aは、粒子線の照射領域P(図中一点鎖線で示す)の面積よりも大きい面積となるように形成されている。
【0043】
これらの貫通孔22aは、回転板22の外周22bに沿った領域(外周領域)22cに例えば12個設けられており、回転板22の回転軸27の周りの領域(内周領域)22dに例えば6個設けられている。
【0044】
外周領域22cには、回転板22の中心に対して30°の位相ごとに1個の貫通孔22aが設けられている。内周領域22dには、回転板22の中心に対して60°の位相ごとに1個の貫通孔22aが設けられている。内周領域22dに設けられた貫通孔22aは、外周領域22cに1個おきに設けられた貫通孔22aに対してそれぞれ同位相となるように配置されている。
【0045】
フィルタ24は、例えばアルミニウムなど粒子線の照射エネルギーを吸収する材料からなる基板であり、回転板22の貫通孔22aに重なる位置にそれぞれ配置されている。フィルタ24は、貫通孔22aに重なる位置に配置されているため、フィルタ24についても、回転軸27を中心とする2つの同心円上に配置されていることになる。
【0046】
また、外周領域22cには回転板22の中心に対して30°の位相ごとに1個のフィルタ24が設けられており、内周領域22dには回転板22の中心に対して60°の位相ごとに1個のフィルタ24が設けられていることになる。
【0047】
さらに、内周領域22dに設けられたフィルタ24は、外周領域22cに1個おきに設けられたフィルタ24に対して、それぞれ同位相となるように配置されていることになる。
【0048】
このフィルタ24は、例えばネジなどの固定部材によって回転板22に固定されている。フィルタ24の基板面の面積は貫通孔22aの面積よりも大きくなっており、フィルタ24によって貫通孔22aが完全に覆われた状態になっている。各フィルタ24の寸法及び形状はほぼ同一になっている。各フィルタ24は、図4に示すように、回転板22の板面22fに平行な一平面Q上に配置されている。
【0049】
図3に戻って、フレーム25は、フィルタ24の位置を規制するガイド部材であり、回転板22のうちフィルタ24の周縁部に沿うように設けられている。フレーム25は、フィルタ24の周縁部のうち回転板22の径方向に沿った2つの端辺24a(側辺)をカバーするように設けられている部分と、フィルタ24の周縁部のうち回転板22の回転軸27側の端辺24bをカバーするように設けられている部分とを有している。フィルタ24が設けられることによって、回転板22にフィルタ24を設置するときには、フレーム25の間をスライドさせて位置決めできるようになっている。
【0050】
外周領域22cと内周領域22dとで同一位相となる位置に設けられたフィルタ24の側辺24aには、当該外周領域22c及び内周領域22dの2つのフィルタ24に跨るようにフレーム25が設けられている。また、同一位相となる位置に設けられたフィルタ24のうち外周領域22c内のフィルタ24の回転軸27側の端辺24bには、フレーム25が設けられていない。このため、外周領域22cのフィルタ24と内周領域22dのフィルタ24とを共通のフレーム25によってスライドさせることが可能になっている。
【0051】
外周領域22cに設けられたフィルタ24のうち、内周領域22dに設けられたフィルタ24と同一位相になっていないフィルタ24については、1つのフィルタ24ごとに当該フィルタ24の側辺24a及び回転軸27側の端辺24bに沿ってフレーム25が設けられている。
【0052】
図5は、フィルタ24のうち粒子線の入射面側の構成を示す平面図である。
同図に示すように、フィルタ24は平面視でほぼ矩形になっている。フィルタ24の図中上側が回転板22の外周22b側に配置され、フィルタ24の図中下側が回転板22の回転軸27側に配置されるようになっている。
【0053】
フィルタ24のうち図中下側(回転軸27側に配置される側)の2つの角部が切り取られた状態になっている。このため、フィルタ24の辺のうち回転板の外周22b側に配置される辺24dの長さt1よりも回転軸27側に配置される端辺24bの長さt2方が短くなっている。
【0054】
フィルタ24には、粒子線の入射面側にリッジ30が形成されている。各リッジ30は、図中左右方向に延在するように形成されており、図中上下方向にストライプ状に配置されている。
【0055】
図6は、図5におけるA−A断面に沿った形状を示す図である。図中左側が粒子線の入射面側、図中右側が粒子線の射出側である。
同図に示すように、フィルタ24に形成されたリッジ30は、フィルタ24の基板面24eに対して粒子線の入射側に突出するように設けられている。この突出部の断面は、基板面24eからの高さが高くなるほど細くなっており、断面視で略三角形になっている。基板面24eからリッジ30先端部分までの高さh1は、フィルタ24ごとに異なっている。このため、粒子線の経路上に異なるフィルタ24を配置することによって、吸収される粒子線のエネルギーを異ならせることができるようになっている。
【0056】
図7は、フィルタ24のリッジ30を拡大して示した図である。
同図に示すように、各リッジ30は、先端部に近づくにつれて段階的に幅(延在方向に直交する方向の寸法)が狭くなるように形成されており、フィルタ24を透過する粒子線は、フィルタ24の平面視での位置によってリッジ30を透過する長さが異なるようになっている。
【0057】
次に、上記のように構成された粒子線照射システムの動作を説明する。
粒子線発生装置2で発生した粒子線は、加速装置3において所定のエネルギー(290MeV/u程度)にまで加速される。粒子線の照射エネルギーが大きくなった状態で、輸送管5を経て加速装置3から粒子線照射装置4(水平照射装置4a及び垂直照射装置4b)に入射する。
【0058】
各粒子線照射装置4に入射した粒子線は、モニタ部11、ワブラー電磁石12、散乱体13を順に通過する。この過程では、患者Tの体内に照射する粒子線の線量が測定され、粒子線が正しい位置にあるかどうかの識別が行われ、粒子線を走査して位置合わせが行われ、粒子線の照射範囲が径方向に拡大される。
【0059】
粒子線の入射前にリッジフィルタ15の回転板22を回転させ、粒子線の経路上に所定のフィルタ24を配置する。
【0060】
回転板22の外周領域22cに設けられたフィルタ24と内周領域22dに設けられたフィルタ24とを交換するときであっても、回転板22を水平方向の2箇所に移動するだけで済むため、移動の制御はスムーズに行われる。
【0061】
また、内周領域22dに設けられた貫通孔22aと外周領域22cに1つおきに設けられた貫通孔22aとが、回転板22の回転方向において同一の位相となる位置に配置されているので、回転板22の回転させる際には、同一位相の貫通孔22a上に設けられる2つのフィルタ24の回転角の制御が共通して行われる。
【0062】
フィルタ24が回転板22の板面に平行な一平面上に配置されているため、粒子線の入射する位置が粒子線の進行方向に前後することなく、どのフィルタ24を配置する場合であっても粒子線の経路において同一の環境になる。
【0063】
粒子線は、リッジフィルタ15のフィルタ24及び貫通孔22aを通過する。フィルタ24を通過するときに、フィルタ24に設けられたリッジ30の高さに応じて粒子線のエネルギーが吸収される。
【0064】
リッジフィルタ15を通過した粒子線は、レンジシフタ16においてエネルギーが吸収され、患者Tの体表面から深さ方向に対する粒子線の到達位置が調節される。この粒子線は、アライメント18において粒子線の照射エネルギーの分布が測定される。アライメント18を通過した粒子線は、コリメータ19によって患者Tの患部の形状に対応した照射領域となるように一部が遮断され、この状態で患者Tへ向けて射出される。
【0065】
このように、本実施形態によれば、回転板22には回転軸27を中心とする複数の同心円上にそれぞれ複数の貫通孔22aが設けられているので、複数の貫通孔22aが密集して配置されることになる。粒子線の入射面にリッジ30を有する複数のフィルタ24は、この複数の貫通孔22aをそれぞれ覆うように回転板22の板面上に設けられているので、フィルタ24についても密集して配置されることになる。貫通孔22a及びフィルタ24が密集して配置される分、回転板の回転軸を中心とする1つの同心円上に基板を設ける従来の構成に比べて、回転板22の寸法を小さくすることができる。これにより、リッジフィルタ15を小型化することが可能となる。
【0066】
また、本実施形態によれば、回転板22を回転させる回転機構28に加えて、回転板22を水平方向に移動させる移動機構29が設けられているので、外周領域22cに設けられたフィルタ24と内周領域22dに設けられたフィルタ24とを粒子線の照射領域Pに重なるように、適宜移動させることが可能となる。これにより、粒子線の照射領域Pの位置を変更する必要が無いため、リッジフィルタ15の設計が複雑化するのを回避することができる。
【0067】
さらに、本実施形態によれば、従来の構成に比べて回転板22を小型化することができるので、回転板22の重量も軽量化されることになる。このため、当該回転板22を回転させる回転機構28や、回転板22を水平方向に移動させる移動機構29の負荷を軽くすることができる。これにより、回転機構28及び移動機構29を小型化することができ、例えば回転板22に取り付けたり、ステージ21内に設けたりすることができる上に、回転板22の動作を軽快に行うことができるという利点もある。
【0068】
このように、回転板22の寸法が小さく、小型のリッジフィルタ15を備えているので、小型の粒子線照射装置4を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態に係る粒子線照射システムの構成を示す図。
【図2】本実施形態に係る粒子線照射装置の構成を示す図。
【図3】本実施形態に係るリッジフィルタの構成を示す正面図。
【図4】本実施形態に係るリッジフィルタの構成を示す側面図。
【図5】本実施形態に係るリッジフィルタのパネルの構成を示す平面図。
【図6】本実施形態に係るリッジフィルタのパネルの構成を示す側面図。
【図7】本実施形態に係るリッジフィルタのパネルの一部の構成を示す図。
【符号の説明】
【0070】
1…粒子線照射システム 2…粒子線発生装置 4…粒子線照射装置 4a…水平照射装置 4b…垂直照射装置 15…リッジフィルタ 21…ステージ 22…回転板 22a…貫通孔 23…回転板支持部 24…フィルタ 24a…側辺 24b…端辺 25…フレーム 27…回転軸 28…回転機構 29…移動機構 30…リッジ
【技術分野】
【0001】
本発明は、リッジフィルタ及び粒子線照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の患部に陽子線や重粒子線などの粒子線を照射する粒子線治療方法が知られている。この治療に用いる粒子線照射システムは、粒子線発生装置と、シンクロトロンなどの加速装置と、所定の照射エネルギーまで加速された粒子線を輸送する輸送路と、患者に対して粒子線を照射する粒子線照射装置とを備えている。
【0003】
粒子線を患者に照射した場合、粒子線は患者の体表面から所定の深さ位置で急激にエネルギーを放出して消滅する(ブラッグピーク)ことが知られている。粒子線の照射エネルギーが高いほどブラッグピークの発生する深さ位置が深くなり、粒子線が体内の深部まで到達することになる。したがって、ブラッグピークの発生位置を患部の深さ位置に合わせて粒子線を照射することで、患部に対して選択的に粒子線のエネルギーを放出することができる。粒子線のエネルギー放出を受けた患部は、細胞が破壊されて除去される。
【0004】
通常、患部は患者の体内で深さ方向に厚みを有している。患部全体を除去するためにはある程度の深さ範囲に亘ってブラッグピークを発生させる必要がある。つまり、深さ方向においてある程度広い吸収線量範囲(拡大ブラッグピーク)を形成する必要がある。このような拡大ブラッグピークを形成する手段として、例えばリッジフィルタが知られている。
【0005】
リッジフィルタは、粒子線の照射エネルギーを吸収する吸収材(アルミニウム等)からなる基板を主体として構成されている。各基板の表面が断面視三角形のリッジ状になっており、基板毎にリッジの高さが異なるように形成されている(例えば、特許文献1参照)。リッジフィルタを用いた具体的な構成としては、例えば複数のリッジフィルタを回転板に取り付けた構成が知られている。
【0006】
回転板には貫通孔が形成されており、当該貫通孔を覆うように基板を取り付けた構成になっている。貫通孔は回転板の回転軸を中心とする一同心円上に配置されている構成が一般的である。回転板を回転させることにより、粒子線の照射経路上には厚さの異なる複数の基板を選択的に配置させることができるようになっている。
【0007】
例えば、粒子線がリッジの高さの低い基板を通過した場合、吸収される照射エネルギーの量が少ないため、粒子線は照射エネルギーが高い状態で患者に照射される。この高エネルギーの粒子線は体表面から深い位置まで到達するため、当該体表面から深い位置でブラッグピークが生じる。
【0008】
一方、粒子線がリッジの高さの高い基板を通過した場合、吸収される照射エネルギーの量が多いため、粒子線は照射エネルギーが低い状態で患者に照射される。この低エネルギーの粒子線は体表面からそれほど深くない位置までしか到達しないため、当該体表面からそれほど深くない位置でブラッグピークが生じる。
【0009】
このように、リッジの高さの異なる複数の基板を選択的に用いることにより、ブラッグピークの形成される深さ方向の位置を変動させることができるため、体表面からの深さ方向において比較的広くフラットな拡大ブラッグピークを得ることができる。
【特許文献1】特開2000−202048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、拡大ブラッグピークのピーク幅をある程度大きくするためには、回転板に一定以上の数の基板を配列させておく必要がある。このため、従来のリッジフィルタは回転板の大きさが大きくなってしまうという問題があった。回転板が大きいと、当該回転板を回転させるモータなどの大きさも大きくなってしまい、リッジフィルタが大型化し、ひいては粒子線照射装置全体が大型化してしまうことになる。
【0011】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、小型化を可能とするリッジフィルタ及び粒子線照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明に係るリッジフィルタは、患者の患部に粒子線を照射して治療する粒子線照射装置に設けられ、前記粒子線の拡大ブラッグピークを形成するリッジフィルタであって、回転軸を有し当該回転軸を中心に回転可能に設けられ、前記回転軸を中心とする複数の同心円上にそれぞれ複数の貫通孔が設けられた回転板と、前記複数の貫通孔をそれぞれ覆うように前記回転板の板面上に複数設けられ、前記粒子線の入射面にリッジが設けられた基板と、前記回転板を回転させる回転機構と、前記回転板を自身の板面に沿った方向に移動させる移動機構とを具備することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、回転板には回転軸を中心とする複数の同心円上にそれぞれ複数の貫通孔が設けられているので、複数の貫通孔が密集して配置されることになる。粒子線の入射面にリッジを有する複数の基板は、この複数の貫通孔をそれぞれ覆うように回転板の板面上に設けられているので、基板についても密集して配置されることになる。貫通孔及び基板が密集して配置される分、回転板の回転軸を中心とする1つの同心円上に基板を設ける従来の構成に比べて、回転板の寸法を小さくすることができる。これにより、小型のリッジフィルタを得ることができる。
【0014】
また、本発明によれば、回転板を回転させる回転機構に加えて、回転板を自身の基板面に沿った方向に移動させる移動機構が設けられているので、回転板の位置を粒子線の照射位置に移動させることが可能となる。これにより、粒子線の照射位置を変更する必要が無いため、リッジフィルタの設計が複雑化するのを回避することができる。
【0015】
さらに、本発明によれば、回転板を小型化することができるので、回転板の重量も軽量化されることになる。このため、当該回転板を回転させる回転機構や、回転板を板面に沿った方向に移動させる移動機構の負荷を軽くすることができる。これにより、回転機構及び移動機構を小型化することができる上に、回転板の動作を軽快に行うことができるという利点もある。
【0016】
上記のリッジフィルタは、前記複数の貫通孔が前記回転軸を中心とする2つの同心円上にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、複数の貫通孔が回転軸を中心とする2つの同心円上にそれぞれ設けられていることとしたので、複数の貫通孔をバランス良く配置することができる。加えて、回転板を基板面に沿った方向に2箇所だけ移動するだけで済むため、移動の制御を容易に行うことができる。
【0017】
上記のリッジフィルタは、前記複数の貫通孔のうち少なくとも一部が、前記回転板の回転方向において同一の位相となる位置に設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、複数の貫通孔のうち少なくとも一部が回転板の回転方向において同一の位相となる位置に設けられていることとしたので、同一位相の貫通孔上に設けられる基板同士については、回転板の回転角の制御を共通して行うことができる。これにより、回転制御を容易に行うことができる。
【0018】
上記のリッジフィルタは、前記回転板上に、前記基板の周縁部に沿うようにフレームが設けられており、前記フレームが、前記同一の位相となる位置に設けられた複数の貫通孔をそれぞれ覆う複数の基板に跨って設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、基板の周縁部に沿うようにフレームが回転板上に設けられており、当該フレームが同一の位相となる位置に設けられた複数の貫通孔をそれぞれ覆う複数の基板に跨って設けられていることとしたので、回転板に基板を取り付ける際、同一位相に配置される基板同士の位置合わせが容易になる。
【0019】
上記のリッジフィルタは、前記基板が、前記回転板の板面に平行な一平面上に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、基板が回転板の板面に平行な一平面上に配置されているので、粒子線の入射する位置がずれるのを防ぐことができる。このため、粒子線が入射する基板が異なっても粒子線の経路において同一の環境とすることができる。
【0020】
上記のリッジフィルタは、前記基板のうち前記回転板の外周側よりも前記回転軸側の方が、前記回転板の回転方向における寸法が小さいことを特徴とする。
本発明によれば、基板のうち回転板の外周側よりも回転軸側の方が、回転板の回転方向における寸法が小さいこととしたので、回転軸を中心に基板を密集させて配置しても、基板同士の間隔を十分に確保することができる。これにより、基板同士が重なり合ったり接触しあったりするのを回避することができる。
【0021】
本発明に係る粒子線照射装置は、上記のリッジフィルタを搭載したことを特徴とする。
本発明によれば、回転板の寸法が小さく、小型のリッジフィルタを備えているので、小型の粒子線照射装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るリッジフィルタは、回転板には回転軸を中心とする複数の同心円上にそれぞれ複数の貫通孔が設けられているので、複数の貫通孔が密集して配置されることになる。粒子線の入射面にリッジを有する複数の基板は、この複数の貫通孔をそれぞれ覆うように回転板の板面上に設けられているので、基板についても密集して配置されることになる。貫通孔及び基板が密集して配置される分、回転板の回転軸を中心とする1つの同心円上に基板を設ける従来の構成に比べて、回転板の寸法を小さくすることができる。これにより、小型のリッジフィルタを得ることができる。
【0023】
また、本発明によれば、回転板を回転させる回転機構に加えて、回転板を自身の基板面に沿った方向に移動させる移動機構が設けられているので、回転板の位置を粒子線の照射位置に移動させることが可能となる。これにより、粒子線の照射位置を変更する必要が無いため、リッジフィルタの設計が複雑化するのを回避することができる。
【0024】
さらに、本発明によれば、回転板を小型化することができるので、回転板の重量も軽量化されることになる。このため、当該回転板を回転させる回転機構や、回転板を板面に沿った方向に移動させる移動機構の負荷を軽くすることができる。これにより、回転機構及び移動機構を小型化することができる上に、回転板の動作を軽快に行うことができるという利点もある。
【0025】
本発明に係る粒子線照射装置は、回転板の寸法が小さく、小型のリッジフィルタを備えているので、小型の粒子線照射装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態に係る粒子線照射システムの構成を示す図である。
同図に示すように、粒子線照射システム1は、粒子線発生装置2と、加速装置3と、粒子線照射装置4と、輸送管5とを主体として構成されている。この粒子線照射システム1は、治療台S上の患者Tの患部に陽子線や重粒子線などの粒子線を照射する粒子線治療方法に用いられる。
【0027】
粒子線発生装置2は、陽子線や重粒子線を発生させる装置である。粒子線発生装置2としては、例えばECR型イオン源やPIG型イオン源など、公知のイオン源が用いられる。例えば炭素イオンC6+の重粒子を生成する粒子線発生装置には、CO2ガスに電子ビームを照射し炭素分子Cから電子を1つずつたたき出してC+、C2+、C3+、C4+と順に生成する機構と、C4+に残っている2つの電子を剥ぎとって炭素原子核のみのC6+を生成する機構とが設けられている。このほか、生成された粒子を加速装置3に入射するために当該粒子を加速する前段加速器(図示しない)なども設けられている。
【0028】
加速装置3は、加速高周波の周期を粒子回転周期に同期させることによって粒子線を290MeV/u程度の高エネルギーまで加速する装置である。代表的な加速装置3として、例えばシンクロトロン等が挙げられる。シンクロトロンには、例えば粒子線を周回軌道に保つための機構や、周回軌道上における粒子線の広がりを収束させる機構などが設けられている。このほか、シンクロトロンの周回軌道に沿って高周波加速空洞や高周波印加装置、加速した粒子線を射出する粒子線射出口なども設けられている。
【0029】
粒子線照射装置4は、治療台S上の患者Tの患部に対して水平方向及び垂直方向に粒子線を照射する装置である。本実施形態では、患者Tの患部に対して水平方向に粒子を照射する水平照射装置4aと、患者Tの患部に向けて垂直方向に粒子を照射する水平照射装置4aとの2つの照射装置が設けられている。
【0030】
輸送管5は、加速装置3から射出された粒子線を2つの粒子線照射装置4まで輸送する輸送系である。この輸送管5は、一端が加速装置3の粒子線射出口に接続されており、粒子線照射装置4側では2つに分岐している。一方の分岐端が水平照射装置4aに接続されており、他方の分岐端が垂直照射装置4bに接続されている。
【0031】
図2は、粒子線照射装置4の構成を模式的に示す図である。
同図に示すように、粒子線照射装置4は、ワブラー法による粒子線照射装置であり、モニタ部11と、ワブラー電磁石12と、散乱体13と、リッジフィルタ15と、レンジシフタ16と、アライメント18と、コリメータ19とを主体として構成されている。水平照射装置4aと垂直照射装置4bとでは、同一の構成になっている。
【0032】
モニタ部11は、患者Tの体内に照射する粒子線の線量を測定する線量モニタや、粒子線が正しい位置にあるかどうかを識別する位置モニタなどを有している。
【0033】
ワブラー電磁石12は、位相が互いに90°ずれた2基の電磁石からなる。ワブラー電磁石12には、各電磁石に同一周波数の交流励磁電流を流して磁場を発生させる機構が設けられている。この磁場により荷電粒子ビームを円軌道に沿って高速で走査させることができるようになっている。
【0034】
散乱体13は、例えばタンタルや鉛などの金属からなり、粒子線を散乱させることが可能な構成を有している。当該散乱によって粒子線の照射範囲を径方向(進行方向に対して垂直な方向)に拡大することができるようになっている。例えば図示しない制御部によって粒子線の拡大範囲を調節できるようになっている。
【0035】
リッジフィルタ15は、粒子線の照射経路上に配置されている。このリッジフィルタ15は、粒子線の照射エネルギーの分布幅を広げ患部の体内に形成されるブラッグピークを広範囲に拡大する装置である。
【0036】
レンジシフタ16は、患者Tの体表面から深さ方向に対する粒子線の到達位置を調節する機構である。このレンジシフタ16は、粒子線のエネルギーを吸収する材料(例えば、アクリルなど)からなる複数の板状部材を有している。複数の板状部材はそれぞれ厚さが異なっており、各板状部材によって吸収される照射エネルギーが異なっている。各板状部材は、図示しない駆動機構によって粒子線の照射経路上に出没可能に設けられている。当該照射経路上に出没させる板状部材の組み合わせに応じて、吸収させる照射エネルギーを調節することができるようになっている。
【0037】
アライメント18は、粒子線の照射エネルギーの分布を測定する機構である。
【0038】
コリメータ19は、粒子線の照射領域が患者Tの患部の形状に対応した形状となるように粒子線の一部を遮断する機構である。
【0039】
図3は、リッジフィルタ15のうち粒子線の入射面の構成を示す図である。図4は、リッジフィルタ15の入射面に対する側面の構成を示す図である。
図3に示すように、リッジフィルタ15は、ステージ21と、回転板22と、フィルタ24と、フレーム25とを主体として構成されている。
【0040】
ステージ21は、上記各部を支持する基台である。ステージ21の下面側には、図中左右方向に移動可能となるように移動機構29が設けられている。移動機構29は、ガイドレール29aと、モータ機構29bとを有しており、モータ機構29bの駆動によってステージ21がガイドレール29aに沿って移動するようになっている。モータ機構29bの一部は、例えばステージ21内に設けられている。
【0041】
回転板22は、例えば鋼材などからなる円形の板状部材であり、中心部に設けられた回転軸27を中心として回転可能に設けられている。回転軸27は回転機構28によって時計回り、あるいは反時計回りにそれぞれ回転するようになっていると共に、回転角度が制御可能になっている。回転板22は、回転板支持部23を介してステージ21に固定されている。
【0042】
回転板22には、自身を厚さ方向に貫通する複数の貫通孔22aが形成されている。貫通孔22aは、回転軸27を中心とする2つの同心円上(図中二点鎖線で示す)にそれぞれ配置されている。各貫通孔22aは、粒子線の照射領域P(図中一点鎖線で示す)の面積よりも大きい面積となるように形成されている。
【0043】
これらの貫通孔22aは、回転板22の外周22bに沿った領域(外周領域)22cに例えば12個設けられており、回転板22の回転軸27の周りの領域(内周領域)22dに例えば6個設けられている。
【0044】
外周領域22cには、回転板22の中心に対して30°の位相ごとに1個の貫通孔22aが設けられている。内周領域22dには、回転板22の中心に対して60°の位相ごとに1個の貫通孔22aが設けられている。内周領域22dに設けられた貫通孔22aは、外周領域22cに1個おきに設けられた貫通孔22aに対してそれぞれ同位相となるように配置されている。
【0045】
フィルタ24は、例えばアルミニウムなど粒子線の照射エネルギーを吸収する材料からなる基板であり、回転板22の貫通孔22aに重なる位置にそれぞれ配置されている。フィルタ24は、貫通孔22aに重なる位置に配置されているため、フィルタ24についても、回転軸27を中心とする2つの同心円上に配置されていることになる。
【0046】
また、外周領域22cには回転板22の中心に対して30°の位相ごとに1個のフィルタ24が設けられており、内周領域22dには回転板22の中心に対して60°の位相ごとに1個のフィルタ24が設けられていることになる。
【0047】
さらに、内周領域22dに設けられたフィルタ24は、外周領域22cに1個おきに設けられたフィルタ24に対して、それぞれ同位相となるように配置されていることになる。
【0048】
このフィルタ24は、例えばネジなどの固定部材によって回転板22に固定されている。フィルタ24の基板面の面積は貫通孔22aの面積よりも大きくなっており、フィルタ24によって貫通孔22aが完全に覆われた状態になっている。各フィルタ24の寸法及び形状はほぼ同一になっている。各フィルタ24は、図4に示すように、回転板22の板面22fに平行な一平面Q上に配置されている。
【0049】
図3に戻って、フレーム25は、フィルタ24の位置を規制するガイド部材であり、回転板22のうちフィルタ24の周縁部に沿うように設けられている。フレーム25は、フィルタ24の周縁部のうち回転板22の径方向に沿った2つの端辺24a(側辺)をカバーするように設けられている部分と、フィルタ24の周縁部のうち回転板22の回転軸27側の端辺24bをカバーするように設けられている部分とを有している。フィルタ24が設けられることによって、回転板22にフィルタ24を設置するときには、フレーム25の間をスライドさせて位置決めできるようになっている。
【0050】
外周領域22cと内周領域22dとで同一位相となる位置に設けられたフィルタ24の側辺24aには、当該外周領域22c及び内周領域22dの2つのフィルタ24に跨るようにフレーム25が設けられている。また、同一位相となる位置に設けられたフィルタ24のうち外周領域22c内のフィルタ24の回転軸27側の端辺24bには、フレーム25が設けられていない。このため、外周領域22cのフィルタ24と内周領域22dのフィルタ24とを共通のフレーム25によってスライドさせることが可能になっている。
【0051】
外周領域22cに設けられたフィルタ24のうち、内周領域22dに設けられたフィルタ24と同一位相になっていないフィルタ24については、1つのフィルタ24ごとに当該フィルタ24の側辺24a及び回転軸27側の端辺24bに沿ってフレーム25が設けられている。
【0052】
図5は、フィルタ24のうち粒子線の入射面側の構成を示す平面図である。
同図に示すように、フィルタ24は平面視でほぼ矩形になっている。フィルタ24の図中上側が回転板22の外周22b側に配置され、フィルタ24の図中下側が回転板22の回転軸27側に配置されるようになっている。
【0053】
フィルタ24のうち図中下側(回転軸27側に配置される側)の2つの角部が切り取られた状態になっている。このため、フィルタ24の辺のうち回転板の外周22b側に配置される辺24dの長さt1よりも回転軸27側に配置される端辺24bの長さt2方が短くなっている。
【0054】
フィルタ24には、粒子線の入射面側にリッジ30が形成されている。各リッジ30は、図中左右方向に延在するように形成されており、図中上下方向にストライプ状に配置されている。
【0055】
図6は、図5におけるA−A断面に沿った形状を示す図である。図中左側が粒子線の入射面側、図中右側が粒子線の射出側である。
同図に示すように、フィルタ24に形成されたリッジ30は、フィルタ24の基板面24eに対して粒子線の入射側に突出するように設けられている。この突出部の断面は、基板面24eからの高さが高くなるほど細くなっており、断面視で略三角形になっている。基板面24eからリッジ30先端部分までの高さh1は、フィルタ24ごとに異なっている。このため、粒子線の経路上に異なるフィルタ24を配置することによって、吸収される粒子線のエネルギーを異ならせることができるようになっている。
【0056】
図7は、フィルタ24のリッジ30を拡大して示した図である。
同図に示すように、各リッジ30は、先端部に近づくにつれて段階的に幅(延在方向に直交する方向の寸法)が狭くなるように形成されており、フィルタ24を透過する粒子線は、フィルタ24の平面視での位置によってリッジ30を透過する長さが異なるようになっている。
【0057】
次に、上記のように構成された粒子線照射システムの動作を説明する。
粒子線発生装置2で発生した粒子線は、加速装置3において所定のエネルギー(290MeV/u程度)にまで加速される。粒子線の照射エネルギーが大きくなった状態で、輸送管5を経て加速装置3から粒子線照射装置4(水平照射装置4a及び垂直照射装置4b)に入射する。
【0058】
各粒子線照射装置4に入射した粒子線は、モニタ部11、ワブラー電磁石12、散乱体13を順に通過する。この過程では、患者Tの体内に照射する粒子線の線量が測定され、粒子線が正しい位置にあるかどうかの識別が行われ、粒子線を走査して位置合わせが行われ、粒子線の照射範囲が径方向に拡大される。
【0059】
粒子線の入射前にリッジフィルタ15の回転板22を回転させ、粒子線の経路上に所定のフィルタ24を配置する。
【0060】
回転板22の外周領域22cに設けられたフィルタ24と内周領域22dに設けられたフィルタ24とを交換するときであっても、回転板22を水平方向の2箇所に移動するだけで済むため、移動の制御はスムーズに行われる。
【0061】
また、内周領域22dに設けられた貫通孔22aと外周領域22cに1つおきに設けられた貫通孔22aとが、回転板22の回転方向において同一の位相となる位置に配置されているので、回転板22の回転させる際には、同一位相の貫通孔22a上に設けられる2つのフィルタ24の回転角の制御が共通して行われる。
【0062】
フィルタ24が回転板22の板面に平行な一平面上に配置されているため、粒子線の入射する位置が粒子線の進行方向に前後することなく、どのフィルタ24を配置する場合であっても粒子線の経路において同一の環境になる。
【0063】
粒子線は、リッジフィルタ15のフィルタ24及び貫通孔22aを通過する。フィルタ24を通過するときに、フィルタ24に設けられたリッジ30の高さに応じて粒子線のエネルギーが吸収される。
【0064】
リッジフィルタ15を通過した粒子線は、レンジシフタ16においてエネルギーが吸収され、患者Tの体表面から深さ方向に対する粒子線の到達位置が調節される。この粒子線は、アライメント18において粒子線の照射エネルギーの分布が測定される。アライメント18を通過した粒子線は、コリメータ19によって患者Tの患部の形状に対応した照射領域となるように一部が遮断され、この状態で患者Tへ向けて射出される。
【0065】
このように、本実施形態によれば、回転板22には回転軸27を中心とする複数の同心円上にそれぞれ複数の貫通孔22aが設けられているので、複数の貫通孔22aが密集して配置されることになる。粒子線の入射面にリッジ30を有する複数のフィルタ24は、この複数の貫通孔22aをそれぞれ覆うように回転板22の板面上に設けられているので、フィルタ24についても密集して配置されることになる。貫通孔22a及びフィルタ24が密集して配置される分、回転板の回転軸を中心とする1つの同心円上に基板を設ける従来の構成に比べて、回転板22の寸法を小さくすることができる。これにより、リッジフィルタ15を小型化することが可能となる。
【0066】
また、本実施形態によれば、回転板22を回転させる回転機構28に加えて、回転板22を水平方向に移動させる移動機構29が設けられているので、外周領域22cに設けられたフィルタ24と内周領域22dに設けられたフィルタ24とを粒子線の照射領域Pに重なるように、適宜移動させることが可能となる。これにより、粒子線の照射領域Pの位置を変更する必要が無いため、リッジフィルタ15の設計が複雑化するのを回避することができる。
【0067】
さらに、本実施形態によれば、従来の構成に比べて回転板22を小型化することができるので、回転板22の重量も軽量化されることになる。このため、当該回転板22を回転させる回転機構28や、回転板22を水平方向に移動させる移動機構29の負荷を軽くすることができる。これにより、回転機構28及び移動機構29を小型化することができ、例えば回転板22に取り付けたり、ステージ21内に設けたりすることができる上に、回転板22の動作を軽快に行うことができるという利点もある。
【0068】
このように、回転板22の寸法が小さく、小型のリッジフィルタ15を備えているので、小型の粒子線照射装置4を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態に係る粒子線照射システムの構成を示す図。
【図2】本実施形態に係る粒子線照射装置の構成を示す図。
【図3】本実施形態に係るリッジフィルタの構成を示す正面図。
【図4】本実施形態に係るリッジフィルタの構成を示す側面図。
【図5】本実施形態に係るリッジフィルタのパネルの構成を示す平面図。
【図6】本実施形態に係るリッジフィルタのパネルの構成を示す側面図。
【図7】本実施形態に係るリッジフィルタのパネルの一部の構成を示す図。
【符号の説明】
【0070】
1…粒子線照射システム 2…粒子線発生装置 4…粒子線照射装置 4a…水平照射装置 4b…垂直照射装置 15…リッジフィルタ 21…ステージ 22…回転板 22a…貫通孔 23…回転板支持部 24…フィルタ 24a…側辺 24b…端辺 25…フレーム 27…回転軸 28…回転機構 29…移動機構 30…リッジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の患部に粒子線を照射して治療する粒子線照射装置に設けられ、前記粒子線の拡大ブラッグピークを形成するリッジフィルタであって、
回転軸を有し当該回転軸を中心に回転可能に設けられ、前記回転軸を中心とする複数の同心円上にそれぞれ複数の貫通孔が設けられた回転板と、
前記複数の貫通孔をそれぞれ覆うように前記回転板の板面上に複数設けられ、前記粒子線の入射面にリッジが設けられた基板と、
前記回転板を回転させる回転機構と、
前記回転板を自身の基板面に沿った方向に移動させる移動機構と
を具備することを特徴とするリッジフィルタ。
【請求項2】
前記複数の貫通孔が前記回転軸を中心とする2つの同心円上にそれぞれ設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のリッジフィルタ。
【請求項3】
前記複数の貫通孔のうち少なくとも一部が、前記回転板の回転方向において同一の位相となる位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリッジフィルタ。
【請求項4】
前記回転板上に、前記基板の周縁部に沿うようにフレームが設けられており、
前記フレームが、前記同一の位相となる位置に設けられた複数の貫通孔をそれぞれ覆う複数の基板に跨って設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載のリッジフィルタ。
【請求項5】
前記基板が、前記回転板の板面に平行な一平面上に配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載のリッジフィルタ。
【請求項6】
前記基板のうち前記回転板の外周側よりも前記回転軸側の方が、前記回転板の回転方向における寸法が小さい
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載のリッジフィルタ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のうちいずれか一項に記載のリッジフィルタを備えたことを特徴とする粒子線照射装置。
【請求項1】
患者の患部に粒子線を照射して治療する粒子線照射装置に設けられ、前記粒子線の拡大ブラッグピークを形成するリッジフィルタであって、
回転軸を有し当該回転軸を中心に回転可能に設けられ、前記回転軸を中心とする複数の同心円上にそれぞれ複数の貫通孔が設けられた回転板と、
前記複数の貫通孔をそれぞれ覆うように前記回転板の板面上に複数設けられ、前記粒子線の入射面にリッジが設けられた基板と、
前記回転板を回転させる回転機構と、
前記回転板を自身の基板面に沿った方向に移動させる移動機構と
を具備することを特徴とするリッジフィルタ。
【請求項2】
前記複数の貫通孔が前記回転軸を中心とする2つの同心円上にそれぞれ設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のリッジフィルタ。
【請求項3】
前記複数の貫通孔のうち少なくとも一部が、前記回転板の回転方向において同一の位相となる位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリッジフィルタ。
【請求項4】
前記回転板上に、前記基板の周縁部に沿うようにフレームが設けられており、
前記フレームが、前記同一の位相となる位置に設けられた複数の貫通孔をそれぞれ覆う複数の基板に跨って設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載のリッジフィルタ。
【請求項5】
前記基板が、前記回転板の板面に平行な一平面上に配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載のリッジフィルタ。
【請求項6】
前記基板のうち前記回転板の外周側よりも前記回転軸側の方が、前記回転板の回転方向における寸法が小さい
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載のリッジフィルタ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のうちいずれか一項に記載のリッジフィルタを備えたことを特徴とする粒子線照射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2008−272268(P2008−272268A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120329(P2007−120329)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】
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