リバウンドストッパ
【課題】衝突音の低減を図ったリバウンドストッパを提供する。
【解決手段】シリンダ300内で往復移動可能に設けられたロッド200の外周に装着されると共に、一端側端面101がリバウンドシート210に対向し、かつ他端側端面102がロッドガイド310に対向するように配置され、リバウンドシート210がロッドガイド310に向かう方向にロッド200が移動した際に、他端側端面102がロッドガイド310に衝突して、リバウンドシート210とロッドガイド310によって圧縮されることにより衝撃を吸収する、略円筒状のウレタン製のリバウンドストッパ100において、リバウンドストッパ本体には、筒の内部から外部に貫通する貫通孔120が複数形成されていることを特徴とする。
【解決手段】シリンダ300内で往復移動可能に設けられたロッド200の外周に装着されると共に、一端側端面101がリバウンドシート210に対向し、かつ他端側端面102がロッドガイド310に対向するように配置され、リバウンドシート210がロッドガイド310に向かう方向にロッド200が移動した際に、他端側端面102がロッドガイド310に衝突して、リバウンドシート210とロッドガイド310によって圧縮されることにより衝撃を吸収する、略円筒状のウレタン製のリバウンドストッパ100において、リバウンドストッパ本体には、筒の内部から外部に貫通する貫通孔120が複数形成されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リバウンドストッパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のサスペンションなどには、車体が宙に浮いた際の衝撃を吸収するためにリバウンドストッパが設けられている。かかるリバウンドストッパとして、ウレタン製の略円筒状のものが知られている(特許文献1,2参照)。このような従来例に係るリバウンドストッパについて、図7を参照して説明する。図7は従来例に係るリバウンドストッパの装着状態を示す模式的断面図である。
【0003】
このリバウンドストッパ500は、一端側端面501がロッド200に設けられたリバウンドシート210に当接するように配置され、ロッド200が一定以上伸びると、他端側端面502がシリンダ300の内周に設けられているロッドガイド310に衝突するように構成されている。そして、リバウンドストッパ500は、他端側端面502がロッドガイド310に衝突することにより、リバウンドシート210とロッドガイド310とにより挟み込まれて圧縮され、衝撃を吸収する。
【0004】
しかしながら、ウレタン製のリバウンドストッパ500は、比較的硬度が高く、衝突した際の初期の圧縮量(たわみ量)が小さいため、衝突音が大きくなってしまう問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−225744号公報
【特許文献2】特開2002−39252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、衝突音の低減を図ったリバウンドストッパを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0008】
すなわち、本発明のリバウンドストッパは、
シリンダ内で往復移動可能に設けられたロッドの外周に装着されると共に、一端側端面が前記ロッドに設けられたリバウンドシートに対向し、かつ他端側端面が前記シリンダの内周に設けられた被衝突部材に対向するように配置され、
前記リバウンドシートが前記被衝突部材に向かう方向に前記ロッドが移動した際に、前記他端側端面が前記被衝突部材に衝突して、前記リバウンドシートと被衝突部材によって圧縮されることにより衝撃を吸収する、略円筒状のウレタン製のリバウンドストッパにおいて、
リバウンドストッパ本体には、筒の内部から外部に貫通する貫通孔が複数形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、リバウンドストッパ本体に複数の貫通孔が形成されているので、リバウンドストッパがリバウンドシートと被衝突部材によって圧縮された場合に、圧縮方向に変形され易くなる。従って、衝突時の初期のリバウンドストッパの圧縮量(たわみ量)を
大きくすることができ、衝突音を低減させることができる。
【0010】
前記リバウンドストッパ本体の外周側には、前記ロッドの伸びる方向にそれぞれ間隔を空けて複数の環状溝が形成されており、
複数の前記貫通孔は、これらの環状溝の溝底に形成されているとよい。
【0011】
このように、リバウンドストッパ本体の外周側に複数の環状溝が形成されることと、環状溝の溝底に貫通孔が形成されることとの相乗効果によって、リバウンドストッパをより効果的に圧縮し易くすることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、衝撃音を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明の実施例1に係るリバウンドストッパの斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施例1に係るリバウンドストッパの模式的断面図である。
【図3】図3は本発明の実施例1に係るリバウンドストッパの模式的断面図である。
【図4】図4は本発明の実施例1に係るリバウンドストッパの模式的断面図である。
【図5】図5は本発明の実施例1に係るリバウンドストッパの装着状態を示す模式的断面図である。
【図6】図6は本発明の実施例2に係るリバウンドストッパの斜視図である。
【図7】図7は従来例に係るリバウンドストッパの装着状態を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0015】
(実施例1)
図1〜図5を参照して、本発明の実施例1に係るリバウンドストッパについて説明する。なお、図1は本実施例に係るリバウンドストッパの斜視図であり、図2〜図4は本実施例に係るリバウンドストッパの断面図であり、図5は本実施例に係るリバウンドストッパの装着状態を示す模式的断面図である。ここで、図2は、リバウンドストッパにおいて、中心軸を通り、かつ後述する貫通孔120が設けられていない位置を通るように切断した断面図であり、図3においてBBの位置で切断したものに相当する。図3は、リバウンドストッパにおいて、中心軸に垂直に、かつ貫通孔120が設けられている位置を通るように切断した断面図であり、図2においてAAの位置で切断したものに相当する。図4は、リバウンドストッパにおいて、中心軸を通り、かつ貫通孔120が設けられている位置を通るように切断した断面図であり、図3においてCCの位置で切断したものに相当する。図5中のリバウンドストッパ100は、図4に示したものに相当する。
【0016】
<リバウンドストッパの構成>
特に、図1〜図5を参照して、本発明の実施例1に係るリバウンドストッパの構成について説明する。
【0017】
本実施例に係るリバウンドストッパ100は、自動車のサスペンションなどに用いられるものである。すなわち、図5に示すように、リバウンドストッパ100は、サスペンションを構成するシリンダ300内で往復移動可能に設けられたロッド(ピストンロッド)
200の外周に装着される。また、リバウンドストッパ100は、一端側端面101がロッド200に設けられたリバウンドシート210に対向し、かつ他端側端面102がシリンダ300の内周に設けられた被衝突部材としてのロッドガイド310に対向するように配置される。なお、ロッドガイド310は、ロッド200の軸受として機能する。
【0018】
通常状態においては、リバウンドストッパ100の一端側端面101はリバウンドシート210に当接し、他端側端面102とロッドガイド310との間には隙間が空いた状態となっている。そして、車体が宙に浮いた状態になると、ロッド200が図5中上方向に移動する。つまり、リバウンドシート210がロッドガイド310に向かう方向にロッド200が移動する。そして、ロッド200の移動量が一定値を超えると、リバウンドストッパ100の他端側端面102がロッドガイド310に衝突する。これにより、リバウンドストッパ100は、リバウンドシート210とロッドガイド310によって圧縮され、衝撃を吸収する。
【0019】
リバウンドストッパ100の素材としては、比較的剛性が高く、耐久性に優れた材料であるウレタンが採用されている。また、リバウンドストッパ100は、略円筒状の部材により構成されており、その筒内にロッド200が挿通される。
【0020】
そして、リバウンドストッパ100の外周側には、ロッド200の伸びる方向(つまり軸方向)にそれぞれ間隔を空けて複数(本実施例では4つ)の環状溝110が形成されており、全体的な形状が蛇腹形状となるように構成されている。
【0021】
また、これら複数の環状溝110の溝底には、筒の内部から外部に貫通する複数の貫通孔120が形成されている。本実施例においては、4か所の環状溝110に対して、それぞれ4か所に貫通孔120が形成されている。これら4か所の貫通孔120は周方向に90°毎に設けられている。そして、本実施例では、4か所の環状溝110にそれぞれ設けられている4か所の貫通孔120は、どの環状溝110に対しても、周方向に対して同じ位置に配置されている。従って、各図から明らかなように、複数の貫通孔120は、ロッド200の伸びる方向(つまり軸方向)に直線状に並ぶように、合計4列配置されている。
【0022】
<本実施例に係るリバウンドストッパの優れた点>
以上のように、本実施例に係るリバウンドストッパ100によれば、リバウンドストッパ本体に複数の貫通孔120が形成されているので、リバウンドストッパ100がリバウンドシート210とロッドガイド310によって圧縮された場合に、圧縮方向に変形され易くなる。従って、衝突時の初期のリバウンドストッパ100の圧縮量(たわみ量)を大きくすることができ、衝突音を低減させることができる。
【0023】
そして、本実施例では、リバウンドストッパ本体の外周側に複数の環状溝110が形成されることと、これらの環状溝110の溝底に貫通孔120が形成されることとの相乗効果によって、リバウンドストッパ100をより効果的に圧縮し易くすることができる。従って、衝突音を効果的に抑制することができる。
【0024】
また、本実施例においては、リバウンドストッパ100の一端側端面101がリバウンドシート210に当接し、かつリバウンドストッパ100の他端側端面102がロッドガイド310に衝突する構成を採用している。従って、リバウンドストッパ100がリバウンドシート210とロッドガイド310によって圧縮される場合において、リバウンドストッパ100のある特定の一部分に応力が集中してしまうようなことはなく、衝突時の破損を抑制することができる。
【0025】
(実施例2)
図6には、本発明の実施例2が示されている。上記実施例1では、各環状溝にそれぞれ設けられる貫通孔が、どの環状溝に対しても、周方向に対して同じ位置に配置される場合を示したが、本実施例では、隣り合う環状溝にそれぞれ設けられている複数の貫通孔が周方向に対してずれた位置に配置される場合を示す。貫通孔の配置位置以外の構成および作用については実施例1と同一なので、その説明は適宜省略する。
【0026】
本実施例に係るリバウンドストッパ100aにおいても、その外周側には、ロッドの伸びる方向(つまり軸方向)にそれぞれ間隔を空けて複数(本実施例では4つ)の環状溝が形成されており、全体的な形状が蛇腹形状となるように構成されている。これらの環状溝について、以下、説明の便宜上、第1環状溝111,第2環状溝112,第3環状溝113,第4環状溝114と称する。
【0027】
そして、これら第1環状溝111,第2環状溝112,第3環状溝113,第4環状溝114には、それぞれ4か所に貫通孔121,122,123,124が設けられている。各環状溝にそれぞれ設けられた4か所の貫通孔121,122,123,124は、いずれも周方向に90°毎に設けられている。
【0028】
そして、第1環状溝111に設けられた4か所の貫通孔121と、第2環状溝112に設けられた4か所の貫通孔122とは周方向に対して45°ずれた配置関係にある。また、第1環状溝111に設けられた4か所の貫通孔121と、第3環状溝113に設けられた4か所の貫通孔123とは周方向に対して同じ位置にある。更に、第1環状溝111に設けられた4か所の貫通孔121と、第4環状溝114に設けられた4か所の貫通孔124とは周方向に対して45°ずれた配置関係にある。
【0029】
このように、本実施例に係るリバウンドストッパ100aにおいては、隣り合う環状溝にそれぞれ設けられている複数の貫通孔が周方向に対してずれるように配置されている。
【0030】
以上のように構成されたリバウンドストッパ100aにおいても、上記実施例1に係るリバウンドストッパ100と同様の効果を得ることができる。また、本実施例の場合には、実施例1の場合に比べて、貫通孔の配置されている部位が周方向に対して、より分散されているので、リバウンドストッパ100aの圧縮変形のされ方を、周方向に対して、より均一にすることができる。
【0031】
<その他>
リバウンドストッパに設ける環状溝や貫通孔の数及び配置位置については、上記各実施例に示したものに限定されるものではない。すなわち、使用環境に応じて、耐久性との関係で、環状溝と貫通孔の数及び配置位置を適宜設定すればよい。また、上記各実施例においては、リバウンドストッパが効果的に圧縮されるように、環状溝の溝底に貫通孔を設ける場合を示したが、環状溝以外の部位に貫通孔を設けても圧縮性を高めることができる。また、環状溝を有していないリバウンドストッパであっても、複数の貫通孔を設けることによって、圧縮性を高めることができる。
【符号の説明】
【0032】
100,100a リバウンドストッパ
101 一端側端面
102 他端側端面
110 環状溝
111 第1環状溝
112 第2環状溝
113 第3環状溝
114 第4環状溝
120,121,122,123,124 貫通孔
200 ロッド
210 リバウンドシート
300 シリンダ
310 ロッドガイド
【技術分野】
【0001】
本発明は、リバウンドストッパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のサスペンションなどには、車体が宙に浮いた際の衝撃を吸収するためにリバウンドストッパが設けられている。かかるリバウンドストッパとして、ウレタン製の略円筒状のものが知られている(特許文献1,2参照)。このような従来例に係るリバウンドストッパについて、図7を参照して説明する。図7は従来例に係るリバウンドストッパの装着状態を示す模式的断面図である。
【0003】
このリバウンドストッパ500は、一端側端面501がロッド200に設けられたリバウンドシート210に当接するように配置され、ロッド200が一定以上伸びると、他端側端面502がシリンダ300の内周に設けられているロッドガイド310に衝突するように構成されている。そして、リバウンドストッパ500は、他端側端面502がロッドガイド310に衝突することにより、リバウンドシート210とロッドガイド310とにより挟み込まれて圧縮され、衝撃を吸収する。
【0004】
しかしながら、ウレタン製のリバウンドストッパ500は、比較的硬度が高く、衝突した際の初期の圧縮量(たわみ量)が小さいため、衝突音が大きくなってしまう問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−225744号公報
【特許文献2】特開2002−39252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、衝突音の低減を図ったリバウンドストッパを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0008】
すなわち、本発明のリバウンドストッパは、
シリンダ内で往復移動可能に設けられたロッドの外周に装着されると共に、一端側端面が前記ロッドに設けられたリバウンドシートに対向し、かつ他端側端面が前記シリンダの内周に設けられた被衝突部材に対向するように配置され、
前記リバウンドシートが前記被衝突部材に向かう方向に前記ロッドが移動した際に、前記他端側端面が前記被衝突部材に衝突して、前記リバウンドシートと被衝突部材によって圧縮されることにより衝撃を吸収する、略円筒状のウレタン製のリバウンドストッパにおいて、
リバウンドストッパ本体には、筒の内部から外部に貫通する貫通孔が複数形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、リバウンドストッパ本体に複数の貫通孔が形成されているので、リバウンドストッパがリバウンドシートと被衝突部材によって圧縮された場合に、圧縮方向に変形され易くなる。従って、衝突時の初期のリバウンドストッパの圧縮量(たわみ量)を
大きくすることができ、衝突音を低減させることができる。
【0010】
前記リバウンドストッパ本体の外周側には、前記ロッドの伸びる方向にそれぞれ間隔を空けて複数の環状溝が形成されており、
複数の前記貫通孔は、これらの環状溝の溝底に形成されているとよい。
【0011】
このように、リバウンドストッパ本体の外周側に複数の環状溝が形成されることと、環状溝の溝底に貫通孔が形成されることとの相乗効果によって、リバウンドストッパをより効果的に圧縮し易くすることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、衝撃音を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明の実施例1に係るリバウンドストッパの斜視図である。
【図2】図2は本発明の実施例1に係るリバウンドストッパの模式的断面図である。
【図3】図3は本発明の実施例1に係るリバウンドストッパの模式的断面図である。
【図4】図4は本発明の実施例1に係るリバウンドストッパの模式的断面図である。
【図5】図5は本発明の実施例1に係るリバウンドストッパの装着状態を示す模式的断面図である。
【図6】図6は本発明の実施例2に係るリバウンドストッパの斜視図である。
【図7】図7は従来例に係るリバウンドストッパの装着状態を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0015】
(実施例1)
図1〜図5を参照して、本発明の実施例1に係るリバウンドストッパについて説明する。なお、図1は本実施例に係るリバウンドストッパの斜視図であり、図2〜図4は本実施例に係るリバウンドストッパの断面図であり、図5は本実施例に係るリバウンドストッパの装着状態を示す模式的断面図である。ここで、図2は、リバウンドストッパにおいて、中心軸を通り、かつ後述する貫通孔120が設けられていない位置を通るように切断した断面図であり、図3においてBBの位置で切断したものに相当する。図3は、リバウンドストッパにおいて、中心軸に垂直に、かつ貫通孔120が設けられている位置を通るように切断した断面図であり、図2においてAAの位置で切断したものに相当する。図4は、リバウンドストッパにおいて、中心軸を通り、かつ貫通孔120が設けられている位置を通るように切断した断面図であり、図3においてCCの位置で切断したものに相当する。図5中のリバウンドストッパ100は、図4に示したものに相当する。
【0016】
<リバウンドストッパの構成>
特に、図1〜図5を参照して、本発明の実施例1に係るリバウンドストッパの構成について説明する。
【0017】
本実施例に係るリバウンドストッパ100は、自動車のサスペンションなどに用いられるものである。すなわち、図5に示すように、リバウンドストッパ100は、サスペンションを構成するシリンダ300内で往復移動可能に設けられたロッド(ピストンロッド)
200の外周に装着される。また、リバウンドストッパ100は、一端側端面101がロッド200に設けられたリバウンドシート210に対向し、かつ他端側端面102がシリンダ300の内周に設けられた被衝突部材としてのロッドガイド310に対向するように配置される。なお、ロッドガイド310は、ロッド200の軸受として機能する。
【0018】
通常状態においては、リバウンドストッパ100の一端側端面101はリバウンドシート210に当接し、他端側端面102とロッドガイド310との間には隙間が空いた状態となっている。そして、車体が宙に浮いた状態になると、ロッド200が図5中上方向に移動する。つまり、リバウンドシート210がロッドガイド310に向かう方向にロッド200が移動する。そして、ロッド200の移動量が一定値を超えると、リバウンドストッパ100の他端側端面102がロッドガイド310に衝突する。これにより、リバウンドストッパ100は、リバウンドシート210とロッドガイド310によって圧縮され、衝撃を吸収する。
【0019】
リバウンドストッパ100の素材としては、比較的剛性が高く、耐久性に優れた材料であるウレタンが採用されている。また、リバウンドストッパ100は、略円筒状の部材により構成されており、その筒内にロッド200が挿通される。
【0020】
そして、リバウンドストッパ100の外周側には、ロッド200の伸びる方向(つまり軸方向)にそれぞれ間隔を空けて複数(本実施例では4つ)の環状溝110が形成されており、全体的な形状が蛇腹形状となるように構成されている。
【0021】
また、これら複数の環状溝110の溝底には、筒の内部から外部に貫通する複数の貫通孔120が形成されている。本実施例においては、4か所の環状溝110に対して、それぞれ4か所に貫通孔120が形成されている。これら4か所の貫通孔120は周方向に90°毎に設けられている。そして、本実施例では、4か所の環状溝110にそれぞれ設けられている4か所の貫通孔120は、どの環状溝110に対しても、周方向に対して同じ位置に配置されている。従って、各図から明らかなように、複数の貫通孔120は、ロッド200の伸びる方向(つまり軸方向)に直線状に並ぶように、合計4列配置されている。
【0022】
<本実施例に係るリバウンドストッパの優れた点>
以上のように、本実施例に係るリバウンドストッパ100によれば、リバウンドストッパ本体に複数の貫通孔120が形成されているので、リバウンドストッパ100がリバウンドシート210とロッドガイド310によって圧縮された場合に、圧縮方向に変形され易くなる。従って、衝突時の初期のリバウンドストッパ100の圧縮量(たわみ量)を大きくすることができ、衝突音を低減させることができる。
【0023】
そして、本実施例では、リバウンドストッパ本体の外周側に複数の環状溝110が形成されることと、これらの環状溝110の溝底に貫通孔120が形成されることとの相乗効果によって、リバウンドストッパ100をより効果的に圧縮し易くすることができる。従って、衝突音を効果的に抑制することができる。
【0024】
また、本実施例においては、リバウンドストッパ100の一端側端面101がリバウンドシート210に当接し、かつリバウンドストッパ100の他端側端面102がロッドガイド310に衝突する構成を採用している。従って、リバウンドストッパ100がリバウンドシート210とロッドガイド310によって圧縮される場合において、リバウンドストッパ100のある特定の一部分に応力が集中してしまうようなことはなく、衝突時の破損を抑制することができる。
【0025】
(実施例2)
図6には、本発明の実施例2が示されている。上記実施例1では、各環状溝にそれぞれ設けられる貫通孔が、どの環状溝に対しても、周方向に対して同じ位置に配置される場合を示したが、本実施例では、隣り合う環状溝にそれぞれ設けられている複数の貫通孔が周方向に対してずれた位置に配置される場合を示す。貫通孔の配置位置以外の構成および作用については実施例1と同一なので、その説明は適宜省略する。
【0026】
本実施例に係るリバウンドストッパ100aにおいても、その外周側には、ロッドの伸びる方向(つまり軸方向)にそれぞれ間隔を空けて複数(本実施例では4つ)の環状溝が形成されており、全体的な形状が蛇腹形状となるように構成されている。これらの環状溝について、以下、説明の便宜上、第1環状溝111,第2環状溝112,第3環状溝113,第4環状溝114と称する。
【0027】
そして、これら第1環状溝111,第2環状溝112,第3環状溝113,第4環状溝114には、それぞれ4か所に貫通孔121,122,123,124が設けられている。各環状溝にそれぞれ設けられた4か所の貫通孔121,122,123,124は、いずれも周方向に90°毎に設けられている。
【0028】
そして、第1環状溝111に設けられた4か所の貫通孔121と、第2環状溝112に設けられた4か所の貫通孔122とは周方向に対して45°ずれた配置関係にある。また、第1環状溝111に設けられた4か所の貫通孔121と、第3環状溝113に設けられた4か所の貫通孔123とは周方向に対して同じ位置にある。更に、第1環状溝111に設けられた4か所の貫通孔121と、第4環状溝114に設けられた4か所の貫通孔124とは周方向に対して45°ずれた配置関係にある。
【0029】
このように、本実施例に係るリバウンドストッパ100aにおいては、隣り合う環状溝にそれぞれ設けられている複数の貫通孔が周方向に対してずれるように配置されている。
【0030】
以上のように構成されたリバウンドストッパ100aにおいても、上記実施例1に係るリバウンドストッパ100と同様の効果を得ることができる。また、本実施例の場合には、実施例1の場合に比べて、貫通孔の配置されている部位が周方向に対して、より分散されているので、リバウンドストッパ100aの圧縮変形のされ方を、周方向に対して、より均一にすることができる。
【0031】
<その他>
リバウンドストッパに設ける環状溝や貫通孔の数及び配置位置については、上記各実施例に示したものに限定されるものではない。すなわち、使用環境に応じて、耐久性との関係で、環状溝と貫通孔の数及び配置位置を適宜設定すればよい。また、上記各実施例においては、リバウンドストッパが効果的に圧縮されるように、環状溝の溝底に貫通孔を設ける場合を示したが、環状溝以外の部位に貫通孔を設けても圧縮性を高めることができる。また、環状溝を有していないリバウンドストッパであっても、複数の貫通孔を設けることによって、圧縮性を高めることができる。
【符号の説明】
【0032】
100,100a リバウンドストッパ
101 一端側端面
102 他端側端面
110 環状溝
111 第1環状溝
112 第2環状溝
113 第3環状溝
114 第4環状溝
120,121,122,123,124 貫通孔
200 ロッド
210 リバウンドシート
300 シリンダ
310 ロッドガイド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ内で往復移動可能に設けられたロッドの外周に装着されると共に、一端側端面が前記ロッドに設けられたリバウンドシートに対向し、かつ他端側端面が前記シリンダの内周に設けられた被衝突部材に対向するように配置され、
前記リバウンドシートが前記被衝突部材に向かう方向に前記ロッドが移動した際に、前記他端側端面が前記被衝突部材に衝突して、前記リバウンドシートと被衝突部材によって圧縮されることにより衝撃を吸収する、略円筒状のウレタン製のリバウンドストッパにおいて、
リバウンドストッパ本体には、筒の内部から外部に貫通する貫通孔が複数形成されていることを特徴とするリバウンドストッパ。
【請求項2】
前記リバウンドストッパ本体の外周側には、前記ロッドの伸びる方向にそれぞれ間隔を空けて複数の環状溝が形成されており、
複数の前記貫通孔は、これらの環状溝の溝底に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリバウンドストッパ。
【請求項1】
シリンダ内で往復移動可能に設けられたロッドの外周に装着されると共に、一端側端面が前記ロッドに設けられたリバウンドシートに対向し、かつ他端側端面が前記シリンダの内周に設けられた被衝突部材に対向するように配置され、
前記リバウンドシートが前記被衝突部材に向かう方向に前記ロッドが移動した際に、前記他端側端面が前記被衝突部材に衝突して、前記リバウンドシートと被衝突部材によって圧縮されることにより衝撃を吸収する、略円筒状のウレタン製のリバウンドストッパにおいて、
リバウンドストッパ本体には、筒の内部から外部に貫通する貫通孔が複数形成されていることを特徴とするリバウンドストッパ。
【請求項2】
前記リバウンドストッパ本体の外周側には、前記ロッドの伸びる方向にそれぞれ間隔を空けて複数の環状溝が形成されており、
複数の前記貫通孔は、これらの環状溝の溝底に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリバウンドストッパ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−167704(P2012−167704A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27402(P2011−27402)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】
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