リバウンド制御材
リバウンド制御を補助するために、約0.05以上のtanδを有するエネルギー吸収物質を含む高弾性部材を備える衝撃減衰システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の参照]
本明細書に記載される本願は、2008年3月17日に出願された同じ名称の仮出願(出願番号:61/037,067)に基づく権利を主張するものである。この仮出願の開示は全て、参照により本明細書に含まれる。
【0002】
[背景技術]
車両が静止構造物に衝突することの防止や、車両の搭乗者の負傷を軽減し、車両が受ける衝撃やダメージを低減することを目的として、様々なエネルギー吸収装置が高速道路およびレーストラックに沿って配置されている。
【0003】
従来、これらの装置のうちの多くは、車両が高速道路からはみ出るのを抑制する剛性の構造を有している。ここで1つ問題なのは、車両自体が衝突する際、衝撃をまともに受けてしまうことである。また、剛性を有するバリアには、車両を高速道路へリバウンドさせ、後続車両に衝突させてしまう可能性があるという問題もある。例えば、整列したバレルからなる堅固なバリアを開示する、1974年11月5日発行の米国特許番号3,845,936(Boedecker,Jr他)を参照するとよい。
【0004】
他の種類のバレルとしては、高速道路およびレースウェイに沿って配置されるエネルギー吸収バリア装置が含まれる。このようなバリアについては多くの種類が提案されてきた。例えば、ある種のバリア装置は、衝撃を受けたときに折り重なる、または壊れてしまう非可逆的な可縮性のエネルギー吸収物質を用いる。これらの種類の装置は、衝撃を受けている間にダメージを受けたり、破壊されてしまうので、一度衝撃を受けた後には必ず交換が必要となる。この作業には時間がかかり、コストもかかり、修理を行っている間は、道路を、何の保護も施されていない状態にしてしまう。例えば、1976年9月28日に発行された米国特許番号3,982,734(Walker);1982年3月30日に発行された米国特許番号4,321,989(Meinzer);1982年10月5日に発行された米国特許番号4,352、484(Gertz他);1989年3月28日に発行された米国特許番号4,815,565(Sicking他);1998年12月22日に発行された米国特許番号5,851,005(Machado);1999年9月28日に発行された米国特許番号5,851,005(Muller他);1999年9月28日に発行された米国特許番号5,957,435(Bronstad);2000年8月3日に発行された米国特許番号6,126,144(Hirsch他);2002年6月25日に発行された米国特許番号6,409,417(Muller他);2003年3月25日に発行された米国特許番号6,536,985(Albritton);2001年8月16日に公開されたUS2001/0014254(Albritton);2002年7月11日に公開されたUS2002/0090260(Albritton);2003年12月25日に公開されたUS2003/0234390(Bronstad);2004年1月29日に公開されたUS2004/0016916(Bronstad);1985年7月24日に公開されたEP000149567A2(DuPuis);1982年9月に公開されたDE003106694A1(Urberger)を参照するとよい。
【0005】
1987年6月23日に発行された米国特許番号4,674,911(Gertz)は、バリアに弾性を与えるために空気チェンバを主に用いる。
【0006】
1983年10月4日に発行されたUS4,4407,484(Meinzer)は、車両が受ける衝撃に対する弾性を有し、衝撃を減衰するためのスプリングを主に用いるバリアシステムを開示している。
【0007】
様々なバリアシステムが、車両の衝撃を低減するために流体を用いている。例えば、1984年6月5日に発行された米国特許番号4,452,431(Stephens他)および1986年6月5日に発行された米国特許番号4,583,716(Stephens他)は、旋回可能なダイヤフラムにおけるケーブルを用いて制御される満水バッファカートリッジを開示している。同様に、1972年6月27日に発行された米国特許番号3,672,657(Young他)および1972年6月4日に発行された3,674,115(Young他)は、バリアシステム内で配列される液体充填容器を開示している。1972年8月1日に発行された米国特許番号3,680,662(Walker他)は、液体充填バッファの群を示している。
【0008】
他の様々なシステムには、再利用が可能なエネルギー吸収装置が含まれている。例えば、1992年5月12日に発行された米国特許番号5,112,0238(Laturner);1994年5月24日に発行された米国特許番号5,314,261(Stephens);2000年1月4日には発行された米国特許番号6,010,275(Fitch);2000年6月11日に発行された米国特許番号6,085,878(Araki他);2000年11月21日に発行された米国特許番号6,149,134(Banks他);2003年3月18日に発行された米国特許番号6,553,495(Williams他);2003年4月29日に発行された米国特許番号6,554,429(Stephens他);2003年11月13日に公開されたUS2003/0210953A1(Williams他);1981年10月15日に公開されたJP356131848A(Miura他);1991年7月17日に公開されたEP000437313A1(Guerra)が挙げられる。
【0009】
1980年12月2日に発行された米国特許番号4,237,240(Jarre他)は、衝撃に対する高荷重の支圧強度および高いエネルギー吸収力を有する可塑性ポリウレタン発泡体を開示している。
【0010】
1988年2月2日に発行された米国特許番号4、722,946(Hostettler)は、エネルギー吸収ポリウレタンエラストマーおよび発泡体を開示している。
【0011】
2002年6月25日に発行された米国特許番号6,410,609(Taylor)は、低圧ポリウレタン発泡体を開示している。
【0012】
車両の搭乗者の負傷を最小限にする、または防止する衝撃減衰バリアシステムに対する需要がある。
【0013】
また、衝撃に対して完全に復元可能である衝撃減衰バリアシステムに対する需要がある。
【0014】
また、経済的で、使用時の信頼性を有し、設置やメンテナンスが容易である衝撃減衰バリアシステムに対する需要がある。
【0015】
また、例えば高速道路やレーストラック、さらには、保護用の防波提を含む海洋用途など、様々な環境において有効な衝撃減衰バリアシステムに対する需要がある。
【0016】
また、高速で走行するトラックおよび自動車からの衝撃エネルギーを吸収する衝撃減衰バリアシステムに対する需要がある。
【0017】
また、衝撃を受けたときには分解せず、衝撃を受けた箇所の周りに破片を分散させる衝撃減衰バリアシステムに対する需要がある。
【0018】
また、リバウンド速度を制御する衝撃減衰バリアシステムに対する需要がある。
【0019】
また、リバウンド速度を制御する自己修復式の衝撃減衰バリアシステムに対する需要がある。
【0020】
また、リバウンド速度を制御するためにも用いられるエネルギー吸収物質用の自己修復式の衝撃減衰バリアシステムに対する需要がある。
【0021】
[発明の概要]
衝撃減衰バリアシステムは、車両安全のための衝撃減衰バリアシステムであって、多数の構成の相関関係から効果を享受するものである。上記多数の構成としては、衝撃減衰バリアシステムにおける熱硬化性ポリウレタンエラストマー化合物の使用、所定の混合および処理工程を用いてこのようなエラストマー化合物を形成する方法、上記エラストマーバリア部材の形状、上記バリア部材の衝撃減衰バリアシステムへの組み込みや配置、が挙げられる。
【0022】
他の実施形態では、衝撃減衰システムは、サイドビームアセンブリと、該サイドビームアセンブリに固定されるノーズ型アセンブリとを有してもよい。サイドビームアセンブリは、サイドパネル部材がネスト化された線形の配置になるように隣接するパネルが重なるサイドパネルを複数備えている。少なくとも1つのダイヤフラムパネルは、対向するサイドパネル間に位置し、少なくとも1つの固定機構によって上記対向するサイドパネルに固定される。上記対向するサイドパネルおよび上記ダイヤフラムパネルは、少なくとも1つのベイを規定する。少なくとも1つの高弾性部材は、上記少なくとも1つのベイに位置し、複数の上記高弾性部材はそれぞれ異なる剛性を有する。少なくとも1つの係留システムは、上記サイドパネルおよびダイヤフラムパネルを互いに固定させる少なくとも1つのケーブルを有する。
【0023】
他の実施形態では、衝撃減衰システムは、高弾性部材を備えてもよく、−15℃から45℃の間の温度において、0.005以上のtanδを有するエネルギー吸収物質を備えてもよい。
【0024】
他の実施形態では、上記高弾性物質は、自由イソシアネートの含有量が約10%から約15%のMDIポリエーテルプレポリマーと、約20から約80のOH#を有する少なくとも1つの長鎖ポリエーテルまたはポリエステルポリオールと、全ヒドロキシル含有化合物の約30%から約45%である、少なくとも1つの短鎖ジオールと、少なくとも1つの触媒の混合物からなってもよく、加えられる成分の比率は、イソシアネート基に対して約20%から約10%上回る、高弾性物質である。
【0025】
上記高弾性物質は、様々な他の種類の生成物に適したものであり得るということを理解すべきである。このような生成物の例としては、限定するわけではないが、ヘルメット、パッドを含む作業用およびスポーツ用保護具、自動車のシート、ヘリコプター搭載用の台座シート、船積みドック用のバンパー等が挙げられる。
【0026】
添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むと、当業者であれば様々な目的および有利な点が明らかになるであろう。
【0027】
[図面の簡単な説明]
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、上記の概略的説明とともに実施形態を明らかにし、以下の実施形態の詳細な説明は、本開示の原理を説明するものである。米国特許7,300,233は本明細書に含まれ、この一部を構成する。
【0028】
図1は、衝撃減衰システムの一実施形態の概略平面図である。
【0029】
図2は、図1に示す実施形態の概略側面図である。
【0030】
図3は、概略端面図である。
【0031】
図4は、概略側面図である。
【0032】
図5は、図1に示す実施形態の概略透視図である。
【0033】
図6は、図1に示す衝撃減衰システムを圧縮した状態の実施形態の概略平面図である。
【0034】
図7は、衝撃減衰システムの他の実施形態の概略平面図である。
【0035】
図8は、衝撃減衰システムの他の実施形態の概略側面図である。
【0036】
図9は、衝撃減衰システムの他の実施形態の概略端面図である。
【0037】
図10は、実施例1において生成される物質の、温度に対する貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)、および減衰(tanδ)についてのグラフを示す。
【0038】
図11は、様々な歪み速度における実施例1において生成される物質についての、工学引張応力−歪みのプロットのグラフを示す。
【0039】
図12は、様々な歪み速度における実施例1において生成される物質についての、工学圧縮応力−歪みのプロットのグラフを示す。
【0040】
図13は、20in/sの負荷速度における5インチ直径シリンダーテストおよび有限要素シミュレーションのグラフを示す。
【0041】
図14は、20.8mph(33.5km/hr)における、半剛体の車両を原型成分に変化させる衝撃の、力と時間についてのグラフを示す。
【0042】
図15は、20.8mph(33.5km/hr)における、半剛体の車両を原型成分に変化させる衝撃の、速さと時間についてのグラフを示す。
【0043】
図16は、(a)衝撃の直後と(b)最大動的変位量におけるテスト品の写真を示す。
【0044】
図17は、負荷がテスト品から取り除かれた後のテスト品の写真を示す。
【0045】
[発明を実施するための形態]
粘弾性のある高分子材料を特徴付ける方法は、複素弾性率E*=E’−iE’’を測定することによって実行されるが、E’およびE’’は概ね、貯蔵弾性率および損失弾性率のそれぞれを示す。複素弾性率|E*|の程度は、[(E’)2+(E’’)2]1/2として規定され、最大応力の最大歪み(σ0/ε0)に対する比率も示す。貯蔵弾性率および損失弾性率の測定値によって、エネルギーを戻すための物質性能を、エネルギーを失うための該性能と対照できる。貯蔵弾性率E’および損失弾性率E’’は、動的機械分析(DMA)によって測定されてもよい。
【0046】
貯蔵弾性率E’は、定期的な変形が行われている間のエネルギー貯蔵および放出と関連する。損失弾性率E’’は、エネルギー分散と、熱への変換に関連する。これらの効果(E’’/E’)の比率はtanδであり、δは印加される力の間の位相ずれであり、上記物質はこの力に反応する。パラメータtanδは、粘弾性のある物質の減衰力の指標として広く用いられている。
【0047】
応力がエラストマーから取り除かれ、該エラストマーは元の形状に戻る。この動きは発熱性のものであり、リバウンドを減衰するエネルギー損失の原因となる。より大きなtanδの物質は、より大きな弾性率を有し、これによってリバウンド速度を減衰する。
【0048】
(装置)
衝撃減衰バリアシステムは、レーストラックや高速道路等の車両設備、または保護用の防波提等において用いられ得る。この衝撃減衰バリアシステムは、独自の高弾性のエネルギー吸収素子である、完全に復元可能な高弾性のエネルギー吸収素子を含む構成としてもよい。
【0049】
衝撃減衰バリアシステムは、少なくとも1つの高弾性部材を備える道路バリアであって、上記高弾性部材は、速度の影響を受けない高弾性を示すエネルギー吸収物質を備え、上記エネルギー吸収物質が、完全な復元性を維持しつつ、広い範囲の衝撃速度に対しても一定の力‐変位特性(force-displacement)を保つように、上記エネルギー吸収物質の永久ひずみを最小化する。
【0050】
衝撃減衰システム10の実施形態を図1〜6に示す。衝撃減衰システム10は、第1サイドビームアセンブリ12(図示せず)および対向する第2サイドビームアセンブリ14(図示せず)を有している。第1ビームアセンブリ12および第2ビームアセンブリ14は対向関係にある。図示する実施形態では、第1ビームアセンブリ12および第2ビームアセンブリ14は対向し、平行な関係にある。
【0051】
一実施形態では、ビームアセンブリは平行であり、前側から後側までの各ベイにおけるエネルギー吸収ユニットは、前側から後側に向かって徐々に変化する(徐々に増加する)剛性を有する。前側から後側に向かって徐々に増加する全体的な剛性を達成する手段として、いくつかの手段を挙げることができ、代表的な例としては、エネルギー吸収素子の壁の厚さ、形状、または物性を変化させることが挙げられるがこれらに限定されない。例えば、高速道路への応用例では、衝突を受ける構造を設けたり、および/またはシステムからの反力を段階的にする構成により、衝撃の初期段階ではよりソフトな反応(softer response)を返し、車両がシステム内に進むにつれてよりハードな反応(more stiff response)を返す構成としている。一実施形態として、エネルギー吸収ユニットは、後側から前側に向かって増加する剛性傾斜を有する構成としてもよい。他の実施形態として、複数のエネルギー吸収ユニットはそれぞれ異なる剛性を有する構成としてもよく、この場合、それぞれ異なる剛性を有する複数のエネルギー吸収ユニットをどのような順番で並べても良い。
【0052】
他の実施形態では、ビームアセンブリは平行である必要はない。例えば、特定の高速道路設備では、衝突を受ける構造を設けたり、および/またはシステムからの反力を段階的にする構成にするために、ビームアセンブリがテーパ型の構成を有することが望ましい(例えば、後方ベイではエネルギー分散物質をより狭い間隔で配列し、その一方で、前方ベイではエネルギー分散物質をより狭い間隔で配列する構成にすることで、衝撃の初期段階においてよりソフトな反応を返し、車両がシステム内に進むにつれてよりハードな反応を返すようにするようにしてもよい)。第1ビームアセンブリ12は、第1または先頭端部15、および第2端部16を有する。同様に、第2ビームアセンブリ14は、第1または先頭端部17、および第2端部18を有する。
【0053】
衝撃減衰システム10はまた、第1ビームアセンブリ12の第1端部15に対して、また、第2ビームアセンブリ14の第1端部17に対して安定的に固定されるノーズ型のアセンブリ19を含む。
【0054】
各サイドビームアセンブリ12および14は、概ね20a、20b、20c、20d、および20eとして示される複数のサイドパネルをさらに有する。説明を簡素化するために、各サイドビームアセンブリ12および14は同様のサイドパネル部材を有し、サイドビームアセンブリ12を含むサイドパネルは、20a〜20eとして設計され、サイドビーム14を含むサイドパネルは、20a’〜20e’として設計される。説明の簡素化のため、片方のみを詳細に説明する。第1サイドパネル20aは、第1端部22a(図示せず)および第2端部24aを有している。同様に、以降の各板20b等は、第1端部22b等および第2端部24b等を有している。第2端部24aは、隣接するパネル20bの第1端部22bと重なる。同様に、各隣接するパネルは、重なり第1端部および重なり第2端部を有している。サイドパネル部材20a〜20dは、ネスト化された線形の配置となる。サイドパネル部材20a’〜20d’はまた、ネスト化された線形の配置となる。図3および5に示すように、各サイドパネル20は、波または波状の3次元形状を有し得る。サイドパネル20は、以下の説明から明らかなように、他の適切な寸法を有してもよい。
【0055】
各サイドパネル20は、少なくとも1つの縦方向延長開口部を概ね規定する。図2に示す実施形態から分かるように、各サイドパネル20は、上方縦方向延長開口部またはスロット26a、および下方縦方向延長開口部またはスロット26bを有するが、これらは互いに平行な関係にある。サイドパネル20aのスロット26aは、隣接するサイドパネル20bにおける隣接するスロット26aに少なくとも部分的に重なる。同様に、各隣接するサイドパネルは、重なりスロット26を有する。
【0056】
衝撃減衰システム10は、ここで概ね30a、30b、30c、30d、30e、および30fとして示される複数のダイヤフラムパネルをさらに含む。説明の簡素化のため、各ダイヤフラムパネルは同じ特性を有し得るので、説明を簡素化するために1つのダイヤフラムパネルのみを詳細に説明しているということを理解されたい。図3に示すように、ダイヤフラムパネル30のそれぞれは、第1直立部材32および第2直立部材34、および少なくとも1つの交差部材(概ね36a、36b、36c、および36dとして示される)からなってもよく、該交差部材は第1直立部材32と第2直立部材34との間に延びている。第1および第2直立部材は、互いに間隔をあけられている複数の開口部38を含む。各開口部38は、固定機構40を受容し得る。他の実施形態では、ダイヤフラムパネル30は、例えばX形状(図示せず)または他の適切な構成に形成される交差部材36の他の構成を有し得る。
【0057】
第1ダイヤフラムパネル30aは、対向するサイドパネル20aおよび20a’の間に略直角に位置する。第1ダイヤフラムパネル30aは、固定機構40のうちの1つによって、対向するサイドパネル20aおよび20a’に固定される。固定機構40は、スロット26の幅よりも広いヘッドを有し得る少なくとも1つのスクリュータイプ部材42を含み得る。または、固定部材40は、上記スクリュータイプ部材42に対して軸方向に適合する少なくとも1つのワッシャタイプ部材44を含み得る。少なくとも1つのワッシャタイプ部材44は、スロット26の幅よりも大きな長さおよび幅寸法を有する。上記スクリュータイプ部材42は、サイドパネル20の外側表面からスロット26を介し、ダイヤフラムパネル30の直立部材32(または34)における隣接する開口部38を介して延び、六角ナット等の適切なロッキング部材46を用いて所定位置に保持される。固定機構40は、以下により詳細に説明するように、スロット26に沿って縦方向に移動させることが可能である。
【0058】
少なくとも部分的に組み立てられた状態において、衝撃減衰システム10は、複数の対向するサイドパネル20a〜20eおよび20a’〜20e’と、複数のダイヤフラムパネル30a〜30fを含む。組み立てられた状態では、第1の対向するサイドパネル20aおよび20a’は、第1ダイヤフラムパネル30aに固定される。すなわち、ダイヤフラムパネル30の第1直立部材32は、固定機構40を、サイドパネル20におけるスロット26を介して、また、直立部材32(または34)における隣接する開口部38を介して延ばすことによって、第1の対向するサイドパネル20a’に固定される。同様に、残りのサイドパネルは、残りのダイヤフラムパネルに固定される。
【0059】
そして、衝撃減衰システム10には複数のベイ50a〜50fが設けられている。各ベイ50は、対向するサイドパネル20およびダイヤフラムパネル30によって画定される。図1により最もよく分かるように、ベイ50aは、対向するサイドパネル20aおよび20a’によって、また、ダイヤフラムパネル30aおよびノーズ型のアセンブリ19によって画定される。同様に、残りのベイ50b〜50fは、対応するサイドパネルおよびダイヤフラムパネルによって画定される。衝撃減衰システム10は、より少数の、またはより多数のサイドパネルおよびダイヤフラムパネルを有してもよく、このようなサイドパネルおよびダイヤフラムパネルは、最終用途および保護されている物体に少なくとも部分的に基づいて構成されるということを理解すべきである。
【0060】
衝撃減衰システム10は、高弾性部材60を複数含み、該高弾性部材60は配列されていてもよい。図示する実施形態では、各高弾性部材60は、略チューブ状の側壁62を有している。高弾性部材60の寸法については、最終用途の要求に最も好適なものであればよいということを理解されたい。例えば、一実施形態として、本明細書における図面で示すように、高弾性部材60は、結合されたチューブ形状を有し、以下にさらに詳述するように、壁の厚さは前方高弾性部材で最も小さく、後方高弾性部材60に向けて徐々に厚さを増す高弾性部材となるように変化する構成としてもよい。
【0061】
衝撃減衰システム10は、第1係留システム70aおよび第2係留システム70bをさらに含む。説明を簡素化するため、1つの係留システム70のみを詳述するが、係留システム70aおよび70bはそれぞれ同じ特性を有してもよいことを理解されたい。図示する実施形態では、係留システム70は、上方ケーブル72および下方ケーブル74を備える。上方ケーブル72および下方ケーブル74は、それぞれ、第1端部71ないし73において第1または前方係留機構76に固定されている。第1または前方係留機構76としては、ループまたは他の装置等が挙げられる。図示する実施形態では、上方ケーブル72および下方ケーブル74は第2端部75および77においてそれぞれ、第2または後方係留機構80に固定されている。他の実施形態として、係留システム70がより少数の、またはより多数のケーブルを備えている構成としてもよい。前方係留機構76は、衝撃減衰システム10の前の地表や地下において、好適な方法で地面(図示せず)にしっかりと係留される。図4に示す実施形態で最もよく分かるように、下方ケーブル74は、各ダイヤフラムパネル30の各直立部材32の下方ケーブルガイド開口部82を介して延びている。図示する実施形態では、下方ケーブル74は、地面から約3インチ上で後方向に延び、衝撃減衰システム10の後方に設けられた係留システム80にケーブルの高さで取り付けられる。
【0062】
上方ケーブル72は、各ダイヤフラムパネル30の各直立部材32の上方ケーブルガイド開口部84を介して延びている。図示する実施形態では、第1ダイヤフラムパネル30aは、下方ケーブルガイド開口部82aから第1距離離れた箇所に上方ケーブルガイド開口部84aを有する。第2ダイヤフラムパネル30bは、下方ケーブルガイド開口部82bから第2距離離れた箇所に上方ケーブルガイド開口部84bを有する。上記第1距離は上記第2距離よりも短い。よって、上方ケーブル72はまず係留機構76から上方向に導かれ、第1ダイヤフラムパネル30aから第2ダイヤフラムパネル30bまで上方向に導かれる。その後、上方ケーブル72は、下方ケーブル74に略平行な後方向に、ダイヤフラムパネル30c〜30fを介して第2ダイヤフラムパネル30bから延びる。上方ケーブル72および下方ケーブル74の両方は、第2係留機構80に係留される。図示する実施形態では、ダイヤフラムパネル30c〜30fを介して延びる上方ケーブル72の一部は、地表面から15インチ上にある。
【0063】
衝撃減衰システム10はさらに、中程度の長さの係留システム90を少なくとも1つ有してもよい。図示する実施形態では、係留システム90は、第1端部78aに固定される少なくとも1つの中間ケーブル78を備え、地表より下にある大直径(12”〜14”直径)ガイド79を包み、そして第2端部が固定される反対側位置78bへと戻る。図示する実施形態では、中間ケーブルは第2端部78bにおいて、第2または後方係留機構80に固定される。他の実施形態として、中間係留機構90が、より少数の、またはより多数のケーブルを備える構成としてもよい。中間係留機構90は、ダイヤフラムパネル間の地表や地下において、好適な方法で地面(図示せず)にしっかりと係留される。図4に示す実施形態で分かるように、中間ケーブル78は、各ダイヤフラムパネル30の直立部材32のうちのいくつかにおける中間ケーブルガイド開口部82を介して延びる。図示する実施形態では、中間ケーブル78は地上約6インチで後方向に延び、衝撃減衰システム10の後方に設けられた係留システム(図示せず)にケーブル高さで取り付けられる。
【0064】
車両がまずノーズ型のアセンブリ19に衝突する正面衝突では、図5および図6に模式的に示すように、ネスト化されたサイドパネル20a〜20a’‐20f〜20f’の各セットが、隣接するサイドパネルに(多段式望遠鏡の筒のように)次々とはまり込み(telescope)、これにより衝撃減衰システム10が変形する。すなわち、隣接するサイドパネル20b〜20b’‐20f〜20f’の少なくとも1セットを通過するサイドパネル20a〜20a’は、衝突する車両によって移動され、これにより衝撃減衰システム10は縦方向に歪む。サイドパネル20a〜20a’のセットのそれぞれが、対応するスロット26に設けられた複数の個別の固定機構40によって、対応するダイヤフラムパネル30a〜30fに接続されているので、サイドパネル20a〜20a’の第1セットが、サイドパネル20b〜20b’の第2セットにおけるスロット26に沿ってスライドし、その様なスライドが連続するという構成としてもよい。サイドパネルのセットが後方に移動させられる距離と、後方に移動させられるサイドパネルのセットの数は、衝撃減衰システム10に対する衝撃に左右される。
【0065】
衝撃減衰システム10におけるこのテレスコープ特性は、システム10の端部に衝突する車両を安全に停止させ、その後、上記システム10を元の位置に戻すためのものである。ベイ50の数、ベイ毎の高弾性素子60の数、および高弾性素子60の形状は、予想される衝突エネルギーの範囲に基づいて、上記システム10の特定のアプリケーションを調節するように、容易に修正される。例えば、図1に示す高弾性素子60の構成およびベイ50の数は、50mphの速度で正面衝突する3400‐lb自動車を安全に停止させる。この場合に最大10msの平均衝突加速(average ride-down acceleration)は約25〜30g’sであり、50mphにおける堅い壁への車両の正面衝撃に比べると、衝撃力は70〜75%低減されていることになる。
【0066】
衝撃減衰システム10は、当該システムの側部に衝突する車両の方向を向けなおす能力を有し得る。正面衝突の際にシステム性能を損なうことなくこのような側部の衝撃を調節するために、サイドパネル20は、側部衝突が起こっている間、システムにおける各ベイ50の間に衝撃力を分散させる、オーバーラップしたスチールまたはHDPEパネルにおける、短い部分からなるのが好ましい。システム10の側部に対する衝突が起こっている間、衝突力はサイドパネル20からダイヤフラムパネル30を介してケーブル72および74に分散され、衝突負荷を係留部に伝達するように応力に作用し、これによってシステムは車両を危険から安全に回避させることができる。パネルを構成し得る材料としては、限定するわけではないが、高濃度ポリエチレン、スチール、アルミニウム、プラスチック、繊維強化プラスチック、および様々な複合材料が挙げられる。特定の実施形態では、車両の衝突を受けたとき、上記材料が復元可能である、または半ば復元可能であり、破片を全く、またはほとんど生じさせず、交換の必要が生じる前に複数の車両衝撃に耐え得ることが好ましい。図示する実施形態では、サイドパネルは、スチールシート(波状)からなる(例えば、10ゲージの3段ビーム(thrie-beam))。
【0067】
一実施形態では、図7、8、および9に示すIビームのように、お互いから離れた状態で平行に設けられた支持部材192aおよび192bの対を含む。長い方の最終ダイヤフラムパネル130eは、マウンティングブラケット等、少なくとも1つの適切な接続手段194によって支持部材192aおよび192bに接続される。上方ケーブル172の第2端部175は、支持部材192に固定される。下方ケーブル174の第2端部177はまた、支持部材192に固定される。後方係留機構190はさらに、第1Iビーム支持部材192aに設けられる第1L字屈曲ケーブルガード196aと、第2Iビーム支持部材192bに設けられる第2L字屈曲ケーブルガード196bとを有する。側部ビームパネル120は、該パネルの面上の任意の点に衝撃を受けたとき、上記システムの内部の構成要素を車両からの直接の衝撃から保護すると共にダイヤフラムパネル130に負荷を伝達するように十分な強度を与えるために、十分な高さを備える構造的部材である。上記パネルを構成し得る材料としては、高濃度ポリエチレン、スチール、アルミニウム、プラスチック、繊維強化プラスチック、および様々な複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、上記材料は復元可能か半ば復元可能なもので、車両の衝撃を受けたときに全く、またはほとんど破片を出さず、交換が必要になる前に複数回の車両衝撃に耐え得るようなものであることが好ましい。図示する実施形態では、サイドパネルはスチールシート(波状)(例えば10ゲージの3段ビーム(thrie-beam))からなる。
【0068】
他の実施形態として、係留システム170は、より少数の、またはより多数のケーブルを備えるという構成にしてもよいことは理解されよう。正面係留機構176は、衝撃減衰システム10の前面の地表や地下において、好適な方法で地面(図示せず)にしっかりと係留される。図8に示す実施形態で最もよく分かるように、下方ケーブル174は、ダイヤフラムパネル130の各直立部材132の各下方ケーブルガイド開口部178を介して延びている。図示する実施形態では、下方ケーブル174は、地上約3インチにおいて後方向に延び、衝撃減衰システム110の後方に設けられた係留システム(図示せず)にケーブル高さで取り付けられる。
【0069】
上方ケーブル172は、各ダイヤフラムパネル130の各直立部材132の上方ケーブルガイド開口部184を介して延びる。図示する実施形態では、第1ダイヤフラムパネル130aは、下方ケーブルガイド開口部182aから第1距離離れた箇所に上方ケーブルガイド開口部184aを有する。第2ダイヤフラムパネル130bは、下方ケーブルガイド開口部182bから第2距離離れた箇所に上方ケーブルガイド開口部184bを有する。上方ケーブル172がまず、正面係留機構176から上方向に導かれ、第1ダイヤフラムパネル130aから第2ダイヤフラムパネル130bへ上方向に導かれるように、第1距離は第2距離よりも短い。その後、情報ケーブル172は、下方ケーブル174に略平行な後方向に、ダイヤフラムパネル130c〜130eを介して第2ダイヤフラムパネル130bから延びる。上方ケーブル172および下方ケーブル174の両方は、第2係留機構190において係留される。図示する実施形態では、ダイヤフラムパネル130c〜130eを介して延びる上方ケーブル172の一部は、地上約15インチにある。
【0070】
ある実施形態では、サイドビームアセンブリは、複合材料からなることが好ましい硬質のU字形の構造を有している。複合材料としては、例えば、スチールのような金属、高濃度ポリプロピレン等のプラスチックが挙げられる。複合材料は復元可能、または半ば復元可能であり、車両の衝撃を受けたときに全く、またはほとんど破片を出さず、交換が必要になる前に複数回の車両衝撃に耐え得る。高弾性素子は、主要なエネルギー分散機構として機能し、衝撃の方向につぶれる。本実施形態に示す高弾性素子の形状によって、高弾性素子はまた、それらがつぶれるときに外側に広がる。
【0071】
ここで用いられる高弾性物質は、如何なる速度にも対応可能な高弾性力を発揮する新規な吸収物質である。高弾性物質は以下のような作用をする。すなわち、復元可能な状態を十分に維持しつつ、エネルギー吸収物質が広い範囲の衝撃速度においても一定の力‐変位特性を保つように、永久ひずみを最小化する。
(高弾性物質)
少なくとも約900〜1000S-1にいたる高い歪み速度の動荷重において、高弾性部材は高弾性力を発揮する。高弾性物質は、その特性として、直接衝撃を受けることができ、また、上記物質を構成する要素の瞬間的な復元を可能にする。高弾性物質は、エネルギー吸収アプリケーションにおいて非線形の弾性反応を有する。
【0072】
高弾性物質は、様々な衝撃減衰環境および製品における使用に適している。したがって、ここで説明する高弾性物質を用いて様々な他の種類の製品が製造されるのは想定の範囲内である。このような製品の例としては、ヘルメットおよびパッドを含む作業およびスポーツ用保護具、自動車のシート、ヘリコプターの台座シート、船積みドック用のバンパー等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
エラストマーは、高分子材料の一分類に属し、負荷を掛けると少なくとも元の長さの2倍まで変形し、そして負荷を取り除くとほぼ元の形状に戻る能力という特性を有する。エラストマーは等方性であり、低い歪みと低い歪み速度の下、線形弾性固体として機能する略圧縮不可能な物質である。準静的な負荷の下でより大きく歪められると、これらの物質は非線形的な挙動を示す。これらの物質特有のこの機械的挙動を高弾性と称する。高弾性物質は、粘性減衰、(摩擦力に起因する)熱分散、または継続的変形(すなわち永久ひずみ)がほとんどない状態で、弾性変形を通じて衝撃から伝達される運動エネルギーを吸収することによって作用する能力を有する。この機械的エネルギーは、略100%復元し得、これによってその要素は、無視し得る歪みはあるものの衝撃の前の元の構成に戻ることができる。
【0074】
エラストマーの挙動は、動荷重が加わった状態での歪み速度および歪み履歴に基づく。これを粘弾性と称する。エラストマーの粘弾性は、ヒステリシス、弛緩、クリープ、および永久ひずみの原因となる。永久ひずみとは、エラストマーが永続的に変形し、応力ゼロにおいて上記物質が歪みゼロに戻らない場合である。しかしながらこの変形は、一定の歪みを繰り返し発生させると安定化する傾向がある。また、エラストマーの特性はマリンズ効果である。マリンズ効果とは、物理的な架橋が破壊されることが原因で、2番目以降のヒステリシスループが1番目のヒステリシスループよりも小さな領域を示す現象である。これは継続的な場合もあるし、または可逆的である場合もある。ヒステリシスはまた、エラストマーにおける結晶化に誘発され、影響を受ける。エラストマーにおける結晶化は高い歪みにおいて粘弾性効果を左右し、歪み速度に対する感度に影響を与える。エラストマーは上記機械的挙動の複雑さに加え、動荷重を掛けて高い歪みを与えると粘‐超弾性反応を示す特性を有する。粘‐超弾性反応を試験したり、特性として描写するのは困難である。通常、物質モデルへ入力するために、単純な変形(すなわち、緊張、圧縮、および剪断)におけるいくつかの形態から得た応力・歪みデータが必要とされる。これらのデータを物質モデルへ入力することにより上記モデルの性能の予測が得られる。
【0075】
一実施形態では、高弾性物質は、十分な復元性を維持しつつ、大量の機械的エネルギーを吸収し得る。従来、ゴムからなる粘性部材が動荷重への対処手段として主要な役割を果たしてきた。静止反応が(弾性歪みエネルギーのポテンシャルに基づく)高弾性モデルを示す場合、ゴムからなる粘性部材を使用した構成では粘‐超弾性モデルは主に歪み速度に依存する。高弾性モデルは、歪み速度および歪み履歴に依存した粘弾性を考慮したマクスウェルモデルと類似している。
【0076】
(物質を作成する方法)
ポリウレタンエラストマーは、高弾性な挙動を示すことが知られている材料の一種である。このような材料は、設計の観点から非常に用途が広い。適切な原材料、形成、および/または処理の選択によって、ポリウレタンエラストマーは、衝撃減衰システムがリバウンドを制御できるようにする減衰特性などの、幅広い範囲の特性を達成するように調整可能である。
【0077】
特に、適切な成分を選択し、エラストマーにおける相間離隔の度合いを制御することによって、所望の減衰特性が実現できる。
【0078】
ポリウレタンを注入したエラストマー系は、イソシアネート成分(典型例:メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI))、一種類以上の長鎖ポリオール、および短鎖グリコールからなってもよい。一般に、このような系には、硬化時および硬化後のサイクルの間に起こるさらなる反応に供される、イソシアネート基がわずかに過剰な量で混合されている。これらの反応の結果、わずかに架橋し、このため変形後の復元性の高い、十分に硬化された高分子システムが得られる。この特性によって、これらの高分子材料は衝撃減衰バリアシステムにおける高弾性素子に好適なものとなる。高弾性物質は、以下の特徴を有し得る。ショアーD硬度の値は約40から約70。最大引張応力は約4000から約7000psiの範囲にあり、破断延びは約150%から約700%の範囲にあり、最小の係数変化およびtanδ値は、対象となる温度範囲にわたって0.05以上である。
【0079】
エラストマーを生成するために短鎖グリコールと反応するイソシアネート終端プレポリマーを生成するように長鎖ポリオール成分全体がイソシアネート成分と予備反応を呈する完全プレポリマーのアプローチによって、適切なリバウンド反応を有する高弾性物質が形成され得る。
【0080】
代替のアプローチは、長鎖ポリオールの一部がイソシアネート成分と予備反応する擬似プレポリマーのシステムを使用することである。この場合、擬似プレポリマーが短鎖グリコールおよび長鎖ポリオール成分の残りと反応して生成される反応生成物によって、エラストマーが形成される。
【0081】
上記成分を組み合わせる処理は、上記成分を処理温度まで加熱する工程と、成分に対して脱ガスを行い、溶解している気体または混入気体を全て取り除く工程と、成分を混合チェンバに正確に計量する工程と、上記成分をよく混合する工程と、型の中に混合物質を投入し、続いて硬化した部分を取り出して、好適な硬化後サイクルに処す工程とを含んでもよい。各成分の融点および粘度は違うので、成形温度と同様に適切な成分温度は約100°Fから250°Fの範囲であってもよい。
【0082】
反応成分は、混合物の合計においてイソシアネート基に対して約1%から約10%上回る、または混合物の合計においてイソシアネート基に対して約2%から約5%上回る比率で組み合わされてもよい。上記成分の化学反応を促進し、手頃なタイムフレーム内で上記部分を型から外すことを可能にする触媒パッケージを用いてもよい。上記システムのゲル化時間または寿命は、上記部分全体を通して均一な物性を確保するために、成形充填時間よりも短くてはいけない。
【0083】
本開示が説明によっていくつかの実施形態を示し、例示的実施形態が極めて詳細に説明されているが、後述の請求項の範囲をそのような詳細に制限する、または何らかの限定をするとこは出願人の意図ではない。さらなる有利な点および変更は、当業者であれば容易に想到し得るであろう。
【0084】
(実施例)
(実施例1:物質)
MDI‐ポリエーテル擬似プレポリマーのシステムを用いて高弾性物質を調整した。プレポリマーは、約13.3%の自由イソシアネート成分を含んでいた。ポリテトラメチレングリコールに基づく長鎖ポリエーテル成分が用いられた。ポリオールは、約56のOH#を有していた。ここで用いられる短鎖ジオールは、ヒドロキノンビス(2‐ヒドロキシエチル)エーテル(HQEE)であり、混合物におけるヒドロキシ含有成分の合計に対して約40重量%にのぼる。
【0085】
反応成分は、混合物の合計におけるイソシアネート基に対して約5%を上回る比率で組み合わされた。反応を加速させ、型外し時間を短縮するために、典型的なポリウレタン触媒パッケージが用いられた。触媒の添加は、約3分のゲル化時間を得るように調節された。
【0086】
正確に成分を測定するための精密なギアポンプと、十分な混合精度および加熱能力を得るための動的混合ヘッドを備えた3成分液体注入マシーン(three component liquid casting machine)が用いられた。プレポリマー、ポリオール、および短鎖ジオール反応成分を、加熱されたデイタンクに注入し、適切な処理温度に維持した。プレポリマーおよびポリオールを、160〜180°Fの間の温度で保持した。HQEEを240°Fにて保持した。短鎖ジオールを含み、十分な混合が行われたタンクに、触媒成分を追加した。そして、全ての溶解した気体を除去するまで28インチHgの最小真空状態で全ての成分に対して脱ガスを行った。そして、乾燥した窒素パッドを各タンクに貼り付け、成分が湿気にさらされるのを防いだ。測定ポンプの吸引側へ確実に物質を注入するために、パッド圧は十分でなければならない。適切な量の各成分を混合チェンバへ確実に搬送するために、各ポンプの目盛り定めを行った。材料の合計処理量は、1分につき約20ポンドだった。混合物質をキャビティに注入する前に、200°Fから240°Fの適切な範囲で型を加熱した。上記部分を型から外す前に、物質の適切な硬化を確実に行うために、注入後に約200°Fにて成形温度を維持した。化学反応を確実に完了し、物性を確実に実現するために、上記部分を約20分で型から外し、約12から36時間、約200°Fから250°Fの間の温度で引き続き後硬化を行った。
【0087】
(実施例2:テスト物質)
衝撃減衰システムにおいて高弾性素子を形成する際に用いるための、熱硬化性の、流し込みポリウレタン成分の材料を調整した。1分につき3℃の速度で、1Hzにて変化する、−150から150℃の温度範囲にわたる、貯蔵弾性率E’、損失弾性率E’’、および機械損失(減衰)tanδを測定するために、ティー・エイ・インスツルメント社製のQ800型DMAを用いて、DMAテストを行った。それらのテストの結果を図10に示す。Tanδは、0.05よりも大きい場合もあり、相対的に一定の値でもあり得る。Tanδは、0.1よりも大きい場合もあり、相対的に一定の値でもあり得る。実施例1において得られた材料についてのtanδは、−15から45℃の作動温度範囲の全体にわたって、0.10と0.14との間である。ガラス遷移温度(Tg)起点を、貯蔵弾性率によって規定されるように約−27℃で測定し、融解遷移は見られなかった。
【0088】
以下の物理的な特性を含む調整物からサンプルを調整した。すなわち、上記物理的な物性とは、約679MPaの貯蔵弾性率、86MPaの損失弾性率、および約0.13のtanδであり、いずれも図10に示すように、約25℃にて測定されたものである。
【0089】
上記サンプルを高弾性テストに供した。それらのテストの結果を図11および12に示す。図11は、0.001/sから100/sの範囲の歪み速度での引張られた状態にある材料の工学応力・歪み反応を示すグラフである。図12は、0.001/sから100/sの範囲にある歪み速度での圧縮状態にある材料の工学応力・歪み反応を示すグラフである。
【0090】
この材料は、50s−1を下回る緩やかな歪み速度の依存性を示し得るが、50s−1よりも大きい歪み速度に対しては非常に鈍感であるということを注意しなくてはならない。衝撃減衰システムにおいて用いるための材料は、50と1000s−1の間の最小歪み速度の依存性を有し得る。
【0091】
上記物質を含む衝撃システム(直径5インチ、厚さ3/4インチ、4インチのロングチューブ)についてのさらなるテストは、新規なエネルギー吸収物質の典型的な反応を示したが、ポリウレタン物質は、負荷が加わっている状態ではエネルギーを吸収し、力が大幅に低下したときに負荷を外し、次第に復元し、最終的にその形状および機械的特性が略完全に復元した。テスト結果として力と移動についてのグラフを図13に示す。速度20in/sにて3.2インチの最大移動を行うまでの移動制御を行い、衝撃システムを単軸試験機に搭載し、そして同じ速度ですぐに取り外した。エネルギー損失の量は、搭載・取り外し曲線によって境目が作られる領域の広さに等しい。
【0092】
高弾性物質は、これら独自の性能指標と、高い運動エネルギー、歪み、および関連する歪み速度といった所定の制限があることを示す。
【0093】
(実施例3:衝撃減衰成分)
高弾性物質を含む衝撃システムについて行われたさらなる大規模な動的テストは、望ましい特性を示しているが、上記物質は高レベルのエネルギー吸収、制御されるリバウンドおよび復元性を示している。衝撃システムの原型成分を、実施例1の材料から調整した。
【0094】
上記原型成分に対して、2,857lb(1,296kg)の半剛体のカートによって衝撃を加えた。この衝撃はカートの中央線との正面衝突であり、テスト品の速度は20.8mph(33.5km/hr)。図16は、(a)衝撃の直前のテスト品と、(b)最大動的移動時のテスト品とを示している。図17は、上記成分の復元性を示すテストの後に回収されたテスト品の写真である。図14は、原型成分の後部における計装壁によって測定される衝撃事象における力と時間についてのグラフを示す。図15は、車両に搭載される加速度計から測定される衝撃事象における速度と時間についてのグラフを示す。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、衝撃減衰システムの一実施形態の概略平面図である。
【図2】図2は、図1に示す実施形態の概略側面図である。
【図3】図3は、概略端面図である。
【図4】図4は、概略側面図である。
【図5】図5は、図1に示す実施形態の概略透視図である。
【図6】図6は、図1に示す衝撃減衰システムを圧縮した状態の実施形態の概略平面図である。
【図7】図7は、衝撃減衰システムの他の実施形態の概略平面図である。
【図8】図8は、衝撃減衰システムの他の実施形態の概略側面図である。
【図9】図9は、衝撃減衰システムの他の実施形態の概略端面図である。
【図10】図10は、実施例1において生成される物質の、温度に対する貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)、および減衰(tanδ)についてのグラフを示す。
【図11】図11は、様々な歪み速度における実施例1において生成される物質についての、工学引張応力−歪みのプロットのグラフを示す。
【図12】図12は、様々な歪み速度における実施例1において生成される物質についての、工学圧縮応力−歪みのプロットのグラフを示す。
【図13】図13は、20in/sの負荷速度における5インチ直径シリンダーテストおよび有限要素シミュレーションのグラフを示す。
【図14】図14は、20.8mph(33.5km/hr)における、半剛体の車両を原型成分に変化させる衝撃の、力と時間についてのグラフを示す。
【図15】図15は、20.8mph(33.5km/hr)における、半剛体の車両を原型成分に変化させる衝撃の、速さと時間についてのグラフを示す。
【図16】図16は、(a)衝撃の直後と(b)最大動的変位量におけるテスト品の写真を示す。
【図17】図17は、負荷がテスト品から取り除かれた後のテスト品の写真を示す。
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の参照]
本明細書に記載される本願は、2008年3月17日に出願された同じ名称の仮出願(出願番号:61/037,067)に基づく権利を主張するものである。この仮出願の開示は全て、参照により本明細書に含まれる。
【0002】
[背景技術]
車両が静止構造物に衝突することの防止や、車両の搭乗者の負傷を軽減し、車両が受ける衝撃やダメージを低減することを目的として、様々なエネルギー吸収装置が高速道路およびレーストラックに沿って配置されている。
【0003】
従来、これらの装置のうちの多くは、車両が高速道路からはみ出るのを抑制する剛性の構造を有している。ここで1つ問題なのは、車両自体が衝突する際、衝撃をまともに受けてしまうことである。また、剛性を有するバリアには、車両を高速道路へリバウンドさせ、後続車両に衝突させてしまう可能性があるという問題もある。例えば、整列したバレルからなる堅固なバリアを開示する、1974年11月5日発行の米国特許番号3,845,936(Boedecker,Jr他)を参照するとよい。
【0004】
他の種類のバレルとしては、高速道路およびレースウェイに沿って配置されるエネルギー吸収バリア装置が含まれる。このようなバリアについては多くの種類が提案されてきた。例えば、ある種のバリア装置は、衝撃を受けたときに折り重なる、または壊れてしまう非可逆的な可縮性のエネルギー吸収物質を用いる。これらの種類の装置は、衝撃を受けている間にダメージを受けたり、破壊されてしまうので、一度衝撃を受けた後には必ず交換が必要となる。この作業には時間がかかり、コストもかかり、修理を行っている間は、道路を、何の保護も施されていない状態にしてしまう。例えば、1976年9月28日に発行された米国特許番号3,982,734(Walker);1982年3月30日に発行された米国特許番号4,321,989(Meinzer);1982年10月5日に発行された米国特許番号4,352、484(Gertz他);1989年3月28日に発行された米国特許番号4,815,565(Sicking他);1998年12月22日に発行された米国特許番号5,851,005(Machado);1999年9月28日に発行された米国特許番号5,851,005(Muller他);1999年9月28日に発行された米国特許番号5,957,435(Bronstad);2000年8月3日に発行された米国特許番号6,126,144(Hirsch他);2002年6月25日に発行された米国特許番号6,409,417(Muller他);2003年3月25日に発行された米国特許番号6,536,985(Albritton);2001年8月16日に公開されたUS2001/0014254(Albritton);2002年7月11日に公開されたUS2002/0090260(Albritton);2003年12月25日に公開されたUS2003/0234390(Bronstad);2004年1月29日に公開されたUS2004/0016916(Bronstad);1985年7月24日に公開されたEP000149567A2(DuPuis);1982年9月に公開されたDE003106694A1(Urberger)を参照するとよい。
【0005】
1987年6月23日に発行された米国特許番号4,674,911(Gertz)は、バリアに弾性を与えるために空気チェンバを主に用いる。
【0006】
1983年10月4日に発行されたUS4,4407,484(Meinzer)は、車両が受ける衝撃に対する弾性を有し、衝撃を減衰するためのスプリングを主に用いるバリアシステムを開示している。
【0007】
様々なバリアシステムが、車両の衝撃を低減するために流体を用いている。例えば、1984年6月5日に発行された米国特許番号4,452,431(Stephens他)および1986年6月5日に発行された米国特許番号4,583,716(Stephens他)は、旋回可能なダイヤフラムにおけるケーブルを用いて制御される満水バッファカートリッジを開示している。同様に、1972年6月27日に発行された米国特許番号3,672,657(Young他)および1972年6月4日に発行された3,674,115(Young他)は、バリアシステム内で配列される液体充填容器を開示している。1972年8月1日に発行された米国特許番号3,680,662(Walker他)は、液体充填バッファの群を示している。
【0008】
他の様々なシステムには、再利用が可能なエネルギー吸収装置が含まれている。例えば、1992年5月12日に発行された米国特許番号5,112,0238(Laturner);1994年5月24日に発行された米国特許番号5,314,261(Stephens);2000年1月4日には発行された米国特許番号6,010,275(Fitch);2000年6月11日に発行された米国特許番号6,085,878(Araki他);2000年11月21日に発行された米国特許番号6,149,134(Banks他);2003年3月18日に発行された米国特許番号6,553,495(Williams他);2003年4月29日に発行された米国特許番号6,554,429(Stephens他);2003年11月13日に公開されたUS2003/0210953A1(Williams他);1981年10月15日に公開されたJP356131848A(Miura他);1991年7月17日に公開されたEP000437313A1(Guerra)が挙げられる。
【0009】
1980年12月2日に発行された米国特許番号4,237,240(Jarre他)は、衝撃に対する高荷重の支圧強度および高いエネルギー吸収力を有する可塑性ポリウレタン発泡体を開示している。
【0010】
1988年2月2日に発行された米国特許番号4、722,946(Hostettler)は、エネルギー吸収ポリウレタンエラストマーおよび発泡体を開示している。
【0011】
2002年6月25日に発行された米国特許番号6,410,609(Taylor)は、低圧ポリウレタン発泡体を開示している。
【0012】
車両の搭乗者の負傷を最小限にする、または防止する衝撃減衰バリアシステムに対する需要がある。
【0013】
また、衝撃に対して完全に復元可能である衝撃減衰バリアシステムに対する需要がある。
【0014】
また、経済的で、使用時の信頼性を有し、設置やメンテナンスが容易である衝撃減衰バリアシステムに対する需要がある。
【0015】
また、例えば高速道路やレーストラック、さらには、保護用の防波提を含む海洋用途など、様々な環境において有効な衝撃減衰バリアシステムに対する需要がある。
【0016】
また、高速で走行するトラックおよび自動車からの衝撃エネルギーを吸収する衝撃減衰バリアシステムに対する需要がある。
【0017】
また、衝撃を受けたときには分解せず、衝撃を受けた箇所の周りに破片を分散させる衝撃減衰バリアシステムに対する需要がある。
【0018】
また、リバウンド速度を制御する衝撃減衰バリアシステムに対する需要がある。
【0019】
また、リバウンド速度を制御する自己修復式の衝撃減衰バリアシステムに対する需要がある。
【0020】
また、リバウンド速度を制御するためにも用いられるエネルギー吸収物質用の自己修復式の衝撃減衰バリアシステムに対する需要がある。
【0021】
[発明の概要]
衝撃減衰バリアシステムは、車両安全のための衝撃減衰バリアシステムであって、多数の構成の相関関係から効果を享受するものである。上記多数の構成としては、衝撃減衰バリアシステムにおける熱硬化性ポリウレタンエラストマー化合物の使用、所定の混合および処理工程を用いてこのようなエラストマー化合物を形成する方法、上記エラストマーバリア部材の形状、上記バリア部材の衝撃減衰バリアシステムへの組み込みや配置、が挙げられる。
【0022】
他の実施形態では、衝撃減衰システムは、サイドビームアセンブリと、該サイドビームアセンブリに固定されるノーズ型アセンブリとを有してもよい。サイドビームアセンブリは、サイドパネル部材がネスト化された線形の配置になるように隣接するパネルが重なるサイドパネルを複数備えている。少なくとも1つのダイヤフラムパネルは、対向するサイドパネル間に位置し、少なくとも1つの固定機構によって上記対向するサイドパネルに固定される。上記対向するサイドパネルおよび上記ダイヤフラムパネルは、少なくとも1つのベイを規定する。少なくとも1つの高弾性部材は、上記少なくとも1つのベイに位置し、複数の上記高弾性部材はそれぞれ異なる剛性を有する。少なくとも1つの係留システムは、上記サイドパネルおよびダイヤフラムパネルを互いに固定させる少なくとも1つのケーブルを有する。
【0023】
他の実施形態では、衝撃減衰システムは、高弾性部材を備えてもよく、−15℃から45℃の間の温度において、0.005以上のtanδを有するエネルギー吸収物質を備えてもよい。
【0024】
他の実施形態では、上記高弾性物質は、自由イソシアネートの含有量が約10%から約15%のMDIポリエーテルプレポリマーと、約20から約80のOH#を有する少なくとも1つの長鎖ポリエーテルまたはポリエステルポリオールと、全ヒドロキシル含有化合物の約30%から約45%である、少なくとも1つの短鎖ジオールと、少なくとも1つの触媒の混合物からなってもよく、加えられる成分の比率は、イソシアネート基に対して約20%から約10%上回る、高弾性物質である。
【0025】
上記高弾性物質は、様々な他の種類の生成物に適したものであり得るということを理解すべきである。このような生成物の例としては、限定するわけではないが、ヘルメット、パッドを含む作業用およびスポーツ用保護具、自動車のシート、ヘリコプター搭載用の台座シート、船積みドック用のバンパー等が挙げられる。
【0026】
添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むと、当業者であれば様々な目的および有利な点が明らかになるであろう。
【0027】
[図面の簡単な説明]
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、上記の概略的説明とともに実施形態を明らかにし、以下の実施形態の詳細な説明は、本開示の原理を説明するものである。米国特許7,300,233は本明細書に含まれ、この一部を構成する。
【0028】
図1は、衝撃減衰システムの一実施形態の概略平面図である。
【0029】
図2は、図1に示す実施形態の概略側面図である。
【0030】
図3は、概略端面図である。
【0031】
図4は、概略側面図である。
【0032】
図5は、図1に示す実施形態の概略透視図である。
【0033】
図6は、図1に示す衝撃減衰システムを圧縮した状態の実施形態の概略平面図である。
【0034】
図7は、衝撃減衰システムの他の実施形態の概略平面図である。
【0035】
図8は、衝撃減衰システムの他の実施形態の概略側面図である。
【0036】
図9は、衝撃減衰システムの他の実施形態の概略端面図である。
【0037】
図10は、実施例1において生成される物質の、温度に対する貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)、および減衰(tanδ)についてのグラフを示す。
【0038】
図11は、様々な歪み速度における実施例1において生成される物質についての、工学引張応力−歪みのプロットのグラフを示す。
【0039】
図12は、様々な歪み速度における実施例1において生成される物質についての、工学圧縮応力−歪みのプロットのグラフを示す。
【0040】
図13は、20in/sの負荷速度における5インチ直径シリンダーテストおよび有限要素シミュレーションのグラフを示す。
【0041】
図14は、20.8mph(33.5km/hr)における、半剛体の車両を原型成分に変化させる衝撃の、力と時間についてのグラフを示す。
【0042】
図15は、20.8mph(33.5km/hr)における、半剛体の車両を原型成分に変化させる衝撃の、速さと時間についてのグラフを示す。
【0043】
図16は、(a)衝撃の直後と(b)最大動的変位量におけるテスト品の写真を示す。
【0044】
図17は、負荷がテスト品から取り除かれた後のテスト品の写真を示す。
【0045】
[発明を実施するための形態]
粘弾性のある高分子材料を特徴付ける方法は、複素弾性率E*=E’−iE’’を測定することによって実行されるが、E’およびE’’は概ね、貯蔵弾性率および損失弾性率のそれぞれを示す。複素弾性率|E*|の程度は、[(E’)2+(E’’)2]1/2として規定され、最大応力の最大歪み(σ0/ε0)に対する比率も示す。貯蔵弾性率および損失弾性率の測定値によって、エネルギーを戻すための物質性能を、エネルギーを失うための該性能と対照できる。貯蔵弾性率E’および損失弾性率E’’は、動的機械分析(DMA)によって測定されてもよい。
【0046】
貯蔵弾性率E’は、定期的な変形が行われている間のエネルギー貯蔵および放出と関連する。損失弾性率E’’は、エネルギー分散と、熱への変換に関連する。これらの効果(E’’/E’)の比率はtanδであり、δは印加される力の間の位相ずれであり、上記物質はこの力に反応する。パラメータtanδは、粘弾性のある物質の減衰力の指標として広く用いられている。
【0047】
応力がエラストマーから取り除かれ、該エラストマーは元の形状に戻る。この動きは発熱性のものであり、リバウンドを減衰するエネルギー損失の原因となる。より大きなtanδの物質は、より大きな弾性率を有し、これによってリバウンド速度を減衰する。
【0048】
(装置)
衝撃減衰バリアシステムは、レーストラックや高速道路等の車両設備、または保護用の防波提等において用いられ得る。この衝撃減衰バリアシステムは、独自の高弾性のエネルギー吸収素子である、完全に復元可能な高弾性のエネルギー吸収素子を含む構成としてもよい。
【0049】
衝撃減衰バリアシステムは、少なくとも1つの高弾性部材を備える道路バリアであって、上記高弾性部材は、速度の影響を受けない高弾性を示すエネルギー吸収物質を備え、上記エネルギー吸収物質が、完全な復元性を維持しつつ、広い範囲の衝撃速度に対しても一定の力‐変位特性(force-displacement)を保つように、上記エネルギー吸収物質の永久ひずみを最小化する。
【0050】
衝撃減衰システム10の実施形態を図1〜6に示す。衝撃減衰システム10は、第1サイドビームアセンブリ12(図示せず)および対向する第2サイドビームアセンブリ14(図示せず)を有している。第1ビームアセンブリ12および第2ビームアセンブリ14は対向関係にある。図示する実施形態では、第1ビームアセンブリ12および第2ビームアセンブリ14は対向し、平行な関係にある。
【0051】
一実施形態では、ビームアセンブリは平行であり、前側から後側までの各ベイにおけるエネルギー吸収ユニットは、前側から後側に向かって徐々に変化する(徐々に増加する)剛性を有する。前側から後側に向かって徐々に増加する全体的な剛性を達成する手段として、いくつかの手段を挙げることができ、代表的な例としては、エネルギー吸収素子の壁の厚さ、形状、または物性を変化させることが挙げられるがこれらに限定されない。例えば、高速道路への応用例では、衝突を受ける構造を設けたり、および/またはシステムからの反力を段階的にする構成により、衝撃の初期段階ではよりソフトな反応(softer response)を返し、車両がシステム内に進むにつれてよりハードな反応(more stiff response)を返す構成としている。一実施形態として、エネルギー吸収ユニットは、後側から前側に向かって増加する剛性傾斜を有する構成としてもよい。他の実施形態として、複数のエネルギー吸収ユニットはそれぞれ異なる剛性を有する構成としてもよく、この場合、それぞれ異なる剛性を有する複数のエネルギー吸収ユニットをどのような順番で並べても良い。
【0052】
他の実施形態では、ビームアセンブリは平行である必要はない。例えば、特定の高速道路設備では、衝突を受ける構造を設けたり、および/またはシステムからの反力を段階的にする構成にするために、ビームアセンブリがテーパ型の構成を有することが望ましい(例えば、後方ベイではエネルギー分散物質をより狭い間隔で配列し、その一方で、前方ベイではエネルギー分散物質をより狭い間隔で配列する構成にすることで、衝撃の初期段階においてよりソフトな反応を返し、車両がシステム内に進むにつれてよりハードな反応を返すようにするようにしてもよい)。第1ビームアセンブリ12は、第1または先頭端部15、および第2端部16を有する。同様に、第2ビームアセンブリ14は、第1または先頭端部17、および第2端部18を有する。
【0053】
衝撃減衰システム10はまた、第1ビームアセンブリ12の第1端部15に対して、また、第2ビームアセンブリ14の第1端部17に対して安定的に固定されるノーズ型のアセンブリ19を含む。
【0054】
各サイドビームアセンブリ12および14は、概ね20a、20b、20c、20d、および20eとして示される複数のサイドパネルをさらに有する。説明を簡素化するために、各サイドビームアセンブリ12および14は同様のサイドパネル部材を有し、サイドビームアセンブリ12を含むサイドパネルは、20a〜20eとして設計され、サイドビーム14を含むサイドパネルは、20a’〜20e’として設計される。説明の簡素化のため、片方のみを詳細に説明する。第1サイドパネル20aは、第1端部22a(図示せず)および第2端部24aを有している。同様に、以降の各板20b等は、第1端部22b等および第2端部24b等を有している。第2端部24aは、隣接するパネル20bの第1端部22bと重なる。同様に、各隣接するパネルは、重なり第1端部および重なり第2端部を有している。サイドパネル部材20a〜20dは、ネスト化された線形の配置となる。サイドパネル部材20a’〜20d’はまた、ネスト化された線形の配置となる。図3および5に示すように、各サイドパネル20は、波または波状の3次元形状を有し得る。サイドパネル20は、以下の説明から明らかなように、他の適切な寸法を有してもよい。
【0055】
各サイドパネル20は、少なくとも1つの縦方向延長開口部を概ね規定する。図2に示す実施形態から分かるように、各サイドパネル20は、上方縦方向延長開口部またはスロット26a、および下方縦方向延長開口部またはスロット26bを有するが、これらは互いに平行な関係にある。サイドパネル20aのスロット26aは、隣接するサイドパネル20bにおける隣接するスロット26aに少なくとも部分的に重なる。同様に、各隣接するサイドパネルは、重なりスロット26を有する。
【0056】
衝撃減衰システム10は、ここで概ね30a、30b、30c、30d、30e、および30fとして示される複数のダイヤフラムパネルをさらに含む。説明の簡素化のため、各ダイヤフラムパネルは同じ特性を有し得るので、説明を簡素化するために1つのダイヤフラムパネルのみを詳細に説明しているということを理解されたい。図3に示すように、ダイヤフラムパネル30のそれぞれは、第1直立部材32および第2直立部材34、および少なくとも1つの交差部材(概ね36a、36b、36c、および36dとして示される)からなってもよく、該交差部材は第1直立部材32と第2直立部材34との間に延びている。第1および第2直立部材は、互いに間隔をあけられている複数の開口部38を含む。各開口部38は、固定機構40を受容し得る。他の実施形態では、ダイヤフラムパネル30は、例えばX形状(図示せず)または他の適切な構成に形成される交差部材36の他の構成を有し得る。
【0057】
第1ダイヤフラムパネル30aは、対向するサイドパネル20aおよび20a’の間に略直角に位置する。第1ダイヤフラムパネル30aは、固定機構40のうちの1つによって、対向するサイドパネル20aおよび20a’に固定される。固定機構40は、スロット26の幅よりも広いヘッドを有し得る少なくとも1つのスクリュータイプ部材42を含み得る。または、固定部材40は、上記スクリュータイプ部材42に対して軸方向に適合する少なくとも1つのワッシャタイプ部材44を含み得る。少なくとも1つのワッシャタイプ部材44は、スロット26の幅よりも大きな長さおよび幅寸法を有する。上記スクリュータイプ部材42は、サイドパネル20の外側表面からスロット26を介し、ダイヤフラムパネル30の直立部材32(または34)における隣接する開口部38を介して延び、六角ナット等の適切なロッキング部材46を用いて所定位置に保持される。固定機構40は、以下により詳細に説明するように、スロット26に沿って縦方向に移動させることが可能である。
【0058】
少なくとも部分的に組み立てられた状態において、衝撃減衰システム10は、複数の対向するサイドパネル20a〜20eおよび20a’〜20e’と、複数のダイヤフラムパネル30a〜30fを含む。組み立てられた状態では、第1の対向するサイドパネル20aおよび20a’は、第1ダイヤフラムパネル30aに固定される。すなわち、ダイヤフラムパネル30の第1直立部材32は、固定機構40を、サイドパネル20におけるスロット26を介して、また、直立部材32(または34)における隣接する開口部38を介して延ばすことによって、第1の対向するサイドパネル20a’に固定される。同様に、残りのサイドパネルは、残りのダイヤフラムパネルに固定される。
【0059】
そして、衝撃減衰システム10には複数のベイ50a〜50fが設けられている。各ベイ50は、対向するサイドパネル20およびダイヤフラムパネル30によって画定される。図1により最もよく分かるように、ベイ50aは、対向するサイドパネル20aおよび20a’によって、また、ダイヤフラムパネル30aおよびノーズ型のアセンブリ19によって画定される。同様に、残りのベイ50b〜50fは、対応するサイドパネルおよびダイヤフラムパネルによって画定される。衝撃減衰システム10は、より少数の、またはより多数のサイドパネルおよびダイヤフラムパネルを有してもよく、このようなサイドパネルおよびダイヤフラムパネルは、最終用途および保護されている物体に少なくとも部分的に基づいて構成されるということを理解すべきである。
【0060】
衝撃減衰システム10は、高弾性部材60を複数含み、該高弾性部材60は配列されていてもよい。図示する実施形態では、各高弾性部材60は、略チューブ状の側壁62を有している。高弾性部材60の寸法については、最終用途の要求に最も好適なものであればよいということを理解されたい。例えば、一実施形態として、本明細書における図面で示すように、高弾性部材60は、結合されたチューブ形状を有し、以下にさらに詳述するように、壁の厚さは前方高弾性部材で最も小さく、後方高弾性部材60に向けて徐々に厚さを増す高弾性部材となるように変化する構成としてもよい。
【0061】
衝撃減衰システム10は、第1係留システム70aおよび第2係留システム70bをさらに含む。説明を簡素化するため、1つの係留システム70のみを詳述するが、係留システム70aおよび70bはそれぞれ同じ特性を有してもよいことを理解されたい。図示する実施形態では、係留システム70は、上方ケーブル72および下方ケーブル74を備える。上方ケーブル72および下方ケーブル74は、それぞれ、第1端部71ないし73において第1または前方係留機構76に固定されている。第1または前方係留機構76としては、ループまたは他の装置等が挙げられる。図示する実施形態では、上方ケーブル72および下方ケーブル74は第2端部75および77においてそれぞれ、第2または後方係留機構80に固定されている。他の実施形態として、係留システム70がより少数の、またはより多数のケーブルを備えている構成としてもよい。前方係留機構76は、衝撃減衰システム10の前の地表や地下において、好適な方法で地面(図示せず)にしっかりと係留される。図4に示す実施形態で最もよく分かるように、下方ケーブル74は、各ダイヤフラムパネル30の各直立部材32の下方ケーブルガイド開口部82を介して延びている。図示する実施形態では、下方ケーブル74は、地面から約3インチ上で後方向に延び、衝撃減衰システム10の後方に設けられた係留システム80にケーブルの高さで取り付けられる。
【0062】
上方ケーブル72は、各ダイヤフラムパネル30の各直立部材32の上方ケーブルガイド開口部84を介して延びている。図示する実施形態では、第1ダイヤフラムパネル30aは、下方ケーブルガイド開口部82aから第1距離離れた箇所に上方ケーブルガイド開口部84aを有する。第2ダイヤフラムパネル30bは、下方ケーブルガイド開口部82bから第2距離離れた箇所に上方ケーブルガイド開口部84bを有する。上記第1距離は上記第2距離よりも短い。よって、上方ケーブル72はまず係留機構76から上方向に導かれ、第1ダイヤフラムパネル30aから第2ダイヤフラムパネル30bまで上方向に導かれる。その後、上方ケーブル72は、下方ケーブル74に略平行な後方向に、ダイヤフラムパネル30c〜30fを介して第2ダイヤフラムパネル30bから延びる。上方ケーブル72および下方ケーブル74の両方は、第2係留機構80に係留される。図示する実施形態では、ダイヤフラムパネル30c〜30fを介して延びる上方ケーブル72の一部は、地表面から15インチ上にある。
【0063】
衝撃減衰システム10はさらに、中程度の長さの係留システム90を少なくとも1つ有してもよい。図示する実施形態では、係留システム90は、第1端部78aに固定される少なくとも1つの中間ケーブル78を備え、地表より下にある大直径(12”〜14”直径)ガイド79を包み、そして第2端部が固定される反対側位置78bへと戻る。図示する実施形態では、中間ケーブルは第2端部78bにおいて、第2または後方係留機構80に固定される。他の実施形態として、中間係留機構90が、より少数の、またはより多数のケーブルを備える構成としてもよい。中間係留機構90は、ダイヤフラムパネル間の地表や地下において、好適な方法で地面(図示せず)にしっかりと係留される。図4に示す実施形態で分かるように、中間ケーブル78は、各ダイヤフラムパネル30の直立部材32のうちのいくつかにおける中間ケーブルガイド開口部82を介して延びる。図示する実施形態では、中間ケーブル78は地上約6インチで後方向に延び、衝撃減衰システム10の後方に設けられた係留システム(図示せず)にケーブル高さで取り付けられる。
【0064】
車両がまずノーズ型のアセンブリ19に衝突する正面衝突では、図5および図6に模式的に示すように、ネスト化されたサイドパネル20a〜20a’‐20f〜20f’の各セットが、隣接するサイドパネルに(多段式望遠鏡の筒のように)次々とはまり込み(telescope)、これにより衝撃減衰システム10が変形する。すなわち、隣接するサイドパネル20b〜20b’‐20f〜20f’の少なくとも1セットを通過するサイドパネル20a〜20a’は、衝突する車両によって移動され、これにより衝撃減衰システム10は縦方向に歪む。サイドパネル20a〜20a’のセットのそれぞれが、対応するスロット26に設けられた複数の個別の固定機構40によって、対応するダイヤフラムパネル30a〜30fに接続されているので、サイドパネル20a〜20a’の第1セットが、サイドパネル20b〜20b’の第2セットにおけるスロット26に沿ってスライドし、その様なスライドが連続するという構成としてもよい。サイドパネルのセットが後方に移動させられる距離と、後方に移動させられるサイドパネルのセットの数は、衝撃減衰システム10に対する衝撃に左右される。
【0065】
衝撃減衰システム10におけるこのテレスコープ特性は、システム10の端部に衝突する車両を安全に停止させ、その後、上記システム10を元の位置に戻すためのものである。ベイ50の数、ベイ毎の高弾性素子60の数、および高弾性素子60の形状は、予想される衝突エネルギーの範囲に基づいて、上記システム10の特定のアプリケーションを調節するように、容易に修正される。例えば、図1に示す高弾性素子60の構成およびベイ50の数は、50mphの速度で正面衝突する3400‐lb自動車を安全に停止させる。この場合に最大10msの平均衝突加速(average ride-down acceleration)は約25〜30g’sであり、50mphにおける堅い壁への車両の正面衝撃に比べると、衝撃力は70〜75%低減されていることになる。
【0066】
衝撃減衰システム10は、当該システムの側部に衝突する車両の方向を向けなおす能力を有し得る。正面衝突の際にシステム性能を損なうことなくこのような側部の衝撃を調節するために、サイドパネル20は、側部衝突が起こっている間、システムにおける各ベイ50の間に衝撃力を分散させる、オーバーラップしたスチールまたはHDPEパネルにおける、短い部分からなるのが好ましい。システム10の側部に対する衝突が起こっている間、衝突力はサイドパネル20からダイヤフラムパネル30を介してケーブル72および74に分散され、衝突負荷を係留部に伝達するように応力に作用し、これによってシステムは車両を危険から安全に回避させることができる。パネルを構成し得る材料としては、限定するわけではないが、高濃度ポリエチレン、スチール、アルミニウム、プラスチック、繊維強化プラスチック、および様々な複合材料が挙げられる。特定の実施形態では、車両の衝突を受けたとき、上記材料が復元可能である、または半ば復元可能であり、破片を全く、またはほとんど生じさせず、交換の必要が生じる前に複数の車両衝撃に耐え得ることが好ましい。図示する実施形態では、サイドパネルは、スチールシート(波状)からなる(例えば、10ゲージの3段ビーム(thrie-beam))。
【0067】
一実施形態では、図7、8、および9に示すIビームのように、お互いから離れた状態で平行に設けられた支持部材192aおよび192bの対を含む。長い方の最終ダイヤフラムパネル130eは、マウンティングブラケット等、少なくとも1つの適切な接続手段194によって支持部材192aおよび192bに接続される。上方ケーブル172の第2端部175は、支持部材192に固定される。下方ケーブル174の第2端部177はまた、支持部材192に固定される。後方係留機構190はさらに、第1Iビーム支持部材192aに設けられる第1L字屈曲ケーブルガード196aと、第2Iビーム支持部材192bに設けられる第2L字屈曲ケーブルガード196bとを有する。側部ビームパネル120は、該パネルの面上の任意の点に衝撃を受けたとき、上記システムの内部の構成要素を車両からの直接の衝撃から保護すると共にダイヤフラムパネル130に負荷を伝達するように十分な強度を与えるために、十分な高さを備える構造的部材である。上記パネルを構成し得る材料としては、高濃度ポリエチレン、スチール、アルミニウム、プラスチック、繊維強化プラスチック、および様々な複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、上記材料は復元可能か半ば復元可能なもので、車両の衝撃を受けたときに全く、またはほとんど破片を出さず、交換が必要になる前に複数回の車両衝撃に耐え得るようなものであることが好ましい。図示する実施形態では、サイドパネルはスチールシート(波状)(例えば10ゲージの3段ビーム(thrie-beam))からなる。
【0068】
他の実施形態として、係留システム170は、より少数の、またはより多数のケーブルを備えるという構成にしてもよいことは理解されよう。正面係留機構176は、衝撃減衰システム10の前面の地表や地下において、好適な方法で地面(図示せず)にしっかりと係留される。図8に示す実施形態で最もよく分かるように、下方ケーブル174は、ダイヤフラムパネル130の各直立部材132の各下方ケーブルガイド開口部178を介して延びている。図示する実施形態では、下方ケーブル174は、地上約3インチにおいて後方向に延び、衝撃減衰システム110の後方に設けられた係留システム(図示せず)にケーブル高さで取り付けられる。
【0069】
上方ケーブル172は、各ダイヤフラムパネル130の各直立部材132の上方ケーブルガイド開口部184を介して延びる。図示する実施形態では、第1ダイヤフラムパネル130aは、下方ケーブルガイド開口部182aから第1距離離れた箇所に上方ケーブルガイド開口部184aを有する。第2ダイヤフラムパネル130bは、下方ケーブルガイド開口部182bから第2距離離れた箇所に上方ケーブルガイド開口部184bを有する。上方ケーブル172がまず、正面係留機構176から上方向に導かれ、第1ダイヤフラムパネル130aから第2ダイヤフラムパネル130bへ上方向に導かれるように、第1距離は第2距離よりも短い。その後、情報ケーブル172は、下方ケーブル174に略平行な後方向に、ダイヤフラムパネル130c〜130eを介して第2ダイヤフラムパネル130bから延びる。上方ケーブル172および下方ケーブル174の両方は、第2係留機構190において係留される。図示する実施形態では、ダイヤフラムパネル130c〜130eを介して延びる上方ケーブル172の一部は、地上約15インチにある。
【0070】
ある実施形態では、サイドビームアセンブリは、複合材料からなることが好ましい硬質のU字形の構造を有している。複合材料としては、例えば、スチールのような金属、高濃度ポリプロピレン等のプラスチックが挙げられる。複合材料は復元可能、または半ば復元可能であり、車両の衝撃を受けたときに全く、またはほとんど破片を出さず、交換が必要になる前に複数回の車両衝撃に耐え得る。高弾性素子は、主要なエネルギー分散機構として機能し、衝撃の方向につぶれる。本実施形態に示す高弾性素子の形状によって、高弾性素子はまた、それらがつぶれるときに外側に広がる。
【0071】
ここで用いられる高弾性物質は、如何なる速度にも対応可能な高弾性力を発揮する新規な吸収物質である。高弾性物質は以下のような作用をする。すなわち、復元可能な状態を十分に維持しつつ、エネルギー吸収物質が広い範囲の衝撃速度においても一定の力‐変位特性を保つように、永久ひずみを最小化する。
(高弾性物質)
少なくとも約900〜1000S-1にいたる高い歪み速度の動荷重において、高弾性部材は高弾性力を発揮する。高弾性物質は、その特性として、直接衝撃を受けることができ、また、上記物質を構成する要素の瞬間的な復元を可能にする。高弾性物質は、エネルギー吸収アプリケーションにおいて非線形の弾性反応を有する。
【0072】
高弾性物質は、様々な衝撃減衰環境および製品における使用に適している。したがって、ここで説明する高弾性物質を用いて様々な他の種類の製品が製造されるのは想定の範囲内である。このような製品の例としては、ヘルメットおよびパッドを含む作業およびスポーツ用保護具、自動車のシート、ヘリコプターの台座シート、船積みドック用のバンパー等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
エラストマーは、高分子材料の一分類に属し、負荷を掛けると少なくとも元の長さの2倍まで変形し、そして負荷を取り除くとほぼ元の形状に戻る能力という特性を有する。エラストマーは等方性であり、低い歪みと低い歪み速度の下、線形弾性固体として機能する略圧縮不可能な物質である。準静的な負荷の下でより大きく歪められると、これらの物質は非線形的な挙動を示す。これらの物質特有のこの機械的挙動を高弾性と称する。高弾性物質は、粘性減衰、(摩擦力に起因する)熱分散、または継続的変形(すなわち永久ひずみ)がほとんどない状態で、弾性変形を通じて衝撃から伝達される運動エネルギーを吸収することによって作用する能力を有する。この機械的エネルギーは、略100%復元し得、これによってその要素は、無視し得る歪みはあるものの衝撃の前の元の構成に戻ることができる。
【0074】
エラストマーの挙動は、動荷重が加わった状態での歪み速度および歪み履歴に基づく。これを粘弾性と称する。エラストマーの粘弾性は、ヒステリシス、弛緩、クリープ、および永久ひずみの原因となる。永久ひずみとは、エラストマーが永続的に変形し、応力ゼロにおいて上記物質が歪みゼロに戻らない場合である。しかしながらこの変形は、一定の歪みを繰り返し発生させると安定化する傾向がある。また、エラストマーの特性はマリンズ効果である。マリンズ効果とは、物理的な架橋が破壊されることが原因で、2番目以降のヒステリシスループが1番目のヒステリシスループよりも小さな領域を示す現象である。これは継続的な場合もあるし、または可逆的である場合もある。ヒステリシスはまた、エラストマーにおける結晶化に誘発され、影響を受ける。エラストマーにおける結晶化は高い歪みにおいて粘弾性効果を左右し、歪み速度に対する感度に影響を与える。エラストマーは上記機械的挙動の複雑さに加え、動荷重を掛けて高い歪みを与えると粘‐超弾性反応を示す特性を有する。粘‐超弾性反応を試験したり、特性として描写するのは困難である。通常、物質モデルへ入力するために、単純な変形(すなわち、緊張、圧縮、および剪断)におけるいくつかの形態から得た応力・歪みデータが必要とされる。これらのデータを物質モデルへ入力することにより上記モデルの性能の予測が得られる。
【0075】
一実施形態では、高弾性物質は、十分な復元性を維持しつつ、大量の機械的エネルギーを吸収し得る。従来、ゴムからなる粘性部材が動荷重への対処手段として主要な役割を果たしてきた。静止反応が(弾性歪みエネルギーのポテンシャルに基づく)高弾性モデルを示す場合、ゴムからなる粘性部材を使用した構成では粘‐超弾性モデルは主に歪み速度に依存する。高弾性モデルは、歪み速度および歪み履歴に依存した粘弾性を考慮したマクスウェルモデルと類似している。
【0076】
(物質を作成する方法)
ポリウレタンエラストマーは、高弾性な挙動を示すことが知られている材料の一種である。このような材料は、設計の観点から非常に用途が広い。適切な原材料、形成、および/または処理の選択によって、ポリウレタンエラストマーは、衝撃減衰システムがリバウンドを制御できるようにする減衰特性などの、幅広い範囲の特性を達成するように調整可能である。
【0077】
特に、適切な成分を選択し、エラストマーにおける相間離隔の度合いを制御することによって、所望の減衰特性が実現できる。
【0078】
ポリウレタンを注入したエラストマー系は、イソシアネート成分(典型例:メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI))、一種類以上の長鎖ポリオール、および短鎖グリコールからなってもよい。一般に、このような系には、硬化時および硬化後のサイクルの間に起こるさらなる反応に供される、イソシアネート基がわずかに過剰な量で混合されている。これらの反応の結果、わずかに架橋し、このため変形後の復元性の高い、十分に硬化された高分子システムが得られる。この特性によって、これらの高分子材料は衝撃減衰バリアシステムにおける高弾性素子に好適なものとなる。高弾性物質は、以下の特徴を有し得る。ショアーD硬度の値は約40から約70。最大引張応力は約4000から約7000psiの範囲にあり、破断延びは約150%から約700%の範囲にあり、最小の係数変化およびtanδ値は、対象となる温度範囲にわたって0.05以上である。
【0079】
エラストマーを生成するために短鎖グリコールと反応するイソシアネート終端プレポリマーを生成するように長鎖ポリオール成分全体がイソシアネート成分と予備反応を呈する完全プレポリマーのアプローチによって、適切なリバウンド反応を有する高弾性物質が形成され得る。
【0080】
代替のアプローチは、長鎖ポリオールの一部がイソシアネート成分と予備反応する擬似プレポリマーのシステムを使用することである。この場合、擬似プレポリマーが短鎖グリコールおよび長鎖ポリオール成分の残りと反応して生成される反応生成物によって、エラストマーが形成される。
【0081】
上記成分を組み合わせる処理は、上記成分を処理温度まで加熱する工程と、成分に対して脱ガスを行い、溶解している気体または混入気体を全て取り除く工程と、成分を混合チェンバに正確に計量する工程と、上記成分をよく混合する工程と、型の中に混合物質を投入し、続いて硬化した部分を取り出して、好適な硬化後サイクルに処す工程とを含んでもよい。各成分の融点および粘度は違うので、成形温度と同様に適切な成分温度は約100°Fから250°Fの範囲であってもよい。
【0082】
反応成分は、混合物の合計においてイソシアネート基に対して約1%から約10%上回る、または混合物の合計においてイソシアネート基に対して約2%から約5%上回る比率で組み合わされてもよい。上記成分の化学反応を促進し、手頃なタイムフレーム内で上記部分を型から外すことを可能にする触媒パッケージを用いてもよい。上記システムのゲル化時間または寿命は、上記部分全体を通して均一な物性を確保するために、成形充填時間よりも短くてはいけない。
【0083】
本開示が説明によっていくつかの実施形態を示し、例示的実施形態が極めて詳細に説明されているが、後述の請求項の範囲をそのような詳細に制限する、または何らかの限定をするとこは出願人の意図ではない。さらなる有利な点および変更は、当業者であれば容易に想到し得るであろう。
【0084】
(実施例)
(実施例1:物質)
MDI‐ポリエーテル擬似プレポリマーのシステムを用いて高弾性物質を調整した。プレポリマーは、約13.3%の自由イソシアネート成分を含んでいた。ポリテトラメチレングリコールに基づく長鎖ポリエーテル成分が用いられた。ポリオールは、約56のOH#を有していた。ここで用いられる短鎖ジオールは、ヒドロキノンビス(2‐ヒドロキシエチル)エーテル(HQEE)であり、混合物におけるヒドロキシ含有成分の合計に対して約40重量%にのぼる。
【0085】
反応成分は、混合物の合計におけるイソシアネート基に対して約5%を上回る比率で組み合わされた。反応を加速させ、型外し時間を短縮するために、典型的なポリウレタン触媒パッケージが用いられた。触媒の添加は、約3分のゲル化時間を得るように調節された。
【0086】
正確に成分を測定するための精密なギアポンプと、十分な混合精度および加熱能力を得るための動的混合ヘッドを備えた3成分液体注入マシーン(three component liquid casting machine)が用いられた。プレポリマー、ポリオール、および短鎖ジオール反応成分を、加熱されたデイタンクに注入し、適切な処理温度に維持した。プレポリマーおよびポリオールを、160〜180°Fの間の温度で保持した。HQEEを240°Fにて保持した。短鎖ジオールを含み、十分な混合が行われたタンクに、触媒成分を追加した。そして、全ての溶解した気体を除去するまで28インチHgの最小真空状態で全ての成分に対して脱ガスを行った。そして、乾燥した窒素パッドを各タンクに貼り付け、成分が湿気にさらされるのを防いだ。測定ポンプの吸引側へ確実に物質を注入するために、パッド圧は十分でなければならない。適切な量の各成分を混合チェンバへ確実に搬送するために、各ポンプの目盛り定めを行った。材料の合計処理量は、1分につき約20ポンドだった。混合物質をキャビティに注入する前に、200°Fから240°Fの適切な範囲で型を加熱した。上記部分を型から外す前に、物質の適切な硬化を確実に行うために、注入後に約200°Fにて成形温度を維持した。化学反応を確実に完了し、物性を確実に実現するために、上記部分を約20分で型から外し、約12から36時間、約200°Fから250°Fの間の温度で引き続き後硬化を行った。
【0087】
(実施例2:テスト物質)
衝撃減衰システムにおいて高弾性素子を形成する際に用いるための、熱硬化性の、流し込みポリウレタン成分の材料を調整した。1分につき3℃の速度で、1Hzにて変化する、−150から150℃の温度範囲にわたる、貯蔵弾性率E’、損失弾性率E’’、および機械損失(減衰)tanδを測定するために、ティー・エイ・インスツルメント社製のQ800型DMAを用いて、DMAテストを行った。それらのテストの結果を図10に示す。Tanδは、0.05よりも大きい場合もあり、相対的に一定の値でもあり得る。Tanδは、0.1よりも大きい場合もあり、相対的に一定の値でもあり得る。実施例1において得られた材料についてのtanδは、−15から45℃の作動温度範囲の全体にわたって、0.10と0.14との間である。ガラス遷移温度(Tg)起点を、貯蔵弾性率によって規定されるように約−27℃で測定し、融解遷移は見られなかった。
【0088】
以下の物理的な特性を含む調整物からサンプルを調整した。すなわち、上記物理的な物性とは、約679MPaの貯蔵弾性率、86MPaの損失弾性率、および約0.13のtanδであり、いずれも図10に示すように、約25℃にて測定されたものである。
【0089】
上記サンプルを高弾性テストに供した。それらのテストの結果を図11および12に示す。図11は、0.001/sから100/sの範囲の歪み速度での引張られた状態にある材料の工学応力・歪み反応を示すグラフである。図12は、0.001/sから100/sの範囲にある歪み速度での圧縮状態にある材料の工学応力・歪み反応を示すグラフである。
【0090】
この材料は、50s−1を下回る緩やかな歪み速度の依存性を示し得るが、50s−1よりも大きい歪み速度に対しては非常に鈍感であるということを注意しなくてはならない。衝撃減衰システムにおいて用いるための材料は、50と1000s−1の間の最小歪み速度の依存性を有し得る。
【0091】
上記物質を含む衝撃システム(直径5インチ、厚さ3/4インチ、4インチのロングチューブ)についてのさらなるテストは、新規なエネルギー吸収物質の典型的な反応を示したが、ポリウレタン物質は、負荷が加わっている状態ではエネルギーを吸収し、力が大幅に低下したときに負荷を外し、次第に復元し、最終的にその形状および機械的特性が略完全に復元した。テスト結果として力と移動についてのグラフを図13に示す。速度20in/sにて3.2インチの最大移動を行うまでの移動制御を行い、衝撃システムを単軸試験機に搭載し、そして同じ速度ですぐに取り外した。エネルギー損失の量は、搭載・取り外し曲線によって境目が作られる領域の広さに等しい。
【0092】
高弾性物質は、これら独自の性能指標と、高い運動エネルギー、歪み、および関連する歪み速度といった所定の制限があることを示す。
【0093】
(実施例3:衝撃減衰成分)
高弾性物質を含む衝撃システムについて行われたさらなる大規模な動的テストは、望ましい特性を示しているが、上記物質は高レベルのエネルギー吸収、制御されるリバウンドおよび復元性を示している。衝撃システムの原型成分を、実施例1の材料から調整した。
【0094】
上記原型成分に対して、2,857lb(1,296kg)の半剛体のカートによって衝撃を加えた。この衝撃はカートの中央線との正面衝突であり、テスト品の速度は20.8mph(33.5km/hr)。図16は、(a)衝撃の直前のテスト品と、(b)最大動的移動時のテスト品とを示している。図17は、上記成分の復元性を示すテストの後に回収されたテスト品の写真である。図14は、原型成分の後部における計装壁によって測定される衝撃事象における力と時間についてのグラフを示す。図15は、車両に搭載される加速度計から測定される衝撃事象における速度と時間についてのグラフを示す。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、衝撃減衰システムの一実施形態の概略平面図である。
【図2】図2は、図1に示す実施形態の概略側面図である。
【図3】図3は、概略端面図である。
【図4】図4は、概略側面図である。
【図5】図5は、図1に示す実施形態の概略透視図である。
【図6】図6は、図1に示す衝撃減衰システムを圧縮した状態の実施形態の概略平面図である。
【図7】図7は、衝撃減衰システムの他の実施形態の概略平面図である。
【図8】図8は、衝撃減衰システムの他の実施形態の概略側面図である。
【図9】図9は、衝撃減衰システムの他の実施形態の概略端面図である。
【図10】図10は、実施例1において生成される物質の、温度に対する貯蔵弾性率(E’)、損失弾性率(E’’)、および減衰(tanδ)についてのグラフを示す。
【図11】図11は、様々な歪み速度における実施例1において生成される物質についての、工学引張応力−歪みのプロットのグラフを示す。
【図12】図12は、様々な歪み速度における実施例1において生成される物質についての、工学圧縮応力−歪みのプロットのグラフを示す。
【図13】図13は、20in/sの負荷速度における5インチ直径シリンダーテストおよび有限要素シミュレーションのグラフを示す。
【図14】図14は、20.8mph(33.5km/hr)における、半剛体の車両を原型成分に変化させる衝撃の、力と時間についてのグラフを示す。
【図15】図15は、20.8mph(33.5km/hr)における、半剛体の車両を原型成分に変化させる衝撃の、速さと時間についてのグラフを示す。
【図16】図16は、(a)衝撃の直後と(b)最大動的変位量におけるテスト品の写真を示す。
【図17】図17は、負荷がテスト品から取り除かれた後のテスト品の写真を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーを吸収する高弾性物質であって、上記物質は−15℃から45℃の間の温度において、約0.05以上のtanδを有する、エネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項2】
tanδは約0.10以上である、請求項1に記載のエネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項3】
上記高弾性物質は、約40から約70のショアーD硬度を有している、請求項1に記載のエネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項4】
上記高弾性物質は、約4000から約7000psiの範囲の最大引張応力を有する、請求項1に記載のエネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項5】
上記高弾性物質は、約150%から約700%の範囲の破断延びを有する、請求項1に記載のエネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項6】
上記高弾性物質は、−15℃から45℃の間の温度において0.1以下の差で変化するtanδを有する、請求項1に記載のエネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項7】
エネルギーを吸収する高弾性物質であって、上記物質は、約−15℃から約45℃の間において、約0.05以上のtanδを有し、Tg起点は有さない、エネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項8】
上記物質はTmを有さない、請求項7に記載のエネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項9】
約−15℃から約45℃までの間において、上記物質はTm起点を有さない、請求項7に記載のエネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項10】
混合物からなる、エネルギーを吸収する高弾性物質であって、
自由イソシアネートの含有量が約10%から約15%であるMDIポリエーテルプレポリマーと、
約20から約80のOH#を含む、少なくとも1つの長鎖ポリエーテルまたはポリエステルポリオールと、
ヒドロキシル含有成分の総量のうち約30%から約45%を占める、少なくとも1つの短鎖ジオールと、
少なくとも1つの触媒とを含み、
上記成分の比率は、イソシアネート基に対して約2%から約10%上回る、エネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項11】
少なくとも1つの短鎖ジオールは、ヒドロキノンビス(2‐ヒドロキシエチル)エーテルである、請求項10に記載のエネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項12】
エネルギーを吸収する高弾性物質を含む衝撃減衰システムであって、上記物質は−15℃から45℃の間の全ての温度において0.05以上のtanδを有する、衝撃減衰システム。
【請求項13】
上記エネルギーを吸収する高弾性物質のtanδは、約0.1以上である、請求項12に記載の衝撃減衰システム。
【請求項14】
上記エネルギーを吸収する高弾性物質は、約−15℃から約45℃の間で、Tg起点を有さない、請求項12に記載の衝撃減衰システム。
【請求項15】
上記エネルギーを吸収する高弾性物質は、Tmを有さない、請求項14に記載の衝撃減衰システム。
【請求項16】
上記エネルギーを吸収する高弾性物質は、約−15℃から約45℃までの間で、Tm起点を有さない、請求項14に記載の衝撃減衰システム。
【請求項17】
少なくとも1つの第1サイドビームアセンブリおよび少なくとも1つの対向または第2サイドビームアセンブリであって、上記第1および第2ビームアセンブリは対向関係にあり、上記第1ビームアセンブリは第1または先頭端部と第2端部とを有し、上記第2ビームアセンブリは第1または先頭端部と第2端部とを有する、少なくとも1つの第1サイドビームアセンブリおよび少なくとも1つの対向または第2サイドビームアセンブリと、
上記第1ビームアセンブリの上記第1端部と、上記第2ビームアセンブリの上記第1端部とに固定される少なくとも1つのノーズ型のアセンブリと、
複数のサイドパネルをさらに有する各サイドビームアセンブリであって、各サイドパネルは第1端部および第2端部を有し、第1パネルの第2端部は、隣接するパネルの第1端部に重なり、これによってサイドパネル部材はネスト化された線形の配置となる、各サイドビームアセンブリと、
少なくとも1つの縦方向に延びる開口部を規定する各サイドパネルであって、隣接するサイドパネルにおける隣接するスロットは、少なくとも部分的に重なる、各サイドパネルと、
少なくとも1つのダイヤフラムパネルであって、上記ダイヤフラムパネルは対向するサイドパネル間に位置し、上記ダイヤフラムパネルは少なくとも1つの固定機構によって上記対向するサイドパネルに固定され、上記固定機構は、上記スロットを通じて上記サイドパネルの外側表面から延び、上記固定機構は上記スロットに沿って縦方向に可動である、少なくとも1つのダイヤフラムパネルと、
上記対向するサイドパネルと上記ダイヤフラムパネルによって規定される少なくとも1つのベイと、
各ベイに位置し、剛性が必ずしも同一ではない少なくとも1つの高弾性部材と、
第1端部において第1係留機構に固定され、第2端部において第2係留機構に固定される、少なくとも1つのケーブルを有する少なくとも1つの係留システムとを含む、衝撃減衰システム。
【請求項18】
上記ノーズ型のアセンブリからより遠い高弾性部材の剛性は、上記ノーズ型のアセンブリにより近い高弾性部材よりも高い、請求項17に記載の衝撃減衰システム。
【請求項19】
上記高弾性部材は、結合されたチューブ形状を有している、請求項17に記載の衝撃減衰システム。
【請求項20】
上記高弾性部材は、−15℃から45℃までの間の全ての温度において、0.05以上のtanδを有する高弾性物質を含む、請求項17に記載の衝撃減衰システム。
【請求項1】
エネルギーを吸収する高弾性物質であって、上記物質は−15℃から45℃の間の温度において、約0.05以上のtanδを有する、エネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項2】
tanδは約0.10以上である、請求項1に記載のエネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項3】
上記高弾性物質は、約40から約70のショアーD硬度を有している、請求項1に記載のエネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項4】
上記高弾性物質は、約4000から約7000psiの範囲の最大引張応力を有する、請求項1に記載のエネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項5】
上記高弾性物質は、約150%から約700%の範囲の破断延びを有する、請求項1に記載のエネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項6】
上記高弾性物質は、−15℃から45℃の間の温度において0.1以下の差で変化するtanδを有する、請求項1に記載のエネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項7】
エネルギーを吸収する高弾性物質であって、上記物質は、約−15℃から約45℃の間において、約0.05以上のtanδを有し、Tg起点は有さない、エネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項8】
上記物質はTmを有さない、請求項7に記載のエネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項9】
約−15℃から約45℃までの間において、上記物質はTm起点を有さない、請求項7に記載のエネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項10】
混合物からなる、エネルギーを吸収する高弾性物質であって、
自由イソシアネートの含有量が約10%から約15%であるMDIポリエーテルプレポリマーと、
約20から約80のOH#を含む、少なくとも1つの長鎖ポリエーテルまたはポリエステルポリオールと、
ヒドロキシル含有成分の総量のうち約30%から約45%を占める、少なくとも1つの短鎖ジオールと、
少なくとも1つの触媒とを含み、
上記成分の比率は、イソシアネート基に対して約2%から約10%上回る、エネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項11】
少なくとも1つの短鎖ジオールは、ヒドロキノンビス(2‐ヒドロキシエチル)エーテルである、請求項10に記載のエネルギーを吸収する高弾性物質。
【請求項12】
エネルギーを吸収する高弾性物質を含む衝撃減衰システムであって、上記物質は−15℃から45℃の間の全ての温度において0.05以上のtanδを有する、衝撃減衰システム。
【請求項13】
上記エネルギーを吸収する高弾性物質のtanδは、約0.1以上である、請求項12に記載の衝撃減衰システム。
【請求項14】
上記エネルギーを吸収する高弾性物質は、約−15℃から約45℃の間で、Tg起点を有さない、請求項12に記載の衝撃減衰システム。
【請求項15】
上記エネルギーを吸収する高弾性物質は、Tmを有さない、請求項14に記載の衝撃減衰システム。
【請求項16】
上記エネルギーを吸収する高弾性物質は、約−15℃から約45℃までの間で、Tm起点を有さない、請求項14に記載の衝撃減衰システム。
【請求項17】
少なくとも1つの第1サイドビームアセンブリおよび少なくとも1つの対向または第2サイドビームアセンブリであって、上記第1および第2ビームアセンブリは対向関係にあり、上記第1ビームアセンブリは第1または先頭端部と第2端部とを有し、上記第2ビームアセンブリは第1または先頭端部と第2端部とを有する、少なくとも1つの第1サイドビームアセンブリおよび少なくとも1つの対向または第2サイドビームアセンブリと、
上記第1ビームアセンブリの上記第1端部と、上記第2ビームアセンブリの上記第1端部とに固定される少なくとも1つのノーズ型のアセンブリと、
複数のサイドパネルをさらに有する各サイドビームアセンブリであって、各サイドパネルは第1端部および第2端部を有し、第1パネルの第2端部は、隣接するパネルの第1端部に重なり、これによってサイドパネル部材はネスト化された線形の配置となる、各サイドビームアセンブリと、
少なくとも1つの縦方向に延びる開口部を規定する各サイドパネルであって、隣接するサイドパネルにおける隣接するスロットは、少なくとも部分的に重なる、各サイドパネルと、
少なくとも1つのダイヤフラムパネルであって、上記ダイヤフラムパネルは対向するサイドパネル間に位置し、上記ダイヤフラムパネルは少なくとも1つの固定機構によって上記対向するサイドパネルに固定され、上記固定機構は、上記スロットを通じて上記サイドパネルの外側表面から延び、上記固定機構は上記スロットに沿って縦方向に可動である、少なくとも1つのダイヤフラムパネルと、
上記対向するサイドパネルと上記ダイヤフラムパネルによって規定される少なくとも1つのベイと、
各ベイに位置し、剛性が必ずしも同一ではない少なくとも1つの高弾性部材と、
第1端部において第1係留機構に固定され、第2端部において第2係留機構に固定される、少なくとも1つのケーブルを有する少なくとも1つの係留システムとを含む、衝撃減衰システム。
【請求項18】
上記ノーズ型のアセンブリからより遠い高弾性部材の剛性は、上記ノーズ型のアセンブリにより近い高弾性部材よりも高い、請求項17に記載の衝撃減衰システム。
【請求項19】
上記高弾性部材は、結合されたチューブ形状を有している、請求項17に記載の衝撃減衰システム。
【請求項20】
上記高弾性部材は、−15℃から45℃までの間の全ての温度において、0.05以上のtanδを有する高弾性物質を含む、請求項17に記載の衝撃減衰システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16(a)】
【図16(b)】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16(a)】
【図16(b)】
【図17】
【公表番号】特表2011−526306(P2011−526306A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500885(P2011−500885)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/037253
【国際公開番号】WO2009/117348
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(504306714)バテル・メモリアル・インスティテュート (26)
【氏名又は名称原語表記】BATTELLE MEMORIAL INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】505 King Avenue, Columbus, OH 43201−2693 (US)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/037253
【国際公開番号】WO2009/117348
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(504306714)バテル・メモリアル・インスティテュート (26)
【氏名又は名称原語表記】BATTELLE MEMORIAL INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】505 King Avenue, Columbus, OH 43201−2693 (US)
【Fターム(参考)】
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