説明

リビングラジカルポリマーの製造方法及びポリマー

式(1)で表される有機テルル化合物、アゾ系重合開始剤及び式(2)で表されるジテルリド化合物を用いて、ビニルモノマーを重合することを特徴とするリビングラジカルポリマーの製造方法、及びそれより得られうるリビングラジカルポリマー。


〔式中、Rは、C〜Cのアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を示す。R及びRは、水素原子又はC〜Cのアルキル基を示す。Rは、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、アシル基、オキシカルボニル基又はシアノ基を示す。〕


〔式中、Rは、上記と同じ。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、リビングラジカルポリマーの製造方法及びそれより得られうるリビングラジカルポリマーに関する。
【背景技術】
アゾ系化合物は、ラジカル重合の開始剤として用いられている。特にAIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)は、アゾ系ラジカル重合開始剤の中でも重要で広く使用されている。このような反応としては、非常に多様のモノマー、例えば、スチレン、(メタ)アクリル酸アルキルやアクリロニトリル等のビニルモノマーの重合に使用されている。
上記方法は、多様なモノマーに対して重合反応が可能であるが、生成物の分子量と分子量分布の精密な制御には不向きである。
このような問題を解消するものとして、AIBN、ジフェニルジテルリド(DPDTe)を用いてスチレンを重合させて、ポリスチレンを得る方法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
しかしながら、この方法はまずジテルリド化合物として芳香族系のDPDTeのみを用い、ビニルモノマーとしてスチレンのみを用いることを開示し、分子量分布(PD=Mw/Mn)も1.18〜1.26程度のポリマーが得られている。従ってこの文献からビニルモノマーとしてスチレンを用いる場合には分子量分布(PD=Mw/Mn)が制御されているものが得られることがわかるが、スチレン以外のビニルモノマーについての知見は不明である。そこで(メタ)アクリル酸エステルのような他のビニルモノマーについて研究したところ、この方法では優れた分子量分布が得られないことが判明した。
〔非特許文献1 Polymer Bulletin 43,143−150(1999)〕
本発明の目的は、式(1)で表される有機テルル化合物、アゾ系重合開始剤及び式(2)で表されるジテルリド化合物を用いて、スチレンのみならずその他の(メタ)アクリル酸エステルのようなビニルモノマーであっても、温和な条件下で、より一層精密な分子量及び分子量分布(PD=Mw/Mn)を有するリビングラジカルポリマーが得られるリビングラジカルポリマーの製造方法及び該ポリマーを提供することにある。
【発明の開示】
本発明は、式(1)で表される有機テルル化合物、アゾ系重合開始剤及び式(2)で表されるジテルリド化合物を用いて、ビニルモノマーを重合することを特徴とするリビングラジカルポリマーの製造方法、及びそれより得られうるリビングラジカルポリマーに係る。

〔式中、Rは、C〜Cのアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を示す。R及びRは、水素原子又はC〜Cのアルキル基を示す。Rは、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、アシル基、オキシカルボニル基又はシアノ基を示す。〕

〔式中、Rは、上記と同じ。〕
本発明のリビングラジカルポリマーは、式(1)で表される有機テルル化合物と式(2)で表される化合物の存在下、アゾ系重合開始剤を用いて、ビニルモノマーを重合させることにより製造される。

〔式中、Rは、C〜Cのアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を示す。R及びRは、水素原子又はC〜Cのアルキル基を示す。Rは、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、アシル基、オキシカルボニル基又はシアノ基を示す。〕

〔式中、Rは、上記と同じ。〕
本発明で使用する式(1)で表される有機テルル化合物は、次の通りである。

〔式中、Rは、C〜Cのアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を示す。R及びRは、水素原子又はC〜Cのアルキル基を示す。Rは、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、アシル基、オキシカルボニル基又はシアノ基を示す。〕
で示される基は、具体的には次の通りである。
〜Cのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の炭素数1〜8の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を挙げることができる。好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、より好ましくはメチル基、エチル基又はn−ブチル基が良い。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等、置換アリール基としては置換基を有しているフェニル基、置換基を有しているナフチル基等、芳香族ヘテロ環基としてはピリジル基、ピロール基、フリル基、チエニル基等を挙げることができる。上記置換基を有しているアリール基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、−CORで示されるカルボニル含有基(R=C〜Cのアルキル基、アリール基、C〜Cのアルコキシ基、アリーロキシ基)、スルホニル基、トリフルオロメチル基等を挙げることができる。好ましいアリール基としては、フェニル基、トリフルオロメチル置換フェニル基が良い。また、これら置換基は、1個又は2個置換しているのが良く、パラ位若しくはオルト位が好ましい。
及びRで示される各基は、具体的には次の通りである。
〜Cのアルキル基としては、上記Rで示したアルキル基と同様のものを挙げることができる。
で示される各基は、具体的には次の通りである。
アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基としては上記Rで示した基と同様のものを挙げることができる。
アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、ブチリル基、ベンゾイル基、トルオイル基等のC〜Cのアシル基を挙げることができる。
オキシカルボニル基としては、−COOR(R=H、C〜Cのアルキル基、アリール基)で示される基が好ましく、例えばカルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、ter−ブトキシカルボニル基、n−ペントキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等を挙げることができる。好ましいオキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が良い。
好ましいRで示される各基としては、アリール基、置換アリール基、オキシカルボニル基又はシアノ基が良い。好ましいアリール基としては、フェニル基が良い。好ましい置換アリール基としては、ハロゲン原子置換フェニル基、トリフルオロメチル置換フェニル基が良い。また、これらの置換基は、ハロゲン原子の場合は、1〜5個置換しているのが良い。アルコキシ基やトリフルオロメチル基の場合は、1個又は2個置換しているのが良く、1個置換の場合は、パラ位若しくはオルト位が好ましく、2個置換の場合は、メタ位が好ましい。好ましいオキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が良い。
好ましい(1)で示される有機テルル化合物としては、Rが、C〜Cのアルキル基を示し、R及びRが、水素原子又はC〜Cのアルキル基を示し、Rが、アリール基、置換アリール基、オキシカルボニル基で示される化合物が良い。特に好ましくは、Rが、C〜Cのアルキル基を示し、R及びRが、水素原子又はC〜Cのアルキル基を示し、Rが、フェニル基、置換フェニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が良い。
式(1)で示される有機テルル化合物は、具体的には次の通りである。
有機テルル化合物としては、(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−クロロ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−メトキシ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−アミノ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−ニトロ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−シアノ−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−メチルカルボニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−フェニルカルボニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−メトキシカルボニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−フェノキシカルボニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−スルホニル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−トリフルオロメチル−4−(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、1−クロロ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−メトキシ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−アミノ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−ニトロ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−シアノ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−メチルカルボニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−フェニルカルボニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−メトキシカルボニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−フェノキシカルボニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−スルホニル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−トリフルオロメチル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−(1−メチルテラニル−エチル)−3,5−ビス−トリフルオロメチルベンゼン、1,2,3,4,5−ペンタフルオロ−6−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−クロロ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−メトキシ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−アミノ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−ニトロ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−シアノ−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−メチルカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−フェニルカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−メトキシカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−フェノキシカルボニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−スルホニル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−トリフルオロメチル−4−(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、2−(メチルテラニル−メチル)ピリジン、2−(1−メチルテラニル−エチル)ピリジン、2−(2−メチルテラニル−プロピル)ピリジン、2−メチル−2−メチルテラニル−プロパナール、3−メチル−3−メチルテラニル−2−ブタノン、2−メチルテラニル−エタン酸メチル、2−メチルテラニル−プロピオン酸メチル、2−メチルテラニル−2−メチルプロピオン酸メチル、2−メチルテラニル−エタン酸エチル、2−メチルテラニル−プロピオン酸エチル、2−メチルテラニル−2−メチルプロピオン酸エチル、〔エチル−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオネート〕、2−(n−ブチルテラニル)−2−メチルプロピオン酸エチル、〔エチル−2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオネート〕、2−メチルテラニルアセトニトリル、2−メチルテラニルプロピオニトリル、2−メチル−2−メチルテラニルプロピオニトリル、(フェニルテラニル−メチル)ベンゼン、(1−フェニルテラニル−エチル)ベンゼン、(2−フェニルテラニル−プロピル)ベンゼン等を挙げることができる。また上記において、メチルテラニル、1−メチルテラニル、2−メチルテラニルの部分がそれぞれエチルテラニル、1−エチルテラニル、2−エチルテラニル、ブチルテラニル、1−ブチルテラニル、2−ブチルテラニルと変更した化合物も全て含まれる。
好ましくは、(メチルテラニル−メチル)ベンゼン、(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、(2−メチルテラニル−プロピル)ベンゼン、1−クロロ−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、1−トリフルオロメチル−4−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、2−メチルテラニル−2−メチルプロピオン酸メチル、2−メチルテラニル−2−メチルプロピオン酸エチル、〔エチル−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオネート〕、2−(n−ブチルテラニル)−2−メチルプロピオン酸エチル〔エチル−2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオネート〕、1−(1−メチルテラニル−エチル)−3,5−ビス−トリフルオロメチルベンゼン、1,2,3,4,5−ペンタフルオロ−6−(1−メチルテラニル−エチル)ベンゼン、2−メチルテラニルプロピオニトリル、2−メチル−2−メチルテラニルプロピオニトリル、(エチルテラニル−メチル)ベンゼン、(1−エチルテラニル−エチル)ベンゼン、(2−エチルテラニル−プロピル)ベンゼン、2−エチルテラニル−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エチルテラニル−2−メチルプロピオン酸エチル、2−エチルテラニルプロピオニトリル、2−メチル−2−エチルテラニルプロピオニトリル、(n−ブチルテラニル−メチル)ベンゼン、(1−n−ブチルテラニル−エチル)ベンゼン、(2−n−ブチルテラニル−プロピル)ベンゼン、2−n−ブチルテラニル−2−メチルプロピオン酸メチル、2−n−ブチルテラニル−2−メチルプロピオン酸エチル、2−n−ブチルテラニルプロピオニトリル、2−メチル−2−n−ブチルテラニルプロピオニトリルが良い。
式(1)で示される有機テルル化合物は、式(3)の化合物、式(4)の化合物および金属テルルを反応させることにより製造することができる。
上記、式(3)で表される化合物としては、具体的には次の通りである。

〔式中、R、R及びRは、上記と同じ。Xは、ハロゲン原子を示す。〕
、R及びRで示される各基は、上記に示した通りである。
Xで示される基としては、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素等のハロゲン原子を挙げることができる。好ましくは、塩素、臭素が良い。
具体的な化合物としては、ベンジルクロライド、ベンジルブロマイド、1−クロロ−1−フェニルエタン、1−ブロモ−1−フェニルエタン、2−クロロ−2−フェニルプロパン、2−ブロモ−2−フェニルプロパン、p−クロロベンジルクロライド、p−ヒドロキシベンジルクロライド、p−メトキシベンジルクロライド、p−アミノベンジルクロライド、p−ニトロベンジルクロライド、p−シアノベンジルクロライド、p−メチルカルボニルベンジルクロライド、フェニルカルボニルベンジルクロライド、p−メトキシカルボニルベンジルクロライド、p−フェノキシカルボニルベンジルクロライド、p−スルホニルベンジルクロライド、p−トリフルオロメチルベンジルクロライド、1−クロロ−1−(p−クロロフェニル)エタン、1−ブロモ−1−(p−クロロフェニル)エタン、1−クロロ−1−(p−ヒドロキシフェニル)エタン、1−ブロモ−1−(p−ヒドロキシフェニル)エタン、1−クロロ−1−(p−メトキシフェニル)エタン、1−ブロモ−1−(p−メトキシフェニル)エタン、1−クロロ−1−(p−アミノフェニル)エタン、1−ブロモ−1−(p−アミノフェニル)エタン、1−クロロ−1−(p−ニトロフェニル)エタン、1−ブロモ−1−(p−ニトロフェニル)エタン、1−クロロ−1−(p−シアノフェニル)エタン、1−ブロモ−1−(p−シアノフェニル)エタン、1−クロロ−1−(p−メチルカルボニルフェニル)エタン、1−ブロモ−1−(p−メチルカルボニルフェニル)エタン、1−クロロ−1−(p−フェニルカルボニルフェニル)エタン、1−ブロモ−1−(p−フェニルカルボニルフェニル)エタン、1−クロロ−1−(p−メトキシカルボニルフェニル)エタン、1−ブロモ−1−(p−メトキシカルボニルフェニル)エタン、1−クロロ−1−(p−フェノキシカルボニルフェニル)エタン、1−ブロモ−1−(p−フェノキシカルボニルフェニル)エタン、1−クロロ−1−(p−スルホニルフェニル)エタン、1−ブロモ−1−(p−スルホニルフェニル)エタン、1−クロロ−1−(p−トリフルオロメチルフェニル)エタン、1−ブロモ−1−(p−トリフルオロメチルフェニル)エタン、2−クロロ−2−(p−クロロフェニル)プロパン、2−ブロモ−2−(p−クロロフェニル)プロパン、2−クロロ−2−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−ブロモ−2−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−クロロ−2−(p−メトキシフェニル)プロパン、2−ブロモ−2−(p−メトキシフェニル)プロパン、2−クロロ−2−(p−アミノフェニル)プロパン、2−ブロモ−2−(p−アミノフェニル)プロパン、2−クロロ−2−(p−ニトロフェニル)プロパン、2−ブロモ−2−(p−ニトロフェニル)プロパン、2−クロロ−2−(p−シアノフェニル)プロパン、2−ブロモ−2−(p−シアノフェニル)プロパン、2−クロロ−2−(p−メチルカルボニルフェニル)プロパン、2−ブロモ−2−(p−メチルカルボニルフェニル)プロパン、2−クロロ−2−(p−フェニルカルボニルフェニル)プロパン、2−ブロモ−2−(p−フェニルカルボニルフェニル)プロパン、2−クロロ−2−(p−メトキシカルボニルフェニル)プロパン、2−ブロモ−2−(p−メトキシカルボニルフェニル)プロパン、2−クロロ−2−(p−フェノキシカルボニルフェニル)プロパン、2−ブロモ−2−(p−フェノキシカルボニルフェニル)プロパン、2−クロロ−2−(p−スルホニルフェニル)プロパン、2−ブロモ−2−(p−スルホニルフェニル)プロパン、2−クロロ−2−(p−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2−ブロモ−2−(p−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2−(クロロメチル)ピリジン、2−(ブロモメチル)ピリジン、2−(1−クロロエチル)ピリジン、2−(1−ブロモエチル)ピリジン、2−(2−クロロプロピル)ピリジン、2−(2−ブロモプロピル)ピリジン、2−クロロエタン酸メチル、2−ブロモエタン酸メチル、2−クロロプロピオン酸メチル、2−ブロモエタン酸メチル、2−クロロ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−クロロエタン酸エチル、2−ブロモエタン酸エチル、2−クロロプロピオン酸エチル、2−ブロモエタン酸エチル、2−クロロ−2−エチルプロピオン酸エチル、2−ブロモ−2−エチルプロピオン酸エチル、2−クロロアセトニトリル、2−ブロモアセトニトリル、2−クロロプロピオニトリル、2−ブロモプロピオニトリル、2−クロロ−2−メチルプロピオニトリル、2−ブロモ−2−メチルプロピオニトリル(1−ブロモエチル)ベンゼン、エチル−2−ブロモ−イソ−ブチレート、1−(1−ブロモエチル)−4−クロロベンゼン、1−(1−ブロモエチル)−4−トリフルオロメチルベンゼン、1−(1−ブロモエチル)−3,5−ビス−トリフルオロメチルベンゼン、1,2,3,4,5−ペンタフルオロ−6−(1−ブロモエチル)ベンゼン、1−(1−ブロモエチル)−4−(メトキシベンゼン)、エチル−2−ブロモ−イソブチレート等を挙げることができる。
上記、式(4)で表される化合物としては、具体的には次の通りである。

〔式中、Rは、上記と同じ。Mは、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は銅原子を示す。Mがアルカリ金属の時、mは1、Mがアルカリ土類金属の時、mは2、Mが銅原子の時、mは1または2を示す。〕
で示される基は、上記に示した通りである。
Mで示されるものとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、銅を挙げることができる。好ましくは、リチウムが良い。
なお、Mがマグネシウムの時、化合物(4)はMg(Rでも、或いはRMgX(Xは、ハロゲン原子)で表される化合物(グリニャール試薬)でもよい。Xは、好ましくは、クロロ原子、ブロモ原子がよい。
具体的な化合物としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、フェニルリチウム、p−クロロフェニルリチウム、p−メトキシフェニルリチウム、p−ニトロフェニルリチウム等を挙げることができる。好ましくは、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、フェニルリチウムが良い。
上記製造方法としては、具体的には次の通りである。
金属テルルを溶媒に懸濁させる。使用できる溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)等の極性溶媒やトルエン、キシレン等の芳香族溶媒、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、ジアルキルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。好ましくは、THFが良い。溶媒の使用量としては適宜調節すればよいが、通常、金属テルル1gに対して1〜100ml、好ましくは、5〜20mlが良い。
上記懸濁溶液に、化合物(4)をゆっくりと滴下しその後撹拌する。反応時間は、反応温度や圧力により異なるが、通常5分〜24時間、好ましくは、10分〜2時間が良い。反応温度としては、−20℃〜80℃、好ましくは、−10℃〜40℃、より好ましくは、−5℃〜40℃が良い。圧力は、通常、常圧で行うが、加圧或いは減圧しても構わない。
次に、この反応溶液に、化合物(3)を加え、撹拌する。反応時間は、反応温度や圧力により異なるが、通常5分〜24時間、好ましくは、10分〜2時間が良い。反応温度としては、−20℃〜80℃、好ましくは、−10℃〜40℃、より好ましくは、−5℃〜40℃が良い。圧力は、通常、常圧で行うが、加圧或いは減圧しても構わない。
金属テルル、化合物(3)及び化合物(4)の使用割合としては、金属テルル1molに対して、化合物(3)を0.5〜1.5mol、化合物(4)を0.5〜1.5mol、好ましくは、化合物(3)を0.8〜1.2mol、化合物(4)を0.8〜1.2molとするのが良い。
反応終了後、溶媒を濃縮し、目的化合物を単離精製する。精製方法としては、化合物により適宜選択できるが、通常、減圧蒸留や再結晶精製等が好ましい。
本発明で使用されるアゾ系重合開始剤は、通常のラジカル重合で使用するアゾ系重合開始剤であれば特に制限はないが、例えば2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(AMBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(MAIB)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)(ACVA)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチルアミド)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボン酸メチル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド等が挙げられる。
本発明で使用する式(2)で表される化合物は、次の通りである。

〔式中、Rは、上記と同じ。〕
で示される基は、上記に示した通りである。
好ましい式(2)で示される化合物としては、RがC〜Cのアルキル基、フェニル基が良い。
式(2)で示される化合物は、具体的には、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジイソプロピルジテルリド、ジシクロプロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリド、ジ−sec−ブチルジテルリド、ジ−tert−ブチルジテルリド、ジシクロブチルジテルリド、ジフェニルジテルリド、ビス−(p−メトキシフェニル)ジテルリド、ビス−(p−アミノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−ニトロフェニル)ジテルリド、ビス−(p−シアノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−スルホニルフェニル)ジテルリド、ジナフチルジテルリド、ジピリジルジテルリド等が挙げられる。好ましくは、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリド、ジフェニルジテルリドが良い。特に好ましくは、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリドが良い。
製造方法としては、具体的には金属テルルと式(4)で表される化合物を反応させる方法を挙げることができる。
金属テルルを溶媒に懸濁させる。使用できる溶媒としては、ジメチルホルムアミド(DMF)やテトラハイドロフラン(THF)等の極性溶媒やトルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、ヘキサン等の脂肪族系炭化水素、ジアルキルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。好ましくは、THFが良い。有機溶媒の使用量としては適宜調節すればよいが、通常、金属テルル1gに対して1〜100ml、好ましくは、5〜20mlが良い。
上記懸濁溶液に、式(4)で表される化合物をゆっくりと滴下しその後撹拌する。反応時間は、反応温度や圧力により異なるが、通常5分〜24時間、好ましくは、10分〜2時間が良い。反応温度としては、−20℃〜80℃、好ましくは、−10℃〜40℃、より好ましくは、−5〜40℃が良い。圧力は、通常、常圧で行うが、加圧或いは減圧しても構わない。
次に、この反応溶液に、水(食塩水等の中性水、塩化アンモニウム水溶液等のアルカリ性水、塩酸水等の酸性水でも良い)を加え、撹拌する。反応時間は、反応温度や圧力により異なるが、通常5分〜24時間、好ましくは、10分〜2時間が良い。反応温度としては、−20℃〜80℃、好ましくは、0℃〜40℃、より好ましくは、15〜40℃が良い。圧力は、通常、常圧で行うが、加圧或いは減圧しても構わない。
金属テルル及び式(4)の化合物の使用割合としては、金属テルル1molに対して、式(4)の化合物を0.5〜1.5mol、好ましくは、0.8〜1.2molとするのが良い。
反応終了後、溶媒を濃縮し、目的化合物を単離精製する。精製方法としては、化合物により適宜選択できるが、通常、減圧蒸留や再沈殿精製等が好ましい。
本発明で使用するビニルモノマーとしては、ラジカル重合可能なものであれば特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル等のシクロアルキル基含有不飽和モノマー、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸等メチル等のカルボキシル基含有不飽和モノマー、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の3級アミン含有不飽和モノマー、N−2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−メタクリロイルアミノエチル−N,N,N−ジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩基含有不飽和モノマー、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有不飽和モノマー、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン(p−メチルスチレン)、2−メチルスチレン(o−メチルスチレン)、3−メチルスチレン(m−メチルスチレン)、4−メトキシスチレン(p−メトキシスチレン)、p−t−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、2−ヒドロキシメチルスチレン、2−クロロスチレン(o−クロロスチレン)、4−クロロスチレン(p−クロロスチレン)、2,4−ジクロロスチレン、1−ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、p−スチレンスルホン酸又はそのアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)等の芳香族不飽和モノマー(スチレン系モノマー)、2−ビニルチオフェン、N−メチル−2−ビニルピロール、1−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のヘテロ環含有不飽和モノマー、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のビニルアミド、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等のα−オレフィン、ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等のジエン類、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリロニトリル、メチルビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等を挙げることができる。
この中でも好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル、シクロアルキル基含有不飽和モノマー、芳香族不飽和モノマー(スチレン系モノマー)、(メタ)アクリルアミド系モノマー、(メタ)アクリロニトリル、メチルビニルケトンが良い。
好ましい(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル〔2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート〕が挙げられる。特に好ましくは、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸プロピル、メタアクリル酸ブチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシエチル〔2−ヒドロキシエチルメタアクリレート〕が良い。
好ましいシクロアルキル基含有不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルが良い。特に好ましくは、メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸イソボルニルが良い。
好ましいスチレン系モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、p−スチレンスルホン酸又はそのアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)が挙げられる。特に好ましくは、スチレン、p−クロロスチレンが良い。
好ましい(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。特に好ましくは、N−イソプロピルメタアクリルアミドが良い。
尚、上記の「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の総称である。
本発明のリビングラジカルポリマーの製造方法は、具体的には次の通りである。
不活性ガスで置換した容器で、ビニルモノマーと式(1)で表される有機テルル化合物とアゾ系重合開始剤と式(2)で示される化合物を混合する。次に、上記混合物を撹拌する。反応温度、反応時間は、適宜調節すればよいが、通常、20〜150℃で、1分〜100時間撹拌する。好ましくは、40〜100℃で、0.1〜30時間撹拌するのが良い。この時、圧力は、通常、常圧で行われるが、加圧或いは減圧しても構わない。この時、不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等を挙げることができる。好ましくは、アルゴン、窒素が良い。特に好ましくは、窒素が良い。
ビニルモノマーと式(1)で示される有機テルル化合物の使用量としては、得られるリビングラジカルポリマーの分子量或いは分子量分布により適宜調節すればよいが、通常、式(1)で示される有機テルル化合物1molに対して、ビニルモノマーを5〜10,000mol、好ましくは50〜5,000molとするのが良い。
式(1)で示される有機テルル化合物とアゾ系重合開始剤の使用量としては、通常、式(1)で示される有機テルル化合物1molに対して、アゾ系重合開始剤0.01〜100mol、好ましくは0.1〜10mol、特に好ましくは0.1〜5molとするのが良い。
式(1)で示される有機テルル化合物と式(2)で示される化合物の使用量としては、通常、式(1)で示される有機テルル化合物1molに対して、式(2)で示される化合物0.1〜100mol、好ましくは0.1〜10mol、特に好ましくは0.1〜5molとするのが良い。
反応は、通常、無溶媒で行うが、ラジカル重合で一般に使用される有機溶媒或いは水性溶媒を使用しても構わない。使用できる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、トリフルオロメチルベンゼン等が挙げられる。また、水性溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール等が挙げられる。溶媒の使用量としては適宜調節すればよいが、例えば、ビニルモノマー1gに対して、溶媒を0.01〜50ml、好ましくは、0.05〜10mlが、特に好ましくは、0.1〜1mlが良い。
次に、上記混合物を攪拌する。反応温度、反応時間は、得られるリビングラジカルポリマーの分子量或いは分子量分布により適宜調節すればよいが、通常、20〜150℃で、1分〜100時間撹拌する。好ましくは、40〜100℃で、0.1〜30時間撹拌するのが良い。更に好ましくは、40〜80℃で、0.1〜15時間撹拌するのが良い。このように低い重合温度及び短い重合時間であっても高い収率と精密なPDを得ることができるのが、本発明の特徴である。この時、圧力は、通常、常圧で行われるが、加圧或いは減圧しても構わない。
反応終了後、常法により使用溶媒や残存モノマーを減圧下除去して目的ポリマーを取り出したり、目的ポリマー不溶溶媒を使用して再沈澱処理により目的物を単離する。反応処理については、目的物に支障がなければどのような処理方法でも行う事が出来る。
本発明のリビングラジカルポリマーの製造方法では、ビニルモノマーを複数使用することができる。例えば、2種以上のビニルモノマーを同時に反応させるとランダム共重合体を得ることができる。該ランダム共重合体は、モノマーの種類に関係なく、反応させるモノマーの比率(モル比)通りのポリマーを得ることができる。ビニルモノマーAとビニルモノマーBを同時に反応させランダム共重合体を得るとほぼ原料比(モル比)通りのものを得ることができる。また、2種のビニルモノマーを順次反応させるとブロック共重合体を得ることができる。該ブロック共重合体は、モノマーの種類に関係なく、反応させるモノマーの順番によるポリマーを得ることができる。ビニルモノマーAとビニルモノマーBを順番に反応させブロック共重合体を得ると、反応させる順番によりA−Bのもの、B−Aのものを得ることができる。
本発明のリビングラジカル重合開始剤は、優れた分子量制御及び分子量分布制御を非常に温和な条件下で行うことができる。特に、反応時間に関しては、従来のリビングラジカル重合に比べて、短縮することができる。
本発明で得られるリビングラジカルポリマーの分子量は、反応時間及び有機テルル化合物の量により調整可能であるが、数平均分子量500〜1,000,000のリビングラジカルポリマーを得ることができる。特に数平均分子量1,000〜50,000のリビングラジカルポリマーを得るのに好適である。
本発明で得られるリビングラジカルポリマーの分子量分布(PD=Mw/Mn)は、1.05〜1.50の間で制御される。更に、分子量分布1.05〜1.30、更には1.10〜1.20、特に1.09〜1.20、1.09〜1.17、1.09〜1.12のより狭いリビングラジカルポリマーを得ることができる。
本発明で得られるリビングラジカルポリマーの末端基は、有機テルル化合物由来のアルキル基、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、アシル基、オキシカルボニル基又はシアノ基が、また、成長末端は、反応性の高いテルルであることが確認されている。従って、有機テルル化合物をリビングラジカル重合に用いることにより従来のリビングラジカル重合で得られるリビングラジカルポリマーよりも末端基を他の官能基へ変換することが容易である。これらにより、本発明で得られるリビングラジカルポリマーは、マクロリビングラジカル重合開始剤(マクロイニシエーター)として用いることができる。
即ち、本発明のマクロリビングラジカル重合開始剤を用いて、例えばメタクリル酸メチル−スチレン等のA−Bジブロック共重合体、スチレン−メタクリル酸メチルのB−Aジブロック共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン−メタクリル酸メチル等のA−B−Aトリブロック共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン−アクリル酸ブチル等のA−B−Cトリブロック共重合体を得ることができる。これは、本発明の式(1)で示される有機テルル化合物、アゾ系重合開始剤及び式(2)で表されるジテルリド化合物で、種々の異なったタイプのビニル系モノマーをコントロールできること、また、リビングラジカル重合開始剤により得られるリビングラジカルポリマーの成長末端に反応性の高いテルルが存在していることによるものである。
ブロック共重合体の製造方法としては、具体的には次の通りである。
A−Bジブロック共重合体の場合、例えば、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体の場合は、上記のリビングラジカルポリマーの製造方法と同様に、まず、メタクリル酸メチルと式(1)で示される有機テルル化合物、アゾ系重合開始剤及び式(2)で表されるジテルリド化合物を混合し、ポリメタクリル酸メチルを製造後、続いてスチレンを混合して、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体を得る方法が挙げられる。
A−B−Aトリブロック共重合体やA−B−Cトリブロック共重合体の場合も、上記の方法でA−Bジブロック共重合体を製造した後、ビニルモノマー(A)或いはビニルモノマー(C)を混合し、A−B−Aトリブロック共重合体やA−B−Cトリブロック共重合体を得る方法が挙げられる。
本発明の上記ジブロック共重合体の製造においては、最初のモノマーの単独重合体の製造の時、及び引き続くジブロック共重合体の製造の時の一方又は両方において、式(1)で示される有機テルル化合物、アゾ系重合開始剤及び式(2)で表されるジテルリド化合物を用いることができる。
また、本発明の上記トリブロック共重合体の製造においては、第1のモノマーの単独重合体の製造の時、その次のジブロック共重合体の製造の時、更に引き続くトリブロック共重合体の製造の時の少なくとも1回以上、式(1)で示される有機テルル化合物、アゾ系重合開始剤及び式(2)で表されるジテルリド化合物を用いることができる。
上記で、各ブロックを製造後、そのまま次のブロックの反応を開始しても良いし、一度反応を終了後、精製してから次のブロックの反応を開始しても良い。ブロック共重合体の単離は通常の方法により行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが何らこれらに限定されるものではない。また、実施例及び比較例において、各種物性測定は以下の方法で行った。
(1)有機テルル化合物、ジテルリド化合物及びリビングラジカルポリマーの同定
有機テルル化合物、ジテルリド化合物を、H−NMR及びMSの測定結果から同定した。また、リビングラジカルポリマーの分子量及び分子量分布は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて求めた。使用した測定機は以下の通りである。
H−NMR:Varian Gemini 2000(300MHz for H)、JEOL JNM−A400(400MHz for H)
MS(HRMS):JEOL JMS−300
分子量及び分子量分布:液体クロマトグラフShimadzu LC−10(カラム:Shodex K−804L+K−805L、ポリスチレンスタンダード:TOSOH TSK Standard、ポリメチルメタクリレートスタンダード:Shodex Standard M−75)
合成例1(2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオニトリル)
金属テルル〔Aldrich製、商品名:Tellurium(−40mesh)〕6.38g(50mmol)をTHF 50mlに懸濁させ、これにメチルリチウム(関東化学株式会社製、ジエチルエーテル溶液)52.9ml(1.04Mジエチルエーテル溶液、55mmol)を、室温でゆっくり滴下した(10分間)。この反応溶液を金属テルルが完全に消失するまで撹拌した(20分間)。この反応溶液に、2−ブロモ−2−メチル−プロピオニトリル10.4g(70mmol)を室温で加え、2時間撹拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を濃縮し、続いて減圧蒸留して、赤色油状物4.10g(収率39%)を得た。
IR、HRMS、H−NMR、13C−NMRにより2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオニトリルであることを確認した。
IR(neat,cm−1)2217,1713,1458,1370,1225,1117,835
HRMS(EI)m/z:Calcd for CNTe(M),212.9797;Found212.9799
H−NMR(300MHz,CDCl)1.91(s,6H),2.38(s,3H,TeCH
13C−NMR(75MHz,CDCl)−15.5,2.2,30.3,125.1
合成例2(エチル−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオネート)
金属テルル(上記と同じ)6.38g(50mmol)をTHF 50mlに懸濁させ、これにメチルリチウム(上記と同じ)52.9ml(1.04Mジエチルエーテル溶液、55mmol)を、室温でゆっくり滴下した(10分間)。この反応溶液を金属テルルが完全に消失するまで撹拌した(20分間)。この反応溶液に、エチル−2−ブロモ−イソブチレート10.7g(55mmol)を室温で加え、2時間撹拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を濃縮し、続いて減圧蒸留して、黄色油状物6.53g(収率51%)を得た。
IR、HRMS、H−NMR、13C−NMRによりエチル−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピネートであることを確認した。
IR(neat,cm−1)1700,1466,1385,1296,1146,1111,1028
HRMS(EI)m/z:Calcd for C14Te(M),260.0056;Found260.0053
H−NMR(300MHz,CDCl)1.27(t,J=6.9Hz,3H),1.74(s,6H),2.15(s,3H,TeCH),4.16(q,J=7.2Hz,2H)
13C−NMR(75MHz,CDCl)−17.38,13.89,23.42,27.93,60.80,176.75
合成例3(エチル−2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオネート)
金属テルル(上記と同じ)6.38g(50mmol)をTHF 50mlに懸濁させ、これにn−ブチルリチウム(Aldrich製、1.6Mヘキサン溶液)34.4ml(55mmol)を、室温でゆっくり滴下した(10分間)。この反応溶液を金属テルルが完全に消失するまで撹拌した(20分間)。この反応溶液に、エチル−2−ブロモ−イソブチレート10.7g(55mmol)を室温で加え、2時間撹拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を濃縮し、続いて減圧蒸留して、黄色油状物8.98g(収率59.5%)を得た。
H−NMRによりエチル−2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピネートであることを確認した。
H−NMR(300MHz,CDCl)0.93(t,J=7.5Hz,3H),1.25(t,J=7.2Hz,3H),1.37(m,2H),1.74(s,6H),1.76(m,2H),2.90(t,J=7.5Hz,2H,CHTe),4.14(q,J=7.2Hz,2H)
合成例4(ジメチルジテルリド)
金属テルル〔Aldrich製、商品名:Tellurium(−40mesh)〕3.19g(25mmol)をTHF25mlに懸濁させ、メチルリチウム(関東化学株式会社製、ジエチルエーテル溶液)25ml(28.5mmol)を0℃でゆっくり加えた(10分間)。この反応溶液を金属テルルが完全に消失するまで撹拌した(10分間)。この反応溶液に、塩化アンモニウム溶液20mlを室温で加え、1時間撹拌した。有機層を分離し、水層をジエチルエーテルで3回抽出した。集めた有機層を芒硝で乾燥後、減圧濃縮し、黒紫色油状物2.69g(9.4mmol:収率75%)を得た。
MS(HRMS)、H−NMRによりジメチルジテルリドであることを確認した。
HRMS(EI)m/z:Calcd for CTe(M),289.8594;Found289.8593
H−NMR(300MHz,CDCl)2.67(s,6H)
合成例5(ジ−n−ブチルジテルリド)
金属テルル(上記と同じ)3.19g(25mmol)をTHF25mlに懸濁させ、n−ブチルリチウム(Aldrich製、1.6Mヘキサン溶液)17.2ml(27.5mmol)を0℃でゆっくり加えた(10分間)。この反応溶液を金属テルルが完全に消失するまで撹拌した(10分間)。この反応溶液に、塩化アンモニウム溶液20mlを室温で加え、1時間撹拌した。有機層を分離し、水層をジエチルエーテルで3回抽出した。集めた有機層を芒硝で乾燥後、減圧濃縮し、黒紫色油状物4.41g(11.93mmol:収率95%)を得た。
H−NMRによりジ−n−ジテルリドであることを確認した。
H−NMR(300MHz,CDCl)0.93(t,J=7.3Hz,3H),1.39(m,2H),1.71(m,2H),3.11(t,J=7.6,2H,CHTe)
参考例1
合成例1で用いた2−ブロモ−2−メチル−プロピオニトリルの製造は以下のように行った。
イソブチロニトリル(200mmol)と3臭化リン(PBr、20mmol)のエーテル(EtO、100ml)溶液に反応容器を氷バスで冷やしながら臭素をゆっくりと加えた。滴下終了後、室温で14時間反応させた。反応溶液を氷水に静かに注いでワークアップ後、エーテルで抽出(3回)、硫酸マグネシウムで乾燥、濾過して硫酸マグネシウムを除き、濾液をエバポレーターで溶媒留去して濃縮した。得られた濃縮物を蒸留で精製した。無色透明の液体(沸点57℃/43mmHg)17.08gを得た。収率58%。
【実施例1】
窒素置換したグローブボックス内で、メチルメタクリレート〔stabilized with Hydroquinone(HQ)〕1.00g(10mmol)と合成例1で製造した化合物21.1mg(0.10mmol)とAIBN(大塚化学株式会社製、商品名:AIBN)16.4mg(0.10mmol)と合成例4で製造した化合物28.5mg(0.10mmol)を60℃で2時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリメチルメタクリレート0.977gを得た。
GPC分析(ポリメチルメタクリレート標準サンプルの分子量を基準)の結果を表1に示す。
比較例1
窒素置換したグローブボックス内で、AIBN(上記と同じ)(0.10mmol)と合成例4で製造した化合物(0.10mmol)とメチルメタクリレート(上記と同じ)(10mmol)を加え80℃で4時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリメチルメタクリレートを得た。
GPC分析(ポリメチルメタクリレート標準サンプルの分子量を基準)の結果を表1に示す。
【表1】

実施例1と比較例1とを比較すれば明らかなように、式(1)で表される化合物を用いた場合、狭い分子量分布(PD値がより1に近い)のリビングラジカルポリマーが得られることがわかる。
【実施例2】
窒素置換したグローブボックス内で、スチレン1.04g(10mmol)と合成例1で製造した化合物21.1mg(0.10mmol)とAIBN(上記と同じ)16.4mg(0.10mmol)と合成例4で製造した化合物28.5mg(0.10mmol)を60℃で11時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているメタノール200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリスチレンを得た(収率57%)。GPC分析(ポリスチレン標準サンプルの分子量を基準)の結果、Mn6200、PD=1.17であった。
【実施例3】
窒素置換したグローブボックス内で、アクリル酸n−ブチル(stabilized with Hydroquinone)1.28g(10mmol)と合成例1で製造した化合物21.1mg(0.10mmol)とAIBN(上記と同じ)16.4mg(0.10mmol)と合成例4で製造した化合物28.5mg(0.10mmol)を60℃で24時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリアクリル酸n−ブチルを得た(収率14%)。
GPC分析(ポリメチルメタクリレート標準サンプルの分子量を基準)の結果、Mn 1800、PD=1.12であった。
【実施例4】
窒素置換したグローブボックス内で、2−ヒドロキシエチルメタクリレート〔stabilized with Hydroquinone mono methyl ether(MEHQ)〕(和光純薬工業株式会社製)1.30g(10mmol)と合成例1で製造した化合物21.1mg(0.10mmol)とAIBN(上記と同じ)16.4mg(0.10mmol)と合成例4で製造した化合物28.5mg(0.10mmol)とDMF1mlに溶解し、60℃で2時間撹拌した。反応終了後、溶媒と残モノマーを減圧(<0.1mmHg)下、60〜80℃で12時間吸引ろ過、乾燥することによりポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.168gを得た(収率90%)。
GPC分析(ポリメチルメタクリレート標準サンプルの分子量を基準)の結果、Mn 22300、PD=1.18であった。
【実施例5】
窒素置換したグローブボックス内で、メチルメタクリレート(上記と同じ)1.00g(10mmol)と合成例2で製造した化合物26.0mg(0.10mmol)とAIBN(上記と同じ)8.2mg(0.05mmol)と合成例4で製造した化合物14.3mg(0.05mmol)を60℃で2時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリメチルメタクリレート(収率:59.7%)を得た。
GPC分析(ポリメチルメタクリレート標準サンプルの分子量を基準)の結果、Mn 12000、PD=1.09であった。
【実施例6】
窒素置換したグローブボックス内で、メチルメタクリレート(上記と同じ)1.00g(10mmol)と合成例2で製造した化合物26.0mg(0.10mmol)とAIBN(上記と同じ)8.2mg(0.05mmol)と合成例5で製造した化合物18.5mg(0.05mmol)を60℃で2時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリメチルメタクリレート(収率:41.3%)を得た。
GPC分析(ポリメチルメタクリレート標準サンプルの分子量を基準)の結果、Mn 12000、PD=1.10であった。
【実施例7】
窒素置換したグローブボックス内で、メチルメタクリレート(上記と同じ)1.00g(10mmol)と合成例3で製造した化合物30.18mg(0.10mmol)とAIBN(上記と同じ)8.2mg(0.05mmol)と合成例4で製造した化合物14.3mg(0.05mmol)を60℃で2時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリメチルメタクリレート(収率:64.3%)を得た。
GPC分析(ポリメチルメタクリレート標準サンプルの分子量を基準)の結果、Mn 14000、PD=1.10であった。
【実施例8】
窒素置換したグローブボックス内で、メチルメタクリレート(上記と同じ)1.00g(10mmol)と合成例3で製造した化合物30.18mg(0.10mmol)とAIBN(上記と同じ)8.2mg(0.05mmol)と合成例5で製造した化合物18.5mg(0.05mmol)を60℃で2時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリメチルメタクリレート(収率:61.8%)を得た。
GPC分析(ポリメチルメタクリレート標準サンプルの分子量を基準)の結果、Mn 14800、PD=1.17であった。
【実施例9】
窒素置換したグローブボックス内で、n−ブチルメタクリレート〔stabilized with Hydroquinone(HQ)〕(和光純薬工業株式会社製)1.42g(10mmol)と合成例3で製造した化合物30.18mg(0.10mmol)とMAIB(大塚化学株式会社製、商品名:MAIB)11.52mg(0.05mmol)と合成例5で製造した化合物18.5mg(0.05mmol)を60℃で2時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリn−ブチルメタクリレート(収率:87.0%)を得た。
GPC分析(ポリスチレン標準サンプルの分子量を基準)の結果、Mn 16000、PD=1.20であった。
【実施例10】
窒素置換したグローブボックス内で、n−ブチルメタクリレート(上記と同じ)1.42g(10mmol)と合成例3で製造した化合物30.18mg(0.10mmol)と2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド(和光純薬工業株式会社製、商品名:V−30)7.0mg(0.05mmol)と合成例5で製造した化合物18.5mg(0.05mmol)を100℃で1時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリn−ブチルメタクリレート(収率:86.0%)を得た。
GPC分析(ポリスチレン標準サンプルの分子量を基準)の結果、Mn 17000、PD=1.17であった。
【実施例11】
窒素置換したグローブボックス内で、メタクリル酸シクロヘキシル〔stabilized with Hydroquinone(HQ)〕(和光純薬工業株式会社製)1.68g(10mmol)と合成例3で製造した化合物30.18mg(0.10mmol)と2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(大塚化学株式会社製、商品名:AMBN)9.6mg(0.05mmol)と合成例5で製造した化合物18.5mg(0.05mmol)を60℃で2時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリメタクリル酸シクロヘキシル(収率:92.0%)を得た。GPC分析(ポリスチレン標準サンプルの分子量を基準)の結果、Mn 13000、PD=1.38であった。
【実施例12】
窒素置換したグローブボックス内で、2−ヒドロキシエチルメタクリレート〔stabilized with Hydroquinone mono methyl ether(MEHQ)〕(和光純薬工業株式会社製)1.301g(10mmol)と合成例3で製造した化合物30.18mg(0.10mmol)と4,4’−アゾビス−4−シアノバレリック酸(大塚化学株式会社製、商品名:ACVA)14.0mg(0.05mmol)と合成例5で製造した化合物18.5mg(0.05mmol)とDMF0.5mlを60℃で5時間撹拌した。反応終了後、メタノール5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリ2−ヒドロキシエチルメタクリレート(収率:96.0%)を得た。
GPC分析(ポリメタクリル酸メチル標準サンプルの分子量を基準)の結果、Mn 29000、PD=1.38であった。
【実施例13】
窒素置換したグローブボックス内で、メタクリル酸イソボルニル〔stabilized with Hydroquinone mono methyl ether(MEHQ)〕(三菱レイヨン株式会社製)2.22g(10mmol)と合成例3で製造した化合物30.18mg(0.10mmol)と1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル(大塚化学株式会社製、商品名:ACHN)12.2mg(0.05mmol)と合成例5で製造した化合物18.5mg(0.05mmol)を60℃で5時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリメタクリル酸イソボルニル(収率:66.0%)を得た。
GPC分析(ポリスチレン標準サンプルの分子量を基準)の結果、Mn 13000、PD=1.34であった。
【実施例14】
窒素置換したグローブボックス内で、メチルメタクリレート4.00g(40mmol)と合成例2で製造したエチル−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオネート26.0mg(0.10mmol)と2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロ二トリル)(和光純薬株式会社製、商品名:V−70)15.4mg(0.05mmol)と合成例4で製造したジメチルジテルリド28.5mg(0.10mmol)を60℃で3時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリメチルメタクリレート0.845gを得た。
GPC分析(ポリメタクリル酸メチル標準サンプルの分子量を基準)により、Mn 10900、PD=1.17であった。
【実施例15】
窒素置換したグローブボックス内で、メチルメタクリレート2.00g(20mmol)と合成例2で製造したエチル−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオネート26.0mg(0.10mmol)とAIBN(大塚化学株式会社製、商品名:AIBN)16.4mg(0.10mmol)と合成例4で製造したジメチルジテルリド28.5mg(0.10mmol)を室温で撹拌し、均一の溶液とした。そこから、1.00gの溶液を抜き取り、別の反応容器に加えた後、60℃で3時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリメチルメタクリレート0.887gを得た。
GPC分析(ポリメタクリル酸メチル標準サンプルの分子量を基準)により、Mn 20600、PD=1.15であった。
【実施例16】
窒素置換したグローブボックス内で、メチルメタクリレート5.01g(50mmol)と合成例2で製造したエチル−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオネート26.0mg(0.10mmol)とAIBN(大塚化学株式会社製、商品名:AIBN)16.4mg(0.10mmol)と合成例4で製造したジメチルジテルリド28.5mg(0.10mmol)を室温で撹拌し、均一の溶液とした。そこから、1.00gの溶液を抜き取り、別の反応容器に加えた後、60℃で3時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリメチルメタクリレート0.639gを得た。
GPC分析(ポリメタクリル酸メチル標準サンプルの分子量を基準)により、Mn 32100、PD=1.18であった。
【実施例17】
窒素置換したグローブボックス内で、メチルメタクリレート10.01g(100mmol)と合成例2で製造したエチル−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオネート26.0mg(0.10mmol)とAIBN(大塚化学株式会社製、商品名:AIBN)16.4mg(0.10mmol)と合成例4で製造したジメチルジテルリド28.5mg(0.10mmol)を室温で撹拌し、均一の溶液とした。そこから、1.00gの溶液を抜き取り、別の反応容器に加えた後、60℃で3時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリメチルメタクリレート0.740gを得た。
GPC分析(ポリメタクリル酸メチル標準サンプルの分子量を基準)により、Mn 71300、PD=1.17であった。
【実施例18】
窒素置換したグローブボックス内で、メチルメタクリレート20.02g(200mmol)と合成例2で製造したエチル−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオネート26.0mg(0.10mmol)とAIBN(大塚化学株式会社製、商品名:AIBN)16.4mg(0.10mmol)と合成例4で製造したジメチルジテルリド28.5mg(0.10mmol)を室温で撹拌し、均一の溶液とした。そこから、1.00gの溶液を抜き取り、メチルメタクリレート5.01g(50mmol)の溶液に加え、室温で撹拌した。そこから、1.00gの溶液を抜き取り、別の反応容器に加えた後、60℃で3時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリメチルメタクリレート0.852gを得た。
GPC分析(ポリメタクリル酸メチル標準サンプルの分子量を基準)により、Mn 148000、PD=1.22であった。
【実施例19】
窒素置換したグローブボックス内で、パラクロロスチレン(東京化成工業)1.38g(10mmol)と合成例2で製造したエチル−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオネート26.0mg(0.10mmol)とAIBN(大塚化学株式会社製、商品名:AIBN)16.4mg(0.10mmol)と合成例4で製造したジメチルジテルリド28.5mg(0.10mmol)を60℃で16時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているメタノール200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリパラクロロスチレン1.284gを得た。
GPC分析(ポリスチレン標準サンプルの分子量を基準)により、Mn 10300、PD=1.24であった。
【実施例20】
窒素置換したグローブボックス内で、パラクロロスチレン(東京化成工業)1.38g(10mmol)と合成例3で製造したエチル−2−メチル−2−ブチルテラニル−プロピオネート30.18mg(0.10mmol)とAIBN(大塚化学株式会社製、商品名:AIBN)16.4mg(0.10mmol)と合成例4で製造したジメチルジテルリド28.5mg(0.10mmol)を60℃で17時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているメタノール200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリパラクロロスチレン1.260gを得た。
GPC分析(ポリスチレン標準サンプルの分子量を基準)により、Mn 12100、PD=1.05であった。
【実施例21】
窒素置換したグローブボックス内で、メタクリロニトリル(東京化成工業)0.67g(10mmol)と合成例3で製造したエチル−2−メチル−2−ブチルテラニル−プロピオネート30.18mg(0.10mmol)とAIBN(大塚化学株式会社製、商品名:AIBN)16.4mg(0.10mmol)と合成例4で製造したジメチルジテルリド28.5mg(0.10mmol)を60℃で20時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリメタクリロニトリル0.359gを得た。
GPC分析(ポリメタクリル酸メチル標準サンプルの分子量を基準)により、Mn 2400、PD=1.23であった。
【実施例22】
窒素置換したグローブボックス内で、メチルビニルケトン(東京化成工業)0.70g(10mmol)と合成例3で製造したエチル−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオネート30.18mg(0.10mmol)とAIBN(大塚化学株式会社製、商品名:AIBN)16.4mg(0.10mmol)と合成例4で製造したジメチルジテルリド28.5mg(0.10mmol)を60℃で20時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリメチルビニルケトン0.369gを得た。
GPC分析(ポリメタクリル酸メチル標準サンプルの分子量を基準)により、Mn 1700、PDI=1.44であった。
【実施例23】
窒素置換したグローブボックス内で、N−イソプロピルメタクリルアミド(Aldrich製)1.27g(10mmol)と合成例3で製造したエチル−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオネート30.18mg(0.10mmol)とAIBN(大塚化学株式会社製、商品名:AIBN)16.4mg(0.10mmol)と合成例4で製造したジメチルジテルリド28.5mg(0.10mmol)をDMF2mlに溶解した後、60℃で20時間撹拌した。反応終了後、DMFを減圧留去した後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌している55℃に加熱したヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリN−イソプロピルメタクリルアミド0.369gを得た。
GPC分析(ポリメタクリル酸メチル標準サンプルの分子量を基準)により、Mn 14200、PD=1.11であった。
【実施例24】
窒素置換したグローブボックス内で、合成例3で製造した化合物30.18mg(0.10mmol)と合成例5で製造した化合物18.5mg(0.05mmol)とMAIB(上記と同じ)11.52mg(0.05mmol)とメチルメタクリレート(上記と同じ)1.00g(10mmol)とスチレン0.52g(5mmol)を60℃で8時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりメチルメタクリレートとスチレンのランダム共重合体(収率:90.0%)を得た。
GPC分析(ポリスチレン標準サンプルの分子量を基準)の結果、Mn 16000、PD=1.25であった。
【実施例25】
窒素置換したグローブボックス内で、合成例3で製造した化合物30.18mg(0.10mmol)と合成例5で製造した化合物18.5mg(0.05mmol)とMAIB(上記と同じ)11.52mg(0.05mmol)とメチルメタクリレート(上記と同じ)1.001g(10mmol)とスチレン1.04g(10mmol)を60℃で8時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりメチルメタクリレートとスチレンのランダム共重合体(収率:85.0%)を得た。
GPC分析(ポリスチレン標準サンプルの分子量を基準)の結果、Mn 20000、PD=1.20であった。
【実施例26】
窒素置換したグローブボックス内で、合成例3で製造した化合物30.18mg(0.10mmol)と合成例5で製造した化合物18.5mg(0.05mmol)とMAIB(上記と同じ)11.52mg(0.05mmol)とメチルメタクリレート(上記と同じ)0.50g(5mmol)とスチレン1.04g(10mmol)を60℃で8時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりメチルメタクリレートとスチレンのランダム共重合体(収率:90.0%)を得た。
GPC分析(ポリスチレン標準サンプルの分子量を基準)の結果、Mn 14000、PD=1.27であった。
【実施例27】
窒素置換したグローブボックス内で、合成例3で製造した化合物30.18mg(0.10mmol)と合成例5で製造した化合物18.5mg(0.05mmol)とMAIB(上記と同じ)11.52mg(0.05mmol)とメチルメタクリレート(上記と同じ)0.50g(5mmol)と2−ヒドロキシエチルメタクリレート0.65g(5mmol)を60℃で4時間撹拌した。反応終了後、DMF5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりメチルメタクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートのランダム共重合体(収率:92.0%)を得た。
GPC分析(ポリスチレン標準サンプルの分子量を基準)の結果、Mn 15000、PD=1.36であった。
【実施例28】
窒素置換したグローブボックス内で、合成例3で製造した化合物30.18mg(0.10mmol)と合成例5で製造した化合物18.5mg(0.05mmol)とMAIB(上記と同じ)11.52mg(0.05mmol)とメチルメタクリレート(上記と同じ)0.50g(5mmol)とメタクリロニトリル0.34g(5mmol)を60℃で8時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりメチルメタクリレートとメタクリロニトリルのランダム共重合体(収率:65.0%)を得た。
GPC分析(ポリスチレン標準サンプルの分子量を基準)の結果、Mn 15000、PD=1.33であった。
【実施例29】
窒素置換したグローブボックス内で、合成例3で製造した化合物30.18mg(0.10mmol)と合成例5で製造した化合物18.5mg(0.05mmol)とMAIB(上記と同じ)11.52mg(0.05mmol)とメチルメタクリレート(上記と同じ)0.50g(5mmol)とメチルビニルケトン0.35g(5mmol)を60℃で8時間撹拌した。反応終了後、クロロホルム5mlに溶解した後、その溶液を撹拌しているヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりメチルメタクリレートとメチルビニルケトンのランダム共重合体(収率:78.0%)を得た。
GPC分析(ポリスチレン標準サンプルの分子量を基準)の結果、Mn 7400、PD=1.11であった。
【実施例30】
ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)−(N−イソプロピルメタクリルアミド)共重合体の合成(50equiv+50equiv)
窒素置換したグローブボックス内で、N−イソプロピルアクリルアミド(Aldrich製)0.566g(5mmol)、N−イソプロピルメタクリルアミド(Aldrich製)0.636g(5mmol)と合成例3で製造したエチル−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオネート30.0mg(0.10mmol)とAIBN(大塚化学株式会社製、商品名:AIBN)16.4mg(0.10mmol)と合成例4で製造したジメチルジテルリド28.5mg(0.10mmol)をDMF2mlに溶解した後、60℃で18時間撹拌した。反応中の溶液を採取し、H−NMRスペクトルを用いて残存モノマーの比を求めたところ、65:55程度でN−イソプロピルアクリルアミドの方がN−イソプロピルメタクリルアミドよりも若干多く残っているが、ほぼ仕込み比と同じ割合で重合が進んでいることがわかった。DMFを減圧留去した後、クロロホルム5mlに溶解した。その溶液を撹拌している55℃に加熱したヘキサン200ml中に注いだ。沈殿したポリマーを室温で吸引ろ過、乾燥することによりポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)−(N−イソプロピルメタクリルアミド)共重合体0.373gを得た。
GPC分析(ポリメタクリル酸メチル標準サンプルの分子量を基準)により、Mn 4300、PD=1.13であった。
試験例1
C,H,Nの元素分析
実施例24〜29で得られた各種ランダム共重合体をそれぞれ元素分析装置(株式会社ジェイ・サイエンス・ラボ製、有機元素分析装置 MICRO CORDER JM10)を用いて元素分析を行った。結果を表2に示す。
【表2】

表2より、本発明のリビングラジカルポリマーの製造方法では、ほぼ原料比(モル比)通りのランダム共重合体を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、温和な条件下で、精密な分子量及び分子量分布制御を可能とするリビングラジカルポリマーの製造方法を提供する。
特に本発明ではスチレンのみならずその他の(メタ)アクリル酸エステルのようなビニルモノマーであっても、温和な条件下で、より一層精密な分子量及び分子量分布(PD=Mw/Mn)を有するリビングラジカルポリマーを製造することができる。
また、本発明の重合方法により得られるリビングラジカルポリマーは、末端基を他の官能基へ変換することが容易であり、さらに、マクロモノマーの合成、架橋点としての利用、相容化剤、ブロックポリマーの原料等として用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される有機テルル化合物、アゾ系重合開始剤及び式(2)で示されるジテルリド化合物を用いて、ビニルモノマーを重合することを特徴とするリビングラジカルポリマーの製造方法。

〔式中、Rは、C〜Cのアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を示す。R及びRは、水素原子又はC〜Cのアルキル基を示す。Rは、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、アシル基、オキシカルボニル基又はシアノ基を示す。〕

〔式中、Rは、上記と同じ。〕
【請求項2】
式(1)で表される有機テルル化合物、アゾ系重合開始剤及び式(2)で示されるジテルリド化合物を用いて、ビニルモノマーを重合して得られうるリビングラジカルポリマー。
【請求項3】
式(1)で表される有機テルル化合物、アゾ系重合開始剤及び式(2)で示されるジテルリド化合物の混合物。

【国際公開番号】WO2004/096870
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【発行日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505899(P2005−505899)
【国際出願番号】PCT/JP2004/005989
【国際出願日】平成16年4月26日(2004.4.26)
【出願人】(302060306)大塚化学株式会社 (88)
【Fターム(参考)】