説明

リフタ装置

【課題】リフタが1枚の場合に効率よく第1搬送路からこの第1搬送路よりも高い位置にある第2搬送路に把を受け渡すことができるリフタ装置を提供する。
【解決手段】リフタ4Cを往復タイプとし、把Hがリフタワーク位置にきたとき、回転式把受取装置4Dに把Hを受け渡すことによって、リフタ4Cが下降を開始し、プッシャが回転受取り装置4D上にある把Hを第2搬送路4Fに向かって押し出しを開始することができる。この結果、リフタ4Cは、プッシャ4Eが把Hをプッシャワーク位置に押出されるのを待たずに下降動作を開始することができるため、待ち時間が短縮される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定枚数の紙葉類を小帯で結束した把が搬送される第1搬送路より受け取り、この第1搬送路よりも高い位置に設けられた第2搬送路に受け渡すリフタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有価証券などの紙葉類を処理する紙葉類処理装置は、処理単位に応じて一括して投入された紙葉類束(例えば、1000枚)から取出装置によって紙葉類を1枚ずつ取出して搬送し、紙葉類判別装置によって当該紙葉類を判別する。紙葉類判別装置によって判別された紙葉類は、例えば、100枚毎に小帯で結束されて把が形成され、上記第1搬送路であるコンベア上を搬送下流に向かって搬送される。
【0003】
図6は、上記第1搬送路3Aより受け取った把Hをリフタ装置3Bで上昇させ、第2搬送路3Fに受け渡す従来のリフタ装置3Bの動作を説明する図である。以下この図を参照しながら説明する。
【0004】
リフタ装置3Bは、上記第1搬送路3Aの終端に配置され、第1搬送路3A(コンベア)によって搬送される把Hを受け取るリフタ3C、このリフタ3Cを上昇又は下降に駆動する駆動モータ(図示しない)、このリフタ3Cが最上部に到達したとき、当該リフタ3Cに載置された把Hを第2搬送路3F側に押出すプッシャ3Eなどで構成される。
【0005】
図6(1)は、把Hが第1搬送路3A上を図示矢印A方向に搬送され、リフタホーム位置にあるリフタ3Cに積載された状態を示す。
【0006】
図6(2)は、図6(1)でリフタ3Cに載置された把Hが駆動モータによって上昇している状態を示す。
【0007】
図6(3)は、図6(2)の状態からさらに上昇し、第2搬送路3Fに受け渡すリフタワーク位置に到達した状態を示す。
【0008】
図6(4)は、図6(3)の状態でプッシャ3Eがリフタワーク位置にある把Hを第2搬送路3Fに向かって押し出しを開始した状態を示す。
【0009】
図6(5)は、図6(4)の状態でプッシャ3Eが把Hをさらに押し出しプッシャワーク位置に到達した状態を示す。
【0010】
図6(6)は、図6(5)で把Hがリフタ3C上に把Hがなくなったので下降を開始した状態を示す。
【0011】
図6(7)は、図6(6)でリフタ3Cがリフタホーム位置に復帰した状態を示す。
【0012】
図6(8)は、図6(7)でリフタホーム位置にあるリフタ3Cに次の把Hが積載された状態を示す。
【0013】
上述したように、従来のリフタ装置3Bは、リフタ3Cがリフタホーム位置で第1搬送路3Aから把Hを受け取り、受け取った把Hをリフタワーク位置まで上昇し、リフタワーク位置で第2の搬送路に送り出し、その後リフタをワーク位置まで下降する動作を行っていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0014】
なお、リフタを複数配置してリング状に一方向に回転運動する方法もある。この場合には、連続的に複数の把を処理する必要がある場合に効果があるが、そうでない場合には、リフタ往復の経路が別になるため、装置が大きく、複雑になる。という課題がある(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2005−178785号公報 (第6−7頁、図6)
【特許文献2】特開2007−76907号公報 (第4−5頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記従来のリフタ装置は、リフタが1枚で往復動作するために、リフタが上昇してリフタワーク位置に到達後、リフタを停止した状態でプッシャによって媒体(把)を次のワーク位置(第2の搬送路)に押出す。この際、押出したプッシャがホーム位置まで戻ってくるまで、リフタは停止した状態になるため、処理能力が上がらないという課題があった。
【0016】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、リフタが1枚の場合に効率よく第1搬送路からこの第1搬送路よりも高い位置にある第2搬送路3Fに把を受け渡すことができるリフタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載のリフタ装置は、所定枚数の紙葉類の束を結束して形成した把を搬送する第1搬送路から、この第1搬送路の上部に配置した第2搬送路へ前記把を移送するリフタ装置であって、前記第1搬送路から送り出された前記把を受取るリフタと、このリフタを上昇又は下降駆動する駆動手段と、この駆動手段によって上昇駆動された前記リフタに載置された前記把を前記第2搬送路の取出位置の対向位置で受け取る受取手段と、この受取手段で受け取った把を前記第2搬送路に送り出すプッシャと、このプッシャで前記把を第2搬送路に送り出す送り出し動作中に前記リフタを下降する制御を行う制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、リフタが1枚の場合に効率よく第1搬送路からこの第1搬送路よりも高い位置にある第2搬送路に把を受け渡すことができるリフタ装置を提供することを目的とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の実施例1によるリフタ装置4Bの概略図である。リフタ装置4Bは、第1搬送路4Aから受け取った把Hを搭載して上昇し、第1搬送路4Aの上部に配置された第2搬送路4Fに受け渡す装置である。
【0021】
第1搬送路4Aは、搬送上流で把Hを載置して搬送方向下流に搬送し、図示した位置で待機する。従って、この搬送路は区分された搬送路で構成され、図示した部分は、その上流から搬送された把Hを当該第1搬送路4Aに載置した状態で待機する。
【0022】
リフタ装置4Bは、上記第1搬送路から送り出された把Hをリフタ4Cの最下段の状態であるリフタホーム位置で受取る。図はまさにこのリフタホーム位置で受け取った状態を示している。
【0023】
リフタ4Cに載置された把Hは、駆動モータ(図示しない)などの駆動手段によって上下に配置した第1搬送路4Aから第2搬送路4Fに向かって上昇し、最上部であるリフタワーク位置に達すると、回転式把受取装置(受取手段)4Dによって受け取られる。また、この受け取りによってリフタ4Cは下降を開始する。
【0024】
回転式把受取装置4Dによって受け取られた把Hは、プッシャ4Eによって第2搬送路に押し出される。
【0025】
図2は、図1に示すリフタ装置4Bの動作を説明する図である。このリフタ装置4Bの動作は当該リフタ装置4Bを制御する制御装置(制御手段)によって行われる。
【0026】
図2(1)は、把Hが第1搬送路を図示矢印A方向に搬送され、リフタホーム位置にあるリフタ4Cに載置された状態を示す。
【0027】
図2(2)は、図2(1)でリフタ4Cに載置された把Hが駆動モータ(図示しない)によって上昇している状態を示す。
【0028】
図2(3)は、図2(2)の状態からさらに上昇し、把Hが第2搬送路の取出位置の対向位置に配置された回転式把受取装置4Dのホーム位置に到達した状態を示す。
【0029】
図2(4)は、図2(3)の位置からさらに上昇することにより、回転式把受取装置4Dが把受取動作のために回転を開始した状態を示す。
【0030】
図2(5)は、図2(4)の位置からさらに上昇することにより、回転式把受取装置4Dが回転式把受取装置4Dのワーク位置に到達した状態を示す。
【0031】
図2(6)は、図2(5)によって把Hが回転式把受取装置4Dによって受取られたので、リフタ4Cが下降を開始し、プッシャ4Eが回転受取り装置4D上にある把Hを第2搬送路4Fに向かって押し出しを開始した状態を示す。
【0032】
図2(7)は、プッシャ4Eが第2搬送路4Fに向かって把Hを押し出すプッシャ動作中に、リフタ4Cが下降する動作が行われている状態を示す。この部分は、本発明の実施例に係る改良発明に該当する部分である。
【0033】
図2(8)は、プッシャ4Eが把Hを第2搬送路に押出した後、プッシャホーム位置に向かって復帰動作中であり、このとき、リフタ4Cも最下段であるリフタホーム位置に向かって復帰動作中となる。
【0034】
図2(9)は、図2(8)の結果、プッシャ4E及びリフタ4Cがそれぞれホーム位置に到達した状態を示す。
【0035】
以上が一連の動作で、リフタ4Cを往復タイプとし、把Hがリフタワーク位置にきたとき、回転式把受取装置4Dに把Hを受け渡すことによって、リフタ4Cは、プッシャ4Eが把Hをプッシャワーク位置に押出されるのを待たずに下降動作を開始することができる。この結果、リフタ4Cを1個用いて往復駆動する簡単な構成によって待ち時間を短縮できる効率のよいリフタ装置が提供できる。
【0036】
また、本発明の上記回転式把受取装置4Dは、クチュエータを用いない方法によって構成したことによって、機構が簡単で安価に達成できるという効果がある。
【0037】
その後の動作は図2(6)以降で説明した通りである。
【0038】
図3は、図1に示す本実施例1に係る回転式把受取装置4Dの斜視図である。図4は、図3に示す回転式把受取装置4Dの動作を説明する図で、図4(1)は回転式把受取装置4D及び把Hを示す正面図で、図4(2)は回転式把受取装置4Dの側面図である。以下、これらの図を参照しながら回転式把受取装置4Dの動作を説明する。
【0039】
この回転式把受取装置4Dの軸部分にはワンウェイクラッチ4D1が設けられており、このワンウェイクラッチに十文字状羽根材に構成した把受取部4D2が取り付けられている。この把受取部4D2は、リフタ4Cの移動路の両側に配置され、当該リフタ4Cの上昇により、このリフタ4Cに載置された把Hに押し出され、回転する。
【0040】
把受取部4D2aは、上記ワンウェイクラッチによって、図示矢印A方向の回転のみ可能で、かつ所定の角度回転するように構成されているが、本実施例では45°回転するように構成されている。この回転によって把Hは次の十文字状羽根材である把受取部4D2b上に落下することによって把Hが回転式把受取装置4Dに受け渡される。
【0041】
以上が一連の動作で、リフタ4Cを往復タイプとし、把Hがリフタワーク位置にきたとき、回転式把受取装置4Dに把Hを受け渡すことによって、リフタ4Cは、プッシャ4Eが把Hをプッシャワーク位置に押出されるのを待たずに下降動作を開始することができる。この結果、リフタ4Cを1個用いて往復駆動する簡単な構成によって待ち時間を短縮できる効率のよいリフタ装置が提供できる。
【0042】
また、本発明の上記回転式把受取装置4Dは、クチュエータを用いない方法によって構成したことによって、機構が簡単で安価に達成できるという効果がある。
【0043】
以上説明したように、本発明によれば、実施例1同様リフタを1個用いて、第1搬送路からこの第1搬送路よりも高い位置にある第2搬送路に把を受け渡すことが容易にかつ安価にできるリフタ装置を提供することができる。
【実施例2】
【0044】
図5は、本実施例2に係る把受取装置にレバー式把受取装置5Dを用いた場合の一例である。把Hの移動路の両端にレバー5D1、5D2が配置される。レバー式把受取装置5Dは、レバー5D1、5D2をこのレバーに取り付けられたバネ力で下側に押圧して構成する。
【0045】
このように構成された把受取装置に対して下側から把Hがリフタワーク位置に到達すると(図5(1))、把Hがさらに上昇する際、両端に配置されたレバー5D1、5D2を下側から押上げる(図5(2))。
【0046】
このようにして押上げられた把Hが限界角度θに達すると、把Hが通過するのを待って(図5(4))、レバー5D1、5D2を押し下げているバネ力によってレバー5D1、5D2が閉じる。また、この閉じたレバー5D1、5D2の上に、持ち上げられた把Hが落下して載置される(図5(5))。なお、この落下するときの落下条件は、下式(1)から算出した下式(2)で示される。
【0047】
2bcosθ + c < a・・・・・(1)
落下限界角度θは上式(1)より
θ=cos−1((a−c)/2b)・・(2)
a:レバー5D1、5D2の支点間の距離
b:レバー5D1、5D2の長さ
c:媒体(把H)幅の長さ
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例1によるリフタ装置の概略構成図。
【図2】図1に示すリフタ装置の動作を説明する図。
【図3】本実施例1に係る把受取装置に回転式把受取装置を用いた場合の一例で、その斜視図。
【図4】図3に示す回転式把受取装置の動作を説明する図。
【図5】本実施例2に係る把受取装置にレバー式把受取装置を用いた場合の一例。
【図6】従来のリフタ装置の動作を説明する図。
【符号の説明】
【0049】
H 把
1 リフタ装置
4A 第1搬送路
4C リフタ
4D 回転式把受取装置
4E プッシャ
4F 第2搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定枚数の紙葉類の束を結束して形成した把を搬送する第1搬送路から、この第1搬送路の上部に配置した第2搬送路へ前記把を移送するリフタ装置であって、
前記第1搬送路から送り出された前記把を受取るリフタと、
このリフタを上昇又は下降駆動する駆動手段と、
この駆動手段によって上昇駆動された前記リフタに載置された前記把を前記第2搬送路の取出位置の対向位置で受け取る受取手段と、
この受取手段で受け取った把を前記第2搬送路に送り出すプッシャと、
このプッシャで前記把を第2搬送路に送り出す送り出し動作中に前記リフタを下降する制御を行う制御手段と、
を備えたことを特徴とするリフタ装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記リフタが前記第1搬送路に載置された把を受け取れる位置に到達したことを確認後、前記第1搬送路を駆動することを特徴とする請求項1記載のリフタ装置。
【請求項3】
前記受取手段は、
前記リフタの移動通路の両端に配置された回転する十文字状羽根材を有する回転式把受取装置、又は前記リフタの移動路の両端に配置され、前記リフタの上昇方向と反対方向にバネ力で付勢されたレバーを有するレバー式把受取装置を備え、
前記十文字状羽根材は、
前記リフタに載置された把の上昇により、当該把によって押出され所定の角度回転し、
前記レバーは、
前記リフタが上昇したとき、当該リフタに載置された把によって所定の角度押出され、前記羽根材又は前記レバー上に当該把を載置する請求項1記載のリフタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−166979(P2009−166979A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−8502(P2008−8502)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】