説明

リフト装置および傾斜物の復旧方法

【課題】傾斜した建物や機械装置等を安全かつ簡単な方法で復旧することができる傾斜物の復旧方法および、かかる復旧方法に使用できるリフト装置を提供する。
【解決手段】地震等によって傾斜した傾斜物を復旧する方法であって、傾斜物の近傍に、傾斜物を吊上げる吊上げ手段10を設置し、吊上げ手段10と傾斜物とを連結手段2によって連結し、吊上げ手段10に設けられたジャッキ12を作動させて、傾斜物が水平になるように傾斜物を上方に吊上げる。傾斜物をその近傍に配置された吊上げ手段10によって傾斜物を吊り上げて水平にするので、傾斜物の下方にジャッキ12などを設置する必要がない。すると、傾斜物の下方で行なう作業が不要になるので、地震後の復旧作業においても、作業者の安全性を高くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフト装置および傾斜物の復旧方法に関する。さらに詳しくは、地震等の災害によって傾いた建物や機械装置等などを復旧するために使用できるリフト装置および傾斜物の復旧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地震や水害等による地盤の崩壊等に起因して、ビルや家屋等の建物が倒壊したり傾いたりするなどの被害が発生する。かかる被害は、比較的強固な地盤に設けられている電力設備においても例外ではなく、電力設備において傾斜等の被害が発生した場合には、電力供給ができなくなる等の問題が生じる。
電力設備はライフラインの中核をなすものであることから、電力供給を早期再開することは、災害後の復旧作業を迅速に進めるうえでも重要である。
【0003】
かかる地震等によって建物の一部が崩壊した建物を復旧する方法として、例えば、特許文献1記載の技術が開発されている。
特許文献1の技術は、1階部分に店舗や駐車場やピロティ等を有するビル等において、1階部分が崩壊した場合に、崩壊した1階部分に代えて、2階以上の上部建物と基礎との間に免震装置を介在せしめ、免震構造を有する建物として復旧する技術である。
この技術では、崩壊した1階部分にジャッキ設け、このジャッキによって上部構造体を水平に建て起こし、建物における1階部分の構造部を完全に切断し除去した後、上部建物と基礎との間に免震装置を設置する。すると、元の建物の1階部分に免震装置を有する建物として復旧できる旨が記載されている。
【0004】
また、変電所や発電所機器等の機械装置が傾斜した場合には、以下の方法で復旧が行われている。
まず、傾斜している機械装置の基礎の周囲および下方を掘削して強固な地盤を露出させ、この強固な地盤と基礎との間にジャッキを設置する。ついで、ジャッキによって基礎を持ち上げて基礎を水平にして、基礎の下方にコンクリートを流し込んで固化させる。すると、固化したコンクリートによって基礎が支持されるので、基礎を水平に復旧することができるのである。
【0005】
しかるに、上記2つの方法は、いずれも倒壊している建物や機械装置等の基礎の下に入ってジャッキの設置等の作業を行わなければならない。地震災害の早期復旧作業を行っている期間には余震の可能性があり、余震による二次災害の可能性が否定できない。
また、基礎の復旧作業においては、基礎周囲の掘削は通常重機で行われるが、地震災害の場合、道路の崩壊や土砂崩れ等により、重機を復旧すべき場所まで移動させることができない場合もある。すると、基礎周囲の掘削を行うことが困難になるから、復旧作業自体を行うことができなくなる可能性がある。
確かに、基礎周囲を人力で掘削することができる場合であれば、重機がなくても復旧作業はできるが、作業が非常に大変であり迅速な復旧が難しくなるし、また、重機を使用する場合に比べて二次災害の可能性が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−137611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑み、傾斜した建物や機械装置等を安全かつ簡単な方法で復旧することができる傾斜物の復旧方法および、かかる復旧方法に使用できるリフト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(傾斜物の復旧方法)
第1発明の傾斜物の復旧方法は、地震等によって傾斜した傾斜物を復旧する方法であって、前記傾斜物の近傍に、該傾斜物を吊上げる吊上げ手段を設置し、該吊上げ手段と前記傾斜物とを連結手段によって連結し、前記吊上げ手段に設けられた昇降装置を作動させて、前記傾斜物が水平になるように該傾斜物を上方に吊上げることを特徴とする。
第2発明の傾斜物の復旧方法は、第1発明において、前記連結手段が、軸方向に沿って伸びた連結部材を備えており、該連結部材の両軸端間の位置を前記傾斜物と連結し、該連結部材を前記傾斜物と連結した状態で、該連結部材を、その両軸端部と地面との間に配置された前記吊上げ手段の昇降装置によって上昇させることを特徴とする。
第3発明の傾斜物の復旧方法は、第2発明において、前記連結手段が、前記連結部材を一対備えており、前記傾斜物に固定されている部材を前記一対の連結部材によって挟んだ状態で、該一対の連結部材を前記吊上げ手段の昇降装置によって上昇させることを特徴とする。
第4発明の傾斜物の復旧方法は、第2または第3発明において、前記吊上げ手段の昇降装置によって上昇した前記連結部材の下方に、該連結部材を上昇した位置に支持しておく支持スペーサを配置し、該支持スペーサを配置した後、前記昇降装置と地面との間に装置用スペーサを配置して、該昇降装置を地面よりも高い位置に配置することを特徴とする。
第5発明の傾斜物の復旧方法は、第1発明において、前記吊上げ手段は、地面に立設される柱と、該柱によって支持される梁状部材とを備えており、該梁状部材が前記傾斜物において前記連結手段と連結する連結部位の上方に位置するように前記吊上げ手段を配置し、該傾斜物の連結部位と前記梁状部材とを前記昇降装置によって連結することを特徴とする。
(リフト装置)
第6発明のリフト装置は、物体を上方に吊上げるために使用されるリフト装置であって、前記物体と連結される連結手段と、該連結手段を吊上げる吊上げ手段とを備えており、前記連結手段は、軸方向に沿って伸びた連結部材を備えており、前記吊上げ手段は、前記連結部材の両軸端部を、それぞれ昇降可能に保持する一対の保持部材と、前記連結部材の両軸端部を昇降させる昇降装置とを備えていることを特徴とする。
第7発明のリフト装置は、第6発明において、前記保持部は、前記連結部材の軸端部が載せられる昇降プレートと、該昇降プレートの昇降を案内するガイド部材と、前記昇降プレートとの間に、前記昇降装置を挟んで保持するように配置された昇降装置支持部とを備えており、該昇降装置支持部は、前記昇降装置を、その伸縮方向が前記昇降プレートの昇降方向に対して揺動可能に支持するものであることを特徴とする。
第8発明のリフト装置は、第6または第7発明において、前記連結手段が、前記連結部材を一対備えており、該一対の連結部材間に、前記物体に固定されている部材を挟んで保持することを特徴とする。
第9発明のリフト装置は、第8発明において、前記一対の連結部材間によって前記物体に固定されている部材を挟んだ状態において、該一対の連結部材同士が互いに離間しないように保持する離間防止部材を備えていることを特徴とする。
第10発明のリフト装置は、第6、第7、第8または第9発明において、前記保持部材は、その下端に車輪を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
(傾斜物の復旧方法)
第1発明によれば、傾斜物をその近傍に配置された吊上げ手段によって傾斜物を吊り上げて水平にするので、傾斜物の下方にジャッキなどを設置する必要がない。すると、傾斜物の下方で行なう作業が不要になるので、地震後の復旧作業においても、作業者の安全性を高くすることができる。
第2発明によれば、連結部材の両軸端部を下方から上方に押し上げて、傾斜物を吊上げるので、連結部材の両軸端部を、リフト中でも、昇降装置によって常に下方から支持しておくことができる。よって、安定した状態で、傾斜物の吊り上げ作業を行うことができる。
第3発明によれば、傾斜物に固定されている部材を一対の連結部材によって挟むことによって傾斜物と連結部材とを連結するので、両者の固定を容易にすることができる。しかも、一本の連結部材を使用する場合に比べて連結部材を軽量化できるから、連結部材の可搬性を高くすることができる。
第4発明によれば、支持スペーサと装置用スペーサを使用することによって、昇降装置の伸縮量、つまり、リフト量が少なくても、傾斜物を吊上げることができる高さを高くすることができる。すると、昇降装置を小型化できるから、昇降装置の可搬性を高くすることができる。
第5発明によれば、傾斜物の上方に梁状部材を配置し、吊上げ手段と傾斜物とを連結しさえすれば、傾斜物を吊り上げる準備ができるので、地震後の復旧作業を迅速かつ簡単に行うことができる。
(リフト装置)
第6発明によれば、連結部材の両軸端部を下方から上方に押し上げて、物体を吊上げた状態とすることができるので、連結部材の両軸端部を、リフト中でも、昇降装置によって常に下方から支持しておくことができる。よって、安定した状態で、物体の吊り上げ作業を行うことができる。
第7発明によれば、連結部材の軸端部の昇降方向が鉛直方向に対して傾いていても、その昇降方向と昇降装置の伸縮方向がほぼ一致するように、昇降装置支持部によって昇降装置を揺動させることができる。よって、昇降装置のリフト力を効果的に発揮させることができる。
第8発明によれば、物体に固定されている部材を一対の連結部材によって挟むことによって物体と連結部材とを連結するので、両者の固定を容易にすることができる。しかも、一本の連結部材を使用する場合に比べて連結部材を軽量化できるから、連結部材の可搬性を高くすることができる。
第9発明によれば、一対の連結部材は離間防止部材によって離間しないように保持されているので、物体と連結部材とを安定した状態で連結することができる。
第10発明によれば、物体を地面等から浮かせた状態とすれば、保持部材の車輪によって物体を移動させることができる。すると、重機等を使用できない場所でも、簡単かつ用意に重量の大きい物体を移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態のリフト装置1によって基礎Bを持ち上げる作業の説明図であって、(A)は持ち上げる前の状態の概略説明図であり、(B)は持ち上げた状態の概略説明図である。
【図2】吊上げ手段10の保持部材10の概略説明図であって、(A)は側面図であり、(B)は(A)のB矢視図であり、(C)は(B)のC断面矢視図である。
【図3】吊上げ手段10の連結部材3の概略説明図であって、(A)は平面図であり、(B)は側面図である。
【図4】図1(A)のIV線断面矢視図である。
【図5】スペーサを利用した本実施形態のリフト装置1による基礎Bの持ち上げ作業の説明図ある。
【図6】本発明の傾斜物の復旧方法に使用できる他のリフト装置の概略説明図である。
【図7】本発明の傾斜物の復旧方法に使用できる他のリフト装置の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のリフト装置は、重量の重い物体、例えば、変電所や発電所の機器等の機械装置や一般家屋等の建物等、その基礎を含めて5t〜20t程度の重量を有する物体であっても、持ち上げることができる装置である。そして、地震等により基礎が傾斜した物体を復旧する際に使用でき、しかも、従来のような基礎の周囲を掘削する等の作業を行うことなく、基礎を含む物体を持ち上げることができるようにしたことに特徴を有している。
【0012】
とくに、本発明のリフト装置は、装置を構成する部材(鋼材や機器等)が、分解、組立て可能な構成を有しており、各部材が人力で搬送できる程度の重量、大きさに形成されていることが好ましい。
かかる構成とすれば、道路の崩壊や土砂崩れ等により、重機等を復旧すべき場所まで移動させることができない場合でも、本発明のリフト装置を人力で復旧する物体まで搬送でき、復旧作業を行うことができるという利点が得られる。
【0013】
なお、上述した物体が傾斜したものが、特許請求の範囲にいう傾斜物である。つまり、傾斜物には、上述したような傾いた機械装置や建物等が含まれる。
以下では、代表として、基礎を有する機械装置が傾いた場合において、その復旧作業に本発明のリフト装置を使用する場合を説明する。
【0014】
(リフト装置1の詳細説明)
以下、本発明のリフト装置1を実施形態を図面に基づき説明する。
図1において、符号Cは本実施形態のリフト装置1によって持ち上げられる機械装置を示しており、符号Bは、この機械装置Cの基礎を示している。
図1では、基礎Bにおいて、紙面と直交する方向における手前側に、本実施形態のリフト装置1を設置した状態を示しており、以下の説明では、基礎Bの手前側が奥側に対して下がった状態、つまり、紙面手前に向かって下傾した基礎Bを復旧することを前提に説明する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態のリフト装置1は、連結手段2と吊上げ手段10とを備えている。
連結手段2は基礎Bに固定された部材に連結されるものである。つまり、連結手段2は基礎Bと連結されるものである。
吊上げ手段10は基礎Bに連結された連結手段2を上方に押し上げるものであり、連結手段2の上下方向への移動を案内する保持部材11と、保持部材11に案内された連結手段2を昇降させる油圧ジャッキ12とを備えている。
【0016】
このため、連結手段2の中央部を基礎Bに連結し、連結手段2の両端部を保持部材11によって保持した状態で油圧ジャッキ12を作動させれば、連結手段2とともに基礎Bを上昇させることができる。
そして、基礎Bが水平になった状態で油圧ジャッキ12の作動を停止させれば、油圧ジャッキ12に連結手段2が支持され、基礎Bが吊り下げられた状態となる(図1(B))。
基礎Bが吊上げられると、基礎Bと地面Gとの間に空間ができるので、グラウト材をこの空間に配置する。例えば、乾燥の速いコンクリート等のグラウト材をこの空間に注入する。すると、グラウト材が固まれば、グラウト材によって基礎Bが水平な状態を維持できるように支持されるから、基礎Bの復旧作業が終了する。
【0017】
以上のごとき方法で基礎Bの復旧を行えば、連結手段2は基礎Bの上面等に存在する部材に連結すればよく、吊上げ手段10も基礎Bの近傍の地面G上に設ければよいので、復旧作業において、基礎Bの下方で行う作業が不要となる。すると、余震が想定される地震後の復旧作業においても、作業者の安全性を高くすることができる。
また、吊上げ手段10は、連結手段2の両端部を下方から上方に押し上げて、基礎Bを吊上げるので、リフト中でも、吊上げ手段10によって連結手段2を常に下方から支持しておくことができる。よって、安定した状態で、基礎B,つまり、基礎Bを含む機械装置Cを吊り上げる作業を行うことができる。
【0018】
なお、基礎Bと地面Gとの間の空間に入れるものは、基礎Bを水平な状態で維持できるものであればとくに限定されない。例えば、山間部に設置されている変電所等における復旧作業であれば、施設周辺にある様々なもの(石や木材、枕木、鋼材等)を使用することができる。例えば、石や木材によって応急復旧をしておき、後でセメントなどによってしっかりと基礎Bが支持されるように復旧することができる。
【0019】
また、上記の油圧ジャッキ12が、特許請求の範囲にいう昇降装置に相当するが、昇降装置は油圧ジャッキ12にとくに限定されず、例えば、手動ジャッキ装置等も採用することができる。油圧ジャッキ12を使用すれば、複数の昇降装置の作動調整(同期して作動させる調整)が容易になるし、比較的小さな力で吊り上げ操作を行うことができ作業人員を削減できるという利点が得られる。しかも、基礎Bを水平にする場合には吊り上げ量の微調整が必要になるが、油圧ジャッキ12であればその微調整が容易になる、という利点も得られるので、好ましい。
【0020】
本実施形態のリフト装置1は、上述したように、地震後の復旧作業において使用することを一つの目的としている。よって、重機等による搬送が不可能な状況を想定して、復旧する機械装置C等が存在する場所まで、人力でも搬送できるように構成されていることが好ましい。
以下では、復旧する機械装置C等が存在する場所まで、人力で搬送することに適した構成を有する、本実施形態のリフト装置1の一実施形態を説明する。
【0021】
(連結手段2の説明)
まず、リフト装置1の連結手段2を説明する。
図1において、符号2aは、基礎Bに固定された連結手段2のアンカーボルトを示している。アンカーボルト2aは、例えば、直径20mm程度のものであり、複数本の基礎Bの上面に複数本、一直線上に並ぶように設置されるが、その理由は後述する。
なお、基礎Bの上面に、連結部材3と連結させることができる突起物等がある場合には、アンカーボルト2aは設けなくてもよい。例えば、機械装置Cを吊り上げるための部材(アイボルト等)が基礎Bに設けられているような場合であれば、その部材をアンカーボルト2aに代えて使用してもよい。
【0022】
図1において、符号3は、連結手段2の一対の連結部材を示している。この一対の連結部材3,3は、溝型鋼(例えば、C字鋼等)などによって形成された軸方向に長い長尺な部材であり、アンカーボルト2aと連結して使用されるものである。言い換えれば、一対の連結部材3,3は、アンカーボルト2aを介して基礎Bと連結される部材である。
具体的には、図4に示すように、一対の連結部材3,3は、その背面同士を対向させた状態で、その背面間にアンカーボルト2aを挟むように配置される。そして、アンカーボルト2aにプレート2bを取り付けて、このプレート2bと基礎Bとの間に一対の連結部材3,3が挟まれた状態となるように配置する。すると、一対の連結部材3,3をアンカーボルト2aと連結できるのである。
【0023】
そして、図1示すように、一対の連結部材3,3は、その軸方向の長さが基礎Bの幅(図1では左右方向の長さ)よりも長くなるように形成されている。具体的には、一対の連結部材3,3は、その軸方向の中央部でアンカーボルト2aを挟むように連結すると、その両軸端部3a(図3参照)が基礎Bよりも外方に突出する程度の長さに形成されている。
【0024】
以上のごとき連結手段2とすれば、一対の連結部材3,3によってアンカーボルト2aを挟んで、アンカーボルト2aにプレート2bを取り付けるだけで基礎Bと一対の連結部材3,3とを連結できるので、両者の固定を容易にすることができる。
しかも、一対の連結部材3,3が棒状の部材であるから、基礎B上に設置されている機器形状が複雑な場合でも、一対の連結部材3,3を基礎Bに設置できる。つまり、一対の連結部材3,3を通すことができる空間があれば、一対の連結部材3,3を基礎Bに設置できるのである。
【0025】
上記例では、一対の連結部材3,3を設ける場合を説明したが、連結部材3はアンカーボルト2aと固定できるのであれば一本でもよい。しかし、上記のごとき構成とすれば、一本の連結部材を使用する場合に比べて、連結部材3一本あたりの強度を低くすることができ連結部材3を軽量化できるから、連結部材3の可搬性を高くすることができる。
【0026】
なお、プレート2bは単なる板状の部材でもよいが、その両端に、一対の連結部材3,3を挟み込む一対の保持壁2c,2cを有する構造としてもよい(図4参照)。かかる構造とすれば、一対の保持壁2c,2cによって一対の連結部材3,3同士が離間しないように保持されるから、一対の連結部材3,3とアンカーボルト2a、つまり、一対の連結部材3,3と基礎Bとを安定した状態で連結することができるという利点が得られる。
【0027】
また、図1および図3に示すように、各連結部材3は、その両軸端部3aがその軸方向に対して、同じ側に屈曲した形状を有している。つまり、両軸端部3aを屈曲させた方向と逆側の面3fが基礎Bの上面に接するように、連結部材3を基礎B上に配置すると、両軸端部3aが基礎Bよりも上方に位置するように形成されている。かかる構造とすれば、両軸端部3aと地面Gとの間に十分に広い空間を設けることができるので、保持手段11の設置が容易になるという利点が得られる。
しかし、地面Gから基礎Bの上面までの距離が、保持手段11を配置する上で十分な距離を有していれば(例えば500mm程度)、連結部材3として、その両端部3aが屈曲していない真直ぐな部材を使用してもよい。
【0028】
つぎに、吊上げ手段10について説明する。
図1および図2に示すように、吊上げ手段10は、保持部材11と油圧ジャッキ12とから構成されている。
【0029】
図2に示すように、保持部材11は、複数本の棒材、例えばC型鋼やL字鋼等の溝型鋼などを組み合せて形成されている。具体的には、保持部材11は一対のガイド柱11a,11a(特許請求の範囲におけるガイド部材に相当する)と、その下端を連結するベース梁11bと、このベース梁11bの両端を一対のガイド柱11a,11aの上端をそれぞれ連結する支持材11cとを有している。
また、保持部材11は、ベース梁11bに先端が連結され、ベース梁11bとでT字状のベースを形成する後端ベース11eと、この後端ベース11eの後端と一対のガイド柱11a,11aとを連結する後側支持材11dも有している。
そして、一対のガイド柱11a,11aは、C型鋼で形成されており、その開口部分同士が向かい合うように配設されている。この一対のガイド柱11a,11aは、両者間において最も狭い部分の間隔が、アンカーボルト2aを挟んだ状態における一対の連結部材3,3の幅D(図4参照)よりもわずかに広くなるように形成されている。
【0030】
また、この空間には、ガイド柱11aの軸方向に沿って昇降し得るように、昇降プレート11pが設けられており、この昇降プレート11pとベース梁11bとの間には、例えば、油圧ジャッキ12が配設されている。この油圧ジャッキ12は、その伸縮方向がガイド柱11aの軸方向とほぼ一致するように配置されている。
【0031】
以上のごとき吊上げ手段10を使用すれば、一対の連結部材3,3の両側の軸端部3a,3aをそれぞれ保持部材11の昇降プレート11pに載せて、油圧ジャッキ12を伸長させれば、一対の連結部材3,3を上昇させて、基礎Bを吊り上げることができる。
しかも、保持部材11は、ベース梁11bと後端ベース11eによってT字状のベースが形成されており、基礎Bの方向以外の3方向には、一対のガイド柱11a,11aが設けられている位置から張り出した部分(ベース梁11bの両端部および後端ベース11e)を有している。よって、油圧ジャッキ12を伸長させて一対の連結部材3,3を上昇させるときに、一対の連結部材3,3を上昇させる方向が鉛直方向に対して若干傾いていても、張り出した部分によって安定した状態を維持でき、保持部材11が転倒することを防ぐことができる。
【0032】
そして、保持部材11を、ボルトによって各棒材同士を着脱可能に連結して形成すれば、保持部材11を搬送するときには、棒材の状態に解体して運ぶことができるので、可搬性を向上させることができる。しかも、棒材をボルトによって連結した構成であれば、保持部材11の組立て解体に特別な技術が不要であるから、災害復旧時等のように専門技術者による作業が困難な状況でも組み立てて使用することができる。
【0033】
さらに、保持部材11は、基礎Bよりも外方に位置している連結部材3の軸端部3aを、ジャッキ2によって下方から押し上げるので、基礎Bの上方やその側方に障害物があるような場合でも、一対の連結部材3,3とともに基礎B、つまり、機械装置Cを吊り上げることができる。例えば、基礎B上に設置されている機器の形状が複雑な場合や周囲に張り出した部分を有する場合でも、機械装置Cを吊り上げることができる。
【0034】
なお、基礎B等が吊り上げられることによって基礎Bの重量を保持部材11と油圧ジャッキ12で支えなければならなくなるため、油圧ジャッキ12は、若干基礎Bの内側方向へ傾いた状態で伸長する可能性がある。そこで、保持部材11のベース梁11bに、昇降プレート11pとの間に油圧ジャッキ12を挟んで保持するように配置された昇降装置支持部を設け、この昇降装置支持部によって、油圧ジャッキ12が、その伸縮方向が昇降プレート11pの昇降方向に対して揺動可能となるように支持する構造としてもよい。
かかる構造とすると、昇降プレート11pが移動する方向、つまり、連結部材3の軸端部3aが昇降する方向が鉛直方向に対して傾いていても、その昇降方向と油圧ジャッキ12の伸縮方向をほぼ一致させることができるから、油圧ジャッキ12のリフト力を、連結部材3の軸端部3aの昇降に効果的に利用することができる。
上記機能を発揮する昇降装置支持部はとくに限定されないが、例えば、ベース梁11bの上面に設けられた曲面状の窪みを有するプレートを挙げることができる。かかるプレートを設ければ、油圧ジャッキ12の一端(図1および図2では下端)がプレートの窪み内面に沿って移動し、油圧ジャッキ12の伸縮方向と連結部材3の軸端部3aの昇降方向とがほぼ一致するように、自動調整されるので、好適である。
【0035】
(上記リフト装置1による復旧作業)
つぎに、以上のごときリフト装置1を使用した傾斜した機械装置Cを復旧する作業について、図1に基づいて説明する。
【0036】
まず、傾斜した機械装置Cにおいて、その基礎Bが沈んでいる側(図1では紙面手前側)に、アンカーボルト2aを固定する。なお、アンカーボルト2aの代りに使用できる部材があれば、その部材を使用してもよい。
【0037】
アンカーボルト2aが取り付けられると、このアンカーボルト2aを挟むように、一対の連結部材3,3を、その面3fが基礎Bの上面に載せられた状態となるように、基礎B上に配置する。そして、アンカーボルト2aにプレート2bを取付け、アンカーボルト2aと連結部材3とが、アンカーボルト2aの軸方向に移動しないようにする。つまり、連結部材3と基礎Bとが一体で移動するようにする。
【0038】
ついで、保持部材11を組立て、基礎Bの両側方にそれぞれ保持部材11を設置する。具体的には、基礎Bの両側方の地面G上に鉄板等の板材Pをそれぞれ配置し、その上にそれぞれ保持部材11を設置する。このとき、各保持部材11は、一対の連結部材3,3の軸端部3a,3aが一対のガイド柱11a,11a間に挿入され、かつ、昇降プレート11p上に載せられた状態となるように設置する。
なお、連結部材3の軸端部3aを配置する前に、昇降プレート11pとベース梁11bとの間には油圧ジャッキ12を配置しておく。
【0039】
上記準備が終了すると、水準器等を基礎B上に載せて、基礎Bが水平になるように、油圧ジャッキ12を作動させる。なお、2つの保持部材11の2つの油圧ジャッキ12は、一対の連結部材3,3が水平を保って上昇するように作動が調整される。
【0040】
そして、基礎Bが水平になると、基礎Bの下面と地面Gとの間の隙間に、グラウト材等を入れて、このグラウト材等によって基礎Bの荷重が安定した状態で支持されるようになれば、復旧作業が終了する。
【0041】
以上のごとく、上述したリフト装置1を使用すれば、保持部材11を分解して各部材を運搬でき、また、保持部材11の組立てや、連結手段2と基礎Bとの連結、また、連結手段2と保持部材11の設置などの作業を非常に簡単に行うことができる。よって、特別な技術を有する専門家がいなくても、基礎B等の復旧作業を行うことができるので、基礎B等の復旧作業を迅速に行うことができる。
【0042】
(上記リフト装置1による復旧作業の他の例)
ここで、リフト装置1によって基礎Bを上昇させることができる量は、ジャッキ2の伸縮量によって決定されてしまう。すると、大きく傾斜した基礎Bなどでは水平な状態に戻すことができない可能性がある。
しかし、リフト装置1における一対の連結部材3,3に、スペーサ等に載せることができる部分を設けておけば、ジャッキ2の伸縮量以上に基礎Bを上昇させることができる。
【0043】
具体的には、図5に示すように、ジャッキ2によって基礎Bを上昇させると、一旦、油圧ジャッキ12を伸長させた状態で保持し、一対の連結部材3,3において基礎Bの外方に位置する部分(受け部3d)の下方に支持スペーサ31を配置する(図)5(A))。
そして、支持スペーサ31が配置されると、油圧ジャッキ12を収縮させて、一対の連結部材3,3が支持スペーサ31によって支持された状態とする。
【0044】
ついで、保持部材11を一対の連結部材3,3から外して、保持部材11および板Pからも取り外す。そして、板Pと地面Gとの間に装置用スペーサ32を配置して、再度板Pの上に保持部材11を設置する。すると、保持部材11が、装置用スペーサ32の高さ分、地面Gよりも高い位置に配置される(図5(B))。なお、保持部材11を配置するときに、一対の連結部材3,3の軸端部3aは、昇降プレート11p上に配置される。
【0045】
そして、保持部材11が設置されると、油圧ジャッキ12を伸長させて一対の連結部材3,3を上方に移動させる。すると、装置用スペーサ32の高さと、油圧ジャッキ12の伸長量の分だけ、基礎Bを上方に吊り上げることができる(図5(C))。つまり、油圧ジャッキ12の伸縮量よりも大きく基礎Bを上方に吊り上げることができるのである。
【0046】
以上のごとき方法を採用すれば、油圧ジャッキ12の伸縮量、つまり、リフト量が少なくても、基礎Bを吊上げることができる高さを高くすることができる。すると、油圧ジャッキ12を小型化できるから、油圧ジャッキ12の可搬性を高くすることができるという利点が得られる。
【0047】
なお、支持スペーサ31および装置用スペーサ32は、例えば、木材や鋼材など、基礎B、保持部材11および一対の連結部材3,3の荷重が加わっても、変形することなくその荷重に耐えることができる部材であれば、とくに限定されない。
【0048】
(リフト装置1の他の用途について)
なお、本実施形態のリフト装置1が使用される場面は、上述したような傾斜物の復旧作業等に限られず、重量物を少し持ち上げる作業等にも使用することができる。
例えば、クレーン等を使用することが難しい室内などにおいて、重量物を持ち上げる作業に使用することができる。
また、保持部材11の下端にキャスター等の車輪を設けておけば、物体を地面等から浮かせた状態とすれば、保持部材11の車輪によって物体を移動させることができる。すると、クレーン等を使用できない場所でも、簡単かつ用意に重量の大きい物体を移動させることができる。しかも、物体を地面等から大きく浮かせることなく、物体を移動させることが可能となるから、物体を移動させる際の安全性も高くすることができる。
(他のリフト装置の例)
【0049】
なお、本発明の傾斜物の復旧方法は、上述したリフト装置以外でも、図6のごとき装置を用いて実施することも可能である。
【0050】
図6および図7において、符号15は、例えば鋼材等によって形成された一対の柱15,15を示している。図6および図7に示すように、この一対の柱15,15は、機械装置Cの基礎Bを挟むように配置されるものである。
各柱15は、T字状に形成されたベース部15bと、このベース部15bに立設された柱状部15cとを備えている。そして、この柱15の柱状部15cの上端には、一対の支持壁15a,15aが設けられている。この一対の支持壁15a,15aは、互いに平行であって、その対向する面間に溝15hが形成されるように配設されている。
【0051】
図6および図7に示すように、一対の柱15,15の上端間には、鋼材等によって形成された梁状部材16が設けられている。この梁状部材16は、その幅が、柱15における一対の支持壁15a,15aの距離よりも若干狭くなるように形成されている。
しかも、梁状部材16は、その軸方向の長さが基礎Bの幅(図6では左右方向の長さ)よりも長くなるように形成されている。
このため、梁状部材16をその両端部がそれぞれ柱15の溝15hに収容されるように配置すれば、一対の柱15,15の上端間に梁状部材16を配置することができるのである。つまり、梁状部材16を機械装置Cの基礎Bの上方に配置することができるのである。
【0052】
図6において、符号17cは、機械装置Cの基礎Bに固定される連結部材を示しており、符号17aは、梁状部材16に固定されている固定部材を示している。この一対の固定部材17a,17aは、一対の連結部材17c,17cのほぼ鉛直上方に位置するように配設される。
そして、符号17は、この一対の固定部材17a,17aと一対の連結部材17c,17cとの間を連結するように設けられる吊上げ手段を示している。この吊上げ手段17は、例えば油圧ジャッキ等の装置であり、その一端が固定部材17aに連結され、他端が連結部材17cに連結されるように配設される。つまり、吊上げ手段17は、固定部材17aと連結部材17cとの間で伸縮するように配設されるのである。言い換えれば、吊上げ手段17が伸縮すれば、固定部材17aと連結部材17cとの距離を変化させる、つまり、機械装置Cの基礎Bを昇降させることができるように配設されるのである。
【0053】
上記のごときリフト装置(図6のリフト装置)の場合、以下の方法で基礎B等を吊り上げることができる。
まず、機械装置Cの基礎Bにアンカーボルト等によって一対の連結部材17c,17cを固定する。
ついで、機械装置Cの基礎Bを挟むように、地面にプレート等を配置する。そして、プレートの上に一対の柱15,15を設置する。このとき、各柱15の溝15hの軸がほぼ同軸状に並ぶように、また、その溝15hの軸が一対の連結部材17c,17cのほぼ上方に位置するように配置する。
ついで、一対の柱15,15の溝15hに、梁状部材16を配置する。そして、一対の固定部材17a,17aは、一対の連結部材17c,17cのほぼ鉛直上方に位置するように固定する。
そして、一対の吊上げ手段17,17を、一対の固定部材17a,17aと一対の連結部材17c,17cとの間に配置すれば吊り上げ準備が完了する。
吊り上げ準備が完了すると、一対の吊上げ手段17,17を、その作動量を調整しながら作動させると、基礎Bを上方に吊り上げて、基礎Bを水平な状態にすることができる。
【0054】
なお、上記例では、連結部材17cを基礎Bに固定する場合を説明したが、基礎Bの上面に、吊上げ手段17と連結させることができる部分がある場合には、連結部材17cは設けなくてもよい。例えば、機械装置Cを吊り上げるための部材(アイボルト等)が基礎Bに設けられているような場合であれば、その部材を使用してもよい。
【0055】
また、上記例では、梁状部材16は、単に柱15の溝15hに収容されているだけの構造としたが、梁状部材16は柱15の上端に固定するようにしてもよい。しかし、上記のごとき構成とすれば、梁状部材16の設置が容易になるし、柱15と梁状部材16とが一体に形成されている場合に比べて、可搬性を高めることができる。さらに、梁状部材16に加わる力(軸方向の力)を逃がすことができるから、かかる力に起因して柱15に加わる力を抑えることができる。すると、柱15の強度を抑えることができるから、柱15の重量を低減でき、柱15の可搬性を高めることができる。
【0056】
さらに、吊上げ手段17は、梁状部材16や基礎Bに対して揺動可能に設けておくことが好ましい。すると、梁状部材16に設けられている固定部材17aが連結部材17c等の設けられている位置の鉛直上方に設置できない場合や、吊り上げ時に固定部材17aが連結部材17c等の設けられている位置の鉛直上方に位置しなくなった場合でも、安定して吊り上げを行うことができるという利点が得られる。
【0057】
例えば、以下のごとき構成とすれば、吊上げ手段17を梁状部材16や基礎Bに対して揺動可能とすることができる。
図6であれば、梁状部材16に固定されている固定部材17aに設けられたブラケットに対して、吊上げ手段17が、紙面と直交する面内で揺動できるように、その基端を軸着する。
一方、吊上げ手段17の先端を連結部材17cに軸着し、その先端を支点として基礎Bに対して吊上げ手段17が揺動できるように連結する。図6であれば、基礎Bに固定されている連結部材17cに対して、吊上げ手段17が、紙面と平行な面内で揺動できるように、その先端を軸支する。つまり、吊上げ手段17が固定部材17aに対して揺動できる方向と、吊上げ手段17が連結部材17cに対して揺動できる方向とが、互いに直交するように配設する。
かかる構成とすると、基礎Bを吊り上げたときに、一対の固定部材17a,17aが一対の連結部材17c,17cのほぼ鉛直上方からどの方向にずれても、吊上げ手段17の先端と基端とを支点として揺動して、そのずれを吸収できる。
よって、梁状部材16に加わる力のうち、鉛直方向以外の成分を少なくできるから、基礎Bを吊り上げを安定して行うことができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の傾斜物の復旧方法は、重機等を使用できない場所における復旧作業に適している。
【符号の説明】
【0059】
1 リフト装置
2 連結手段
3 連結部材
10 吊上げ手段10
11 保持部材
11a ガイド柱
12 ジャッキ
B 基礎
C 機械装置
G 地面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震等によって傾斜した傾斜物を復旧する方法であって、
前記傾斜物の近傍に、該傾斜物を吊上げる吊上げ手段を設置し、
該吊上げ手段と前記傾斜物とを連結手段によって連結し、
前記吊上げ手段に設けられた昇降装置を作動させて、前記傾斜物が水平になるように該傾斜物を上方に吊上げる
ことを特徴とする傾斜物の復旧方法。
【請求項2】
前記連結手段が、軸方向に沿って伸びた連結部材を備えており、
該連結部材の両軸端間の位置を前記傾斜物と連結し、
該連結部材を前記傾斜物と連結した状態で、該連結部材を、その両軸端部と地面との間に配置された前記吊上げ手段の昇降装置によって上昇させる
ことを特徴とする請求項1記載の傾斜物の復旧方法。
【請求項3】
前記連結手段が、前記連結部材を一対備えており、
前記傾斜物に固定されている部材を前記一対の連結部材によって挟んだ状態で、該一対の連結部材を前記吊上げ手段の昇降装置によって上昇させる
ことを特徴とする請求項2記載の傾斜物の復旧方法。
【請求項4】
前記吊上げ手段の昇降装置によって上昇した前記連結部材の下方に、該連結部材を上昇した位置に支持しておく支持スペーサを配置し、
該支持スペーサを配置した後、前記昇降装置と地面との間に装置用スペーサを配置して、該昇降装置を地面よりも高い位置に配置する
ことを特徴とする請求項2または3記載の傾斜物の復旧方法。
【請求項5】
前記吊上げ手段は、
地面に立設される柱と、該柱によって支持される梁状部材とを備えており、
該梁状部材が前記傾斜物において前記連結手段と連結する連結部位の上方に位置するように前記吊上げ手段を配置し、該傾斜物の連結部位と前記梁状部材とを前記昇降装置によって連結する
ことを特徴とする請求項1記載の傾斜物の復旧方法。
【請求項6】
物体を上方に吊上げるために使用されるリフト装置であって、
前記物体と連結される連結手段と、
該連結手段を吊上げる吊上げ手段とを備えており、
前記連結手段は、
軸方向に沿って伸びた連結部材を備えており、
前記吊上げ手段は、
前記連結部材の両軸端部を、それぞれ昇降可能に保持する一対の保持部材と、
前記連結部材の両軸端部を昇降させる昇降装置とを備えている
ことを特徴とするリフト装置。
【請求項7】
前記保持部は、
前記連結部材の軸端部が載せられる昇降プレートと、
該昇降プレートの昇降を案内するガイド部材と、
前記昇降プレートとの間に、前記昇降装置を挟んで保持するように配置された昇降装置支持部とを備えており、
該昇降装置支持部は、
前記昇降装置を、その伸縮方向が前記昇降プレートの昇降方向に対して揺動可能に支持するものである
ことを特徴とする請求項6記載のリフト装置。
【請求項8】
前記連結手段が、
前記連結部材を一対備えており、
該一対の連結部材間に、前記物体に固定されている部材を挟んで保持する
ことを特徴とする請求項6または7記載のリフト装置。
【請求項9】
前記一対の連結部材間によって前記物体に固定されている部材を挟んだ状態において、該一対の連結部材同士が互いに離間しないように保持する離間防止部材を備えている
ことを特徴とする請求項8記載のリフト装置。
【請求項10】
前記保持部材は、その下端に車輪を備えている
ことを特徴とする請求項6、7、8または9記載のリフト装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−144497(P2011−144497A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3598(P2010−3598)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000144991)株式会社四国総合研究所 (116)
【出願人】(000180368)四国電力株式会社 (95)
【Fターム(参考)】