説明

リプレイ配信システム

【課題】サーバ装置に蓄積するデータのサイズを従来に比較して小さくし、全てのゲーム機を対象としてリプレイすることができ、しかもリクエストするときに、実際にゲーム機でのゲーム画面の視点位置やBGMを適宜代えることができるリプレイ配信システムを提供する。
【解決手段】ゲームセンタ2のゲーム機17aなどでゲームを行うとその操作情報がネットワーク10を介してサーバ装置1のメモリ部に蓄積される。携帯電話機3やパソコン端末4でサーバ装置1にアクセスし、蓄積されたゲーム機の操作情報を指定することにより再送信サーバ装置5でその操作情報によりゲームが再生される。再生されたゲームは映像取り込み機7でキャプチャーされ、ムービー形式に変換されて通信部9により携帯電話機3に送られる。プレイヤは携帯電話機3でゲームのリプレイを見ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム機で遊んだあとで、各自のリプレイ映像をダウンロードしてパソコンや携帯電話機等の携帯端末で見ることができるリプレイ配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本件出願人は自らがゲームセンタのゲーム機などでゲームを行った後、サーバ装置にアクセスし、そのゲームのビデオ画面を携帯電話機,パソコンなどにダウンロードして再度、自らのゲーム内容を観賞するシステムを提案している(特許文献1)。
この従来のシステムは、ゲームセンタのゲーム機などの画像データをサーバ装置にアップロードしているためゲーム映像のデータサイズは大きく、遊んだプレイヤのすべてのゲーム内容をサーバ装置で保存することは不可能であった。
【特許文献1】特開2003−320170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、サーバ装置ではランキングなどで上位入賞者に限定して映像製作を行うことに限定する方法を取っていた。
また、画像データをサーバ装置に蓄積するため、リプレイを要求する場合、ゲームを表示する内容、例えば、カメラの配置位置,BGMを代えて再生することはできなかった。 本発明の目的は、サーバ装置に蓄積するデータのサイズを従来に比較して小さくし、全てのゲーム機を対象としてリプレイすることができ、しかもリクエストするときに、実際にゲーム機でのゲーム画面の視点位置やBGMを適宜代えることができるリプレイ配信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するために本発明の請求項1は、多数のゲーム機と、前記多数のゲーム機のいずれかで行われたゲームの操作情報を受信し、各ゲーム機対応毎に受信した操作情報および受信日付時刻よりなるゲーム機操作情報をメモリ部に記憶するサーバ装置と、前記サーバ装置に記憶されたゲーム機操作情報が入力したとき、ゲームプログラムを起動してゲーム機操作情報に基づくゲームを行うサーバ側ゲーム機と、前記サーバ側ゲーム機から出力されるゲーム画面のビデオ信号とオーディオ信号をキャプチャーする映像取り込み手段と、前記映像取り込み手段で取り込んだビデオ信号およびオーディオ信号を、MOV形式,MP4形式またはMPG形式に変換するムービーエンコーダ手段と、前記ムービーエンコーダ手段で変換されたMOV形式,MP4形式またはMPG形式のビデオ信号およびオーディオ信号を送信する通信手段と、前記サーバ装置にアクセス可能な携帯端末またはパソコン端末とを備え、前記携帯端末またはパソコン端末から前記サーバ装置にアクセスし、日付時刻を指定して前記メモリ部から指定した日付時刻における各ゲーム機の操作情報を記載したテーブルを読み出し、前記携帯端末またはパソコン端末からテーブル中の操作情報を選択した場合、前記サーバ側ゲーム機は、選択した操作情報でゲームを再生し、前記ムービーエンコーダ手段により変換したファイル形式で前記通信手段により前記携帯端末またはパソコン端末に送信し、前記携帯端末またはパソコン端末の表示部に再生した映像を表示することを特徴とする。
本発明の請求項2は、請求項1記載の発明において前記携帯端末またはパソコン端末からテーブル中の操作情報を選択した場合、再生するゲームのクラスモードを指定する手段を有することを特徴とする。
本発明の請求項3は、請求項1または2記載の発明において前記携帯端末またはパソコン端末からテーブル中の操作情報を選択した場合、再生するゲームの画面を捕らえるカメラの位置を指定する手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
上記構成によれば、サーバ装置に蓄積するデータのサイズは大幅に小さくなるとともに後から付ける演出について、
1.カメラの位置を順次切り替えることで、飽きがこない映像を楽しむことができる。
2.BGMを変えることで、遊んだときとは違う雰囲気を楽しむことができる。
3.テロップを付け加えることで、自分のリプレイであることを公表できる。
4.どのような操作を行ったかを画面上に表示することで、攻略の参考にできる。
5.リクエストに応じて適切なエンコードで動画を作るので、完成した動画をダウンロードしたときに確実に閲覧できるようになっている。
という効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。
図1は、本発明によるリプレイ配信システムの概略を示す図である。
この実施の形態は、ゲームセンタ2などに設置されているゲーム機17a〜17n,各ゲーム機17a〜17nからの操作情報を蓄積するサーバ装置1,サーバ装置1から操作情報を受信してゲームを行い、ゲームをムービーに変換して携帯端末などに送る再送信サーバ装置5,携帯電話機3やパソコン端末4などのムービー受信再生端末および各装置間を接続するネットワーク10から構成されている。
【0007】
ゲーム機17a〜17nは、プレイヤによってゲームが行われると、通信回線11,ネットワーク10を介してサーバ装置にゲームに関する情報および操作情報(操作データ)をサーバ装置1の通信部20に送る。ゲームに関する情報とは、プレイヤのID,店ID,ゲーム機のIDなどであり、サーバ装置1はこれら情報とともにゲームが行われた日時情報も記憶する。
【0008】
プレイヤは携帯電話機3,パソコン端末4(その他の端末でもよい)を用いてプレイヤのゲーム内容を再プレイするリクエストを行うことができる。例えば携帯電話機3であれば、サーバ装置1のURIにアクセスすることにより基地局14a〜14nと通信を行い、携帯電話用通信事業システム12を通じてネットワーク10に接続し、サーバ装置1に接続する。リクエスト内容はプレイヤのID,店ID等であり、サーバ装置1がこのリクエストにしたがって画面表示することにより、プレイヤは画面の内容に従って各項目を選択し、所望するゲームの再プレイを行うことができる。
また、パソコン端末4であれば、サーバ装置1のURIにアクセスすることによりADSLモデム15を介してPC用通信事業者システム13を通じてネットワーク10に接続し、サーバ装置1に接続する。リクエスト内容は携帯電話機の場合と同様、同じように行われる。
【0009】
再送信サーバ装置5では、プレイヤが携帯電話機3などの携帯端末で指定したゲームの操作情報をサーバ装置1から受信し、サーバ側ゲーム機6でゲームを行う。サーバ側ゲーム機6はゲームプログラムを起動し受信した操作情報によりゲームを再生する。その際、再生ファイルの形式やカメラ位置の指定をすることが可能である。サーバ側ゲーム機6で行われたゲームは映像取り込み機7によってビデオ信号およびオーディオ信号がキャプチャーされる。キャプチャーされたビデオ信号およびオーディオ信号はムービーエンコーダ8によって指定された再生ファイル形式のムービーに変換され、通信部9によってリクエストした携帯端末にダウンロードする。携帯端末ではダウンロードされたゲームの画面が再生される。
【0010】
図2Aは、本発明によるリプレイ配信システムを構成するサーバ装置の回路の実施の形態を示す回路図である。
サーバ装置1は通信部20,ROM21,RAM22,データベース23およびCPU24を備えている。通信部20はネットワークに接続され、ゲーム機や携帯端末などからアクセスがあった場合、ゲーム機や携帯端末とCPU24の通信を行う。
ROM21はサーバ装置の制御を行う制御プログラム,ゲーム機,再送信サーバ装置,携帯電話機などと送受信を行なう通信処理プログラムおよび必要なデータが格納されている。RAM22はCPUが演算を行う場合に用いられる作業領域であり、また、一時的にデータを蓄積する。
【0011】
CPU24はROM21から制御プログラムを読み込むことによりサーバ制御部24aの機能を有する。また通信処理プログラムを読み込むことにより通信処理部24bの機能を有する。サーバ制御部24aはゲーム機から送信された操作情報を蓄積する機能や、携帯端末からのリクエストに応じて、蓄積されている各ゲーム機の操作情報を携帯端末に表示し、携帯端末から選択された内容でゲームが再プレイされるように処理を行う。
データベース23はゲーム操作情報を格納する領域23aを有している。
【0012】
図2Bは、サーバ装置のデータベースに蓄積される操作情報の一例を示す図である。
ゲーム操作情報格納領域23aにはある店IDのゲーム機毎にその操作情報(操作データ)が格納されている。例えば、ゲーム機Aについては年月日が「2007年3月10日」で時刻が「8時40分16秒」に操作データ1が蓄積されている。「12時31分5秒」に操作データ2が蓄積されている。さらにゲーム機Bに注目すると、年月日が「2007年3月15日」で時刻が「4時24分53秒」,「15時3分11秒」に操作データ21,操作データ8がそれぞれ蓄積されている。
【0013】
図3は、携帯端末からサーバ装置にリクエストするデータ構造,ゲーム日時履歴テーブルおよびゲームの各項目選択画面の一例を示す図である。
携帯電話機3からリクエストするデータはサーバ装置1のURIにアクセスする際、(a)に示すように自分のIDおよび店IDを指定する。サーバ装置1はこのリクエストを受けて(b)に示すような日付時刻とクラスモードを指定するための画面を携帯電話機3に送る。携帯電話機3のプレイヤは時刻については○○年×月△日〜○○年×月△日を選択すると、(c)に示すようにその期間の各日付の各時刻の画面を携帯電話機3に送る。また、携帯電話機3は(b)の画面においてクラスモード情報を選択する。ここで例えば中級モードを選択すれば、(c)で表示されるものは中級モードに該当するものとなる。
【0014】
(c)の中で、携帯電話機3で○○年○月○日○時○分を選択すると、(d)に示すようなゲーム日時履歴テーブルの画面がサーバ装置1より携帯電話機3に送られる。
携帯電話機3ではプレイヤが例えば、ゲーム機Bの操作データ××を選択すると、つぎに(e)に示すようにゲーム機Bにおける各項目選択画面がサーバ装置1より送られる。ムービーにする形式はMOV形式,MP4形式,MPG形式の中から選択することができる。ゲーム再生時のカメラ位置は前位置,上方位置,後方位置の中から選択することができる。同じゲームを同じ操作データで再生しても、実際のゲーム時のカメラ位置とは異なる位置を選択することにより、ゲーム機で遊んだときと同じ結果にはなるがムービで表示される画面の見る方向は異なってくる。
【0015】
図4は、本発明によるリプレイ配信システムの流れを示すフローチャートである。
プレイヤがゲーム機で遊んでから携帯端末で遊んだゲームをリプレイする流れを示すものである。
プレイヤがゲームセンタ2のゲーム機17a〜17nによってゲームを行う(ステップ(以下「S」という)001)。ゲーム機17a〜17nはプレイヤによって操作情報が入力されると、店毎およびゲーム機毎に操作情報をサーバ装置1に送る(S002)。サーバ装置1は送られてきた操作情報をデータベース23のゲーム操作情報格納領域23aに蓄積する(S101)。蓄積する操作情報は店ID,ゲーム機ID,プレイヤのIDおよびゲームを行った日時が付加される。
【0016】
プレイヤは携帯電話機3やパソコン端末4を用いて携帯電話用通信事業システム12,PC用通信事業者システム13,ネットワーク10を介してサーバ装置1にアクセスし、ゲームの再プレイを要求することができる。ここで、携帯電話機3でリクエストした(S003)とすると、このリクエストに際し送られる情報は店ID,ゲーム機ID,プレイヤのIDなどである。サーバ装置1はリクエストに対し、日時,クラスモード指定を行うための画面を送り、プレイヤに選択させ、選択されたゲーム日時の履歴テーブルを携帯電話機3に送る。プレイヤは履歴テーブルにより再生すべくゲーム機の操作データを選択する。さらに再生ファイル形式を選択し、再生時のカメラ位置指定を行うことができる。
【0017】
サーバ装置1はこのようにプレイヤによって指定された操作データを再送信サーバ装置5に送る。再送信サーバ装置5はこの操作データを用いてサーバ側ゲーム機6によってゲームを再現する(S102)。再現されたゲームの画像は映像取り込み機7によりキャプチャーされる(S103)。ゲーム再現が完了すると、再送信サーバ装置5は通信部9を通じてダウンロードリンクを表示する(S104)。
一方、プレイヤはサーバ装置1に対し要求を行った後は、サーバ装置側で選択した操作情報のゲームが再生されるのを待つ(S004)。そして再生が完了したか否かを監視する(S005)。再送信サーバ装置5からダウンロードリンクが表示されれば、再生の完了を確認し、送られてくる映像をダウンロードする(S006)。
プレイヤは携帯電話機の画面で再プレイされるゲーム機の映像を見ることができる。
【0018】
従来は画像データそのものをサーバ装置にアップロードしていた。本発明ではサーバ装置には操作データだけがアップロードされるため、サーバ装置に蓄積されるファイルサイズは約1000分の1程度になる。
例えば、5分間の映像ファイルサイズが従来は20Mbytes〜50Mbytesであったが、本発明によれば、5分間の入力データサイズは20Kbytes〜50Kbytesとなる。本発明はプレイヤがリクエストしたときからゲームの映像を作るため、プレイ中の画面を直接撮影する場合に比較し、カメラの視点を変えたり、テロップを付けたりするなどの様々な演出を追加することができる。
【0019】
以上の実施の形態は、操作情報を蓄積するサーバ装置およびゲームを再プレイし送信する再送信サーバ装置を別々に設けた例を説明したが、1つのサーバ装置に操作情報を蓄積する機能およびゲームを再プレイして送信する機能を持たせることにより本発明を実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
ゲームセンタなどのゲーム機で遊んだあとで、各プレイヤがリプレイ映像をダウンロードしてパソコンや携帯電話機の携帯端末などで見ることができるリプレイ配信システムである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明によるリプレイ配信システムの概略を示す図である。
【図2A】本発明によるリプレイ配信システムを構成するサーバ装置の回路の実施の形態を示す回路図である。
【図2B】サーバ装置のデータベースに蓄積される操作情報の一例を示す図である。
【図3】携帯端末からサーバ装置にリクエストするデータ構造,ゲーム日時履歴テーブルおよびゲームの各項目選択画面の一例を示す図である。
【図4】本発明によるリプレイ配信システムの流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0022】
1 サーバ装置
2 ゲームセンタ
3 携帯電話機
4 パソコン端末
5 再送信サーバ装置
6 サーバ側ゲーム機
7 映像取り込み機
8 ムービーエンコーダ
9 通信部
10 ネットワーク
11 通信回線
12 携帯電話用通信事業システム
13 PC用通信事業者システム
14a〜14n 基地局
15 ADSLモデム
16 アンテナ
17a〜17n ゲーム機
20 通信部
21 ROM
22 RAM
23 データベース
24 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のゲーム機と、
前記多数のゲーム機のいずれかで行われたゲームの操作情報を受信し、各ゲーム機対応毎に受信した操作情報および受信日付時刻よりなるゲーム機操作情報をメモリ部に記憶するサーバ装置と、
前記サーバ装置に記憶されたゲーム機操作情報が入力したとき、ゲームプログラムを起動してゲーム機操作情報に基づくゲームを行うサーバ側ゲーム機と、
前記サーバ側ゲーム機から出力されるゲーム画面のビデオ信号とオーディオ信号をキャプチャーする映像取り込み手段と、
前記映像取り込み手段で取り込んだビデオ信号およびオーディオ信号を、MOV形式,MP4形式またはMPG形式に変換するムービーエンコーダ手段と、
前記ムービーエンコーダ手段で変換されたMOV形式,MP4形式またはMPG形式のビデオ信号およびオーディオ信号を送信する通信手段と、
前記サーバ装置にアクセス可能な携帯端末またはパソコン端末とを備え、
前記携帯端末またはパソコン端末から前記サーバ装置にアクセスし、日付時刻を指定して前記メモリ部から指定した日付時刻における各ゲーム機の操作情報を記載したテーブルを読み出し、前記携帯端末またはパソコン端末からテーブル中の操作情報を選択した場合、前記サーバ側ゲーム機は、選択した操作情報でゲームを再生し、前記ムービーエンコーダ手段により変換したファイル形式で前記通信手段により前記携帯端末またはパソコン端末に送信し、前記携帯端末またはパソコン端末の表示部に再生した映像を表示することを特徴とするリプレイ配信システム。
【請求項2】
前記携帯端末またはパソコン端末からテーブル中の操作情報を選択した場合、再生するゲームのクラスモードを指定する手段を有することを特徴とする請求項1記載のリプレイ配信システム。
【請求項3】
前記携帯端末またはパソコン端末からテーブル中の操作情報を選択した場合、再生するゲームの画面を捕らえるカメラの位置を指定する手段を有することを特徴とする請求項1または2記載のリプレイ配信システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−254443(P2009−254443A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−104635(P2008−104635)
【出願日】平成20年4月14日(2008.4.14)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】