説明

リボソームタンパク質抽出物を使用するリーシュマニア症などの寄生虫性疾患の診断

本発明は、RPEを使用するリーシュマニア症のための診断方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、RPEを使用するリーシュマニア症などの寄生虫性疾患の診断に関する。
【0002】
[発明の背景]
イヌの内臓リーシュマニア症(CVL)は、地中海沿岸地方周辺の国々、中近東およびメキシコにおける重要な新生の動物原性感染症である(20)。この重症疾患は、地中海地方、中東およびアジア諸国においては、リーシュマニア・インファンツム(Leishmania infantum)、中南米およびメキシコにおいてはL.チャガシ(L. chagasi)に起因する(20、21)。それらの遺伝子型の関係のために、異なる大陸において両種が引き起こすCVLは同じものであると考えられる(26)。
【0003】
感染において、イヌは、異なる種類の疾患、無症候性、症状の乏しいまたは症候性の疾患を発現し得る(4)。症候性感染は死亡を齎し、その臨床徴候は、皮膚の変化、例えば、脱毛症、皮膚炎、爪鉤形症などを含み(3、11)、また、内臓徴候は、腎臓、肝臓および脳の変化を有する(18、28)。ある感染したイヌは、無症候性を維持するか、僅かな軽度の徴候を発現し、症状の乏しいものに分類される(4)。感染したイヌが(例え無症候性のものであったとしても)ヒト感染のための主な家庭内の寄生生物の貯蔵体であることから、CVTは獣医学的な疾患と看做されるものであるだけではない(1)。従って、イヌからヒトへのリーシュマニアの感染を減少するために、できるだけ早期にイヌリーシュマニア症の診断することが必要である。
【0004】
無症候性、症状の乏しい、および症候性の感染したイヌにおける抗リーシュマニア特異的抗体の存在(4、9、34)は、免疫蛍光抗体試験(IFAT)、ウェスタンブロット、イムノクロマトグラフィ試験および酵素免疫測定法(ELISA)を含む(23に総説される)血清学的試験の開発を可能にしている。粗可溶性リーシュマニア抗原に基づくELISAアッセイを使用するCVLの診断は、高い感受性を有しているように見えているが、リーシュマニアと他の病原性原生動物との間の抗原性関連(16)のために特異性が低い。CVLに対して特異的な血清診断試験を開発するための戦略として、異なる寄生生物抗原が組み換えタンパク質として得られている(5、10、24)。しかしながら、異なる寄生生物抗原に対する個々の感染したイヌの体液性応答において観察される高い変動性のために(19、31)、組み換えタンパク質に基づく有効な診断は、組み換えタンパク質の混合物または幾つかの非関連性の寄生生物抗原を含むキメラタンパク質の使用を必要とされる(6、31、36)。CVLの特異的診断はまた、ウェスタンブロットにより分析された粗寄生生物断片または寄生生物から精製された調製物を使用しても開発される(8、17)。例えば、可溶性リーシュマニア抗原(SLA)に基づくELISAアッセイが既に開発されている(27、31)。しかしながら、このSLAに基づくアッセイは、無症候性リーシュマニア症を診断するための十分な特異性がない。加えて、リーシュマニア症とは異なる他の寄生生物疾患を有する対象からの血清は、SLAに基づくアッセイにより偽陽性反応を生ずるであろう。
【0005】
従って、現存の方法の全ての欠点を有しない、リーシュマニア症などの寄生虫性疾患の診断方法の改善が未だに必要である。
【0006】
[発明の説明]
この研究において、我々は、RPE、特に、リーシュマニアRPE(LRPE)がリーシュマニア症などの寄生虫性疾患の診断のために有利に使用できることと;この新規の診断方法が公知の診断方法、例えば、例において示すようなSLAに基づく方法などに比べて、より特異的であることとを示す。この新規の方法は、リーシュマニア症の前症候性診断を可能にし、これは、イヌからヒトへのリーシュマニアの感染を防止または減少するために極めて重要である。
【0007】
本発明は以下で更に説明される。
【0008】
[使用]
第1の態様において、対象における寄生虫性疾患を診断するためのリボソームタンパク質抽出物の使用が提供される。
【0009】
ここにおいて定義されるとき、リボソームタンパク質抽出物は、対象に存在する寄生虫性疾患を引き起こす寄生生物を使用して以下の工程を行うことにより得られる:
a.寄生細胞と溶解緩衝液とを混合物すること、
b.得られた混合物を遠心分離し、細胞質抽出物を得ること、
c.得られた細胞質抽出物からリボソームタンパク質抽出物を調製すること。
【0010】
工程aにおいて、寄生生物は、好ましくは原生動物を意味する。好ましくは寄生生物はここにおいて後述する。より好ましくは、原生動物は、プロマスティゴートの段階にある。当業者は、所望の量のRPEを調製するために大凡必要とされる寄生細胞の量が分かるだろう。典型的に500マイクログラムのRPEを調製するためには、ある者は3.10寄生細胞を使用するだろう。溶解緩衝液は緩衝液であり、寄生細胞の少なくとも幾つかを破壊するだろう。少なくとも一部分は、好ましくは細胞の少なくとも50%、少なくとも60%、70%、80%、90%または100%を意味する。好ましい溶解緩衝液は、非イオン界面活性剤を含む。好結果は、非イオン界面活性剤としてのノニデットP40(Nonidet P 40 (NP40))により得られた。しかしながら、他の非イオン界面活性剤が使用されてもよい。使用される好ましい溶解緩衝液は以下(緩衝液A)の通りである:10mMのトリスHCl、pH8.0、150mMのNaCl、1.5mMのMgClおよび0.5%のNP40(ロッシュ)、並びに好ましくはプロテアーゼ阻害剤、例えば、PMSF1mM、ロイペプチン8μg/ml、アプロチニン4μg/mlおよびペンタチン8μg/mlが追加される。寄生細胞の適切な量(緩衝液Aの1ml当たり10細胞)が
典型的には、エッペンドルフピペットを使用してこの溶解緩衝液と穏やかに混合される。
【0011】
工程bにおいて、少なくとも1つの工程の4℃での遠心分離が、工程aで得られた当該混合物に適用される。通常、第1の遠心分離工程は、3000gで2分間行われる。得られた上清は、好ましくは13000gで15分間、4℃で1回または2回、再度の遠心分離される。
【0012】
工程cにおいて、得られた上清は、(45)に記載されるようなRPEを調整するために使用される。即ち、得られた上清を90,000rpmで30分間、4℃での高速遠心分離に供される。使用されるローターは、好ましくはベックマンTL100.3ローターである。得られたペレットは粗リボソームペレットであり、これは適切な緩衝液、例えば、緩衝液B(20mMのトリス−HCl、pH7.4、500mMのAcNH、100mMのMgCL、5mMのβ−メルカプトエタノール)に再懸濁され、適切な緩衝液、例えば、緩衝液A中での非連続性のスクロースのグラジエント(20/40%)を経て、90,000rpm、4℃で遠心される。ここで再度、好ましいローターはTL100.3ローターである。得られたペレットはリボソームを含む。このペレットは、好ましくはPBS(リン酸緩衝食塩水)に溶解され、超音波処理され、−70℃で貯蔵される。
【0013】
リボソームタンパク質は、良好に保存されている細胞質タンパク質である。従って、ここで定義される通りRPEは、何れの真核生物から調製されてもよく、それは植物または動物であってもよく、哺乳類、爬虫類、魚類、昆虫に由来してもよく、または何れかの他の染色体を有する有機体、例えば、原生動物などであってもよい。好ましくはRPEは、疾患に密接な有機体、好ましくは系統樹において寄生虫性疾患を引き起こす有機体から得られる。従って、寄生虫性疾患の治療において使用されるべきRPEの起源として特別に興味深いものは、原生動物、例えば、プラスモディウム(Plasmodium)など、特に、トリパノソーマ科のもの、更に詳しくはトリパノソーマの異なる種、リーシュマニアまたはトリパノソーマである。リーシュマニアの公知の種は20を超え、亜族リーシュマニアの種および亜種ビアンニア(Viannia)含み、亜族リーシュマニアはL.メジャー(L. major)を含むコンプレックスL.メジャー、L.チャガシ(L. chagasi)、L.ドノバニ(L. donovani)およびL.インファンツム(L. infantum)を含むコンプレックスL.ドノバニ(L. Donovani)、L.アマゾネンシス(L. amazonensis)およびL.メキシカナ(L. mexicana)を含むコンプレックスL.メキシカナを含み、並びに亜種ビアンニア(Viannia)は、L.ブラジリエンシス(L. braziliensis)およびL.ペルビアナ(L. peruviana)を含むコンプレックスL.ブラジリエンシス、およびL.グヤネンシス(L. guyanensis)およびL.パナメンシス(L. panamensis)を含むコンプレックスL.グヤネンシスを含む。特定の興味のあるプラスモディウム種は、プラスモディウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)およびプラスモディウム・ビバックス(Plasmodium vivax)である。好ましい実施形態において、RPEは、リーシュマニア種、好ましくはリーシュマニア・メジャーおよび/またはリーシュマニア・インファンツムから得られる。もう1つの好ましい実施形態において、RPEは、プラスモディウム種から得られる。当業者は、RPEが、ここにおいて記載されたような幾つかの異なる有機体からのRPEを混合することにより調製されてもよいことを理解するであろう。RPEが大量の異なる抗原を含むことから、問題のタンパク質の使用に代わる本発明の診断方法におけるRPEの使用は、非常に魅力的である。これらの抗原の各々は、対象における免疫応答の存在を強力に診断できる。更に、抗原Aに対して応答し、Bに対しては応答しない患者およびその逆の患者もある。従って、ここにおいて使用されるとき、それが多くの数の異なる抗原を含むことから、RPEは、対象の広範な個体群に対して使用されることを目的とする。好ましい実施形態において、RPEは、少なくとも1つのリボソームタンパク質および/またはリボソームタンパク質の少なくとも1つの抗原および/またはリボソームタンパク質の少なくとも1つのタンパク質断片を含む。より好ましい実施形態において、RPEは、少なくとも2つのリボソームタンパク質および/またはリボソームタンパク質の少なくとも2つの抗原および/またはリボソームタンパク質の少なくとも2つのタンパク質断片を含む。ここで定義されるとき、タンパク質断片は、好ましくはリボソームタンパク質に対応する少なくとも2、3、5、7、10、15、20、25、30またはそれ以上の連続したアミノ酸を含む断片である。実施形態において、ここで定義されるとき、RPEは、リーシュマニア・インファンツムの酸性リボソームタンパク質および/またはリーシュマニア・ブラジリエンシスからのリボソーム抗原LbeF4Aを含まず、またはリーシュマニア・インファンツムの酸性リボソームタンパク質P0および/またはリーシュマニア・ブラジリエンシスからのリボソーム抗原LbeF4Aからならない。もう1つの実施形態において、ここで定義されるとき、RPEは、EP824699に開示されるようなリーシュマニア・チャガシからの酸性リボソームタンパク質LcPoを起源とするエピトープを含まず、またはEP824699に開示されるようなリーシュマニア・チャガシからの酸性リボソームタンパク質LcPoを起源とするエピトープからならない。更に好ましくは、RPEは、LcPoのC末端に位置する17アミノ酸、即ち、EP824699における配列番号2で示されるアミノ酸306〜322を含まず、またはLcPoのC末端に位置する17アミノ酸、即ち、EP824699における配列番号2で示されるアミノ酸306〜322からならず、これはまた配列表の配列番号1としても記載される。
【0014】
本発明の1つの利点は、広いスペクトルの寄生虫性疾患の特異的且つ早期の診断を達成することを可能にすることである。寄生虫性疾患の1つの例は、リーシュマニア症の症例である。好ましい実施形態において、寄生虫性疾患は、リーシュマニア症またはマラリアである。より好ましくは、寄生虫性疾患は、リーシュマニアまたはプラスモディウム種により引き起こされる。更に好ましい実施形態において、寄生虫性疾患は、RPEが由来する種とは異なる種により引き起こされる。特に、リーシュマニア属からの1つの種により引き起こされるリーシュマニア症が、もう1つのリーシュマニア種からのRPEに基づく組成物を使用することにより診断されてもよい。1つの実施形態において、L.メジャーにより引き起こされるリーシュマニアは、L.インファンツムからのRPEを含む組成物により成功裏に診断される。或いは、他の寄生虫性疾患、例えば、マラリアなどは、他の種のRPEに基づく組成物、例えば、L.インファンツムのRPEに基づく組成物により成功裏に診断されてよい。
【0015】
本発明の事情において、対象は、ヒトまたは動物を意味する。本発明の範囲内に包含される動物は、哺乳類、好ましくはヒトまたはイヌを含む。原理上、何れの対象も本願発明を使用して診断できる。診断方法は、対象において必要である度ごとに適用されてよい。好ましくは、診断される対象は、寄生虫性疾患を引き起こす寄生生物に感染している危険性を有することが疑われる対象である。寄生生物に感染している危険性が疑われる対象は、流行地に在住であってもよく、または流行地に訪れたことがあってもよい。流行地は、アルジェリアからサウジアラビアまでの北アフリカ、スーダン、エチオピアを含む。それは更に、南欧:地中海諸国、スペイン、フランス、ギリシャなどを含む。またそれは、中央(全国)および南アメリカ:ブラジル、ベネズエラ、ペルー、ボリビア、コロンビア、アルゼンチンの北部、パラグアイ、ウルグアイ、中央から南西アジア:インド、イラン、イラク、モンゴル、ネパール、バングラディッシュを含む。
【0016】
本発明の事情において、ここで定義されるとき、使用は、好ましくはインビトロまたはエキソビボでの使用である。好ましくは、前記使用が、対象からの試料において行われることを意味する。好ましい試料は、血液、血清、血漿、唾液、脳脊髄液または尿を含む。より好ましくは、試料は、対象から得られた血液または血清試料である。
【0017】
好ましい実施形態において、診断は、寄生虫性疾患の症状の出現以前に行われ、所謂、前症候性診断または無症候性対象の診断である。この文脈において、「全症候性」は好ましくは、最初の症状の出現の前の少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、少なくとも15日、少なくとも20日、少なくとも25日、少なくとも30日または30日以上を意味する。寄生虫性疾患、例えば、リーシュマニア症などに関連する最初の症状または最初の臨床的徴候は、以下の一覧から選択されてよい:発熱、脾腫、肝腫脹、リンパ節腫脹、結膜炎、皮膚炎、爪鉤形症、角結膜炎、感情鈍麻および悪液質。それらの大部分は、単純に身体外部診察により検出できる。結膜炎、皮膚炎、爪鉤形症、角結膜炎のそれぞれは、皮膚性変化の形態である。
【0018】
好ましくは、リーシュマニア症に関連する最初の症状は、リンパ節腫脹である。それは、触診などの身体外部診察により検出できる。
【0019】
もう1つの好ましい実施形態において、診断は、寄生虫性疾患の幾つかの症状が出現する以前に行われ、所謂、症状の乏しい対象の診断である。この文脈において、「症状の乏しい」は、好ましくは、上述において明確にされたような症状の最大限3つを有する対象を意味する。
【0020】
もう1つの好ましい実施形態において、診断は、寄生虫性疾患の前症状の発現の以前に行われ、所謂、症候性対象の診断である。この文脈において、「症候性」は、上述において明確にされたような症状を少なくとも3つ有する対象を意味し、上述で明確にされた皮膚性の変化の形態を含む。
【0021】
それが疾患の拡大を防止することを助け、そのような段階で診断されれば、無症候性対象が、より効果的に助かり、治療されることから、当業者は、最も重要な種類の診断が無症候性対象の診断であることを理解するであろう。
【0022】
[方法]
第2の態様において、対象においてRPEを使用して寄生虫性疾患を診断するための方法を提供し、当該方法は、対象から得られた試料においてRPEを認識する抗体が存在するか否かを決定することを含む。本発明の好ましい方法は、本発明の好ましい使用に関する場合と同様に、好ましくはインビトロまたはエキソビボにおいて行われる。定義は、より早期にここにおいて示されている。
【0023】
好ましい方法において、RPEは組成物中に存在する。RPEは、より早期にここにおいて定義されている。好ましい実施形態において、もう1つの化合物が前記組成物中に存在する。
【0024】
或いは、他の化合物は前記組成物中に存在しない。
【0025】
好ましい実施形態において、他の化合物は、本方法の特異性を改善するためにRPEと連続して、または同時に使用される。例えば、無症候性、症状の乏しい、または症候性対象とワクチン接種された対象とを識別することが可能である他の化合物を使用することは有利である。更に好ましくは、そのような化合物は、RPEと共に単一の組成物中に存在しなくともよい。例えば、寄生虫性疾患、例えば、リーシュマニア症を引き起こす寄生生物の他の非関連性抗原(31)が使用されてもよい。もう1つの例は、幾つかの寄生生物抗原を含むポリタンパク質の使用である(6、36)。好ましい抗原は、ヒストンタンパク質またはその断片またはヒストンをコードする核酸分子を含む。より好ましくは、ヒストンタンパク質は、EP1687023において分類されているようなH2A、H2B、H3および/またはH4である。ヒストンH2A、H2B、H3およびH4は、良好に保存された核タンパク質であり、それらの配列は当該技術分野において周知であり、例えば、リクエナらの文献(Requena et al., Trends in Parasitol. (2000) 16:246)を参照されたい。好ましくは、ヒストンは、系統樹において疾患を引き起こす有機体に密接な有機体から得られる。従って、寄生虫性疾患、例えば、リーシュマニア症の治療において使用されるべきヒストンの起源として特別に興味深いものは、原生動物であり、特に、トリパノソーマ科のもの、例えば、プラスモディウム、より詳しくは他の種のトリパノソーマ属の原生生物リーシュマニアである。
【0026】
より好ましい診断方法において、RPEを認識する抗体の検出可能な量が存在するときに、および/または増大した量で前記抗体が存在するときに、寄生虫性疾患が診断される。コントロールまたは健康な対象において、前記抗体は通常は検出されない。
【0027】
抗体の存在の検出は、当業者に公知の方法、例えば、ELISAなどを使用して行われる。好ましい検出の方法は、アッセイの表題の項において記載される。
【0028】
RPEを認識する抗体は、好ましくは、RPE中に存在する少なくとも1の化合物を認識できる1つの少なくとも1つの抗体が存在することを意味する。前記化合物は、リボソームタンパク質またはリボソームタンパク質断片またはリボソームタンパク質のリボソーム抗原であってよい。
【0029】
[アッセイ]
第3の態様において、対象における寄生虫性疾患を診断するためのアッセイデバイスまたはアッセイが提供され、デバイスまたはアッセイは、RPEを含む。RPEを明確に認識する抗体の存在は、当業者に公知の何れかの標準方法により検出されてよい(例えば、Harlow and Lane, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988を参照されたい。この文献は、引用によりここに組み込まれる)。適切な方法は、アフィニティクロマトグラフィコエレクトロフォレシス(ACE)アッセイおよび(酵素結合性免疫吸着アッセイ)ELISAを含む。好ましくはアッセイはELISAを含む。幾つかのアッセイが、より広範に以下で記載される。
【0030】
好ましい実施形態において、アッセイは、試料からの抗体に対して結合および除去するための固体支持体に固定化されたRPEの使用を含む。次に結合された抗体は、抗体/RPE複合体に対して結合する検出可能なレポーター基を含む検出試薬を使用して検出されてよい。適切な検出試薬は、抗体/RPE複合体に対して結合する抗体およびレポーター基で標識された遊離ポリペプチド(例えば、半競合的アッセイにおいて)を含む。或いは、競合的アッセイが使用されてもよく、そこにおいて、RPEに対して結合する抗体は、レポーター基で標識され、RPEの試料とのインキュベーションの後に固定化されたRPEに対する結合を可能にする。試料の成分が標識された抗体のRPEに対する結合を阻害する範囲は、固定化されたRPEとの試料の反応性を示す。
【0031】
固体支持体は、それに対してRPEが付着される、当業者に公知の何れかの材料であってよい。例えば、支持体は、マイクロタイタープレート中の試験ウェルまたはニトロセルロースまたは他の適切なメンブランであってよい。或いは、支持体は、ビーズまたはディスク、例えば、ガラス、グラスファイバー、ラテックスまたはプラスティック材料、例えば、ポリスチレン若しくはポリ塩化ビニルなどであってよい。支持体はまた、磁性粒子または光ファイバーセンサ、例えば、US特許5359681に開示されているものなどであってもよい。
【0032】
RPEは、当業者に公知の多様な技術を使用して固体支持体に対して結合されてよい。本発明の状況において、用語「結合」は非共有的な関連付け、例えば、吸着および共有結合性の付着(これは支持体上の抗原および官能基との間の直接的な連結、または架橋剤による連結であってもよい)の両方をいう。マイクロタイタープレート内のウェルまたはメンブランに対する吸着による結合は好ましい。そのような場合において、吸着は、適切な緩衝液中のRPEが適切な長さの時間に亘り固体支持体と接触することにより達成されてよい。接触時間は、温度により異なるが、典型的には、1時間から1日の間である。一般的に、プラスチックマイクロタイタープレート(例えば、ポリスチレンまたはポリ塩化ビニルなど)のウェルと10ng〜1gの範囲の量、好ましくは10ngのRPEとの接触は、RPEの適切な量の結合に十分である。
【0033】
RPEの固体支持体への共有結合性の付着は、一般的に、第1に支持体とポリペプチド上の水酸基またはアミノ基などの官能基との両方に反応する二官能基試薬と支持体を反応させることにより達成されてよい。例えば、RPEは、ベンゾキノンを使用して、または支持体上のアルデヒド基とポリペプチド上のアミンおよび活性水素との縮合により、適切なポリマーコーディングを有する支持体に対して結合されてよい(例えば、Pierce Immunotechnology Catalog and Handbook (1991) at A12-A13を参照されたい)。
【0034】
ある実施形態において、アッセイは、酵素結合性免疫アッセイ(ELISA)である。このアッセイは、第1に、固体支持体、一般的にはマイクロタイタープレートのウェルに固定化されているRPEと、試料、例えば、試料中のRPEに対して特異的な抗体とを接触させることにより行われ、固定化されたRPEに対して結合されてよい。未結合の試料を次に固定化RPEから除去し、抗体−RPE複合体に対して結合できる検出試薬を添加する。固体支持体に対して結合されたままの検出試薬の量を次に、特異的な検出試薬に適切な方法を用いて測定する。
【0035】
RPEが支持体に固定化された時点で、支持体上の残りのタンパク質結合部位は典型的にブロックされる。当業者に公知の何れかの適切なブロック試薬、例えば、ウシ血清アルブミン(BSA)またはツウィーン20(Tween 20、Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)が使用されてもよい。固定化されたRPEは、次に試料とインキュベートされ、(試料中に抗体が存在している場合に)工程はRPEとの結合が可能になる。試料は、適切な希釈剤、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などにより、インキュベートに先駆けて希釈されてもよい。一般的に、適切な接触時間(即ち、インキュベート時間)は、試料中の抗体の存在を検出することを可能にするために十分な長さの時間である。好ましくは、接触時間は、結合抗体と未結合抗体との平衡が達成される少なくとも95%の結合レベルが達成されるために十分な時間である。当業者は、ある時間に亘り生じる結合レベルをアッセイすることにより、平衡が達成されるために必要な時間を容易に決定され得ることを認めるであろう。室温で、約30分のインキュベート時間で一般的には十分である。
【0036】
未結合の試料は次に、固体支持体を適切な緩衝液、例えば、0.1%のツウィーン20tomを含むPBSなどで洗浄することにより除去されてよい。次に、検出試薬が固体支持体に添加されてよい。適切な検出試薬は、固定化された抗体−RPE複合体に対して結合し、当業者に公知の種々の手段の何れかにより検出できる何れかの化合物である。好ましくは、検出試薬は、レポーター基に対して結合された結合試薬(例えば、タンパク質A、タンパク質G,イムノグロブリン、レクチンまたは遊離抗原など)を含む。好ましいレポーター基は、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)、基質、補助因子、阻害物質、色素、放射線核種、発光基、蛍光基およびビオチンを含む。レポーター基との結合試薬の結合は、当業者に公知の標準方法を使用して達成されればよい。一般的な結合試薬はまた、多くの供給源(例えば、Zymed Laboratories, San Francisco, CA and Pierce, Rockford, IL)からの多様なレポーター基に対して結合されたものが購入されてもよい。
【0037】
次に、検出試薬は、結合された抗体を検出するために十分な長さの時間に亘り、固定化された抗体RPE複合体とインキュベートされる。適切な時間の長さは、一般に、製造業者の取扱説明書から決定されてもよく、またはある時間に亘り生じる結合のレベルをアッセイすることにより決定されてもよい。未結合の検出試薬は次に除去され、結合した検出試薬がレポーター基を使用して検出される。
【0038】
レポーター基を検出するために使用される方法は、レポーター基の性質に依存する。放射能活性基については、シンチレーション計数またはオートラジオグラフィ法が一般に適切である。分光法が使用され、色素、発光基および蛍光基が検出されてもよい。ビオチンは、異なるレポーター基(一般に、放射能活性または蛍光基または酵素)と連結されたアビジンを使用して検出されてよい。酵素レポーター基は、一般的に、基質を(一般に、特異的な時間に亘り)添加されることと、それに続く、その反応産物の分光学的または他の分析とにより検出されてよい。
【0039】
試料中のリーシュマニア症などの寄生虫性疾患のために特異的な抗体の存在または不在を検出するために、固体支持体に対して結合したままのレポーター基から検出される信号は一般に既定の境界値に対応する信号と比較される。1つの好ましい実施形態において、境界値は、好ましくは、固定されたRPEが未感染対照からの試料とインキュベートされたときに得られる平均信号である。一般的に、既定の境界値を上回る3標準偏差である試料が生じる信号は、陽性と看做される(即ち、RPEと反応する)。代替の好ましい実施形態において、境界値は、サケットらの方法に従うレシーバーオペレーターカーブを使用して決定される(Sackett et al., Clinical Epidemiology: A Basic Science for Clinical Medicine, p. 106-7 (Little Brown and Co., 1985))。即ち、この実施形態において、境界値は、診断試験結果のための各予想境界値に対応する真陽性率(即ち、感受性)と偽陽性率(100%−特異性)との組み合わせのプロットから決定されてよい。
【0040】
左上隅に最も近いプロット上の境界値(即ち、最も大きな範囲を含む値)が、最も正確な境界値であり、この方法により決定された境界値よりも高い試料から生じる信号が、陽性であると看做されてよい。或いは、境界値は、偽陽性率を最小化するために、プロットに沿って左側にシフトされてもよく、偽陰性率を最小化するために右側にシフトされてもよい。
【0041】
関連する実施形態において、アッセイが流水式またはストリップテストフォーマットで行われ、ここにおいて、RPEはニトロセルロースなどのメンブランに固定化される。流水式試験において、試料がメンブランを通過したときに、試料中の抗体が固定化されたRPEに対して結合する。次に、検出試薬を含む溶液がメンブランを通って流れたときに、検出試薬(例えば、タンパク質Aコロイド金など)が抗体RPE複合体に結合する。次に、結合した検出試薬の検出は、上述の通り行ってよい。ストリップテストフォーマットにおいて、RPEが結合されているメンブランの一端が試料を含む溶液中に浸漬される。試料は、検出試薬を含む領域を通って、固定化されたポリペプチドの領域にまでメンブランに沿って移動する。RPEでの検出試薬の濃度は、試料中のリーシュマニア症などの寄生虫性疾患を引き起こす寄生生物の抗原に特異的な抗体の存在を示す。典型的に、ラインなどのパターンを生じる部位での検出試薬の濃度は、視覚的に読み取ることが可能である。そのようなパターンの不在は陰性の結果を示す。一般に、メンブランに固定化されたRPEの量が選択され、試料が上述したようなELISAにおける陽性信号を生じるために十分であろうレベルの抗体を含むときに、視覚的に認識できるパターンを生じる。好ましくは、メンブランに固定化されたRPEの量は、25ng〜500ngの範囲に及ぶ。そのような試験は、典型的に極めて少量(例えば、1滴)の対象血清または血液で行われる。
【0042】
何れの対象または医師が、このデバイスをオフィス/自宅で使用でき、必要の度にそのようなデバイスまたはアッセイの使用が繰り返されてもよい。
【0043】
通常、更なる分子が陽性または陰性コントロールとしてアッセイにおいて使用される。典型的な陽性コントロールは、試験されるべき試料において存在することが知られた抗体認識分子であってよい。典型的には、陰性コントロールは、試験されるべき試料において存在しないことが知られた抗体認識分子であってよい。
【0044】
この書類および特許請求の範囲において、動詞「含む(to comprise)」およびその活用は、非限定的な意味において、その語に続く事項を含むことを意味するが、しかしながら、明確に言及されていない事項が排除されるものではない。加えて、動詞「からなる」は、「本質的にからなる」により置換可能であり、ここで定義される通りの製品、アッセイデバイス、それぞれの方法または使用が、明確に記載されているものを除いて更なる単数または複数の構成要素、それぞれの更なる単数または複数の工程を含んでもよいことを意味するものであり、前記更なる構成要素、それぞれの工程が、本発明の独自の構成を変えるものではない。
【0045】
更に、不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」による構成要素についての言及は、その文脈が1つのおよびただ1つの構成要素の存在を明らかに必要とする場合を除いて、1よりも多くの構成要素が存在する可能性を排除するものではない。従って、漠然とした事項「1つ(a)」または「1つ(an)」は、通常、「少なくとも1つ」を意味する。
【0046】
本明細書において引用される全ての特許および文献は、参照することによりその全体がここに組み込まれる。
【0047】
本発明は更に、以下の例により説明され、それらが本発明の範囲を制限するものであるとは解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1a】(A)L.インファンツムリボソームタンパク質を、リニア10−14%グラジエントSDS−PAGEゲル上で電気泳動し、ニトロセルロースメンブランに移し、健康なイヌの血清(レーン1〜3)および症候性CVLを有するL.インファンツムに自然感染したイヌからの血清(レーン4〜13)とインキュベートした。個々の血清は、1:200希釈で使用された。(B)L.インファンツムリボソームタンパク質の2D−PAGE。左側のパネルは、代表的な銀染色ゲルを示す。同様のゲルをニトロセルロースメンブラン上に移し、(A)において使用されたCVL血清(1:200)のプールとインキュベートした。西洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗イヌIgG抗体を二次試薬として使用した。
【図1b】(A)L.インファンツムリボソームタンパク質を、リニア10−14%グラジエントSDS−PAGEゲル上で電気泳動し、ニトロセルロースメンブランに移し、健康なイヌの血清(レーン1〜3)および症候性CVLを有するL.インファンツムに自然感染したイヌからの血清(レーン4〜13)とインキュベートした。個々の血清は、1:200希釈で使用された。(B)L.インファンツムリボソームタンパク質の2D−PAGE。左側のパネルは、代表的な銀染色ゲルを示す。同様のゲルをニトロセルロースメンブラン上に移し、(A)において使用されたCVL血清(1:200)のプールとインキュベートした。西洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗イヌIgG抗体を二次試薬として使用した。
【図2a】LRPおよびSLAの診断感受性の比較評価。(A)症候性CVLを有するイヌからの血清およびコントロール血清とLRPおよびSLAとのELISA反応性。(B)症状の乏しいCVLおよび無症候性CVLのイヌからの血清とLRPおよびSLAとのELISA反応性。CVL血清の平均値が示される。破線は、健康なコントロールからの血清で得られた平均光学濃度+その値の3標準偏差として規定された境界値を示す。
【図2b】LRPおよびSLAの診断感受性の比較評価。(A)症候性CVLを有するイヌからの血清およびコントロール血清とLRPおよびSLAとのELISA反応性。(B)症状の乏しいCVLおよび無症候性CVLのイヌからの血清とLRPおよびSLAとのELISA反応性。CVL血清の平均値が示される。破線は、健康なコントロールからの血清で得られた平均光学濃度+その値の3標準偏差として規定された境界値を示す。
【図3a】LRPおよびSLAの診断特異性の比較評価。(A)T.ゴンジイまたはT.クルジに感染したイヌからの血清とLRPおよびSLAとのELISA反応性。(B)レイシュムーン(Leishmune(登録商標))またはレイシュテック(Leishtec(登録商標))でワクチン接種したイヌからの血清とLRPおよびSLAとのELISA反応性。CVL血清の平均値が示される。破線は、健康なコントロールからの血清で得られた値の平均光学濃度+その値の3標準偏差として規定された境界値を示す。
【図3b】LRPおよびSLAの診断特異性の比較評価。(A)T.ゴンジイまたはT.クルジに感染したイヌからの血清とLRPおよびSLAとのELISA反応性。(B)レイシュムーン(Leishmune(登録商標))またはレイシュテック(Leishtec(登録商標))でワクチン接種したイヌからの血清とLRPおよびSLAとのELISA反応性。CVL血清の平均値が示される。破線は、健康なコントロールからの血清で得られた値の平均光学濃度+その値の3標準偏差として規定された境界値を示す。
【0049】
[例]
材料および方法
寄生生物. リーシュマニア・チャガシ(MOM/BR/1970/BH46)およびL.・インファンツム(MCAN/ES/1996/BCN/150、MON−1)を20%加熱非働化胎仔ウシ血清(Sigma, St. Louis, MO, USA)、20mMのL−グルタミン、200U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシンおよび50μg/mLのゲンタマイシンで補足されたpH7.4のシュナイダー培地(Sigma, St. Louis, MO, USA)中、24℃で培養した。
【0050】
抗原調製. SLAは、以前に(12)に記載されたように、液体培養中での数代の継代の後にL.チャガシおよびL.インファンツムの定常期プロマスティゴートから調製された。すなわち、5mLの体積中にて、1mLあたり2×10プロマスティゴートを冷滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回水洗した。冷凍および解凍の6サイクルと、それに続く超音波処理(超音波プロセッサ、GEX600)の38MHz、30秒の5サイクルの後に、懸濁液を4℃、30分間に亘って8000gで遠心分離し、SLAを含む上清を収集した。タンパク質濃度をブラッドフォード法(7)により測定し、500μLの一定分量を−70℃で貯蔵した。
【0051】
LRPは、以前に記載(22)のように、L.インファンツムの対数期プロマスティゴートから調製された。すなわち、1×10プロマスティゴートを収穫し、予冷蔵PBSで2回水洗し、1mLのNP40溶解緩衝液(10mMトリスHCl、pH8.0、150mMのNaCl、1.5mMのMgClおよび0.5%のNP40)中に再懸濁し、10回ピペッティングした。溶解後、試料を4℃、2分間、3000×gで微量遠心し、核をペレットにした。上清を4℃、15分間、13000×gで、2回、微量遠心した。精製された細胞質上清をベックマンTL100.3ローターにて4℃、30分間に亘って90,000rpmで高速遠心に供した。粗リボソームペレットを緩衝液A(20mMのトリス−HCl、pH7.4、500mMのAcNH、100mMのMgCl、5mMのβ−メルカプトエタノール)中に再懸濁し、緩衝液A中の非連続的なスクロースのグラジエント(20/40%)を通してTL100.3ローター中で4℃、90,000rpmで遠心した。
【0052】
血清試料. 血清試料をスペインおよびブラジルで採集した。スペインからのCVL血清をエストレマドラ地方の28例の臨床的症候性のイヌから採集した。L.インファンシム感染動物をスペイン、カセレス、エストレマドラ大学、獣医学部の寄生虫学研究室で臨床学的および分析学的に評価した。動物は、次の症候の3つまたは3つよりも多くを発症したときに症候性と看做した:体重減少、脱毛症、アデノパシー、爪鉤形症、肝腫、結膜炎、並びに鼻、尾部および耳先端における剥脱性皮膚炎。全ての血清は、間接免疫蛍光法によって試験され、寄生生物の無鞭毛型形態陽性の存在が膝窩および肩前リンパ節で直接観測による確認されたとき陽性であった。コントロール血清は、8例の健康動物(エストレマドラ大学、寄生虫学研究室)から得た。
【0053】
ブラジル、ミナスゲライス、ベロホリゾンテ地方からの58例のL.チャガシに感染したイヌ(44例の臨床的症候性、7例の症状の乏しいおよび7例の無症候性)からの血清試料を用いた。前述したように、動物はそれらが3つまたは3つよりも多くの臨床的徴候が出現した場合に症候性、1つのみまたは2つの徴候が現れた場合に症状の乏しい、臨床的徴候がないイヌの場合に無症候性と看做した。上記の通り、VLの診断は、無鞭毛型が骨髄吸引物のギムザ染色スメアにおいて見られたとき、またはプロマスティゴートが末梢血または骨髄吸引物の培養物において同定されたときに確定された。ブラジルのイヌからの血清は、エビルド・ナスキメントおよびメリア・ノルマ・メロ(Evaldo Nascimento and Maria Norma Melo (Department of Parasitology, Universidade Federal de Minas Gerais, Belo Horizonte, Minas Gerais, Brazil))から提供された。VLからの流行地に住む臨床的症候を示さず、イヌリーシュマニア症の疑いがなく、寄生虫学的および血清学的試験後に陰性である47例のイヌからの血清でコントロール群を構成した。他の寄生生物感染を有するイヌからの14例の血清試料を使用して、交差反応を以下の通りに分析した:トキソプラズマ・ゴンジイ(n=5)およびトリパノソーマ・クルジ(n=9)。健康でレイシュムーン(登録商標)(n=18)またはレイシュテック(登録商標)(n=23)ワクチンでワクチン接種されたイヌからの血清試料を実験において使用した。
【0054】
ELISA. マイクロタイターイムノアッセイプレート(ファルコン)を100μLのコーティング緩衝液pH9.6中のL.インファンツムまたはL.チャガシのSLAまたはL.インファンツムのLRP(各1ウェル当たり0.5μg)により4℃で18時間に亘りコーティングした。力価曲線を作り、使用されるべき最良のタンパク質濃度および抗体希釈を決定した。自由結合部位をPBS−ツウィーン20の0.05%(PBST)および3%のカゼイン溶液で2時間、37℃でブロックした。3回のPBSTでの洗浄の後、プレートを100μLのカゼイン血清で1時間37℃でインキュベートした。血清試料をPBSTおよび0.3%カゼイン中に1:200に希釈した。プレートを7回洗浄し、西洋ワサビペルオキシダーゼを結合された抗イヌIgG抗体(シグマ、St. Louis, USA)と1:10,000でインキュベートした。反応は、Hおよびオルト−フェニレンジアミンおよびリン酸クエン酸緩衝液pH5.0との暗所での30分間のインキュベーションにより展開し、20μLのH2Nの添加により停止した。光学濃度をILISAマイクロプレート分光光度計(Molecular Devices, Spectra Max Plus. Concord, ON, Canada)内で492nmにて読み取った。
【0055】
ウェスタンブロット.SDS−PAGEのために、L.インファンツムLRP(15μg)をレムリ緩衝液(Laemmli’s buffer)中に再懸濁し、プレパレーティブコームを有する10〜14%のグラジエントSDS−PAGEゲルにBioRadタンパク質電気泳動ミニゲルシステム(Hercules, CA, USA)を用いて溶解した。2D−PAGEのために、L.インファンツムのLRPを200μLの溶解緩衝液(0.5%のNonidet P40、1mMのEDTA、pH8.0、0.1mMのPMSF、10mMのトリスHCl、pH7.4、および1mMのDTT)中に溶解し、等体積のフェノールで抽出した。有機相中に存在するタンパク質を5体積の酢酸アンモニウム緩衝液(メタノール中に溶解された0.1Mの酢酸アンモニア)で沈殿し、80%のアセトンで3回洗浄した。乾燥ペレットを補水緩衝液(7Mの尿素、2Mのチオ尿素、0.5%のIPG緩衝液(3−10)、4%のCHAPS、40mMのトリスHCl、pH8.8および0.002%のブロモフェノールブルー)中に再懸濁し、遠心して不溶性物質を除去した。タンパク質をImmobiline(登録商標)ドライストリップ、pH3−10、11cm(GE Healthcare, Uppsala, Sweden)上に吸着させた。補水および等電点電気泳動法(IEF)をIPGphorシステム(GE Healthcare)を使用して製造者の取扱説明書に従って行った。IEFの後、IPGストリップを20mg/mLのDTTを加えた平衡緩衝液(6Mの尿素、2%のSDS、0.375MのトリスHCl、pH8.8、20%のグリセロール、0.002%のブロモフェノールブルー)中で15分間に亘り平衡化し、次に、15mg/mLのヨードアセタミドを追加した平衡緩衝液で更に15分間に亘り平衡化した。平衡化されたIPGストリップを12%のSDS−PAGEミニゲル(BioRad)上に配置した。2D−PAGEゲルを銀染色キット(GEヘルスケア)を使用して硝酸銀で染色した。
【0056】
両方の場合において、電気泳動の後に、ゲルをニトロセルロースメンブラン(GE Healthcare)に移した。ブロットをL.インファンツムで感染したイヌからの血清(1:200)と個々に探査する(SDS−PAGE)か、プールとして(2D−PAGE)探査した。二次抗体としてノルディック・イムノロジカル・ラボラトリーズ(Nordic Immunological Laboratories (Tilburg, The Netherlands))から購入した西洋ワサビペルオキシダーゼ結合抗イヌIgGを使用した。
【0057】
統計学的解析. 全てのデータ比較は、対応のないスチューデントt検定を使用することにより有意性について検定し、P値<0.05を統計学的に有意と看做した。
【0058】
結果
イヌ感染中のL.インファンツムLRPの抗原性. イヌ感染中のLRPの抗原性を分析するために、L.インファンツムに自然感染した10例のイヌからの血清を、この寄生生物からのLRP抽出物を含むニトロセルロースメンブランとインキュベートした。全ての感染動物の血清が、この寄生生物精製タンパク質断片を認識した(図1A、レーン4〜13)。健康なイヌからの血清は、陰性であるか、粗リボソーム調製物中の幾つかのポリペプチドを微かに染色した(図1A、レーン1〜3)。大部分のCVL血清は、多数のタンパク質バンドを認識したが、認識パターンの複雑度および強度は、個々のイヌ血清間で異なっていた。観察された変動性にも拘らず、2つの免疫優性領域がウェスタンブロットにおいて観察された:それぞれ45〜36kDaおよび25〜22kDaポリペプチド。
【0059】
より詳細に認識されたタンパク質のパターンを分析するために、LRP抽出物を高解像度2D−PAGEにより分離した。図1Bに示す通り、右側のパネル、調製用のタンパク質負荷(20μg)で調製されたゲルは、最も基本的なタンパク質について最小限の縞のみを有する良好な解像度を示した。2D−PAGEゲルが上記で使用された同じ血清のプールでインキュベートされたときに、20の抗原性スポットの存在が検出された。
【0060】
CVLの血清学的診断のためのLRPおよびSLAの比較. LRP抽出物がCVLの血清学的診断のために有益な手段であると考えることができるか否かを決定するために、我々は、127例のイヌ血清試料のLRPおよびSLAに対する反応性を分析した。第1の血清群はL.インファンツム(n=28)またはL.チャガシ(n=44)に感染した症候性イヌから得た72例の血清試料から構成された。第2の群は、健康な55例のイヌからの血清により構成された。図2Aは、症候性CVLおよびコントロール血清からの吸光度を示す。両方のタンパク質調製物について、CVLおよびコントロール血清の間での差は、統計学的に有意であった(P<0.001)。LRPおよびSLAからの吸光度のスペクトルは異なり、それらに対するCVLの反応性はSLA(平均=1.79±0.64)で得られた方がLRP(平均=0.90±0.63)から得られたよりも高かった。標準偏差により示される通り、個々の血清試料からの吸光度値における高い変動性が両者の抗原性調製物について観察されたが、SDはSLAが抗原として使用されたときにより大きかった。健康な血清の反応性もまた、SLA(平均=0.38±0.13)に対する方が、LRP(平均=0.0954±0,047)に対するよりも高かった。材料および方法において記載されたELISA条件において、両方の抗原についての境界値(健康な血清からの平均反応性値+3SDとして規定される)は、LRPについては0.237であり、SLAについては0.774であった。これらの境界値は、我々が陽性および陰性血清を同定すること、およびその結果としてELISEの性能パラメータを評価することを可能にする(表1)。ELISAアッセイにおいてLRPがSLAと同様な性能(高い感受性および特異性値)を示したことから、リーシュマニアリボソームタンパクが症候性CVLの診断のために適切な抗原であることが結論付けられる。
【0061】
次に、症状の乏しい(n=7)および無症候性(n=7)のイヌからの血清を試験した(図2B)。両群と健康なコントロールとの血清からのLRPおよびSLAに対する反応性は、統計学的に有意であることが分かった(P<0.001)。限られた数の血清が使用されたにも拘らず、得られたデータは、一方で、症状の乏しいイヌからの血清はLRPおよびSLA調製物を認識し(100%感受性)、30%の無症候性イヌ(3/7)からの血清は境界値よりも高いSLAに対する吸光度値を示すという結果が得られた(図2B)。他方で、試験された全ての無症候性のイヌからの血清は、境界値よりも高いLRPに対する吸光度値を示した。従って、我々の結果は、LRPの使用がCVLの血清学的診断のための良好な手段と看做せることを示す。
【0062】
LRPとSLAとの交差反応性. LRPが進化的に保存されたタンパク質で構成されることから、我々は、他の単細胞原生動物:トキソプラズマ・ゴンジイ(n=5)およびトリパノソーマ・クルジ(n=9)に感染したイヌからの血清からのLRP抽出物の潜在的な交差反応について分析した。図3において、LRPに対する各群についての個々の血清の反応性値を示す。T.ゴンジイ(平均値=0.1012±0,056)またはT.クルジ(平均値=0.101±0.06)に感染したイヌからの血清は、健康な血清による境界値を越える反応性を示さなかった(上記参照)。コントロールとして、同じ血清の反応性をSLAに対してアッセイした。これらの血清のSLAに対する平均反応性(T.ゴンジイ感染イヌについては0.629±0.21、およびT.クルジ感染イヌについては0.99±0.29)は、LRPに対して観察された値よりも高いものであった。これらの幾つかの反応性は、境界値よりも高いものであった(T.ゴンジイ感染イヌについては1/5、およびT.クルジ感染イヌについては7/9)。
【0063】
ブラジルにおいて認可された2つのリーシュマニア予防ワクチン:レイシュムーン(Leishmune(登録商標))(29)およびレイシュテック(Leishtec(登録商標))(15)でワクチン接種されたイヌからの血清のLRPおよびSLA抽出物に対する反応性についてもアッセイされた。我々は、LRP抽出物がELISAアッセイについて使用されたときに、レイシュムーン(登録商標)でワクチン接種された健康なイヌからの血清の22.2%(4/18)が境界値を越える光学濃度を示したことを見出した(図3B)。同じ血清をELISAアッセイに基づくSLAについて分析したときには、16.6%(3/18)の血清がまた境界値を越えた(図3B)。レイシュテック(登録商標)ワクチンでワクチン接種されたイヌから得られた23例の血清は、SLAに対する反応性を示さなかった。これらの血清の1例のみが、LRPに対する反応性を示し、図2Aにおいて分析された陰性健康コントロール血清により規定された境界値に近いO.D.値を有した。
【0064】
考察
多くの細胞内細胞質性または核性のリーシュマニアタンパク質様ヒストン、ヒストンプロテイナーゼまたはキネシンが、ヒトまたはイヌ内臓リーシュマニア症(VL)における抗原性であると同定されている(2、13、14、30、32、35)。本研究において、我々は、寄生生物リボソームタンパク質もまたCVL疾患中の抗原性であることを示す。幾つかの個々の変動性が個々のイヌ間で観察されたが、症候性イヌからの全ての血清は、寄生生物リボソーム抗生物質の幾つかに対して反応性を示した。寄生生物のリボソームタンパク質の抗原性がまた、2つの異なる皮膚リーシュマニア症のマウスモデルにおいて示されたことから(22)、我々の結果は、寄生生物リボソームが、リーシュマニア自然感染および実験感染中の脊椎動物ホストの免疫系と相互作用することを示す。
【0065】
内臓に作用するリーシュマニア種での感染に伴う強い体液性反応のために、血清学的技術に基づく試験は、イヌおよびヒト内臓リーシュマニア症(VL)の診断のために最も頻出する方法である。CVLに罹患するイヌからの血清の寄生生物リボソームタンパク質抽出物に対して観察される高い反応性を考慮して、我々はLRP抽出物の診断特性を分析した。この技術がVL疾患の診断のための多数の試料をスクリーニングするために正確且つ感知可能な技術であると考えたために(16、33)、寄生生物リボソームタンパク質がELISAアッセイにおける抗原源として使用された。粗SLAに基づくELISAアッセイの使用が通常VLの診断のために高い感受性を有することが示されていることから(5、25、33)、LRP抽出物とプロマスティゴート溶解物から得られた総寄生生物タンパク質との比較分析がなされた。LRP抽出物の感受性および特異性値は、症候性および症状の乏しいものからの血清が分析されたときのSLAにより示される値と同様であった。感受性における僅かな増大が、LRPによって、SLAと比較したときに得られ(それぞれ100%および96%)、健康なイヌから得られたただ1例の血清のみが、コントロール血清の反応性として規定される境界値を超えるLRPに対する吸光度値を示した。従って、LRPに基づくELISA試験の診断性能は、症候性または症状の乏しいCVLの診断においてSLA調製物で得られるものと同様であったことが結論付けられる。しかしながら、無症候性イヌにおける当該疾患の検出は、イヌ間での、また更にイヌおよびヒトの間での当該疾患の拡大を制御するための疫学的研究において重大であるかもしれない(3、20)。SLAに基づくELISAが非常に大きな割合でCVLの無症候性症例を検出できないことから(27、31)、我々は、無症候性CVLの診断におけるLRP抽出物の感受性を分析した。LRP抗原混合物が全ての無症候性症例を検出した(100%)のに対して、SLA調製物を使用したアッセイは、当該症例の約30%のみを検出しただけであった。LRPに対する反応性は、より多くの症状の乏しいおよび無症候性の試料を使用する更なる確認を必要とするが、我々のデータは、CVL疾患の全ての種類の診断において、SLAよりも感受性の高い抗原として、LRPが使用できることを示す。
【0066】
SLAを使用するELISA試験の特異性は抗原調製物に大きく依存し、シャーガス病、マラリア、ハンセン氏病またはトキソプラズマ症などの共通の風土性疾患を有する患者またはイヌから得られた血清で、幾つかの偽陽性結果が得られた(16、23、31)。その理由のため、幾つかの寄生生物組み換えタンパク質が、より特異的な診断試験の開発のためのELISAアッセイにおける抗原として個々に使用されている(24)。内臓性のヒト(25)またはイヌのリーシュマニア症疾患(31)の診断においてSLAの代わりに個々の組み換え抗原が使用されたとき、比較ELISAアッセイは一般的に高い特異性を示したが、感受性が低かった。低い感受性値は、各々の患者または感染イヌにおける寄生生物タンパク質に対して誘導される異種体液性応答において観察される変動性と関連するかもしれない。非関連抗原(31)または幾つかの寄生生物抗原を含むポリタンパク質の産生物(6、36)の組合せは、ELISA試験の性能を更に改善できた。或いは、異なる寄生生物抗原を含む精製寄生生物断片が使用できる。我々の結果は、LRP抽出物がT.クルジまたはT.ゴンジイに感染したイヌからの血清によっては認識されないのに対して、これらの血清の幾つかはSLAに対する高い反応性を示したことを実証する。
【0067】
試験の診断特異性は、血清がワクチン接種イヌから得られた場合にも維持されるべきである。認可された商業的なワクチンの存在のために(15、29)、ワクチン接種された動物から、感染したイヌを識別することが望ましいであろう。我々の結果は、レイシュムーン(登録商標)をワクチン接種された動物の幾つかがLRPに対してある程度の反応性を示したのに対して、レイシュテック(登録商法)をワクチン接種された動物では反応性が示されなかったことを示す。ここに提示された結果を総合すれば、LRP抽出物が、CVLおよび主として流行地における疫学的研究のための無症候性動物のELISA診断において使用するための興味深い代替物と看做されることが証明される。
【表1】

【参考文献】
【0068】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における寄生虫性疾患を診断するためのリボソームタンパク質抽出物(RPE)の使用。
【請求項2】
請求項1に記載の使用であって、当該RPEが、少なくとも2つのリボソームタンパク質、および/またはリボソームタンパク質の少なくとも2つの抗原、および/またはリボソームタンパク質の少なくとも2つのタンパク質断片を含む使用。
【請求項3】
請求項2に記載の使用であって、当該タンパク質断片が、リボソームタンパク質に対応する少なくとも2、3、5、7、10、15、20、25、30またはそれ以上の連続したアミノ酸を含む断片である使用。
【請求項4】
請求項1または3の何れか1項に記載の使用であって、当該RPEが、配列番号1で示されるEP824699に開示されるリーシュマニア・チャガシからの酸性リボソーム抗原LcPoを起源とするエピトープを含まない、または当該エピトープからなるものではなく、より好ましくは、当該RPEがLcPoのC末端に位置する17アミノ酸、即ち、配列番号1で示されるLcPoのアミノ酸306−322を含まない、または当該アミノ酸からなるものではない使用。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の使用であって、当該リボソームタンパク質抽出物が、対象において存在する寄生虫性疾患を引き起こす寄生細胞を使用して以下の工程を行うことにより得られる使用:
a.寄生細胞と溶解緩衝液とを混合すること、
b.得られた混合物を遠心分離して細胞質抽出物を得ること、
c.当該得られた細胞質抽出物からリボソームタンパク質抽出物を調製すること。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載の使用であって、当該リボソームタンパク質抽出物がリーシュマニア種、好ましくはリーシュマニア・メジャーから得られる使用。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の使用であって、当該寄生虫性疾患がリーシュマニア症またはマラリアである使用。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の使用であって、当該寄生虫性疾患がリーシュマニアまたはプラスモディウム種により引き起こされる使用。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載の使用であって、当該寄生虫性疾患が、当該リボソームタンパク質抽出物を誘導する当該種とは異なる種により引き起こされる使用。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載のRPEを使用して、対象における寄生虫性疾患を診断する方法であって、対象から得られた試料において、RPEを認識する抗体が存在するか否かを決定することを含む方法。
【請求項11】
対象における寄生虫性疾患を診断するためのアッセイであって、当該アッセイがRPEを含むアッセイ。
【請求項12】
請求項11に記載のアッセイであって、当該アッセイがELISAであるアッセイ。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3a】
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【図3b】
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【公表番号】特表2012−533074(P2012−533074A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520004(P2012−520004)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060058
【国際公開番号】WO2011/006891
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(512011129)ラボラトリオス・エルイーティーアイ・エス.エル. (2)
【氏名又は名称原語表記】LABORARTORIOS LETI, S.L.
【Fターム(参考)】