リボンヒータ
【課題】 電気絶縁性能に優れ、汎用性が高いリボンヒータを安価に製作する。
【解決手段】 このリボンヒータ1は、ステンレス鋼からなる帯状の発熱導体2と、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなる接着層3と、ポリイミド樹脂等の耐熱可撓性樹脂からなる絶縁フィルム4とを備えている。そして、ロールラミネート法により、発熱導体2に接着層3を介して絶縁フィルム4を加圧接着し、リボンヒータ1の全体を細長く成形する。
【効果】 本発明のリボンヒータによれば、帯状の発熱導体に絶縁フィルムを加圧接着したので、簡単な製造設備を用いて、電気絶縁性能を改善できる効果がある。また、ヒータの全体が細長く形成されているので、取付対象となる機器の細部に簡単に装着でき、折り曲げたり巻き付けたりすることも容易で、ヒータの用途を拡張できる利点もある。
【解決手段】 このリボンヒータ1は、ステンレス鋼からなる帯状の発熱導体2と、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂からなる接着層3と、ポリイミド樹脂等の耐熱可撓性樹脂からなる絶縁フィルム4とを備えている。そして、ロールラミネート法により、発熱導体2に接着層3を介して絶縁フィルム4を加圧接着し、リボンヒータ1の全体を細長く成形する。
【効果】 本発明のリボンヒータによれば、帯状の発熱導体に絶縁フィルムを加圧接着したので、簡単な製造設備を用いて、電気絶縁性能を改善できる効果がある。また、ヒータの全体が細長く形成されているので、取付対象となる機器の細部に簡単に装着でき、折り曲げたり巻き付けたりすることも容易で、ヒータの用途を拡張できる利点もある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱導体にステンレス鋼を用いたリボンヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
発熱導体にステンレス鋼を用いたヒータとして、従来、図10に示すように、蛇行状に配線したステンレス線51に可撓性エポキシ樹脂をコーティングして絶縁皮膜52を形成した面状ヒータ53が知られている(例えば特許文献1)。また、図11に示すように、絶縁フィルム55の表面全体をステンレス鋼からなる導体膜で被覆し、導体膜をエッチング加工して、発熱部56を所定パターンに形成したシートヒータ57も知られている(例えば特許文献2)。
【特許文献1】特開平10−106729号公報
【特許文献2】特開2004−265654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来の面状ヒータ53は、絶縁皮膜52を樹脂コーティングにより形成しているので、ステンレス線51と絶縁皮膜52との間に隙間が生じやすく、この隙間から浸入した水で絶縁不良を招くという不具合があった。従来のシートヒータ57は、発熱部56をエッチングによりパターニングしているため、工数が増え、製作コストが高くつくという不都合があった。また、どちらのヒータ53,57も、全体が面状またはシート状に形成されているので、取付対象となる機器の細部への装着に不向きであり、折り曲げたり巻き付けたりすることも困難で、用途が制限されるという問題点があった。
【0004】
本発明の目的は、上記課題を解決し、絶縁性に優れ、安価に製作でき、かつ汎用性の高いリボンヒータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明のリボンヒータは、ステンレス鋼からなる帯状の発熱導体と、熱硬化性樹脂からなる接着層と、耐熱可撓性樹脂からなる絶縁フィルムとを備え、発熱導体に接着層を介して絶縁フィルムを加圧接着し、全体を細長く成形したことを特徴とする。
【0006】
ここで、発熱導体の厚さは15μm〜100μmが好ましく、30μm〜70μmがより好ましい。発熱体の厚さが15μm未満になると、機械的強度が不足し、繰り返し折り曲げた場合などに断線する可能性がある。発熱導体の厚さが100μmを超えると、屈曲性が低下し、対象機器への装着性が悪くなる。発熱導体の幅は、5mm〜200mmが好ましく、長さは限定されず、用途に応じた必要長さとすることができる。発熱導体の材料であるステンレス鋼には、耐熱性、柔軟性および延性に優れたフェライト系ステンレス鋼、例えば、YUS205(新日本製鉄株式会社製)を好ましく使用できる。
【0007】
接着層の厚さは5μm〜100μmが好ましく、40μm〜60μmがより好ましい。接着層の厚さが5μm未満になると、発熱導体(特にエッジ部)のシール性が不十分になり、厚さが100μmを超えると、ヒータの可撓性に悪影響を与える。接着層には、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を使用できる。特に、エポキシ樹脂は、耐熱性、耐水性、電気絶縁性が共に優れかつ可撓性に富むため、リボンヒータの接着層に好ましく使用できる。
【0008】
絶縁フィルムの厚さは8μm〜75μmが好ましく、30μm〜50μmがより好ましい。絶縁フィルムの厚さが8μm未満になると、破損による絶縁不良を招きやすくなり、厚さが75μmを超えると、ヒータの可撓性に悪影響を与える。絶縁フィルムには、例えば、PI(ポリイミド)、PEI(ポリエーテルイミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PES(ポリエーテルサルフォン)等の耐熱可撓性樹脂を使用できる。
【0009】
絶縁フィルムを発熱導体に加圧接着する方法は、特に限定されないが、少ない工数で安価に製造できる点でロールラミネート法を採用できる。具体的には、絶縁フィルムをラミネートロールにより発熱導体に加圧接着するのが好ましい。また、発熱導体をスパッタリングにより薄膜加工することも可能である。この場合は、一方の絶縁フィルムに発熱導体をスパッタリング加工し、この絶縁フィルムに他方の絶縁フィルムを加圧接着する方法を採用できる。
【0010】
なお、リボンヒータ全体の厚さは、36μm〜350μmが好ましく、150μm〜230μmがより好ましい。リボンヒータ全体の幅は、用途に合わせて適宜設定できるが、標準的には5mm〜200mmである。リボンヒータの用途は、特に限定されず、住宅の床や壁の暖房パネル、屋根や玄関の融雪マット、暖房用カーペット、保温用衣料、配水管や舗装道路の凍結防止装置、自動車の内装材、オートバイ用グリップヒータ、車両用座席の加温材、農作物や園芸植物の保温シート等を例示できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のリボンヒータによれば、帯状の発熱導体に絶縁フィルムを加圧接着したので、簡単な製造設備を用いて、電気絶縁性能を改善できる効果がある。また、ヒータの全体が細長く形成されているので、取付対象となる機器の細部に簡単に装着でき、折り曲げたり巻き付けたりすることも容易で、ヒータの用途を拡張できる利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は全体が細長く形成されたリボンヒータの外観形状を示す。図2は図1のリボンヒータの絶縁構造を示す。図3は図1のリボンヒータをロールラミネート法で製造する工程を示し、(a)は製造工程の全体を示し、(b)は発熱導体に絶縁フィルムを接着する工程を示す。図4は発熱導体に絶縁皮膜をコーティングした絶縁構造を示す。図5はリボンヒータの一適用例として融雪マットを示す。図6、図7はリボンヒータの別の製造方法を示す。図8は絶縁構造の変更例を示す。図9は発熱導体の変更例を示す。
【0013】
図1、図2に示すように、この実施形態のリボンヒータ1は中心部に帯状の発熱導体2を備え、発熱導体2の周囲に接着層3が設けられ、接着層3に表裏二枚の絶縁フィルム4が接着されている。そして、リボンヒータ1は、ロールラミネート法により発熱導体2に接着層3を介して絶縁フィルム4を加圧接着し、全体を厚さ150μm、幅27mmの連続長尺体として成形したのち、この長尺体を用途に応じた長さに切断し、細長いリボンまたはテープの形態で各種機器に装着される。
【0014】
発熱導体2は、厚さ50μm、幅20mmのステンレス鋼を使用し、長手方向各部の幅が均一な帯状に形成されている。接着層3には、耐熱温度が155℃程度の熱硬化性エポキシ樹脂が用いられ、加圧後の層厚が約25μmとなるように、発熱導体2の全表面に塗着されている。絶縁フィルム4には、厚さ約25μm、耐熱温度約220℃のポリイミド樹脂フィルムが用いられ、図3に示すラミネートロール12により接着層3を介して発熱導体2の表裏両側に加熱加圧接着されている。
【0015】
図3に示すように、リボンヒータ1の製造装置11には、一対のラミネートロール12が発熱導体2の供給通路の上下に配設されている。ラミネートロール12の上流側には、接着層3を発熱導体2に塗着する塗着槽13が設置されている。絶縁フィルム4は塗着槽13の下流側からラミネートロール12に供給され、ロール12により接着層3に接着される。ラミネートロール12の下流側には接着層3を硬化させる恒温槽14が設置され、恒温槽14の下流側にリボンヒータ1を巻き取る回収ロール15が設けられている。
【0016】
図4に示すリボンヒータ1は発熱導体2の全面に絶縁皮膜5を備えている。絶縁皮膜5は発熱導体2に使用するステンレス鋼に予め薄膜コーティング加工され、この皮膜5で覆われた状態の発熱導体2が製造装置11の塗着槽13に供給され、発熱導体2に絶縁皮膜5を介して接着層3が塗着される。このため、発熱導体2は絶縁皮膜5と接着層3と絶縁フィルム4とによって三重に絶縁される。なお、絶縁皮膜5にはエポキシ樹脂を好ましく使用できる。
【0017】
上記構成のリボンヒータ1によれば、発熱導体2に接着層3を介して絶縁フィルム4を接着したので、ラミネートロール11の加圧力により接着層3を発熱導体2の全面に隙間なく接着し、浸水を確実に防止して、ヒータ1の電気絶縁性能を改善することができる。また、リボンヒータ1をロールラミネート法で成形するので、化学エッチングと比較し、簡単な構成の製造装置11を使用できて、ヒータ1の製造コストを削減できる。しかも、ヒータ1の全体が細長く形成されているので、機器の細部に簡単に装着できるうえ、曲げたり巻いたりの装着も容易となり、リボンヒータ1の汎用性が向上する。
【0018】
例えば、図5に示すような融雪マット21において、リボンヒータ1をゴム製ベース22の上面にジグザグ状に折り曲げて配線できる。ベース22の上には金属板23を介してゴム製の踏マット24が接合され、金属板23により踏マット24の荷重が分散されるとともに、リボンヒータ1の発熱が均一に拡散される。従って、リボンヒータ1の屈曲部における発熱導体2の金属疲労を防止し、かつリボンヒータ1、温度センサー25、コントローラ26等の電気部品を靴鋲や落下物による衝撃から保護し、融雪マット21の熱効率と絶縁性能を高レベルに維持することができる。
【0019】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して実施することも可能である。
(1)図6に示すように、複数本の発熱導体2を幅広の絶縁フィルム4でラミネートしたのち、切断線Cで切り離して、図1と同様のリボンヒータ1を成形すること。こうすれば、表裏の絶縁フィルム4の切断縁を正確に揃えて、リボンヒータ1を見栄えよく製作することができる。
(2)図7に示すように、一方の絶縁フィルム4に発熱導体2をステンレス材料でスパッタリング加工により形成し、この絶縁フィルム4に接着層3を介して他方の絶縁フィルム4を加圧接着すること。こうすれば、リボンヒータ1の全体をより薄く成形できる。
【0020】
(3)図8に示すように、発熱導体2の幅方向両側面にR部2aを形成すること。こうすれば、発熱導体2のエッジ部に隙間が生じにくくなるため、接着層3をより薄くして、リボンヒータ1の可撓性を高めることができる。
(4)図9に示すように、発熱導体2を蛇行パターンの帯状に形成すること。この場合、発熱導体2をプレスで打抜成形するのが好ましいが、エッチング加工することも可能である。この形状によれば、リボンヒータ1を適宜長さに切断することで、用途に応じた発熱量が簡単に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態を示すリボンヒータの斜視図である。
【図2】該リボンヒータの絶縁構造を示す断面図である。
【図3】該リボンヒータの製造方法を示す概略図である。
【図4】絶縁構造の変更例を示す断面図である。
【図5】リボンヒータの一使用例を示す融雪マットの斜視図である。
【図6】リボンヒータの別の製造方法を示す平面図である。
【図7】リボンヒータのさらに別の製造方法を示す断面図である。
【図8】絶縁構造のさらに別の変更例を示す断面図である。
【図9】発熱導体の変形例を示す斜視図である。
【図10】従来の面状ヒータを示す平面図である。
【図11】従来のシートヒータを示す平面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 リボンヒータ
2 発熱導体
3 接着層
4 絶縁フィルム
5 絶縁皮膜
11 製造装置
12 ラミネートロール
21 融雪マット
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱導体にステンレス鋼を用いたリボンヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
発熱導体にステンレス鋼を用いたヒータとして、従来、図10に示すように、蛇行状に配線したステンレス線51に可撓性エポキシ樹脂をコーティングして絶縁皮膜52を形成した面状ヒータ53が知られている(例えば特許文献1)。また、図11に示すように、絶縁フィルム55の表面全体をステンレス鋼からなる導体膜で被覆し、導体膜をエッチング加工して、発熱部56を所定パターンに形成したシートヒータ57も知られている(例えば特許文献2)。
【特許文献1】特開平10−106729号公報
【特許文献2】特開2004−265654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来の面状ヒータ53は、絶縁皮膜52を樹脂コーティングにより形成しているので、ステンレス線51と絶縁皮膜52との間に隙間が生じやすく、この隙間から浸入した水で絶縁不良を招くという不具合があった。従来のシートヒータ57は、発熱部56をエッチングによりパターニングしているため、工数が増え、製作コストが高くつくという不都合があった。また、どちらのヒータ53,57も、全体が面状またはシート状に形成されているので、取付対象となる機器の細部への装着に不向きであり、折り曲げたり巻き付けたりすることも困難で、用途が制限されるという問題点があった。
【0004】
本発明の目的は、上記課題を解決し、絶縁性に優れ、安価に製作でき、かつ汎用性の高いリボンヒータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明のリボンヒータは、ステンレス鋼からなる帯状の発熱導体と、熱硬化性樹脂からなる接着層と、耐熱可撓性樹脂からなる絶縁フィルムとを備え、発熱導体に接着層を介して絶縁フィルムを加圧接着し、全体を細長く成形したことを特徴とする。
【0006】
ここで、発熱導体の厚さは15μm〜100μmが好ましく、30μm〜70μmがより好ましい。発熱体の厚さが15μm未満になると、機械的強度が不足し、繰り返し折り曲げた場合などに断線する可能性がある。発熱導体の厚さが100μmを超えると、屈曲性が低下し、対象機器への装着性が悪くなる。発熱導体の幅は、5mm〜200mmが好ましく、長さは限定されず、用途に応じた必要長さとすることができる。発熱導体の材料であるステンレス鋼には、耐熱性、柔軟性および延性に優れたフェライト系ステンレス鋼、例えば、YUS205(新日本製鉄株式会社製)を好ましく使用できる。
【0007】
接着層の厚さは5μm〜100μmが好ましく、40μm〜60μmがより好ましい。接着層の厚さが5μm未満になると、発熱導体(特にエッジ部)のシール性が不十分になり、厚さが100μmを超えると、ヒータの可撓性に悪影響を与える。接着層には、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を使用できる。特に、エポキシ樹脂は、耐熱性、耐水性、電気絶縁性が共に優れかつ可撓性に富むため、リボンヒータの接着層に好ましく使用できる。
【0008】
絶縁フィルムの厚さは8μm〜75μmが好ましく、30μm〜50μmがより好ましい。絶縁フィルムの厚さが8μm未満になると、破損による絶縁不良を招きやすくなり、厚さが75μmを超えると、ヒータの可撓性に悪影響を与える。絶縁フィルムには、例えば、PI(ポリイミド)、PEI(ポリエーテルイミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PES(ポリエーテルサルフォン)等の耐熱可撓性樹脂を使用できる。
【0009】
絶縁フィルムを発熱導体に加圧接着する方法は、特に限定されないが、少ない工数で安価に製造できる点でロールラミネート法を採用できる。具体的には、絶縁フィルムをラミネートロールにより発熱導体に加圧接着するのが好ましい。また、発熱導体をスパッタリングにより薄膜加工することも可能である。この場合は、一方の絶縁フィルムに発熱導体をスパッタリング加工し、この絶縁フィルムに他方の絶縁フィルムを加圧接着する方法を採用できる。
【0010】
なお、リボンヒータ全体の厚さは、36μm〜350μmが好ましく、150μm〜230μmがより好ましい。リボンヒータ全体の幅は、用途に合わせて適宜設定できるが、標準的には5mm〜200mmである。リボンヒータの用途は、特に限定されず、住宅の床や壁の暖房パネル、屋根や玄関の融雪マット、暖房用カーペット、保温用衣料、配水管や舗装道路の凍結防止装置、自動車の内装材、オートバイ用グリップヒータ、車両用座席の加温材、農作物や園芸植物の保温シート等を例示できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のリボンヒータによれば、帯状の発熱導体に絶縁フィルムを加圧接着したので、簡単な製造設備を用いて、電気絶縁性能を改善できる効果がある。また、ヒータの全体が細長く形成されているので、取付対象となる機器の細部に簡単に装着でき、折り曲げたり巻き付けたりすることも容易で、ヒータの用途を拡張できる利点もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は全体が細長く形成されたリボンヒータの外観形状を示す。図2は図1のリボンヒータの絶縁構造を示す。図3は図1のリボンヒータをロールラミネート法で製造する工程を示し、(a)は製造工程の全体を示し、(b)は発熱導体に絶縁フィルムを接着する工程を示す。図4は発熱導体に絶縁皮膜をコーティングした絶縁構造を示す。図5はリボンヒータの一適用例として融雪マットを示す。図6、図7はリボンヒータの別の製造方法を示す。図8は絶縁構造の変更例を示す。図9は発熱導体の変更例を示す。
【0013】
図1、図2に示すように、この実施形態のリボンヒータ1は中心部に帯状の発熱導体2を備え、発熱導体2の周囲に接着層3が設けられ、接着層3に表裏二枚の絶縁フィルム4が接着されている。そして、リボンヒータ1は、ロールラミネート法により発熱導体2に接着層3を介して絶縁フィルム4を加圧接着し、全体を厚さ150μm、幅27mmの連続長尺体として成形したのち、この長尺体を用途に応じた長さに切断し、細長いリボンまたはテープの形態で各種機器に装着される。
【0014】
発熱導体2は、厚さ50μm、幅20mmのステンレス鋼を使用し、長手方向各部の幅が均一な帯状に形成されている。接着層3には、耐熱温度が155℃程度の熱硬化性エポキシ樹脂が用いられ、加圧後の層厚が約25μmとなるように、発熱導体2の全表面に塗着されている。絶縁フィルム4には、厚さ約25μm、耐熱温度約220℃のポリイミド樹脂フィルムが用いられ、図3に示すラミネートロール12により接着層3を介して発熱導体2の表裏両側に加熱加圧接着されている。
【0015】
図3に示すように、リボンヒータ1の製造装置11には、一対のラミネートロール12が発熱導体2の供給通路の上下に配設されている。ラミネートロール12の上流側には、接着層3を発熱導体2に塗着する塗着槽13が設置されている。絶縁フィルム4は塗着槽13の下流側からラミネートロール12に供給され、ロール12により接着層3に接着される。ラミネートロール12の下流側には接着層3を硬化させる恒温槽14が設置され、恒温槽14の下流側にリボンヒータ1を巻き取る回収ロール15が設けられている。
【0016】
図4に示すリボンヒータ1は発熱導体2の全面に絶縁皮膜5を備えている。絶縁皮膜5は発熱導体2に使用するステンレス鋼に予め薄膜コーティング加工され、この皮膜5で覆われた状態の発熱導体2が製造装置11の塗着槽13に供給され、発熱導体2に絶縁皮膜5を介して接着層3が塗着される。このため、発熱導体2は絶縁皮膜5と接着層3と絶縁フィルム4とによって三重に絶縁される。なお、絶縁皮膜5にはエポキシ樹脂を好ましく使用できる。
【0017】
上記構成のリボンヒータ1によれば、発熱導体2に接着層3を介して絶縁フィルム4を接着したので、ラミネートロール11の加圧力により接着層3を発熱導体2の全面に隙間なく接着し、浸水を確実に防止して、ヒータ1の電気絶縁性能を改善することができる。また、リボンヒータ1をロールラミネート法で成形するので、化学エッチングと比較し、簡単な構成の製造装置11を使用できて、ヒータ1の製造コストを削減できる。しかも、ヒータ1の全体が細長く形成されているので、機器の細部に簡単に装着できるうえ、曲げたり巻いたりの装着も容易となり、リボンヒータ1の汎用性が向上する。
【0018】
例えば、図5に示すような融雪マット21において、リボンヒータ1をゴム製ベース22の上面にジグザグ状に折り曲げて配線できる。ベース22の上には金属板23を介してゴム製の踏マット24が接合され、金属板23により踏マット24の荷重が分散されるとともに、リボンヒータ1の発熱が均一に拡散される。従って、リボンヒータ1の屈曲部における発熱導体2の金属疲労を防止し、かつリボンヒータ1、温度センサー25、コントローラ26等の電気部品を靴鋲や落下物による衝撃から保護し、融雪マット21の熱効率と絶縁性能を高レベルに維持することができる。
【0019】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して実施することも可能である。
(1)図6に示すように、複数本の発熱導体2を幅広の絶縁フィルム4でラミネートしたのち、切断線Cで切り離して、図1と同様のリボンヒータ1を成形すること。こうすれば、表裏の絶縁フィルム4の切断縁を正確に揃えて、リボンヒータ1を見栄えよく製作することができる。
(2)図7に示すように、一方の絶縁フィルム4に発熱導体2をステンレス材料でスパッタリング加工により形成し、この絶縁フィルム4に接着層3を介して他方の絶縁フィルム4を加圧接着すること。こうすれば、リボンヒータ1の全体をより薄く成形できる。
【0020】
(3)図8に示すように、発熱導体2の幅方向両側面にR部2aを形成すること。こうすれば、発熱導体2のエッジ部に隙間が生じにくくなるため、接着層3をより薄くして、リボンヒータ1の可撓性を高めることができる。
(4)図9に示すように、発熱導体2を蛇行パターンの帯状に形成すること。この場合、発熱導体2をプレスで打抜成形するのが好ましいが、エッチング加工することも可能である。この形状によれば、リボンヒータ1を適宜長さに切断することで、用途に応じた発熱量が簡単に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態を示すリボンヒータの斜視図である。
【図2】該リボンヒータの絶縁構造を示す断面図である。
【図3】該リボンヒータの製造方法を示す概略図である。
【図4】絶縁構造の変更例を示す断面図である。
【図5】リボンヒータの一使用例を示す融雪マットの斜視図である。
【図6】リボンヒータの別の製造方法を示す平面図である。
【図7】リボンヒータのさらに別の製造方法を示す断面図である。
【図8】絶縁構造のさらに別の変更例を示す断面図である。
【図9】発熱導体の変形例を示す斜視図である。
【図10】従来の面状ヒータを示す平面図である。
【図11】従来のシートヒータを示す平面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 リボンヒータ
2 発熱導体
3 接着層
4 絶縁フィルム
5 絶縁皮膜
11 製造装置
12 ラミネートロール
21 融雪マット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステンレス鋼からなる帯状の発熱導体と、熱硬化性樹脂からなる接着層と、耐熱可撓性樹脂からなる絶縁フィルムとを備え、発熱導体に接着層を介して絶縁フィルムを加圧接着し、全体を細長く成形したことを特徴とするリボンヒータ。
【請求項2】
前記発熱導体の厚さが15μm〜100μmである請求項1記載のリボンヒータ。
【請求項3】
前記接着層の厚さが5μm〜100μmである請求項1または2記載のリボンヒータ。
【請求項4】
前記絶縁フィルムの厚さが8μm〜75μmである請求項1〜3のいずれか一項に記載のリボンヒータ。
【請求項5】
前記絶縁フィルムをラミネートロールにより接着層を介して発熱導体に加圧接着した請求項1〜4のいずれか一項に記載のリボンヒータ。
【請求項1】
ステンレス鋼からなる帯状の発熱導体と、熱硬化性樹脂からなる接着層と、耐熱可撓性樹脂からなる絶縁フィルムとを備え、発熱導体に接着層を介して絶縁フィルムを加圧接着し、全体を細長く成形したことを特徴とするリボンヒータ。
【請求項2】
前記発熱導体の厚さが15μm〜100μmである請求項1記載のリボンヒータ。
【請求項3】
前記接着層の厚さが5μm〜100μmである請求項1または2記載のリボンヒータ。
【請求項4】
前記絶縁フィルムの厚さが8μm〜75μmである請求項1〜3のいずれか一項に記載のリボンヒータ。
【請求項5】
前記絶縁フィルムをラミネートロールにより接着層を介して発熱導体に加圧接着した請求項1〜4のいずれか一項に記載のリボンヒータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−4232(P2009−4232A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164114(P2007−164114)
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(503207913)株式会社SOHKi (13)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(503207913)株式会社SOHKi (13)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【Fターム(参考)】
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