リムずれ測定装置およびリムずれ測定方法
【課題】耐久性を確保しつつリムずれ量を安定して測定する上で有利なリムずれ測定装置およびリムずれ測定方法を提供する。
【解決手段】タイヤ2の側面2Eに沿って被検出部12を設ける。被検出部12は、タイヤ2の周方向に沿って設けられ、周方向に沿った一定の長さの領域の光の反射量がタイヤ2の周方向に沿って単調に増加または減少する。リムずれ測定装置10は、撮像部14Aによって撮像された被検出部12の画像の検出結果に基づいてタイヤ2の回転角θを検出し、このタイヤ2の回転角θとリム4Bの回転角φとの差分をリムずれ量dとして算出する。
【解決手段】タイヤ2の側面2Eに沿って被検出部12を設ける。被検出部12は、タイヤ2の周方向に沿って設けられ、周方向に沿った一定の長さの領域の光の反射量がタイヤ2の周方向に沿って単調に増加または減少する。リムずれ測定装置10は、撮像部14Aによって撮像された被検出部12の画像の検出結果に基づいてタイヤ2の回転角θを検出し、このタイヤ2の回転角θとリム4Bの回転角φとの差分をリムずれ量dとして算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールのリムにリム組みされたタイヤのリムに対するリムずれ量を測定するリムずれ測定装置およびリムずれ測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの性能評価項目の一つとしてホイールのリムにリム組みされたタイヤのリムに対するずれ量、すなわちリムずれ量がある。
従来、リムずれ量の測定方法としては、リム組みされたタイヤとリムとにマークを付けておき、それぞれのマークのずれ量を定規などで測定することによって行っている。
しかしながらこのような方法では、測定精度を確保する上で不利であり、また、リアルタイムにリムずれ量を測定することはできない。
そこで、ホイール側にリムずれ量測定装置を設け、リムずれ量測定装置によってタイヤに接触させたローラの回転角度をポテンショメータにより電気抵抗の変化量として検出し、その変化量をブリッジ回路を用いてリムずれ量として測定する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−71529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術は、タイヤにローラが接触するため、タイヤ試験機を用いてタイヤを回転させるといった環境においては特に問題はないものの、実際にテストコースなどの路上を走行する車両に適用した場合には、ローラやローラを支持する部材などに無理な力が繰り返して加わることから耐久性に劣り、リムずれ量を安定して測定する上で不利がある。
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、その目的は、耐久性を確保しつつリムずれ量を安定して測定する上で有利なリムずれ測定装置およびリムずれ測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は、ホイールのリムにリム組みされたタイヤの前記リムに対するリムずれ量を測定するリムずれ測定装置であって、前記リムの回転角を検出するリム回転角検出手段と、前記タイヤの回転角を検出するタイヤ回転角検出手段と、前記リムの回転角と前記タイヤの回転角との差分をリムずれ量として算出するリムずれ量算出手段とを備え、前記タイヤ回転角検出手段によるタイヤの回転角の検出は、前記タイヤの側面に前記タイヤの周方向に沿って設けられ、前記周方向に沿った一定の長さの領域の光の反射量が前記周方向に沿って単調に増加または減少する被検出部を撮像部で撮像し撮像された画像の検出結果に基づいてなされることを特徴とする。
また本発明は、ホイールのリムにリム組みされたタイヤの前記リムに対するリムずれ量を測定するリムずれ測定方法であって、前記タイヤの側面に前記タイヤの周方向に沿って、前記周方向に沿った一定の長さの領域の光の反射量が前記周方向に沿って単調に増加または減少する被検出部を設け、前記リムの回転角を検出するリム回転角検出ステップと、前記タイヤの回転角を検出するタイヤ回転角検出ステップと、前記リムの回転角と前記タイヤの回転角との差分をリムずれ量として算出するリムずれ量算出ステップとを含み、前記タイヤ回転角検出ステップによるタイヤの回転角の検出は、前記被検出部を撮像部で撮像し撮像された画像の検出結果に基づいてなされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、タイヤの側面にタイヤの周方向に沿って設けられ、周方向に沿った一定の長さの領域の光の反射量が周方向に沿って単調に増加または減少する被検出部の画像の検出結果に基づいてタイヤの回転角を検出し、このタイヤの回転角とリムの回転角との差分をリムずれ量として算出する。
したがって、タイヤに接触する部材が不要となることから耐久性を確保しつつリムずれ量を安定して測定する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】タイヤ2、ホイール4、リムずれ測定装置10の配置を示す説明図である。
【図2】タイヤ2の側面2Eに設けられた被検出部12と撮像部14Aとを示す説明図である。
【図3】第1の実施の形態に係るリムずれ測定装置10の構成を示す説明図である。
【図4】第1の実施の形態に係るリムずれ測定装置10の制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施の形態における被検出部12の一例を示す展開図である。
【図6】第1の実施の形態における被検出部12の他の例を示す展開図である。
【図7】第1の実施の形態におけるタイヤ2の回転角θと、輝度検出手段14によって検出された輝度Lとの関係を示す説明図である。
【図8】第1の実施の形態に係るリムずれ測定装置10におけるデータテーブルの作成処理を示すフローチャートである。
【図9】第1の実施の形態に係るリムずれ測定装置10の動作フローチャートである。
【図10】第2の実施の形態における被検出部12の一例を示す展開図である。
【図11】第2の実施の形態における被検出部12の他の例を示す展開図である。
【図12】第2の実施の形態におけるタイヤ2の回転角θと、輝度検出手段14によって検出された輝度Lとの関係を示す説明図である。
【図13】光の反射率の変化の向きが図8、図9とは逆になった場合におけるタイヤ2の回転角θと、輝度検出手段14によって検出された輝度Lとの関係を示す説明図である。
【図14】第2の実施の形態に係るリムずれ測定装置10の制御系の構成を示すブロック図である。
【図15】第2の実施の形態に係るリムずれ測定装置10の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下、本発明によるリムずれ測定装置およびリムずれ測定方法の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、図1、図2を参照して本実施の形態のリムずれ測定装置10によってリムずれ量が測定されるタイヤ2と、タイヤ2がリム組みされるホイール4について説明する。
図2に示すように、タイヤ2は、トレッド部2Aと、このトレッド部2Aの両側に連続する左右のショルダー部2Bと、サイドウォール部2Cと、ビード部2Dとを含んで構成されている。
ホイール4は、円盤状のディスク4Aと、ディスク4Aの外周に沿って延在するリム4Bとを備える。
ディスク4Aは、その中央部が車両6(図1)の車軸(不図示)に設けられたハブ(不図示)にねじにより締結され、したがって、ホイール4は前記車軸と一体的に回転する。
リム4Bは、ウェル4Cと、ウェル4Cの両側に接続される一対のビードシート4Dと、各ビードシート4Dに接続される一対のリムフランジ4Eとを含んで構成されている。
タイヤ2のリム組みは、ビード部2Dをビードシート4Dおよびリムフランジ4Eに嵌合させてタイヤ2に内圧を付加することによってビード部2Dがビードシート4Dおよびリムフランジ4Eに圧着されることでなされる。
タイヤ2のリムずれは、ビード部2Dがビードシート4Dおよびリムフランジ4Eに対してタイヤ2の周方向にすべることで発生する。このようなリムずれは、例えば、車両の発進時あるいは制動時にタイヤ2とホイール4との間に作用する力によって生じる。
【0009】
タイヤ2の側面2Eには被検出部12が設けられている。
本明細書においてタイヤ2の側面2Eとは、ホイール4にリム組みされたタイヤ2をタイヤ軸方向から見て見える箇所をいい、具体的にはリム4Bの半径方向外側に露出するビード部2D、サイドウォール部2C、ショルダー部2Bの箇所である。本実施の形態では、被検出部12はサイドウォール部2Cに設けられている。
被検出部12は、タイヤ2の側面2Eにタイヤ2の周方向に沿って設けられ、周方向に沿った一定の長さの領域の光の反射量が周方向に沿って単調に増加または減少するものである。
図5、図6は、タイヤ2の周方向に沿って延在する被検出部12の全体を示す展開図である。なお、被検出部12は円弧状に延在しているが、図示の簡略化を図るため被検出部12を直線状として描いている。
本実施の形態では、図5、図6に示すように、被検出部12は、光の反射量がタイヤ2の周方向の沿って単調に増加あるいは減少する単一のマーク20を含んで構成され、マーク20はタイヤ2の一周に沿って設けられている。
すなわち、図5に示す例では、マーク20は、濃淡が均一であり、タイヤ2の周方向と直交する方向の幅がタイヤ2の周方向に沿って単調に変化している。
図6に示す例では、マーク20は、タイヤ2の周方向に沿って濃淡が単調に変化している。なお、図6では、ハッチングによる描画の都合上、マーク20における濃淡が段階的に変化した状態で図示されているが、マーク20における濃淡は無段階に変化しているものとする。
【0010】
本実施の形態では、タイヤ2の側面2Eの全周に、帯状の粘着テープ22(図5、図6)が粘着され、被検出部12は、粘着テープ22の表面に形成されている。
このような粘着テープ22を用いることにより、被検出部12を簡単にタイヤ2の側面2Eに設けることができるため、測定作業の容易化を図る上で有利となる。
なお、被検出部12をタイヤ2の側面2Eに設ける方法は任意であり、タイヤ2の側面2Eに転写することで被検出部12を形成してもよいし、タイヤ2の側面2Eに被検出部12を直接形成しても良い。
【0011】
次に、本実施の形態のリムずれ量測定装置10について説明する。
図3に示すように、リムずれ量測定装置10は、輝度検出手段14と、ロータリーエンコーダ16と、操作部18と、ECU20とを含んで構成されている。
【0012】
輝度検出手段14は、予め定められた測定箇所において被検出部12を撮像して濃淡画像を生成すると共に、図5、図6に示すように、濃淡画像のうち回転部2Dの外周方向に沿った一定幅の濃淡画像の領域である検出領域24に該当する画像の輝度を検出するものである。
輝度検出手段14は、撮像部14Aと、信号処理部14Bとを備えている。
撮像部14Aは、予め定められた測定箇所において被検出部12を撮像して濃淡画像を生成するものである。
このような撮像部14Aとして、複数の受光素子が格子状に配列され2次元の濃淡画像を生成するCCD、C−MOSセンサなど従来公知のさまざまな撮像素子が使用可能である。
信号処理部14Bは、撮像部14Aから供給される濃淡画像のうち検出領域24に該当する画像の輝度を検出するものである。
信号処理部14Bは、図3に示すように後述するECU20と別に設けても、あるいは、ECU20によって実現してもよい。
【0013】
なお、撮像部14Aは、2次元の濃淡画像を生成するものに限定されない。
撮像部14Aとして、複数の受光素子が直線状に配列され1次元の濃淡画像を生成するラインセンサを用いてもよい。
要するに、輝度検出手段14は、被検出部12を撮像して濃淡画像を生成すると共に、濃淡画像のうち検出領域24に該当する画像の輝度を検出するものであればよい。
【0014】
本実施の形態では、撮像部14Aは、図1、図2に示すように、車両6の車体の任意箇所に取着されたフレーム部材8に固定されているが、撮像部14Aを固定する箇所や固定手段は任意である。
【0015】
図7は、タイヤ2の回転角θと、輝度検出手段14によって検出された輝度Lとの関係を示す説明図である。
図7は、タイヤ2を1回転させた場合に、すなわち、タイヤ2を正方向(車両6が前進する方向)あるいは逆方向(車両6が後退する方向)に360度回転させた場合に、輝度検出手段14によって検出される輝度Lを示している。
前述したように、被検出部12は、光の反射量がタイヤ2の周方向に沿って単調に増加あるいは減少する単一のマーク20を含んで構成され、マーク20はタイヤ2の一周に沿って設けられているため、輝度検出手段14で検出される輝度Lはタイヤ2の回転角θに応じて単調に増加あるいは減少している。
したがって、タイヤ2を360度以上回転させていくと、輝度Lはタイヤ2の回転角θ=360度を1つの周期として繰り返しの波形として検出されることになる。
【0016】
ロータリーエンコーダ16は、ホイール4に連結された車軸の回転量に比例した数のパルスを検出信号として出力する回転角センサを構成するものである。
このような回転角センサとしてインクリメンタル型のロータリーエンコーダなど従来公知のさまざまなセンサが使用可能である。また、回転角センサとして車両に既設の車輪速センサを使用することもできる。
ロータリーエンコーダ16から出力された検出信号は、後述するようにリム回転角算出手段34(図4)に供給されリム回転角算出手段34によって検出信号からリム4Bの回転角φが算出される。
なお、インクリメンタル型のロータリーエンコーダ16に代えて、角度の絶対値に対応するコードデータを検出信号として出力するアブソリュート型のロータリーエンコーダを用いてもよい。その場合は、リム回転角算出手段34によってコードデータからリム4Bの回転角φが算出されるようにすればよい。
ロータリーエンコーダ16は、図示しない本体と、本体から突設された回転軸とを備え、回転軸が回転されることにより、本体から前記の検出信号が生成出力される。
本実施の形態では、図1に示すように、前記本体がフレーム部材8に取着され、前記回転軸がホイール4の中心に連結されることでホイール4と一体的に回転するように連結されている。
リム回転角算出手段34は、ロータリーエンコーダ16から供給された検出信号に基づいてリム4Bの回転角φを算出して出力するものである。
【0017】
なお、図1において符号10Aは、ECU20、信号処理部14B、操作部18を収容するケースを示し、ケース10Aもフレーム部材8に取着されている。
また、撮像部14Aで撮像された濃淡画像の画像信号は図示しないケーブルを介して信号処理部14Bに供給され、ロータリーエンコーダ16で生成された検出信号は図示しない他のケーブルを介してECU20のインターフェース20Eに供給されている。それらケーブルは、フレーム部材8に沿って配線されている。
【0018】
図3に示すように、操作部18は、使用者の操作に応じて生成した信号をECU20に供給するものである。
本実施の形態では、操作部18は、初期化スイッチ26を含んで構成されている。
初期化スイッチ26の機能については後述する。
【0019】
図3に示すように、ECU20は、CPU20Aと、制御プログラムなどを格納する第1のROM20Bと、データの再書き込みが可能な第2のROM20Cと、ワーキングエリアを提供するRAM20Dと、インターフェース部20Eなどがバスによって接続されたマイクロコンピュータによって構成されている。
インターフェース部20Eは、輝度検出手段14、ロータリーエンコーダ16、操作部18との間でインターフェースをとるものである。
【0020】
ECU20は、図4に示すように、データテーブル手段28と、データテーブル作成手段30と、タイヤ角算出手段32と、リム回転角算出手段34と、リムずれ量算出手段36とを含んで構成されている。
データテーブル手段28は、第2のROM20Cによって構成される。
データテーブル作成手段30と、タイヤ角算出手段32と、リム回転角算出手段34と、リムずれ量算出手段36とは、CPU20Aが前記制御プログラムを実行することにより実現されるものである。
【0021】
データテーブル手段28は、タイヤ2の1回転にわたって実測された複数のタイヤ2の回転角θと、該複数のタイヤ2の回転角θのそれぞれに対応して輝度検出手段14で検出された輝度Lとを対応付けたデータテーブルを記憶するものである。
このデータテーブルは、図7に示すように輝度Lとタイヤ2の回転角θとが関連付けられたデータで構成される。
【0022】
データテーブル作成手段30は、前記データテーブルを作成してデータテーブル手段28に格納するものである。
【0023】
タイヤ角算出手段32は、データテーブル手段28のデータテーブルに基づいて、輝度検出手段14で検出された輝度Lからタイヤ2の回転角θを算出して出力するものである。
本実施の形態では、タイヤ角算出手段32は、初期化スイッチ26の操作によって供給される初期化信号を受け付けることにより、タイヤ2の回転角θをいったん0度にリセットし、それ以後は0度を基準としてタイヤ2の回転角θの算出を行う。
【0024】
リム回転角算出手段34は、ロータリーエンコーダ16から供給された検出信号に基づいてリム4Bの回転角φを算出して出力する。
本実施の形態では、リム回転角算出手段34は、初期化スイッチ26の操作によって供給される初期化信号を受け付けることにより、リム4Bの回転角φをいったん0度にリセットし、それ以後は0度を基準として回転角φの算出を行う。
また、算出する回転角φの範囲は0度から360度までであり、リム4Bの回転が1回転を超えた場合には、上記の範囲を繰り返して算出する。
【0025】
リムずれ量算出手段36は、リム回転角算出手段34から出力されるリム4Bの回転角φと、タイヤ角算出手段32から出力されるタイヤ2の回転角θとの差分をリムずれ量dとして算出するものである。
本実施の形態では、リムずれ量算出手段36によりリムずれ量dの算出動作は、リム回転角算出手段34によって出力される回転角φの予め定められた単位角度φ毎に実行される。
すなわち、単位角度φが2度であれば、リム4Bの回転角φが0度、2度、4度、……、360度となる毎にリムずれ量算出手段36によるリムずれ量dの算出動作が実行される。
【0026】
リムずれ量算出手段36によって算出されたリムずれ量dは、ECU20のインターフェース部20Eを介して接続された不図示の外部装置、例えば、データロガーに供給され、データロガーに蓄積され、さまざまな評価に供される。
リムずれ量dのデータの形態は、デジタル信号であっても、あるいは、アナログ信号であってもよい。
【0027】
本実施の形態では、輝度検出手段14と、データテーブル手段28と、タイヤ回転角算出手段32とによってタイヤ2の回転角θを検出するタイヤ回転角検出手段が構成されている。言い換えると、前記タイヤ回転角検出手段によるタイヤ2の回転角θの検出は、タイヤ2の側面2Eにタイヤ2の周方向に沿って設けられ、周方向に沿った一定の長さの領域の光の反射量が周方向に沿って単調に増加または減少する被検出部12の画像の検出結果に基づいてなされる。
また、ロータリーエンコーダ16およびリム回転角算出手段32によってリム4Bの回転角φを検出するリム回転角検出手段が構成されている。
【0028】
次に、リムずれ量測定装置10の動作について図8、図9のフローチャートを参照して説明する。
まず、図8に示すように、リムずれ量測定装置10によるタイヤ2の回転角θの検出を行うに先立って、予めデータテーブルを作成してデータテーブル手段28に格納する処理を実行する。
なお、図1に示すように、予めタイヤ2はホイール4にリム組みされ、撮像部14Aおよびロータリーエンコーダ16の取り付けがなされているものとする。
使用者は、タイヤ2の回転角θを実測できるようにタイヤ2がリム組みされたホイール4に分度器を取着する(ステップS10)。
次に、使用者は、データ入力用の外部装置としてのパーソナルコンピュータをインターフェース部20Eに接続する(ステップS12)。
そして、使用者は、分度器を参照しつつホイール4を任意に定めた基準位置から例えば正方向に向かって所定角度、例えば5度回転させる毎に、前記パーソナルコンピュータを操作する。これにより、実測されたタイヤ2の回転角θは、前記パーソナルコンピュータを介してデータテーブル作成手段30に供給される(ステップS14)。
【0029】
データテーブル作成手段30は、前記の実測されたタイヤ2の回転角θを受け付ける毎に、該実測されたタイヤ2の回転角θと、そのとき輝度検出手段14で検出された輝度Lとを対応付けたデータをデータテーブル手段28に格納することで中間データテーブルを作成する(ステップS16)。具体的には、中間データテーブルのタイヤ2の回転角θは、所定角度の整数倍となっており、本例では、タイヤ2の回転角θ=0度、5度、10度、15度、20度、25度、30度、……、360度と離散的な値となっている。
【0030】
次に、データテーブル作成手段30は、前記パーソナルコンピュータから供給される前記の実測されたタイヤ2の回転角θが360度に到達したか否かを判定する(ステップS18)。
ステップS18の判定結果が否定であれば、データテーブル作成手段30はステップS14に戻る。
ステップS18の判定結果が肯定であれば、データテーブル作成手段30は中間データテーブルの作成を終了する。
中間データテーブルでは、タイヤ2の回転角θが離散的な値、本例ではタイヤ2の回転角θが5度毎であるため、タイヤ2の回転角θの分解能が低いものに留まっている。
そこで、より分解能の高いタイヤ2の回転角θの検出を行うため、データテーブル作成手段30は、中間データテーブルのタイヤ2の回転角θおよび輝度Lについて補間処理を行うことによりタイヤ2の回転角θおよび輝度Lの分解能をより高くした、例えば、タイヤ2の回転角θの分解能を1度としたデータテーブルを作成する(ステップS20)。なお、前記の補間処理としては従来公知のさまざまな補間方法が使用可能である。
【0031】
次に、補間されたタイヤ2の回転角θおよび輝度Lに基づいてタイヤ2の1回転分(回転角θの360度分)にわたってデータテーブルを作成する(ステップS22)。
タイヤ2の1回転分に対応したデータテーブルが作成されたならば、データテーブルをデータテーブル手段28に格納する(ステップS24)。
ここで、データテーブルは、図7に示すように輝度Lとタイヤ2の回転角θとが関連付けられたデータとなっている。
以上でデータテーブルを作成してデータテーブル手段28に格納する処理が終了する。
【0032】
次に、図9を参照してリムずれ量測定装置10によるリムずれ量の測定動作について説明する。
使用者が初期化スイッチ26を操作することで、初期化信号がタイヤ角算出手段32とリム回転角算出手段34との双方に供給される(ステップS30)。
【0033】
リム回転角算出手段34は、初期化信号を受け付けると、その時点で検出されたリム4Bの回転角φを0度にリセットして出力し、以後、0度を基準としてリム4Bの回転角φを算出して出力する(ステップS32)。
一方、タイヤ角算出手段32は、初期化信号を受け付けると、データテーブル手段28のデータテーブルを参照し、輝度検出手段14から供給される輝度Lと合致するデータテーブル上の輝度Lを特定する。そして、特定した輝度Lに対応するタイヤ2の回転角θをデータテーブルから特定し、この特定したタイヤ2の回転角θを0度にリセットし、以後、0度を基準としてタイヤ2の回転角θを算出して出力する(ステップS34)。
【0034】
車両6が走行してタイヤ2、リム4Bが回転すると、リム回転角算出手段34はリム4Bの回転角φを算出し、タイヤ角算出手段32はタイヤ2の回転角θを算出する(ステップS36)。
【0035】
次いで、リムずれ量算出手段36は、リム回転角算出手段34から出力されるリム4Bの回転角φの予め定められた角度単位φ毎に、タイヤ2の回転角θとリム4Eの回転角φの差分をリムずれ量dとして算出して出力し(ステップS38)、ステップS36に戻り同様の処理を繰り返して実行する。
なお、リムずれ量dの測定は、例えば、予め定められた走行速度において車両6を制動し、あるいは、予め定められた条件で車両6を発進させて行う。
【0036】
以上説明したように本実施の形態によれば、タイヤ2の側面2Eにタイヤ2の周方向に沿って設けられ、周方向に沿った一定の長さの領域の光の反射量が周方向に沿って単調に増加または減少する被検出部12の画像の検出結果に基づいてタイヤ2の回転角θを検出し、このタイヤ2の回転角θとリム4Bの回転角φとの差分をリムずれ量dとして算出するようにした。
したがって、被検出部12の画像の検出結果に基づいてタイヤ2の回転角θを検出するため、タイヤ2に接触する部材が不要となることから耐久性を確保しつつリムずれ量を安定して測定する上で有利となる。特に、実際にテストコースなどの路上を走行する車両においてリムずれ量dを測定する場合に有利となる。
また、本実施の形態では、リムずれ量算出手段によるリムずれ量dの算出は、リム回転角検出手段によって検出されるリム4Bの回転角φの予め定められた単位角度毎になされるようにした。
したがって、タイヤ2の回転速度の影響を受けることなくリムずれ量dを的確に得る上で有利となる。
【0037】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態に係るリムずれ測定装置10は、被検出部12の構成と、タイヤ回転角検出手段の構成とが第1の実施の形態と異なっている。
すなわち、第1の実施の形態では、タイヤ2の側面2Eに設けられる被検出部12のマーク20が単一であったが、第2の実施の形態では、図10、図11に示すように、被検出部12が複数のマーク40を含んで構成されている。なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分、部材には同一の符号を付してその説明を省略し、あるいは、簡単に行う。
第2の実施の形態では、被検出部12は、光の反射量がタイヤ2の周方向の一定の長さ毎に単調に増加あるいは減少する複数のマーク40を含んで構成されている。
すなわち、図10に示す例では、マーク40は、濃淡が均一であり、外周と直交する方向の幅が外周に沿って単調に変化している。
また、図11に示す例では、マーク40は、外周の延在方向に沿って濃淡が単調に変化している。なお、図11では、ハッチングによる描画の都合上、1つのマーク40における濃淡が段階的に変化した状態で図示されているが、1つのマーク40における濃淡は無段階に変化しているものとする。
また、被検出部12は、反射量がタイヤ2の周方向の一定の長さ毎に単調に増加あるいは減少するマーク40の部分で構成される変化部42と、複数のマーク40の境の箇所によって構成され、光の反射量が最小値から最大値に、あるいは、最大値から最小値に遷移する遷移部44とで構成されている。
【0038】
図12は、タイヤ2の回転角θと、輝度検出手段14によって検出された輝度Lとの関係を示す説明図である。
図12は、タイヤ2を1回転させた場合に、タイヤ2を正方向(車両6が前進する方向)あるいは逆方向(車両6が後退する方向)に360度回転させた場合に、輝度検出手段14によって検出される輝度Lを示している。
前述したように、被検出部12は、反射量がタイヤ2の周方向の一定の長さ毎に単調に増加あるいは減少する変化部42と、光の反射量が最小値から最大値に、あるいは、最大値から最小値に遷移する遷移部44とで構成されている。
したがって、輝度Lとタイヤ2の回転角θとの関係を示す波形S0は、被検出部12の変化部42と遷移部44とに対応した形状を呈している。
すなわち、波形S1は、傾斜部αと直線部βとからなる単位波形Wが繰り返されることで構成されている。
すなわち、傾斜部αは、タイヤ2の回転角θが増加するに従って輝度Lが最小値から単調に増加する部分である。
直線部βは、隣接する傾斜部αの最小値と傾斜部αの最大値とを結び輝度Lを示す縦軸と平行する部分である。
したがって、タイヤ2を正方向あるいは逆方向に回転させていくと、輝度Lは単位波形W1の繰り返しの波形として検出されることになる。
【0039】
次に、図14を参照してECU20の構成について説明する。
ECU20は、データテーブル手段28と、データテーブル作成手段30と、タイヤ角算出手段32Aと、リム回転角算出手段34と、リムずれ量算出手段36と、直近タイヤ角保持手段38とを含んで構成されている。
第2の実施の形態におけるタイヤ角算出手段32Aは第1の実施の形態と異なる構成を有し、また、第2の実施の形態では、直近タイヤ角保持手段38を新たに備えている。
データテーブル作成手段30と、タイヤ角算出手段32Aと、リム回転角算出手段34と、リムずれ量算出手段36と、直近タイヤ角保持手段38とは、CPU20Aが前記制御プログラムを実行することにより実現されるものである。
【0040】
データテーブル手段28は、第1の実施の形態と同様に、タイヤ2の1回転にわたって実測された複数のタイヤ2の回転角θと、該複数のタイヤ2の回転角θのそれぞれに対応して輝度検出手段14で検出された変位量とを対応付けたデータテーブルを記憶するものである。
このデータテーブルは、図12に示すように輝度Lとタイヤ2の回転角θとが関連付けられたデータで構成される。
【0041】
データテーブル作成手段30と、リム回転角算出手段34と、リムずれ量算出手段36とは第1の実施の形態と同様の構成であるため説明を省略する。
【0042】
タイヤ角算出手段32Aは、データテーブル手段28のデータテーブルに基づいて、輝度検出手段14で検出された輝度Lと、直近タイヤ角保持手段38で保持される直近の(直前の)タイヤ2の回転角θ0とに基づいてタイヤ2の回転角θを算出するものであり、この点が第1の実施の形態のタイヤ角算出手段32と相違している。
また、タイヤ角算出手段32Aが、初期化スイッチ26の操作によって供給される初期化信号を受け付けることにより、タイヤ2の回転角θをいったん0度にリセットし、それ以後は0度を基準としてタイヤ2の回転角θの算出を行う点は第1の実施の形態と同様である。
【0043】
直近タイヤ回転角保持手段38は、タイヤ回転角算出手段32Aによって新たなタイヤの回転角θが算出される毎に、該タイヤの回転角θを直近のタイヤ回転角θ0として更新して保持するものである。
【0044】
第2の実施の形態では、輝度検出手段14と、データテーブル手段28と、タイヤ回転角算出手段32Aと、直近タイヤ回転角保持手段38とによってタイヤ2の回転角θを検出するタイヤ回転角検出手段が構成されている。
また、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、ロータリーエンコーダ16およびリム回転角算出手段32によってリム4Bの回転角φを検出するリム回転角検出手段が構成されている。
【0045】
次に、第2の実施の形態のリムずれ量測定装置10の動作について説明する。
データテーブル作成手段30によるデータテーブルの作成処理およびデータテーブル手段28への格納処理は、第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0046】
次に、リムずれ量測定装置10によるタイヤ2の回転角θの検出動作について説明する。
使用者が初期化スイッチ26を操作することで、初期化信号がタイヤ角算出手段32Aとリム回転角算出手段34との双方に供給される(ステップS40)。
【0047】
リム回転角算出手段34は、初期化信号を受け付けると、その時点で検出されたリム4Bの回転角φを0度にリセットして出力し、以後、0度を基準としてリム4Bの回転角φを算出して出力する(ステップS42)。
【0048】
一方、タイヤ角算出手段32Aは、初期化信号を受け付けると、データテーブル手段28のデータテーブルを参照し、予め定められた値の回転角θ近傍で(例えば回転角θ=0度近傍で)輝度検出手段14から供給される輝度Lと合致するデータテーブル上の輝度Lを特定する。そして、特定した輝度Lに対応する回転角θを初期化用の仮の回転角θとしてデータテーブルから算出する(ステップS44)。
なお、本発明では、リムずれ量dをリムの回転角φとタイヤの回転角θとの差分により求めていることから、リムの回転角φおよびタイヤの回転角θを絶対的な角度で算出する必要はない。そのため、リムの回転角φおよびタイヤの回転角θとして任意の角度位置を基準とした相対的な角度が得られればリムずれ量dを算出することができる。
したがって、ステップS44において、「予め定められた値の回転角θ」は、0度以外の任意の角度であってもよい。
【0049】
直近回転角保持手段38は、ステップS44で算出された初期化用の仮の回転角θを直近の回転角θ0として更新して保持する(ステップS46)。
タイヤ角算出手段32Aは、ステップS44で算出した初期化用の仮の回転角θを0度にリセットして出力し、以後、タイヤ角算出手段32Aは、0度を基準としてタイヤ2の回転角θを算出して出力する(ステップS48)。
【0050】
車両6が走行してタイヤ2、リム4Bが回転すると、リム回転角算出手段34はリム4Bの回転角φを算出する(ステップS50)。
タイヤ角算出手段32Aは、検出された輝度Lと、直近の回転角θ0とに基づいてデータテーブルを参照して現時点での回転角θを算出し、該算出した回転角θを出力する(ステップS52)。
直近回転角保持手段38は、算出された回転角θを直近の回転角θ0として更新して保持する(ステップS54)。
【0051】
次いで、リムずれ量算出手段36は、リム回転角算出手段34から出力されるリム4Bの回転角φの予め定められた角度単位φ毎に、タイヤ2の回転角θとリム4Eの回転角φの差分をリムずれ量dとして算出して出力し(ステップS56)、ステップS50に戻り同様の処理を繰り返して実行する。
【0052】
タイヤ角算出手段32Aによる回転角θの算出動作について具体的に説明する。
タイヤ2が正方向あるいは逆方向に回転され、タイヤ2の回転角θが変化すると、輝度検出手段14から供給される輝度Lは、図12に示す波形S0に沿って増加し、あるいは、減少する。
本実施の形態では、タイヤ2が正方向に回転された場合、タイヤ2の回転角θが正の方向に変化することから、輝度Lは傾斜部αに沿って増加する方向に連続的に変化し、やがて輝度Lは最大値に至ると直線部βに沿って最小値に瞬間的に遷移し、再び輝度Lは傾斜部αに沿って増加する方向に連続的に変化する。
この場合、タイヤ2の正方向への回転が続く限り、輝度Lは上述のような変化を繰り返す。
これに対して、タイヤ2が逆方向に回転されると、タイヤ2の回転角θが負の方向に変化することから、輝度Lは傾斜部αに沿って減少する方向に連続的に変化し、やがて輝度Lは最小値に至ると直線部βに沿って最大値に瞬間的に遷移し、再び輝度Lは減少する方向に連続的に変化する。
この場合、タイヤ2の逆方向への回転が続く限り、輝度Lは上述のような変化を繰り返す。
上述のことを言い換えると、1つの傾斜部α上においては、タイヤ2の回転角θが増加すると輝度Lは増加し、タイヤ2の回転角θが減少すると輝度Lは減少する関係となる。
【0053】
一方、図12から明らかなように、同一の輝度Lに対して複数のタイヤ2の回転角θが対応することになるため、輝度Lが特定されただけでは真のタイヤ2の回転角θは特定されない。ここで真のタイヤ2の回転角θとは、0度から360度までの範囲の角度をいう。
そこで、本実施の形態では、タイヤ角算出手段32Aは、現在検出されている輝度Lが、データテーブル上の波形S0を構成する複数の傾斜部αのうち、どの傾斜部αに対応しているかを、直近のタイヤ2の回転角θ0に基づいて算出する。
そして、タイヤ角算出手段32Aは、波形S0のうちこの特定した傾斜部αを用いて、現在検出されている輝度Lに対応するタイヤ2の回転角θを真のタイヤ2の回転角θとして特定するようにしている。
また、本実施の形態では、上述したように、1つの傾斜部α上においては、タイヤ2の回転角θが増加すると輝度Lは連続的に増加し、タイヤ2の回転角θが減少すると輝度Lは連続的に減少する関係となる。
したがって、傾斜部αが特定されている限り、1つの輝度Lに2つ以上のタイヤ2の回転角θが対応するといったことがなく、輝度Lとタイヤ2の回転角θとが必ず一対一の関係となる。
そのため、輝度Lに基づいて真のタイヤ2の回転角θを的確に特定することができる。
【0054】
なお、被検出部12の各マーク40は、光の反射量がタイヤ2の側面2Eの一定の長さ毎に単調に増加あるいは減少するが、光の反射率の変化の向きが図10、図11とは逆になった場合は、波形S0の傾斜部αと直線部βとの位置関係も図12とは逆になり、具体的には図13に示すような位置関係となる。
この場合は、1つの傾斜部α上においては、タイヤ2の回転角θが増加すると輝度Lは連続的に減少し、タイヤ2の回転角θが減少すると輝度Lは連続的に増大する関係となる。
したがって、傾斜部αが特定されている限り、1つの輝度Lに2つ以上のタイヤ2の回転角θが対応するといったことがなく、輝度Lとタイヤ2の回転角θとが必ず一対一の関係となることは、図12の場合と同様である。
【0055】
以上説明したように第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、被検出部12の画像の検出結果に基づいてタイヤ2の回転角θを検出するようにしたため、耐久性を確保しつつリムずれ量を安定して測定する上で有利となる。
また、第1の実施の形態と同様に、リムずれ量算出手段によるリムずれ量dの算出は、リム回転角検出手段によって検出されるリム4Bの回転角φの予め定められた単位角度毎になされるようにしたので、タイヤ2の回転速度の影響を受けることなくリムずれ量dを的確に得る上で有利となる。
【符号の説明】
【0056】
2……タイヤ、4……ホイール、4B……リム、10……リムずれ測定装置、12……被検出部、14……輝度検出手段、20……マーク、22……粘着テープ、28……データテーブル手段、32、32A……タイヤ回転角算出手段、34……リム回転角算出手段、36……リムずれ量算出手段、38……直近タイヤ回転角保持手段、L……輝度、θ……タイヤ2の回転角、θ0……直近のタイヤ2の回転角、φ……リム4Bの回転角、d……リムずれ量。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールのリムにリム組みされたタイヤのリムに対するリムずれ量を測定するリムずれ測定装置およびリムずれ測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの性能評価項目の一つとしてホイールのリムにリム組みされたタイヤのリムに対するずれ量、すなわちリムずれ量がある。
従来、リムずれ量の測定方法としては、リム組みされたタイヤとリムとにマークを付けておき、それぞれのマークのずれ量を定規などで測定することによって行っている。
しかしながらこのような方法では、測定精度を確保する上で不利であり、また、リアルタイムにリムずれ量を測定することはできない。
そこで、ホイール側にリムずれ量測定装置を設け、リムずれ量測定装置によってタイヤに接触させたローラの回転角度をポテンショメータにより電気抵抗の変化量として検出し、その変化量をブリッジ回路を用いてリムずれ量として測定する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−71529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術は、タイヤにローラが接触するため、タイヤ試験機を用いてタイヤを回転させるといった環境においては特に問題はないものの、実際にテストコースなどの路上を走行する車両に適用した場合には、ローラやローラを支持する部材などに無理な力が繰り返して加わることから耐久性に劣り、リムずれ量を安定して測定する上で不利がある。
本発明は、上述した事情に鑑みなされたものであり、その目的は、耐久性を確保しつつリムずれ量を安定して測定する上で有利なリムずれ測定装置およびリムずれ測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は、ホイールのリムにリム組みされたタイヤの前記リムに対するリムずれ量を測定するリムずれ測定装置であって、前記リムの回転角を検出するリム回転角検出手段と、前記タイヤの回転角を検出するタイヤ回転角検出手段と、前記リムの回転角と前記タイヤの回転角との差分をリムずれ量として算出するリムずれ量算出手段とを備え、前記タイヤ回転角検出手段によるタイヤの回転角の検出は、前記タイヤの側面に前記タイヤの周方向に沿って設けられ、前記周方向に沿った一定の長さの領域の光の反射量が前記周方向に沿って単調に増加または減少する被検出部を撮像部で撮像し撮像された画像の検出結果に基づいてなされることを特徴とする。
また本発明は、ホイールのリムにリム組みされたタイヤの前記リムに対するリムずれ量を測定するリムずれ測定方法であって、前記タイヤの側面に前記タイヤの周方向に沿って、前記周方向に沿った一定の長さの領域の光の反射量が前記周方向に沿って単調に増加または減少する被検出部を設け、前記リムの回転角を検出するリム回転角検出ステップと、前記タイヤの回転角を検出するタイヤ回転角検出ステップと、前記リムの回転角と前記タイヤの回転角との差分をリムずれ量として算出するリムずれ量算出ステップとを含み、前記タイヤ回転角検出ステップによるタイヤの回転角の検出は、前記被検出部を撮像部で撮像し撮像された画像の検出結果に基づいてなされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、タイヤの側面にタイヤの周方向に沿って設けられ、周方向に沿った一定の長さの領域の光の反射量が周方向に沿って単調に増加または減少する被検出部の画像の検出結果に基づいてタイヤの回転角を検出し、このタイヤの回転角とリムの回転角との差分をリムずれ量として算出する。
したがって、タイヤに接触する部材が不要となることから耐久性を確保しつつリムずれ量を安定して測定する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】タイヤ2、ホイール4、リムずれ測定装置10の配置を示す説明図である。
【図2】タイヤ2の側面2Eに設けられた被検出部12と撮像部14Aとを示す説明図である。
【図3】第1の実施の形態に係るリムずれ測定装置10の構成を示す説明図である。
【図4】第1の実施の形態に係るリムずれ測定装置10の制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施の形態における被検出部12の一例を示す展開図である。
【図6】第1の実施の形態における被検出部12の他の例を示す展開図である。
【図7】第1の実施の形態におけるタイヤ2の回転角θと、輝度検出手段14によって検出された輝度Lとの関係を示す説明図である。
【図8】第1の実施の形態に係るリムずれ測定装置10におけるデータテーブルの作成処理を示すフローチャートである。
【図9】第1の実施の形態に係るリムずれ測定装置10の動作フローチャートである。
【図10】第2の実施の形態における被検出部12の一例を示す展開図である。
【図11】第2の実施の形態における被検出部12の他の例を示す展開図である。
【図12】第2の実施の形態におけるタイヤ2の回転角θと、輝度検出手段14によって検出された輝度Lとの関係を示す説明図である。
【図13】光の反射率の変化の向きが図8、図9とは逆になった場合におけるタイヤ2の回転角θと、輝度検出手段14によって検出された輝度Lとの関係を示す説明図である。
【図14】第2の実施の形態に係るリムずれ測定装置10の制御系の構成を示すブロック図である。
【図15】第2の実施の形態に係るリムずれ測定装置10の動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
以下、本発明によるリムずれ測定装置およびリムずれ測定方法の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、図1、図2を参照して本実施の形態のリムずれ測定装置10によってリムずれ量が測定されるタイヤ2と、タイヤ2がリム組みされるホイール4について説明する。
図2に示すように、タイヤ2は、トレッド部2Aと、このトレッド部2Aの両側に連続する左右のショルダー部2Bと、サイドウォール部2Cと、ビード部2Dとを含んで構成されている。
ホイール4は、円盤状のディスク4Aと、ディスク4Aの外周に沿って延在するリム4Bとを備える。
ディスク4Aは、その中央部が車両6(図1)の車軸(不図示)に設けられたハブ(不図示)にねじにより締結され、したがって、ホイール4は前記車軸と一体的に回転する。
リム4Bは、ウェル4Cと、ウェル4Cの両側に接続される一対のビードシート4Dと、各ビードシート4Dに接続される一対のリムフランジ4Eとを含んで構成されている。
タイヤ2のリム組みは、ビード部2Dをビードシート4Dおよびリムフランジ4Eに嵌合させてタイヤ2に内圧を付加することによってビード部2Dがビードシート4Dおよびリムフランジ4Eに圧着されることでなされる。
タイヤ2のリムずれは、ビード部2Dがビードシート4Dおよびリムフランジ4Eに対してタイヤ2の周方向にすべることで発生する。このようなリムずれは、例えば、車両の発進時あるいは制動時にタイヤ2とホイール4との間に作用する力によって生じる。
【0009】
タイヤ2の側面2Eには被検出部12が設けられている。
本明細書においてタイヤ2の側面2Eとは、ホイール4にリム組みされたタイヤ2をタイヤ軸方向から見て見える箇所をいい、具体的にはリム4Bの半径方向外側に露出するビード部2D、サイドウォール部2C、ショルダー部2Bの箇所である。本実施の形態では、被検出部12はサイドウォール部2Cに設けられている。
被検出部12は、タイヤ2の側面2Eにタイヤ2の周方向に沿って設けられ、周方向に沿った一定の長さの領域の光の反射量が周方向に沿って単調に増加または減少するものである。
図5、図6は、タイヤ2の周方向に沿って延在する被検出部12の全体を示す展開図である。なお、被検出部12は円弧状に延在しているが、図示の簡略化を図るため被検出部12を直線状として描いている。
本実施の形態では、図5、図6に示すように、被検出部12は、光の反射量がタイヤ2の周方向の沿って単調に増加あるいは減少する単一のマーク20を含んで構成され、マーク20はタイヤ2の一周に沿って設けられている。
すなわち、図5に示す例では、マーク20は、濃淡が均一であり、タイヤ2の周方向と直交する方向の幅がタイヤ2の周方向に沿って単調に変化している。
図6に示す例では、マーク20は、タイヤ2の周方向に沿って濃淡が単調に変化している。なお、図6では、ハッチングによる描画の都合上、マーク20における濃淡が段階的に変化した状態で図示されているが、マーク20における濃淡は無段階に変化しているものとする。
【0010】
本実施の形態では、タイヤ2の側面2Eの全周に、帯状の粘着テープ22(図5、図6)が粘着され、被検出部12は、粘着テープ22の表面に形成されている。
このような粘着テープ22を用いることにより、被検出部12を簡単にタイヤ2の側面2Eに設けることができるため、測定作業の容易化を図る上で有利となる。
なお、被検出部12をタイヤ2の側面2Eに設ける方法は任意であり、タイヤ2の側面2Eに転写することで被検出部12を形成してもよいし、タイヤ2の側面2Eに被検出部12を直接形成しても良い。
【0011】
次に、本実施の形態のリムずれ量測定装置10について説明する。
図3に示すように、リムずれ量測定装置10は、輝度検出手段14と、ロータリーエンコーダ16と、操作部18と、ECU20とを含んで構成されている。
【0012】
輝度検出手段14は、予め定められた測定箇所において被検出部12を撮像して濃淡画像を生成すると共に、図5、図6に示すように、濃淡画像のうち回転部2Dの外周方向に沿った一定幅の濃淡画像の領域である検出領域24に該当する画像の輝度を検出するものである。
輝度検出手段14は、撮像部14Aと、信号処理部14Bとを備えている。
撮像部14Aは、予め定められた測定箇所において被検出部12を撮像して濃淡画像を生成するものである。
このような撮像部14Aとして、複数の受光素子が格子状に配列され2次元の濃淡画像を生成するCCD、C−MOSセンサなど従来公知のさまざまな撮像素子が使用可能である。
信号処理部14Bは、撮像部14Aから供給される濃淡画像のうち検出領域24に該当する画像の輝度を検出するものである。
信号処理部14Bは、図3に示すように後述するECU20と別に設けても、あるいは、ECU20によって実現してもよい。
【0013】
なお、撮像部14Aは、2次元の濃淡画像を生成するものに限定されない。
撮像部14Aとして、複数の受光素子が直線状に配列され1次元の濃淡画像を生成するラインセンサを用いてもよい。
要するに、輝度検出手段14は、被検出部12を撮像して濃淡画像を生成すると共に、濃淡画像のうち検出領域24に該当する画像の輝度を検出するものであればよい。
【0014】
本実施の形態では、撮像部14Aは、図1、図2に示すように、車両6の車体の任意箇所に取着されたフレーム部材8に固定されているが、撮像部14Aを固定する箇所や固定手段は任意である。
【0015】
図7は、タイヤ2の回転角θと、輝度検出手段14によって検出された輝度Lとの関係を示す説明図である。
図7は、タイヤ2を1回転させた場合に、すなわち、タイヤ2を正方向(車両6が前進する方向)あるいは逆方向(車両6が後退する方向)に360度回転させた場合に、輝度検出手段14によって検出される輝度Lを示している。
前述したように、被検出部12は、光の反射量がタイヤ2の周方向に沿って単調に増加あるいは減少する単一のマーク20を含んで構成され、マーク20はタイヤ2の一周に沿って設けられているため、輝度検出手段14で検出される輝度Lはタイヤ2の回転角θに応じて単調に増加あるいは減少している。
したがって、タイヤ2を360度以上回転させていくと、輝度Lはタイヤ2の回転角θ=360度を1つの周期として繰り返しの波形として検出されることになる。
【0016】
ロータリーエンコーダ16は、ホイール4に連結された車軸の回転量に比例した数のパルスを検出信号として出力する回転角センサを構成するものである。
このような回転角センサとしてインクリメンタル型のロータリーエンコーダなど従来公知のさまざまなセンサが使用可能である。また、回転角センサとして車両に既設の車輪速センサを使用することもできる。
ロータリーエンコーダ16から出力された検出信号は、後述するようにリム回転角算出手段34(図4)に供給されリム回転角算出手段34によって検出信号からリム4Bの回転角φが算出される。
なお、インクリメンタル型のロータリーエンコーダ16に代えて、角度の絶対値に対応するコードデータを検出信号として出力するアブソリュート型のロータリーエンコーダを用いてもよい。その場合は、リム回転角算出手段34によってコードデータからリム4Bの回転角φが算出されるようにすればよい。
ロータリーエンコーダ16は、図示しない本体と、本体から突設された回転軸とを備え、回転軸が回転されることにより、本体から前記の検出信号が生成出力される。
本実施の形態では、図1に示すように、前記本体がフレーム部材8に取着され、前記回転軸がホイール4の中心に連結されることでホイール4と一体的に回転するように連結されている。
リム回転角算出手段34は、ロータリーエンコーダ16から供給された検出信号に基づいてリム4Bの回転角φを算出して出力するものである。
【0017】
なお、図1において符号10Aは、ECU20、信号処理部14B、操作部18を収容するケースを示し、ケース10Aもフレーム部材8に取着されている。
また、撮像部14Aで撮像された濃淡画像の画像信号は図示しないケーブルを介して信号処理部14Bに供給され、ロータリーエンコーダ16で生成された検出信号は図示しない他のケーブルを介してECU20のインターフェース20Eに供給されている。それらケーブルは、フレーム部材8に沿って配線されている。
【0018】
図3に示すように、操作部18は、使用者の操作に応じて生成した信号をECU20に供給するものである。
本実施の形態では、操作部18は、初期化スイッチ26を含んで構成されている。
初期化スイッチ26の機能については後述する。
【0019】
図3に示すように、ECU20は、CPU20Aと、制御プログラムなどを格納する第1のROM20Bと、データの再書き込みが可能な第2のROM20Cと、ワーキングエリアを提供するRAM20Dと、インターフェース部20Eなどがバスによって接続されたマイクロコンピュータによって構成されている。
インターフェース部20Eは、輝度検出手段14、ロータリーエンコーダ16、操作部18との間でインターフェースをとるものである。
【0020】
ECU20は、図4に示すように、データテーブル手段28と、データテーブル作成手段30と、タイヤ角算出手段32と、リム回転角算出手段34と、リムずれ量算出手段36とを含んで構成されている。
データテーブル手段28は、第2のROM20Cによって構成される。
データテーブル作成手段30と、タイヤ角算出手段32と、リム回転角算出手段34と、リムずれ量算出手段36とは、CPU20Aが前記制御プログラムを実行することにより実現されるものである。
【0021】
データテーブル手段28は、タイヤ2の1回転にわたって実測された複数のタイヤ2の回転角θと、該複数のタイヤ2の回転角θのそれぞれに対応して輝度検出手段14で検出された輝度Lとを対応付けたデータテーブルを記憶するものである。
このデータテーブルは、図7に示すように輝度Lとタイヤ2の回転角θとが関連付けられたデータで構成される。
【0022】
データテーブル作成手段30は、前記データテーブルを作成してデータテーブル手段28に格納するものである。
【0023】
タイヤ角算出手段32は、データテーブル手段28のデータテーブルに基づいて、輝度検出手段14で検出された輝度Lからタイヤ2の回転角θを算出して出力するものである。
本実施の形態では、タイヤ角算出手段32は、初期化スイッチ26の操作によって供給される初期化信号を受け付けることにより、タイヤ2の回転角θをいったん0度にリセットし、それ以後は0度を基準としてタイヤ2の回転角θの算出を行う。
【0024】
リム回転角算出手段34は、ロータリーエンコーダ16から供給された検出信号に基づいてリム4Bの回転角φを算出して出力する。
本実施の形態では、リム回転角算出手段34は、初期化スイッチ26の操作によって供給される初期化信号を受け付けることにより、リム4Bの回転角φをいったん0度にリセットし、それ以後は0度を基準として回転角φの算出を行う。
また、算出する回転角φの範囲は0度から360度までであり、リム4Bの回転が1回転を超えた場合には、上記の範囲を繰り返して算出する。
【0025】
リムずれ量算出手段36は、リム回転角算出手段34から出力されるリム4Bの回転角φと、タイヤ角算出手段32から出力されるタイヤ2の回転角θとの差分をリムずれ量dとして算出するものである。
本実施の形態では、リムずれ量算出手段36によりリムずれ量dの算出動作は、リム回転角算出手段34によって出力される回転角φの予め定められた単位角度φ毎に実行される。
すなわち、単位角度φが2度であれば、リム4Bの回転角φが0度、2度、4度、……、360度となる毎にリムずれ量算出手段36によるリムずれ量dの算出動作が実行される。
【0026】
リムずれ量算出手段36によって算出されたリムずれ量dは、ECU20のインターフェース部20Eを介して接続された不図示の外部装置、例えば、データロガーに供給され、データロガーに蓄積され、さまざまな評価に供される。
リムずれ量dのデータの形態は、デジタル信号であっても、あるいは、アナログ信号であってもよい。
【0027】
本実施の形態では、輝度検出手段14と、データテーブル手段28と、タイヤ回転角算出手段32とによってタイヤ2の回転角θを検出するタイヤ回転角検出手段が構成されている。言い換えると、前記タイヤ回転角検出手段によるタイヤ2の回転角θの検出は、タイヤ2の側面2Eにタイヤ2の周方向に沿って設けられ、周方向に沿った一定の長さの領域の光の反射量が周方向に沿って単調に増加または減少する被検出部12の画像の検出結果に基づいてなされる。
また、ロータリーエンコーダ16およびリム回転角算出手段32によってリム4Bの回転角φを検出するリム回転角検出手段が構成されている。
【0028】
次に、リムずれ量測定装置10の動作について図8、図9のフローチャートを参照して説明する。
まず、図8に示すように、リムずれ量測定装置10によるタイヤ2の回転角θの検出を行うに先立って、予めデータテーブルを作成してデータテーブル手段28に格納する処理を実行する。
なお、図1に示すように、予めタイヤ2はホイール4にリム組みされ、撮像部14Aおよびロータリーエンコーダ16の取り付けがなされているものとする。
使用者は、タイヤ2の回転角θを実測できるようにタイヤ2がリム組みされたホイール4に分度器を取着する(ステップS10)。
次に、使用者は、データ入力用の外部装置としてのパーソナルコンピュータをインターフェース部20Eに接続する(ステップS12)。
そして、使用者は、分度器を参照しつつホイール4を任意に定めた基準位置から例えば正方向に向かって所定角度、例えば5度回転させる毎に、前記パーソナルコンピュータを操作する。これにより、実測されたタイヤ2の回転角θは、前記パーソナルコンピュータを介してデータテーブル作成手段30に供給される(ステップS14)。
【0029】
データテーブル作成手段30は、前記の実測されたタイヤ2の回転角θを受け付ける毎に、該実測されたタイヤ2の回転角θと、そのとき輝度検出手段14で検出された輝度Lとを対応付けたデータをデータテーブル手段28に格納することで中間データテーブルを作成する(ステップS16)。具体的には、中間データテーブルのタイヤ2の回転角θは、所定角度の整数倍となっており、本例では、タイヤ2の回転角θ=0度、5度、10度、15度、20度、25度、30度、……、360度と離散的な値となっている。
【0030】
次に、データテーブル作成手段30は、前記パーソナルコンピュータから供給される前記の実測されたタイヤ2の回転角θが360度に到達したか否かを判定する(ステップS18)。
ステップS18の判定結果が否定であれば、データテーブル作成手段30はステップS14に戻る。
ステップS18の判定結果が肯定であれば、データテーブル作成手段30は中間データテーブルの作成を終了する。
中間データテーブルでは、タイヤ2の回転角θが離散的な値、本例ではタイヤ2の回転角θが5度毎であるため、タイヤ2の回転角θの分解能が低いものに留まっている。
そこで、より分解能の高いタイヤ2の回転角θの検出を行うため、データテーブル作成手段30は、中間データテーブルのタイヤ2の回転角θおよび輝度Lについて補間処理を行うことによりタイヤ2の回転角θおよび輝度Lの分解能をより高くした、例えば、タイヤ2の回転角θの分解能を1度としたデータテーブルを作成する(ステップS20)。なお、前記の補間処理としては従来公知のさまざまな補間方法が使用可能である。
【0031】
次に、補間されたタイヤ2の回転角θおよび輝度Lに基づいてタイヤ2の1回転分(回転角θの360度分)にわたってデータテーブルを作成する(ステップS22)。
タイヤ2の1回転分に対応したデータテーブルが作成されたならば、データテーブルをデータテーブル手段28に格納する(ステップS24)。
ここで、データテーブルは、図7に示すように輝度Lとタイヤ2の回転角θとが関連付けられたデータとなっている。
以上でデータテーブルを作成してデータテーブル手段28に格納する処理が終了する。
【0032】
次に、図9を参照してリムずれ量測定装置10によるリムずれ量の測定動作について説明する。
使用者が初期化スイッチ26を操作することで、初期化信号がタイヤ角算出手段32とリム回転角算出手段34との双方に供給される(ステップS30)。
【0033】
リム回転角算出手段34は、初期化信号を受け付けると、その時点で検出されたリム4Bの回転角φを0度にリセットして出力し、以後、0度を基準としてリム4Bの回転角φを算出して出力する(ステップS32)。
一方、タイヤ角算出手段32は、初期化信号を受け付けると、データテーブル手段28のデータテーブルを参照し、輝度検出手段14から供給される輝度Lと合致するデータテーブル上の輝度Lを特定する。そして、特定した輝度Lに対応するタイヤ2の回転角θをデータテーブルから特定し、この特定したタイヤ2の回転角θを0度にリセットし、以後、0度を基準としてタイヤ2の回転角θを算出して出力する(ステップS34)。
【0034】
車両6が走行してタイヤ2、リム4Bが回転すると、リム回転角算出手段34はリム4Bの回転角φを算出し、タイヤ角算出手段32はタイヤ2の回転角θを算出する(ステップS36)。
【0035】
次いで、リムずれ量算出手段36は、リム回転角算出手段34から出力されるリム4Bの回転角φの予め定められた角度単位φ毎に、タイヤ2の回転角θとリム4Eの回転角φの差分をリムずれ量dとして算出して出力し(ステップS38)、ステップS36に戻り同様の処理を繰り返して実行する。
なお、リムずれ量dの測定は、例えば、予め定められた走行速度において車両6を制動し、あるいは、予め定められた条件で車両6を発進させて行う。
【0036】
以上説明したように本実施の形態によれば、タイヤ2の側面2Eにタイヤ2の周方向に沿って設けられ、周方向に沿った一定の長さの領域の光の反射量が周方向に沿って単調に増加または減少する被検出部12の画像の検出結果に基づいてタイヤ2の回転角θを検出し、このタイヤ2の回転角θとリム4Bの回転角φとの差分をリムずれ量dとして算出するようにした。
したがって、被検出部12の画像の検出結果に基づいてタイヤ2の回転角θを検出するため、タイヤ2に接触する部材が不要となることから耐久性を確保しつつリムずれ量を安定して測定する上で有利となる。特に、実際にテストコースなどの路上を走行する車両においてリムずれ量dを測定する場合に有利となる。
また、本実施の形態では、リムずれ量算出手段によるリムずれ量dの算出は、リム回転角検出手段によって検出されるリム4Bの回転角φの予め定められた単位角度毎になされるようにした。
したがって、タイヤ2の回転速度の影響を受けることなくリムずれ量dを的確に得る上で有利となる。
【0037】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態に係るリムずれ測定装置10は、被検出部12の構成と、タイヤ回転角検出手段の構成とが第1の実施の形態と異なっている。
すなわち、第1の実施の形態では、タイヤ2の側面2Eに設けられる被検出部12のマーク20が単一であったが、第2の実施の形態では、図10、図11に示すように、被検出部12が複数のマーク40を含んで構成されている。なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分、部材には同一の符号を付してその説明を省略し、あるいは、簡単に行う。
第2の実施の形態では、被検出部12は、光の反射量がタイヤ2の周方向の一定の長さ毎に単調に増加あるいは減少する複数のマーク40を含んで構成されている。
すなわち、図10に示す例では、マーク40は、濃淡が均一であり、外周と直交する方向の幅が外周に沿って単調に変化している。
また、図11に示す例では、マーク40は、外周の延在方向に沿って濃淡が単調に変化している。なお、図11では、ハッチングによる描画の都合上、1つのマーク40における濃淡が段階的に変化した状態で図示されているが、1つのマーク40における濃淡は無段階に変化しているものとする。
また、被検出部12は、反射量がタイヤ2の周方向の一定の長さ毎に単調に増加あるいは減少するマーク40の部分で構成される変化部42と、複数のマーク40の境の箇所によって構成され、光の反射量が最小値から最大値に、あるいは、最大値から最小値に遷移する遷移部44とで構成されている。
【0038】
図12は、タイヤ2の回転角θと、輝度検出手段14によって検出された輝度Lとの関係を示す説明図である。
図12は、タイヤ2を1回転させた場合に、タイヤ2を正方向(車両6が前進する方向)あるいは逆方向(車両6が後退する方向)に360度回転させた場合に、輝度検出手段14によって検出される輝度Lを示している。
前述したように、被検出部12は、反射量がタイヤ2の周方向の一定の長さ毎に単調に増加あるいは減少する変化部42と、光の反射量が最小値から最大値に、あるいは、最大値から最小値に遷移する遷移部44とで構成されている。
したがって、輝度Lとタイヤ2の回転角θとの関係を示す波形S0は、被検出部12の変化部42と遷移部44とに対応した形状を呈している。
すなわち、波形S1は、傾斜部αと直線部βとからなる単位波形Wが繰り返されることで構成されている。
すなわち、傾斜部αは、タイヤ2の回転角θが増加するに従って輝度Lが最小値から単調に増加する部分である。
直線部βは、隣接する傾斜部αの最小値と傾斜部αの最大値とを結び輝度Lを示す縦軸と平行する部分である。
したがって、タイヤ2を正方向あるいは逆方向に回転させていくと、輝度Lは単位波形W1の繰り返しの波形として検出されることになる。
【0039】
次に、図14を参照してECU20の構成について説明する。
ECU20は、データテーブル手段28と、データテーブル作成手段30と、タイヤ角算出手段32Aと、リム回転角算出手段34と、リムずれ量算出手段36と、直近タイヤ角保持手段38とを含んで構成されている。
第2の実施の形態におけるタイヤ角算出手段32Aは第1の実施の形態と異なる構成を有し、また、第2の実施の形態では、直近タイヤ角保持手段38を新たに備えている。
データテーブル作成手段30と、タイヤ角算出手段32Aと、リム回転角算出手段34と、リムずれ量算出手段36と、直近タイヤ角保持手段38とは、CPU20Aが前記制御プログラムを実行することにより実現されるものである。
【0040】
データテーブル手段28は、第1の実施の形態と同様に、タイヤ2の1回転にわたって実測された複数のタイヤ2の回転角θと、該複数のタイヤ2の回転角θのそれぞれに対応して輝度検出手段14で検出された変位量とを対応付けたデータテーブルを記憶するものである。
このデータテーブルは、図12に示すように輝度Lとタイヤ2の回転角θとが関連付けられたデータで構成される。
【0041】
データテーブル作成手段30と、リム回転角算出手段34と、リムずれ量算出手段36とは第1の実施の形態と同様の構成であるため説明を省略する。
【0042】
タイヤ角算出手段32Aは、データテーブル手段28のデータテーブルに基づいて、輝度検出手段14で検出された輝度Lと、直近タイヤ角保持手段38で保持される直近の(直前の)タイヤ2の回転角θ0とに基づいてタイヤ2の回転角θを算出するものであり、この点が第1の実施の形態のタイヤ角算出手段32と相違している。
また、タイヤ角算出手段32Aが、初期化スイッチ26の操作によって供給される初期化信号を受け付けることにより、タイヤ2の回転角θをいったん0度にリセットし、それ以後は0度を基準としてタイヤ2の回転角θの算出を行う点は第1の実施の形態と同様である。
【0043】
直近タイヤ回転角保持手段38は、タイヤ回転角算出手段32Aによって新たなタイヤの回転角θが算出される毎に、該タイヤの回転角θを直近のタイヤ回転角θ0として更新して保持するものである。
【0044】
第2の実施の形態では、輝度検出手段14と、データテーブル手段28と、タイヤ回転角算出手段32Aと、直近タイヤ回転角保持手段38とによってタイヤ2の回転角θを検出するタイヤ回転角検出手段が構成されている。
また、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、ロータリーエンコーダ16およびリム回転角算出手段32によってリム4Bの回転角φを検出するリム回転角検出手段が構成されている。
【0045】
次に、第2の実施の形態のリムずれ量測定装置10の動作について説明する。
データテーブル作成手段30によるデータテーブルの作成処理およびデータテーブル手段28への格納処理は、第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0046】
次に、リムずれ量測定装置10によるタイヤ2の回転角θの検出動作について説明する。
使用者が初期化スイッチ26を操作することで、初期化信号がタイヤ角算出手段32Aとリム回転角算出手段34との双方に供給される(ステップS40)。
【0047】
リム回転角算出手段34は、初期化信号を受け付けると、その時点で検出されたリム4Bの回転角φを0度にリセットして出力し、以後、0度を基準としてリム4Bの回転角φを算出して出力する(ステップS42)。
【0048】
一方、タイヤ角算出手段32Aは、初期化信号を受け付けると、データテーブル手段28のデータテーブルを参照し、予め定められた値の回転角θ近傍で(例えば回転角θ=0度近傍で)輝度検出手段14から供給される輝度Lと合致するデータテーブル上の輝度Lを特定する。そして、特定した輝度Lに対応する回転角θを初期化用の仮の回転角θとしてデータテーブルから算出する(ステップS44)。
なお、本発明では、リムずれ量dをリムの回転角φとタイヤの回転角θとの差分により求めていることから、リムの回転角φおよびタイヤの回転角θを絶対的な角度で算出する必要はない。そのため、リムの回転角φおよびタイヤの回転角θとして任意の角度位置を基準とした相対的な角度が得られればリムずれ量dを算出することができる。
したがって、ステップS44において、「予め定められた値の回転角θ」は、0度以外の任意の角度であってもよい。
【0049】
直近回転角保持手段38は、ステップS44で算出された初期化用の仮の回転角θを直近の回転角θ0として更新して保持する(ステップS46)。
タイヤ角算出手段32Aは、ステップS44で算出した初期化用の仮の回転角θを0度にリセットして出力し、以後、タイヤ角算出手段32Aは、0度を基準としてタイヤ2の回転角θを算出して出力する(ステップS48)。
【0050】
車両6が走行してタイヤ2、リム4Bが回転すると、リム回転角算出手段34はリム4Bの回転角φを算出する(ステップS50)。
タイヤ角算出手段32Aは、検出された輝度Lと、直近の回転角θ0とに基づいてデータテーブルを参照して現時点での回転角θを算出し、該算出した回転角θを出力する(ステップS52)。
直近回転角保持手段38は、算出された回転角θを直近の回転角θ0として更新して保持する(ステップS54)。
【0051】
次いで、リムずれ量算出手段36は、リム回転角算出手段34から出力されるリム4Bの回転角φの予め定められた角度単位φ毎に、タイヤ2の回転角θとリム4Eの回転角φの差分をリムずれ量dとして算出して出力し(ステップS56)、ステップS50に戻り同様の処理を繰り返して実行する。
【0052】
タイヤ角算出手段32Aによる回転角θの算出動作について具体的に説明する。
タイヤ2が正方向あるいは逆方向に回転され、タイヤ2の回転角θが変化すると、輝度検出手段14から供給される輝度Lは、図12に示す波形S0に沿って増加し、あるいは、減少する。
本実施の形態では、タイヤ2が正方向に回転された場合、タイヤ2の回転角θが正の方向に変化することから、輝度Lは傾斜部αに沿って増加する方向に連続的に変化し、やがて輝度Lは最大値に至ると直線部βに沿って最小値に瞬間的に遷移し、再び輝度Lは傾斜部αに沿って増加する方向に連続的に変化する。
この場合、タイヤ2の正方向への回転が続く限り、輝度Lは上述のような変化を繰り返す。
これに対して、タイヤ2が逆方向に回転されると、タイヤ2の回転角θが負の方向に変化することから、輝度Lは傾斜部αに沿って減少する方向に連続的に変化し、やがて輝度Lは最小値に至ると直線部βに沿って最大値に瞬間的に遷移し、再び輝度Lは減少する方向に連続的に変化する。
この場合、タイヤ2の逆方向への回転が続く限り、輝度Lは上述のような変化を繰り返す。
上述のことを言い換えると、1つの傾斜部α上においては、タイヤ2の回転角θが増加すると輝度Lは増加し、タイヤ2の回転角θが減少すると輝度Lは減少する関係となる。
【0053】
一方、図12から明らかなように、同一の輝度Lに対して複数のタイヤ2の回転角θが対応することになるため、輝度Lが特定されただけでは真のタイヤ2の回転角θは特定されない。ここで真のタイヤ2の回転角θとは、0度から360度までの範囲の角度をいう。
そこで、本実施の形態では、タイヤ角算出手段32Aは、現在検出されている輝度Lが、データテーブル上の波形S0を構成する複数の傾斜部αのうち、どの傾斜部αに対応しているかを、直近のタイヤ2の回転角θ0に基づいて算出する。
そして、タイヤ角算出手段32Aは、波形S0のうちこの特定した傾斜部αを用いて、現在検出されている輝度Lに対応するタイヤ2の回転角θを真のタイヤ2の回転角θとして特定するようにしている。
また、本実施の形態では、上述したように、1つの傾斜部α上においては、タイヤ2の回転角θが増加すると輝度Lは連続的に増加し、タイヤ2の回転角θが減少すると輝度Lは連続的に減少する関係となる。
したがって、傾斜部αが特定されている限り、1つの輝度Lに2つ以上のタイヤ2の回転角θが対応するといったことがなく、輝度Lとタイヤ2の回転角θとが必ず一対一の関係となる。
そのため、輝度Lに基づいて真のタイヤ2の回転角θを的確に特定することができる。
【0054】
なお、被検出部12の各マーク40は、光の反射量がタイヤ2の側面2Eの一定の長さ毎に単調に増加あるいは減少するが、光の反射率の変化の向きが図10、図11とは逆になった場合は、波形S0の傾斜部αと直線部βとの位置関係も図12とは逆になり、具体的には図13に示すような位置関係となる。
この場合は、1つの傾斜部α上においては、タイヤ2の回転角θが増加すると輝度Lは連続的に減少し、タイヤ2の回転角θが減少すると輝度Lは連続的に増大する関係となる。
したがって、傾斜部αが特定されている限り、1つの輝度Lに2つ以上のタイヤ2の回転角θが対応するといったことがなく、輝度Lとタイヤ2の回転角θとが必ず一対一の関係となることは、図12の場合と同様である。
【0055】
以上説明したように第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、被検出部12の画像の検出結果に基づいてタイヤ2の回転角θを検出するようにしたため、耐久性を確保しつつリムずれ量を安定して測定する上で有利となる。
また、第1の実施の形態と同様に、リムずれ量算出手段によるリムずれ量dの算出は、リム回転角検出手段によって検出されるリム4Bの回転角φの予め定められた単位角度毎になされるようにしたので、タイヤ2の回転速度の影響を受けることなくリムずれ量dを的確に得る上で有利となる。
【符号の説明】
【0056】
2……タイヤ、4……ホイール、4B……リム、10……リムずれ測定装置、12……被検出部、14……輝度検出手段、20……マーク、22……粘着テープ、28……データテーブル手段、32、32A……タイヤ回転角算出手段、34……リム回転角算出手段、36……リムずれ量算出手段、38……直近タイヤ回転角保持手段、L……輝度、θ……タイヤ2の回転角、θ0……直近のタイヤ2の回転角、φ……リム4Bの回転角、d……リムずれ量。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイールのリムにリム組みされたタイヤの前記リムに対するリムずれ量を測定するリムずれ測定装置であって、
前記リムの回転角を検出するリム回転角検出手段と、
前記タイヤの回転角を検出するタイヤ回転角検出手段と、
前記リムの回転角と前記タイヤの回転角との差分をリムずれ量として算出するリムずれ量算出手段とを備え、
前記タイヤ回転角検出手段によるタイヤの回転角の検出は、
前記タイヤの側面に前記タイヤの周方向に沿って設けられ、前記周方向に沿った一定の長さの領域の光の反射量が前記周方向に沿って単調に増加または減少する被検出部を撮像部で撮像し撮像された画像の検出結果に基づいてなされる、
ことを特徴とするリムずれ測定装置。
【請求項2】
前記被検出部は、前記光の反射量が前記タイヤの周方向の一周に沿って単調に増加あるいは減少する単一のマークを含んで構成され、
前記タイヤ回転角検出手段は、
予め定められた測定箇所において前記撮像部により前記被検出部を撮像した画像から濃淡画像を生成すると共に、前記濃淡画像のうち前記周方向に沿った一定幅の前記濃淡画像の領域である検出領域に該当する画像の輝度を検出する輝度検出手段と、
前記タイヤの1回転にわたって実測された複数のタイヤ回転角と、該複数のタイヤ回転角のそれぞれに対応して前記輝度検出手段で検出された輝度とを対応付けたデータテーブルを記憶するデータテーブル手段と、
前記データテーブルに基づいて前記輝度検出手段で検出された輝度から前記タイヤ回転角を算出するタイヤ回転角算出手段とを備える、
ことを特徴とする請求項1記載のリムずれ測定装置。
【請求項3】
前記マークは、濃淡が均一であり、前記タイヤの周方向と直交する方向の幅が前記外周に沿って単調に変化する、
ことを特徴とする請求項2記載の回転角検出装置。
【請求項4】
前記マークは、前記タイヤの周方向に沿って濃淡が単調に変化する、
ことを特徴とする請求項2記載の回転角検出装置。
【請求項5】
前記被検出部は、前記光の反射量が前記タイヤの周方向の一定の長さ毎に単調に増加あるいは減少する複数のマークを含んで構成され、
前記タイヤ回転角検出手段は、
予め定められた測定箇所において前記撮像部により前記被検出部を撮像した画像から濃淡画像を生成すると共に、前記濃淡画像のうち前記周方向に沿った一定幅の前記濃淡画像の領域である検出領域に該当する画像の輝度を検出する輝度検出手段と、
前記タイヤの1回転にわたって実測された複数のタイヤ回転角と、該複数のタイヤ回転角のそれぞれに対応して前記輝度検出手段で検出された輝度とを対応付けたデータテーブルを記憶するデータテーブル手段と、
前記データテーブルに基づいて前記輝度検出手段で検出された輝度から前記タイヤ回転角を算出するタイヤ回転角算出手段と、
前記タイヤ回転角算出手段によって新たなタイヤ回転角が算出される毎に、該タイヤ回転角を直近のタイヤ回転角として更新して保持する直近タイヤ回転角保持手段とを備え、
前記タイヤ回転角算出手段による前記タイヤ回転角の算出は、前記輝度検出手段で検出された輝度と、前記直近のタイヤ回転角とに基づいてなされる、
ことを特徴とする請求項1記載のリムずれ測定装置。
【請求項6】
前記マークは、濃淡が均一であり、前記タイヤの周方向と直交する方向の幅が前記外周に沿って単調に変化する、
ことを特徴とする請求項5記載の回転角検出装置。
【請求項7】
前記マークは、前記タイヤの周方向に沿って濃淡が単調に変化する、
ことを特徴とする請求項5記載の回転角検出装置。
【請求項8】
前記複数のマークの境の箇所は、前記光の反射量が最小値から最大値に、あるいは、最大値から最小値に遷移する遷移部として形成されている、
請求項5乃至7に何れか1項記載の回転角検出装置。
【請求項9】
前記リムずれ量算出手段による前記リムずれ量の算出は、前記リム回転角検出手段によって検出される前記リムの回転角の予め定められた単位角度毎になされる、
ことを特徴とする請求項1乃至8に何れか1項記載のリムずれ測定装置。
【請求項10】
前記リム回転角検出手段は、
前記ホイールに連結された車軸の回転量に比例した数のパルスを検出信号として出力する回転角センサと、
前記検出信号に基づいて前記リム回転角を算出するリム回転角算出手段とを備える、
ことを特徴とする請求項1乃至9に何れか1項記載のリムずれ測定装置。
【請求項11】
前記タイヤの側面の周方向全周に帯状の粘着テープが粘着され、
前記被検出部は、前記粘着テープの表面に形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至10に何れか1項記載のリムずれ測定装置。
【請求項12】
ホイールのリムにリム組みされたタイヤの前記リムに対するリムずれ量を測定するリムずれ測定方法であって、
前記タイヤの側面に前記タイヤの周方向に沿って、前記周方向に沿った一定の長さの領域の光の反射量が前記周方向に沿って単調に増加または減少する被検出部を設け、
前記リムの回転角を検出するリム回転角検出ステップと、
前記タイヤの回転角を検出するタイヤ回転角検出ステップと、
前記リムの回転角と前記タイヤの回転角との差分をリムずれ量として算出するリムずれ量算出ステップとを含み、
前記タイヤ回転角検出ステップによるタイヤの回転角の検出は、前記被検出部を撮像部で撮像し撮像された画像の検出結果に基づいてなされる、
ことを特徴とするリムずれ測定方法。
【請求項1】
ホイールのリムにリム組みされたタイヤの前記リムに対するリムずれ量を測定するリムずれ測定装置であって、
前記リムの回転角を検出するリム回転角検出手段と、
前記タイヤの回転角を検出するタイヤ回転角検出手段と、
前記リムの回転角と前記タイヤの回転角との差分をリムずれ量として算出するリムずれ量算出手段とを備え、
前記タイヤ回転角検出手段によるタイヤの回転角の検出は、
前記タイヤの側面に前記タイヤの周方向に沿って設けられ、前記周方向に沿った一定の長さの領域の光の反射量が前記周方向に沿って単調に増加または減少する被検出部を撮像部で撮像し撮像された画像の検出結果に基づいてなされる、
ことを特徴とするリムずれ測定装置。
【請求項2】
前記被検出部は、前記光の反射量が前記タイヤの周方向の一周に沿って単調に増加あるいは減少する単一のマークを含んで構成され、
前記タイヤ回転角検出手段は、
予め定められた測定箇所において前記撮像部により前記被検出部を撮像した画像から濃淡画像を生成すると共に、前記濃淡画像のうち前記周方向に沿った一定幅の前記濃淡画像の領域である検出領域に該当する画像の輝度を検出する輝度検出手段と、
前記タイヤの1回転にわたって実測された複数のタイヤ回転角と、該複数のタイヤ回転角のそれぞれに対応して前記輝度検出手段で検出された輝度とを対応付けたデータテーブルを記憶するデータテーブル手段と、
前記データテーブルに基づいて前記輝度検出手段で検出された輝度から前記タイヤ回転角を算出するタイヤ回転角算出手段とを備える、
ことを特徴とする請求項1記載のリムずれ測定装置。
【請求項3】
前記マークは、濃淡が均一であり、前記タイヤの周方向と直交する方向の幅が前記外周に沿って単調に変化する、
ことを特徴とする請求項2記載の回転角検出装置。
【請求項4】
前記マークは、前記タイヤの周方向に沿って濃淡が単調に変化する、
ことを特徴とする請求項2記載の回転角検出装置。
【請求項5】
前記被検出部は、前記光の反射量が前記タイヤの周方向の一定の長さ毎に単調に増加あるいは減少する複数のマークを含んで構成され、
前記タイヤ回転角検出手段は、
予め定められた測定箇所において前記撮像部により前記被検出部を撮像した画像から濃淡画像を生成すると共に、前記濃淡画像のうち前記周方向に沿った一定幅の前記濃淡画像の領域である検出領域に該当する画像の輝度を検出する輝度検出手段と、
前記タイヤの1回転にわたって実測された複数のタイヤ回転角と、該複数のタイヤ回転角のそれぞれに対応して前記輝度検出手段で検出された輝度とを対応付けたデータテーブルを記憶するデータテーブル手段と、
前記データテーブルに基づいて前記輝度検出手段で検出された輝度から前記タイヤ回転角を算出するタイヤ回転角算出手段と、
前記タイヤ回転角算出手段によって新たなタイヤ回転角が算出される毎に、該タイヤ回転角を直近のタイヤ回転角として更新して保持する直近タイヤ回転角保持手段とを備え、
前記タイヤ回転角算出手段による前記タイヤ回転角の算出は、前記輝度検出手段で検出された輝度と、前記直近のタイヤ回転角とに基づいてなされる、
ことを特徴とする請求項1記載のリムずれ測定装置。
【請求項6】
前記マークは、濃淡が均一であり、前記タイヤの周方向と直交する方向の幅が前記外周に沿って単調に変化する、
ことを特徴とする請求項5記載の回転角検出装置。
【請求項7】
前記マークは、前記タイヤの周方向に沿って濃淡が単調に変化する、
ことを特徴とする請求項5記載の回転角検出装置。
【請求項8】
前記複数のマークの境の箇所は、前記光の反射量が最小値から最大値に、あるいは、最大値から最小値に遷移する遷移部として形成されている、
請求項5乃至7に何れか1項記載の回転角検出装置。
【請求項9】
前記リムずれ量算出手段による前記リムずれ量の算出は、前記リム回転角検出手段によって検出される前記リムの回転角の予め定められた単位角度毎になされる、
ことを特徴とする請求項1乃至8に何れか1項記載のリムずれ測定装置。
【請求項10】
前記リム回転角検出手段は、
前記ホイールに連結された車軸の回転量に比例した数のパルスを検出信号として出力する回転角センサと、
前記検出信号に基づいて前記リム回転角を算出するリム回転角算出手段とを備える、
ことを特徴とする請求項1乃至9に何れか1項記載のリムずれ測定装置。
【請求項11】
前記タイヤの側面の周方向全周に帯状の粘着テープが粘着され、
前記被検出部は、前記粘着テープの表面に形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至10に何れか1項記載のリムずれ測定装置。
【請求項12】
ホイールのリムにリム組みされたタイヤの前記リムに対するリムずれ量を測定するリムずれ測定方法であって、
前記タイヤの側面に前記タイヤの周方向に沿って、前記周方向に沿った一定の長さの領域の光の反射量が前記周方向に沿って単調に増加または減少する被検出部を設け、
前記リムの回転角を検出するリム回転角検出ステップと、
前記タイヤの回転角を検出するタイヤ回転角検出ステップと、
前記リムの回転角と前記タイヤの回転角との差分をリムずれ量として算出するリムずれ量算出ステップとを含み、
前記タイヤ回転角検出ステップによるタイヤの回転角の検出は、前記被検出部を撮像部で撮像し撮像された画像の検出結果に基づいてなされる、
ことを特徴とするリムずれ測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−73048(P2012−73048A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216379(P2010−216379)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
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