説明

リモートコントロール受光モジュール

【目的】EMI対策を講じつつ、さらに受光可能範囲を拡大し、いずれの位置から入射される光信号であっても電子機器の遠隔操作を可能とするリモートコントロール受光モジュールを提供する。
【構成】リモートコントローラより出力された光信号を受けて電子機器が制御されるリモートコントロール受光モジュールであって、リモートコントロール受光モジュールは、光信号を透過させる受光フィルタと、所定の入射角にて入射された光信号を通過させる開口部を備えるとともに、開口部を通過しない光信号を遮蔽する入射光制御部と、受光フィルタおよび開口部を通過した光信号を受信する受光部とから構成され、受光フィルタの受光部側であって、開口部の位置に対応する受光フィルタに曲率Rを有する凹部が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作により電子機器を操作するリモートコントローラからの光信号を受信するリモートコントロール受光モジュールに関するものであり、特に、テレビ受信機やビデオテープデッキ、DVDプレーヤやディジタル衛星放送受信装置等の電子機器に備えられ、リモートコントローラより出力される光信号を受信するリモートコントロール受光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のテレビ受信機やビデオテープデッキ、DVDプレーヤやディジタル衛星放送受信装置、または、テレビ受信機に接続して様々なサービスを受けられるようにする電子機器においては、リモートコントローラから出力される光信号を受信するリモートコントロール受光モジュールを内蔵することにより、これら電子機器におけるさまざまな操作を遠隔操作にて行うことができるようになっている。
【0003】
図6に示すものは一般的な電子機器の構成を示す図であり、図7に示すものは、従来の電子機器に設けられたリモートコントローラ受光モジュール700を説明する図である。
図6に示すように、電子機器600において、601は電子機器の筐体であり、602は筐体601の一側面に設置された受光フィルタである。また、筐体601内には複数の電子部品が搭載される基板(電子機器内搭載パッケージ)603が複数の電子部品とともに設置されており、受光フィルタ602側の基板603には、外部のリモートコントローラより出力された光信号を受信する受光部604が設けられている。
【0004】
図7は、図6におけるA−A線に係る断面図であり、図6と同じ構成には同一符号を付している。図7において、710はリモートコントローラより出力された光信号(信号波)、701はリモートコントローラより出力された光信号のうち、所定の入射角を有する光信号を遮断する入射光制御部であり、受光部604が設置された位置に対応する入射光制御部701には開口部702が設けられている。
【特許文献1】特開平9−93664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このように構成された従来のリモートコントロール受光モジュールにおいては、図7に示すように、受光フィルタ602から受光部604までの距離L1と開口部702の寸法L2により外部リモートコントローラから出力された光信号の受信可能範囲が入射角a0に制限されてしまう。
【0006】
ここで、受信可能範囲をさらに拡大するため、開口部702の寸法を大きくすることも考えられるが、開口部702の寸法を大きくしてしまうと、特に、リモートコントローラからの遠隔操作を可能にする他の電子機器が近くに複数台設置されることの多い、テレビ受信機やビデオテープデッキ、DVDプレーヤやディジタル衛星放送受信装置、または、テレビ受信機に接続して様々なサービスを受けられるようにするセットトップボックス等の電子機器の場合、例えば電源ON時に発生するノイズの影響を大きく受けることとなってしまい、結果として、EMI(電磁波障害:Electro Magnet Interference)対策に悪影響を及ぼしてしまう恐れがあった。
【0007】
また、受光フィルタ602から受光部604までの距離を短くすることも、受信可能範囲をさらに拡大するためには考えられるが、先の開口部702の寸法を大きくする場合と同様、ノイズの影響を大きく受けることとなり、結果として、EMI対策に悪影響を及ぼしてしまう恐れがあった。
【0008】
すなわち、従来のリモートコントロール受光モジュールでは、受光モジュールに入力されるリモートコントローラからの光信号における受信可能な範囲を拡大するとともに、EMI対策にも配慮したリモートコントロール受光モジュールを実現することが難しかった。
【0009】
そこで、本発明は、上述の従来例の課題に鑑み、EMI対策を講じつつ、さらに受光可能範囲を拡大し、いずれの位置から出力された光信号であっても電子機器の遠隔操作を可能とするリモートコントロール受光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明では、リモートコントローラより出力された光信号を受けて電子機器が制御されるリモートコントロール受光モジュールであって、リモートコントロール受光モジュールは、光信号を透過させる受光フィルタと、所定の入射角にて入射された光信号を通過させる開口部を備えるとともに、開口部を通過しない光信号を遮蔽する入射光制御部と、受光フィルタおよび開口部を通過した光信号を受信する受光部とを有し、受光フィルタの受光部側であって、開口部の位置に対応する受光フィルタに曲率Rを有する凹部が設けられている。
【0011】
この構成により請求項1に係る発明によれば、従来の筐体と開口部の寸法または受光フィルタから受光部までの距離を変えることなく、受光可能範囲を拡大することが可能となり、コスト増とならずにEMI対策にも配慮したリモートコントロール受光モジュールを実現することができる。
【0012】
また、請求項2に係る発明では、請求項1の発明において、開口部の側面に光信号を反射する反射部が設けられた構成を備えることにより、請求項1に係る発明の効果に加え、開口部を通過した光信号が反射を繰り返し受光部に入力されることとなるため、さらに光信号の受光可能範囲を拡大することが可能となる。
【0013】
請求項3に係る発明では、請求項2の発明において、反射部が受光フィルタと一体に成型されている。
この構成により請求項3に係る発明によれば、請求項2に係る発明の効果に加え、反射部を備えた受光フィルタの製造工程を簡単に製造することができるとともに、受光部と凹形状を有する受光フィルタとの位置決めを簡単に、また精度よく行うことが可能となる。
【0014】
請求項4に係る発明では、請求項1の発明における電子機器がセットトップボックスであり、特に、近くに同じようなリモートコントローラからの遠隔操作を可能にする他の電子機器が設置されることの多いセットトップボックスに請求項1の発明の曲率Rを有する凹形状の受光フィルタを設けることで、対策が必要となるEMIに対し、従来からの対策をそのまま用いることが可能となるため、請求項1の発明の効果に加え、新たな筐体開発のためのコスト、工数等が発生することがない。
【0015】
請求項5に係る発明では、請求項1の発明における受光フィルタが流し込み成型により形成されている。
この構成により、請求項5に係る発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、凹形状の曲率Rが均一になっている受光フィルタを容易に量産することができるようになり、結果として受光フィルタの製造コストを低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、開口部の寸法または受光部の位置を変更することなく、従来の筐体のままで受光可能範囲を拡大することが可能となるため、新たな筐体の開発コスト等をかける必要がなく、また、EMI対策を講じたリモートコントロール受光モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本願発明を実施するための最良の形態を示す。
【実施例1】
【0018】
以下、本発明の第1の実施形態について、図1−図3の図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態におけるリモートコントロール受光モジュール100の構成を示す説明図であり、図6のA−A線に係る断面から見た図となっている。
【0020】
図1に示すリモートコントロール受光モジュール100は、例えばテレビ受信機やビデオテープデッキ、DVDプレーヤやディジタル衛星放送受信装置、または、テレビ受信機に接続して様々なサービスを受けられるようにするセットトップボックス等の電子機器に設けられる。これらの電子機器は、電子機器を構成する複数の部品を搭載する基板と、その基板を収納する筐体101とを備えている。本発明の第1の実施形態におけるリモートコントロール受光モジュール100は、筐体101内に収納される基板に搭載され、且つリモートコントローラからの光信号を受信する受光部102と、リモートコントローラより出力された光信号(信号波110)のうち所定の入射角を有する光信号を通過させ、それ以外の光信号を遮断する入射光制御部103と、リモートコントローラより出力された光信号のうち特定の周波数成分だけを抽出し、受光部102へと透過させる受光フィルタ104とを有する。
【0021】
第1の実施形態のリモートコントロール受光モジュール100において、筐体101の一側面の表面には膜厚tの受光フィルタ104が設けられ、筐体101内には受光フィルタ104の内側面から所定の距離L1離間した位置に受光部102が配置されるよう位置が調整された基板が配置されている。また、受光フィルタ104の受光部102側には、受光部102側の受光フィルタ104を露出させる開口部105を備えた入射光制御部103が設けられている。なお、開口部105より露出した受光フィルタ104の形状は、曲率(曲率半径)Rを有した凹形状となっており、開口部105の平面形状は、円形の他、正方形・長方形・楕円形等の各形状を有する開口部であってもよい。
【0022】
図1において、外部のリモートコントローラより出力された信号波110は、受光可能範囲内の所定の入射角a1をもって受光フィルタ104に入射される。受光フィルタ104に入射された信号波110は、受光フィルタ104の屈折率により角度が変化され受光フィルタ104内を進む。受光フィルタ104通過後の信号波110は、角度θ1をもって受光部102に対し入射する。なお、角度θ0は従来の平板型受光フィルタを用いた場合における受光フィルタ通過後の信号波の角度である。
【0023】
なお、本実施形態では、塩化ビニル性樹脂により形成されたものを入射光制御部103として用い、その膜厚は約2.5[mm]である。
【0024】
また、本第1の実施形態の受光フィルタ104においては、遠隔操作の光信号として使用される赤外線(中心波長が940nm前後)であれば透過させ、他の波長を有する光信号の場合は透過させない(遮断する)特性を持ったアクリル樹脂成形材料を用いている。本実施形態で使用したアクリル樹脂成形材料の受光フィルタ104の屈折率は約1.5である。この他、本実施形態における受光フィルタの材料として、ポリメチルメタクリレート(PMMA:Poly(methyl methacrylate))、ポリカーボネート(PC:Polycarbonate)等の成形材料も用いることが可能である。なお、屈折率が1.0以上であれば、本発明の受光フィルタの材料として用いることが可能である。
【0025】
ここで受光フィルタ104の膜厚をt、受光フィルタ104内側面から受光部102までの距離をL1、入射光制御部103における開口部105の寸法、すなわち受光フィルタ104の横方向の信号通過距離をL2とし、本実施形態におけるリモートコントロール受光モジュールをt=2.0[mm]、L1=14.3[mm]、L2=11.5[mm]として、以下、従来のリモートコントロール受光モジュールと本発明のリモートコントロール受光モジュールにおける受光性試験についての説明を行う。
【0026】
図2はリモートコントロール受光モジュールにおける受光性試験の測定モード(A)を説明する図であり、図3はリモートコントロール受光モジュールにおける受光性試験の測定モード(B)を説明する図である。
【0027】
図2において、測定モード(A)は、受光モジュール100正面より5m離間した地点にリモートコントローラ301を設置し、ここでは、リモートコントローラ301から38kHz、940nmの光信号を出力させ、左右それぞれの受光可能入射角度(受光角度)を測定するものである。本受光性試験では、2つのリモートコントロールモジュール及び10個のリモートコントローラを使用して測定を行い、その平均値を求めた。なお、本受光性試験にて使用した本発明型リモートコントロール受光モジュールの受光フィルタに設けられた凹部106の曲率R値は14.5[mm]である。
【0028】
表1に、測定モード(A)における(a)従来型受光モジュール及び(b)発明型受光モジュールの測定結果を示す。
表1において、「aL」は左側の受光角度、「aR」は右側の受光角度、「aLR」は左右ともに合わせた受光角度である。
【表1】

【0029】
上記測定モード(A)の測定結果により、本発明に係る第1実施形態のリモートコントロール受光モジュールによれば、受光フィルタの膜厚tおよび横方向の信号通過距離L2により多少は変動するものの、従来の平板型受光フィルタを使用した同様のリモートコントロール受光モジュールにおける受光可能角度と比較して、左右それぞれの受光角度aL,aRで約6[°]ずつ、左右ともに合わせた受光角度aLRで約12[°]程度、光信号の受光可能範囲を拡大することが可能となることが分かる。つまり、本発明に係る第1実施形態のリモートコントロール受光モジュールにおいては、図1における片側の受光角度a1が、図7における従来の平板型受光フィルタを使用した同様のリモートコントロール受光モジュールの受光角度a0に比べて約1.3倍程度拡大される。
【0030】
次に、図3を用いて測定モード(B)における測定結果を説明する。
測定モード(B)では、受光モジュール100正面からの最大受光距離を測定する。図3において、測定モード(B)は、受光モジュール100正面より離間した位置にリモートコントローラ401を設置し、受光モジュール100正面からリモートコントローラ401間の距離を徐々に離していき、受光モジュール100がリモートコントローラ401からの光信号を受信する最大距離(測定距離L0)を測定するものである。本受光性試験においても、2つのリモートコントロールモジュール及び10個のリモートコントローラを使用して測定を行い、その平均値を求め、本発明型リモートコントロール受光モジュールには曲率R値:14.5[mm]の凹部106が形成された受光フィルタを用いて測定を行った。
【0031】
表2に、測定モード(B)における(a)従来型受光モジュール及び(b)発明型受光モジュールの測定結果を示す。
表2において、「L0」は受光モジュール100がリモートコントローラ401からの光信号を受信する最大距離を示している。
【表2】

【0032】
上記測定モード(B)の測定結果により、本発明に係る第1実施形態のリモートコントロール受光モジュールによれば、受光モジュール100正面からの最大受光距離L0は、従来の平板型受光フィルタを使用した同様のリモートコントロール受光モジュールにおける最大受光距離と比較して、約2[m]程度、最大受光距離が延長されることが分かる。これは、従来の平板型の受光フィルタにおいて、フィルタ正面に対する入射角が小さい信号ではフィルタ表面での屈折により受光部まで達せず減衰となっていたものが、本発明の凹部型の受光フィルタを採用することにより、従来の受光フィルタの場合と比べて、より小さい入射角を有する信号についても受光部まで到達させることが可能となり、結果として、減衰量が低減されて最大受光距離が延長されたためと考えられる。
【0033】
つまり、本発明に係る第1実施形態においては、光信号の受光可能範囲が拡大されるとともに、受光モジュール100正面からの最大受光距離を約1.3倍程度、延長可能なリモートコントロール受光モジュールを提供することが可能となる。
【0034】
以上、詳細に説明したように本発明の第1の実施形態におけるリモートコントロール受光モジュールによれば、従来の筐体と開口部の寸法または受光フィルタから受光部までの距離を変えることなく、受光可能範囲を拡大することが可能となり、また、受光モジュール100正面からの最大受光距離についても向上させることのできるリモートコントロール受光モジュールを提供することが可能となるため、結果として、EMI対策にも配慮したリモートコントロール受光モジュールを低コストで実現することが可能となる。
【0035】
特に、近くに同じようなリモートコントローラからの遠隔操作を可能にする他の電子機器が設置されるセットトップボックスに対して、本実施形態のリモートコントロール受光モジュールを用いれば、必須となるEMI対策に従来からの手段を採用することが可能となり、EMI対策のための新たな筐体開発コスト、及び工数等を発生させることなく、特有な効果を奏することが可能となる。
【0036】
さらに、本実施形態における凹部106を有した受光フィルタ104は、公知の流し込み技術により成型され形成されることが望ましい。予め凹部106を形成するための凸部が設けられた金型に受光フィルタ104の材料となるアクリル樹脂成形材料を注入し、硬化させることにより形成する。このような方法で受光フィルタ104を形成することにより、受光フィルタ104を量産して作製する場合においても凹部106の形状、つまり曲率R値を均一に保つことが可能となり、受光角度についてもある程度、精度よく制御することが可能となる。
【0037】
なお、本第1の実施形態においては、受光部102と反対側が平板型で、受光部102側の開口部105により露出された受光フィルタに凹部106が形成されたものを例に挙げて説明を行ったが、本発明におけるリモートコントロール受光モジュールでは、必ずしもこの形状の受光フィルタを用いる必要はなく、受光部102側の開口部105により露出された位置に凹部106が設けられ、受光部102と反対側の開口部105に対応した位置にも、例えば、受光フィルタ表面からの高さが約2[mm]程度(曲率半径R':20〜25[mm]程度)の凸部を有する受光フィルタを用いてもよい。この場合、平板−凹部の組み合わせの受光フィルタに比べて凸部−凹部の受光フィルタを用いるほうが、より広い受光角度を実現することも可能である。
【0038】
但し、受光部102と反対側にも曲率R'の凸形状を有する受光フィルタを用いて、より広い受光角度を得ようとする場合、受光部102の反対側に形成される凸部については曲率R'を大きくし過ぎてしまうと、受光フィルタを通過した光信号に角度がつきすぎて入射光制御部103の開口部106側面に吸収されてしまうため、受光角度を拡大することができない。よって、曲率R'の凸形状を有する受光フィルタの場合においては、受光フィルタの作製に際し高い精度が要求される。
【実施例2】
【0039】
次に、本発明の第2の実施形態におけるリモートコントロール受光モジュールについて説明する。図4は、本発明の第2の実施形態におけるリモートコントロール受光モジュール200の構成を示す説明図であり、図6のA−A線に係る断面から見た図である。なお、先述の第1の実施形態と同様の構成物には同一符号を付しその詳細な説明は省略する。
【0040】
本第2の実施形態におけるリモートコントロール受光モジュールと第1の実施形態におけるリモートコントロール受光モジュールとの構成の違いは、開口部105の側面に反射部401が設けられた受光フィルタ402を備える点にある。
【0041】
本実施形態において、反射部401は受光フィルタと同じ樹脂材料で一体成型にて形成されており、反射部401にて囲まれた領域に曲率R値を有する凹部406が設けられている。
【0042】
開口部105内に受光フィルタと一体成型された反射部401を備える受光フィルタ402が設けられることにより、第2の実施形態におけるリモートコントロール受光モジュールでは、リモートコントローラより正面から入射される光信号のうち、筐体101内に設置された受光部102に入射されない信号波でも開口部105内に設けられた反射部401により反射され受光部102に入射するようすることができる。
【0043】
図5は、第1の実施形態におけるリモートコントロール受光モジュールにおいて、リモートコントローラより正面から光信号が入射された場合での受光部102までの光信号の状態を示す図である。
【0044】
図5からも明らかなように、第1の実施形態のリモートコントロール受光モジュールにおいては、リモートコントローラからの光信号の受光角度を拡大させることはできるものの、正面からの信号に対して、受光部102に入射する信号波の総エネルギーが減少してしまう。
【0045】
これに対し、開口部105内に反射部401を備えた第2の実施形態のリモートコントロール受光モジュールでは、リモートコントローラより正面から入射される光信号のうち、筐体101内に設置された受光部102に入射されない信号波でも開口部105内に設けられた反射部401により反射され受光部102に入射するようにすることが可能となるため、結果として、受光部102に入射される信号波の損失量も少なくすることが可能となる。
【0046】
さらに、反射部401が受光フィルタの材料により凹形状を備えた受光フィルタと一体成型されていることにより、リモートコントロール受光モジュール組み立て工程において、受光フィルタ402に形成された凹部406と受光部102との位置合わせが容易に行えるとともに、位置ずれの生じないリモートコントロール受光モジュールを提供することが可能となる。
【0047】
なお、本第2の実施形態における受光フィルタ402においても、第1の実施形態における受光フィルタ104と同様、公知の流し込み技術により形成することが可能である。
【0048】
また、受光フィルタと同じ樹脂材料で形成された反射部の表面に、さらに反射率の高い金属膜(例えば、アルミ蒸着により形成した膜)を設けるようにすれば、入射角が45[°]程度の光信号についても開口部105内で受光フィルタを通過した光信号が反射されることとなり、結果として、受光部102まで光信号を到達させることが可能となり、さらに受光可能角度を広げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1の実施形態におけるリモートコントロール受光モジュールを示す構成断面図である。
【図2】第1の実施形態におけるリモートコントロール受光モジュールにおける受光性試験の測定モード(A)を説明する図である。
【図3】第1の実施形態におけるリモートコントロール受光モジュールにおける受光性試験の測定モード(B)を説明する図である。
【図4】第2の実施形態におけるリモートコントロール受光モジュールを示す構成断面図である。
【図5】第1の実施形態におけるリモートコントロール受光モジュールにおいて、リモートコントローラより正面から入射された光信号を示す図である。
【図6】リモートコントロール受光モジュールが設置される一般的な電子機器の構成を説明する図である。
【図7】従来の電子機器に設けられたリモートコントローラ受光モジュールを説明する図である。
【符号の説明】
【0050】
100 リモートコントローラ受光モジュール
101 筐体
102 受光部
103 入射光制御部
104 受光フィルタ
105 開口部
106 凹部
110 信号波

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモートコントローラより出力された光信号を受けて電子機器が制御されるリモートコントロール受光モジュールであって、
前記リモートコントロール受光モジュールは、
前記光信号を透過させる受光フィルタと、
所定の入射角にて入射された前記光信号を通過させる開口部を備えるとともに、前記開口部を通過しない前記光信号を遮蔽する入射光制御部と、
前記受光フィルタおよび前記開口部を通過した光信号を受信する受光部とを有し、
前記受光フィルタの前記受光部側であって、前記開口部の位置に対応する前記受光フィルタに曲率半径Rを有する凹部が設けられていることを特徴とするリモートコントロール受光モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のリモートコントロール受光モジュールにおいて、前記開口部の側面には前記光信号を反射する反射部が設けられていることを特徴とするリモートコントロール受光モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載のリモートコントロール受光モジュールにおいて、前記反射部は前記受光フィルタと一体に成型されていることを特徴とするリモートコントロール受光モジュール。
【請求項4】
請求項1に記載のリモートコントロール受光モジュールにおいて、前記電子機器は、セットトップボックスであることを特徴とするリモートコントロール受光モジュール。
【請求項5】
請求項1に記載のリモートコントロール受光モジュールにおいて、前記受光フィルタは、流し込み成型により形成されていることを特徴とするリモートコントロール受光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−237890(P2006−237890A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−47880(P2005−47880)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(503334150)株式会社沖テクノクリエーション (52)
【Fターム(参考)】