説明

リユース用シート状部材外装パネルの再生方法及び機器の再生方法

【課題】環境負荷を増加させることなく効率的に使用済み機器の外装部材の外観品質及び機能品質を新品部品同等とすることができるものとする。
【解決手段】画像形成装置を構成する給紙トレイ302の表面にシート状部材301を貼付してリユースする。シート状部材301は給紙トレイ302を形成する素材と相溶性を有すると共に貼付された給紙トレイ302表面が透けない不透明な素材で構成され、且つ、給紙トレイ302表面と同じ摩擦係数を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリユース用シート状部材外装パネルの再生方法及び機器の再生方法に係り、特に機器を構成する外装部材の表面に貼付されパネル部材を再使用可能とするリユース用シート状部材、リユース用シート部材を使用する外装パネルの再生方法、及び外装パネルの再生方法を具備する機器の再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、資源の有効利用を図るため、使用済みの複写機,複合機,プリンタを有効利用する要望がある。使用済み製品を有効利用する方法として、使用済み製品を再度商品として利用するリユース(再利用)と、使用済み製品を原材料の状態まで戻し新たな部品を製造するための材料や燃料として利用するリサイクルが行われている。
【0003】
使用済み機器に搭載されている部品の再使用について、今日モータや電子部品などの機能部品の再使用は進んでいるものの、外装部材は機器を使用している間に経時的に発生する変色や回収中に生じる傷や汚れなどにより再使用は難しいものとなっている。外装部材に変色や傷が発生した場合、機器の外観品質が損なわることになり、また、原稿や用紙等の紙を搬送するためのガイドを兼ねた外装部材に傷が発生した場合、紙が傷に引っ掛かり搬送路から外れて機器の搬送品質が損なわれことになるため、使用済み機器の外装部材を再使用することは難しい。
【0004】
現在外装部材を再使用する際、清掃や洗浄が行われている。この再生方法により使用時や回収時に生じた汚れを落とすことは可能であるが、作業には多くの工数を費やし、さらに機器の使用時に外装部材に変色や傷が発生した場合、清掃や洗浄で元の状態に戻すことはできない。
【0005】
この問題に対し、変色や傷が発生した外装部材の外観を塗装や補修により元の状態に近い状態に戻すことができるが、塗装や補修を行うためにはあらかじめ清掃や洗浄作業を行う必要があり、塗装・補修作業自体の工数よりさらに多くの工数が必要となる。また、塗装によりマテリアルリサイクルが阻害され環境負荷を増加させる可能性があり、資源を再使用/再利用し環境負荷を低減させる活動と逆行することとなる。
【0006】
画像形成装置等のリユースについては、次の出願がある。特許文献1には、機器の外装部材に多段状に凹部を設けることによって、外装部材を再使用する際、既に貼り付けてあったデカルを覆い隠す配置関係となるように新たなデカルを貼り付ける構成の機器が提案されている。これによれば、一度使用を終えた機械を再生する際、既に貼られていたデカルを剥がすことなく上から新しいデカルを貼り付けることにより、効率よく外装部材の外観品質を新品同様に再生することができる。
【0007】
また、特許文献2には、外装カバー基体の外観表面部全体に0.05mm厚程度の無色の透明フィルムを張りあわせておくに際して、外装カバーと透明フィルムとの剥離強度は、例えば、人の手による剥離が容易に可能な程度に調整しておき、透明フィルム、透明フィルムを張りあわせるために塗布する接着剤、及び外装カバー基体の材料は、互いに相溶性を有するものを使用するものが記載されている。
【0008】
また、特許文献3には第1の部品と、該部品に接着材を介して接合された第2の部品とを有するリサイクル可能な物品において、前記第1の部品と第2の部品を互いに相溶性のある熱可塑性樹脂により構成すると共に、前記接着材として、これに熱及び電磁波のうちの少なくとも一方を加えることによって、第1の部品に対する接着力が減少する特性を有する接着材を使用するものが記載されている
【特許文献1】特開2006−64936公報
【特許文献2】特開2000−66607公報、
【特許文献3】特開平10−119169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、外装カバーの中には、単に機器の外装をなすだけではなく、表面の特性に基づいて特定の機能を有するものがある。例えば給紙トレイや排紙トレイの用紙との接触面は用紙との間に所定の摩擦係数を有さなければ紙詰まりやスリップを起こすことがある。このような場合、特許文献1のように単に新たなデカル、フィルム等を貼るというだけでは紙詰まりや搬送不良等の不具合が生じることとなる。
【0010】
また、外装カバーに貼られたフィルムが、特許文献2のように、人手により容易に剥がすことができる程度の接着強度であるとすれば、フィルムの端部に上記のような給紙トレイや排紙トレイのように高頻度で用紙が摺動されるものでは、フィルムが剥れてしまい用紙の搬送を妨げることとなる。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、環境負荷を増加させることなく効率的に使用済み機器の外装部材の外観品質及び機能品質を新品部品同等とすることができるリユース用シート状部材外装パネルの再生方法及び機器の再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、リユース用シート状部材において、機器を構成する外装部材の表面に貼付されパネル部材を再使用可能とするリユース用シート状部材であって、前記外装部材を形成する素材と相溶性を有すると共に貼付された外装部材の表面が透けない不透明な素材で構成されている。
【0013】
請求項2の発明は、リユース用シート状部材において、前記パネル部材を形成する素材はABS樹脂又はPS樹脂であることを特徴とする請求項1記載のである。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載のリユース用シート状部材において、紙との摩擦係数が被貼着部材と同摩擦係数であることを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1乃至3記載のリユース用シート状部材を機器の外装を構成する外装部材のうち対象となる外装部材の表面に貼付することを特徴とする外装部材の再生方法である。
【0016】
請求項5の発明は、請求項4記載の外装部材の再生方法において、シート状部材を貼付するパネル部材は、給紙トレイ及び排紙トレイの少なくとも一方のトレイの外装部材であることを特徴とする。
【0017】
請求項6の発明は、請求項5記載の外装部材の再生方法において、前記シート状部材は、前記シート状部材が貼付される前記外装部材の用紙接触面に隣接する面わたって貼付されることを特徴とする。
【0018】
請求項7の発明は、請求項5乃至7のいずれか記載の外装部材の再生方法を具備することを特徴とする機器の再生方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、被貼着部材と互いに相溶性を有するため、再生された外装部材の再生処理時にシート状部材の剥離作業は不要となり、再生処理の作業が容易で工数を短縮することができ、かつ再生材料の特性の低下を抑制することができる。また、シート状部材は不透明で、外装部材の被貼付面全面を覆い隠すため、再使用対象となる外装パネルが回収された時点で外装パネルに生じている変色や傷を覆い隠すことができ、外装パネルの外観品質を変色や傷が生じる前と同等の状態にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下本発明を実施するための最良の形態としての実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0021】
以下本発明に係る機器の再生方法について説明する。まず再生の対象となる機器としての画像形成装置について説明する。
【0022】
図1は画像形成装置の概略構成を示す断面図である。画像形成装置100は、その略中央に、中間転写ユニットが配置され、該中間転写ユニットは、無端ベルトである中間転写ベルト10が備えられる。中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ14〜16に掛け廻されており、時計廻りに回動駆動される。第2の支持ローラ15の左に、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニングユニット17が配置される。
【0023】
第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15との間の中間転写ベルト10には、その移動方向に沿って、ブラック(K),イエロー(Y),マゼンタ(M)及びシアン(C)の、各色の、感光体ユニット40,チャージャユニット18、現像ユニット及びクリーニングユニットでなる作像装置20が配置され、作像装置20は、ICタグを備え、画像形成装置本体に対して脱着可能に装着されている。
【0024】
作像装置20の上方には、各色感光体ユニットの各感光体ドラムに画像形成するためのレーザ光を照射する書き込みユニット21が配置される。中間転写ベルト10の下方には、2次転写ユニット22が配置され、2次転写ユニット22は、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して、中間転写ベルト10を押し上げて第3の支持ローラ16に押し当てるように配置したものである。22次転写ユニット22の横側には、用紙上の転写画像を定着する定着ユニット25が配置され、トナー像が転写された用紙が送り込まれる。定着ユニット25は、無端ベルトである定着ベルト26に加熱,加圧ローラ27を押し当てたものである。2次転写ユニット22及び定着ユニット25の下方に、表面に画像を形成した直後の用紙を、裏面にも画像を記録するために表裏を反転して送り出すシート反転ユニット28が配置される。
【0025】
画像形成装置100の上部には自動原稿搬送装置(以下ADFという)130が装着されており、このADF130は図示しないヒンジを介して画像形成装置100に連結され、画像形成装置100に対して開閉自在となっている。操作部ユニットのスタートスイッチが押されると、ADF130の原稿給紙台30上に原稿があるときは、それをコンタクトガラス32上に搬送する。ADF130に原稿がないときにはコンタクトガラス32上の手置きの原稿を読むために、画像読取りユニット120のスキャナを駆動し、第1キャリッジ33及び第2キャリッジ34を読取り走査駆動する。そして、第1キャリッジ33上の光源からコンタクトガラスに光を発射するとともに原稿面からの反射光を第1キャリッジ33上の第1ミラーで反射して第2キャリッジ34に向け、第2キャリッジ34上のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサであるCCD36に結像する。読取りセンサ36で得た画像信号に基づいてK,Y,M,C各色記録データが生成される。
【0026】
また、スタートスイッチが押されることにより、中間転写ベルト10の回動駆動が開始されるとともに、作像装置20の各ユニットの作像準備が開始され、そして各色作像の作像シーケンスが開始されて、各色用の感光体ドラムに各色記録データに基づいて変調された露光レーザが投射され、各色作像プロセスにより、各色トナー像が中間転写ベルト10上に一枚の画像として重ね転写される。このトナー画像の先端が2次転写ユニット22に進入するときに同時に先端が2次転写ユニット22に進入するようにタイミングをはかって用紙が2次転写ユニット22に送り込まれ、これにより中間転写ベルト10上のトナー像が用紙に転写される。トナー像が移った用紙は定着ユニット25に送り込まれ、そこでトナー像が用紙に定着される。
【0027】
なお、上述の用紙は、給紙部110に配置された給紙トレイ44の給紙ローラ42の1つを選択回転駆動し、給紙ユニット43に多段に備える給紙トレイ44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚だけ分離して、搬送コロユニット46に入れ、搬送ローラ47で搬送して画像形成装置100内の搬送コロユニット48に導き、搬送コロユニット48のレジストローラ49に突き当てて止めてから、前述のタイミングで2次転写ユニット22に送り出されるものである。手差しトレイ51上に用紙を差し込んで給紙することもできる。ユーザが手差しトレイ51上に用紙を差し込んでいるときには、画像形成装置100が給紙ローラ50を回転駆動して手差しトレイ51のシートの一枚を分離して手差し給紙路53に引き込み、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。この手差しトレイ51は画像形成装置本体に対して回転して収納可能に構成される。
【0028】
定着ユニット25で定着処理を受けて排出される用紙は、切換爪55で排出ローラ56に案内して排紙トレイ57上にスタックされる。又は、切換爪55でシート反転ユニット28に案内して、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出される。
【0029】
一方、画像転写後の中間転写ベルト10上に残留する残留トナーは、中間転写体クリーニングユニット17で除去され、再度の画像形成に備えられる。
【0030】
次に実施例に係るリユース用シート状部材について説明する。図2は実施例に係るシート状部材の構成を模式的に示す斜視図である。リユース用シート状部材(以下単にシート状部材201という)は所定の厚さ(例えば厚さ0.1mm程度)に形成されている。またシート状部材201は、「プラスカバーPSケシ25FL」から構成される。この「プラスカバーPSケシ25FL」は外装部材として使用されるABS材及びPS材と相溶性を有しており、外装部材との重量比が1%以内のものとして構成されれば、外装部材とともに溶融させてリサイクルすることができる。
【0031】
本例では、シート状部材201の表面形状は、用紙や原稿との摩擦係数がシート状部材201の貼り付けられる外装部材202と同じとなるように、シート状部材201の表面にエンボス加工やサンドブラスト加工,マット加工を施しシボ形状や梨地形状,その他の形状に加工することにより凹凸としている。これにより、紙の搬送時にシート状部材201と元の外装部材202の摩擦係数が異なることによって発生する紙詰まりやスリップを防止している。
【0032】
また、シート状部材201は不透明に形成されている。このため、シート状部材201は外装部材202の表面の状態、例えば汚れや傷を覆い隠すことができる。また、シート状部材201を外装部材202と同色にしておけば、シート状部材201が他のシート状部材が貼付されない部分と一体化して目立つことがない。
【0033】
以上のように構成されたシート状部材201が市場より回収された機器の再生処理時に、外装部材202に貼り付けられることにより、外装部材202が変色や傷により外観品質や搬送品質が損なわれた場合であっても、シート状部材201が外装部材202表面全体を覆い、外観品質及び搬送品質を変色や傷が発生する前の状態とすることができる。シート状部材201は外装部材202と相溶性を有するため、外装部材202と共に再生処理する場合においても、再生材料の特性の低下を防ぐことが可能である。
【0034】
シート状部材201が貼付される外装部材の種別及びその具体的な形状や構造及び貼り付け方法等は任意であり、実施に際して適宜変更される。
【0035】
次に外装部材の再生方法について具体的に説明する。図3は実施例に係る外装部材の再生方法を示す斜視図である。本例は、樹脂製の外装パネルで構成される給紙トレイ302を有する給紙ユニット303を対象とする。市場より回収された機器の再使用処理時に、シート状部材301を給紙トレイ302の用紙搬送面302aの全面を覆う配置で貼り付けられる。
【0036】
市場より回収された機器においては、外装カバー上面や前面で集中的に変色や傷,汚れが発生しているため、シート状部材301を機器の外装カバー上面や前面の必要な部分だけに貼り付けるものとしている。これにより、シート状部材301を外装カバー全体に貼付することなくシート状部材のコストや作業工数を抑え、低コストでリユースが可能なものとしている。
【0037】
また、本例ではシート状部材301は給紙トレイ302の用紙搬送面302aに隣接する端面302bまで回り込ませて貼り付けられる。このとき回り込ませる量は用紙搬送面302aに隣接する端面302bの全長bの1/2以上とすることが望ましい。本例では、貼付したシート状部材の端部に搬送中の紙が引っ掛かることによって紙の搬送を妨げたり、シート状部材が剥れることによって外観を損ねたりすることを防ぐことができる。
【0038】
図1に示した画像形成装置のように手差しトレイ51が画像形成装置本体に対して開閉可能な機構を有する場合、開閉の軸となる可動部周辺や外装カバーと外装カバーの連結部周辺にはシート状部材を貼り付けないこととし、ユーザの頻繁な開閉動作によりシート状部材が剥れたり破れたりすることを防止することができる。
【0039】
シート状部材301は接着剤や粘着剤,シート状部材の各面に接着剤層を設けてなる両面接着シート等のうち、好ましくは外装部材の再生処理時に再生材料の特性に影響を与えない接着手段によって給紙トレイ302と接着され、給紙トレイ302上に貼り付けられたシート状部材301の上を給紙ユニット303のガイド等が摺動しても簡単に剥れない程度の接着力を保持するものとしている。
【0040】
以上のように市場より回収された機器の再生処理に際して、給紙トレイ302にシート状部材301を貼り付けることにより、給紙トレイ302が変色や傷により外観品質や搬送品質が損なわれた場合であっても、シート状部材301が給紙トレイ302を覆うため、外観品質及び搬送品質を変色や傷が発生する前の状態と同等の状態とすることができる。さらにシート状部材301は給紙トレイ302と相溶性を有するため、給紙トレイ302と共に再生処理する場合においても、再生材料の特性の低下を防ぐことが可能である。
【0041】
図4は他の実施の形態に係る外装部材の再生方法を示す斜視図である。本例は樹脂製の排紙トレイ402を備える排紙部403を再生する例である。市場より回収された機器の再使用処理時に、シート状部材401を排紙トレイ402の用紙搬送面全面を覆うように貼り付けられる。
【0042】
本例では、シート状部材401は排紙トレイ402の用紙搬送面402a以外の用紙搬送面402aに隣接する面402bまで回り込ませて貼り付けられている。このとき排紙トレイ402の端面402bにまで回り込ませる量は用紙搬送面402aに隣接する端面402bの全長dの1/2以上としている。これによりシート状部材401の端部に搬送中の紙が引っ掛かることによって紙の搬送を妨げたり、シート状部材401が剥れることによって外観を損ねたりすることを防ぐことができる。
【0043】
また、シート状部材401は接着剤や粘着剤,シート状部材の各面に接着剤層を設けてなる両面接着シート等のうち、好ましくは外装部材の再生処理時に再生材料の特性に影響を与えない接着手段により排紙トレイ402と接着され、排紙トレイ402上に貼り付けられたシート状部材401の上を排紙トレイ402のガイド等が摺動しても簡単に剥れない程度の接着力を有するものとする。
【0044】
以上のように市場より回収された機器の再生処理時、排紙トレイ402にシート状部材401を貼り付けることにより、排紙トレイ402が変色や傷により外観品質や搬送品質が損なわれた場合であっても、シート状部材401が排紙トレイ402側面全体を覆うため、外観品質及び搬送品質を変色や傷が発生する前の状態と同等の状態とすることができる。さらにシート状部材401は排紙トレイ402と相溶性を有するため、排紙トレイ402と共に再生処理する場合においても、再生材料の特性の低下を防ぐことができる。
【0045】
次にその他の例について説明する。図5はその他の例に係る外装部材の再生方法を示す斜視図である。本例は、給紙トレイ502を備えたADF503を対象とする。市場より回収された機器の再使用処理時に、シート状部材401が排紙トレイ502の用紙搬送面502a全面と、給紙トレイ502に隣接する端面502bを覆うように貼り付けられる。このとき端面502bに回り込ませる量は、端面502bの全長fの1/2以上とする。これにより、シート状部材の端部に搬送中の紙が引っ掛かることによって紙の搬送を妨げたり、シート状部材が剥れることによって外観を損ねたりすることを防ぐことができる。
【0046】
市場より回収された機器においては、排紙トレイ502はその前面で集中的に変色や傷,汚れが発生しているため、シート状部材501を排紙トレイ502の上面や前面の必要な部分のみに貼り付けることにより部品コストや作業工数を抑えることができる。
【0047】
給紙トレイ502が開閉動可能な機構を有する場合、開閉の軸となる可動部周辺や外装カバーと外装カバーの連結部周辺にはシート状部材を貼り付けないこととし、ユーザの頻繁な開閉動作によりシート状部材が剥れたり破れたりすることを防止しすることが望ましい。
【0048】
シート状部材501は接着剤や粘着剤,シート状部材の各面に接着剤層を設けてなる両面接着シート等のうち、好ましくは外装部材の再生処理時に再生材料の特性に影響を与えない接着手段により給紙トレイ502に接着され、給紙トレイ502上に貼り付けられたシート状部材501の上をADF503のガイド504等が摺動しても簡単に剥れない程度の接着力を保持している。
【0049】
シート状部材は上述したように、所定の厚さ(厚さ0.1mm程度)に形成されており、シート状部材501が一般的に多くの機器の外装部材に使用されているABS材又はPS材であるので、シート状部材501は「プラスカバーPSケシ25FL」を材料として形成することが好ましい。「プラスカバーPSケシ25FL」はABS材及びPS材と相溶性を有しており、外装部材との重量比が1%以内であると外装部材とともに溶融させてリサイクルすることができる。
【0050】
シート状部材501の表面形状は、紙との摩擦係数がシート状部材が貼り付けられる前の外装部材の当初の摩擦係数と同じなるように、シート状部材501の表面にエンボス加工やサンドブラスト加工,マット加工を施しシボ形状や梨地形状,その他の形状に加工することにより凹凸を形成することが好ましく、紙の搬送時にシート状部材と元の外装部材の摩擦係数が異なることによって紙詰まりやスリップが発生することを防止している。
【0051】
以上のように市場より回収された機器の再生処理時、給紙トレイ502にシート状部材501を貼り付けることにより、給紙トレイ502が変色や傷により外観品質や搬送品質が損なわれた場合であっても、シート状部材501が給紙トレイ502を覆うため、外観品質及び搬送品質を変色や傷が発生する前の状態と同等の状態とすることができる。さらにシート状部材501は給紙トレイ502と相溶性を有するため、給紙トレイ502と共に再生処理する場合においても、再生材料の特性の低下を防ぐことが可能である。
【0052】
なお、各実施の形態で示したシート状部材の具体的な形状や構造,貼り付け方法等は任意であり、実施に際して特許請求の範囲に記載した事項の範囲内で種々の変更や修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】実施例に係るシート状部材の構成を模式的に示す斜視図である。
【図3】実施例に係る外装部材の再生方法を示す斜視図である。
【図4】他の例に係る外装部材の再生方法を示す斜視図である。
【図5】その他の例に係る外装部材の再生方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
10 中間転写ベルト
14〜16 支持ローラ
17 中間転写体クリーニングユニット
18 チャージャユニット
20 作像装置
21 ユニット
22 2次転写ユニット
23 ローラ
24 2次転写ベルト
25 定着ユニット
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転ユニット
30 原稿給紙台
32 コンタクトガラス
33 第1キャリッジ
34 第2キャリッジ
35 結像レンズ
36 センサ
40 感光体ユニット
42 給紙ローラ
43 給紙ユニット
44 給紙トレイ
45 分離ローラ
46 搬送コロユニット
47 搬送ローラ
48 搬送コロユニット
49 レジストローラ
50 給紙ローラ
51 トレイ
53 給紙路
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排紙トレイ
100 画像形成装置
110 給紙部
120 ユニット
130 自動原稿搬送装置(ADF)
201 シート状部材(リユース用シート状部材)
202 外装部材
301 シート状部材(リユース用シート状部材)
302 給紙トレイ
302a 用紙搬送面
302b 端面
303 給紙ユニット
401 シート状部材(リユース用シート状部材)
402 排紙トレイ
402a 用紙搬送面
402b 端面
403 排紙部
403 排紙トレイ
501 シート状部材(リユース用シート状部材)
502 給紙トレイ
502a 用紙搬送面
502b 端面
504 ガイド



【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器を構成する外装部材の表面に貼付されパネル部材を再使用可能とするリユース用シート状部材であって、前記外装部材を形成する素材と相溶性を有すると共に貼付された外装部材の表面が透けない不透明な素材で構成されていることを特徴とするリユース用シート状部材。
【請求項2】
前記パネル部材を形成する素材はABS樹脂又はPS樹脂であることを特徴とする請求項1記載のリユース用シート状部材。
【請求項3】
紙との摩擦係数が被貼着部材と同摩擦係数であることを特徴とする請求項1又は2記載のリユース用シート状部材。
【請求項4】
請求項1乃至3記載のリユース用シート状部材を機器の外装を構成する外装部材のうち対象となる外装部材の表面に貼付することを特徴とする外装部材の再生方法。
【請求項5】
シート状部材を貼付するパネル部材は、給紙トレイ及び排紙トレイの少なくとも一方のトレイの外装部材であることを特徴とする請求項4記載の外装部材の再生方法。
【請求項6】
前記シート状部材は、前記シート状部材が貼付される前記外装部材の用紙接触面に隣接する面わたって貼付されることを特徴とする請求項5記載の外装部材の再生方法。
【請求項7】
請求項5乃至7のいずれか記載の外装部材の再生方法を具備することを特徴とする機器の再生方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−32672(P2010−32672A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193089(P2008−193089)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】