説明

リライタブルプリンタ

【課題】短寸法のリライタブル用紙を使用する場合にリライタブル用紙の消去から印刷完了までの時間を短くする。
【解決手段】最大リライタブル用紙P1より短い寸法の短寸法リライタブル用紙SPを使用する際には、印刷部160を筐体11に固定する印刷部固定機構190を使用して印刷部160を消去部150に近づく位置に移動して固定して、ローラ配置部110に配置された複数のローラ部材111,112,113,114のうち消去部に近いローラ部材112をプラテンローラとして機能させると共にその上流のローラ部材113を搬送ローラとして機能させ印刷を行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリライタブルプリンタに係り、特に筐体に配置され加熱によって印刷及び消去ができるカットシート状のリライタブル媒体の消去を行う消去部と、前記消去部と前記リライタブル媒体のうち最大であるリライタブル媒体の搬送方向の長さ寸法より大きい間隔を隔てて筐体に配置されサーマルヘッドを備えて前記リライタブル媒体の印刷を行う印刷部と、前記リライタブル媒体の下面に接触して前記リライタブル媒体を搬送する複数のローラ部材を備えるローラ配置部と、を備えるリライタブルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱による印刷及び消去が可能なリライタブル用紙が実用化されている。リライタブル用紙は、用紙の表面にロイコ染料や顕色剤などを含む可逆性感熱記録層が重層されており、加熱後の急冷によって印刷内容が定着し、加熱後の徐冷によって印刷内容が消去されるという特性を有している。
【0003】
リライタブル用紙に印刷された印刷内容の消去は、消去装置によって行われる。消去装置は、所定の印刷内容が印刷されたリライタブル用紙をピックアップローラ等により一枚ずつピックアップし、ヒートローラなどの発熱体からリライタブル用紙の特性に応じた印刷内容の消去に必要な熱エネルギーを加えた後、徐冷することで印刷内容を消去する。
【0004】
また、リライタブル用紙への印刷は、例えば、サーマルヘッドを備えた印刷データに基づく印刷を行う印刷装置によって行われる。印刷装置では、サーマルヘッドの発熱素子によるリライタブル媒体の加熱温度が消去のための加熱温度よりも高温に設定され、これによって加熱後の急冷を実現している。
【0005】
近年では、リライタブル用紙の搬送経路の上流側に消去装置を配置し、下流側にサーマルヘッドを備える印刷装置を配置して構成され、リライタブル用紙の印刷内容を消去した後にただちに印刷を行うことができるリライタブルプリンタが実現されている。
【0006】
このようなリライタブルプリンタとして次のものがある。図5は従来のリライタブルプリンタを示す概略断面図である。
【0007】
このリライタブルプリンタ200は、定尺寸法に切断されたリライタブル用紙Pを使用するものである。リライタブルプリンタ200の内部には、リライタブル媒体としてのリライタブル用紙Pを案内する媒体通路としての用紙通路210が形成されている。用紙通路210は、用紙収納部220と用紙発行口230とを連絡しており、その途中に、消去装置である消去部250と印刷装置である印刷部260とがそれぞれ配置されている。消去部250の配置位置は上流側、印刷部260の配置位置は下流側となる。
【0008】
用紙収納部220には、昇降自在に設けられたリフタ221が設けられている。リフタ221は、複数枚のリライタブル用紙Pを積層状態で載置支持可能である。
【0009】
用紙収納部220には、リフタ221に載置されている最上位のリライタブル用紙Pを用紙通路210に給送する給紙機構240が設けられている。給紙機構240は、リフタ221に載置されている最上位のリライタブル用紙Pのみが用紙通路210に給送されるようにする。
【0010】
給紙機構240は、ピックアップローラ241及びリバース方式の分離機構242からなる。ピックアップローラ241は、その回転によってリフタ221に載置されている最上位のリライタブル用紙Pに給送力を付与する。分離機構242は、ピックアップローラ241の回転によって重送される下位のリライタブル用紙Pを分離し、最上位のリライタブル用紙Pのみを用紙通路210に給送する。このような用紙分離は、分離機構242が有しているリバースローラ243の給送方向とは逆方向の回転によってなされる。
【0011】
消去部250は、用紙通路210を介して対向配置されているヒートローラ251とプレスローラ252とを備えて構成されている。ヒートローラ251は用紙通路210の上方位置に、プレスローラ252は用紙通路210の下方位置にそれぞれ配置されている。
【0012】
印刷部260はサーマルヘッド261と、このサーマルヘッド261に対向する位置に配置されたプラテンローラ262とを備える。また、印刷部260は、リライタブル用紙Pを検知する用紙センサ263を備える。
【0013】
また、用紙通路210は、一対の構造体をなす相対向する板状部材211によって構成されている他、搬送部213として搬送ローラ対212を備えている。
【0014】
また、リライタブルプリンタ200には、各種のセンサが配置されている。即ち、リライタブルプリンタ200には、環境温度センサ271、媒体温度センサとしての用紙温度センサ272、給紙センサ273が配置されている。
【0015】
特許文献1には、このようなリライタブルプリンタとして、搬送路の上流側に消去機能を有する厚膜ヒータを、搬送路の下流側に印刷機能を有するサーマルヘッドをそれぞれ備えて構成され、リライタブルプリンタ内部の環境温度やリライタブル用紙(特許文献1では記録媒体)の特性、サーマルヘッドなどの発熱体の特性が変化しても最適な消去品質及び印刷品質を得ることができるように、環境温度やリライタブル用紙の種類に応じた印刷情報の消去及び印刷に最適な用紙搬送速度の制御や印刷用ヘッドのパルス制御を行うものが記載されている。
【0016】
【特許文献1】特開2001−026132公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、上述したリライタブルプリンタにあっては、消去部250と印刷部260との間の寸法L3をリライタブル用紙Pの搬送方向の寸法L1より大きいものとしている。また、この寸法L3は寸法L1よりやや長い程度であり、リライタブル用紙Pの消去が完了した直後に印刷が実行されるようになっている。
【0018】
このように寸法L3を定めるのは、リライタブル用紙Pが消去部250と印刷部260とに同時に配置されるのを防止し、リライタブル用紙Pの消去と印刷とが同時に行われないようにするためである。消去と印刷とが同時になされると両装置での電力消費量が加算され、リライタブルプリンタ200全体としての電力消費量が大きくなり、電力装置を大きなものとしなければならず、リライタブルプリンタ200のコストが嵩むためこれを防止するのである。
【0019】
しかし、需用者がリライタブルプリンタ200で使用する用紙寸法はさまざまであり、例えば上述した寸法L1のリライタブル用紙Pより小さい寸法L2の短寸法リライタブル用紙SPを使用することがある。このような場合にあっては、短寸法リライタブル用紙SPが消去部250と印刷部260との間を搬送される速度は同一であるので、搬送に要する時間は通常のリライタブル用紙Pと同じとなる。このため、印刷に要する時間は、短寸法リライタブル用紙SPであっても通常の寸法のリライタブル用紙Pと同じとなる。
【0020】
このような状態において、短寸法リライタブル用紙SPが消去部250から印刷部260まで搬送される間に消去も印刷もされない空送時間が長くあり、この空送時間を短縮できれば短寸法リライタブル用紙SPの印刷時間が短縮でき、短寸法リライタブル用紙SPを大量に印刷する場合には総印刷時間を短縮できることとなる。
【0021】
そこで本発明は、短寸法のリライタブル媒体を使用する場合にリライタブル媒体の消去から印刷完了までの時間を短くすることができるリライタブルプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明において、上記の課題を解決するための手段は、筐体に配置され加熱によって印刷及び消去ができるカットシート状のリライタブル媒体の消去を行う消去部と、前記消去部と前記リライタブル媒体のうち最大であるリライタブル媒体の搬送方向の長さ寸法より大きい間隔を隔てて筐体に配置されサーマルヘッドを備えて前記リライタブル媒体の印刷を行う印刷部と、前記リライタブル媒体の下面に接触して前記リライタブル媒体を搬送する複数のローラ部材を備えるローラ配置部と、を備えるリライタブルプリンタにおいて、前記ローラ配置部が備える複数のローラ部材は、等しいピッチ寸法を隔てて並設されると共に、前記印刷部のサーマルヘッドと対となって発揮されるプラテンローラとしての機能及び前記リライタブル媒体を移動させる搬送ローラとしての機能を備える同一材質で同一形状に形成され、前記印刷部は、前記サーマルヘッドの上流側にサーマルヘッドから前記ピッチと同じ寸法だけ離間して上流側に配置され対向するローラ部材と対となってローラ部材に搬送ローラとして機能を発揮させる印刷部搬送ローラを備えると共に、前記印刷部は、前記サーマルヘッドを前記最大リライタブル媒体の印刷時にサーマルヘッドが対向配置されるローラ部材より上流に配置されたローラ部材に対向して配置し且つ前記印刷部搬送ローラを前記サーマルヘッドが対向して配置されたローラ部材より上流のローラ部材に対向して配置するよう固定する印刷部固定機構で前記筐体に固定されていることを特徴とするリライタブルプリンタである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、短い寸法のリライタブル用紙を使用する際には、印刷部を消去部に近づくよう上流に移動させ、ローラ配置部が備える複数のローラ部材のうち消去部に近いローラ部材をプラテンローラとして印刷を行えるものとするので、消去部と印刷部との間隔寸法を長いリライタブル用紙を使用するときより小さい寸法にすることができ、短寸法のリライタブル媒体を使用するときリライタブル媒体の消去から印刷完了までの時間を短くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の一形態を図1乃至図4に基づいて説明する。図1はリライタブルプリンタの外観を示す斜視図である。本実施の形態のリライタブルプリンタ10は、後方部分11aの幅が前方部分11bの幅よりも狭い形態の筐体11に各部が収納されて構成されている。即ち、筐体11の後方部分11aには用紙収納部120と消去部150とが固定され、また前方部分11bには印刷部160が印刷部固定機構190で固定されている(図2参照)。そして、筐体11の正面には、用紙発行口230が形成されている。
【0025】
また、図1中、用紙発行口230よりも左側上方部分には、表示部12と操作部13とが配置されている。表示部12は、横長に形成された液晶表示装置であり、数行程度の情報を表示することができる。また、前方部分11bの上側には取り外し可能なカバー部材14が配置されており、リライタブルプリンタ10の内部を露出し、後述する印刷部160の移動や、ローラ部材111の取り外しができるようにしている。尚、用紙収納部120及び消去部150を収納する筐体11の後方部分11aと印刷部160を収納する筐体の前方部分11bとは、分離可能に構成されていても良い。
【0026】
図2はリライタブルプリンタの内部概略構成を示す断面図である。本例のリライタブルプリンタ10は、最大であり常時使用されるA4サイズの最大リライタブル用紙P1又は前記リライタブル用紙Pより搬送方向の寸法が小さい例えばA5サイズの短寸法リライタブル用紙SPを使用することができる。
【0027】
まずリライタブル用紙P1を使用する場合の構成について説明する。リライタブルプリンタ10は、筐体11内部にカットシート状のリライタブル媒体である最大リライタブル用紙P1(図には短寸法リライタブル用紙SPをも示している(以下総称してリライタブル用紙Pと称する))を格納する用紙収納部120と、リライタブル用紙の印字消去を行う消去部150と、前記リライタブル用紙Pを加熱して印刷を行う印刷部160と、前記消去部150から印刷部160まで配置され、リライタブル用紙Pの下面に接触し、リライタブル用紙Pを搬送する4つのローラ部材111,112,113,114が配置されたローラ配置部110と、を備えている。
【0028】
これらのローラ部材111,112,113,114は、前記リライタブル媒体の下面に接触可能に等しいピッチ寸法Sを隔てて筐体11に並設して配置され、同一材質で同一形状の部材として形成されている。また、ローラ部材113には対向ローラ116が、ローラ部材114には対向ローラ117が配置され搬送部118を形成している他、ローラ部材111,112,113,114は筐体11に取り付けられている。本例では、ローラ部材111,112,113,114は筐体11に軸受けを介してネジ止めされており、取り付け取り外し可能に配置することができる。
【0029】
また、前記消去部150と前記印刷部160との寸法L3は印刷対象となる最大サイズ、本例ではA4サイズである最大リライタブル用紙P1の搬送方向の寸法L1より大きく形成されている。
【0030】
用紙収納部120、給紙機構140、消去部150の構成は上述した従来のリライタブルプリンタ200と同様である。即ち、用紙収納部120には、昇降自在に設けられたリフタ121が設けられている。リフタ121は、複数枚のリライタブル用紙Pを積層状態で載置支持可能である。
【0031】
給紙機構140は、リフタ121に載置されている最上位のリライタブル用紙Pのみがローラ配置部110に給送されるようにする。 給紙機構140は、ピックアップローラ141及びリバース方式の分離機構142からなる。ピックアップローラ141は、その回転によってリフタ121に載置されている最上位のリライタブル用紙Pに給送力を付与する。分離機構142は、ピックアップローラ141の回転によって重送される下位のリライタブル用紙Pを分離し、最上位のリライタブル用紙Pのみが用紙通路に給送される。
【0032】
このような用紙分離は、分離機構142が有しているリバースローラ143の給送方向とは逆方向の回転によってなされる。
【0033】
消去部150は、対向配置されているヒートローラ151とプレスローラ152とを備えて構成されている。ヒートローラ151は上方位置に、プレスローラ152は下方位置にそれぞれ配置されている。
【0034】
尚、ローラ配置部110は、一対の構造体をなす相対向する板状部材115を備えて前記ローラ部材111,112,113,114及び対向ローラ116、117を配置している。また、リライタブルプリンタ10には、各種のセンサが配置されている。即ち、リライタブルプリンタ10には、環境温度センサ171、媒体温度センサとしての用紙温度センサ172、給紙センサ173が配置されている。
【0035】
そして、本例において印刷部160は、リライタブル用紙Pを加熱するサーマルヘッド161とリライタブル用紙Pを搬送する印刷部対向ローラ162と、用紙センサ163とを備えている。また、印刷部160は、筐体11に対して取り付け取り外しが可能であり、その取り付け位置を変更することができる印刷部固定機構190で筐体11に固定される。印刷対象であるリライタブル用紙PのサイズがA4より小さくその搬送方向の寸法L2が小さい短寸法リライタブル用紙SPであるとき、印刷部160を消去部150側に移動して固定することができる。
【0036】
次に印刷部160の移動について説明する。図3は印刷部の移動の状態を示す図であり、(a)は通常のリライタブル用紙の使用時を示す模式図、(b)は短寸法リライタブル用紙の使用時を示す模式図である。本例では印刷部160は印刷部固定機構190で筐体11に固定されている。印刷部固定機構190は、筐体11に開設した取付孔191,192、取付孔193,194を備え、取付孔191,192又は取付孔193,194にビスなどの締結具を挿通して印刷部160の取付位置を変更して筐体11に取り付けるものとしている。即ち、最大リライタブル用紙P1の印刷を行うときには、図3(a)に示すように、印刷部160は、取付孔191,192で固定され、最下流に配置される。これにより、サーマルヘッド161はローラ部材111に対向配置され、印刷部対向ローラ162はローラ部材112に対向配置される。
【0037】
一方、通常より小さいサイズ例えばA6サイズの短寸法リライタブル用紙SPの印刷を行うときには、筐体11のカバー部材14が取り外され、印刷部160は作業者によって取付孔191,192から取り外され、図3(b)に示すように、上流側に位置する取付孔193,194に固定される。この状態で、消去部150と印刷部160との間の寸法L4(図4参照)が短寸法リライタブル用紙SPの搬送方向の寸法L2より大きくなるようにする。これにより、サーマルヘッド161はローラ部材112に対向配置され、印刷部対向ローラ162はローラ部材113に対向配置される。
【0038】
尚、印刷部固定機構としては印刷部160を取付孔にビスで固定する機構を示したが、印刷部160を筐体11に係合するように構成し、印刷部160を容易な手順で位置可変に取り付けることができる着脱機構を備えることができる。
【0039】
そして、印刷部160を移動したときには、図3(b)に示すように、最下流のローラ部材111及び対向ローラ116を筐体11から取り外すと共に、印刷部160から排出される短寸法リライタブル用紙SPを筐体11外に導く排出経路部180を配置するものとする(図4参照)。排出経路部180は筐体11の外方に行くに従い下方に向け傾斜する経路を備えており、印刷部160で印刷が完了した短寸法リライタブル用紙SPはこの排出経路部180の経路を滑って筐体11外に速やかに排出される。この排出経路部180は、筐体11内の空隙部分に配置されるものであり、前記リライタブル用紙Pを使用する場合には取り外された状態である。
【0040】
ここで、前記ローラ部材111,112,113,114のうち、ローラ部材111,112は前記印刷部160のサーマルヘッド161に対向して配置された状態でプラテンローラとしての機能を発揮する必要があり、また、これらのローラ部材112,113,114は短寸法リライタブル用紙SPを消去部150から印刷部160にまで移動させる搬送ローラとしての機能を発揮する必要がある。本例では、すべてのローラ部材111,112,113,114がプラテンローラ及び搬送ローラの機能を発揮できるようにすると共に、すべてのローラ部材111,112,113,114を筐体11から取り外し可能としてローラ部材111,112,113,114の組み付け時の作業の簡素化を図っている。
【0041】
次に本例に係るリライタブルプリンタ10の使用状態について説明する。通常使用される最大リライタブル用紙P1を使用するときには、図2に示すように、筐体11内において印刷部160をローラ配置部110最下流に配置する。即ち、印刷部160のサーマルヘッド161がローラ部材111に対向配置され、印刷部対向ローラ162がローラ部材112に対向配置された状態とする。この状態でローラ部材111はプラテンローラとして機能し、ローラ部材112は搬送ローラとして機能する。
【0042】
そして、最大リライタブル用紙P1は、用紙収納部120から給紙機構140で取り出され消去部150でその印刷内容が消去され、ローラ部材114と対向ローラ117、ローラ部材113と対向ローラ116の対で構成される搬送部118で印刷部160まで搬送され、印刷部160内で、ローラ部材112と印刷部対向ローラ162の対でサーマルヘッド161とプラテンローラとして機能するローラ部材111の間に搬送され印刷がなされる。
【0043】
この状態で消去部150と印刷部160との間の寸法L3は、リライタブル用紙Pの搬送方向の寸法L1より大きいので、リライタブル用紙Pに消去部150による消去と、印刷部160による印刷が同時に行われることはなく、リライタブルプリンタ10は大きな電力を消費することはない。
【0044】
一方短寸法リライタブル用紙SPを使用するときには、以下のように印刷がなされる。図4は短寸法リライタブル用紙を使用する場合のリライタブルプリンタの状態を示す模式断面図である。短寸法リライタブル用紙SPを使用する場合には、筐体11内において印刷部160をローラ配置部110の上流側に移動する。即ち、印刷部160のサーマルヘッド161がローラ部材112に対向配置され、印刷部対向ローラ162がローラ部材113に対向配置された状態とする。そして、ローラ部材111及び対向ローラ116を取り外すと共に、排出経路部180を配置する。この状態でローラ部材112はプラテンローラとして機能し、ローラ部材113は搬送ローラとして機能する。
【0045】
そして、短寸法リライタブル用紙SPは、用紙収納部120から給紙機構140で取り出され消去部150でその印刷内容が消去され、ローラ部材114と対向ローラ117の対で構成される前記搬送部118より短い搬送部119で印刷部160まで搬送され、印刷部160内で、ローラ部材113と印刷部対向ローラ162の対でサーマルヘッド161とプラテンローラとして機能するローラ部材112の間に搬送され印刷がなされる。
【0046】
また、この状態で消去部150と印刷部160との間の寸法L4は、短寸法リライタブル用紙SPの搬送方向の寸法L2より大きいので、リライタブル用紙Pに消去部150による消去と、印刷部160による印刷が同時に行われることはなく、リライタブルプリンタ10は大きな電力を消費することはない。そして、消去部150と印刷部160との間の寸法L4をリライタブル用紙P使用時における寸法L3より小さくできるので、短寸法リライタブル用紙SPの消去部150から印刷部160までの移動時間が短縮され、全体として印刷速度を向上させることができる。
【0047】
以上説明したように、本例に係るリライタブルプリンタ10によれば、短寸法リライタブル用紙SPの使用時に印刷部160を最大リライタブル用紙P1の印刷時より上流側に移動することにより、消去部150と印刷部160の間の寸法L4を最大リライタブル用紙P1の使用時の消去部150と印刷部160との間の寸法L3より小さくできる他、排出経路部180を設けることにより、印刷済みの短寸法リライタブル用紙SPを速やかに筐体11外に排出できる。このため、短寸法リライタブル用紙SP使用時の印刷時間を短縮することができる。また、本例によれば、このように短寸法リライタブル用紙SPに対処できるリライタブルプリンタ10を実現するためには特別な部材や機構を追加する必要がないので、コストを上昇させることなくリライタブルプリンタを実現することができる。
【0048】
尚、上記例では、印刷部160を1つのローラ部材だけ上流に移動する例を示したが、使用するリライタブル用紙の搬送方向の寸法に応じて2以上のローラ部材分移動することができる。
【0049】
また、上記例では4つのローラ部材のすべてを取り付け取り外し可能とし、プラテンローラ及び搬送ローラとして機能する同一材質同一形のものとして構成したが、ローラ部材は印刷部を移動させる範囲で取り外し可能、同一材質同一形状のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】リライタブルプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】リライタブルプリンタの内部概略構成を示す断面図である。
【図3】印刷部の移動状態を示す図であり、(a)は通常のリライタブル用紙の使用時を示す模式図、(b)は短寸法リライタブル用紙の使用時を示す模式図である。
【図4】短寸法リライタブル用紙を使用する場合のリライタブルプリンタの状態を示す模式断面図である。
【図5】従来のリライタブルプリンタの内部概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0051】
10…リライタブルプリンタ、110…ローラ配置部、111,112,113,114…ローラ部材、150…消去部、160…印刷部、161…サーマルヘッド、162…印刷部対向ローラ、190 印刷部固定機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に配置され加熱によって印刷及び消去ができるカットシート状のリライタブル媒体の消去を行う消去部と、前記消去部と前記リライタブル媒体のうち最大であるリライタブル媒体の搬送方向の長さ寸法より大きい間隔を隔てて筐体に配置されサーマルヘッドを備えて前記リライタブル媒体の印刷を行う印刷部と、前記リライタブル媒体の下面に接触して前記リライタブル媒体を搬送する複数のローラ部材を備えるローラ配置部と、を備えるリライタブルプリンタにおいて、
前記ローラ配置部が備える複数のローラ部材は、等しいピッチ寸法を隔てて並設されると共に、前記印刷部のサーマルヘッドと対となって発揮されるプラテンローラとしての機能及び前記リライタブル媒体を移動させる搬送ローラとしての機能を備える同一材質で同一形状に形成され、
前記印刷部は、前記サーマルヘッドの上流側にサーマルヘッドから前記ピッチと同じ寸法だけ離間して上流側に配置され対向するローラ部材と対となってローラ部材に搬送ローラとして機能を発揮させる印刷部搬送ローラを備えると共に、
前記印刷部は、前記サーマルヘッドを前記最大リライタブル媒体の印刷時にサーマルヘッドが対向配置されるローラ部材より上流に配置されたローラ部材に対向して配置し且つ前記印刷部搬送ローラを前記サーマルヘッドが対向して配置されたローラ部材より上流のローラ部材に対向して配置するよう固定する印刷部固定機構で前記筐体に固定されていることを特徴とするリライタブルプリンタ。
【請求項2】
前記印刷部の位置を変更したとき前記筐体内に配置され、印刷部で印刷されたリライタブル媒体を筐体外に排出する排出経路部材を備えることを特徴とする請求項1記載のリライタブルプリンタ。
【請求項3】
前記ローラ部材のうち前記印刷部固定機構で位置を変更したとき印刷部のサーマルヘッドを接触させるローラ部材より下流に配置されるローラ部材は、前記ローラ配置部から取り外し可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のリライタブルプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−101523(P2009−101523A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272795(P2007−272795)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】