リング型イーサネットシステムおよびアドレス割当方法
【課題】ノードの物理的位置とアドレスとの関係を把握しつつ、短い時間で、実際にリング型イーサネットを使用可能な状態へセットアップする。
【解決手段】コントローラ10で、IPアドレスの初期値からなる設定値を含むアドレス付番命令を送信し、各ノード20で、受信したアドレス付番命令に含まれる設定値を自ノードのIPアドレスとして設定し、後続ノードがある場合には、設定値からアドレス算出式で得た後続ノードのIPアドレスを新たな設定値としたアドレス付番命令を後続ノードへ送信し、自ノードに後続ノードない場合には、自ノードのIPアドレスを最終値とするアドレス付番完了通知をコントローラ10へ送信し、コントローラ10で、アドレス付番完了通知の受信に応じて、初期値、最終値、およびアドレス算出式からアドレス対応情報を生成する。
【解決手段】コントローラ10で、IPアドレスの初期値からなる設定値を含むアドレス付番命令を送信し、各ノード20で、受信したアドレス付番命令に含まれる設定値を自ノードのIPアドレスとして設定し、後続ノードがある場合には、設定値からアドレス算出式で得た後続ノードのIPアドレスを新たな設定値としたアドレス付番命令を後続ノードへ送信し、自ノードに後続ノードない場合には、自ノードのIPアドレスを最終値とするアドレス付番完了通知をコントローラ10へ送信し、コントローラ10で、アドレス付番完了通知の受信に応じて、初期値、最終値、およびアドレス算出式からアドレス対応情報を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イーサネット(登録商標)通信技術に関し、特にリング型イーサネットを構成するノードのアドレス割当技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル設備やプラント設備を監視制御する監視制御システムでは、情報収集機能や制御機能などの各種機能を有する通信機器をノードとして通信ネットワークを介して接続し、これらノード間でデータ通信を行うことにより、中央監視装置で個々の設備を監視制御するものとなっている。このような監視制御システムでは、通信ネットワークとしてイーサネットが用いられ、各ノード間でデータ通信用のMACフレームである通信フレームをやり取りすることにより、上位アプリケーションにおけるデータ通信が実現される。
【0003】
イーサネットでは、複数のノードを接続する際、ハブやスイッチに各ノードをそれぞれ接続するスター配線方式が基本である。このようなスター配線方式は、比較的規模の小さいオフィス環境には適合するものの、ビル設備やプラント設備などの大規模な設備には必ずしも適合しない。その理由としては、スター配線方式では、ハブやスイッチと各ノードとをそれぞれ個別の配線を介して接続する必要があり、広範囲にわたってノードが設置されている場合には、ノード間を結ぶ配線が複雑化し、配線工事やメンテナンスの作業負担が増大するからである。
【0004】
このような観点から、特に監視制御システムでは、コントローラに対して、各ノードをリング状に接続するリング型イーサネットが用いられる。これにより、コントローラと各ノードを接続する配線が1本で済むため、配線工事やメンテナンスの作業負担を大幅に削減できる。
【0005】
一方、監視制御システムでは、接続されているフィールド機器などの各ノードを識別するため、各ノードにスロット番号という物理的な接続位置を示す識別情報を予め付与して、システムデータとして管理しており、ノードが交換された場合でも、そのイーサネット通信用のIPアドレスは変わらないようにする必要がある。
このため、リング型イーサネットで各ノードを制御する場合、イーサネットで用いるIPアドレスとスロット番号との対応関係を確定する必要がある。
【0006】
イーサネットにおいて、各ノードのIPアドレスを初期設定する技術としてDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)がある。これは、予め設定したアドレス範囲で、ネットワークに接続されている各通信端末に、個別のIPアドレスを自動的に割り当てる技術である。
しかしながら、このDHCPは、通信端末の接続順などの物理的位置関係とは関係なくIPアドレスを割り当てるため、IPアドレスとスロット番号との関連性を把握する機能は備えていない。
【0007】
従来、このようなリング型イーサネットにおけるIPアドレスのアドレス割当技術として、ノードの接続順に併せてIPアドレスを割り当てる技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。これは、隣接ノード間でのみ通信可能なDDC(Data Communication Channel)を各ノードに設けて、親ノードから予め設定されたノード数分だけ、IPアドレスを指定したアドレス設定要求をDDCにより隣接ノードへ繰り返し送信する方式である。
【0008】
親ノード以外の子ノードは、親ノードからアドレス設定要求を受信した時点で、自ノードのアドレス設定の未済を確認し、未の場合には、当該アドレス設定要求で指定されたアドレスを自ノードに設定して親ノードにアドレス設定完了を通知し、済の場合には、当該アドレス設定要求をDDCにより次の隣接ノードへ転送する。
これにより、親ノードから送信されたアドレス設定要求がアドレス未設定の子ノードまで転送されて、指定されたアドレスが設定されるため、結果として予め設定されたノード数分の子ノードに対して、リングに接続された順にアドレスが設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−236317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来技術では、ノードのアドレス割当時に、接続順に応じたノードの物理的位置とアドレスとの関係を把握できるものの、ノードのアドレス設定にある程度の時間を要するという問題点があった。
【0011】
すなわち、従来技術では、各子ノードに対してアドレスを割り当てるためには、親ノードと子ノードとの間でアドレス設定要求とアドレス設定完了通知とを順番にやり取りする必要がある。また、子ノードでアドレス設定要求を転送する際、毎回、自ノードのアドレス設定の未済を確認した後、転送することになる。さらに、親ノードでは、各子ノードに設定すべきアドレスを予め生成してアドレス設定要求で指定する必要がある。
【0012】
したがって、従来技術によれば、これらメッセージのやり取りにある程度の時間を要するとともに、各ノードでの処理に時間を要することになり、システム起動から、短い時間で、実際にリング型イーサネットを使用可能な状態へセットアップすることができない。
【0013】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、ノードの物理的位置とアドレスとの関係を把握しつつ、短い時間で、実際にリング型イーサネットを使用可能な状態へセットアップすることができるアドレス割当技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するために、本発明にかかるリング型イーサネットシステムは、リング状の通信経路を介してコントローラと複数のノードとを接続することによりこれら通信端末間のデータ通信を実現するリング型イーサネットシステムであって、コントローラは、ノードに割り当てるIPアドレスの初期値からなる設定値を含むアドレス付番命令を送信するアドレス割当部と、ノードからのアドレス付番完了通知の受信に応じて、初期値および当該アドレス付番完了通知に含まれる最終値と、後続ノードのIPアドレスを算出するためのアドレス算出式とに基づいて、ノードの接続位置情報とIPアドレスとの関係を示すアドレス対応情報を生成するアドレス管理部とを備え、ノードは、通信経路から受信したアドレス付番命令に応じて、当該アドレス付番命令に含まれる設定値を自ノードのIPアドレスとして設定するアドレス設定部と、自ノードに後続ノードが接続されている場合には、アドレス算出式に基づいて設定値から算出した後続ノードのIPアドレスを新たな設定値としたアドレス付番命令を後続ノードへ転送し、自ノードに後続ノードが接続されていない場合には、自ノードに設定したIPアドレスを最終値とするアドレス付番完了通知をコントローラへ送信するアドレス転送部とを備えている。
【0015】
この際、コントローラおよびノードで、データ通信を行うための第1および第2のポートをそれぞれ有し、これら通信端末のうち隣接する2つの通信端末ごとに、一方の通信端末の第1のポートと他方の通信端末の第2のポートとをそれぞれ接続することにより、リング状の通信経路を構成し、アドレス割当部で、ノードにIPアドレスを割り当てる際、自コントローラの第1のポートを切断状態に設定した後、アドレス付番命令を自コントローラの第2のポートから送信し、アドレス設定部で、自ノードの第1のポートから受信したアドレス付番命令に応じて自ノードのIPアドレスを設定し、アドレス転送部で、自ノードに対する後続ノードの接続有無を、自ノードの第2のポートの接続先が切断状態か否かに基づき確認し、切断状態でない場合は、隣接ノードへのアドレス付番命令を自ノードの第2のポートから転送し、切断状態の場合は、アドレス付番完了通知を自ノードの第1のポートから送信し、アドレス管理部は、自コントローラの第2のポートから受信したアドレス付番完了通知に応じて、自コントローラの第1のポートの切断状態を解除するようにしてもよい。
【0016】
また、アドレス割当部で、ノードにIPアドレスを割り当てる際、ノードでのデータ転送停止を指示する転送停止命令を自コントローラの第2のポートからブロードキャストで送信した後、アドレス付番命令を自コントローラの第2のポートからブロードキャストで送信し、アドレス設定部で、自ノードの第1のポートから受信した転送停止命令に応じて、自ノードの第2のポートから隣接ノードへ転送するデータ転送処理を転送停止状態に設定し、アドレス転送部で、自ノードのIPアドレスの設定に応じて自ノードの第2のポートでの転送停止状態を解除し、隣接ノードへのアドレス付番命令を自ノードの第2のポートからブロードキャストで転送するようにしてもよい。
【0017】
また、本発明にかかるアドレス割当方法は、リング状の通信経路を介してコントローラと複数のノードとを接続することによりこれら通信端末間のデータ通信を実現するリング型イーサネットシステムで用いられるアドレス割当方法であって、コントローラが、ノードに割り当てるIPアドレスの初期値からなる設定値を含むアドレス付番命令を送信するアドレス割当ステップと、ノードが、通信経路から受信したアドレス付番命令に応じて、当該アドレス付番命令に含まれる設定値を自ノードのIPアドレスとして設定するアドレス設定ステップと、ノードが、自ノードに後続ノードが接続されている場合には、後続ノードのIPアドレスを算出するためのアドレス算出式に基づいて設定値から算出した後続ノードのIPアドレスを新たな設定値としたアドレス付番命令を後続ノードへ転送し、自ノードに後続ノードが接続されていない場合には、自ノードに設定したIPアドレスを最終値とするアドレス付番完了通知をコントローラへ送信するアドレス転送ステップと、コントローラが、ノードからのアドレス付番完了通知の受信に応じて、初期値および当該アドレス付番完了通知に含まれる最終値と、後続ノードのIPアドレスを算出するためのアドレス算出式とに基づいて、ノードの接続位置情報とIPアドレスとの関係を示すアドレス対応情報を生成するアドレス管理ステップとを備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、コントローラから送信したアドレス付番命令が、各ノードで順番に転送されるため、各ノードのIPアドレスを設定するごとに、コントローラと各ノードとの間で、個別にメッセージをやり取りする必要がなくなる。このため、従来のような、メッセージのやり取りに要する時間や、各ノードでのメッセージ転送要否を判定するための判定処理に要する時間を省くことができ、システム起動から、短い時間で、実際にリング型イーサネットを使用可能な状態へセットアップすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】リング型イーサネットシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】コントローラでのアドレス割当処理を示すフローチャートである。
【図3】アドレス対応情報の構成例である。
【図4】ノードでのアドレス設定処理を示すフローチャートである。
【図5】リング型イーサネットシステムの動作例を示すシーケンス図である。
【図6】リング型イーサネットシステムの各動作状態(リンク切断)を示す説明図である。
【図7】リング型イーサネットシステムの各動作状態(転送停止命令)を示す説明図である。
【図8】リング型イーサネットシステムの各動作状態(転送停止)を示す説明図である。
【図9】リング型イーサネットシステムの各動作状態(ノードM1アドレス設定)を示す説明図である。
【図10】リング型イーサネットシステムの各動作状態(ノードM2アドレス設定)を示す説明図である。
【図11】リング型イーサネットシステムの各動作状態(ノードMnアドレス設定)を示す説明図である。
【図12】リング型イーサネットシステムの各動作状態(付番完了通知)を示す説明図である。
【図13】リング型イーサネットシステムの各動作状態(切断解除)を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
[リング型イーサネットシステム]
まず、図1を参照して、本実施の形態にかかるリング型イーサネットシステムについて説明する。図1は、リング型イーサネットシステムの構成を示すブロック図である。
【0021】
このリング型イーサネットシステム1は、リング状の通信経路Lを介してコントローラ10と複数のノード20とを接続することにより、これら通信端末間のデータ通信を実現するネットワークシステムである。図1の例では、ノード20として、ノードM1〜ノードMnからなるn個のノードが、ノードM1から順に通信経路Lで接続されている。
【0022】
コントローラ10は、イーサネット通信機能を有する情報処理端末であり、通信経路Lを介してノード20とデータ通信を行うことにより、ビル設備やプラント設備を監視制御する監視制御システムなどの上位アプリケーションを実行する機能と、ノード20に対してデータ通信で用いるIPアドレスを割り当てる機能とを有している。
ノード20は、イーサネット通信機能を有する情報処理端末であり、通信経路Lを介してノード20とデータ通信を行うことにより、コントローラ10からの指示に応じて、自ノードの配下に接続されたフィールド機器などの各種機器(図示せず)を制御する機能と、コントローラ10からの指示に応じて、自ノードのIPアドレスを設定する機能とを有している。
【0023】
本実施の形態は、コントローラ10で、ノード20に割り当てるIPアドレスの初期値からなる設定値を含むアドレス付番命令を送信し、ノード20からのアドレス付番完了通知の受信に応じて、初期値および当該アドレス付番完了通知に含まれる最終値と、後続ノードのIPアドレスを算出するためのアドレス算出式とに基づいて、ノード20の接続位置情報とIPアドレスとの関係を示すアドレス対応情報を生成するようにしたものである。また、ノード20で、通信経路から受信したアドレス付番命令に応じて、当該アドレス付番命令に含まれる設定値を自ノードのIPアドレスとして設定し、自ノードに後続ノードが接続されている場合には、アドレス算出式に基づいて設定値から算出した後続ノードのIPアドレスを新たな設定値としたアドレス付番命令を後続ノードへ転送し、自ノードに後続ノードが接続されていない場合には、自ノードに設定したIPアドレスを最終値とするアドレス付番完了通知をコントローラ10へ送信するようにしたものである。
【0024】
[コントローラ]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかるコントローラ10の構成について詳細に説明する。
コントローラ10には、主な機能部として、リング接続制御部11、制御処理部12、アドレス割当部13、アドレス管理部14、および記憶部15が設けられている。
【0025】
本発明において、コントローラ10およびノード20には、物理層におけるデータ通信を実現する通信回路を含む通信インターフェースとして、ポートP1(第1のポート)およびポートP2(第2のポート)がそれぞれ設けられている。これら通信端末のうち隣接する2つの通信端末ごとに、一方の通信端末のポートP1が他方の通信端末のポートP2とをそれぞれ接続されている。
具体的には、コントローラ10のポートP2が、これに隣接するノードM1のポートP1と接続されており、ノードM1のポートP2が、これに隣接するノードM2のポートP1とを接続されており、ノードMnのポートP2が、これに隣接するコントローラ10のポートP1と接続されている。これにより、リング状の通信経路Lが構成されている。
【0026】
リング接続制御部11は、自コントローラのポートP1,P2に接続されている通信経路Lに関する接続制御を行うとともに、通信経路Lを介して、ノード20との間でイーサネット準拠のデータ通信を行う機能を有している。
制御処理部12は、記憶部15に保存されている、ノード20ごとの接続位置情報とIPアドレスとの関係を示すアドレス対応情報に基づいて、リング接続制御部11を介したノード20とのデータ通信により、各種上位アプリケーション処理を実行する機能を有している。
【0027】
アドレス割当部13は、ノード20にIPアドレスを割り当てる際、自コントローラのポートP1を切断状態に設定する機能と、すべてのノード20でのデータ転送停止を指示する転送停止命令を自コントローラのポートP2からブロードキャストで送信する機能と、切断状態の設定および転送停止命令の送信を実行した後、ノード20に割り当てるIPアドレスの初期値からなる設定値を含むアドレス付番命令を自コントローラのポート2からブロードキャストで送信する機能とを有している。
【0028】
一般に、イーサネット通信では、データ送信方式として、特定のアドレスを持つ通信端末に対してデータを送信するユニキャストに対して、ネットワークに接続されているすべての通信端末に対してデータを送信するブロードキャストがある。
本発明では、ノード20のリング接続制御部21において、ユニキャストで送信された受信データ合については、その送信先IPアドレスが自ノードのIPアドレスと一致する場合にのみ、当該受信データが取り込まれて機能処理部22やアドレス設定部23へ通知され、不一致の場合には後続のノード20へ転送される。また、ブロードキャストで送信された受信データについては、当該受信データが取り込まれるとともに後続のノード20へ転送される。
【0029】
アドレス管理部14は、自コントローラのポートP2から受信したアドレス付番完了通知に応じて、アドレス割当部13で用いたIPアドレスの初期値および当該アドレス付番完了通知に含まれる最終値と、ノード20において後続ノードのIPアドレスを算出するためのアドレス算出式とに基づいて、ノード20ごとに接続位置情報とIPアドレスとの関係を示すアドレス対応情報を生成して記憶部15へ保存する機能とを有している。なお、アドレス対応情報については、独立したデータではなく、リング型イーサネットシステム1で用いるシステムデータの一部を構成する情報であってもよい。
【0030】
記憶部15は、半導体メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、アドレス対応情報など、自コントローラの各部で用いる各種処理情報や、CPUで実行されるプログラムを記憶する機能を有している。
なお、コントローラ10におけるリング接続制御部11、制御処理部12、アドレス割当部13、およびアドレス管理部14は、CPUでプログラムを実行することにより実現してもよく、任意の機能部の一部を専用の回路部で構成してもよい。
【0031】
[ノード]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかるノード20の構成について詳細に説明する。
ノード20には、主な機能部として、リング接続制御部21、機能処理部22、アドレス設定部23、アドレス転送部24、および記憶部25が設けられている。図1におけるノードM1〜ノードMnは、すべて同様の構成を有しているものとする。
【0032】
リング接続制御部21は、自ノードのポートP1,P2に接続されている通信経路Lに関する接続制御を行うとともに、通信経路Lを介して、コントローラ10との間さらには他のノード20との間でイーサネット準拠のデータ通信を行う機能を有している。
機能処理部22は、記憶部25に設定されている自ノードのIPアドレスに基づいて、リング接続制御部21を介したコントローラ10やノード20とのデータ通信により、各種上位アプリケーション処理を実行する機能を有している。
【0033】
アドレス設定部23は、自ノードのポートP1から受信した転送停止命令に応じて、自ノード20のポートP2から後続ノードに対するデータ転送処理を転送停止状態に設定する機能と、自ノードのポートP1から受信したアドレス付番命令に応じて、当該アドレス付番命令に含まれる設定値を自ノード20のIPアドレスとして記憶部25へ設定する機能と、自ノードでのIPアドレスの設定に応じて自ノードのポートP2での転送停止状態を解除する機能とを有している。
【0034】
アドレス転送部24は、自ノードのポートP2の接続先が切断状態か否かに基づいて、自ノードに対する後続ノードの接続有無を確認する機能と、自ノードに後続ノードが接続されている場合には、予め設定されているコントローラ10と同じアドレス算出式に基づき設定値から後続ノードのIPアドレスを算出する機能と、算出したIPアドレスを新たな設定値としたアドレス付番命令を自ノードのポートP2からブロードキャストで後続ノードへ転送する機能と、自ノードに後続ノードが接続されていない場合には、自ノードに設定したIPアドレスを最終値とするアドレス付番完了通知を自ノードのポートP1からコントローラ10へ送信する機能とを有している。
【0035】
記憶部25は、半導体メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、自ノードのIPアドレスなど、自ノードの各部で用いる各種処理情報や、CPUで実行されるプログラムを記憶する機能を有している。
なお、ノード20におけるリング接続制御部21、機能処理部22、アドレス設定部23、およびアドレス転送部24は、CPUでプログラムを実行することにより実現してもよく、任意の機能部の一部を専用の回路部で構成してもよい。
【0036】
[本実施の形態の動作]
次に、本実施の形態にかかるリング型イーサネットシステム1におけるノードIPアドレスの割当動作について説明する。以下では、コントローラ10とノード20の動作をそれぞれ個別に説明する。
【0037】
[コントローラの動作]
図2を参照して、本実施の形態にかかるコントローラ10でのアドレス割当動作について説明する。図2は、コントローラでのアドレス割当処理を示すフローチャートである。
コントローラ10は、システム起動時、障害発生時、あるいは上位装置やオペレータからの指示に応じて、図2のアドレス割当処理を実行する。
【0038】
コントローラ10は、まず、アドレス割当部13により、リング接続制御部11を制御して、ポートP1を切断状態に設定するとともに(ステップ100)、すべてのノード20でのデータ転送停止を指示する転送停止命令を、ポートP2からブロードキャストで送信する(ステップ101)。
続いて、アドレス割当部13は、ノード20に割り当てるIPアドレスの初期値を記憶部15から読み出し、この初期値を設定値とするアドレス付番命令を、ポートP2からブロードキャストで送信する(ステップ102)。
【0039】
この後、コントローラ10は、リング接続制御部11でポートP2からのアドレス付番完了通知の受信を待機し(ステップ103)、アドレス付番完了通知の受信に応じて、アドレス管理部14により、アドレス割当部13で用いたIPアドレスの初期値および当該アドレス付番完了通知に含まれる最終値と、ノード20において後続ノードのIPアドレスを算出するためのアドレス算出式とに基づいて、ノード20ごとに接続位置情報とIPアドレスとの関係を示すアドレス対応情報を生成して記憶部15へ保存し(ステップ104)、一連のアドレス割当処理を終了する。
【0040】
図3は、アドレス対応情報の構成例である。ここでは、ノード20の接続位置情報であるスロット番号ごとに、当該ノード20に設定されたIPアドレスが登録されている。この例では、IPアドレスのアドレス算出式として、自ノードのIPアドレスの末尾桁に「1」を加えることにより後続ノードのIPアドレスを算出するという式を用いている。したがって、通信経路Lに対するノード20の接続順序に応じて、IPアドレスが「1」ずつ増加している。なお、アドレス算出式については、これに限定されるものではなく、自ノードのIPアドレスに基づいて後続ノードのIPアドレスを一意に算出する算出式であれば、任意の算出式を用いればよい。
【0041】
[ノードの動作]
図4を参照して、本実施の形態にかかるノード20でのノードIPアドレス設定動作について説明する。図4は、ノードでのアドレス設定処理を示すフローチャートである。
ノード20は、自ノードのポートP1からアドレス付番命令を受信した場合、図4のアドレス設定処理を実行する。なお、アドレス付番命令に先だって、自ノードのポートP1から受信した転送停止命令に応じて、アドレス設定部23により、自ノード20のポートP2から後続ノードに対するデータ転送処理が転送停止状態に設定されているものとする。
【0042】
ノード20は、まず、アドレス設定部23により、受信したアドレス付番命令に含まれる設定値を自ノード20のIPアドレスとして記憶部25へ設定し(ステップ110)、自ノードでのIPアドレスの設定に応じて自ノードのポートP2での転送停止状態を解除する(ステップ111)。
続いて、アドレス転送部24は、自ノードのポートP2に後続ノードが接続されているか否か確認する(ステップ112)。この場合、例えばポートP2の接続先として、ノード20またはコントローラ10からなる後続ノードとの間で制御メッセージをやり取りすることにより接続先が切断状態か否かを検知し、この検査結果に応じて後続ノードの有無を確認すればよい。
【0043】
ここで、ポートP2の接続先が切断状態ではなく、後続ノードが接続されている場合(ステップ112:YES)、アドレス転送部24は、予め設定されているアドレス算出式に基づき、設定値から後続ノードのIPアドレスを算出し(ステップ113)、算出したIPアドレスを新たな設定値としたアドレス付番命令を、自ノードのポートP2からブロードキャストで後続ノードへ転送した後(ステップ114)、一連のアドレス設定処理を終了する。
【0044】
一方、ポートP2の接続先が切断状態であり、自ノードに後続ノードが接続されていない場合(ステップ112:NO)、アドレス転送部24は、自ノードに設定したIPアドレスを最終値とするアドレス付番完了通知を自ノードのポートP1からコントローラ10へ送信し(ステップ115)、一連のアドレス設定処理を終了する。
【0045】
[本実施の形態の動作例]
次に、図5〜図13を参照して、本実施の形態にかかるリング型イーサネットシステムの動作例について説明する。図5は、リング型イーサネットシステムの動作例を示すシーケンス図である。図6〜図13は、リング型イーサネットシステムの各動作状態を示す説明図である。
【0046】
ここでは、コントローラ10に、通信経路Lを介して、n個のノードM1〜MnがスロットS1〜Snの順に接続されており、これらノードM1〜MnのIPアドレスには、末尾が「00」の仮値が設定されているものとする。また、後続ノードのIPアドレスを算出するアドレス算出式として、自ノードのIPアドレスの末桁に「1」を加算する式を用いるものとする。
【0047】
まず、コントローラ10は、ポートP1を切断状態に設定する(ステップ200)。これにより、図6に示すように、コントローラ10のポートP1が切断状態となり、コントローラ10とノードMn間のデータ通信は行えない状態となる。
【0048】
続いて、コントローラ10は、すべてのノードM1〜Mnでのデータ転送停止を指示する転送停止命令を、ポートP2からブロードキャストで送信する(ステップ201)。これにより、図7に示すように、転送停止命令が、ノードM1からノードMnまで順に転送され、この後、図8に示すように、各ノードM1〜MnのポートP2に対して転送停止が設定される(ステップ202)。これにより、各ノードM1〜Mnでは、ポートP1から受信したデータがブロードキャストで送信されたものであっても、後続ノードへは転送されない。
【0049】
この後、コントローラ10は、IPアドレスの末尾が「01」の初期値を設定値とするアドレス付番命令を、ポートP2からブロードキャストで送信する(ステップ203)。これにより、図9に示すように、アドレス付番命令がノードM1のポートP1へ入力される。
【0050】
ノードM1は、ポートP1からアドレス付番命令を受信し、このアドレス付番命令に含まれている設定値を自ノードのIPアドレスとして記憶部25へ設定するとともにポートP2の転送停止を解除する(ステップ204)。これにより、図9に示すように、ノードM1のIPアドレスとして、末尾が「01」のIPアドレスが設定されて、ポートP2の転送停止が解除される。
【0051】
次に、ノードM1は、自ノードのポートP2の接続先が切断状態か否か確認し、この場合にはノードM2が接続されていることから、予め設定されているアドレス算出式に基づき、設定値から後続ノードのIPアドレスとして、末尾が「02」のIPアドレスを算出する(ステップ205)、算出したIPアドレスを新たな設定値としたアドレス付番命令を、自ノードのポートP2からブロードキャストで後続ノードへ転送する(ステップ206)。これにより、図10に示すように、アドレス付番命令がノードM2のポートP1へ入力される。
【0052】
ノードM2は、ポートP1からアドレス付番命令を受信し、このアドレス付番命令に含まれている設定値を自ノードのIPアドレスとして記憶部25へ設定するとともにポートP2の転送停止を解除する(ステップ207)。これにより、図10に示すように、ノードM2のIPアドレスとして、末尾が「02」のIPアドレスが設定されて、ポートP2の転送停止が解除される。
【0053】
次に、ノードM2は、自ノードのポートP2の接続先が切断状態か否か確認し、この場合にはノードM3(図示せず)が接続されていることから、予め設定されている算出式に基づき、設定値から後続ノードのIPアドレスとして、末尾が「03」のIPアドレスを算出する(ステップ208)、算出したIPアドレスを新たな設定値としたアドレス付番命令を、自ノードのポートP2からブロードキャストで後続ノードへ転送する(ステップ209)。これにより、アドレス付番命令がノードM3のポートP1へ入力される。このようにして、ノードM3〜ノードMn−1までIPアドレスが設定され、ノードMn−1から転送されたアドレス付番命令がノードMnのポートP1へ入力される(ステップ210)。
【0054】
ノードMnは、ポートP1からアドレス付番命令を受信し、このアドレス付番命令に含まれている設定値を自ノードのIPアドレスとして記憶部25へ設定するとともにポートP2の転送停止を解除する(ステップ211)。これにより、図11に示すように、ノードMnのIPアドレスとして、末尾が「0n」のIPアドレスが設定されて、ポートP2の転送停止が解除される。
【0055】
次に、ノードMnは、自ノードのポートP2の接続先が切断状態か否か確認し、この場合にはコントローラ10のポートP1が切断状態であることから後続ノードが接続されていないと判定される。したがって、ノードMnは、自ノードに設定したIPアドレスを最終値とするアドレス付番完了通知を自ノードのポートP1からコントローラ10へ送信する(ステップ212)。これにより、図12に示すように、アドレス付番完了通知がノードMnのポートP1から送信され、ノードMn−1〜ノードM1で順に転送されてコントローラ10のポートP1へ入力される。
【0056】
コントローラ10は、ポートP1からアドレス付番完了通知を受信し、このアドレス付番完了通知に含まれている最終値と、アドレス割当部13で用いたIPアドレスの初期値と、後続ノードのIPアドレスを算出するためのアドレス算出式とに基づいて、ノードM1〜ノードMnごとに接続位置情報とIPアドレスとの関係を示すアドレス対応情報を生成して記憶部15へ保存し、ポートP1の切断状態を解除する(ステップ213)。これにより、図13に示すように、リング型イーサネットの使用可能な状態となる。
【0057】
したがって、前述したように、アドレス算出式として、自ノードのIPアドレスの末桁に「1」を加算する式を用いた場合、各ノードM1〜Mnに対して、ノードM1〜Mnが接続されている順番、すなわちスロット番号の順に、末尾が「01」の初期値から順に「1」ずつ最終値まで増加したIPアドレスが設定されることになり、結果として、前述した図3のようなアドレス対応情報が生成される。
【0058】
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、コントローラ10において、アドレス割当部13で、ノード20に割り当てるIPアドレスの初期値からなる設定値を含むアドレス付番命令を送信し、各ノード20において、アドレス設定部23で、通信経路から受信したアドレス付番命令に応じて、当該アドレス付番命令に含まれる設定値を自ノードのIPアドレスとして設定し、アドレス転送部24で、自ノードに後続ノードが接続されている場合には、設定値からアドレス算出式に基づき算出した後続ノードのIPアドレスを新たな設定値としたアドレス付番命令を後続ノードへ転送し、自ノードに後続ノードが接続されていない場合には、自ノードに設定したIPアドレスを最終値とするアドレス付番完了通知をコントローラ10へ送信し、コントローラ10において、アドレス管理部14で、ノード20からのアドレス付番完了通知の受信に応じて、初期値および当該アドレス付番完了通知に含まれる最終値と、後続ノードのIPアドレスを算出するための算出式とに基づいて、ノード20の接続位置情報とIPアドレスとの関係を示すアドレス対応情報を生成している。
【0059】
これにより、コントローラ10から送信したアドレス付番命令が、各ノード20で順番に転送されるため、各ノード20のIPアドレスを設定するごとに、コントローラ10と各ノード20との間で、個別にメッセージをやり取りする必要がなくなる。このため、従来のような、メッセージのやり取りに要する時間や、各ノード20でのメッセージ転送要否を判定するための判定処理に要する時間を省くことができる。したがって、本実施の形態によれば、ノード20の通信経路上の物理的位置とアドレスとの関係を把握しつつ、短い時間で、実際にリング型イーサネットを使用可能な状態へセットアップすることができる。
【0060】
また、本実施の形態では、コントローラ10のアドレス割当部13で、ノード20にIPアドレスを割り当てる際、自コントローラのポートP1を切断状態に設定した後、アドレス付番命令を自コントローラのポートP2から送信し、ノード20のアドレス設定部23で、自ノードのポートP1から受信したアドレス付番命令に応じて自ノードのIPアドレスを設定し、アドレス転送部24で、自ノードに対する後続ノードの接続有無を、自ノードのポートP2の接続先が切断状態か否かに基づき確認し、切断状態でない場合は、後続ノードへのアドレス付番命令を自ノードのポートP2から転送し、切断状態の場合は、アドレス付番完了通知を自ノードのポートP1から送信し、コントローラ10のアドレス管理部14で、自コントローラのポートP2から受信したアドレス付番完了通知に応じて、自コントローラのポートP1の切断状態を解除するようにしてもよい。
【0061】
これにより、コントローラ10およびノード20のポートP1,P2をうまく利用して、コントローラ10から通信経路でリング状に接続されている各ノード20に対してアドレス割当を行う期間のみ、通信経路を自動的に切り離すことができ、例えばコントローラ10やノード20を作業者が操作して、通信経路を一時的に切り離す必要がなくなり、アドレス割当時の作業負担を大幅に削減できる。
【0062】
また、本実施の形態では、コントローラ10のアドレス割当部で、ノード20にIPアドレスを割り当てる際、ノード20でのデータ転送停止を指示する転送停止命令を自コントローラのポートP2からブロードキャストで送信した後、アドレス付番命令を自コントローラのポートP2からブロードキャストで送信し、ノード20のアドレス設定部23で、自ノードのポートP1から受信した転送停止命令に応じて、自ノードのポートP2から後続ノードへ転送するデータ転送処理を転送停止状態に設定し、アドレス転送部24で、自ノードのIPアドレスの設定に応じて自ノードのポートP2での転送停止状態を解除し、後続ノードへのアドレス付番命令を自ノードのポートP2からブロードキャストで転送するようにしてもよい。
【0063】
これにより、各ノード20が、自ノードのポートP1から受信したメッセージがアドレス付番命令か否かを判定し、各自で後続ノードに対するアドレス付番命の転送停止を行う必要がなくなる。このため、ノード20での処理負担を軽減でき、システム起動から、短い時間で、実際にリング型イーサネットを使用可能な状態へセットアップすることができる。
【0064】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0065】
1…リング型イーサネットシステム、10…コントローラ、11…リング接続制御部、12…制御処理部、13…アドレス割当部、14…アドレス管理部、15…記憶部、20…ノード、21…リング接続制御部、22…機能処理部、23…アドレス設定部、24…アドレス転送部、25…記憶部、P1…ポート(第1のポート)、P2…ポート(第2のポート)、L…通信経路、M1〜Mn…ノード、S1〜Sn…スロット。
【技術分野】
【0001】
本発明は、イーサネット(登録商標)通信技術に関し、特にリング型イーサネットを構成するノードのアドレス割当技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル設備やプラント設備を監視制御する監視制御システムでは、情報収集機能や制御機能などの各種機能を有する通信機器をノードとして通信ネットワークを介して接続し、これらノード間でデータ通信を行うことにより、中央監視装置で個々の設備を監視制御するものとなっている。このような監視制御システムでは、通信ネットワークとしてイーサネットが用いられ、各ノード間でデータ通信用のMACフレームである通信フレームをやり取りすることにより、上位アプリケーションにおけるデータ通信が実現される。
【0003】
イーサネットでは、複数のノードを接続する際、ハブやスイッチに各ノードをそれぞれ接続するスター配線方式が基本である。このようなスター配線方式は、比較的規模の小さいオフィス環境には適合するものの、ビル設備やプラント設備などの大規模な設備には必ずしも適合しない。その理由としては、スター配線方式では、ハブやスイッチと各ノードとをそれぞれ個別の配線を介して接続する必要があり、広範囲にわたってノードが設置されている場合には、ノード間を結ぶ配線が複雑化し、配線工事やメンテナンスの作業負担が増大するからである。
【0004】
このような観点から、特に監視制御システムでは、コントローラに対して、各ノードをリング状に接続するリング型イーサネットが用いられる。これにより、コントローラと各ノードを接続する配線が1本で済むため、配線工事やメンテナンスの作業負担を大幅に削減できる。
【0005】
一方、監視制御システムでは、接続されているフィールド機器などの各ノードを識別するため、各ノードにスロット番号という物理的な接続位置を示す識別情報を予め付与して、システムデータとして管理しており、ノードが交換された場合でも、そのイーサネット通信用のIPアドレスは変わらないようにする必要がある。
このため、リング型イーサネットで各ノードを制御する場合、イーサネットで用いるIPアドレスとスロット番号との対応関係を確定する必要がある。
【0006】
イーサネットにおいて、各ノードのIPアドレスを初期設定する技術としてDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)がある。これは、予め設定したアドレス範囲で、ネットワークに接続されている各通信端末に、個別のIPアドレスを自動的に割り当てる技術である。
しかしながら、このDHCPは、通信端末の接続順などの物理的位置関係とは関係なくIPアドレスを割り当てるため、IPアドレスとスロット番号との関連性を把握する機能は備えていない。
【0007】
従来、このようなリング型イーサネットにおけるIPアドレスのアドレス割当技術として、ノードの接続順に併せてIPアドレスを割り当てる技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。これは、隣接ノード間でのみ通信可能なDDC(Data Communication Channel)を各ノードに設けて、親ノードから予め設定されたノード数分だけ、IPアドレスを指定したアドレス設定要求をDDCにより隣接ノードへ繰り返し送信する方式である。
【0008】
親ノード以外の子ノードは、親ノードからアドレス設定要求を受信した時点で、自ノードのアドレス設定の未済を確認し、未の場合には、当該アドレス設定要求で指定されたアドレスを自ノードに設定して親ノードにアドレス設定完了を通知し、済の場合には、当該アドレス設定要求をDDCにより次の隣接ノードへ転送する。
これにより、親ノードから送信されたアドレス設定要求がアドレス未設定の子ノードまで転送されて、指定されたアドレスが設定されるため、結果として予め設定されたノード数分の子ノードに対して、リングに接続された順にアドレスが設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−236317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来技術では、ノードのアドレス割当時に、接続順に応じたノードの物理的位置とアドレスとの関係を把握できるものの、ノードのアドレス設定にある程度の時間を要するという問題点があった。
【0011】
すなわち、従来技術では、各子ノードに対してアドレスを割り当てるためには、親ノードと子ノードとの間でアドレス設定要求とアドレス設定完了通知とを順番にやり取りする必要がある。また、子ノードでアドレス設定要求を転送する際、毎回、自ノードのアドレス設定の未済を確認した後、転送することになる。さらに、親ノードでは、各子ノードに設定すべきアドレスを予め生成してアドレス設定要求で指定する必要がある。
【0012】
したがって、従来技術によれば、これらメッセージのやり取りにある程度の時間を要するとともに、各ノードでの処理に時間を要することになり、システム起動から、短い時間で、実際にリング型イーサネットを使用可能な状態へセットアップすることができない。
【0013】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、ノードの物理的位置とアドレスとの関係を把握しつつ、短い時間で、実際にリング型イーサネットを使用可能な状態へセットアップすることができるアドレス割当技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するために、本発明にかかるリング型イーサネットシステムは、リング状の通信経路を介してコントローラと複数のノードとを接続することによりこれら通信端末間のデータ通信を実現するリング型イーサネットシステムであって、コントローラは、ノードに割り当てるIPアドレスの初期値からなる設定値を含むアドレス付番命令を送信するアドレス割当部と、ノードからのアドレス付番完了通知の受信に応じて、初期値および当該アドレス付番完了通知に含まれる最終値と、後続ノードのIPアドレスを算出するためのアドレス算出式とに基づいて、ノードの接続位置情報とIPアドレスとの関係を示すアドレス対応情報を生成するアドレス管理部とを備え、ノードは、通信経路から受信したアドレス付番命令に応じて、当該アドレス付番命令に含まれる設定値を自ノードのIPアドレスとして設定するアドレス設定部と、自ノードに後続ノードが接続されている場合には、アドレス算出式に基づいて設定値から算出した後続ノードのIPアドレスを新たな設定値としたアドレス付番命令を後続ノードへ転送し、自ノードに後続ノードが接続されていない場合には、自ノードに設定したIPアドレスを最終値とするアドレス付番完了通知をコントローラへ送信するアドレス転送部とを備えている。
【0015】
この際、コントローラおよびノードで、データ通信を行うための第1および第2のポートをそれぞれ有し、これら通信端末のうち隣接する2つの通信端末ごとに、一方の通信端末の第1のポートと他方の通信端末の第2のポートとをそれぞれ接続することにより、リング状の通信経路を構成し、アドレス割当部で、ノードにIPアドレスを割り当てる際、自コントローラの第1のポートを切断状態に設定した後、アドレス付番命令を自コントローラの第2のポートから送信し、アドレス設定部で、自ノードの第1のポートから受信したアドレス付番命令に応じて自ノードのIPアドレスを設定し、アドレス転送部で、自ノードに対する後続ノードの接続有無を、自ノードの第2のポートの接続先が切断状態か否かに基づき確認し、切断状態でない場合は、隣接ノードへのアドレス付番命令を自ノードの第2のポートから転送し、切断状態の場合は、アドレス付番完了通知を自ノードの第1のポートから送信し、アドレス管理部は、自コントローラの第2のポートから受信したアドレス付番完了通知に応じて、自コントローラの第1のポートの切断状態を解除するようにしてもよい。
【0016】
また、アドレス割当部で、ノードにIPアドレスを割り当てる際、ノードでのデータ転送停止を指示する転送停止命令を自コントローラの第2のポートからブロードキャストで送信した後、アドレス付番命令を自コントローラの第2のポートからブロードキャストで送信し、アドレス設定部で、自ノードの第1のポートから受信した転送停止命令に応じて、自ノードの第2のポートから隣接ノードへ転送するデータ転送処理を転送停止状態に設定し、アドレス転送部で、自ノードのIPアドレスの設定に応じて自ノードの第2のポートでの転送停止状態を解除し、隣接ノードへのアドレス付番命令を自ノードの第2のポートからブロードキャストで転送するようにしてもよい。
【0017】
また、本発明にかかるアドレス割当方法は、リング状の通信経路を介してコントローラと複数のノードとを接続することによりこれら通信端末間のデータ通信を実現するリング型イーサネットシステムで用いられるアドレス割当方法であって、コントローラが、ノードに割り当てるIPアドレスの初期値からなる設定値を含むアドレス付番命令を送信するアドレス割当ステップと、ノードが、通信経路から受信したアドレス付番命令に応じて、当該アドレス付番命令に含まれる設定値を自ノードのIPアドレスとして設定するアドレス設定ステップと、ノードが、自ノードに後続ノードが接続されている場合には、後続ノードのIPアドレスを算出するためのアドレス算出式に基づいて設定値から算出した後続ノードのIPアドレスを新たな設定値としたアドレス付番命令を後続ノードへ転送し、自ノードに後続ノードが接続されていない場合には、自ノードに設定したIPアドレスを最終値とするアドレス付番完了通知をコントローラへ送信するアドレス転送ステップと、コントローラが、ノードからのアドレス付番完了通知の受信に応じて、初期値および当該アドレス付番完了通知に含まれる最終値と、後続ノードのIPアドレスを算出するためのアドレス算出式とに基づいて、ノードの接続位置情報とIPアドレスとの関係を示すアドレス対応情報を生成するアドレス管理ステップとを備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、コントローラから送信したアドレス付番命令が、各ノードで順番に転送されるため、各ノードのIPアドレスを設定するごとに、コントローラと各ノードとの間で、個別にメッセージをやり取りする必要がなくなる。このため、従来のような、メッセージのやり取りに要する時間や、各ノードでのメッセージ転送要否を判定するための判定処理に要する時間を省くことができ、システム起動から、短い時間で、実際にリング型イーサネットを使用可能な状態へセットアップすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】リング型イーサネットシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】コントローラでのアドレス割当処理を示すフローチャートである。
【図3】アドレス対応情報の構成例である。
【図4】ノードでのアドレス設定処理を示すフローチャートである。
【図5】リング型イーサネットシステムの動作例を示すシーケンス図である。
【図6】リング型イーサネットシステムの各動作状態(リンク切断)を示す説明図である。
【図7】リング型イーサネットシステムの各動作状態(転送停止命令)を示す説明図である。
【図8】リング型イーサネットシステムの各動作状態(転送停止)を示す説明図である。
【図9】リング型イーサネットシステムの各動作状態(ノードM1アドレス設定)を示す説明図である。
【図10】リング型イーサネットシステムの各動作状態(ノードM2アドレス設定)を示す説明図である。
【図11】リング型イーサネットシステムの各動作状態(ノードMnアドレス設定)を示す説明図である。
【図12】リング型イーサネットシステムの各動作状態(付番完了通知)を示す説明図である。
【図13】リング型イーサネットシステムの各動作状態(切断解除)を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
[リング型イーサネットシステム]
まず、図1を参照して、本実施の形態にかかるリング型イーサネットシステムについて説明する。図1は、リング型イーサネットシステムの構成を示すブロック図である。
【0021】
このリング型イーサネットシステム1は、リング状の通信経路Lを介してコントローラ10と複数のノード20とを接続することにより、これら通信端末間のデータ通信を実現するネットワークシステムである。図1の例では、ノード20として、ノードM1〜ノードMnからなるn個のノードが、ノードM1から順に通信経路Lで接続されている。
【0022】
コントローラ10は、イーサネット通信機能を有する情報処理端末であり、通信経路Lを介してノード20とデータ通信を行うことにより、ビル設備やプラント設備を監視制御する監視制御システムなどの上位アプリケーションを実行する機能と、ノード20に対してデータ通信で用いるIPアドレスを割り当てる機能とを有している。
ノード20は、イーサネット通信機能を有する情報処理端末であり、通信経路Lを介してノード20とデータ通信を行うことにより、コントローラ10からの指示に応じて、自ノードの配下に接続されたフィールド機器などの各種機器(図示せず)を制御する機能と、コントローラ10からの指示に応じて、自ノードのIPアドレスを設定する機能とを有している。
【0023】
本実施の形態は、コントローラ10で、ノード20に割り当てるIPアドレスの初期値からなる設定値を含むアドレス付番命令を送信し、ノード20からのアドレス付番完了通知の受信に応じて、初期値および当該アドレス付番完了通知に含まれる最終値と、後続ノードのIPアドレスを算出するためのアドレス算出式とに基づいて、ノード20の接続位置情報とIPアドレスとの関係を示すアドレス対応情報を生成するようにしたものである。また、ノード20で、通信経路から受信したアドレス付番命令に応じて、当該アドレス付番命令に含まれる設定値を自ノードのIPアドレスとして設定し、自ノードに後続ノードが接続されている場合には、アドレス算出式に基づいて設定値から算出した後続ノードのIPアドレスを新たな設定値としたアドレス付番命令を後続ノードへ転送し、自ノードに後続ノードが接続されていない場合には、自ノードに設定したIPアドレスを最終値とするアドレス付番完了通知をコントローラ10へ送信するようにしたものである。
【0024】
[コントローラ]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかるコントローラ10の構成について詳細に説明する。
コントローラ10には、主な機能部として、リング接続制御部11、制御処理部12、アドレス割当部13、アドレス管理部14、および記憶部15が設けられている。
【0025】
本発明において、コントローラ10およびノード20には、物理層におけるデータ通信を実現する通信回路を含む通信インターフェースとして、ポートP1(第1のポート)およびポートP2(第2のポート)がそれぞれ設けられている。これら通信端末のうち隣接する2つの通信端末ごとに、一方の通信端末のポートP1が他方の通信端末のポートP2とをそれぞれ接続されている。
具体的には、コントローラ10のポートP2が、これに隣接するノードM1のポートP1と接続されており、ノードM1のポートP2が、これに隣接するノードM2のポートP1とを接続されており、ノードMnのポートP2が、これに隣接するコントローラ10のポートP1と接続されている。これにより、リング状の通信経路Lが構成されている。
【0026】
リング接続制御部11は、自コントローラのポートP1,P2に接続されている通信経路Lに関する接続制御を行うとともに、通信経路Lを介して、ノード20との間でイーサネット準拠のデータ通信を行う機能を有している。
制御処理部12は、記憶部15に保存されている、ノード20ごとの接続位置情報とIPアドレスとの関係を示すアドレス対応情報に基づいて、リング接続制御部11を介したノード20とのデータ通信により、各種上位アプリケーション処理を実行する機能を有している。
【0027】
アドレス割当部13は、ノード20にIPアドレスを割り当てる際、自コントローラのポートP1を切断状態に設定する機能と、すべてのノード20でのデータ転送停止を指示する転送停止命令を自コントローラのポートP2からブロードキャストで送信する機能と、切断状態の設定および転送停止命令の送信を実行した後、ノード20に割り当てるIPアドレスの初期値からなる設定値を含むアドレス付番命令を自コントローラのポート2からブロードキャストで送信する機能とを有している。
【0028】
一般に、イーサネット通信では、データ送信方式として、特定のアドレスを持つ通信端末に対してデータを送信するユニキャストに対して、ネットワークに接続されているすべての通信端末に対してデータを送信するブロードキャストがある。
本発明では、ノード20のリング接続制御部21において、ユニキャストで送信された受信データ合については、その送信先IPアドレスが自ノードのIPアドレスと一致する場合にのみ、当該受信データが取り込まれて機能処理部22やアドレス設定部23へ通知され、不一致の場合には後続のノード20へ転送される。また、ブロードキャストで送信された受信データについては、当該受信データが取り込まれるとともに後続のノード20へ転送される。
【0029】
アドレス管理部14は、自コントローラのポートP2から受信したアドレス付番完了通知に応じて、アドレス割当部13で用いたIPアドレスの初期値および当該アドレス付番完了通知に含まれる最終値と、ノード20において後続ノードのIPアドレスを算出するためのアドレス算出式とに基づいて、ノード20ごとに接続位置情報とIPアドレスとの関係を示すアドレス対応情報を生成して記憶部15へ保存する機能とを有している。なお、アドレス対応情報については、独立したデータではなく、リング型イーサネットシステム1で用いるシステムデータの一部を構成する情報であってもよい。
【0030】
記憶部15は、半導体メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、アドレス対応情報など、自コントローラの各部で用いる各種処理情報や、CPUで実行されるプログラムを記憶する機能を有している。
なお、コントローラ10におけるリング接続制御部11、制御処理部12、アドレス割当部13、およびアドレス管理部14は、CPUでプログラムを実行することにより実現してもよく、任意の機能部の一部を専用の回路部で構成してもよい。
【0031】
[ノード]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかるノード20の構成について詳細に説明する。
ノード20には、主な機能部として、リング接続制御部21、機能処理部22、アドレス設定部23、アドレス転送部24、および記憶部25が設けられている。図1におけるノードM1〜ノードMnは、すべて同様の構成を有しているものとする。
【0032】
リング接続制御部21は、自ノードのポートP1,P2に接続されている通信経路Lに関する接続制御を行うとともに、通信経路Lを介して、コントローラ10との間さらには他のノード20との間でイーサネット準拠のデータ通信を行う機能を有している。
機能処理部22は、記憶部25に設定されている自ノードのIPアドレスに基づいて、リング接続制御部21を介したコントローラ10やノード20とのデータ通信により、各種上位アプリケーション処理を実行する機能を有している。
【0033】
アドレス設定部23は、自ノードのポートP1から受信した転送停止命令に応じて、自ノード20のポートP2から後続ノードに対するデータ転送処理を転送停止状態に設定する機能と、自ノードのポートP1から受信したアドレス付番命令に応じて、当該アドレス付番命令に含まれる設定値を自ノード20のIPアドレスとして記憶部25へ設定する機能と、自ノードでのIPアドレスの設定に応じて自ノードのポートP2での転送停止状態を解除する機能とを有している。
【0034】
アドレス転送部24は、自ノードのポートP2の接続先が切断状態か否かに基づいて、自ノードに対する後続ノードの接続有無を確認する機能と、自ノードに後続ノードが接続されている場合には、予め設定されているコントローラ10と同じアドレス算出式に基づき設定値から後続ノードのIPアドレスを算出する機能と、算出したIPアドレスを新たな設定値としたアドレス付番命令を自ノードのポートP2からブロードキャストで後続ノードへ転送する機能と、自ノードに後続ノードが接続されていない場合には、自ノードに設定したIPアドレスを最終値とするアドレス付番完了通知を自ノードのポートP1からコントローラ10へ送信する機能とを有している。
【0035】
記憶部25は、半導体メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、自ノードのIPアドレスなど、自ノードの各部で用いる各種処理情報や、CPUで実行されるプログラムを記憶する機能を有している。
なお、ノード20におけるリング接続制御部21、機能処理部22、アドレス設定部23、およびアドレス転送部24は、CPUでプログラムを実行することにより実現してもよく、任意の機能部の一部を専用の回路部で構成してもよい。
【0036】
[本実施の形態の動作]
次に、本実施の形態にかかるリング型イーサネットシステム1におけるノードIPアドレスの割当動作について説明する。以下では、コントローラ10とノード20の動作をそれぞれ個別に説明する。
【0037】
[コントローラの動作]
図2を参照して、本実施の形態にかかるコントローラ10でのアドレス割当動作について説明する。図2は、コントローラでのアドレス割当処理を示すフローチャートである。
コントローラ10は、システム起動時、障害発生時、あるいは上位装置やオペレータからの指示に応じて、図2のアドレス割当処理を実行する。
【0038】
コントローラ10は、まず、アドレス割当部13により、リング接続制御部11を制御して、ポートP1を切断状態に設定するとともに(ステップ100)、すべてのノード20でのデータ転送停止を指示する転送停止命令を、ポートP2からブロードキャストで送信する(ステップ101)。
続いて、アドレス割当部13は、ノード20に割り当てるIPアドレスの初期値を記憶部15から読み出し、この初期値を設定値とするアドレス付番命令を、ポートP2からブロードキャストで送信する(ステップ102)。
【0039】
この後、コントローラ10は、リング接続制御部11でポートP2からのアドレス付番完了通知の受信を待機し(ステップ103)、アドレス付番完了通知の受信に応じて、アドレス管理部14により、アドレス割当部13で用いたIPアドレスの初期値および当該アドレス付番完了通知に含まれる最終値と、ノード20において後続ノードのIPアドレスを算出するためのアドレス算出式とに基づいて、ノード20ごとに接続位置情報とIPアドレスとの関係を示すアドレス対応情報を生成して記憶部15へ保存し(ステップ104)、一連のアドレス割当処理を終了する。
【0040】
図3は、アドレス対応情報の構成例である。ここでは、ノード20の接続位置情報であるスロット番号ごとに、当該ノード20に設定されたIPアドレスが登録されている。この例では、IPアドレスのアドレス算出式として、自ノードのIPアドレスの末尾桁に「1」を加えることにより後続ノードのIPアドレスを算出するという式を用いている。したがって、通信経路Lに対するノード20の接続順序に応じて、IPアドレスが「1」ずつ増加している。なお、アドレス算出式については、これに限定されるものではなく、自ノードのIPアドレスに基づいて後続ノードのIPアドレスを一意に算出する算出式であれば、任意の算出式を用いればよい。
【0041】
[ノードの動作]
図4を参照して、本実施の形態にかかるノード20でのノードIPアドレス設定動作について説明する。図4は、ノードでのアドレス設定処理を示すフローチャートである。
ノード20は、自ノードのポートP1からアドレス付番命令を受信した場合、図4のアドレス設定処理を実行する。なお、アドレス付番命令に先だって、自ノードのポートP1から受信した転送停止命令に応じて、アドレス設定部23により、自ノード20のポートP2から後続ノードに対するデータ転送処理が転送停止状態に設定されているものとする。
【0042】
ノード20は、まず、アドレス設定部23により、受信したアドレス付番命令に含まれる設定値を自ノード20のIPアドレスとして記憶部25へ設定し(ステップ110)、自ノードでのIPアドレスの設定に応じて自ノードのポートP2での転送停止状態を解除する(ステップ111)。
続いて、アドレス転送部24は、自ノードのポートP2に後続ノードが接続されているか否か確認する(ステップ112)。この場合、例えばポートP2の接続先として、ノード20またはコントローラ10からなる後続ノードとの間で制御メッセージをやり取りすることにより接続先が切断状態か否かを検知し、この検査結果に応じて後続ノードの有無を確認すればよい。
【0043】
ここで、ポートP2の接続先が切断状態ではなく、後続ノードが接続されている場合(ステップ112:YES)、アドレス転送部24は、予め設定されているアドレス算出式に基づき、設定値から後続ノードのIPアドレスを算出し(ステップ113)、算出したIPアドレスを新たな設定値としたアドレス付番命令を、自ノードのポートP2からブロードキャストで後続ノードへ転送した後(ステップ114)、一連のアドレス設定処理を終了する。
【0044】
一方、ポートP2の接続先が切断状態であり、自ノードに後続ノードが接続されていない場合(ステップ112:NO)、アドレス転送部24は、自ノードに設定したIPアドレスを最終値とするアドレス付番完了通知を自ノードのポートP1からコントローラ10へ送信し(ステップ115)、一連のアドレス設定処理を終了する。
【0045】
[本実施の形態の動作例]
次に、図5〜図13を参照して、本実施の形態にかかるリング型イーサネットシステムの動作例について説明する。図5は、リング型イーサネットシステムの動作例を示すシーケンス図である。図6〜図13は、リング型イーサネットシステムの各動作状態を示す説明図である。
【0046】
ここでは、コントローラ10に、通信経路Lを介して、n個のノードM1〜MnがスロットS1〜Snの順に接続されており、これらノードM1〜MnのIPアドレスには、末尾が「00」の仮値が設定されているものとする。また、後続ノードのIPアドレスを算出するアドレス算出式として、自ノードのIPアドレスの末桁に「1」を加算する式を用いるものとする。
【0047】
まず、コントローラ10は、ポートP1を切断状態に設定する(ステップ200)。これにより、図6に示すように、コントローラ10のポートP1が切断状態となり、コントローラ10とノードMn間のデータ通信は行えない状態となる。
【0048】
続いて、コントローラ10は、すべてのノードM1〜Mnでのデータ転送停止を指示する転送停止命令を、ポートP2からブロードキャストで送信する(ステップ201)。これにより、図7に示すように、転送停止命令が、ノードM1からノードMnまで順に転送され、この後、図8に示すように、各ノードM1〜MnのポートP2に対して転送停止が設定される(ステップ202)。これにより、各ノードM1〜Mnでは、ポートP1から受信したデータがブロードキャストで送信されたものであっても、後続ノードへは転送されない。
【0049】
この後、コントローラ10は、IPアドレスの末尾が「01」の初期値を設定値とするアドレス付番命令を、ポートP2からブロードキャストで送信する(ステップ203)。これにより、図9に示すように、アドレス付番命令がノードM1のポートP1へ入力される。
【0050】
ノードM1は、ポートP1からアドレス付番命令を受信し、このアドレス付番命令に含まれている設定値を自ノードのIPアドレスとして記憶部25へ設定するとともにポートP2の転送停止を解除する(ステップ204)。これにより、図9に示すように、ノードM1のIPアドレスとして、末尾が「01」のIPアドレスが設定されて、ポートP2の転送停止が解除される。
【0051】
次に、ノードM1は、自ノードのポートP2の接続先が切断状態か否か確認し、この場合にはノードM2が接続されていることから、予め設定されているアドレス算出式に基づき、設定値から後続ノードのIPアドレスとして、末尾が「02」のIPアドレスを算出する(ステップ205)、算出したIPアドレスを新たな設定値としたアドレス付番命令を、自ノードのポートP2からブロードキャストで後続ノードへ転送する(ステップ206)。これにより、図10に示すように、アドレス付番命令がノードM2のポートP1へ入力される。
【0052】
ノードM2は、ポートP1からアドレス付番命令を受信し、このアドレス付番命令に含まれている設定値を自ノードのIPアドレスとして記憶部25へ設定するとともにポートP2の転送停止を解除する(ステップ207)。これにより、図10に示すように、ノードM2のIPアドレスとして、末尾が「02」のIPアドレスが設定されて、ポートP2の転送停止が解除される。
【0053】
次に、ノードM2は、自ノードのポートP2の接続先が切断状態か否か確認し、この場合にはノードM3(図示せず)が接続されていることから、予め設定されている算出式に基づき、設定値から後続ノードのIPアドレスとして、末尾が「03」のIPアドレスを算出する(ステップ208)、算出したIPアドレスを新たな設定値としたアドレス付番命令を、自ノードのポートP2からブロードキャストで後続ノードへ転送する(ステップ209)。これにより、アドレス付番命令がノードM3のポートP1へ入力される。このようにして、ノードM3〜ノードMn−1までIPアドレスが設定され、ノードMn−1から転送されたアドレス付番命令がノードMnのポートP1へ入力される(ステップ210)。
【0054】
ノードMnは、ポートP1からアドレス付番命令を受信し、このアドレス付番命令に含まれている設定値を自ノードのIPアドレスとして記憶部25へ設定するとともにポートP2の転送停止を解除する(ステップ211)。これにより、図11に示すように、ノードMnのIPアドレスとして、末尾が「0n」のIPアドレスが設定されて、ポートP2の転送停止が解除される。
【0055】
次に、ノードMnは、自ノードのポートP2の接続先が切断状態か否か確認し、この場合にはコントローラ10のポートP1が切断状態であることから後続ノードが接続されていないと判定される。したがって、ノードMnは、自ノードに設定したIPアドレスを最終値とするアドレス付番完了通知を自ノードのポートP1からコントローラ10へ送信する(ステップ212)。これにより、図12に示すように、アドレス付番完了通知がノードMnのポートP1から送信され、ノードMn−1〜ノードM1で順に転送されてコントローラ10のポートP1へ入力される。
【0056】
コントローラ10は、ポートP1からアドレス付番完了通知を受信し、このアドレス付番完了通知に含まれている最終値と、アドレス割当部13で用いたIPアドレスの初期値と、後続ノードのIPアドレスを算出するためのアドレス算出式とに基づいて、ノードM1〜ノードMnごとに接続位置情報とIPアドレスとの関係を示すアドレス対応情報を生成して記憶部15へ保存し、ポートP1の切断状態を解除する(ステップ213)。これにより、図13に示すように、リング型イーサネットの使用可能な状態となる。
【0057】
したがって、前述したように、アドレス算出式として、自ノードのIPアドレスの末桁に「1」を加算する式を用いた場合、各ノードM1〜Mnに対して、ノードM1〜Mnが接続されている順番、すなわちスロット番号の順に、末尾が「01」の初期値から順に「1」ずつ最終値まで増加したIPアドレスが設定されることになり、結果として、前述した図3のようなアドレス対応情報が生成される。
【0058】
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、コントローラ10において、アドレス割当部13で、ノード20に割り当てるIPアドレスの初期値からなる設定値を含むアドレス付番命令を送信し、各ノード20において、アドレス設定部23で、通信経路から受信したアドレス付番命令に応じて、当該アドレス付番命令に含まれる設定値を自ノードのIPアドレスとして設定し、アドレス転送部24で、自ノードに後続ノードが接続されている場合には、設定値からアドレス算出式に基づき算出した後続ノードのIPアドレスを新たな設定値としたアドレス付番命令を後続ノードへ転送し、自ノードに後続ノードが接続されていない場合には、自ノードに設定したIPアドレスを最終値とするアドレス付番完了通知をコントローラ10へ送信し、コントローラ10において、アドレス管理部14で、ノード20からのアドレス付番完了通知の受信に応じて、初期値および当該アドレス付番完了通知に含まれる最終値と、後続ノードのIPアドレスを算出するための算出式とに基づいて、ノード20の接続位置情報とIPアドレスとの関係を示すアドレス対応情報を生成している。
【0059】
これにより、コントローラ10から送信したアドレス付番命令が、各ノード20で順番に転送されるため、各ノード20のIPアドレスを設定するごとに、コントローラ10と各ノード20との間で、個別にメッセージをやり取りする必要がなくなる。このため、従来のような、メッセージのやり取りに要する時間や、各ノード20でのメッセージ転送要否を判定するための判定処理に要する時間を省くことができる。したがって、本実施の形態によれば、ノード20の通信経路上の物理的位置とアドレスとの関係を把握しつつ、短い時間で、実際にリング型イーサネットを使用可能な状態へセットアップすることができる。
【0060】
また、本実施の形態では、コントローラ10のアドレス割当部13で、ノード20にIPアドレスを割り当てる際、自コントローラのポートP1を切断状態に設定した後、アドレス付番命令を自コントローラのポートP2から送信し、ノード20のアドレス設定部23で、自ノードのポートP1から受信したアドレス付番命令に応じて自ノードのIPアドレスを設定し、アドレス転送部24で、自ノードに対する後続ノードの接続有無を、自ノードのポートP2の接続先が切断状態か否かに基づき確認し、切断状態でない場合は、後続ノードへのアドレス付番命令を自ノードのポートP2から転送し、切断状態の場合は、アドレス付番完了通知を自ノードのポートP1から送信し、コントローラ10のアドレス管理部14で、自コントローラのポートP2から受信したアドレス付番完了通知に応じて、自コントローラのポートP1の切断状態を解除するようにしてもよい。
【0061】
これにより、コントローラ10およびノード20のポートP1,P2をうまく利用して、コントローラ10から通信経路でリング状に接続されている各ノード20に対してアドレス割当を行う期間のみ、通信経路を自動的に切り離すことができ、例えばコントローラ10やノード20を作業者が操作して、通信経路を一時的に切り離す必要がなくなり、アドレス割当時の作業負担を大幅に削減できる。
【0062】
また、本実施の形態では、コントローラ10のアドレス割当部で、ノード20にIPアドレスを割り当てる際、ノード20でのデータ転送停止を指示する転送停止命令を自コントローラのポートP2からブロードキャストで送信した後、アドレス付番命令を自コントローラのポートP2からブロードキャストで送信し、ノード20のアドレス設定部23で、自ノードのポートP1から受信した転送停止命令に応じて、自ノードのポートP2から後続ノードへ転送するデータ転送処理を転送停止状態に設定し、アドレス転送部24で、自ノードのIPアドレスの設定に応じて自ノードのポートP2での転送停止状態を解除し、後続ノードへのアドレス付番命令を自ノードのポートP2からブロードキャストで転送するようにしてもよい。
【0063】
これにより、各ノード20が、自ノードのポートP1から受信したメッセージがアドレス付番命令か否かを判定し、各自で後続ノードに対するアドレス付番命の転送停止を行う必要がなくなる。このため、ノード20での処理負担を軽減でき、システム起動から、短い時間で、実際にリング型イーサネットを使用可能な状態へセットアップすることができる。
【0064】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0065】
1…リング型イーサネットシステム、10…コントローラ、11…リング接続制御部、12…制御処理部、13…アドレス割当部、14…アドレス管理部、15…記憶部、20…ノード、21…リング接続制御部、22…機能処理部、23…アドレス設定部、24…アドレス転送部、25…記憶部、P1…ポート(第1のポート)、P2…ポート(第2のポート)、L…通信経路、M1〜Mn…ノード、S1〜Sn…スロット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング状の通信経路を介してコントローラと複数のノードとを接続することによりこれら通信端末間のデータ通信を実現するリング型イーサネットシステムであって、
前記コントローラは、
前記ノードに割り当てるIPアドレスの初期値からなる設定値を含むアドレス付番命令を送信するアドレス割当部と、
前記ノードからのアドレス付番完了通知の受信に応じて、前記初期値および当該アドレス付番完了通知に含まれる最終値と、後続ノードのIPアドレスを算出するためのアドレス算出式とに基づいて、前記ノードの接続位置情報とIPアドレスとの関係を示すアドレス対応情報を生成するアドレス管理部と
を備え、
前記ノードは、
前記通信経路から受信した前記アドレス付番命令に応じて、当該アドレス付番命令に含まれる前記設定値を自ノードのIPアドレスとして設定するアドレス設定部と、
自ノードに後続ノードが接続されている場合には、前記アドレス算出式に基づいて前記設定値から算出した前記後続ノードのIPアドレスを新たな設定値とした前記アドレス付番命令を前記後続ノードへ転送し、自ノードに後続ノードが接続されていない場合には、自ノードに設定したIPアドレスを前記最終値とする前記アドレス付番完了通知を前記コントローラへ送信するアドレス転送部と
を備えることを特徴とするリング型イーサネットシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のリング型イーサネットシステムにおいて、
前記コントローラおよび前記ノードは、前記データ通信を行うための第1および第2のポートをそれぞれ有し、これら通信端末のうち隣接する2つの通信端末ごとに、一方の通信端末の前記第1のポートと他方の通信端末の前記第2のポートとをそれぞれ接続することにより、リング状の前記通信経路を構成し、
前記アドレス割当部は、前記ノードにIPアドレスを割り当てる際、自コントローラの前記第1のポートを切断状態に設定した後、前記アドレス付番命令を自コントローラの前記第2のポートから送信し、
前記アドレス設定部は、自ノードの前記第1のポートから受信した前記アドレス付番命令に応じて自ノードのIPアドレスを設定し、
前記アドレス転送部は、自ノードに対する前記後続ノードの接続有無を、自ノードの前記第2のポートの接続先が切断状態か否かに基づき確認し、切断状態でない場合は、前記隣接ノードへの前記アドレス付番命令を自ノードの前記第2のポートから転送し、切断状態の場合は、前記アドレス付番完了通知を自ノードの前記第1のポートから送信し、
前記アドレス管理部は、自コントローラの前記第2のポートから受信した前記アドレス付番完了通知に応じて、自コントローラの前記第1のポートの切断状態を解除する
ことを特徴とするリング型イーサネットシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のリング型イーサネットシステムにおいて、
前記アドレス割当部は、前記ノードにIPアドレスを割り当てる際、前記ノードでのデータ転送停止を指示する転送停止命令を自コントローラの前記第2のポートからブロードキャストで送信した後、前記アドレス付番命令を自コントローラの前記第2のポートからブロードキャストで送信し、
前記アドレス設定部は、自ノードの前記第1のポートから受信した前記転送停止命令に応じて、自ノードの前記第2のポートから前記隣接ノードへ転送するデータ転送処理を転送停止状態に設定し、
前記アドレス転送部は、自ノードのIPアドレスの設定に応じて自ノードの前記第2のポートでの転送停止状態を解除し、前記隣接ノードへの前記アドレス付番命令を自ノードの前記第2のポートからブロードキャストで転送する
ことを特徴とするリング型イーサネットシステム。
【請求項4】
リング状の通信経路を介してコントローラと複数のノードとを接続することによりこれら通信端末間のデータ通信を実現するリング型イーサネットシステムで用いられるアドレス割当方法であって、
前記コントローラが、前記ノードに割り当てるIPアドレスの初期値からなる設定値を含むアドレス付番命令を送信するアドレス割当ステップと、
前記ノードが、前記通信経路から受信した前記アドレス付番命令に応じて、当該アドレス付番命令に含まれる前記設定値を自ノードのIPアドレスとして設定するアドレス設定ステップと、
前記ノードが、自ノードに後続ノードが接続されている場合には、後続ノードのIPアドレスを算出するためのアドレス算出式に基づいて前記設定値から算出した前記後続ノードのIPアドレスを新たな設定値とした前記アドレス付番命令を前記後続ノードへ転送し、自ノードに後続ノードが接続されていない場合には、自ノードに設定したIPアドレスを前記最終値とする前記アドレス付番完了通知を前記コントローラへ送信するアドレス転送ステップと、
前記コントローラが、前記ノードからのアドレス付番完了通知の受信に応じて、前記初期値および当該アドレス付番完了通知に含まれる最終値と、後続ノードのIPアドレスを算出するためのアドレス算出式とに基づいて、前記ノードの接続位置情報とIPアドレスとの関係を示すアドレス対応情報を生成するアドレス管理ステップと
を備えることを特徴とするアドレス割当方法。
【請求項1】
リング状の通信経路を介してコントローラと複数のノードとを接続することによりこれら通信端末間のデータ通信を実現するリング型イーサネットシステムであって、
前記コントローラは、
前記ノードに割り当てるIPアドレスの初期値からなる設定値を含むアドレス付番命令を送信するアドレス割当部と、
前記ノードからのアドレス付番完了通知の受信に応じて、前記初期値および当該アドレス付番完了通知に含まれる最終値と、後続ノードのIPアドレスを算出するためのアドレス算出式とに基づいて、前記ノードの接続位置情報とIPアドレスとの関係を示すアドレス対応情報を生成するアドレス管理部と
を備え、
前記ノードは、
前記通信経路から受信した前記アドレス付番命令に応じて、当該アドレス付番命令に含まれる前記設定値を自ノードのIPアドレスとして設定するアドレス設定部と、
自ノードに後続ノードが接続されている場合には、前記アドレス算出式に基づいて前記設定値から算出した前記後続ノードのIPアドレスを新たな設定値とした前記アドレス付番命令を前記後続ノードへ転送し、自ノードに後続ノードが接続されていない場合には、自ノードに設定したIPアドレスを前記最終値とする前記アドレス付番完了通知を前記コントローラへ送信するアドレス転送部と
を備えることを特徴とするリング型イーサネットシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のリング型イーサネットシステムにおいて、
前記コントローラおよび前記ノードは、前記データ通信を行うための第1および第2のポートをそれぞれ有し、これら通信端末のうち隣接する2つの通信端末ごとに、一方の通信端末の前記第1のポートと他方の通信端末の前記第2のポートとをそれぞれ接続することにより、リング状の前記通信経路を構成し、
前記アドレス割当部は、前記ノードにIPアドレスを割り当てる際、自コントローラの前記第1のポートを切断状態に設定した後、前記アドレス付番命令を自コントローラの前記第2のポートから送信し、
前記アドレス設定部は、自ノードの前記第1のポートから受信した前記アドレス付番命令に応じて自ノードのIPアドレスを設定し、
前記アドレス転送部は、自ノードに対する前記後続ノードの接続有無を、自ノードの前記第2のポートの接続先が切断状態か否かに基づき確認し、切断状態でない場合は、前記隣接ノードへの前記アドレス付番命令を自ノードの前記第2のポートから転送し、切断状態の場合は、前記アドレス付番完了通知を自ノードの前記第1のポートから送信し、
前記アドレス管理部は、自コントローラの前記第2のポートから受信した前記アドレス付番完了通知に応じて、自コントローラの前記第1のポートの切断状態を解除する
ことを特徴とするリング型イーサネットシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のリング型イーサネットシステムにおいて、
前記アドレス割当部は、前記ノードにIPアドレスを割り当てる際、前記ノードでのデータ転送停止を指示する転送停止命令を自コントローラの前記第2のポートからブロードキャストで送信した後、前記アドレス付番命令を自コントローラの前記第2のポートからブロードキャストで送信し、
前記アドレス設定部は、自ノードの前記第1のポートから受信した前記転送停止命令に応じて、自ノードの前記第2のポートから前記隣接ノードへ転送するデータ転送処理を転送停止状態に設定し、
前記アドレス転送部は、自ノードのIPアドレスの設定に応じて自ノードの前記第2のポートでの転送停止状態を解除し、前記隣接ノードへの前記アドレス付番命令を自ノードの前記第2のポートからブロードキャストで転送する
ことを特徴とするリング型イーサネットシステム。
【請求項4】
リング状の通信経路を介してコントローラと複数のノードとを接続することによりこれら通信端末間のデータ通信を実現するリング型イーサネットシステムで用いられるアドレス割当方法であって、
前記コントローラが、前記ノードに割り当てるIPアドレスの初期値からなる設定値を含むアドレス付番命令を送信するアドレス割当ステップと、
前記ノードが、前記通信経路から受信した前記アドレス付番命令に応じて、当該アドレス付番命令に含まれる前記設定値を自ノードのIPアドレスとして設定するアドレス設定ステップと、
前記ノードが、自ノードに後続ノードが接続されている場合には、後続ノードのIPアドレスを算出するためのアドレス算出式に基づいて前記設定値から算出した前記後続ノードのIPアドレスを新たな設定値とした前記アドレス付番命令を前記後続ノードへ転送し、自ノードに後続ノードが接続されていない場合には、自ノードに設定したIPアドレスを前記最終値とする前記アドレス付番完了通知を前記コントローラへ送信するアドレス転送ステップと、
前記コントローラが、前記ノードからのアドレス付番完了通知の受信に応じて、前記初期値および当該アドレス付番完了通知に含まれる最終値と、後続ノードのIPアドレスを算出するためのアドレス算出式とに基づいて、前記ノードの接続位置情報とIPアドレスとの関係を示すアドレス対応情報を生成するアドレス管理ステップと
を備えることを特徴とするアドレス割当方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−166410(P2011−166410A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26330(P2010−26330)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
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