説明

リング状ワーク搬送装置およびリング状ワーク搬送方法

【課題】リング状ワークを次の工程に搬送する際の搬送時間を短縮化することができるリング状ワーク搬送装置を提供する。
【解決手段】リング状ワーク搬送装置1は、先端に第1ワーク受けピン16が設けられた第1ワーク受けピン支持ロッド15と、第1ワーク受けピン支持ロッド15を伸縮させ、第1ワーク受けピン16をリング状ワークWの中心孔に通すことによってリング状ワークWを受け取り、リング状ワークWを受け取り地点から別の地点へ搬送するピン移動用シリンダ11と、別の地点に搬送された第1ワーク受けピン16からリング状ワークWを取外す取外し部として第1ワーク受けピン支持ロッド15および第1ワーク受けピン16を下方へ回転させるピン回転用シリンダ12とを有する第1ワーク受けピン駆動部10を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある工程で加工されたリング状ワークを受け取り、次の工程が行われる箇所に搬送するリング状ワーク搬送装置およびリング状ワーク搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリング状ワーク搬送装置として、例えば、NC旋削本体で切削されたベアリング等のリング状ワークの中心孔に、挿入時には細く、挿入後には直径を太く拡開させて、リング状ワークを定位置に保持し、第一NC旋削本体で切削されたリング状ワークを取り出し、次の工程に搬送するものがある(例えば、特許文献1の図3、段落番号[0018]および[0019]等の記載を参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−118891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記背景技術の装置では、ある工程で加工されたベアリング等のリング状ワークを受け取り、次の工程が行われる箇所に搬送する場合、リング状ワークの中心孔に、挿入時には細く、挿入後には直径を太く拡開等することによってリング状ワークを掴む受け取り軸を挿入してリング状ワークを掴み、次の工程に搬送していたため、リング状ワークを次の工程に搬送する際の搬送時間がかかる、という課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、リング状ワークを次の工程に搬送する際の搬送時間を短縮化することができる、リング状ワーク搬送装置およびリング状ワーク搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のリング状ワーク搬送装置は、ある工程で加工されたリング状ワークを受け取り、次の工程が行われる箇所に搬送するリング状ワーク搬送装置であって、少なくとも少なくとも、第1ワーク受けピン駆動部を有し、前記第1ワーク受けピン駆動部は、先端に第1ワーク受けピンが設けられた第1ワーク受けピン支持ロッドと、前記第1ワーク受けピン支持ロッドを伸縮させ、前記第1ワーク受けピンを前記リング状ワークの中心孔に通すことにより前記リング状ワークを受け取り、前記リング状ワークを受け取り地点から別の地点へ搬送するピン移動用シリンダと、前記別の地点に搬送された前記第1ワーク受けピンを上向きから下向きに回転させて前記第1ワーク受けピンから前記リング状ワークを取外すピン回転用シリンダと、を有するリング状ワーク搬送装置である。
ここで、前記取外し部は、前記別の地点に搬送された前記第1ワーク受けピンを上向きから下向きに回転させて前記第1ワーク受けピンから前記リング状ワークを取外すピン回転用シリンダであり、さらに、第2ワーク受けピン昇降部を有し、前記第2ワーク受けピン昇降部は、前記別の地点にて前記ピン回転用シリンダが前記第1ワークピンを回転させることにより、前記第1ワーク受けピンから前記リング状ワークを受け取る第2ワーク受けピンが先端に設けられた第2ワーク受けピン支持ロッドと、前記第2ワーク受けピンを前記リング状ワークの中心孔に通すことにより前記リング状ワークを受け取り、前記2ワーク受け支持ロットを上昇させ、前記リング状ワークを受け取り地点より少なくとも垂直方向に離れた地点に搬送するピン昇降用シリンダと、前記垂直方向に離れた地点にて前記第2ワーク受けピン昇降部の前記第2ワーク受けピンから前記リング状ワークを払出し、次の工程が行われる箇所に搬送するシュートへ放出する払出し部と、を有するようにしても良い。
また、前記第2ワーク受けピン昇降部は、さらに、垂直方向に離れた地点に前記リング状ワークを搬送する際、前記ピン昇降用シリンダを所定角度回転させることにより前記リング状ワークを所定角度回転させる回転機構部を有する、ようにしてしても良い。なお、ここでいう所定角度とは、例えば、180°、すなわち反転のことであり、次の工程でリング状ワークの逆側を加工する必要がない場合は、この処理は不要である。
また、前記第1ワーク受けピンは、1本または2本である一方、前記第2ワーク受けピンは、1本であり、前記第1ワーク受けピンから前記第2ワーク受けピンへ前記リング状ワークを受け渡す際、前記ピン回転用シリンダは、前記第1ワーク受けピンを前記第2ワーク受けピンの方向へ所定角度回転させて、前記第1ワーク受けピン先端と前記第2ワーク受けピン先端とを重複させ、前記第1ワーク受けピンから前記第2ワーク受けピンへ前記リング状ワークを受け渡す、ようにしても良い。なお、ここでいう所定角度とは、例えば、前記第1ワーク受けピンと前記第2ワーク受けピンとがほぼ水平になる角度のことである。
また、前記第1ワーク受けピンは、1本または2本である一方、前記第2ワーク受けピンは、1本であり、さらに、前記ピン移動用シリンダを前記第2ワーク受けピン昇降部の方向へ往復動させるスライド機構部を有し、前記第1ワーク受けピンから前記第2ワーク受けピンへ前記リング状ワークを受け渡す際、前記ピン回転用シリンダは、前記第1ワーク受けピンを前記第2ワーク受けピンの方向へ所定角度回転させる一方、前記スライド機構部は、前記ピン移動用シリンダを前記第2ワーク受けピン昇降部の方向へ移動させて、前記第1ワーク受けピン先端と前記第2ワーク受けピン先端とを重複させ、前記第1ワーク受けピンから前記第2ワーク受けピンへ前記リング状ワークを受け渡す、ようにしても良い。
また、本発明のリング状ワーク搬送方法は、ある工程で加工されたリング状ワークを受け取り、次の工程が行われる箇所に搬送する際のリング状ワーク搬送方法であって、前記リング状ワークの中心孔に通すことにより前記リング状ワークを受け取るステップと、当該第1ワーク受けピンをピン移動用シリンダにより移動させて受け取り地点より少なくとも水平方向に離れた地点に前記リング状ワークを搬送するステップと、前記水平方向に離れた地点にて前記第1ワーク受けピンから前記リング状ワークを受け取るステップと、当該第2ワーク受けピンをピン昇降用シリンダにより昇降させて受け取り地点より少なくとも垂直方向に離れた地点に前記リング状ワークを搬送すると共に、その搬送の際、前記ピン昇降用シリンダを所定角度回転させることにより前記リング状ワークを所定角度回転させるステップと、前記垂直方向に離れた地点にて前記第2ワーク受けピンから前記リング状ワークを払出し、次の工程が行われる箇所に搬送するシュートへ放出するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のリング状ワーク搬送装置およびリング状ワーク搬送方法では、少なくとも、先端に第1ワーク受けピンが設けられた第1ワーク受けピン支持ロッドを伸縮させ、第1ワーク受けピンをリング状ワークの中心孔に通すことによってリング状ワークを受け取り、リング状ワークを受け取り地点から別の地点へ搬送し、別の地点に搬送された第1ワーク受けピンからリング状ワークを取外すようにしたので、リング状ワークを次の工程に搬送する際の搬送時間を短縮化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るリング状ワーク搬送装置の実施の形態が採用されているベアリング内外輪の旋削加工ラインの一部を示す図である。
【図2】(a),(b)、それぞれ、実施の形態1のリング状ワーク搬送装置の正面図である。
【図3】実施の形態1のリング状ワーク搬送装置の左側面図である。
【図4】実施の形態1のリング状ワーク搬送装置の平面図である。
【図5】(a)〜(d)、それぞれ、実施の形態の第1ワーク受けピン駆動部の構成例を示す図である。
【図6】(a)〜(e)、それぞれ、本実施の形態1のリング状ワーク搬送装置の動作時における特徴部分の状態を示す説明図である。
【図7】(a),(b)、それぞれ、第1ワーク受けピンが第2ワーク受けピンにリング状ワークWを渡す際の関係を示す図である。
【図8】(a)〜(c)、それぞれ、払出板用シリンダが動作して、払出板によってリング状ワークを払出す前後の状態を示す図である。
【図9】実施の形態1のリング状ワーク搬送装置の第1ワーク受けピンの他の構成例を示す図である。
【図10】実施の形態2のリング状ワーク搬送装置の構成例の正面図である。
【図11】実施の形態2のリング状ワーク搬送装置の構成例の左側面図である。
【図12】実施の形態2のリング状ワーク搬送装置の構成例の平面図である。
【図13】(a)〜(c)、それぞれ、実施の形態3のリング状ワーク搬送装置の特徴部分である第1ワーク受けピン駆動部にスライド機構部を追加した構成例を示す平面図、正面図、平面図である
【図14】(a),(b)、それぞれ、リング状ワークWを第2ワーク受けピンに受け渡す前、受け渡し時の実施の形態3における第1ワーク受けピン駆動部の状態を示す左側面図である。
【図15】実施の形態3のリング状ワーク搬送装置の構成例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明に係るリング状ワーク搬送装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、本発明に係るリング状ワーク搬送装置は、前述のように、第1ワーク受けピン駆動部を有すれば十分であるが、以下に説明する実施の形態1,2では、説明の便宜上、第1ワーク受けピン駆動部と、第2ワーク受けピン昇降部とを有するリング状ワーク搬送装置の例について説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態1のリング状ワーク搬送装置1が採用されているベアリング内外輪の旋削加工ラインの一部を示す図である。
【0011】
図1に示すベアリング内外輪の旋削加工ラインでは、例えば、数値制御により原材料を刃物で切削してリング状ワークWを加工するNC旋削加工装置Aと、加工されたリング状ワークWを次の工程により旋削等するNC旋削加工装置B等を示している。そして、本実施の形態のリング状ワーク搬送装置1は、NC旋削加工装置Aと、NC旋削加工装置Bとの間に設けられ、NC旋削加工装置Aによる旋削工程等で加工されたリング状ワークWを受け取り、シュート部Cに供給して、NC旋削加工装置Bによる次の工程である旋削工程が行われる箇所に搬送するものである。
【0012】
ここで、NC旋削加工装置Aと、NC旋削加工装置Bと、リング状ワーク搬送装置1とは、それぞれの動作手順をプログラミングしたプログラムの実行により、それぞれが、繰り返し同じ動作を行うように構成されている。なお、これらの装置や、装置の配置は、あくまで本実施の形態の説明の便宜上の一例であり、これら以外の装置があっても、あるいはこれら以外の装置の配置であっても勿論よい。
【0013】
次に、本実施の形態1のリング状ワーク搬送装置1について説明する。
【0014】
図2〜図4は、それぞれ、図1に示す本実施の形態1のリング状ワーク搬送装置1の正面図、左側面図、上から見た平面図である。
【0015】
図2〜図4に示すように、本実施の形態1のリング状ワーク搬送装置1は、第1ワーク受けピン駆動部10と、第2ワーク受けピン昇降部20とを有する。
【0016】
第1ワーク受けピン駆動部10は、NC旋削加工装置Aによる旋削工程等で加工されたリング状ワークWを受け取り、第2ワーク受けピン昇降部20の下部まで搬送するもので、ピン移動用シリンダ11と、本発明の取外し部としてのピン回転用シリンダ12と、ベース板13と、軸受部14と、第1ワーク受けピン支持ロッド15と、第1ワーク受けピン16(16a,16b)とを有しており、ベース板13にピン回転用シリンダ12や軸受部14が取り付けられて構成されている。なお、ピン移動用シリンダ11や、ピン回転用シリンダ12は、駆動方式に特別こだわらないが、リニアパルスモータやパルスモータ等の高速駆動可能な駆動方式が望ましい。
【0017】
第2ワーク受けピン昇降部20は、第1ワーク受けピン駆動部10によって第2ワーク受けピン昇降部20の下部まで搬送されたリング状ワークWを受け取り、シュートCの高さまで上昇させるもので、ピン昇降用シリンダ21と、昇降部支柱22と、サブレーム23と、サブフレーム23に固定された第1ワーク受けピン駆動部固定ブラケット24(図3、図4参照)と、第2ワーク受けピン支持ロッド25と、第2ワーク受けピン26と、本発明の払出し部としての払出板用シリンダ27(図3参照)および払出板28とを有している。なお、ピン昇降用シリンダ21も、ピン移動用シリンダ11やピン回転用シリンダ12と同様に、駆動方式に特別こだわらないが、リニアパルスモータ等の高速駆動可能な駆動方式が望ましい。
【0018】
なお、図2(a)は、第1ワーク受けピン駆動部10の第1ワーク受けピン支持ロッド15が伸張して、その先端の第1ワーク受けピン16(16a,16b)がNC旋削加工装置Aからリング状ワークWを受け取った状態を示している。また、図2(b)は、第1ワーク受けピン支持ロッド15が収縮し、その先端の第1ワーク受けピン16(16a,16b)から第2ワーク受けピン支持ロッド25先端の第2ワーク受けピン26が受け取った状態を示している。
【0019】
ここで、図3に示すように、第1ワーク受けピン16(16a,16b)および第2ワーク受けピン26は、受け取ったリング状ワークWを落下させないように、それぞれ、水平方向より上方を向いて、第1ワーク受けピン支持ロッド15および第2ワーク受けピン支持ロッド25先端に取り付けられている。
【0020】
なお、図3に示すように、サブフレーム23に、シュート固定ブラケット29を介してシュートCが取付けられている。また、図3に示すように、払出板28と対向するシュートCの上方に、払出板28によって払出しされたリング状ワークWがシュートCから飛び出さないように、ワーク飛び出し防止板C1を設けているが、これは任意で省略しても勿論よい。
【0021】
また、図4に示すように、サブフレーム23に、ピン駆動部固定ブラケット24を介してベース板13が取り付けられており、このベース板13には、第1ワーク受けピン駆動部10のピン回転用シリンダ12や軸受部14等が固定されている。
【0022】
図5(a)〜(d)は、それぞれ、実施の形態1の第1ワーク受けピン駆動部10の構成例を示す正面図、平面図、左側面図、第1ワーク受けピン16(16a,16b)部分の拡大図である。
【0023】
第1ワーク受けピン駆動部10のピン移動用シリンダ11は、動作すると、第1ワーク受けピン支持ロッド15をその長手方向のα方向に伸縮させることにより、図5(a)に示す第1ワーク受けピン支持ロッド15の伸張した状態、図5(b)に示す第1ワーク受けピン支持ロッド15が収縮した状態を実現する。なお、図5(a)に示す伸張状態によってリング状ワークWをNC旋削加工装置Aから受け取り、図5(b)に示す収縮状態によってリング状ワークWを第2ワーク受けピン昇降部20に渡す。
【0024】
また、ピン回転用シリンダ12は、動作すると、図5(c)に示すように、ピン移動用シリンダ11や第1ワーク受けピン16(16a,16b)等をβ方向に回転させて、第1ワーク受けピン16(16a,16b)が保持していたリング状ワークWを、第2ワーク受けピン昇降部20の第2ワーク受けピン26に渡す。
【0025】
ここで、図5(d)に示すように、第1ワーク受けピン支持ロッド15先端には、リング状ワークWの内径r1より狭い間隔r2で、2本の第1ワーク受けピン16a,16bが上向きに設けられている。本実施の形態1では、2本の第1ワーク受けピン16a,16bをリング状ワークWに中心孔に通して、リング状ワークWを保持する。これにより、本実施の形態1によれば、従来のように凸部をリング状ワークWに挿入して拡げて保持する場合に較べて、迅速かつ簡単にリング状ワークWを保持することができる。また、第1ワーク受けピン16a,16bが2本設けられているので、ピンが1本の場合より、リング状ワークWとの接触部分が増大するので、リグ状ワークWの回転や暴れ等を迅速に抑止することができる。
【0026】
次に本実施の形態1のリング状ワーク搬送装置1の動作例を説明する。
【0027】
図6(a)〜(e)は、それぞれ、本実施の形態1のリング状ワーク搬送装置1の動作時における特徴部分の状態を示す説明図である。
<第1ワーク受けピン駆動部10により搬送動作>
まず、図1、図2に示すように、前工程のNC旋削加工装置Aにより、例えば、リング状ワークWの外形や内径が切削加工等されて放出されると、本実施の形態1のリング状ワーク搬送装置1では、プログラム制御により、図2(a)に示すように、第1ワーク受けピン駆動部10のピン移動用シリンダ11が動作して、第1ワーク受けピン支持ロッド15を伸張させ、第1ワーク受けピン支持ロッド15先端の第1ワーク受けピン16a,16bにより、前工程のNC旋削加工装置Aから放出されたリング状ワークWを受け取る(図6(a)に示す状態)。
【0028】
その際、本実施の形態1では、前述したように、第1ワーク受けピン16a,16bが2本設けられているので、1本の場合より、摩擦力等の点で、リング状ワークWの回転等を迅速に防止することができる。なお、リング状ワークWの中心孔が小さい場合や、2本の第1ワーク受けピン16a,16bでは回転等を迅速に減速する効果がない中心孔形状の場合には、2本の第1ワーク受けピン16a,16bではなく、1本の第1ワーク受けピンにより構成するようにしても勿論良い。
【0029】
次に、プログラム制御により、第1ワーク受けピン駆動部10のピン移動用シリンダ11が動作して、図2(b)に示すように、第1ワーク受けピン支持ロッド15を収縮させ、リング状ワークWを受け取った第1ワーク受けピン支持ロッド15先端の第1ワーク受けピン16a,16bを、第2ワーク受けピン昇降部20の下部まで運ぶ(図6(b)に示す状態)。
【0030】
すると、プログラム制御により、第1ワーク受けピン駆動部10のピン回転用シリンダ12が動作して、第1ワーク受けピン支持ロッド15および第1ワーク受けピン16a,16bを(+30)°から(−40)°まで回転させて、リング状ワークWを、第1ワーク受けピン16a,16bから2ワーク受けピン昇降部20の第2ワーク受けピン26に渡す(図6(c)に示す状態)。
【0031】
図7は、第1ワーク受けピン16a,16bが第2ワーク受けピン26にリング状ワークWを渡す際の関係等を示す図で、図7(a)は上方から見た平面図、図7(b)は正面から見た正面図、図7(c)は第1ワーク受けピン16a,16bの変形例を示している。
【0032】
第1ワーク受けピン16a,16bが前工程のNC旋削加工装置Aにより旋削加工後のリング状ワークWを受け取るときは、図7(b)の実線で示すように、水平方向に対し30°上向きの状態でリング状ワークWを受け取り、第2ワーク受けピン昇降部20の下部まで運ぶ。
【0033】
そして、第1ワーク受けピン16a,16bが水平方向に対し30°上向きの状態でリング状ワークWを受け取り、第2ワーク受けピン昇降部20の下部まで運び、第1ワーク受けピン16a,16bが第2ワーク受けピン26にリング状ワークWを渡す際に、ピン回転用シリンダ12によって図7(b)の2点鎖線で示すように、水平方向に対し40°下向きに回転して、リング状ワークWを第2ワーク受けピン26に渡す。
【0034】
その際、図7(a),(b)等に示すように、2本の第1ワーク受けピン16a,16bの間に第2ワーク受けピン26先端が挟まれた状態、すなわち第1ワーク受けピン16a,16b先端と2ワーク受けピン26先端とが重なった状態になる。これにより、第1ワーク受けピン16a,16bから第2ワーク受けピン26にリング状ワークWを渡す際に、リング状ワークWが落下等することを確実に防止することができる。
【0035】
そして、第1ワーク受けピン16a,16bから第2ワーク受けピン26にリング状ワークWが渡ると、次は、第2ワーク受けピン昇降部20による上昇動作が始まる。
【0036】
<第2ワーク受けピン昇降部20による上昇動作>
次に、第2ワーク受けピン昇降部20による上昇動作について説明する。
【0037】
第2ワーク受けピン昇降部20の第2ワーク受けピン26が、第1ワーク受けピン16a,16bからリング状ワークWを受け取ると、第2ワーク受けピン昇降部20は、ロッドレスのピン昇降用シリンダ21が、先端の第2ワーク受けピン26によってリング状ワークWを保持している第2ワーク受けピン支持ロッド25を、昇降部支柱22に沿って上方へ移動させる。
【0038】
そして、リング状ワークWを保持している第2ワーク受けピン26が払出板用シリンダ27の高さまで上昇すると、プログラム制御により、第2ワーク受けピン26はその高さで停止する(図6(d)に示す状態)。
【0039】
<払出板用シリンダ27による払出し動作>
リング状ワークWを保持している第2ワーク受けピン26が払出板用シリンダ27の高さまで上昇し、第2ワーク受けピン26がその高さで停止すると、プログラム制御により、払出板用シリンダ27(図3,図4等参照)が動作して、払出板28を第2ワーク受けピン26の方向へ延ばし、第2ワーク受けピン26からリング状ワークWを払出し、シュートCへ放出する(図6(e)に示す状態)。
【0040】
図8(a)〜(c)は、それぞれ、払出板用シリンダ27が動作して、払出板28によってリング状ワークWを払出す前、払いだす途中、払出した後の状態を示している。
【0041】
図8(a)に示すように、リング状ワークWが第2ワーク受けピン26により上昇してきて払出板28の前まで来ると、払出板用シリンダ27が動作して、払出板28を、リング状ワークWを支持した第2ワーク受けピン2の方へ押し出す。
【0042】
払出板28には、図8(b)に示すように、中央に第2ワーク受けピン26および第2ワーク受けピン支持ロッド25を通す間隙28aが設けられているので、払出板用シリンダ27が動作して、払出板28をリング状ワークWを保持している第2ワーク受けピン2の方へ押し出すと、払出板28中央の間隙28aに、第2ワーク受けピン26および第2ワーク受けピン支持ロッド25のみを通し、リング状ワークWのみが払出板28に当たる。
【0043】
すると、図8(c)に示すように、払出板28によって第2ワーク受けピン26からリング状ワークWが払出され、シュートCへ放出される。
【0044】
そして、シュートCへ放出されたリング状ワークWは、シュートC内を転がり、図1に示すように次工程のNC旋削加工装置Bへ供給されることになる。
【0045】
従って、本実施の形態1のリング状ワーク搬送装置1では、第1ワーク受けピン駆動部10を有し、第1ワーク受けピン駆動部10により、ある工程で加工されたリング状ワークWを受け取り、次の工程が行われる箇所に搬送する際、少なくとも、先端に第1ワーク受けピン16a,16bが設けられた第1ワーク受けピン支持ロッド15をピン移動用シリンダ11によって伸縮させて、第1ワーク受けピン16a,16bをリング状ワークWの中心孔に通すことによってリング状ワークWを受け取り、リング状ワークWを受け取り地点から別の地点へ搬送し、別の地点に搬送された第1ワーク受けピンWを上向きから下向きに回転させて第1ワーク受けピン16a,16bからリング状ワークWを取外すので、従来のように凸部をリング状ワークWに挿入して拡げて保持する場合に較べ、迅速かつ簡単にリング状ワークWを保持して搬送することができ、リング状ワークWを次の工程に搬送する際の搬送時間を短縮化することができる。
【0046】
また、本実施の形態1のリング状ワーク搬送装置1では、第1ワーク受けピン駆動部10の他に、第2ワーク受けピン昇降部20を設け、第2ワーク受けピン昇降部20により、第1ワーク受けピン駆動部10の第1ワーク受けピン16a,16bから第2ワーク受けピン26がリング状ワークWを受け取り、ピン昇降用シリンダ21により、受け取り地点より少なくとも垂直方向に離れた地点にリング状ワークWを搬送させ、払出板用シリンダ27および払出板28からなる払出し部29により第2ワーク受けピン26からリング状ワークを払出し、次の工程が行われる箇所に搬送するシュートCへ放出するようにしたので、シュートCが高い位置に設けられている場合でも、リング状ワークWの搬送時間を短縮化することができる。
【0047】
また、本実施の形態1のリング状ワーク搬送装置1では、第1ワーク受けピン16a,16bが2本あり、2本の第1ワーク受けピン16a,16bをリング状ワークWの中心孔に通してリング状ワークWを搬送するようにしたので、前工程のNC旋削加工装置Aによって加工されたリング状ワークWが回転等していても、2本の第1ワーク受けピン16a,16bにより、リング状ワークWの回転や暴れ等を迅速に抑えることができる。
【0048】
また、本実施の形態1のリング状ワーク搬送装置1では、第1ワーク受けピン16a,16bは、第2ワーク受けピン26にリング状ワークWを受け渡しする際、第1ワーク受けピン16a,16bの間に第2ワーク受けピン26先端が位置するので、リング状ワークWを落下等させずに確実に第2ワーク受けピン26に受け渡すことができる。なお、リング状ワークWの幅が大きい場合には、第1ワーク受けピン16a,16bの間に第2ワーク受けピン26先端が位置しないようにしても勿論よい。
【0049】
なお、本実施の形態1のリング状ワーク搬送装置1では、第1ワーク受けピン支持ロッド15に第1ワーク受けピン16a,16bを設けて説明したが、本発明では、例えば、図9(a),(b)に示すように、第1ワーク受けピン支持ロッド15の第1ワーク受けピン16a,16bの間に、さらに、第1ワーク受け補助ピン16c,16c’を設けるようにしても勿論よい。このようにすれば、第1ワーク受けピン16a,16bにより前工程から受け取ったリング状ワークWが回転等している、いわゆる暴れ状態にあっても、リング状ワークWの側面が第1ワーク受け補助ピン16c,16c’に接触する部分が増えるので、第1ワーク受け補助ピン16cを設けない場合よりも、より迅速にリング状ワークWの回転や暴れ等を抑えることができる。
【0050】
実施の形態2.
次に本発明に係るリング状ワーク搬送装置の実施の形態2につい説明する。本実施の形態2のリング状ワーク搬送装置2は、前記実施の形態1のリング状ワーク搬送装置1に対し、第2ワーク受けピン昇降部20にピン昇降用シリンダ21全体を所定角度、例えば180°回転させる回転機構部を設けたことを特徴とする。なお、180°回転の所定角度は、あくまで一例であり、その他の角度、例えば、90°や270°等であっても勿論よい。
【0051】
図10〜図12は、それぞれ、本実施の形態2のリング状ワーク搬送装置2の正面図、左側面図、平面図である。
【0052】
図10〜図12から明らかなように、本実施の形態2のリング状ワーク搬送装置2では、前記実施の形態1のリング状ワーク搬送装置1に対し、ピン昇降用シリンダ21を所定角度の180°回転させ、反転させる回転機構部50を設けたことを特徴とする。そのため、本実施の形態2のリング状ワーク搬送装置2では、リング状ワークWが180°反転するため、実施の形態1の払出板用シリンダ27および払出板28とは逆に、払出板用シリンダ27’が払出板28’を内側方向に引いて第2ワーク受けピン26先からリング状ワークWを払出すようにしている。
【0053】
それ以外の点は、本実施の形態2のリング状ワーク搬送装置2は、基本的には、前述の実施の形態1のリング状ワーク搬送装置1と同様であるので、実施の形態1のものと同一符号を付して、説明を省略し、第2ワーク受けピン昇降部20の回転機構部50の動作を説明する。
【0054】
つまり、次工程のNC旋削加工装置Bによっては、前工程のNC旋削加工装置Aが加工する面とは逆の面を加工等するため、リング状ワークWを反転させる必要がある場合がある。
【0055】
この場合、本実施の形態2では、第2ワーク受けピン昇降部20の回転機構部50が動作して、第2ワーク受けピン昇降部20の第2ワーク受けピン26がリング状ワークWを保持して上昇させる際、払出板用シリンダ27’の高さに上昇する前に、プログラム制御により、ピン昇降用シリンダ21全体を180°回転させる。なお、この回転機構部50も、ピン昇降用シリンダ21等と同様に、駆動方式に特別こだわらないが、パルスモータ等の高速駆動可能で、かつ、角度設定が確実な回転機構部が望ましい。
【0056】
そして、リング状ワークWを保持した第2ワーク受けピン26が払出板用シリンダ27’の高さに上昇すると、本実施の形態2のリング状ワーク搬送装置2では、払出板用シリンダ27’が払出板28’を内側方向に引いて、第2ワーク受けピン26からリング状ワークWを払出し、シュートCにリング状ワークWを放出する。
【0057】
これにより、本実施の形態2のリング状ワーク搬送装置2では、リング状ワーク搬送装置2と、次工程のNC旋削加工装置B等との間のシュートCの途中に、リング状ワークWを180°反転させる機構が不要になり、この点でも、迅速にリング状ワークWを反転させて搬送させることが可能となる。
【0058】
なお、次工程のNC旋削加工装置B等において、前工程のNC旋削加工装置Aと同様にリング状ワークWと同じ面を旋削加工する場合には、反転させる必要がないので、本実施の形態2の第2ワーク受けピン昇降部20の回転機構部50は、動作せず、ピン昇降用シリンダ21を回転させないようにする。
【0059】
従って、本実施の形態2のリング状ワーク搬送装置2によれば、第1実施の形態1のリング状ワーク搬送装置1と同様に、リング状ワークWを次の工程に搬送する際の搬送時間を短縮化することができると共に、リング状ワークWの回転や暴れ等を迅速に抑えたり、リング状ワークWを落下等させずに確実に第2ワーク受けピン26に受け渡すことができる。
【0060】
特に、本実施の形態2のリング状ワーク搬送装置2では、第2ワーク受けピン昇降部20の回転機構部50により、第2ワーク受けピン26がリング状ワークWを保持して上方へ移動する際、払出板用シリンダ27’の高さに上昇する前に、ピン昇降用シリンダ21全体を180°回転させるため、リング状ワーク搬送装置2と、次工程のNC旋削加工装置B等との間のシュートCの途中に、リング状ワークWを反転させる機構を省略させることができる。
【0061】
実施の形態3.
次に本発明に係るリング状ワーク搬送装置の実施の形態3につい説明する。
本実施の形態3のリング状ワーク搬送装置3は、前記実施の形態1,2のリング状ワーク搬送装置1に対し、さらに、ピン回転用シリンダ12を第2ワーク受けピン昇降部20の方向へ往復動させるスライド機構部60を追加したことを特徴とする。なお、その他の構成は、前記実施の形態1,2と同じであるので、実施の形態3特有のスライド機構部60について説明する。
【0062】
図13(a)〜(c)は、それぞれ、本実施の形態3のリング状ワーク搬送装置3の特徴部分であるスライド機構部60を含む第1ワーク受けピン駆動部10’の構成例を示す平面図、正面図、平面図、図14(a),(b)は、それぞれ、リング状ワークWを第2ワーク受けピン26に受け渡す前、受け渡し時の状態を示す左側面図、図15は、スライド機構部60を含む第1ワーク受けピン駆動部10’を有する本実施の形態3のリング状ワーク搬送装置3の正面図である。
【0063】
つまり、図13〜図15に示すように、本実施の形態3のリング状ワーク搬送装置3では、第1ワーク受けピン駆動部10’に、第1ワーク受けピン支持ロッド15および第1ワーク受けピン16a,16bを伸縮させるピン移動用シリンダ11全体を第2ワーク受けピン昇降部20の方向へ往復動させるスライド機構部60を追加したものである。
【0064】
ここで、本実施の形態3では、図13〜図15に示すように、その根元より先端の方が直径の太い第1ワーク受けピン16a,16bを用いているが、本発明では、これに限らず、上記実施の形態1,2と同様に、その根元から先端まで、太さの変わらない第1ワーク受けピン16a,16bを用いても勿論よい。なお、上記実施の形態1,2でも、図13に示すように、根元より先端の方が直径の太い第1ワーク受けピン16a,16bを用いるようにしても勿論よい。
【0065】
次に、本実施の形態3特有のスライド機構部60の動作を説明すると、前記実施の形態1,2と同様に、第1ワーク受けピン16a,16bから第2ワーク受けピン26へリング状ワークWを受け渡す際、ピン回転用シリンダ12は、第1ワーク受けピン16a,16bを第2ワーク受けピン26の方向へ所定角度回転させる。
【0066】
それと同時に、本実施の形態3特有のスライド機構部60は、図14(a)→図14(b)に示すように、ピン移動用シリンダ11全体を第2ワーク受けピン昇降部20の方向へ移動させて、第1ワーク受けピン16a,16b先端と、第2ワーク受けピン26先端とを重複させ、第1ワーク受けピン16a,16bから第2ワーク受けピン26へリング状ワークWを受け渡す。
【0067】
つまり、前記実施の形態1,2では、前述したように、第1ワーク受けピン駆動部10にスライド機構部60を設けていなかったので、ピン移動用シリンダ11を第2ワーク受けピン昇降部20の方向へ移動させなくても、ピン回転用シリンダ12が第1ワーク受けピン支持ロッド15および第1ワーク受けピン16a,16bを回転させれば、第1ワーク受けピン16a,16b先端と、第2ワーク受けピン26先端とが重複したが、本実施の形態3では、ピン回転用シリンダ12が第1ワーク受けピン支持ロッド15および第1ワーク受けピン16a,16bを回転させただけでは、第1ワーク受けピン16a,16b先端と、第2ワーク受けピン26先端とが重複せずに、それと同時にスライド機構部60がピン移動用シリンダ11全体を第2ワーク受けピン昇降部20の方向へ移動させることにより、初めて第1ワーク受けピン16a,16b先端と、第2ワーク受けピン26先端とが重複するようにしたものである。
【0068】
これは、第1ワーク受けピン16a,16bが旋削加工後のリング状ワークWを、NC旋削加工装置Aから受け取る際、NC旋削加工装置Aの設置場所や、旋削工具、さらには旋削加工すべきリング状ワークWの幅や厚み等の変更を考慮すると、最初から第1ワーク受けピン16a,16b先端と、第2ワーク受けピン26先端とが重複するように第1ワーク受けピン16a,16bの長さを十分に確保できない可能性がある。
【0069】
そのため、本実施の形態3のリング状ワーク搬送装置3では、第1ワーク受けピン16a,16bから第2ワーク受けピン26へリング状ワークWを受け渡す際、第1ワーク受けピン16a,16b先端と第2ワーク受けピン26先端とが確実に重複するように、スライド機構部60がピン移動用シリンダ11全体を第2ワーク受けピン昇降部20の方向へ移動させるようにしたものである。よって、ピン移動用シリンダ11全体の第2ワーク受けピン昇降部20の方向への移動量(ストローク)は、NC旋削加工装置Aの設置場所や、旋削工具、さらにはリング状ワークWの幅や厚みの変更等を考慮して、適宜、ユーザが設定や変更できるようにすると良い。
【0070】
従って、本実施の形態3のリング状ワーク搬送装置3によれば、実施の形態1,2のリング状ワーク搬送装置1、2と同様に、リング状ワークWを次の工程に搬送する際の搬送時間を短縮化することができると共に、リング状ワークWの回転や暴れ等を迅速に抑えたり、リング状ワークWを落下等させずに確実に第2ワーク受けピン26に受け渡すことができたり、リング状ワーク搬送装置3と次工程のNC旋削加工装置B等との間のシュートCの途中に、リング状ワークWを反転させる機構を省略させることができる。
【0071】
特に、本実施の形態3のリング状ワーク搬送装置3では、実施の形態1,2のリング状ワーク搬送装置1に対し、さらに、ピン回転用シリンダ12を第2ワーク受けピン昇降部20の方向へ往復動させるスライド機構部60を第1ワーク受けピン駆動部10’に設けたので、NC旋削加工装置Aの設置場所や、旋削工具、さらには旋削加工すべきリング状ワークWの幅や厚み等に変更があっても、スライド機構部60がピン移動用シリンダ11全体を第2ワーク受けピン昇降部20の方向へ移動させることにより、第1ワーク受けピン16a,16bから第2ワーク受けピン26へリング状ワークWを受け渡す際、第1ワーク受けピン16a,16b先端と第2ワーク受けピン26先端とが確実に重複させることができる。
【0072】
なお、上記実施の形態1〜3のリング状ワーク搬送装置1〜3の説明では、第1ワーク受けピン16を2本、第2ワーク受けピン26を1本により説明したが、本発明では、これに限らず、第1ワーク受けピンは1本でも、3本以上でも良いし、第2ワーク受けピン26は2本以上でも良い。ただし、第1ワーク受けピン16から第2ワーク受けピン26へのリング状ワークWの受け渡しを考慮すると、第1ワーク受けピン16の本数が第2ワーク受けピン26の本数より少なくとも1本多く、かつ、第1ワーク受けピン16先端の間に、第2ワーク受けピン26先端が挟まるような状態が望ましい。
【0073】
また、上記実施の形態1〜3のリング状ワーク搬送装置1〜3の説明では、ピン移動用シリンダ11が、先端に第1ワーク受けピン16a,16bが設けられた第1ワーク受けピン支持ロッド15を伸縮させ、伸張時に第1ワーク受けピン16a,16bをリング状ワークWの中心孔に通すことによってリング状ワークWを受け取り、収縮時にリング状ワークWを第2ワーク受けピン26に渡すように説明したが、本発明では、これに限らず、これとは逆に、収縮時に第1ワーク受けピン16a,16bをリング状ワークWの中心孔に通すことによってリング状ワークWを受け取り、伸張時にリング状ワークWを第2ワーク受けピン26に渡すようにしても勿論よい。なお、このことは、第2ワーク受けピン支持ロッド25を伸縮させるピン上昇用シリンダ21についても同様である。
【0074】
また、上記実施の形態1〜3のリング状ワーク搬送装置1〜3では、前述のように、説明の便宜上、第1ワーク受けピン駆動部10,10’と、第2ワーク受けピン昇降部20とを有するリング状ワーク搬送装置1〜3の例について説明したが、本発明では、これに限らず、第1ワーク受けピン駆動部10,10’だけ設けるようにしてもよい。つまり、第1ワーク受けピン駆動部10,10’のみにより、ある工程で加工されたリング状ワークWを受け取り、その受け取り地点から別の地点へ搬送し、その別の地点でピン回転用シリンダ12や払出板用シリンダ27等の取外し部により、次の工程にリング状ワークWを供給することができるのであれば、第2ワーク受けピン昇降部20を省略することができる。また、第1ワーク受けピン駆動部10,10’が第2ワーク受けピン昇降部20のように、垂直方向にリング状ワークWを移動させる場合には、取外し部として、払出し部である払出板用シリンダ27および払出板28を使用することも可能である。要は、取外し部にしろ、払出し部にしろ、保持しているリング状ワークWを取外し、または払出しすることができれば良い。
【符号の説明】
【0075】
1〜3 リング状ワーク搬送装置
10,10’ 第1ワーク受けピン駆動部
11 ピン移動用シリンダ
12 ピン回転用シリンダ(取外し部)
13 ベース板
14 軸受部
15 第1ワーク受けピン支持ロッド
16(16a,16b) 第1ワーク受けピン
20 第2ワーク受けピン昇降部
21 ピン昇降用シリンダ
22 昇降部支柱
23 サブレーム
24 第1ワーク受けピン駆動部固定ブラケット
25 第2ワーク受けピン支持ロッド
26 第2ワーク受けピン
27,27’ 払出板用シリンダ(払出し部)
28,28’ 払出板(払出し部)
50 回転機構部
60 スライド機構部
A,B NC旋削加工装置
C シュート
C1 ワーク飛び出し防止板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある工程で加工されたリング状ワークを受け取り、次の工程が行われる箇所に搬送するリング状ワーク搬送装置であって、
少なくとも、第1ワーク受けピン駆動部を有し、
前記第1ワーク受けピン駆動部は、
先端に第1ワーク受けピンが設けられた第1ワーク受けピン支持ロッドと、
前記第1ワーク受けピン支持ロッドを伸縮させ、前記第1ワーク受けピンを前記リング状ワークの中心孔に通すことにより前記リング状ワークを受け取り、前記リング状ワークを受け取り地点から別の地点へ搬送するピン移動用シリンダと、
前記別の地点に搬送された前記第1ワーク受けピンから前記リング状ワークを取外す取外し部と、
を有するリング状ワーク搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載のリング状ワーク搬送装置において、
前記取外し部は、
前記別の地点に搬送された前記第1ワーク受けピンを上向きから下向きに回転させて前記第1ワーク受けピンから前記リング状ワークを取外すピン回転用シリンダであり、
さらに、第2ワーク受けピン昇降部を有し、
前記第2ワーク受けピン昇降部は、
前記別の地点にて前記ピン回転用シリンダが前記第1ワークピンを回転させることにより、前記第1ワーク受けピンから前記リング状ワークを受け取る第2ワーク受けピンが先端に設けられた第2ワーク受けピン支持ロッドと、
前記第2ワーク受けピンを前記リング状ワークの中心孔に通すことにより前記リング状ワークを受け取り、前記2ワーク受け支持ロットを上昇させ、前記リング状ワークを受け取り地点より少なくとも垂直方向に離れた地点に搬送するピン昇降用シリンダと、
前記垂直方向に離れた地点にて前記第2ワーク受けピン昇降部の前記第2ワーク受けピンから前記リング状ワークを払出し、次の工程が行われる箇所に搬送するシュートへ放出する払出し部と、
を有するリング状ワーク搬送装置。
【請求項3】
請求項2記載のリング状ワーク搬送装置において、
前記第2ワーク受けピン昇降部は、さらに、
垂直方向に離れた地点に前記リング状ワークを搬送する際、前記ピン昇降用シリンダを所定角度回転させることにより前記リング状ワークを所定角度回転させる回転機構部を有する、リング状ワーク搬送装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3のいずれか一の請求項に記載のリング状ワーク搬送装置において、
前記第1ワーク受けピンは、1本または2本である一方、
前記第2ワーク受けピンは、1本であり、
前記第1ワーク受けピンから前記第2ワーク受けピンへ前記リング状ワークを受け渡す際、
前記ピン回転用シリンダは、前記第1ワーク受けピンを前記第2ワーク受けピンの方向へ所定角度回転させて、前記第1ワーク受けピン先端と前記第2ワーク受けピン先端とを重複させ、前記第1ワーク受けピンから前記第2ワーク受けピンへ前記リング状ワークを受け渡す、リング状ワーク搬送装置。
【請求項5】
請求項2または請求項3のいずれか一の請求項に記載のリング状ワーク搬送装置において、
前記第1ワーク受けピンは、1本または2本である一方、
前記第2ワーク受けピンは、1本であり、
さらに、前記ピン移動用シリンダを前記第2ワーク受けピン昇降部の方向へ往復動させるスライド機構部を有し、
前記第1ワーク受けピンから前記第2ワーク受けピンへ前記リング状ワークを受け渡す際、
前記ピン回転用シリンダは、前記第1ワーク受けピンを前記第2ワーク受けピンの方向へ所定角度回転させる一方、前記スライド機構部は、前記ピン移動用シリンダを前記第2ワーク受けピン昇降部の方向へ移動させて、前記第1ワーク受けピン先端と前記第2ワーク受けピン先端とを重複させ、前記第1ワーク受けピンから前記第2ワーク受けピンへ前記リング状ワークを受け渡す、リング状ワーク搬送装置。
【請求項6】
ある工程で加工されたリング状ワークを受け取り、次の工程が行われる箇所に搬送する際のリング状ワーク搬送方法であって、
前記リング状ワークの中心孔に通すことにより前記リング状ワークを受け取るステップと、
当該第1ワーク受けピンをピン移動用シリンダにより移動させて受け取り地点より少なくとも水平方向に離れた地点に前記リング状ワークを搬送するステップと、
前記水平方向に離れた地点にて前記第1ワーク受けピンから前記リング状ワークを受け取るステップと、
当該第2ワーク受けピンをピン昇降用シリンダにより昇降させて受け取り地点より少なくとも垂直方向に離れた地点に前記リング状ワークを搬送すると共に、その搬送の際、前記ピン昇降用シリンダを所定角度回転させることにより前記リング状ワークを所定角度回転させるステップと、
前記垂直方向に離れた地点にて前記第2ワーク受けピンから前記リング状ワークを払出し、次の工程が行われる箇所に搬送するシュートへ放出するステップと、
を有するリング状ワーク搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−45649(P2012−45649A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188273(P2010−188273)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(307008347)株式会社 栗林製作所 (5)
【Fターム(参考)】