リントの清掃方法及び清掃器具
【課題】空気清浄機(又はエアコン)、衣服乾燥機などの空気フィルターの表面に存在しているリントを取り除く手段としては、電気掃除機、ほうき、モップ、雑巾、化学雑巾、ブラシなどで行われてきたが、いずれの場合も効果的にリントを取り除くことが困難であった。
【解決手段】通気孔を有する回転部材の外周面に、堆積しているリントを捕集する捕集部材を装着又は巻装し、前記回転部材と共に捕集部材をリントに押圧しながら回動し、リントを捕集部材に層状に巻き付けて捕集するとともに、前記回転部材の内方から吸引を行い、リントの飛散を防止することを特徴とする。また、先端側に吸引口と基端側に排気口を有する中空パイプからなる操作ハンドルに、該操作ハンドルの先端側を芯軸として、通気孔を有する回転部材を回転自在に取り付け、該回転部材の外周面に、堆積しているリントを層状に捕集する捕集部材を装着又は巻装したことを特徴とする。
【解決手段】通気孔を有する回転部材の外周面に、堆積しているリントを捕集する捕集部材を装着又は巻装し、前記回転部材と共に捕集部材をリントに押圧しながら回動し、リントを捕集部材に層状に巻き付けて捕集するとともに、前記回転部材の内方から吸引を行い、リントの飛散を防止することを特徴とする。また、先端側に吸引口と基端側に排気口を有する中空パイプからなる操作ハンドルに、該操作ハンドルの先端側を芯軸として、通気孔を有する回転部材を回転自在に取り付け、該回転部材の外周面に、堆積しているリントを層状に捕集する捕集部材を装着又は巻装したことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機(又はエアコン)、空気調和機、衣服乾燥機、塵埃除去機などの空気フィルターに堆積しているリント(綿ごみ、繊維くず、毛髪などの綿ぼこり)を簡便に、効率よく、リントを飛散させることなく、捕集・廃棄する方法とそれに使用される清掃器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、リントを取り除く手段としては、電気掃除機、ほうき、モップ、雑巾、化学雑巾、ブラシなどで行われてきたが、いずれの場合も効果的にリントを取り除くことが困難であった。例えば、電気掃除機の場合は、初めのうちは効率的にリントを吸い込むことが出来るが、リントの量が多くなると捕集フィルターがすぐ目詰まりを起こしてしまい、吸引力が低下してしまうものであった。また、他の清掃用具の場合は、清掃時にリントや細かい塵埃が飛散してしまい、非衛生的であり、清掃部周囲を更に汚してしまう場合も散見された。
【0003】
そのような課題から、リントが蓄積する衣服乾燥機のフィルターにリント除去装置とか吸引装置を取り付け、掃除の手間を改善する装置が下記特許文献1、特許文献2等で開示されている。また、リントを清掃の対象とするものではないが、手作業で掃除するローラー式の掃除用具として下記特許文献3〜5にその内容が開示されている。
【特許文献1】特開平06−091096号公報
【特許文献2】特開平06−205894号公報
【特許文献3】特開平10−262899号公報
【特許文献4】特開平11−137501号公報
【特許文献5】特開平11−076446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の衣服乾燥機の空気フィルターにおいては、リントを取り除くための駆動装置や吸引装置が乾燥機内に組み込まれているため、乾燥機が大型化したり、複雑になったりするため実用化は困難な場合が多かった。また、ローラー式の掃除用具としては、簡単に家庭内のゴミを掃除できるものであるが、大量に堆積しているリントの場合には、完全に除去することが難しいものであった。
【0005】
本発明は、前記課題を解決し、空気清浄機(又はエアコン)、衣服乾燥機などの空気フィルターに大量に堆積しているリントを簡便に、効率よく、リントを飛散させることなく、取り除く方法とそれに使用される清掃器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するためにこの発明の採った手段は、回転部材の外周面に、堆積しているリントを捕集する捕集部材を装着又は巻装し、前記回転部材と共に捕集部材をリントに押圧しながら回動し、リントを捕集部材に層状に巻き付けて捕集することを特徴とする。
【0007】
また、通気孔を有する回転部材の外周面に、堆積しているリントを捕集する捕集部材を装着又は巻装し、前記回転部材と共に捕集部材をリントに押圧しながら回動し、リントを捕集部材に層状に巻き付けて捕集するとともに、前記回転部材の内方から吸引を行い、リントの飛散を防止することを特徴とする。
【0008】
また、回転部材と捕集部材の間に、袋状網体を配置し、捕集部材でリントを層状に捕集した後、前記袋状網体を回転部材から反転させながら取り外すことにより、捕集部材と捕集したリントを袋状網体内に包み込むことを特徴とする。
【0009】
また、捕集部材がリントと絡み合う性質を有する不織布、面ファスナー、パイル織物又は粘着シート等のシート状素材からなることを特徴とし、また、捕集部材が複数のブラシ毛材を有するブラシ体からなることを特徴とする。
【0010】
また、捕集部材の外表面に袋状網体を配置し、リントを層状に捕集した後、前記袋状網体を回転部材から反転させながら取り外すことにより、捕集したリントを袋状網体内に包み込むことを特徴とする。
【0011】
この発明の方法が使用される清掃器具として採った手段は、先端側に吸引口と基端側に排気口を有する中空パイプからなる操作ハンドルに、該操作ハンドルの先端側を芯軸として、通気孔を有する回転部材を回転自在に取り付け、該回転部材の外周面に、堆積しているリントを層状に捕集する捕集部材を装着又は巻装したことを特徴とする。
【0012】
また、捕集部材を装着又は巻装した通気孔を有する回転部材に、操作ハンドルを連結して前記回転部材を回転自在に支持すると共に、操作ハンドル又は回転部材に吸引パイプを接続して吸引を行うようにしたことを特徴とする。
【0013】
また、回転部材と捕集部材との間に袋状網体を配置したことを特徴とし、捕集部材がリントと絡み合う性質を有する不織布、面ファスナー、パイル織物又は粘着シート等のシート状素材からなることを特徴とする。
【0014】
また、先端側に吸引口と基端側に排気口を有する中空パイプからなる操作ハンドルに、該操作ハンドルの先端側を芯軸として、通気孔を有する回転部材を回転自在に取り付け、該回転部材の外周面に複数のブラシ毛材を有するブラシ体を巻装し、該ブラシ体の外周面に袋状網体を被覆したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、リントが特定のシート又は構造体と絡み易いという特性を利用して、特別な機械や装置を必要とすることなく、簡便にリントを捕集できる。また、吸引装置を組み合わせた場合は、捕集過程でリントを空気中に飛散させることが殆どないので、清掃作業において周辺を汚したり、作業者が吸い込むことなく、衛生的に作業できるという効果を有する。更に、捕集したリントを清掃用具から取り除き廃棄する場合にも、袋状網体を併用することによりリントを飛散させることなく簡便に清掃用具から取り除き、廃棄できるという効果も有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のリントの除去方法と清掃器具を説明するにあたって、本発明のリント捕集の技術的な理論について説明する。リントは、綿ごみ、繊維くず、毛髪などが綿ぼこりとして堆積しているものであり、特定のシート又は構造体と絡み易い特性を有している。この特性を利用して、空気清浄機(又はエアコン)、衣服乾燥機などの空気フィルターの表面に多量に集積しているリントを層状に捕集するのがこの技術である。すなわち、回転部材に、捕集部材を装着又は巻装し、回転部材と共に捕集部材をリントに押圧しながら回転させ、リントを層状に捕集部材に捕集する技術である。一旦、リントが捕集部材に捕集されると、それ以後の回動操作によって、リントが次のリントを捕集し、次々にリントを捕集して、空気フィルターの表面に堆積しているリントを殆ど取り除き、空気フィルターは綺麗に清掃される。なお、この発明において、捕集とはリントを捕集部材と絡み合わせる或いは付着させることにより、特定のシート又は構造体側に移動させることを意味する。
【0017】
この発明において、回転部材の内方から操作ハンドルを介して吸引を行うこともできるが、これは、清掃過程においてリントが飛散することを防止するためのものであって、空気フィルターの表面に堆積しているリントの捕集とは、直接的な関連性を有しないものである。
【0018】
また、捕集したリントを清掃用具から取り除く際も、袋状網体を使って包み込みながら廃棄することにより、手や周辺を殆ど汚すことなく簡便に処理できるものである。
【0019】
本発明の各構成について説明する。本発明で使用される捕集部材とは、空気清浄機(又はエアコン)、衣服乾燥機などの空気フィルターに堆積しているリントに押しつけるとリントと絡み合う性質を有するものであって、不織布、面ファスナー、パイル織物又は粘着シートなどを挙げることができる。また、複数のブラシ毛材を有するブラシ体(例えば、チャンネルブラシ、ロールブラシなど)も使用することができる。なお、捕集部材としては、前記不織布、面ファスナー、パイル織物、粘着シート等のシート状素材又はブラシ毛材を有するブラシ体に限定されるものではない。リントと絡み合いそれを捕集する素材であれば良い。
【0020】
不織布としては、一般的に清掃用不織布として使用されているシート状の不織布を使用できる。これらの材質は、ポリオレフィン、ポリエステルなどの合成繊維からなり、繊維径が0.5〜200デニールで、目付が10〜300g/m2のものが好ましい。
【0021】
面ファスナーとは、雄面と雌面で構成され、これらの面同士を軽く押さえるとしっかりと絡み合うシート状のファスナーであり、ここで使用される面ファスナーは雄面が使われる。面ファスナーは、マッシュルームタイプとフックタイプが存在するがどちらのタイプでも使用することができる。より具体的には、伸和株式会社製の商品名マジクロス、クラレファスニング株式会社製の商品名マジックテープ(登録商標)などの面ファスナーを挙げることができる。
【0022】
パイル織物としては、ポリアミド、塩化ビニール、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリロニトリルなどの繊維からなる繊維径が0.1〜0.5mm、長さ0.5〜10mm、パイル密度10〜100本/cm2のものを使用することができる。また、実公平7−033682号公報に示されているような、織密度の密な高密度部が間隔をもって繰り返し配置されたタテ糸配列と、織密度の粗なヨコ糸配列とを有する合成重合体フィラメントからなり、各ループの中央先端部が切断開口しているカネボウベルタッチ株式会社製のループパイル織物(ポリエステル製ヘアカーラー)も使用することができる。
【0023】
粘着シートとしては、一般的によく知られているアクリル系、ゴム系、ウレタン系の粘着剤を紙、不織布、布、合成ゴム、プラスチックフィルム、スポンジなどの基材の片面又は両面に塗ったものを用いることができる。
【0024】
不織布、面ファスナー、パイル織物、粘着シートなどの捕集部材は、シート状になっているので回転部材の外周面に巻付けながら、シートの両端部を両面テープ、スティプラー、接着剤などで止めて巻装される。又は、これらの捕集部材を予め筒状に形成しておき、回転部材の外周面に嵌込むようにしても良い。
【0025】
ブラシ体は、複数のブラシ毛材を有するもので、例えば、有限会社クドウブラシ製の間隔巻タイプチャンネルブラシ、ダブルヘリカル巻タイプチャンネルブラシなどを挙げることができる。ブラシ体は、回転体に直接巻き付けてもよいし、金属、紙又はプラスチックなどで作った筒体に巻き付けて、この筒体を回転体の外表面に嵌め込んでも良い。ブラシ毛材は、若干曲がっている方がリントをよく捕集する。また、ブラシ毛材は、ポリアミド、塩化ビニール、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリルニトリル、植物繊維などで作られ、ブラシ毛材の長さは、5〜30mm、径は0.1〜0.3mm、ブラシ密度は5〜50本/cm2のものが好ましい。また、ロールブラシも本発明の効果を妨げない範囲で使用することができる。
【0026】
次に、回転部材について説明する。回転部材は、中空パイプからなる操作ハンドルの先端側を芯軸として、取り付けられる円筒形の部材で、中空パイプと略同じ太さ又はやや大きめの太さのものが用いられる。回転部材の操作ハンドルの先端側への取り付け状況を図5に断面図として示した。Aは、中空パイプと略同じ太さの回転部材でBはやや大きめの太さの回転部材である。
【0027】
回転部材は、金属、紙又はプラスチックなどから作られ、この回転部材の外周面に前述した捕集部材を装着又は巻装して、回動させながらリントを層状に捕集するようになっている。
【0028】
回転部材は、外径が10mm〜100mm、長さ50mm〜400mmの円筒状のものを使用することができる。外径が大きいものは少ない回転で多くのリントが捕集できるが、あまり大きいと操作性に影響を与えるので25mm〜70mmが好ましい。
【0029】
リントの空気中への飛散を防止するときは、回転部材を回動させながら、同時に吸引を行う。吸引は操作ハンドルの基端側の吸引口に電気掃除機やその他の吸引装置を接続することによって行われる。吸引を行う場合は、後述するように回転部材に複数の通気孔を形成する。勿論、通気性を有する多孔質の素材で回転部材を作成し、通気性を確保することも可能である。
【0030】
次に、袋状網体について説明する。袋状網体は、層状に捕集したリントを手を汚すことなく、清掃器具から取り外すために使用されるもので、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロンなどで作られている袋状の網体を使用することができる。その他、植物性、動物性の袋状の網体も使用することができる。図2に示されるように袋状網体(4)の開放端(41)を回転部材(2)の一端から入れ込み、更に該袋状網体(4)の上から筒状にした捕集部材(1)を差し込んでいる。袋状網体(4)は、回転部材(2)に入れ込んだ後に、開放端(41)を外方に向かって折り返して配置している。リントを層状に捕集した後は、袋状網体(4)の開放端(41)を手で掴みながら反転させ回転部材(2)から取り外し、捕集部材とリントとを袋状網体内に包み込み、そのままポリ袋、ゴミ袋などに入れるので手を汚すことなく、簡便に廃棄することができる。
【0031】
捕集部材がシート状又は筒状の場合は、袋状網体は、回転部材と捕集部材の間に配置するが、捕集部材(1)がブラシ体(3)の場合は、図3、図4に示すように直接ブラシ体(3)の外周面にブラシ毛材(31)が袋状網体(4)の網目を貫通するように配置し、上記した方法と同様に、リントをブラシ体(3)で層状に捕集後、前記袋状網体(4)を反転させながら取り外すことにより、リントだけを袋状網体(4)内に包み込み、簡便に廃棄することができる。
【0032】
リントの飛散を防止するために吸引装置を併用して吸引を行うときには、捕集部材が通気性を有することが必要になる。捕集部材が不織布、面ファスナー、パイル織物の場合は、素材自体が通気性を有しているのでそのまま使用できるが、粘着シートの場合は、シートに所望の数だけ孔を開けて通気性を確保するようにする。
【0033】
また、ブラシ体(3)は通気性を有していないことが多いため、図3、図4に示すように回転部材(2)に通気孔(21)を設けておき、ブラシ体(3)を間隔を開けながら回転部材(2)に巻き付けて使用する。
【0034】
図1に基づき、本発明の清掃方法について説明する。図1に示されるように、シート状になっている捕集部材(1)を回転部材(2)に巻装した後、該回転部材(2)を操作ハンドル(5)の先端側(51)の小径部(52)に軸孔(22)を介して挿着し、操作ハンドル(5)の把持部(53)を掴みなが前後に動かし回転部材(2)を回動させる。必要に応じて、操作ハンドル(5)の基端側(54)の排気口(56)を電気掃除機(図示せず)に接続して吸引することもできる。図6には、リント(7)が堆積している空気フィルター(6)を清掃している状態を模式的に示してある。リント(7)の捕集は、捕集部材(1)とリントの絡み合いから始まるが、回動が進むにつれてリント(7)がリント(7)を捕集するようになり、リント(7)の層が3〜10層位になるまでリント(7)が捕集される。捕集されたリント(7)は筒状になり、この筒状のリント(7)を回転部材(2)から外した状態を図7に、その断面を図8に模式的に示してある。
【0035】
捕集部材(1)に層状に捕集されたリントは適宜、捕集部材(1)から引き剥がしたり、捕集部材(1)と一緒に廃棄することができる。
【0036】
捕集部材(1)は、シート状の不織布、面ファスナー、パイル織物又は粘着シートから選ぶことができる。これらの素材は、回転部材(2)に数回巻装させた後、接着剤、両面テープ、スティプラーなどで止着したり、筒状に作成して回転部材(2)の外周面に嵌め込んで装着することができる。また、所望の個所にミシン目を入れて、回転部材(2)に複数回巻装し、リントを廃棄する際に、ミシン目を破いてリントと一緒に廃棄することもできる。
【0037】
必要に応じて、捕集部材(1)に油剤、界面活性剤、抗菌剤などを含浸させ、清掃効果と消毒効果を高めることもできる。
【0038】
更に、袋状網体(4)を使った清掃方法について説明する。図2は、図1とほぼ同じ構成であるが、回転部材(2)の外径を太くし、少ない回転でリントの捕集効果を高めている点と、捕集部材(1)が筒状に形成されている点と、回転部材(2)と捕集部材(1)の間に袋状網体(4)を配置している点が異なる。袋状網体(4)は、開放端(41)を回転部材(2)の一端から差し込んだ後、開放端(41)を外方に向かって折り返して配置してある。続いて、袋状網体(4)に筒状になっている捕集部材(1)を差し込み、この状態でリントの清掃を行う。清掃後は、既に述べたように袋状網体(4)を回転部材から反転させながら取り外し、リントと捕集部材を袋状網体(4)内に包み込み、袋状網体(4)ごと手を汚すことなく廃棄する。
【0039】
更に、捕集部材(1)としてブラシ体(3)を使った清掃方法について、図3、図4に基づき説明を行う。図3の回転部材(2)には、外周面にチャンネルブラシを巻き付けてあり、更に袋状網体(4)をチャンネルブラシのブラシ毛材(31)が袋状網体(4)の網目を貫通するように被覆してある。チャンネルブラシを巻き付けた回転部材(2)を操作ハンドル(5)の先端側(51)に回転部材(2)の軸孔(22)を介して取り付ける。この取り付けた状態の部分断面図を図4に示した。図1の清掃器具と同様に操作ハンドル(5)の把持部(53)を掴み乍ら前後に動かし回転部材(2)を回動させるとチャンネルブラシのブラシ毛材(31)が堆積しているリント(7)に突き刺さるように絡み合いリントが捕集される。一旦リント(7)が捕集されると次々とリント(7)が層状になって捕集されてくる。
【0040】
層状に捕集されたリント(7)は、既に説明したように袋状網体(4)をチャンネルブラシから反転させながら取り外し、リントを袋状網体(4)内に包み込み、袋状網体(4)ごと手を汚すことなく廃棄する。勿論、リントのみを廃棄して網体(4)をブラシ状筒体(3)に再度被覆し、繰返し清掃することも可能である。
【0041】
次に、本発明の清掃器具について、一実施形態を図面を参照しながら説明を行う。既に説明した事項で重複する場合は、説明を割愛する。図1〜3において、操作ハンドル(5)は、金属又はプラスチックからなる中空のパイプで、通常は略L字状の形状をしており、基端側(54)に設けられている把持部(53)を手で握りながら清掃できるようになっている。操作ハンドル(5)の先端側(51)には、回転部材(2)の軸芯となるように小径部(52)が形成され、この小径部(52)には、回転部材(2)が軸孔(22)を介して取り付けられ回転自在になっている。小径部(52)の所望の位置には、吸引口(55)が複数設けられており、基端側(54)の排気口(56)を電気掃除機(図示せず)に接続して吸引した場合に、吸引口(55)から空気を吸引し、リントが空気中に飛散しないようになっている。また、操作ハンドル(5)の基端側(54)の所望の位置には、電気掃除機からの吸気量を調節できるように調節弁(57)を設けてある。
【0042】
図1〜3において、操作ハンドル(5)の先端側(51)は、回転部材(2)の軸芯となるように小径部(52)が形成されているが、清掃器具の多様性を広げるために、先端側(51)を別部材で形成しても良い。また、操作ハンドル(5)は略L字状の形状となっていて、操作ハンドル(5)の先端側(51)で回転部材(2)を片持ち支持しているが、長さ、形状は特に限定されるものではない。図9に示すように操作ハンドルを略逆Y字状にして回転部材(2)を両持ち支持にしても良い。又、図10に示すように操作ハンドル(5)の先端側(51)だけからなるような短い形状でも良い。
【0043】
回転部材(2)は、操作ハンドル(5)の先端側(51)の吸引口(55)と同様に外周面から内周面にかけて貫通する通気孔(21)を複数有している。そして、通気孔(21)は、操作ハンドル(5)が電気掃除機などの吸引装置に繋がれたときに、吸引口(55)と連通するようになっている。なお、図10に二点鎖線で示すように、操作ハンドル(5)の他、回転部材(2)近傍に吸引パイプ(9)を接続して、回転部材から直接吸引しても良い。
【0044】
図10に模式的に示した回転部材(2)近傍に吸引パイプ(9)を接続して回転部材から直接吸引を行う一つの例として、図11に示すような清掃器具を挙げることができる。図11の清掃器具について説明すると、操作ハンドル(5)は、棒状若しくはパイプ状の部材で形成し、吸引機能を有しないものになっている。操作ハンドル(5)の先端側(51)には、吸引孔(81)を有する吸引軸体(8)が別部材として取り付けられ、該吸引軸体(8)の吸引側先端はフレキシブルな吸引パイプ(9)と接続するための接続口(82)が形成されている。また、吸引軸体(8)には、更に回転部材(2)が回転自在、且つ、着脱自在に挿着され、該回転部材(2)の筒体表面には、捕集部材(1)が装着又は巻装されている。この清掃器具においては、操作ハンドル(5)を持ちながら回転部材(2)を回転させ、シート状の捕集部材(1)にリントを層状に捕集することは既に述べてきたものと同様であるが、吸引軸体(8)の接続口(82)に吸引パイプ(9)の挿入口(91)を接続して吸引パイプ(9)で回転部材から吸引し、吸引パイプ(9)を経由して排気する点が異なっている。
【0045】
図1における清掃器具においては、操作ハンドル(5)と回転部材(2)と捕集部材(1)から構成され、回転部材(2)にシート状の捕集部材(1)を巻装するようになっている。捕集部材(1)としては、既に述べた不織布、面ファスナー、パイル織物又は粘着シートを使うことができる。これらシート状の捕集部材(1)の回転部材(2)への取り付け方についても既に説明したように一般的な方法で取り付けることができる。
【0046】
図2における清掃器具においては、回転部材(2)の外表面に袋状網体(4)を被せ、更に筒状にした捕集部材(1)を袋状網体(4)の上から差し込んでいる。
【0047】
図3における清掃器具においては、捕集部材(1)としてチャンネルブラシを用い、このチャンネルブラシを直接回転部材(2)に間隔を開けながら巻き付け、更に、チャンネルブラシの上から袋状網体(4)を更に被覆してある。回転部材(2)はプラスチックで作られていて、所望の位置に複数の通気孔(21)が形成されている。リントを捕集した後は、袋状網体(4)を捕集部材(1)から反転させながら剥がし、袋状網体(4)内にリント(7)を閉じこめながら廃棄する。
【実施例1】
【0048】
本発明の一実施例について説明する。以下の構成からになる清掃器具を作成し、清掃効果を確認した。清掃効果は、空気フィルター表面のリントの残存状態を3名で目視観測し、必要に応じて拡大鏡で観察を行い結果として示した。
(a)回転部材:回転部材を外径38mm、内径31mm、長さ160mmの塩ビ管で作成し、径7mmの通気孔を開孔比25%になるように形成した。
(b)捕集部材:素材がポリエステル、繊維径が10デニール、目付が200g/m2のシート状の不織布を使用した。
(c)捕集部材(不織布)の取付方法:回転部材に不織布を二重に巻付け、巻付端を両面テープで固定した。
(d)清掃対象物:ガス式乾燥機(処理量27kg)に取り付けられているポリプロピレン平織(面積3640cm2)の空気フィルターを使用した。ガス式乾燥機では、被乾燥物として、シーツ、毛布、タオルケット、スポーツ着などを入れ、負担率85〜100%で4回運転を行った。この運転状況でのリントの蓄積状態は、厚さ約3mm程度になっており空気フィルターの網目が全く見えないものであった。
(e)清掃方法:操作ハンドルの排気口に電気掃除機の吸引ホースを接続し、電気掃除機で吸引するとともに、操作ハンドルを前後させながら回転部材をリントに押しつけ清掃を行った。
(f)リントの廃棄:捕集されたリントはシート状の不織布で包み込みながら廃棄した。
(g)結果:空気フィルター表面はリントが完全に除去されていた。拡大鏡の観察では、空気フィルターの網目に目開き以上の長さの糸くずが平均0.3本残っていた。
【実施例2】
【0049】
袋状網体を更に取り付けた以下の清掃器具を作成し、清掃効果の確認を行った。
(a)回転部材:回転部材を外径48mm、内径40mm、長さ160mmの塩ビ管で作成し、径7mmの通気孔を開孔比28%になるように形成した。
(b)捕集部材:実施例1と同様のシート状の不織布を使用した。
(c)袋状網体:ポリプロピレン製で網目が約5mm2の袋状網体を使用した。
(d)捕集部材(不織布)の取付方法:袋状網体を被せた回転部材に不織布を二重に巻き付け、巻付端を両面テープで固定した。
(e)清掃対象物:ガス式乾燥機(処理量27kg)に取り付けられているポリプロピレン平織の面積3640cm2の空気フィルターを使用した。ガス式乾燥機では、被乾燥物として、シーツ、毛布、タオルケット、スポーツ着などを入れ、負担率85〜100%で5回運転を行った。この運転状況でのリントの蓄積状態は、厚さ約3mm程度になっており空気フィルターの網目が全く見えないものであった。
(e)清掃方法:実施例1と同様の方法で清掃を行った。
(f)リントの廃棄:袋状網体を反転させながら回転体からリントと捕集部材を取り除き、ポリ袋に入れて廃棄した。廃棄時にリントが飛散することなく、手又は周囲が汚れることがなく衛生的で、簡便に処理することができた。
(g)結果:空気フィルター表面はリントが完全に除去されていた。拡大鏡の観察では、空気フィルターの網目に目開き以上の長さの糸くずが平均0.3本残っていた。
【実施例3】
【0050】
次の構成からなる清掃器具を作成し、清掃効果の確認を行った。
(a)回転部材:市販のストレーナー用円筒状金網の両端に回転用軸受けを設けて、回転部材を作成した。
(b)捕集部材:市販の清掃用粘着シート(ジョイ・パック・システム社製)に直径4mmの孔をピッチ12mmの正三角形配置で開口し、開孔率40%とした。
(c)粘着シートの取付方法:両面テープを用いて回転部材の外周面に貼り付けた。
(d)清掃対象物:実施例1と同様の空気フィルターを用いた。
(e)清掃方法:実施例1と同様の方法で清掃を行った。
(f)リントの廃棄:粘着シートを回転部材から剥がして、リントを包み込むようにしながら粘着シートとリントを廃棄した。
(g)結果:目視観察ではリントは完全に除去されていた。拡大鏡による観察では、空気フィルターの網目に目開き以上の長さの糸くずが平均0.4本残っていた。
【実施例4】
【0051】
(a)回転部材:ストレーナー用の円筒状パンチングメタル(外径70mm、長さ150mm)を回転部材として使用した。パンチングメタルは、幅3mm、長さ50mmのスリットを長さ方向ピッチ70mm、幅方向ピッチ10mmになるように千鳥配列に孔を開孔し、両端は操作ハンドルの先端側を軸芯として取り付けるための軸孔を形成した。
(b)捕集部材:捕集部材として50mm幅の面ファスナーのフックテープを選び、円筒状パンチングメタルの外周面に両面テープで取り付けた。
(c)清掃対象物:リネン室に配置されている業務用空気調和器のポリエステル製、ハニカムタイプ、フィルター面積7500cm2の空気フィルターにリントの厚さが約1.5mm堆積しているものを使用した。
(d)清掃方法:実施例1と同様の方法で清掃を行った。
(e)リントの廃棄:捕集されたリントは、面ファスナーのフックテープを剥がしながら、フックテープと一緒に廃棄した。
(f)結果:目視観察ではリントは完全に除去され残存していなかった。拡大鏡による観察では、空気フィルターの網目に目開き以上の長さの糸くずが平均0.3本残っていた。
【実施例5】
【0052】
(a)回転部材:50mmの内径を有するストレーナー用円筒状金網の両端に回転用軸受けを設けて、回転部材とした。
(b)捕集部材:糸径0.15mm、長さ2mm、ループ密度55本/cm2のフィラメントを有するカネボウベルタッチ株式会社製のループパイル織物(ポリエステル製ヘアカーラー)を回転部材の外周面に取り付けた。
(c)清掃対象物:実施例1と同様の空気フィルターを用いた。
(d)清掃方法:実施例1と同様の方法で清掃を行った。
(e)リントの廃棄:捕集されたリントは、ヘアカーラーと一緒に廃棄した。
(f)結果:目視観察ではリントは完全に除去され残存していなかった。
【実施例6】
【0053】
(a)回転部材:実施例5と同様の回転部材を用いた。
(b)捕集部材:ナイロンのブラシ毛材からなる間隔巻タイプのチャンネルブラシ(有限会社クドウブラシ製)を回転部材に巻き付け捕集部材とした。
(c)袋状網体:網目10mm角のポリエチレン製の袋状網体を上記ブラシ毛材の先端から3〜4mm入り込むように被覆した。
(d)清掃対象物:実施例1と同様の空気フィルターを用いた。
(e)清掃方法:実施例1と同様の方法で清掃を行った。
(f)リントの廃棄:袋状網体を反転させながら回転体から取り除き、袋状網体内にリントを閉じこめながらポリエチレン製の袋に入れて廃棄した。手間が掛かることなくリントを回転部材から除くことができ、周囲を汚すことなく、容易に廃棄することができた。
(g)結果:最初のリントの捕集性が高く、目視観察ではリントは完全に除去され、拡大鏡による観察においても残存するリントは殆どなかった。
【実施例7】
【0054】
吸引装置を併用しない以下の清掃器具を作成し、清掃効果を確認を行った。
(a)回転部材:回転部材を内径38mm、厚さ0.6mm、長さ160mmの紙筒で作成した。
(b)捕集部材:実施例1と同様のシート状の不織布を使用した。
(c)不織布の取付方法:回転部材に不織布を二重に巻付け、両端をスティプラーで固定した。
(d)清掃対象物:リントが約3mm蓄積してる面積3640cm2のガス乾燥器のポリプロピレンハニカム織りの空気フィルターを対象とした(処理量27kgのガス乾燥器に被乾燥物として、シーツ、毛布、タオルジャケット、タオル、スポーツ着などを入れて、負荷率85%〜100%で4回運転を行ったものを使用)。
(e)清掃方法:操作ハンドルを前後させながら回転部材をリントが堆積しているガス乾燥器の空気フィルターに押しつけ清掃を行った。
(f)リントの廃棄:実施例1と同様の方法で廃棄した。
(g)結果:空気フィルター表面はリントが完全に除去されていた。拡大鏡の観察では、空気フィルターの網目に目開き以上の長さの糸くずが平均0.3本残っていた。
[比較例1]
【0055】
比較例として、幅7cmの粘着テープ(クラフトテープ)を長さ20cm、幅15cmのダンボール板に粘着面を外側にして取り付け、実施例1で使用したリントが堆積している空気フィルターに押しつけ、リントの捕集を行った。最初の押しつけ操作では、リントが粘着面に幾分付着してくるが、2回目以降はほとんど取れず、最終的に30〜40%のリントが空気フィルターに残存してしまった。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の清掃器具の構成を模式的に示す図
【図2】一変形の清掃器具の構成を模式的に示す図
【図3】他の変形の清掃器具の構成を模式的に示す図
【図4】図3の清掃器具の取り付け状況を示す部分断面図
【図5】回転部材の取り付け状態を示す断面図
【図6】空気フィルターの清掃を行っている状態を示す図
【図7】捕集されたリントを模式的に示す図
【図8】捕集されたリントの断面を模式的に示す図
【図9】操作ハンドルの一変形を示す図
【図10】変形自在な吸引パイプを回転部材近傍に取り付ける模式図
【図11】吸引パイプを取り付けた清掃器具の一変形を示す図
【符号の説明】
【0057】
1 捕集部材
2 回転部材
21 通気孔
22 軸孔
3 ブラシ体
31 ブラシ毛材
4 袋状網体
41 開放端
5 操作ハンドル
51 先端側
52 小径部
53 把持部
54 基端側
55 吸引口
56 排気口
57 調節弁
6 空気フィルター
7 リント
8 吸引軸体
81 吸引孔
82 接続口
9 吸引パイプ
91 挿入口
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機(又はエアコン)、空気調和機、衣服乾燥機、塵埃除去機などの空気フィルターに堆積しているリント(綿ごみ、繊維くず、毛髪などの綿ぼこり)を簡便に、効率よく、リントを飛散させることなく、捕集・廃棄する方法とそれに使用される清掃器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、リントを取り除く手段としては、電気掃除機、ほうき、モップ、雑巾、化学雑巾、ブラシなどで行われてきたが、いずれの場合も効果的にリントを取り除くことが困難であった。例えば、電気掃除機の場合は、初めのうちは効率的にリントを吸い込むことが出来るが、リントの量が多くなると捕集フィルターがすぐ目詰まりを起こしてしまい、吸引力が低下してしまうものであった。また、他の清掃用具の場合は、清掃時にリントや細かい塵埃が飛散してしまい、非衛生的であり、清掃部周囲を更に汚してしまう場合も散見された。
【0003】
そのような課題から、リントが蓄積する衣服乾燥機のフィルターにリント除去装置とか吸引装置を取り付け、掃除の手間を改善する装置が下記特許文献1、特許文献2等で開示されている。また、リントを清掃の対象とするものではないが、手作業で掃除するローラー式の掃除用具として下記特許文献3〜5にその内容が開示されている。
【特許文献1】特開平06−091096号公報
【特許文献2】特開平06−205894号公報
【特許文献3】特開平10−262899号公報
【特許文献4】特開平11−137501号公報
【特許文献5】特開平11−076446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の衣服乾燥機の空気フィルターにおいては、リントを取り除くための駆動装置や吸引装置が乾燥機内に組み込まれているため、乾燥機が大型化したり、複雑になったりするため実用化は困難な場合が多かった。また、ローラー式の掃除用具としては、簡単に家庭内のゴミを掃除できるものであるが、大量に堆積しているリントの場合には、完全に除去することが難しいものであった。
【0005】
本発明は、前記課題を解決し、空気清浄機(又はエアコン)、衣服乾燥機などの空気フィルターに大量に堆積しているリントを簡便に、効率よく、リントを飛散させることなく、取り除く方法とそれに使用される清掃器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するためにこの発明の採った手段は、回転部材の外周面に、堆積しているリントを捕集する捕集部材を装着又は巻装し、前記回転部材と共に捕集部材をリントに押圧しながら回動し、リントを捕集部材に層状に巻き付けて捕集することを特徴とする。
【0007】
また、通気孔を有する回転部材の外周面に、堆積しているリントを捕集する捕集部材を装着又は巻装し、前記回転部材と共に捕集部材をリントに押圧しながら回動し、リントを捕集部材に層状に巻き付けて捕集するとともに、前記回転部材の内方から吸引を行い、リントの飛散を防止することを特徴とする。
【0008】
また、回転部材と捕集部材の間に、袋状網体を配置し、捕集部材でリントを層状に捕集した後、前記袋状網体を回転部材から反転させながら取り外すことにより、捕集部材と捕集したリントを袋状網体内に包み込むことを特徴とする。
【0009】
また、捕集部材がリントと絡み合う性質を有する不織布、面ファスナー、パイル織物又は粘着シート等のシート状素材からなることを特徴とし、また、捕集部材が複数のブラシ毛材を有するブラシ体からなることを特徴とする。
【0010】
また、捕集部材の外表面に袋状網体を配置し、リントを層状に捕集した後、前記袋状網体を回転部材から反転させながら取り外すことにより、捕集したリントを袋状網体内に包み込むことを特徴とする。
【0011】
この発明の方法が使用される清掃器具として採った手段は、先端側に吸引口と基端側に排気口を有する中空パイプからなる操作ハンドルに、該操作ハンドルの先端側を芯軸として、通気孔を有する回転部材を回転自在に取り付け、該回転部材の外周面に、堆積しているリントを層状に捕集する捕集部材を装着又は巻装したことを特徴とする。
【0012】
また、捕集部材を装着又は巻装した通気孔を有する回転部材に、操作ハンドルを連結して前記回転部材を回転自在に支持すると共に、操作ハンドル又は回転部材に吸引パイプを接続して吸引を行うようにしたことを特徴とする。
【0013】
また、回転部材と捕集部材との間に袋状網体を配置したことを特徴とし、捕集部材がリントと絡み合う性質を有する不織布、面ファスナー、パイル織物又は粘着シート等のシート状素材からなることを特徴とする。
【0014】
また、先端側に吸引口と基端側に排気口を有する中空パイプからなる操作ハンドルに、該操作ハンドルの先端側を芯軸として、通気孔を有する回転部材を回転自在に取り付け、該回転部材の外周面に複数のブラシ毛材を有するブラシ体を巻装し、該ブラシ体の外周面に袋状網体を被覆したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、リントが特定のシート又は構造体と絡み易いという特性を利用して、特別な機械や装置を必要とすることなく、簡便にリントを捕集できる。また、吸引装置を組み合わせた場合は、捕集過程でリントを空気中に飛散させることが殆どないので、清掃作業において周辺を汚したり、作業者が吸い込むことなく、衛生的に作業できるという効果を有する。更に、捕集したリントを清掃用具から取り除き廃棄する場合にも、袋状網体を併用することによりリントを飛散させることなく簡便に清掃用具から取り除き、廃棄できるという効果も有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のリントの除去方法と清掃器具を説明するにあたって、本発明のリント捕集の技術的な理論について説明する。リントは、綿ごみ、繊維くず、毛髪などが綿ぼこりとして堆積しているものであり、特定のシート又は構造体と絡み易い特性を有している。この特性を利用して、空気清浄機(又はエアコン)、衣服乾燥機などの空気フィルターの表面に多量に集積しているリントを層状に捕集するのがこの技術である。すなわち、回転部材に、捕集部材を装着又は巻装し、回転部材と共に捕集部材をリントに押圧しながら回転させ、リントを層状に捕集部材に捕集する技術である。一旦、リントが捕集部材に捕集されると、それ以後の回動操作によって、リントが次のリントを捕集し、次々にリントを捕集して、空気フィルターの表面に堆積しているリントを殆ど取り除き、空気フィルターは綺麗に清掃される。なお、この発明において、捕集とはリントを捕集部材と絡み合わせる或いは付着させることにより、特定のシート又は構造体側に移動させることを意味する。
【0017】
この発明において、回転部材の内方から操作ハンドルを介して吸引を行うこともできるが、これは、清掃過程においてリントが飛散することを防止するためのものであって、空気フィルターの表面に堆積しているリントの捕集とは、直接的な関連性を有しないものである。
【0018】
また、捕集したリントを清掃用具から取り除く際も、袋状網体を使って包み込みながら廃棄することにより、手や周辺を殆ど汚すことなく簡便に処理できるものである。
【0019】
本発明の各構成について説明する。本発明で使用される捕集部材とは、空気清浄機(又はエアコン)、衣服乾燥機などの空気フィルターに堆積しているリントに押しつけるとリントと絡み合う性質を有するものであって、不織布、面ファスナー、パイル織物又は粘着シートなどを挙げることができる。また、複数のブラシ毛材を有するブラシ体(例えば、チャンネルブラシ、ロールブラシなど)も使用することができる。なお、捕集部材としては、前記不織布、面ファスナー、パイル織物、粘着シート等のシート状素材又はブラシ毛材を有するブラシ体に限定されるものではない。リントと絡み合いそれを捕集する素材であれば良い。
【0020】
不織布としては、一般的に清掃用不織布として使用されているシート状の不織布を使用できる。これらの材質は、ポリオレフィン、ポリエステルなどの合成繊維からなり、繊維径が0.5〜200デニールで、目付が10〜300g/m2のものが好ましい。
【0021】
面ファスナーとは、雄面と雌面で構成され、これらの面同士を軽く押さえるとしっかりと絡み合うシート状のファスナーであり、ここで使用される面ファスナーは雄面が使われる。面ファスナーは、マッシュルームタイプとフックタイプが存在するがどちらのタイプでも使用することができる。より具体的には、伸和株式会社製の商品名マジクロス、クラレファスニング株式会社製の商品名マジックテープ(登録商標)などの面ファスナーを挙げることができる。
【0022】
パイル織物としては、ポリアミド、塩化ビニール、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリロニトリルなどの繊維からなる繊維径が0.1〜0.5mm、長さ0.5〜10mm、パイル密度10〜100本/cm2のものを使用することができる。また、実公平7−033682号公報に示されているような、織密度の密な高密度部が間隔をもって繰り返し配置されたタテ糸配列と、織密度の粗なヨコ糸配列とを有する合成重合体フィラメントからなり、各ループの中央先端部が切断開口しているカネボウベルタッチ株式会社製のループパイル織物(ポリエステル製ヘアカーラー)も使用することができる。
【0023】
粘着シートとしては、一般的によく知られているアクリル系、ゴム系、ウレタン系の粘着剤を紙、不織布、布、合成ゴム、プラスチックフィルム、スポンジなどの基材の片面又は両面に塗ったものを用いることができる。
【0024】
不織布、面ファスナー、パイル織物、粘着シートなどの捕集部材は、シート状になっているので回転部材の外周面に巻付けながら、シートの両端部を両面テープ、スティプラー、接着剤などで止めて巻装される。又は、これらの捕集部材を予め筒状に形成しておき、回転部材の外周面に嵌込むようにしても良い。
【0025】
ブラシ体は、複数のブラシ毛材を有するもので、例えば、有限会社クドウブラシ製の間隔巻タイプチャンネルブラシ、ダブルヘリカル巻タイプチャンネルブラシなどを挙げることができる。ブラシ体は、回転体に直接巻き付けてもよいし、金属、紙又はプラスチックなどで作った筒体に巻き付けて、この筒体を回転体の外表面に嵌め込んでも良い。ブラシ毛材は、若干曲がっている方がリントをよく捕集する。また、ブラシ毛材は、ポリアミド、塩化ビニール、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリルニトリル、植物繊維などで作られ、ブラシ毛材の長さは、5〜30mm、径は0.1〜0.3mm、ブラシ密度は5〜50本/cm2のものが好ましい。また、ロールブラシも本発明の効果を妨げない範囲で使用することができる。
【0026】
次に、回転部材について説明する。回転部材は、中空パイプからなる操作ハンドルの先端側を芯軸として、取り付けられる円筒形の部材で、中空パイプと略同じ太さ又はやや大きめの太さのものが用いられる。回転部材の操作ハンドルの先端側への取り付け状況を図5に断面図として示した。Aは、中空パイプと略同じ太さの回転部材でBはやや大きめの太さの回転部材である。
【0027】
回転部材は、金属、紙又はプラスチックなどから作られ、この回転部材の外周面に前述した捕集部材を装着又は巻装して、回動させながらリントを層状に捕集するようになっている。
【0028】
回転部材は、外径が10mm〜100mm、長さ50mm〜400mmの円筒状のものを使用することができる。外径が大きいものは少ない回転で多くのリントが捕集できるが、あまり大きいと操作性に影響を与えるので25mm〜70mmが好ましい。
【0029】
リントの空気中への飛散を防止するときは、回転部材を回動させながら、同時に吸引を行う。吸引は操作ハンドルの基端側の吸引口に電気掃除機やその他の吸引装置を接続することによって行われる。吸引を行う場合は、後述するように回転部材に複数の通気孔を形成する。勿論、通気性を有する多孔質の素材で回転部材を作成し、通気性を確保することも可能である。
【0030】
次に、袋状網体について説明する。袋状網体は、層状に捕集したリントを手を汚すことなく、清掃器具から取り外すために使用されるもので、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロンなどで作られている袋状の網体を使用することができる。その他、植物性、動物性の袋状の網体も使用することができる。図2に示されるように袋状網体(4)の開放端(41)を回転部材(2)の一端から入れ込み、更に該袋状網体(4)の上から筒状にした捕集部材(1)を差し込んでいる。袋状網体(4)は、回転部材(2)に入れ込んだ後に、開放端(41)を外方に向かって折り返して配置している。リントを層状に捕集した後は、袋状網体(4)の開放端(41)を手で掴みながら反転させ回転部材(2)から取り外し、捕集部材とリントとを袋状網体内に包み込み、そのままポリ袋、ゴミ袋などに入れるので手を汚すことなく、簡便に廃棄することができる。
【0031】
捕集部材がシート状又は筒状の場合は、袋状網体は、回転部材と捕集部材の間に配置するが、捕集部材(1)がブラシ体(3)の場合は、図3、図4に示すように直接ブラシ体(3)の外周面にブラシ毛材(31)が袋状網体(4)の網目を貫通するように配置し、上記した方法と同様に、リントをブラシ体(3)で層状に捕集後、前記袋状網体(4)を反転させながら取り外すことにより、リントだけを袋状網体(4)内に包み込み、簡便に廃棄することができる。
【0032】
リントの飛散を防止するために吸引装置を併用して吸引を行うときには、捕集部材が通気性を有することが必要になる。捕集部材が不織布、面ファスナー、パイル織物の場合は、素材自体が通気性を有しているのでそのまま使用できるが、粘着シートの場合は、シートに所望の数だけ孔を開けて通気性を確保するようにする。
【0033】
また、ブラシ体(3)は通気性を有していないことが多いため、図3、図4に示すように回転部材(2)に通気孔(21)を設けておき、ブラシ体(3)を間隔を開けながら回転部材(2)に巻き付けて使用する。
【0034】
図1に基づき、本発明の清掃方法について説明する。図1に示されるように、シート状になっている捕集部材(1)を回転部材(2)に巻装した後、該回転部材(2)を操作ハンドル(5)の先端側(51)の小径部(52)に軸孔(22)を介して挿着し、操作ハンドル(5)の把持部(53)を掴みなが前後に動かし回転部材(2)を回動させる。必要に応じて、操作ハンドル(5)の基端側(54)の排気口(56)を電気掃除機(図示せず)に接続して吸引することもできる。図6には、リント(7)が堆積している空気フィルター(6)を清掃している状態を模式的に示してある。リント(7)の捕集は、捕集部材(1)とリントの絡み合いから始まるが、回動が進むにつれてリント(7)がリント(7)を捕集するようになり、リント(7)の層が3〜10層位になるまでリント(7)が捕集される。捕集されたリント(7)は筒状になり、この筒状のリント(7)を回転部材(2)から外した状態を図7に、その断面を図8に模式的に示してある。
【0035】
捕集部材(1)に層状に捕集されたリントは適宜、捕集部材(1)から引き剥がしたり、捕集部材(1)と一緒に廃棄することができる。
【0036】
捕集部材(1)は、シート状の不織布、面ファスナー、パイル織物又は粘着シートから選ぶことができる。これらの素材は、回転部材(2)に数回巻装させた後、接着剤、両面テープ、スティプラーなどで止着したり、筒状に作成して回転部材(2)の外周面に嵌め込んで装着することができる。また、所望の個所にミシン目を入れて、回転部材(2)に複数回巻装し、リントを廃棄する際に、ミシン目を破いてリントと一緒に廃棄することもできる。
【0037】
必要に応じて、捕集部材(1)に油剤、界面活性剤、抗菌剤などを含浸させ、清掃効果と消毒効果を高めることもできる。
【0038】
更に、袋状網体(4)を使った清掃方法について説明する。図2は、図1とほぼ同じ構成であるが、回転部材(2)の外径を太くし、少ない回転でリントの捕集効果を高めている点と、捕集部材(1)が筒状に形成されている点と、回転部材(2)と捕集部材(1)の間に袋状網体(4)を配置している点が異なる。袋状網体(4)は、開放端(41)を回転部材(2)の一端から差し込んだ後、開放端(41)を外方に向かって折り返して配置してある。続いて、袋状網体(4)に筒状になっている捕集部材(1)を差し込み、この状態でリントの清掃を行う。清掃後は、既に述べたように袋状網体(4)を回転部材から反転させながら取り外し、リントと捕集部材を袋状網体(4)内に包み込み、袋状網体(4)ごと手を汚すことなく廃棄する。
【0039】
更に、捕集部材(1)としてブラシ体(3)を使った清掃方法について、図3、図4に基づき説明を行う。図3の回転部材(2)には、外周面にチャンネルブラシを巻き付けてあり、更に袋状網体(4)をチャンネルブラシのブラシ毛材(31)が袋状網体(4)の網目を貫通するように被覆してある。チャンネルブラシを巻き付けた回転部材(2)を操作ハンドル(5)の先端側(51)に回転部材(2)の軸孔(22)を介して取り付ける。この取り付けた状態の部分断面図を図4に示した。図1の清掃器具と同様に操作ハンドル(5)の把持部(53)を掴み乍ら前後に動かし回転部材(2)を回動させるとチャンネルブラシのブラシ毛材(31)が堆積しているリント(7)に突き刺さるように絡み合いリントが捕集される。一旦リント(7)が捕集されると次々とリント(7)が層状になって捕集されてくる。
【0040】
層状に捕集されたリント(7)は、既に説明したように袋状網体(4)をチャンネルブラシから反転させながら取り外し、リントを袋状網体(4)内に包み込み、袋状網体(4)ごと手を汚すことなく廃棄する。勿論、リントのみを廃棄して網体(4)をブラシ状筒体(3)に再度被覆し、繰返し清掃することも可能である。
【0041】
次に、本発明の清掃器具について、一実施形態を図面を参照しながら説明を行う。既に説明した事項で重複する場合は、説明を割愛する。図1〜3において、操作ハンドル(5)は、金属又はプラスチックからなる中空のパイプで、通常は略L字状の形状をしており、基端側(54)に設けられている把持部(53)を手で握りながら清掃できるようになっている。操作ハンドル(5)の先端側(51)には、回転部材(2)の軸芯となるように小径部(52)が形成され、この小径部(52)には、回転部材(2)が軸孔(22)を介して取り付けられ回転自在になっている。小径部(52)の所望の位置には、吸引口(55)が複数設けられており、基端側(54)の排気口(56)を電気掃除機(図示せず)に接続して吸引した場合に、吸引口(55)から空気を吸引し、リントが空気中に飛散しないようになっている。また、操作ハンドル(5)の基端側(54)の所望の位置には、電気掃除機からの吸気量を調節できるように調節弁(57)を設けてある。
【0042】
図1〜3において、操作ハンドル(5)の先端側(51)は、回転部材(2)の軸芯となるように小径部(52)が形成されているが、清掃器具の多様性を広げるために、先端側(51)を別部材で形成しても良い。また、操作ハンドル(5)は略L字状の形状となっていて、操作ハンドル(5)の先端側(51)で回転部材(2)を片持ち支持しているが、長さ、形状は特に限定されるものではない。図9に示すように操作ハンドルを略逆Y字状にして回転部材(2)を両持ち支持にしても良い。又、図10に示すように操作ハンドル(5)の先端側(51)だけからなるような短い形状でも良い。
【0043】
回転部材(2)は、操作ハンドル(5)の先端側(51)の吸引口(55)と同様に外周面から内周面にかけて貫通する通気孔(21)を複数有している。そして、通気孔(21)は、操作ハンドル(5)が電気掃除機などの吸引装置に繋がれたときに、吸引口(55)と連通するようになっている。なお、図10に二点鎖線で示すように、操作ハンドル(5)の他、回転部材(2)近傍に吸引パイプ(9)を接続して、回転部材から直接吸引しても良い。
【0044】
図10に模式的に示した回転部材(2)近傍に吸引パイプ(9)を接続して回転部材から直接吸引を行う一つの例として、図11に示すような清掃器具を挙げることができる。図11の清掃器具について説明すると、操作ハンドル(5)は、棒状若しくはパイプ状の部材で形成し、吸引機能を有しないものになっている。操作ハンドル(5)の先端側(51)には、吸引孔(81)を有する吸引軸体(8)が別部材として取り付けられ、該吸引軸体(8)の吸引側先端はフレキシブルな吸引パイプ(9)と接続するための接続口(82)が形成されている。また、吸引軸体(8)には、更に回転部材(2)が回転自在、且つ、着脱自在に挿着され、該回転部材(2)の筒体表面には、捕集部材(1)が装着又は巻装されている。この清掃器具においては、操作ハンドル(5)を持ちながら回転部材(2)を回転させ、シート状の捕集部材(1)にリントを層状に捕集することは既に述べてきたものと同様であるが、吸引軸体(8)の接続口(82)に吸引パイプ(9)の挿入口(91)を接続して吸引パイプ(9)で回転部材から吸引し、吸引パイプ(9)を経由して排気する点が異なっている。
【0045】
図1における清掃器具においては、操作ハンドル(5)と回転部材(2)と捕集部材(1)から構成され、回転部材(2)にシート状の捕集部材(1)を巻装するようになっている。捕集部材(1)としては、既に述べた不織布、面ファスナー、パイル織物又は粘着シートを使うことができる。これらシート状の捕集部材(1)の回転部材(2)への取り付け方についても既に説明したように一般的な方法で取り付けることができる。
【0046】
図2における清掃器具においては、回転部材(2)の外表面に袋状網体(4)を被せ、更に筒状にした捕集部材(1)を袋状網体(4)の上から差し込んでいる。
【0047】
図3における清掃器具においては、捕集部材(1)としてチャンネルブラシを用い、このチャンネルブラシを直接回転部材(2)に間隔を開けながら巻き付け、更に、チャンネルブラシの上から袋状網体(4)を更に被覆してある。回転部材(2)はプラスチックで作られていて、所望の位置に複数の通気孔(21)が形成されている。リントを捕集した後は、袋状網体(4)を捕集部材(1)から反転させながら剥がし、袋状網体(4)内にリント(7)を閉じこめながら廃棄する。
【実施例1】
【0048】
本発明の一実施例について説明する。以下の構成からになる清掃器具を作成し、清掃効果を確認した。清掃効果は、空気フィルター表面のリントの残存状態を3名で目視観測し、必要に応じて拡大鏡で観察を行い結果として示した。
(a)回転部材:回転部材を外径38mm、内径31mm、長さ160mmの塩ビ管で作成し、径7mmの通気孔を開孔比25%になるように形成した。
(b)捕集部材:素材がポリエステル、繊維径が10デニール、目付が200g/m2のシート状の不織布を使用した。
(c)捕集部材(不織布)の取付方法:回転部材に不織布を二重に巻付け、巻付端を両面テープで固定した。
(d)清掃対象物:ガス式乾燥機(処理量27kg)に取り付けられているポリプロピレン平織(面積3640cm2)の空気フィルターを使用した。ガス式乾燥機では、被乾燥物として、シーツ、毛布、タオルケット、スポーツ着などを入れ、負担率85〜100%で4回運転を行った。この運転状況でのリントの蓄積状態は、厚さ約3mm程度になっており空気フィルターの網目が全く見えないものであった。
(e)清掃方法:操作ハンドルの排気口に電気掃除機の吸引ホースを接続し、電気掃除機で吸引するとともに、操作ハンドルを前後させながら回転部材をリントに押しつけ清掃を行った。
(f)リントの廃棄:捕集されたリントはシート状の不織布で包み込みながら廃棄した。
(g)結果:空気フィルター表面はリントが完全に除去されていた。拡大鏡の観察では、空気フィルターの網目に目開き以上の長さの糸くずが平均0.3本残っていた。
【実施例2】
【0049】
袋状網体を更に取り付けた以下の清掃器具を作成し、清掃効果の確認を行った。
(a)回転部材:回転部材を外径48mm、内径40mm、長さ160mmの塩ビ管で作成し、径7mmの通気孔を開孔比28%になるように形成した。
(b)捕集部材:実施例1と同様のシート状の不織布を使用した。
(c)袋状網体:ポリプロピレン製で網目が約5mm2の袋状網体を使用した。
(d)捕集部材(不織布)の取付方法:袋状網体を被せた回転部材に不織布を二重に巻き付け、巻付端を両面テープで固定した。
(e)清掃対象物:ガス式乾燥機(処理量27kg)に取り付けられているポリプロピレン平織の面積3640cm2の空気フィルターを使用した。ガス式乾燥機では、被乾燥物として、シーツ、毛布、タオルケット、スポーツ着などを入れ、負担率85〜100%で5回運転を行った。この運転状況でのリントの蓄積状態は、厚さ約3mm程度になっており空気フィルターの網目が全く見えないものであった。
(e)清掃方法:実施例1と同様の方法で清掃を行った。
(f)リントの廃棄:袋状網体を反転させながら回転体からリントと捕集部材を取り除き、ポリ袋に入れて廃棄した。廃棄時にリントが飛散することなく、手又は周囲が汚れることがなく衛生的で、簡便に処理することができた。
(g)結果:空気フィルター表面はリントが完全に除去されていた。拡大鏡の観察では、空気フィルターの網目に目開き以上の長さの糸くずが平均0.3本残っていた。
【実施例3】
【0050】
次の構成からなる清掃器具を作成し、清掃効果の確認を行った。
(a)回転部材:市販のストレーナー用円筒状金網の両端に回転用軸受けを設けて、回転部材を作成した。
(b)捕集部材:市販の清掃用粘着シート(ジョイ・パック・システム社製)に直径4mmの孔をピッチ12mmの正三角形配置で開口し、開孔率40%とした。
(c)粘着シートの取付方法:両面テープを用いて回転部材の外周面に貼り付けた。
(d)清掃対象物:実施例1と同様の空気フィルターを用いた。
(e)清掃方法:実施例1と同様の方法で清掃を行った。
(f)リントの廃棄:粘着シートを回転部材から剥がして、リントを包み込むようにしながら粘着シートとリントを廃棄した。
(g)結果:目視観察ではリントは完全に除去されていた。拡大鏡による観察では、空気フィルターの網目に目開き以上の長さの糸くずが平均0.4本残っていた。
【実施例4】
【0051】
(a)回転部材:ストレーナー用の円筒状パンチングメタル(外径70mm、長さ150mm)を回転部材として使用した。パンチングメタルは、幅3mm、長さ50mmのスリットを長さ方向ピッチ70mm、幅方向ピッチ10mmになるように千鳥配列に孔を開孔し、両端は操作ハンドルの先端側を軸芯として取り付けるための軸孔を形成した。
(b)捕集部材:捕集部材として50mm幅の面ファスナーのフックテープを選び、円筒状パンチングメタルの外周面に両面テープで取り付けた。
(c)清掃対象物:リネン室に配置されている業務用空気調和器のポリエステル製、ハニカムタイプ、フィルター面積7500cm2の空気フィルターにリントの厚さが約1.5mm堆積しているものを使用した。
(d)清掃方法:実施例1と同様の方法で清掃を行った。
(e)リントの廃棄:捕集されたリントは、面ファスナーのフックテープを剥がしながら、フックテープと一緒に廃棄した。
(f)結果:目視観察ではリントは完全に除去され残存していなかった。拡大鏡による観察では、空気フィルターの網目に目開き以上の長さの糸くずが平均0.3本残っていた。
【実施例5】
【0052】
(a)回転部材:50mmの内径を有するストレーナー用円筒状金網の両端に回転用軸受けを設けて、回転部材とした。
(b)捕集部材:糸径0.15mm、長さ2mm、ループ密度55本/cm2のフィラメントを有するカネボウベルタッチ株式会社製のループパイル織物(ポリエステル製ヘアカーラー)を回転部材の外周面に取り付けた。
(c)清掃対象物:実施例1と同様の空気フィルターを用いた。
(d)清掃方法:実施例1と同様の方法で清掃を行った。
(e)リントの廃棄:捕集されたリントは、ヘアカーラーと一緒に廃棄した。
(f)結果:目視観察ではリントは完全に除去され残存していなかった。
【実施例6】
【0053】
(a)回転部材:実施例5と同様の回転部材を用いた。
(b)捕集部材:ナイロンのブラシ毛材からなる間隔巻タイプのチャンネルブラシ(有限会社クドウブラシ製)を回転部材に巻き付け捕集部材とした。
(c)袋状網体:網目10mm角のポリエチレン製の袋状網体を上記ブラシ毛材の先端から3〜4mm入り込むように被覆した。
(d)清掃対象物:実施例1と同様の空気フィルターを用いた。
(e)清掃方法:実施例1と同様の方法で清掃を行った。
(f)リントの廃棄:袋状網体を反転させながら回転体から取り除き、袋状網体内にリントを閉じこめながらポリエチレン製の袋に入れて廃棄した。手間が掛かることなくリントを回転部材から除くことができ、周囲を汚すことなく、容易に廃棄することができた。
(g)結果:最初のリントの捕集性が高く、目視観察ではリントは完全に除去され、拡大鏡による観察においても残存するリントは殆どなかった。
【実施例7】
【0054】
吸引装置を併用しない以下の清掃器具を作成し、清掃効果を確認を行った。
(a)回転部材:回転部材を内径38mm、厚さ0.6mm、長さ160mmの紙筒で作成した。
(b)捕集部材:実施例1と同様のシート状の不織布を使用した。
(c)不織布の取付方法:回転部材に不織布を二重に巻付け、両端をスティプラーで固定した。
(d)清掃対象物:リントが約3mm蓄積してる面積3640cm2のガス乾燥器のポリプロピレンハニカム織りの空気フィルターを対象とした(処理量27kgのガス乾燥器に被乾燥物として、シーツ、毛布、タオルジャケット、タオル、スポーツ着などを入れて、負荷率85%〜100%で4回運転を行ったものを使用)。
(e)清掃方法:操作ハンドルを前後させながら回転部材をリントが堆積しているガス乾燥器の空気フィルターに押しつけ清掃を行った。
(f)リントの廃棄:実施例1と同様の方法で廃棄した。
(g)結果:空気フィルター表面はリントが完全に除去されていた。拡大鏡の観察では、空気フィルターの網目に目開き以上の長さの糸くずが平均0.3本残っていた。
[比較例1]
【0055】
比較例として、幅7cmの粘着テープ(クラフトテープ)を長さ20cm、幅15cmのダンボール板に粘着面を外側にして取り付け、実施例1で使用したリントが堆積している空気フィルターに押しつけ、リントの捕集を行った。最初の押しつけ操作では、リントが粘着面に幾分付着してくるが、2回目以降はほとんど取れず、最終的に30〜40%のリントが空気フィルターに残存してしまった。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の清掃器具の構成を模式的に示す図
【図2】一変形の清掃器具の構成を模式的に示す図
【図3】他の変形の清掃器具の構成を模式的に示す図
【図4】図3の清掃器具の取り付け状況を示す部分断面図
【図5】回転部材の取り付け状態を示す断面図
【図6】空気フィルターの清掃を行っている状態を示す図
【図7】捕集されたリントを模式的に示す図
【図8】捕集されたリントの断面を模式的に示す図
【図9】操作ハンドルの一変形を示す図
【図10】変形自在な吸引パイプを回転部材近傍に取り付ける模式図
【図11】吸引パイプを取り付けた清掃器具の一変形を示す図
【符号の説明】
【0057】
1 捕集部材
2 回転部材
21 通気孔
22 軸孔
3 ブラシ体
31 ブラシ毛材
4 袋状網体
41 開放端
5 操作ハンドル
51 先端側
52 小径部
53 把持部
54 基端側
55 吸引口
56 排気口
57 調節弁
6 空気フィルター
7 リント
8 吸引軸体
81 吸引孔
82 接続口
9 吸引パイプ
91 挿入口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転部材の外周面に、堆積しているリントを捕集する捕集部材を装着又は巻装し、前記回転部材と共に捕集部材をリントに押圧しながら回動し、リントを捕集部材に層状に巻き付けて捕集することを特徴とするリントの清掃方法。
【請求項2】
通気孔を有する回転部材の外周面に、堆積しているリントを捕集する捕集部材を装着又は巻装し、前記回転部材と共に捕集部材をリントに押圧しながら回動し、リントを捕集部材に層状に巻き付けて捕集するとともに、前記回転部材の内方から吸引を行い、リントの飛散を防止することを特徴とするリントの清掃方法。
【請求項3】
回転部材と捕集部材の間に、袋状網体を配置し、捕集部材でリントを層状に捕集した後、前記袋状網体を回転部材から反転させながら取り外すことにより、捕集部材と捕集したリントを袋状網体内に包み込むことを特徴とするリントの清掃方法。
【請求項4】
捕集部材がリントと絡み合う性質を有する不織布、面ファスナー、パイル織物又は粘着シート等のシート状素材からなることを特徴とする請求項1乃至3に記載のリントの清掃方法。
【請求項5】
捕集部材が複数のブラシ毛材を有するブラシ体からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のリントの清掃方法。
【請求項6】
捕集部材の外表面に袋状網体を配置し、リントを層状に捕集した後、前記袋状網体を回転部材から反転させながら取り外すことにより、捕集したリントを袋状網体内に包み込むことを特徴とする請求項5に記載のリントの清掃方法。
【請求項7】
先端側に吸引口と基端側に排気口を有する中空パイプからなる操作ハンドルに、該操作ハンドルの先端側を芯軸として、通気孔を有する回転部材を回転自在に取り付け、該回転部材の外周面に、堆積しているリントを層状に捕集する捕集部材を装着又は巻装したことを特徴とするリントの清掃器具。
【請求項8】
捕集部材を装着又は巻装した通気孔を有する回転部材に、操作ハンドルを連結して前記回転部材を回転自在に支持すると共に、操作ハンドル又は回転部材に吸引パイプを接続して吸引を行うようにしたことを特徴とするリントの清掃器具。
【請求項9】
回転部材と捕集部材との間に袋状網体を配置したことを特徴とする請求項7又は8に記載のリントの清掃器具。
【請求項10】
捕集部材がリントと絡み合う性質を有する不織布、面ファスナー、パイル織物又は粘着シート等のシート状素材からなることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載のリントの清掃器具。
【請求項11】
先端側に吸引口と基端側に排気口を有する中空パイプからなる操作ハンドルに、該操作ハンドルの先端側を芯軸として、通気孔を有する回転部材を回転自在に取り付け、該回転部材の外周面に複数のブラシ毛材を有するブラシ体を巻装し、該ブラシ体の外周面に袋状網体を被覆したことを特徴とするリントの清掃器具。
【請求項1】
回転部材の外周面に、堆積しているリントを捕集する捕集部材を装着又は巻装し、前記回転部材と共に捕集部材をリントに押圧しながら回動し、リントを捕集部材に層状に巻き付けて捕集することを特徴とするリントの清掃方法。
【請求項2】
通気孔を有する回転部材の外周面に、堆積しているリントを捕集する捕集部材を装着又は巻装し、前記回転部材と共に捕集部材をリントに押圧しながら回動し、リントを捕集部材に層状に巻き付けて捕集するとともに、前記回転部材の内方から吸引を行い、リントの飛散を防止することを特徴とするリントの清掃方法。
【請求項3】
回転部材と捕集部材の間に、袋状網体を配置し、捕集部材でリントを層状に捕集した後、前記袋状網体を回転部材から反転させながら取り外すことにより、捕集部材と捕集したリントを袋状網体内に包み込むことを特徴とするリントの清掃方法。
【請求項4】
捕集部材がリントと絡み合う性質を有する不織布、面ファスナー、パイル織物又は粘着シート等のシート状素材からなることを特徴とする請求項1乃至3に記載のリントの清掃方法。
【請求項5】
捕集部材が複数のブラシ毛材を有するブラシ体からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のリントの清掃方法。
【請求項6】
捕集部材の外表面に袋状網体を配置し、リントを層状に捕集した後、前記袋状網体を回転部材から反転させながら取り外すことにより、捕集したリントを袋状網体内に包み込むことを特徴とする請求項5に記載のリントの清掃方法。
【請求項7】
先端側に吸引口と基端側に排気口を有する中空パイプからなる操作ハンドルに、該操作ハンドルの先端側を芯軸として、通気孔を有する回転部材を回転自在に取り付け、該回転部材の外周面に、堆積しているリントを層状に捕集する捕集部材を装着又は巻装したことを特徴とするリントの清掃器具。
【請求項8】
捕集部材を装着又は巻装した通気孔を有する回転部材に、操作ハンドルを連結して前記回転部材を回転自在に支持すると共に、操作ハンドル又は回転部材に吸引パイプを接続して吸引を行うようにしたことを特徴とするリントの清掃器具。
【請求項9】
回転部材と捕集部材との間に袋状網体を配置したことを特徴とする請求項7又は8に記載のリントの清掃器具。
【請求項10】
捕集部材がリントと絡み合う性質を有する不織布、面ファスナー、パイル織物又は粘着シート等のシート状素材からなることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載のリントの清掃器具。
【請求項11】
先端側に吸引口と基端側に排気口を有する中空パイプからなる操作ハンドルに、該操作ハンドルの先端側を芯軸として、通気孔を有する回転部材を回転自在に取り付け、該回転部材の外周面に複数のブラシ毛材を有するブラシ体を巻装し、該ブラシ体の外周面に袋状網体を被覆したことを特徴とするリントの清掃器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−330689(P2007−330689A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−169018(P2006−169018)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(500085312)日本アサヒ機工 株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(500085312)日本アサヒ機工 株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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