説明

リン系オキサジン化合物及びその製造方法

【課題】高ガラス転移温度(Tg)、高弾性率、低吸湿速度、優れた電気的特性及び高炭化収率を有するリン系オキサジン化合物及びその製造方法の提供。
【解決手段】下記式(I)を有するリン系オキサジン化合物は、良好な耐火性を提供することができ、一方、リン系オキサジン化合物の製造方法は、高収率で及び/又は高純度のリン系オキサジン化合物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンゾオキサジン化合物及び該ベンゾオキサジン化合物の製造方法に関するものである。更に詳細には、本発明は、リン系オキサジン化合物及び該リン系オキサジン化合物の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の発達したベンゾオキサジン樹脂は、フェノール樹脂の一種として分類できるが、実際には、通常のフェノール樹脂と全く異なる。上記ベンゾオキサジン樹脂は、高ガラス転移温度(Tg)、高弾性率、低吸湿速度、優れた電気的特性及び高炭化収率を提供する。その上、高酸性触媒が必要でないこと、硬化時の副生成物がないこと、単量体を加熱した後の開環硬化であること、及び硬化後の体積変化がほとんどないことを含む、ベンゾオキサジン樹脂の利点が更に存在する。
【0003】
今までのところ、最も一般に使用されるベンゾオキサジン化合物をB−m型の化合物及びB−a型の化合物として分類することができる。B−m型の化合物は、ビスフェノールA、ホルムアルデヒド及びメチルアミンから合成されるが、B−a型の化合物は、ビスフェノールA、ホルムアルデヒド及びアニリンから合成される。B−m型の化合物及びB−a型の化合物を合成するための製造方法は、以下のように示される。
【化1】

【0004】
刊行された論文に基づき、ベンゾオキサジン化合物は、ビスフェノールA、ホルムアルデヒド、及び一官能基を有するアミンから合成されていた。ベンゾオキサジン化合物が二官能基を有するアミン、ホルムアルデヒド及び一官能基を有するフェノールから合成される場合、高分子量の不溶性分子がかなり形成されることになる。それは、官能基-NCH2OHがアニリンのアミノ基と縮合反応を起こしたり、-NCH2OHがアニリンのパラ水素又はオルト水素と脱水反応を起こし、高分子量の不溶性物質を形成するからである。高分子量の不溶性物質の形成によって、合成されたベンゾオキサジン化合物は、純度が劣り、収率が低くなる。
【0005】
その上、ベンゾオキサジン樹脂の耐火性は、通常のフェノール樹脂の耐火性より優れているが、広範な用途のため、更に改良することができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、優れた耐火性を有するリン系オキサジン化合物を提供する。
【0007】
本発明は、製造過程中の不溶性物質の形成を低減することによるリン系オキサジン化合物の製造方法を提供する。
【0008】
本発明は、高純度のリン系オキサジン化合物を製造することが可能なリン系オキサジン化合物の製造方法を提供する。
【0009】
本発明は、高収率のリン系オキサジン化合物の製造方法を提供する。
【0010】
本発明は、化学式(I):
【化2】

[式中、nは1又は2を表す]で示される構造を有するリン系オキサジン化合物を提供する。nが1である場合、Xは水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、OCF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表す。nが2である場合、Xは単結合又は、
【化3】

[式中、aは1〜16の範囲の整数であり、Arは、
【化4】

を表す]を表す。Yは、
【化5】

又は単結合を表し、ここで、Z1又はZ2はそれぞれ水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表し、mは1又は2を表し、Rは水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、OCF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表し、mが2であるとき、Rは同一の基又は異なる基を表す。
【0011】
本発明の実施態様によれば、上記リン系オキサジン化合物についてnが2であるとき、Xはキラル中心である。
【0012】
本発明は、リン系オキサジン化合物の製造方法を提供する。リン系オキサジン化合物は、化学式(II):
【化6】

[式中、Xは水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、OCF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表す。Yは、
【化7】

(ここで、Z1又はZ2はそれぞれ水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表す)又は単結合を表し、mは1又は2を表し、Rは水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、OCF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表し、mが2であるとき、Rは同一の基又は異なる基を表す]で示される構造を有する。該リン系オキサジン化合物の製造方法は、下記に示す化合物
【化8】

を混合し、下記式(III):
【化9】

[式中、X、Y、R及びmは、上記式(II)に記載された通りに定義される]で示される化合物を形成し、その後、ホルムアルデヒド又はトリオキシメチレンを添加し、最終生成物を得ることを含む。
【0013】
本発明の実施態様によれば、上記リン系オキサジン化合物の製造方法について、式(III)で示される化合物が、下記に示す化合物
【化10】

を同時に接触及び混合させることによって、一段階で形成される。
【0014】
本発明の実施態様によれば、上記リン系オキサジン化合物の製造方法について、式(III)で示される化合物が、第一に
【化11】

を接触及び混合させ、下記式(IV):
【化12】

で示される化合物を形成し、次に化合物
【化13】

を添加することによって、二段階で形成される。
【0015】
本発明は、リン系オキサジン化合物の製造方法を提供し、該リン系オキサジン化合物は、下記式(V):
【化14】

[式中、Xは単結合又は
【化15】

(ここで、aは1〜16の範囲の整数である)を表す。Arは、
【化16】

を表し、Yは、
【化17】

(ここで、Z1又はZ2はそれぞれ水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表す)又は単結合を表し、mは1又は2を表し、Rは水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、OCF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表し、mが2であるとき、Rは同一の基又は異なる基を表す]で示される構造を有する。該リン系オキサジン化合物の製造方法は、下記に示す化合物
【化18】

を混合し、下記式(VI):
【化19】

[式中、X、Y、R及びmは、上記式(V)において記載された通りに定義される]で示される化合物を形成し、その後、ホルムアルデヒド又はトリオキシメチレンを添加し、最終生成物を得ることを含む。
【0016】
本発明の実施態様によれば、上記リン系オキサジン化合物の製造方法について、式(VI)で示される化合物が、下記に示す化合物
【化20】

を同時に接触及び混合させることによって、一段階で形成される。
【0017】
本発明の実施態様によれば、上記リン系オキサジン化合物の製造方法について、式(VI)で示される化合物が、第一に下記に示す化合物
【化21】

を接触及び混合させ、下記式(VII):
【化22】

[式中、X、Y、R及びmは、上記式(V)において記載された通りに定義される]で示される化合物を形成し、次に化合物
【化23】

を添加することによって、二段階で形成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施態様によれば、リン系オキサジン化合物は、優れた耐火性を提供することができる。
【0019】
本発明の実施態様によれば、リン系オキサジン化合物の製造方法は、高収率及び/又は高純度のリン系オキサジン化合物を提供することができる。
【0020】
上記した目的及び他の目的、並びに本発明の特徴及び利点を理解し易くするため、図面と共に好適な実施態様を以下に詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明のリン系オキサジン化合物は、下記式(I):
【化24】

[式中、Yは、
【化25】

(ここで、Z1又はZ2はそれぞれ水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表す)又は単結合を表し、mは1又は2を表し、Rは水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、OCF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表し、mが2であるとき、Rは同一の基又は異なる基を表す]で示される構造を有する。
【0022】
式(I)において、nは1又は2を表す。nが1であるとき、Xは水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、OCF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表す。nが2であるとき、Xは単結合又は
【化26】

[式中、aは1〜16の範囲の整数であり、Arは、
【化27】

を表す]等のキラル中心である。
【0023】
式(I)のリン系オキサジン化合物の製造方法は、
2-ヒドロキシベンズアルデヒド(2-HB)、アミン及び10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(DOPO)を接触及び混合し、下記式(II'):
【化28】

[式中、X、Y、R、m及びnは、上記式(I)において記載された通りに定義される]の中間生成物を形成することと、
その後にホルムアルデヒド又はトリオキシメチレンを添加し、該中間生成物と反応させ、最終生成物を得ることとを含む。
【0024】
本発明のリン系オキサジン化合物の製造方法によれば、二段階又は三段階で、所望の最終生成物を製造することができる。
【0025】
式(I)についてnが1であるとき、リン系オキサジン化合物は、下記式(II):
【化29】

[式中、Xは水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、OCF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表し、Yは、
【化30】

(ここで、Z1又はZ2はそれぞれ水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表す)又は単結合を表し、mは1又は2を表し、Rは水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、OCF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表し、mが2であるとき、Rは同一の基又は異なる基を表す]の構造を有する。
【0026】
式(II)の化合物を製造するための二段階法は、
下記に示す化合物
【化31】

を接触及び混合し、下記式(III):
【化32】

[式中、X、Y、R及びmは、上記式(II)において記載された通りに定義される]の中間生成物を形成することと、
その後にホルムアルデヒド又はトリオキシメチレンを添加し、最終生成物を得ることとを含む。この反応は、下記に示す通りである。
【化33】

【0027】
式(II)の化合物を製造するための三段階法は、
下記に示す化合物
【化34】

を接触及び混合し、下記式(IV):
【化35】

の中間生成物を形成することと、
その後に化合物
【化36】

を添加し、式(III):
【化37】

[式中、X、Y、R及びmは、上記式(II)において記載された通りに定義される]の中間生成物を形成することと、
次にホルムアルデヒド又はトリオキシメチレンを添加し、最終生成物を得ることとを含む。この反応は、下記に示す通りである。
【化38】

【0028】
式(I)においてnが2であるとき、リン系オキサジン化合物は、下記式(V):
【化39】

[式中、Xはキラル中心であり、例えば、単結合又は
【化40】

(ここで、aは1〜16の範囲の整数であり、Arは、
【化41】

を表す)から選択されるものであり、Yは、
【化42】

(ここで、Z1又はZ2はそれぞれ水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表す)又は単結合を表し、mは1又は2を表し、Rは水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、OCF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表し、mが2であるとき、Rは同一の基又は異なる基を表す]の構造を有する。
【0029】
式(V)の化合物を製造するための二段階法は、
下記に示す化合物
【化43】

[式中、X、Y、R及びmは、上記式(V)において記載された通りに定義される]を接触及び混合し、下記式(VI):
【化44】

の中間生成物を形成することと、
その後にホルムアルデヒド又はトリオキシメチレンを添加し、最終生成物を得ることとを含む。この反応は、下記に示す通りである。
【化45】

【0030】
式(V)の化合物を製造するための三段階法は、
下記に示す化合物
【化46】

を接触及び混合し、下記式(VII):
【化47】

[式中、X、Y、R及びmは、上記式(V)において記載された通りに定義される]の中間生成物を形成することと、
その後に化合物
【化48】

を添加し、式(VI):
【化49】

の中間生成物を形成することとを含む。
【0031】
この反応は、下記に示す通りである。
【化50】

【実施例】
【0032】
例1
化合物P-アニリン-Bz(Bz:ベンゾオキサジン)の二段階合成:
【化51】

【0033】
化合物P-アニリン-Bzの二段階合成は、段階(I)中間生成物P-アニリン-HB(HB:ヒドロキシベンズアルデヒド)の合成と、段階(II)P-アニリン-Bzの合成とに分類できる。この反応は、下記に示す通りである。
【化52】

【0034】
段階(I):中間生成物P-アニリン-HBの合成。ジメチルホルムアミド(DMF)300mlを含むフラスコに、アニリン11.1688g(120mmol)、2-ヒドロキシベンズアルデヒド14.6544g(120mmol)及びDOPO25.9404g(120mmol)を添加し、室温で12時間かき混ぜる。反応が完了した後、その溶液を飽和食塩水に静かに注ぎ、白色の沈殿物を得る。次いでろ過及び加熱乾燥して、収率89%の白色粉末46.07gを得る。
【0035】
段階(II):P-アニリン-Bzの合成。クロロホルム200mlを含むフラスコに、段階(I)の生成物12.402g(30mmol)を加えた後、該フラスコに2.6775g(33mmol)のホルムアルデヒド溶液を滴下して加え、室温で5時間攪拌し、還流温度に加熱し、12時間かき混ぜる。反応が完了した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、その結果、収率100%の白色粉末を得る。
【0036】
例2
化合物P-DDM-Bz(DDM:4,4'-ジアミノジフェニルメタン)の二段階合成
【化53】

【0037】
化合物P-DDM-Bzの二段階合成:段階(I)中間生成物P-DDM-HBの合成;段階(II)P-DDM-Bzの合成。この反応は、下記に示す通りである。
【化54】

【0038】
段階(I)中間生成物P-DDM-HBの合成。DMF300mlを含むフラスコに、DDM(4,4'-ジアミノジフェニルメタン)11.8956g(60mmol)、2-ヒドロキシベンズアルデヒド(2-ヒドロキシベンズアルデヒド、2-HB)14.6544g(120mmol)及びDOPO25.94g(120mmol)を添加し、室温で12時間かき混ぜる。反応が完了した後、その溶液を水中に注ぎ、白色の沈殿物を得る。次いでろ過及び加熱乾燥して、収率92%の緑色粉末46.54gを得る。結果を図1A,1Bに示す。図1A及び図1Bは、それぞれ中間生成物P-DDM-HBの1H-NMRスペクトル及び13C-NMRスペクトルである。リン(P)及びPに結合した一つ又は複数の脂肪族炭素がキラル中心であるため、化合物P-DDM-HBは、二つのジアステレオマー(RR(又はSS)及びRS(又はSR)の配座異性体のいずれか一方)を含む。従って、スペクトルには、二組のピークが存在している。合成したP-DDM-HBの構造を図面から立証することができる。
【0039】
段階(II)P-DDM-Bzの合成。クロロホルム200mlを含むフラスコに、P-DDM-HB25.1646g(30mmol)を添加した後、該フラスコに5.3549g(66mmol)のホルムアルデヒド溶液を滴下して加える。その混合物を室温で5時間攪拌し、還流温度に加熱し、12時間かき混ぜる。反応が完了した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、真空オーブンで加熱乾燥し、その結果、収率100%の茶色粉末を得る。結果を図1C及び図1Dに示す。図1C及び図1Dは、それぞれ生成物P-DDM-Bzの1H-NMRスペクトル及び13C-NMRスペクトルである。リン(P)及びPに結合した一つ又は複数の脂肪族炭素がキラル中心であるため、化合物P-DDM-Bzは、二つのジアステレオマー(RR(又はSS)及びRS(又はSR)の配座異性体)を含む。従って、スペクトルには、二組のピークが存在している。合成したP-DDM-Bzの構造を図面から立証することができる。
【0040】
例3
下記に示す化合物P-BAPP-BZ(BAPP:2,2'-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン)の二段階合成
【化55】

【0041】
P-BAPP-BZの二段階合成,段階(I)中間生成物P-BAPP-HBの合成;段階(II)単量体P-BAPP-BZの合成。この反応は、下記に示す通りである。
【化56】

【0042】
段階(I)中間生成物P-BAPP-HBの合成。DMF300mlを含むフラスコに、BAPP(2,2'-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン)24.6306g(60mmol)、2-HB14.6544g(120mmol)及びDOPO25.9404g(120mmol)を添加し、室温で12時間かき混ぜる。反応が完了した後、その溶液を水中に注ぎ、沈殿物を得る。次いでろ過及び加熱乾燥して、収率95%の淡黄色粉末60.12gを得る。結果を図2A及び図2Bに示す。図2A及び図2Bは、中間生成物P-BAPP-HBの1H-NMRスペクトル及び13C-NMRスペクトルである。リン(P)及びPに結合した一つ又は複数の脂肪族炭素がキラル中心であるため、化合物P-BAPP-HBは、二つのジアステレオマー(RR(又はSS)及びRS(又はSR)の配座異性体)を含む。従って、スペクトルには、二組のピークが存在している。合成したP-BAPP-HBの構造を図面から立証することができる。
【0043】
段階(II)単量体P-BAPP-Bzの合成。クロロホルム150mlを含むフラスコに、P-BAPP-HB21.021g(20mmol)を添加した後、該フラスコに3.57g(44mmol)のホルムアルデヒド溶液を滴下して加える。その混合物を室温で5時間攪拌し、還流温度に加熱し、12時間かき混ぜる。反応が完了した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、真空オーブンで加熱乾燥し、その結果、収率100%の黄色粉末P-BAPP-Bzを得る。結果を図2C及び図2Dに示す。図2C及び図2Dは、生成物P-BAPP-Bzの1H-NMRスペクトル及び13C-NMRスペクトルである。リン(P)及びPに結合した一つ又は複数の脂肪族炭素がキラル中心であるため、化合物P-BAPP-Bzは、二つのジアステレオマー(RR(又はSS)及びRS(又はSR)の配座異性体)を含む。従って、スペクトルには、二組のピークが存在している。合成したP-BAPP-Bzの構造を図面から立証することができる。
【0044】
例4
化合物P-DDS-Bz(DDS:4,4'-ジアミノジフェニルスルホン)の二段階合成
【化57】

【0045】
P-DDS-Bzの二段階合成:段階(I)中間生成物P-DDS-HBの合成;段階(II)P-DDS-Bzの合成。この反応は、下記に示す通りである。
【化58】

【0046】
段階(I)中間生成物P-DDS-HBの合成。DMF300mlを含むフラスコに、DDS(4,4'-ジアミノジフェニルスルホン)14.898g(60mmol)、2-HB14.6544g(120mmol)及びDOPO25.9404g(120mmol)を添加し、室温で12時間かき混ぜる。反応が完了して、その溶液を飽和食塩水中に注ぎ、白色の沈殿物を得る。次いでろ過及び加熱乾燥して、収率84%の白色粉末44.97gを得る。
【0047】
段階(II)P-DDS-Bzの合成。クロロホルム200mlを含むフラスコに、P-DDS-HB26.6658g(30mmol)を添加した後、該フラスコに5.3549g(66mmol)のホルムアルデヒド溶液を滴下して加え、室温で5時間攪拌し、還流温度に加熱し、12時間かき混ぜる。反応が完了した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去し、収率100%の白色粉末P-DDS-Bzを得る。
【0048】
例5:
化合物P-C2-Bzの三段階合成
【化59】

【0049】
P-C2-Bzの三段階合成:段階(I)中間生成物C2-HBの合成;段階(II)中間生成物P-C2-HBの合成;段階(III)単量体P-C2-Bzの合成。この反応は、下記に示す通りである。
【化60】

【0050】
段階(I)中間生成物C2-HBの合成。三つ口フラスコ内のDMF50ml中に、2-HB20.32g(2×83.25mmol)及びエチレンジアミン5g(83.25mmol)を溶解し、わずかに発熱するまで窒素下で攪拌する。その混合物を室温で6時間かき混ぜる。沈殿物のため、該混合物を脱イオン水中に注ぐ。真空ろ過と100℃での真空オーブンによる加熱乾燥後に、収率96.8%の黄色粉末C2-HB21.6273gを得る。融点127.67℃。結果を図3Aに示す。図3Aは、中間生成物C2-HBの1H-NMRスペクトルである。合成したC2-HBの構造を図面により立証することができる。
【0051】
次に、段階(II)単量体P-C2-HBの合成。100ml三つ口フラスコ内のエタノール30ml中にC2-HB5g(18.65mmol)を溶解する。該三つ口フラスコにDOPO8.058g(18.65×2mmol)を添加した後、その混合物を室温で12時間攪拌する。その混合物を脱イオン水中に注ぎ、黄色粉末の沈殿物を形成する。ろ過、真空蒸発及び加熱乾燥の後、収率96.7%の淡黄色粉末P-C2-HB12.6214gを得る。結果を図3Bに示す。図3Bは、中間生成物P-C2-HBの1H-NMRスペクトルである。合成したP-C2-HBの構造を図面により立証することができる。
【0052】
段階(III)単量体P-C2-Bzの合成。100ml三つ口フラスコ内のクロロホルム10ml中にP-C2-HB5g(14.3mmol)を溶解する。該三つ口フラスコに1.16g(14.3×2mmol)のホルムアルデヒド溶液(37%)を滴下して加える。その混合物を室温(35℃)で1時間攪拌し、還流温度に加熱し、10時間かき混ぜる。該混合物をロータリーエバポレーターで乾燥し、淡黄色粉末P-C2-Bzを得る。結果を図3Cに示す。図3Cは、生成物P-C2-Bzの1H-NMRスペクトルである。合成したP-C2-Bzの構造を図面により立証することができる。
【0053】
例6:
化合物P-C4-Bzの三段階合成
【化61】

【0054】
P-C4-Bzの三段階合成:段階(I)中間生成物C4-HBの合成;段階(II)中間生成物P-C4-HBの合成;段階(III)単量体P-C4-Bzの合成。この反応は、下記に示す通りである。
【化62】

【0055】
段階(I)中間生成物C4-HBの合成。三つ口フラスコ内のDMF50ml中に、2-HB13.8515g(56.75×2mmol)及び1,4-ブタンジアミン5g(56.75mmol)を溶解し、わずかに発熱するまで窒素下で攪拌する。最大量の沈殿物のために室温で6時間かき混ぜる。沈殿物のため、混合物を脱イオン水中に注ぐ。ろ過、真空蒸発及び70℃での真空オーブンの後に、収率96.8%の黄色粉末4-HB21.6273gを得る。融点91℃。結果を図4Aに示す。図4Aは、中間生成物C4-HBの1H-NMRスペクトルである。合成したC4-HBの構造を図面により立証することができる。
【0056】
段階(II)単量体P-C4-HBの合成。100ml三つ口フラスコ内のエタノール30ml中にC4-HB5g(16.88mmol)を溶解した後、該三つ口フラスコにDOPO7.302g(16.88×2mmol)を添加する。沈殿物と共に混合物を室温で12時間攪拌する。黄色の沈殿物のために、その混合物を脱イオン水中に注ぐ。ろ過、真空蒸発及び加熱乾燥の後、収率96.8%の淡黄色粉末P-C4-HB11.8963gを得る。結果を図4Bに示す。図4Bは、中間生成物P-C4-HBの1H-NMRスペクトルである。合成したP-C4-HBの構造を図面により立証することができる。
【0057】
段階(III)単量体P-C4-Bzの合成。500ml三つ口フラスコ内のクロロホルム100ml中にP-C4-HB5g(13.7mmol)を溶解した後、該三つ口フラスコに1.11g(13.7×2mmol)のホルムアルデヒド溶液(37%)を滴下して加える。その混合物を室温(35℃)で1時間攪拌し、還流温度に加熱し、10時間かき混ぜて、その後真空蒸発し、白黄色粉末P-C4-Bzを得る。結果を図4Cに示す。図4Cは、生成物P-C4-Bzの1H-NMRスペクトルである。合成したP-C4-Bzの構造を図面により立証することができる。
【0058】
例7:
化合物P-C6-Bzの三段階合成
【化63】

【0059】
P-C6-Bzの三段階合成:段階(I)中間生成物C6-HBの合成;段階(II)中間生成物P-C6-HBの合成;段階(III)単量体P-C6-Bzの合成。この反応は、下記に示す通りである。
【化64】

【0060】
段階(I)中間生成物C6-HBの合成。三つ口フラスコ内のDMF50ml中に、2-HB20.32g(2×83.25mmol)及び1,6-ヘキサンジアミン5g(83.25mmol)を溶解し、黄色の沈殿物と共に窒素下でわずかに発熱するまで攪拌する。その混合物を室温で6時間かき混ぜて、沈殿物のために脱イオン水中に注ぐ。ろ過、真空蒸発及び100℃での真空オーブンの後に、収率97%の黄色粉末C6-HB13.5465gを得る。融点74.33℃。結果を図5Aに示す。図5Aは、中間生成物C6-HBの1H-NMRスペクトルである。合成したC6-HBの構造を図面により立証することができる。
【0061】
段階(II)単量体P-C6-HBの合成。100ml三つ口フラスコ内のエタノール30ml中にC6-HB5g(15.42mmol)を溶解した後、該三つ口フラスコにDOPO6.662g(15.42×2mmol)を添加し、沈殿物と共に室温で12時間攪拌する。沈殿物のために、その混合物を脱イオン水中に注ぐ。ろ過、真空蒸発及び加熱乾燥の後、収率96.8%の淡黄色粉末P-C6-HB11.8963gを得る。結果を図5Bに示す。図5Bは、中間生成物P-C6-HBの1H-NMRスペクトルである。合成したP-C6-HBの構造を図面により立証することができる。
【0062】
段階(III)単量体P-C6-Bzの合成。500ml三つ口フラスコ内のクロロホルム100ml中にP-C6-HB5g(13.2mmol)を溶解した後、該三つ口フラスコに1.11g(13.2×2mmol)のホルムアルデヒド溶液(37%)を滴下して加える。その混合物を室温(35℃)で1時間攪拌し、還流温度に加熱し、10時間かき混ぜて、その後真空蒸発し、白黄色粉末P-C6-Bzを得る。結果を図5Cに示す。図5Cは、生成物P-C6-Bzの1H-NMRスペクトルである。合成したP-C6-Bzの構造を図面により立証することができる。
【0063】
例8:
下記に示す化合物P-C8-Bzの三段階合成
【化65】

【0064】
P-C8-Bzの三段階合成:段階(I)中間生成物C8-HBの合成;段階(II)中間生成物P-C8-HBの合成;段階(III)単量体P-C8-Bzの合成。この反応は、下記に示す通りである。
【化66】

【0065】
段階(I)中間生成物C8-HBの合成。三つ口フラスコ内のDMF50ml中に、2-HB20.32g(2×83.25mmol)及び1,8-オクタンジアミン5g(83.25mmol)を溶解し、黄色の沈殿物と共に窒素下でわずかに発熱するまで攪拌する。その混合物を室温で6時間かき混ぜて、その後沈殿物のために脱イオン水中に注ぐ。ろ過、真空蒸発及び100℃での真空オーブンの後に、収率96.7%の黄色粉末C8-HB11.8216gを得る。融点76.83℃。結果を図6Aに示す。図6Aは、中間生成物C8-HBの1H-NMRスペクトルである。合成したC8-HBの構造を図面により立証することができる。
【0066】
段階(II)単量体P-C8-HBの合成。100ml三つ口フラスコ内のエタノール30ml中にC8-HB5g(14.2mmol)を溶解した後、該三つ口フラスコにDOPO6.1353g(14.2×2mmol)を添加する。その混合物を黄色の沈殿物と共に室温で12時間攪拌する。黄色の沈殿物のために、その混合物を脱イオン水中に注ぐ。ろ過、真空蒸発及び加熱乾燥の後、収率94.2%の淡黄色粉末P-C8-HB10.4892gを得る。結果を図6Bに示す。図6Bは、中間生成物P-C8-HBの1H-NMRスペクトルである。合成したP-C8-HBの構造を図面により立証することができる。
【0067】
その後、段階(III)単量体P-C8-Bzの合成。500ml三つ口フラスコ内のクロロホルム100ml中にP-C8-HB5g(12.7mmol)を溶解した後、該三つ口フラスコに1.03g(12.7×2mmol)のホルムアルデヒド溶液(37%)を滴下して加える。その混合物を室温(35℃)で1時間攪拌し、還流温度に加熱し、10時間かき混ぜて、その後真空蒸発し、白黄色粉末P-C8-Bzを得る。結果を図6Cに示す。図6Cは、生成物P-C8-Bzの1H-NMRスペクトルである。合成したP-C8-Bzの構造を図面により立証することができる。
【0068】
上記実施態様は、異なる電子供与性基(electron-pushing group)又は電子求引性基(electron-pulling group)を有する幾つかのアミンを用い、ベンゾオキサジンを合成する。例えば、DDSは強い電子求引性基−SO2−を有し、BAPPは強い電子供与性基−O−を有する一方で、脂肪族ジアミンDDMは弱い電子供与性基−CH2−を有する。しかしながら、上記例は、種々の電子供与性又は電子求引性のアミンの反応機構を実証することで、本発明の原理を単に説明しようとするものであり、本発明の範囲を制限するものではない。また、本発明は、芳香族アミン(ジアミン、トリアミン又はテトラアミン)又は脂肪族アミン等の他のアミンを用い、類似の反応によって種々の構造を有するリン系オキサジン化合物を製造することができる。
【0069】
本発明の製造方法は、二官能基又は多官能基のアミン又は脂肪族ジアミンを用いて、高純度で且つ高収率のリン系オキサジン化合物を合成することができる。
【0070】
本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、種々の変更及び変化を本発明の構造に行うことができることが、当業者に明らかになる。上記のことを考慮して、特許請求の範囲及びその均等の範囲内で本発明の変更及び変化が行われるなら、本発明は、その変更及び変化に及ぶことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1A】図1Aは、本発明の例2に従う中間化合物P-DDM-HBの1H-NMRスペクトルである。
【図1B】図1Bは、本発明の例2に従う中間化合物P-DDM-HBの13C-NMRスペクトルである。
【図1C】図1Cは、本発明の例2に従う化合物P-DDM-Bzの1H-NMRスペクトルである。
【図1D】図1Dは、本発明の例2に従う化合物P-DDM-Bzの13C-NMRスペクトルである。
【図2A】図2Aは、本発明の例3に従う中間化合物P-BAPP-HBの1H-NMRスペクトルである。
【図2B】図2Bは、本発明の例3に従う中間化合物P-BAPP-HBの13C-NMRスペクトルである。
【図2C】図2Cは、本発明の例3に従う化合物P-BAPP-Bzの1H-NMRスペクトルである。
【図2D】図2Dは、本発明の例3に従う化合物P-BAPP-Bzの13C-NMRスペクトルである。
【図3A】図3Aは、本発明の例5に従う中間化合物C2-HBの1H-NMRスペクトルである。
【図3B】図3Bは、本発明の例5に従う中間化合物P-C2-HBの1H-NMRスペクトルである。
【図3C】図3Cは、本発明の例5に従う化合物P-C2-Bzの1H-NMRスペクトルである。
【図4A】図4Aは、本発明の例6に従う中間化合物C4-HBの1H-NMRスペクトルである。
【図4B】図4Bは、本発明の例6に従う中間化合物P-C4-HBの1H-NMRスペクトルである。
【図4C】図4Cは、本発明の例6に従う化合物P-C4-Bzの1H-NMRスペクトルである。
【図5A】図5Aは、本発明の例7に従う中間化合物C6-HBの1H-NMRスペクトルである。
【図5B】図5Bは、本発明の例7に従う中間化合物P-C6-HBの1H-NMRスペクトルである。
【図5C】図5Cは、本発明の例7に従う化合物P-C6-Bzの1H-NMRスペクトルである。
【図6A】図6Aは、本発明の例8に従う中間化合物C8-HBの1H-NMRスペクトルである。
【図6B】図6Bは、本発明の例8に従う中間化合物P-C8-HBの1H-NMRスペクトルである。
【図6C】図6Cは、本発明の例8に従う化合物P-C8-Bzの1H-NMRスペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、nは1又は2を表し、nが1であるとき、Xは水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、OCF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表し、nが2であるとき、Xは単結合又は、
【化2】

(ここで、aは1〜16の範囲の整数であり、Arは、
【化3】

を表す)を表し、Yは、
【化4】

(ここで、Z1又はZ2はそれぞれ水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表す)又は単結合を表し、mは1又は2を表し、Rは水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、OCF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表し、mが2であるとき、Rは同一の基又は異なる基を表す]で示される構造を有するリン系オキサジン化合物。
【請求項2】
nが2であるとき、Xがキラル中心である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
リン系オキサジン化合物の製造方法において、
前記リン系オキサジン化合物が、式(II):
【化5】

[式中、Xは水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、OCF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表し、Yは、
【化6】

(ここで、Z1又はZ2はそれぞれ水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表す)又は単結合を表し、mは1又は2を表し、Rは水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、OCF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表し、mが2であるとき、Rは同一の基又は異なる基を表す]で示される構造を有し、
前記リン系オキサジン化合物の製造方法が、
下記に示す化合物
【化7】

を混合し、下記式(III):
【化8】

[式中、X、Y、R及びmは、上記式(II)において記載された通りに定義される]で示される化合物を形成することと、
ホルムアルデヒド又はトリオキシメチレンを添加し、リン系オキサジン化合物を得ることと、
を含むリン系オキサジン化合物の製造方法。
【請求項4】
式(III)で示される化合物が、下記に示す化合物
【化9】

を同時に接触及び混合させることによって、一段階で形成される請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
式(III)で示される化合物が、第一に
【化10】

を接触及び混合させ、下記式(IV):
【化11】

で示される化合物を形成し、次に化合物
【化12】

添加することによって、二段階で形成される請求項3に記載の製造方法。
【請求項6】
リン系オキサジン化合物の製造方法において、
前記リン系オキサジン化合物が、式(V):
【化13】

[式中、Xは単結合又は
【化14】

(ここで、aは1〜16の範囲の整数であり、Arは
【化15】

を表す)を表し、Yは、
【化16】

(ここで、Z1又はZ2はそれぞれ水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表す)又は単結合を表し、mは1又は2を表し、Rは水素、C1〜C6アルキル基、C1〜C6アルコキシ基、CF3、OCF3、フェニル基、ハロゲン基、フェノキシ基又はC3〜C7環状アルキル基を表し、mが2であるとき、Rは同一の基又は異なる基を表す]で示される構造を有し、
前記リン系オキサジン化合物の製造方法が、
下記に示す化合物
【化17】

を混合し、下記式(VI):
【化18】

[式中、X、Y、R及びmは、上記式(V)において記載された通りに定義される]で示される化合物を形成することと、
ホルムアルデヒド又はトリオキシメチレンを添加し、リン系オキサジン化合物を得ることと、
を含むリン系オキサジン化合物の製造方法。
【請求項7】
式(VI)で示される化合物が、下記に示す化合物
【化19】

を同時に接触及び混合させることによって、一段階で形成される請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
式(VI)で示される化合物が、第一に下記に示す化合物
【化20】

を接触及び混合させ、下記式(VII):
【化21】

[式中、X、Y、R及びmは、上記式(V)において記載された通りに定義される]で示される化合物を形成し、次に化合物
【化22】

を添加することによって、二段階で形成される請求項6に記載の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公開番号】特開2009−161504(P2009−161504A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−10987(P2008−10987)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【出願人】(508020605)長春人造樹脂廠股▲ふん▼有限公司 (1)
【出願人】(506187511)國立中興大學 (12)
【Fターム(参考)】