説明

リーダライタ

【課題】移動体面に取り付けられたRFタグに記録された情報を確実に、且つ正確に読み書きすることができるリーダライタを提供する。
【解決手段】この構成100は、中心軸36を中心として矢印37の方向に回転する回転体35と、回転体35周面に取り付けられたRFタグ40と、RFタグ40に記録された情報を受信するアンテナ9と、アンテナ9を介してRFタグ40の情報を読み書きするリーダライタ30と、を備えて構成されている。アンテナ9は、図示しない2つのループアンテナから構成され、夫々のループアンテナに逆位相の信号を供給することにより合成磁界を発生させた時に、この合成磁界がRFタグ40と交差するように各ループアンテナを配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーダライタに関し、さらに詳しくは、移動体、特に回転体に取り付けられたICタグの情報を読み書きするのに好適なリーダライタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ICカードと呼ばれる新しい情報記録媒体が、市場に広く出回っている。ICカードとは、クレジットカード、銀行カード、ポイントカード等のカード状あるいはシート状の形状を備え、カード内、或いはカード面上にICが組み込まれている読み書き可能な記録媒体を総称した名称である。特に、非接触型ICカードは、例えば、鉄道等の交通機関の駅構内への入退場時に使用される定期券、プリペイドカードとして多く使用されている。また、非接触型ICカードの一種として、構造的には非接触型ICカードと全く同様であり、且つ識別番号及び履歴情報等に関する管理情報を記録したRF(Radio Frequency)タグがあり、このRFタグの一種として郵便物あるいは荷物等を分類管理するために使用される非接触型RFタグ(以下、単にRFタグと記す)が知られている。
【0003】
従来のループアンテナを使用したリーダライタでは、ループアンテナの中心に金属等の磁界を遮蔽する物体が存在する場合や、ループアンテナとRFタグとの位置関係によっては、RFタグとの交信距離が著しく低下、または交信が不可能になるといった欠点がある。図7は従来のループアンテナを使用したリーダライタにより、回転体の表面に取り付けられたRFタグに記録された情報を読み書きする動作を説明する図である。図7のように、円柱120の回転速度が高速になるにつれて、ループアンテナ110とRFタグ130が対向する時間が短くなるため、リーダライタ100とRFタグ130との交信処理時間が不足して交信異常が発生し易くなる。特に、円柱120が金属製の場合、円柱上のRFタグ130を連続的に識別することは困難であった。
特許文献1には、車輪に埋め込まれたRFタグの情報を、地面に設置されたアンテナにより受信する移動体の管理システムについて開示されている。
【特許文献1】特開2006−213523公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている従来技術は、車輪に埋め込まれたRFタグが地面に設置されたアンテナに接近するまでは、RFタグに記録された情報を読み取ることができないため、読み取りに時間がかかるといった問題と、車輪の大きさによりRFタグが一回転する際の移動距離が異なり、車輪の径が大きくなると、アンテナのサイズを大きくしなければならないといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、2つのループアンテナにより発生された合成磁界が、RFタグが移動しても常に該RFタグと交差するように各ループアンテナを配置することにより、移動体に取り付けられたRFタグに記録された情報を確実に、且つ正確に読み書きすることができるリーダライタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、移動する非接触情報記録媒体に記録された情報を読み書きするアンテナを備えたリーダライタであって、前記アンテナは、少なくとも2つのループアンテナから構成され、夫々のループアンテナに逆位相の信号を供給することにより合成磁界を発生させた時に、該合成磁界が前記非接触情報記録媒体と交差するように前記各ループアンテナを配置することを特徴とする。
非接触情報記録媒体が移動している場合、その移動速度によっては情報が正しく読めない場合が発生する。そこで本発明では、アンテナを2つのループアンテナにより構成し、夫々のループアンテナに逆位相の信号を供給することにより、夫々のループアンテナから発生する磁界の方向が同じになるようにして合成磁界とする。この合成磁界が非接触情報記録媒体と交差するように各ループアンテナを配置する。これにより、移動する非接触情報記録媒体に記録された情報を常に正確に読み書きすることができる。
【0006】
請求項2は、中心軸を中心として回転する柱状の回転体周面に取り付けられた前記非接触情報記録媒体に記録された情報を読み書きするために、前記各ループアンテナを前記回転体の周面と非接触状態にて対向配置させ、前記各ループアンテナから発生した前記合成磁界が前記非接触情報記録媒体と交差するように構成したことを特徴とする。
本発明は、回転体に取り付けられた非接触情報記録媒体に記録された情報を読み書きする場合に関する。特に、柱状の回転体周面に取り付けられた非接触情報記録媒体に対する読み書きを行う場合に関する。即ち、回転体の周面に非接触情報記録媒体が取り付けられた場合、一方向から情報を読み書きしようとすると、回転体が金属で構成されていたり、回転速度が高速の場合、情報を正しく読み書きできない事態が発生する。そこで本発明では、2つのループアンテナを回転体の周面と非接触状態にて対向配置させ、各ループアンテナにより発生された合成磁界が非接触情報記録媒体と交差するように各ループアンテナを配置する。これにより、回転体の速度と非接触情報記録媒体の位置に関係なく常に情報を読み書きすることができる。
【0007】
請求項3は、中心軸を中心として回転する回転体の面に取り付けられた前記非接触情報記録媒体に記録された情報を読み書きするために、前記各ループアンテナを前記中心軸に対して同心円状に配置して前記回転体と離間して対向させ、前記各ループアンテナが発生した前記合成磁界が前記非接触情報記録媒体と交差するように構成したことを特徴とする。
本発明は、回転体に取り付けられた非接触情報記録媒体に記録された情報を読み書きする場合に関する。特に、中心軸を中心として回転する回転体の面に非接触情報記録媒体が取り付けられた場合に関する。即ち、回転体の面に非接触情報記録媒体が取り付けられた場合、一箇所から情報を読み書きしようとすると、回転速度が高速の場合、情報を正しく読み書きできない事態が発生する。そこで本発明では、2つのループアンテナを中心軸に対して同心円状に配置して回転体と離間して対向させ、各ループアンテナにより発生された合成磁界が非接触情報記録媒体と交差するように各ループアンテナを配置する。これにより、回転体の速度と非接触情報記録媒体の位置に関係なく常に情報を読み書きすることができる。
【0008】
請求項4は、一定方向移動又は往復移動する移動体に取り付けられた前記非接触情報記録媒体に記録された情報を読み書きするために、前記夫々のループアンテナを並行に配置して前記移動体と離間して対向させ、前記各ループアンテナが発生した前記合成磁界が前記非接触情報記録媒体と交差するように構成したことを特徴とする。
本発明は、一定方向移動又は往復移動する移動体に取り付けられた非接触情報記録媒体に記録された情報を読み書きする場合に関する。特に、ベルトコンベヤ等の一定方向に移動する移動体、又は所定範囲を往復運動する移動体に非接触情報記録媒体が取り付けられた場合に関する。即ち、移動体に非接触情報記録媒体が取り付けられた場合、一箇所から情報を読み書きしようとすると、非接触情報記録媒体が交信可能範囲外に移動した場合、情報を正しく読み書きできない事態が発生する。そこで本発明では、2つのループアンテナを並行に配置して移動体と離間して対向させ、各ループアンテナにより発生された合成磁界が非接触情報記録媒体と交差するように各ループアンテナを配置する。これにより、移動体の速度と非接触情報記録媒体の位置に関係なく常に情報を読み書きすることができる。
【0009】
請求項5は、前記回転体又は移動体が金属により構成されている場合、前記非接触情報記録媒体と前記金属との間にフェライト又はスペーサを介在させたことを特徴とする。
非接触情報記録媒体を金属に密着して取り付けた場合、非接触情報記録媒体と交差する磁界が金属により減衰されてしまい、情報が読み書きできなくなる。そこで本発明では、非接触情報記録媒体と金属との間にフェライト又はスペーサを介して取り付ける。これにより、非接触情報記録媒体と交差する磁界のループが形成され、情報を正しく読み書きすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アンテナを2つのループアンテナにより構成し、夫々のループアンテナには逆位相の信号を供給することにより、夫々のループアンテナから発生する磁界の方向が同じになるようにして合成磁界とし、この合成磁界が非接触情報記録媒体と交差するように各ループアンテナを配置するので、移動する非接触情報記録媒体に記録された情報を常に正確に読み書きすることができる。
また、2つのループアンテナを回転体の周面と非接触状態にて対向配置させ、各ループアンテナにより発生された合成磁界が非接触情報記録媒体と交差するように各ループアンテナを配置するので、回転体の速度と非接触情報記録媒体の位置に関係なく常に情報を読み書きすることができる。
【0011】
また、2つのループアンテナを中心軸に対して同心円状に配置して回転体と離間して対向させ、各ループアンテナにより発生された合成磁界が非接触情報記録媒体と交差するように各ループアンテナを配置するので、回転体の速度と非接触情報記録媒体の位置に関係なく常に情報を読み書きすることができる。
また、2つのループアンテナを並行に配置して一定方向移動又は往復移動する移動体と離間して対向させ、各ループアンテナにより発生された合成磁界が非接触情報記録媒体と交差するように各ループアンテナを配置するので、移動体の速度と非接触情報記録媒体の位置に関係なく常に情報を読み書きすることができる。
また、非接触情報記録媒体と金属との間にフェライト又はスペーサを介して取り付けるので、非接触情報記録媒体と交差する磁界のループが形成され、情報を正しく読み書きすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明のリーダライタの構成を示すブロック図である。このリーダライタ30は、リーダライタ30との間でデータの授受を行ってシステム全体を制御するPC50によって制御される。リーダライタ30は、外部のPC50とのデータの通信プロトコルを司る送受信装置1と、リーダライタ30全体の動作を制御する制御装置2と、制御装置2を動作させる手順を記録したファームウェアと読み取ったデータを格納するメモリ装置3と、制御装置2からのデータを搬送波に乗せて変調する変調器4と、操作コマンドを入力する入力装置5と、制御装置2により制御された情報を表示する表示装置6と、制御装置2からの交流信号である電力供給用信号と変調器4からの書き込みコマンドを電力増幅する電力増幅器7と、ループアンテナ9から受信した搬送波から2値化データに変換する検波復調器8と、図示しないICカード(RFタグ)との電力用搬送波とデータの授受をするループアンテナ9とを備えて構成されている。尚、ループアンテナ9は、逆位相の信号を供給するループアンテナ9a、とループアンテナ9bにより構成されている。
【0013】
次に、本構成によるリーダライタ30の動作を説明する前に、ICカード(RFタグ)の構成を先に説明しておく。図2は、一般的なICカード(RFタグ)の構成を示すブロック図である。本実施形態のICカード(RFタグ)40は、リーダライタ30からの電力用搬送波によりデータの授受をするアンテナ20と、書き込みコマンド読み出しコマンドを生成する送受信回路21と、アンテナ20からの電力用搬送波を受け、それを整流して直流電力に変換する電力生成回路22と、制御用ファームウェアとデータの記憶を司るメモリ装置23と、制御回路26からの送信コマンドに搬送波を乗せて変調する変調器24と、送受信回路21からの搬送波データから2値化データに変換する検波器25と、ICカード(RFタグ)40の全体の動作を制御する制御回路26から構成されている。
【0014】
次に、図1と図2を併せて参照してそれぞれ単独の動作について説明する。リーダライタ30は、図示しない電源が入れられると制御装置2のイニシャル動作後、メモリ装置3に記憶されたプログラムに従い動作を開始する。まず、初期化が行われる。次に、制御装置2は、ICカード(RFタグ)40に供給する電力供給用信号と、ポーリング信号を交互に電力増幅器7から送信する。その信号は、ループアンテナ9から電磁波として外部に放射される。次に、ICカード(RFタグ)40がリーダライタ30に近接すると、アンテナ20が電力供給用信号を受信し、電力生成回路22によりその搬送波を整流して直流電力に変換して、RFタグ内の全ての回路に供給する。電力を供給されて制御回路26が駆動すると、メモリ装置23に格納されたプログラムに従って、制御を開始する。
次に、制御回路26は、まず送受信回路21からコマンドを検波器25で復調して2値化信号に変換し、そのコマンドを解析する。その結果、自分が呼び出されていることを認識すると、レスポンスを変調器24により変調して送受信回路21を介してアンテナ20から送信する。このレスポンスをリーダライタ30がループアンテナ9で受信して、検波復調器8で2値化コードに変換し、制御回路2により解析してICカード(RFタグ)40が規格に合致したICカード(RFタグ)であると認識する。それにより、以後リーダライタ30とICカード(RFタグ)40の間でポーリングが行われる。以下、ICカード(RFタグ)40を単にRFタグ40と呼ぶ。
【0015】
図3は、本発明のリーダライタにより、回転体に取り付けられたRFタグに記録された情報を読み書きする動作の概略を説明する図である。同じ構成要素には図1及び図2と同じ参照番号を付して説明する。この構成100は、中心軸36を中心として矢印37の方向に回転する回転体35と、回転体35周面に取り付けられたRFタグ(非接触情報記録媒体)40と、RFタグ40に記録された情報を受信するアンテナ9と、アンテナ9を介してRFタグ40の情報を読み書きするリーダライタ30と、を備えて構成されている。アンテナ9は、図示しない2つのループアンテナから構成され(詳細は後述する)、夫々のループアンテナに逆位相の信号を供給することにより合成磁界を発生させた時に、この合成磁界がRFタグ40と交差するように各ループアンテナを配置する。図3で明らかなように、RFタグ40が回転しても、常にアンテナ9に対向するようになっているため、リーダライタ30はアンテナ9を介して常にRFタグ40に情報を読み書きすることができる。また、回転体35の回転速度に無関係にRFタグ40に情報を読み書きすることができる。
即ち、RFタグ40が回転(移動)している場合、その回転速度により情報が正しく読めない事態が発生する。そこで本発明では、アンテナ9を2つのループアンテナにより構成し、夫々のループアンテナには逆位相の信号を供給することにより、夫々のループアンテナから発生する磁界の方向が同じになるようにして合成磁界43とする(図4(b)参照)。この合成磁界43がRFタグ40のアンテナ20と交差するように各ループアンテナを配置する。これにより、回転するRFタグ40に記録された情報を常に正確に読み書きすることができる。
【0016】
図4は本発明の第1の実施形態に係る図3の構成を更に詳細に説明する図である。図4(a)は全体構成を示す図、図4(b)は図4(a)のA部を拡大した断面図である。図4(a)の構成100では、中心軸36を中心として回転する柱状の回転体35の周面に取り付けられたRFタグ40に記録された情報を読み書きするために、各ループアンテナ9a、9bを回転体35の周面と非接触状態にて対向配置させ、各ループアンテナ9a、9bにより発生された合成磁界43がRFタグ40のアンテナ20と交差(理想的には直交)するように各ループアンテナ9a、9bを配置する。図4(b)により、更に詳細に説明すると、ループアンテナ9aには×印の方向に信号が流れ、ループアンテナ9bには●印の方向(即ち、互いに逆方向の電流)に信号が流れているものとすると、例えば、ループアンテナ9aの周囲には磁界41が矢印の方向に発生する。また、ループアンテナ9bの周囲には磁界42が矢印の方向に発生する。ここで、磁界41と磁界42は電流の向きが異なるために、逆向きの磁界となる。そして磁界41と磁界42が交わる領域Pでは、磁界ベクトルが一致するために磁界41と磁界42が合成されて合成磁界43が発生する。この合成磁界43はRFタグ40内のアンテナ20と交差することにより、リーダライタ30と情報の交信が可能となる。また、RFタグ40は、磁界41と磁界42がループを形成するように、例えば、フェライト44(又は、スペーサ等)を介して回転体35に取り付けられている。
【0017】
即ち、本実施形態では、回転体35に取り付けられたRFタグ40に記録された情報を読み書きする場合に関する。特に、柱状の回転体35の周面にRFタグ40が取り付けられた場合に関する。即ち、回転体35の周面にRFタグ40が取り付けられた場合、一方向から情報を読み書きしようとすると、回転体35が金属で構成されていたり、回転速度が高速の場合、情報を正しく読み書きできない事態が発生する。そこで本実施形態では、2つのループアンテナ9a、9bを回転体35の周面と非接触状態にて対向配置させ、各ループアンテナ9a、9bにより発生された合成磁界がRFタグ40と交差するように各ループアンテナ9a、9bを配置する。これにより、回転体35の速度とRFタグ40の位置に関係なく常に情報を読み書きすることができる。
また、回転体35が金属により構成されている場合、RFタグ40と金属との間にフェライト44又はスペーサを介して取り付ける。即ち、RFタグ40を金属に密着して取り付けた場合、RFタグ40と交差する磁界41、42が金属により減衰されてしまい、情報が読み書きできなくなる。そこで本実施形態では、RFタグ40と金属との間にフェライト44又はスペーサを介して取り付ける。これにより、RFタグ40と交差する磁界41、42のループが形成され、情報を正しく読み書きすることができる。尚、回転体が金属でない場合は、RFタグ40を回転体35に直接取り付けても構わない。
【0018】
図5は本発明の第2の実施形態に係る構成を詳細に説明する図である。図5(a)は全体構成を示す図、図5(b)は図5(a)の側面図、図5(c)は図5(b)のB部を拡大した断面図である。図5(a)の構成110では、中心軸46を中心として回転する回転体45の面に取り付けられたRFタグ40に記録された情報を読み書きするために、夫々のループアンテナ9a、9bを中心軸46に対して同心円状に配置して回転体45と離間して対向させ(図5(b)参照)、各ループアンテナ9a、9bにより発生された合成磁界49がRFタグ40のアンテナ20と交差するように各ループアンテナ9a、9bを配置する。
即ち、本実施形態では、回転体45に取り付けられたRFタグ40に記録された情報を読み書きする場合に関する。特に、中心軸46を中心として回転する回転体45の面にRFタグ40が取り付けられた場合に関する。即ち、回転体45の面にRFタグ40が取り付けられた場合、一箇所から情報を読み書きしようとすると、回転速度が高速の場合、情報を正しく読み書きできない事態が発生する。そこで本実施形態では、2つのループアンテナ9a、9bを中心軸46に対して同心円状に配置して回転体45と離間して対向させ、各ループアンテナ9a、9bにより発生された合成磁界49がRFタグ40のアンテナ20と交差するように各ループアンテナ9a、9bを配置する。これにより、回転体45の速度とRFタグ40の位置に関係なく常に情報を読み書きすることができる。図5(c)により、更に詳細に説明すると、ループアンテナ9aには×印の方向に信号が流れ、ループアンテナ9bには●印の方向(即ち、互いに逆方向の電流)に信号が流れているものとすると、例えば、ループアンテナ9aの周囲には磁界47が矢印の方向に発生する。また、ループアンテナ9bの周囲には磁界48が矢印の方向に発生する。ここで、磁界47と磁界48は電流の向きが異なるために、逆向きの磁界となる。そして磁界47と磁界48が交わる領域Qでは、磁界ベクトルが一致するために磁界47と磁界48が合成されて合成磁界49が発生する。この合成磁界49はRFタグ40内のアンテナ20と交差することにより、リーダライタ30と情報の交信が可能となる。また、RFタグ40は、磁界47と磁界48がループを形成するように、例えば、フェライト44(又は、スペーサ等)を介して回転体45に取り付けられている。
【0019】
図6は本発明の第3の実施形態に係る構成を詳細に説明する図である。図6(a)は全体構成を示す側面図、図6(b)は図6(a)の上面図、図6(c)は図6(b)のC部を拡大した断面図である。図6(a)の構成120では、矢印53の一定方向に移動するベルトコンベア(移動体)52に取り付けられたRFタグ40に記録された情報を読み書きするために、夫々のループアンテナ9a、9bを並行に配置してベルトコンベア52と離間して対向させ、各ループアンテナ9a、9bにより発生された合成磁界56がRFタグ40のアンテナ20と交差(理想的には直交)するように各ループアンテナ9a、9bを配置する。
即ち、本実施形態では、一定方向(又は往復方向)に移動するベルトコンベア52に取り付けられたRFタグ40に記録された情報を読み書きする場合に関する。特に、ベルトコンベヤ等の一定方向に移動する移動体にRFタグ40が取り付けられた場合に関する。即ち、ベルトコンベア52にRFタグ40が取り付けられた場合、一箇所から情報を読み書きしようとすると、RFタグ40が交信可能範囲外に移動した場合、情報を正しく読み書きできない事態が発生する。そこで本実施形態では、2つのループアンテナ9a、9bを並行に配置してベルトコンベア52と離間して対向させ、各ループアンテナ9a、9bにより発生された合成磁界56がRFタグ40と交差するように各ループアンテナ9a、9bを配置する。これにより、ベルトコンベア52の速度とRFタグ40の位置に関係なく常に情報を読み書きすることができる。但し、ベルトコンベアの場合は、ローラ51を通過してRFタグ40が反対側に移動した場合は、情報の交信は不可能となる。また、所定範囲で往復移動する場合は、本実施形態により対応することが可能である。図6(c)により、更に詳細に説明すると、ループアンテナ9aには×印の方向に信号が流れ、ループアンテナ9bには●印の方向(即ち、互いに逆方向の電流)に信号が流れているものとすると、例えば、ループアンテナ9aの周囲には磁界54が矢印の方向に発生する。また、ループアンテナ9bの周囲には磁界55が矢印の方向に発生する。ここで、磁界54と磁界55は電流の向きが異なるために、逆向きの磁界となる。そして磁界54と磁界55が交わる領域Sでは、磁界ベクトルが一致するために磁界54と磁界55が合成されて合成磁界56が発生する。この合成磁界56はRFタグ40内のアンテナ20と交差することにより、リーダライタ30と情報の交信が可能となる。また、RFタグ40は、磁界54と磁界55がループを形成するように、例えば、フェライト44(又は、スペーサ等)を介してベルトコンベア52に取り付けられている。
【0020】
以上の説明は一例であり、RFタグ40が移動体(回転、振動、移動等)に取り付けられている場合、本発明のループアンテナ9a、9bをその移動体の移動範囲に設置し、ループアンテナ9a、9bにより合成される合成磁界がRFタグ40のアンテナ20と交差するようにループアンテナ9a、9bが配置可能であれば、どのような移動体でも構わない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のリーダライタの構成を示すブロック図である。
【図2】一般的なICカード(RFタグ)の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明のリーダライタにより、回転体に取り付けられたRFタグに記録された情報を読み書きする動作の概略を説明する図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る図3の構成を更に詳細に説明する図で、(a)は全体構成を示す図、(b)は(a)のA部を拡大した断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る構成を詳細に説明する図で、(a)は全体構成を示す図、(b)は(a)の側面図、(c)は(b)のB部を拡大した断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る構成を詳細に説明する図で、(a)は全体構成を示す側面図、(b)は(a)の上面図、(c)は(b)のC部を拡大した断面図である。
【図7】従来のループアンテナを使用したリーダライタにより、回転体の表面に取り付けられたRFタグに記録された情報を読み書きする動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0022】
9a、9b ループアンテナ、20 アンテナ、30 リーダライタ、35 回転体、36 中心軸、37 回転方向、40 RFタグ、41、42 磁界、43 合成磁界、44 フェライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する非接触情報記録媒体に記録された情報を読み書きするアンテナを備えたリーダライタであって、
前記アンテナは、少なくとも2つのループアンテナから構成され、夫々のループアンテナに逆位相の信号を供給することにより合成磁界を発生させた時に、該合成磁界が前記非接触情報記録媒体と交差するように前記各ループアンテナを配置することを特徴とするリーダライタ。
【請求項2】
中心軸を中心として回転する柱状の回転体周面に取り付けられた前記非接触情報記録媒体に記録された情報を読み書きするために、前記各ループアンテナを前記回転体の周面と非接触状態にて対向配置させ、前記各ループアンテナから発生した前記合成磁界が前記非接触情報記録媒体と交差するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のリーダライタ。
【請求項3】
中心軸を中心として回転する回転体の面に取り付けられた前記非接触情報記録媒体に記録された情報を読み書きするために、前記各ループアンテナを前記中心軸に対して同心円状に配置して前記回転体と離間して対向させ、前記各ループアンテナから発生した前記合成磁界が前記非接触情報記録媒体と交差するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のリーダライタ。
【請求項4】
一定方向移動又は往復移動する移動体に取り付けられた前記非接触情報記録媒体に記録された情報を読み書きするために、前記夫々のループアンテナを並行に配置して前記移動体と離間して対向させ、前記各ループアンテナから発生した前記合成磁界が前記非接触情報記録媒体と交差するように構成したことを特徴とする請求項1に記載のリーダライタ。
【請求項5】
前記回転体又は移動体が金属により構成されている場合、前記非接触情報記録媒体と前記金属との間にフェライト又はスペーサを介在させたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のリーダライタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−89163(P2009−89163A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257868(P2007−257868)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】