説明

リーマ

【課題】 ワークの下穴の径を大きくする場合に容易にかつ正確に再穿設することができるようにしたリーマを提供する。
【解決手段】 ワーク(30)の小径の下穴を大径の下穴(31)に再穿設するために用いられるリーマ(10)であって、リーマ刃部(12)の前方にタップ刃部(11)が設けられ、タップ刃はねじ外径(t1)が大径の下穴(31)の内径に等しい寸法となっている刃を有する。このリーマ刃部は、タップ刃部の最終刃に連続して形成されるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリーマに関し、特にワーク、例えばナットの下穴の径を大きくする場合に容易にかつ正確に再穿設するのに適したリーマに関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを加工する場合、加工の種類に応じて種々の工具が用いられる。例えば、ドリルを用いてワークに孔を穿孔し、ドリルで穿孔された穴を下孔とし、これをリーマを用いて所望の寸法精度に仕上げ、あるいはドリルで穿孔された下孔にタップを用いて雌ねじをタップ加工することが行われている。
【0003】
かかる工具に関し、1つの工具に種類の異なる切刃を形成することが提案されている。例えば、軸部の先端側にタップ刃を、その後方にリーマ刃を形成したリーマ付きタップ(特許文献1)、隣接するタップ刃の間にリーマ刃を形成しあるいはタップ刃の前半部分にリーマ刃を形成したリーマ付きタップ(特許文献2)、タップ刃の前方にリーマ刃及びドリル刃を形成したタップ(特許文献3)、等が知られている。
【特許文献1】実公平06−18743号公報
【特許文献2】実開昭64−30123号公報
【特許文献3】特開2001−18119号公報
【0004】
ところで、ワーク、例えばナット素形材に既に下穴が穿設されているが、その下穴の内径が雌ねじの内径よりも小さいことがある。かかる場合、リーマによって下穴の内径を拡げた後、タップ加工することが行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、小さい下穴を大径のリーマで加工すると、リーマの回転中心が小径の下穴の中心からずれて大径の下穴が偏心し、タップ後の雌ねじも偏心してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑み、ワークの下穴の径を大きくする場合に容易にかつ正確に再加工することができるようにしたリーマを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明に係るリーマは、ワークの小径の下穴を大径の下穴に再加工するために用いられるリーマであって、リーマ刃部の前方にタップ刃部が設けられ、該タップ刃はねじ外径が上記大径の下穴の内径に等しい寸法となっている刃を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の特徴の1つはリーマ刃部の前方にタップ刃部を設け、そのタップ刃部の刃をねじ外径が大径の下穴の内径に等しくなるようにした点にある。
【0009】
これにより、小径の下穴にはタップ刃部が雌ねじを刻設しながら前進するので、タップ刃部の回転中心線は小径の下穴の中心からずれることはなく、リーマ刃部はタップ刃部に案内されて前進するので、リーマ刃部の回転中心線も小径の下穴の中心からずれることはない。その結果、再穿設した大径の下穴にタップ加工を行うと、雌ねじも正確に刻設できる。
【0010】
また、リーマ刃部の刃は前方のタップ刃部で形成された雌ねじのねじ山を除去すればよく、小径の下穴を拡げる場合に比して小さな力でリーマ加工することができる。
【0011】
タップ刃部とリーマ刃部とは間隔をあけて形成してもよく、又リーマ刃部をタップ刃部の最終刃に連続して形成してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図3は本発明に係るリーマの好ましい実施形態を示す。図において、リーマ10は先端側部分にタップ刃部11が、タップ刃部11の後方に、タップ刃部11の最終刃に連続してリーマ刃部12が形成されている。
【0013】
タップ刃部11には再穿設すべき大径の下穴31の内径t1と等しいねじ外径寸法t1及びねじ内径寸法t2の刃が形成されている。
【0014】
他方、リーマ刃部12は大径の下穴31の内径t1、即ちタップ刃部11の刃の外径寸法t1と等しい外径の刃が設けられている。
【0015】
例えば、下穴を穿設したナット素形材30に対し、下穴を拡げる場合、本例のリーマ10を回転させながら、その先端側からナット素形材30の下穴に押し込んで行く。
【0016】
すると、タップ刃部11の先端の喰付き部がナット素形材の小径の下穴に喰い付き、本例のリーマ10の回転に伴ってタップ刃部11はその回転中心線が小径の下穴の中心からずれることなくピッチ送りされ、ナット素形材には外径t1、内径t2の雌ねじ32が刻設される。
【0017】
また、本例のリーマ10ではタップ刃部11に連続してリーマ刃部12が形成されているので、リーマ刃部12もリーマ10の回転に伴って回転しながらタップ刃部11に案内され、リーマ刃部12はその回転中心線が小径の下穴の中心からずれることはなく前進し、タップ刃部11で刻設された雌ねじ32の部分(図3の斜線部分、参照)を除去し、大径の下穴が穿設される。
【0018】
その後、大径の下穴31にタップ加工を行うと、雌ねじも正確に刻設できる。
【0019】
また、リーマ刃部12の刃は前方のタップ刃部11で形成された雌ねじ32のねじ山を除去すればよく、小径の下穴を拡げる場合に比して小さな力でリーマ加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るリーマの好ましい実施形態を示す側面図である。
【図2】上記実施形態における断面図である。
【図3】上記実施形態の作用を説明するための図である。
【符号の説明】
【0021】
10 タップ
11 タップ刃部
12 リーマ刃部
30 ナット素形材(ワーク)
31 下穴 32 雌ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの小径の下穴を大径の下穴に再加工するために用いられるリーマであって、
リーマ刃部の前方にタップ刃部が設けられ、該タップ刃はねじ外径が上記大径の下穴の内径に等しい寸法となっている刃を有することを特徴とするリーマ。
【請求項2】
上記リーマ刃部が上記タップ刃部の最終刃に連続して形成されている請求項1記載のリーマ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−35352(P2006−35352A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−216814(P2004−216814)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(591209246)濱中ナット株式会社 (38)
【Fターム(参考)】